第11章 経 営
第1 目 標
2.経営に関する知識・技能を実地に活用する能力を養う。
3.経営上の諸問題について,合理的に解決しようとする態度を養う。
第2 単元の例
2.企業の形態には,どのような種類があるか。
3.経営の組織は,どのように定められるか。
4.業務や作業の管理は,どのように行われるか。
5.労務や人事の管理は,どのように行われるか。
6.財務の管理は,どのように行われるか。
7.小規模の商店の管理は,どのように行われるか。
第3 学習指導上の要点
1.商業経済科において,商業を経営して行く上に必要な知識・技能・態度をひととおり習得するのであるが,経営科においては,この基礎の上にさらに発展して,近代的産業の発達に伴って生まれた大規模経営についての重要な問題を取り上げたりあるいは,中小企業経営についての問題を取り上げて,商業経済科においてよりもいっそう具体的に詳しく学習することになる。
2.したがって,この科目は第2学年または第3学年において,選択され,学習されることが適当であろう。
3.企業の経営については,国家が法規によって制約を加える場合が少くないから,経営科の学習においては,法規科との連絡をよく考慮する必要がある。
4.簿記や原価計算は,企業の財務管理の上でたいせつな手段であるから,この科目の学習において,簿記会計科との連絡をよく図ることが必要である。
5.単元の例について,それぞれの内容を示せば次のとおりである。
単元 1.企業経営は,どのような機能を果すか。
(2) 経営の中心問題。
(3) 経営が国民経済において果している機能。
単元 2.企業の形態には,どのような種類があるか。
(2) 株式会社の特徴と重要性,所有と経営との関係。
(3) 企業の集中と,これに対する国家の政策。
(4) 企業の社会化と経営の民主化。
単元 3.経営の組織は,どのように定められるか。
(2) 作業組織。
単元 4.業務や作業の管理は,どのように行われるか。
(2) 作業管理。
単元 5.労務や人事の管理は,どのように行われるか。
(2) 労働問題に関する法規と政策。
単元 6.財務の管理は,どのように行われるか。
(2) 経営の計画と,予算統制。
(3) 経営成績の調査。
単元 7.小規模の商店の管理は,どのように行われるか。
(2) 小規模商店の経理。
(3) 小規模商店の仕入・販売などの業務管理。
これらの内容は,例にすぎないから,実際の学習指導にあたっては,生徒や地域社会の必要に応じて,適宜に,その配列の順序や表現をくふうし,また,単位数に応じて,内容の取捨選択を行うことが望ましい。
この科目の学習についての,準備と活動の例を示せば次のとおりである。
1.教師の準備と活動。
(2) 1年間の指導計画を立てる。
(3) 経営に関する統計や図表を作ったり,規約その他の資料を集めておく。
(4) 労働関係法規をそろえておく。
(5) 生徒の見学や調査の計画を指導し,援助する。
(6) 地域社会の産業について,その経営上の諸問題を調査し,教材にとり入れる。
(7) 企業形態,経営の組織と管理,経営の合理化と民主化,企業の社会化,労働問題などについて,常に研究し,教材の更新を図る。
(8) 生徒の自発的学習を刺激するように,学習指導法をくふうする。たとえば,ある課題について生徒に調査研究させ,その結果をまとめて報告させたりする。教師はこれを指導援助して,生徒の学習活動を進めて行くようにする。
(9) 学校売店・バザー・学校銀行などを生徒に経営させ,それを指導援助する。
2.生徒の準備と活動。
(2) 新聞・雑誌の経営に関する記事の切り抜きを作り,整理する。
(3) 商店・会社・工場などを見学して,企業形態・経営組織・作業管理・業務管理・労務管理・財務管理・労働組合・経営の合理化・民主化などについて,調査研究する。
(4) 商店・会社・工場などについて,定款・労働組合規約・労働協約・経営協議会規約などの資料を集めて,研究する。
(5) 調査研究の結果をまとめて,統計や図表を作成する。
(6) 調査研究の結果をクラスで報告し,討議し合う。
(7) 生徒会・クラブ活動・運動会・文化祭・学校売店・バザーなどの経営について,その組織や管理を研究する。
第4 学習指導計画の一例
1.単元名 企業経営は,どのような機能を果すか。
2.目 標
(2) 経営の中心問題として,どのようなことがあるかを理解する。
(3) 経営の社会的機能を理解し,経営に従事する者としての正しい心構えを養う。
3.教材区分と時間配当
b.経営の要素
(2) 経営の中心問題はどのようなことであるか。 1時間
b.組織と管理。
c.経 理。
(3) 経営はわれわれの経済生活において,どのような機能を果しているか。 1時間
b.経営者・経営補助者としての心構え。
4.準備と資料
(2) 商店・会社・工場などの定款・規約・執務規定・家憲・社訓などを集める。
(3) 実業家の経営苦心談や,経営観についての新聞・雑誌の記事を集める。
(4) 企業と経営との関係を示す図解を作る。
5.学習活動
(2) 学校売店などの事業を始めるときに,どのように事業計画を立てればよいかについて話し合う。
(3) 学校の経営について,教師から話を聞く。
(4) 商店・会社・工場などを訪ねて,事業の経営上どのような苦心をしているか,どのような心構えで経営にあたっているかについて話を聞く。
(5) 地域社会の事業について,その経営が,自分たちの生活にどのような影響をおよぼしているかを調べる。
(6) 政府が事業の経営に干渉したり,保護したりする理由について,話し合う。
6.他の教科・科目との関連。
一般社会・時事問題・商業経済・簿記会計・法規などの各科目での学習は,この単元の学習にとって,大いに役だつものである。
7.評 価
(2) 見学・訪問によって得た感想や意見の報告書を提出させて,経営に従事する者としての正しい心構えを身につけている程度を判定する。日常の学習態度や生活態度も参考にする。
(3) わが国の経済や貿易の発展と,経営との関係を調べたものを報告させて,経営の社会的機能の理解の程度を判定する。
第5 参 考 書
この科目の参考書は,商業経済科の参考書の中の,経営に関するものを参照していただきたい。