第4章 タイプライティング

 第1 目  標

 

 第2 単元の例

 

 第3 学習指導上の要点

 高等学校において学習されるタイプライティングの種類は,一般に,英文タイプライティングと和文タイプライティングとである。目標および単元の例は両者に共通なものとして示したが,学習指導上の注意については,それぞれ別に考慮する必要がある。

 A.英文タイプライティング

 1.タイプライターは,文書を整然とめいりょうにしかも能率よく作成するために用いられる文明の利器であって,その効用をじゅうぶんに発揮できるかどうかは,これを使用する者の積極的な学習意欲と,不断の練習とにかかっている。このことは,目標に揚げられた知識・技能・能力・習慣を得るために重要なことである。

 2.英文タイプライターの機能をじゅうぶんに発揮するためには,印字の基礎的練習必要であることはいうまでもないが,また,原稿のまちがったつづりや脱字を発見したり,手書きした難解な原稿を判読して印字する場合には,語学の能力が相当に大きいことが要求される。技術的にみて,印字能力が同等であれば,語い(Vocabulaly)が豊富であるほうがすぐれていることは,もちろんである。したがってタイプライティングの練習とともに,その素地をなすところの英語の力をじゅうぶんに養うようにしなければならない。

 3.英文タイプライティングでは,印字鍵(けん)(Keys)の操作法について,触鍵法(Touch Method)と視鍵法(Sight Method)との二つがあり,いずれを用いるかということは,場合によって異なり,一方に決定してしまうには,いろいろ議論のあるところである。しかし,両法の優劣を比較すれば,触鍵法がすぐれていることはいうまでもないことであるから,職業的教養としては,この方法を身につけることが必要である。その上,年齢的にみても,高等学校の生徒としては,この触鍵法の練習に適した発達段階にあるといえるであろう。

 4.正確に打つことを第一とし,速度のために確実さを失ってはならない。

 5.速度を向上するには,あせらないで,指のむだな運動を省くことによって,自然に速度があがるように練習する。

 6.印字の誤りがあった場合は,これを集計し,そのつど,その性質や原因を分析して,自分の印字法の欠点を,自分で発見して行くようにする。このために,練習中は後もどし鍵(Back Spacer)を使ったり,消しゴムを使ったりすることを絶対に避けるのがよい。また練習ずみの用紙は,必ず参考資料として整理保存しておいて,役にたてるようにするのがよい。

 7.自分にとって不確実な印字や,誤りやすい印字は,できるだけ多く練習するようにする。練習が進むにつれて出てくる,いわゆる「苦が手」の語は,特に拾い出して,これを表に作り,毎回の練習の初めに,それらをひととおり打ってみてから,予定の練習にはいるようにする。

 8.基礎練習は,必ずあらかじめ計画された順序に従って行い,用紙の一隅に,練習した日付と姓名とを記入しておいて,必要に応じて教師に提出できるようにする。

 9.左右の指の分担を定め,運指はいつも各指の基準位置(Home key Position)から行い,また,終りはこの位置にもどることを実行するようにする。

 10.数字は最上段にあって,運指上もっとも困難であるけれども,商業文書には数字は欠くことのできない重要な要素であるから,よくその印字に慣れておくことが必要である。

 11.用紙1枚で打つときは,プラテン(Platen)をいためやすいから,必ず数枚を用いて複写するか,または1,2枚の下敷を(Backing Sheet)を入れるようにする。

 12.タイプライターの使用については,責任者を定めておき,練習・清掃・保全に対して責任観念を持つようにし,公共の器物を愛護する精神を徹底させるようにする。

 13.タイプライターが文書作成の用具として活用されるためには,商業英語・貿易実務・文書実務・商業実践などの各科目とじゅうぶんに連絡を保つことが必要である。

 英文タイプライティングの学習についての準備と活動の例を示せば次のとおりである。

 1.教師の準備と活動

 2.生徒の準備と活動  B.和文タイプライティング

 1.タイプライターは,文書を整然とめいりょうにしかも能率よく作成することのできる利器であって,その効用をじゅうぶんに発揮できるかどうかは,これを使用する者の積極酌な学習意欲と,不断の練習とにかかっていることを,常に忘れてはならない。

 2.和文タイプライティングの学習には,和文の印書に興味を持ち,敏活であり,しかも,きちょうめんな性格をそなえていることが必要である。また,タイピストは単に機械的に印書すればたりるのではなく,時には原稿の校正や,誤字・脱字の修正をした上で印書しなければならないこともあるから,文字や文章について相当の素養のあることが要求される。

 3.印書練習を始める前に,機械の構造や機能とともに,手入れや注油の方法についても指導しておくことが必要である。それによって,練習を始めてから,いつも,機械をたいせつに取り扱う習慣と,その要領とを身につけるのに役だたせる。

 4.基礎練習は,必ずあらかじめ計画された順序に従って行い,用紙の一隅に練習した日付と姓名とを書いて,そのつど教師に提出するようにし,教師の検閲を受けてから,次の段階に進むようにする。

 5.文書を印字する段階に進んだならば,単に写字を行うだけでなく,文書実務科と同じように,当用漢字の使用,書式・文案の作成,文書の整理などについて練習するがよい。

 6.練習に用いる機械は,管理の責任者を定めておいて,たとえ故障の場合でも,他の生徒の管理している機械を使用しないようにする。

 和文タイプライティングの学習についての,準備と活動の例。

 1.教師の準備と活動

 2.生徒の準備と活動  

 第4 学習指導計画の一例

 1.単元名  タイプライティングの基本的技能は,どのようにして身につけるか。

ここには,英文タイプライティングの基本的技能のうち,英文タイプライターの第2段(Home Row)の各鍵の使用法についてのみ,一例を掲げる。

 2.目 標

 3.教材区分と時間配当  4.準備と資科  5.学習活動  6.他の教科・科目との関連  7.評 価  

 第5 参 考 書

    書    名             著    者       発 行 所

   英文タイプライターの知識と練習加    茂 正   一     堀  書  店

   英文タイプ理論と練習          束 田  延 尾    語 学 出 版 社

   TYPE WRITER 教則本          黒 沢  敬 一    愛  育  社

   最新英文タイプ教本           竹 内  甚 一    実 業 教 科 書

   タイプライター基準教          加 茂  正 一    研  究  社

   最新和文タイプ教本           竹 内  甚 一    実 業 教 科 書