第5章 速  記

 

 第1 目 標

 

 第2 単元の例

 

 第3 学習指導上の要点
 1.高等学校において学習される速記の種類は,日本語の速記を原則とするのが普通であろう。日本語の速記は,漢字や,かな文字の字画を極度に短縮し簡略にして,談話・講演・講義などを,迅速に筆記して,普通の文字で筆記する労力をいちじるしく軽減するとともに,それらの内容を,正確にそのままに筆記することができる点において,とうてい普通の筆記では及ばない長所を持っている。したがって,速記を事務処理に利用すれば,能率増進に役だつことは,非常に大きいであろう。事務に従事する者にとっては,速記の技能を身につけて,これを実務に利用して,能率を高めて行く習慣を養っておくことは,きわめてたいせつである。

 2.しかしながら,速記の練習は,変化に乏しく,地味な努力を不断に継続して行かなければ,上達が困難である。そのため,中途であきやすいが,この点を克服して,しだいに技能が上達していけば,おのずから興味も湧いてくるし,学習の価値を自覚するようになってくるであろう。すなわち,着実にしんぼう強く練習を重ねることが,速記上達の第一の秘けつであるから,この科目の学習によって,そのような美徳も養われるわけである。けれどもまた,一方において,速記練習の単調を救うために,種々のくふうがなされなければならない。たとえば,なるべく生徒に興味の多い題材を選択して,速記練習を行わせるなど,速記内容について注意する必要がある。

 3.速記の進んた段階では,略字を用いたり,あるいは,自分で略字を創造して利用したりするようになるが,早急にこれを用いることはむしろ危険である。あせらないで,基礎的練習を,徹底的に行うことが望ましい。朗読速記ができるようになってからでも,常に,基礎文字や単語の練習をくり返して行う必要がある。

 4.速記したものを,普通文字で書き直す練習も,非常にたいせつである。その場合には,作文の能力が相当に要求されるし,また,この反訳の練習によって,作文の能力の向上に役だつことも大きい。

 5.学習の順序は,上記の単元の例に示されたように,初歩の段階から,しだいに高度の段階へ進むようにし,どの段階でも,実際に,生徒みずから,速記を反復練習することが,この科目の学習の中心である。

 6.速記を文書事務に,どの程度に利用して行くかということは,速記技能の発達の程度・文書事務の繁簡の程度によって異なってくるから,文書実務科の学習に,これを応用する場合には,適宜の程度・方法によって行うように指導することが望ましい。

 この科目の学習についての,準備と活動の例を示せば,次のとおりである。

 1.教師の準備と活動

 2.生徒の活動  

 第4 学習指導計画の一例

 1.単元名  速記の基本的技能は,どのようにして身につけるか。

 2.目 標  速記の基本的技能を養う。

 3.教材区分と時間配当

 4.準備と資料

  練習用テキスト,基礎文字表,用紙,鉛筆,万年筆を用意する。

 5.学習活動

 6.他の教科・科目との関連  7.評 価  

 第5 参 考 書

     書    名      著    者      発 行 所

   カナ速記大講座                  岩村式カナ速記協会

   早稲田大学式速記講義録              早稲田速記普及会

   中根式速記法                   中根速記協会

   超中根式速記法                  京都速記研究所

   毛利式日本速記術                 東  京  堂

   日本速記法抜粋       田  鎖 一     浅 間 書 房

   日本速記法詳釈         〃

   速記五十年史                   日本速記協会

   速記方式発達史       武 部 良 明    日 本 書 房