第二章 教材の解説とその指導

 

第八節 各教材群の目標と指導上の留意点

一、模倣・物語り遊び

 低学年の児童にふさわしいかっぱつな動作を選び、大筋を発達させ、リズム感覚を練り、観察を正確にし、表現能力を高めて、社会的情緒的発達をはかるとともに身体的動作の熟練度を高める。

 家事・人・動物・経験、子どもたちに親しい物語りなど、取材のしかたはいろいろあるが、かけっこやなわとびなどもこの中に入れることができる。能力が高まり経験が豊富になるにつれて模倣も複雑になり、やがてダンスや体操・球技などに発展する。実際の指導に当ってはリズム遊びと結合して行うことが適当である。

 自由でかっぱつな動作が望ましく、走・跳・投・ねじる・まげるなどの動作が反覆されるよう計画する。題材は他教科で学習したものから選ぶことも効果的である。四年ごろからリズム運動やスポーツ活動へ発展していくから、取材や時間配当について考慮しこれを減ずる。

二、リズム遊び・リズム運動

 音楽や手拍子などのリズムによって導かれる楽しい活動で大筋を発達させ、リズム感覚を育て、団体活動に参加する機会を与えて社会性の発達をはかるとともに、好ましい行動のしかたを会得させる。またこれによって情操を養い、表現の技法に対する興味を発達させ、あわせて我国や外国の民踊を理解させる。

 低学年では模倣・物語り遊びと結合して指導することが主となる。模倣や物語り遊びを構成したり、あるいは既成の曲にのった楽しい自由な活動で身体を発達させるとともにリズム感覚を練り、表現の練習も行わせるよう指導する。動作は大きくかつ自由であることがたいせつで、リズミカルな動きの楽しさを味わわせるようにする。

 新しい動作は教師の示範によることもあり、児童の演技を発展させることもある。歌や曲など題材はすべて児童に親しいものの中から選び、伴奏はピアノや打楽器によるがよい。その際リズムは明確に与えるよう注意する。一時限をリズム遊びのみに終始することは望ましくない。

 中学年に進んでもやはり模倣・物語り遊びと結合して行わせるがよい。しかし低学年よりは、児童のくふうし創造する活動を重んじて指導し、実際の経験や観察を生かして正しい表現に導くことがたいせつである。また肉体的にお互が協力して活動する機会を与えるようにする。

 高学年では、さらに個性的表現を重んずる活動を指導する。このため必要に応じて基本的な運動を練習させたり、経験や観察による題材の特徴を、個人的にあるいは団体的に表現させるなど、身体の発達や表現力の発展に役たつような機会を豊富に与えるよう指導する。既成作品による練習では、技法の練習や動きの流れを理解させるようにする。民踊は我国の民踊のほか、外国のものからも取材して団体活動の楽しみや、よろこびを味わわせる。とくにこの時期から児童にお互いの表現を鑑賞させて、鑑賞力を養うことにも留意する。

三、ボール遊び・ボール運動

 種々なボールによる活動で、大筋を発達させ、調整力、正確度、判断力を練り、内臓の機能を高めるとともに社会的性格の育成をはかる。

 低学年では、小筋の発達が未熟で目と手の協応も不十分であるから、簡易な運動を選び、秩序ある活動・学習を指導し,とくに社会性の発達に留意する。

 五・六学年になると相当複雑なものが可能となり、協力の態度や責任ある行動の能力が発達するから、それを助長して秩序ある行動を学習させいろいろな型のボール運動を経験させる。

 発達にしたがって班別指導をくふうし、設備・用具・機会均等を考えて種目を選ぶ。

四、鬼 遊 び

 鬼ごっこやじゃんけん遊びなどの簡易で愉快な活動で運動の効果をあげる。なるべく運動量の大きいものを選び,短い時間で適宜活動させ、指導者のない時の遊びも指導する。種類も多いし、また地方特有の遊びもあるので、学年に応じて漸次その程度を高めながら適当な遊びをくふうするがよい。

五、リレー・陸上運動

 かけっこ・リレーなどで、走・跳その他の基礎的身体能力を高め、内臓を強化し、最後まで敢行する態度を養い,協力することを学ばせる。

 数師はかけっこのように、個人的競走として行わせる時は、あらかじめ走力をはかって、同程度の能力の児童間で競走させ、リレーとして行わせる時は、組の力が平均するよう班別する。とくにすもう・跳躍では危険のないよう指導する。

 走る時間やとぶ距離をときどき計測し、また一定の目標を与えて学習させるとよい。リレーはいろいろな型のリレーを行わせるようにする。

六、器械遊び・器械運動

 マット・鉄棒・すべり台・ブランコなどの運動で身体の発達を助長し、器用さ・力・身体の安全に対する能力を高め、器具・器械の運動に対する興味を発達させる。

 教師は傷害防止のため、器具・器械の故障や置場に注意する。固定した運動の形式を強制しないで、児童の能力の範囲で行わせ、漸次運動の技術的要点の発見についても指導し、とくに器用さや力の乏しい児童の指導に努める。順番を待つこと、適当な間隔をおいて行動するよう施設を充実し、器具・器械を配置することもたいせつである。

七、徒手体操

 正しい姿勢を発達させ、身体の均せいな発達を促し、筋の柔軟性と関節の可動性を高めるとともに矯(きょうせい)正運動にも役だつようにする。

 準備運動、整理運動として役だつことも多く、設備や用具を要せずに狭い場所でも簡易に実施できるから,日常行うように指導するとともに、ふたり以上の人数で組んで行う組体操などもくふうして、興味をもって行えるようにするがよい。

八、水遊び・水泳

 全身を調和的に発達させ、内臓の機能を高め、皮膚をたんれんし、自己ならびに他人の安全に対する心得と技能を習得するとともに、水に対する興味を発達させる。

 設備や用具がなくても行うことができ、また年齢、性、体力に応じて簡易に実施できるが、危険を伴ないやすいから、危険防止にとくに注意を払わなければならない。

 教師は実施の前に身体検査を行い、耳疾、眼疾、心臓および呼吸器の疾患、じん臓病やてんかん・けいれんをおこしやすい生徒の参加を禁じ、空腹時食事の直後、はげしい発汗の後、疲労している時などには行わせないようにする。

 指導者のない場合の水遊びについても指導し、水泳場は水底に危険のない砂浜を選び、河口はさける。プールでは清潔について指導し公衆道徳についても教えることがたいせつである。

 泳力や体力に応ずる班別指導を行うことは必要で基礎技術の完全な習得に努め、初心者は水中遊戯などを活用して水に対する恐怖心を去るよう導かなければならない。

 準備運動を確実に実施することや、水にはいる前後に人員を点検すること、水中ではとくに指導者の命にしたがうことなど危険防止のうえから忘れてならないことである。

九、雪遊び・スキー遊び・スキー

 身体的発達と動作の熟練をはかり、耐寒力や持久力を高め、冬季戸外の運動に親しませ、生活上の必要に備える。

 教師は冬季戸外運動に対する興味を発達させ、雪中の安全について指導する。基礎技術の指導に留意し、用具の取扱について教えとくに冬季の衛生と関連して指導する。

第九節 第一・二学年の教材例
(○印は解説したものを示す。)
一、鬼 遊 び

  1.ひとり鬼

  2.子ふやし鬼

  3.手つなぎ鬼

  4.かげふみ鬼

  5.からかい鬼

○ 6.ねことねずみ

  7.子取り鬼

  8.目かくし鬼

  9.かくれんぼ

  10.しゃがみ鬼

○ 11.かごめ かごめ

○ 12.場所取り鬼

  13.じゃんけん人とり

○ 14.け ん 鬼

○ 15.ま ね 鬼

 

  ねことねずみ

○ 隊形 円形をつくって手をつなぐ。ねこ一名は円外に、ねずみ一名は円内に位置する。

○ 方法 合図とともにねこは円内に侵入してねずみを捕えようとし、ねずみは安全に逃げようとする。手をつないだ者はねずみの行動を容易にし、ねこの行動を妨げる。ねこがねずみを捕えた場合はねこはねずみとなり、ねずみは円内に加わり他の者が代わってねこになる。

○ 指導上の注意

1.ねこの行動を妨害するのはあまりがん強でなく、ねずみも逃げる余裕を与える程度でよい。

2.弱いねこはあまりいじめない方がよい。

 

  かごめ かごめ

○ 隊形 手をつないで円形をつくり、鬼は円の中心に目かくししてしゃがむ。

○ 方法 「かごめかごめ、かごの中の鳥は、いつ出てねむる。鬼さんのうしろはだあれ」と歌いながら円のまわりを回る。「鬼さんのうしろはだあれ」で鬼は自分のうしろの人の名まえをあてる。あたったら鬼と交代する。あたらないときは、あたるまでくり返す。

○ 指導上の注意

1.鬼があまり長くなったら適当に交代する。

2.声で判断させるよう大きい声で歌わせる。

3.リズム遊びと連関をもたせて行う。

 

  場所とり鬼

○ 隊形 図のように配置する。

(図イ)

(図ロ)

○ 方法

 イ、一列円陣をつくって内面向きとなり(図イ)、ひとりの鬼は、円外を歩きまたは走りながら、これと思う者の背をたたいてかけ出す。たゝかれた者はすばやく鬼と反対の方向に走り、鬼よりも早く自分の席に走りこむ。もし鬼の方に早く走りこまれたならば代わって鬼となる。

 ロ、一列六—七人の組を数組つくり、放射形に並び、(図ロ)地(床)上に腰をおろさせる。その中のひとりは鬼として列外に立つ。鬼は走りながら、列の最後の者の背をたゝくと、たゝかれた者は自組の全員に合図し、その組の全員は鬼と反対の方向に走り、もとの位置に鬼よりも早く帰ろうとする。鬼に場所をとられたものは代わって鬼となる。

○ 指導上の注意 1.あらかじめ、互いに左(右)側をすれちがうように定めておいて途中で衝突しないようにする。

2.ひとり鬼が何度も成功しない場合は適宜鬼と交代させて疲労をさけるように注意する。

3.背をたゝかれた者を鬼としてもよい。

 

  け ん 鬼

○ 隊形(図参照)

○ 方法 互に向き合った者どうしでじゃんけんを行い、勝った者は負けた者を追いかけて捕える。たゞし安全地帯に逃げこんだ者を捕えることはできない。全体を同時に行う時は代表者を出してじゃんけんを行う。

○ 指導上の注意

1.反応遊びの一種であるから、日月板を用いたり、ことばを用いて他の遊びにしてもよい。

2.捕える時は、シャツや着物をつかまないようにする。

3.とくに反応のおそい児童には、組み合わせを考慮して漸次敏速になるよう導く。

 

  ま ね 鬼

○ 隊形 リーダーのうしろに一列縦隊をつくる。

○ 方法 児童はリーダーのすることは何でもまねしなければならない。リーダーは、とび上がったり、高いところにある物にさわったり、うしろ向きに歩いたり、四つんばいになったり、床にすわったり、あるいは顔を洗ったり、物をたべたり、掘ったりなど、親しみのあるいろいろの動作を模倣する。そのまねに失敗した者は列の最後尾にまわる。

○ 指導上の注意

1.人数の多い場合はこれを数組に分けて各組対抗にしてもよい。

2.動作がとぎれないように手拍子などを加えて行うがよい。

 

二、リレー

  1.かけっこ

  2.まわりっこ

  3.ならび競争

  4.旗とり競争

○ 5.置換リレー

  6.受け渡しリレー

  7.折り返しリレー

○ 8.サークルリレー

  9.輪くぐりリレー

○ 10.川とび競争

○ 11.ハンカチ取り

  12.紅白たまならべ

○ 13.たま拾い競走

 

  置換リレー

○ 隊形 出発線に接した半円の後方に、各組一列あるいは二列の縦隊となる。

○ 方法 合図とともに各組の第一走者は出発線の羊円内の紅白球を一個ずつ運んで円内に置き、三個運び終ったら第二走者と交替する。第二走者は第一走者と反対に前方の円内の球を一個ずつ運んで出発線の半円にかえす。以上の動作を反覆して早く終了した組を勝とする。

○ 指導上の注意

1.正確に行わせる。

2.交替は手をふれて行うが、三個めの球を持ち帰った前走者との交替は球の手渡しでもよい。

3.球の運び方は自由で、いずれの円から入れ始めまたは取り始めてもよい。

4.体力、性を考えて、距離、円の数を適当に加減するが、各円間の距離をあまり遠くしたり、円の数をあまり多くする時は時間を多く要し興味がうすらぐ。

5.円のかわりに腰掛などを利用してもよい。

○ 用具 紅白球、またはこん棒

 

  サークルリレー

○ 隊 形(図Ⅰ、Ⅱ参照)

(図Ⅰ)

(図Ⅱ)

○ 方 法

 イ.合図とともに各組の第一走者が円周の外側を左回りに走り、小旗の位置で次の走者にバトンを渡して最後尾につく。このようにしてつぎつぎと走り、最後の走者は小旗を回って円の中央に進み腰掛の上にバトンを置く。指導者は円の中央に位置して順位を判定する。(図Ⅰ)

 ロ.イの方法とほゞ同様であるが、出発線で交替することとして円心に進み、腰掛の上にバトンを置く。(図Ⅱ)

○ 指導上の注意 1.受け渡しの方法は、はじめ手をふれ合って行ってもよいが学年の進むにつれてバトンを使用する。

2.漸次、バトンゾーンをつくるがよい。

○ 用具 バトン、小旗、腰掛け

 

  川とび競争

○ 隊形 自由または一列縦隊。


○ 方法 図のような川を、自由にまたは縦隊で上流から下流へ順次とびこす。最初はごく自然にとばせ、進んでくれば片足とび・両足とび・またぎとびなどの方法でとばせる。

○ 指導上の注意

1.直線の川でもよい。

2.ところどころに川幅をしるして自己の跳力を知らせる。

3.しだいに、助走とか、両足をそろえての着地を学ばせる。この際は砂場・マットなどをその部分に当てる。

4.最も広い川幅のところでも何人かはとべるような幅にするがよい。

 

  ハンカチ取り

○ 方法 体力に応じて適当な高さにつるしたハンカチを、児童がその場でとび上がってとる。または適当な高さにつるしたハンカチから十数メートル離れて一列縦隊に並んでいる児童が、順次に走ってきて、とんでハンカチに手をふれる。

○ 指導上の注意

1.走ってきてとんでふれる場合は、転倒を防ぐため、踏切と着地の要領を練習させてから実施するがよい。

2.身長または能力によって組を分け高さを変えることもよい。

○ 用具 ハンカチまたはボール。

 

  たま拾い競走

○ 隊形 いくつかの組に分け図のように内面を向いて配列する。

○ 方法 わく内に散在した紅白球を合図によって自由に拾い集め、一定時間に拾った球の合計の最も多い組を勝とする。

○ 指導上の注意

1.衝突しないように注意する。

2.一番先に手をふれた者の球とするよう約束をし約束はよく守らせる。

3.数は順次組ごとに数えるがよい。

○ 用具 紅白球。

 

三、リズム遊び

  1.お う ま

○ 2.結んで開いて

  3.すずめのおやど

  4.まゝごと

  5.ちょうちょう

○ 6.たこあげ

  7.はとぽっぽ

  8.でんでんむし

○ 9.電車ごっこ

  10.水 遊 び

  11.夕やけこやけ

  12.お 月 様

  13.くつがなる

  14.か ゝ し

○ 15.今日は、皆さん

  16.ぴょんぴょんとんで

  17.人 形

○ 18.スキップ遊び

 

  結んで開いて

○ 隊形 リーダーの前に半円をつくる。

○ 方法 みんなで歌いながら、歌詞のとおりに手を結んだり開いたり拍手したりして、最後にその手をリーダーの指示する場所に置く。

○ 指導上の注意

1.最初ゆっくりした速さで行い、しだいに速度を加えたり移動しながら行わせたりするがよい。

2.手を置く場所も、最初は顔とかひざとか、簡単な動きで置ける場所からしだいに足の裏だとか、運動量の大きな動きになるような場所に置くようにくふうする。またリーダーと反対の場所に置かせたり、遠く離れている物に置かせたりするのもおもしろい。

3.リーダーは、動作またはことばによって場所や物を指示するがよい。

4.いっせいに行わせるばかりでなく、十人組、二十人組などのグループで行わせることによって、児童にリーダーとなる機会を多く与えるようにする。

○ 用具 オルガンまたはピアノ。

          むすんでひらいて

 

  たこあげ

○ 隊形 自由

○ 方法

1.たこあげについて話し合いをさせる。

2.たこをあげる動作の模倣をさせる。

  たとえば (1)糸まき  軽く手を握り腕をからだの前にまげて、ぐるぐるとまわす。与えるリズムは、

(2)あげはじめ  右腕をまげて肩にあげ、右肩越しにうしろを見ながら小走りに風の方に走る。与えるリズムは、

(3)大きく小さく糸を引く  右足を大きくうしろにひいて右手を頭の上にあげ、たこの糸を大きく引く様子で、体をうしろに倒し、左手は斜め前にあげてバランスをとる。からだを起こす。与えるリズムは、

 右手を小さく軽く斜め上から体前に糸を引くようにまげる。与えるリズムは

(4)糸を下に大きくたぐる  右足を軽くうしろに引き、ひざを屈伸させながら両腕交互に斜め前上から右斜めうしろに糸を引く動作をする。

 与えるリズムは、

(5)たこに引っ張られる  右手を斜め前にあげ、左手をうしろに伸ばしてからだを前に倒し、たこに引っ張られる表情で右足でとんで右斜め前に出る。与えるリズムは、

(6)高くあがっているたこの糸を強くまく  ひざを屈伸させながら力を入れてゆっくりと糸まきの動作をする。上体も参加させて大きな運動にする。与えるリズムは、

 

 3.たこの動作の模倣をさせる。

  たとえば

(1)あげはじめのたこ  二呼間で両手を横に開き胸をはる。次の二呼間で手をおろしひざをまげからだを前屈する。または以上の動作をくり返しながら、胸をはった時は前進し、まげた時は後進する。与えるリズムは、

(2)糸を引かれた時のたこ  大きく糸を引かれた時は両手を横にあげ胸をはる動作を大きくする。与えるリズムは、

 また小さく糸を引かれた時は胸をはる動作を小さくする。与えるリズムは、

(3)風をはらんで動揺するたこ  両手を横にあげたままからだを左や右に傾けて肩をまわす。またはからだを横に傾けて小走りで横に進む。与えるリズムは、

(4)宙返りをして落ちるたこ  両腕を横から斜め上にあげ小走りでその場を回る。つぎに両腕を横からおろしつつ体を前にまげながら前に進み再び伸びあがって両腕を上にあげ、急に力を抜いて手をおろしからだを前にまげてしゃがむ。与えるリズムは、

○ 指導上の注意 1.なるべく児童の考えによるがよい。

2.二人組で、ひとりはたこ、ひとりはたこをあげる人になって自由に楽しく遊ばせるのもよい。また教師がたこをあげる人、児童全部がたこになってもよい。

3.二人組でする場合は、両者でよく関連するように指導する。

4.つぎに示すような曲を使用して一連のものとして行ってもよい。

○ 用具 太鼓、オルガンまたはピアノ。

          た こ あ げ

 

  電車ごっこ (既成作品の例)

○ 隊形 六人組一列で横に並ぶ。

○ 方法 一番

 「運転手はきみだ。」

 先頭の運転手は大きく二歩前に進んで左を向き(他の五人がいる方の側)一つうなずく。他の五人は拍手を二回してつぎに右手で運転手を指さす。

 「車掌はぼくだ。」

 運転手と同じ動作を左後尾の車掌がする。他の五人も同じ動作をくり返す。

 (この場合は車掌を指さす。)

 「あとの四人が電車のお客。」

 運転手と車掌は向き合ったまゝ八つ拍手をする。残りの四人は手をつないで軽く足ぶみを八つする。

 「お乗りはお早く、動きます。」

 運転手と車掌は一小節一拍の拍手をする。お客は拍手に合わせて右から順々にひとりずつ大きく踏みこんで運転手と車掌の間にはいる。

     二番  「運転手はじょうず。」から「次はぼくらの」まで、運転手を先頭にして一列縦隊に並び、スキップで好む方向にとんで行く。

 「学校前だ。」

 足ぶみ四つして止まる。

 「お降りはお早く、動きます。」

 運転手と車掌は向き合って、一小節一つの拍手をする、お客は相手に合わせて順々に一人ずつ前に大きくふみ出て降りる。

○ 指導上の注意 1.運転手・車掌・お客は、ときどき交替して行わせる。

2.既成作品にとらわれず、自由に電車ごっこを模倣遊びの取り扱いをあわせてリズム的に行うがよい。(汽車ぽっぽ参照)

○ 用具 ピアノまたはオルガン。

          でんしゃごっこ

 

  今日は、皆さん(アメリカのリズム遊び)

○ 隊形 二重円、女児は外側、男児は内側に向い合って位置する。

○ 方法

1.一──二小節、女児は両手でスカートのすそをもち、片足をうしろに引いて自分の相手の男児を見ながらあいさつする。

2.三──四小節、男児は立ったまゝで軽く会釈する。

3.五──八小節、男児と女児はスキップしながら近よって、進む方向(女児から見て右側)を向きつつお互の内側の腕を組む。

4.くり返し一──八小節、各組腕を組んまゝ円形にそってスキップで進む。

○ 指導上の注意

1.男児と女児が腕を組み進む方向を向く間が少し長いが、早く組んだ組はその場でスキップを続ける。

2.一回終ったならばパートナーを変えて行わせる。

○ 用具 ピアノ、またはオルガン。

          今日は、皆さん

        (How do you do my Partner)

 

  スキップ遊び

○ 隊形 自由。

○ 方法 右足を前に出してとぶと同時に、左ひざをまげて前にあげる。以上の動作を一呼間で行い、つぎに左足で同様に行う。これを連続する。与えるリズムは、

○ 指導上の注意

1.単にスキップを行わせるのでなく、次のようないろいろな子どもの遊びや動物などの模倣と結合して行わせるがよい。

(1)スキップの鬼ごっこ

 ○ 隊形 自由

 ○ 方法 スキップで手つなぎ鬼やひとり鬼をする。

(2)汽車ごっこ

 ○ 隊形 八──十人一組 各組 一列縦隊。

 ○ 方法 各組は腕をまわしながらスキップでとび歩く。(両腕は車輪をかたどって体側にとる。)ときどきトンネルをくゞる。トンネルはふたり向き合って連手し高く上げる。その下をスキップでくゞる。トンネルは一組でなく連続して長くつくらせたり、といたりする。

(3)おうまのり

 ○ 隊形 自由

 ○ 方法 両腕を軽く前に上げ、前後にたずなを引くようにまげ伸ばしながらスキップでとび歩く。

(4)運動場めぐり

 ○ 隊形 二列縦隊。

 ○ 方法 スキップで運動場の障害物をまわったり、くゞったりしてとんで歩く。

2.できるだけ大きなスキップで行わせる。

3.伴奏は太鼓またはピアノを用いるがよい。掲げてある曲は上に示した例のどの遊びに使用してもよい。

○ 用具 オルガン、ピアノまたは太鼓。

      ス キ ッ プ 遊び

 

 四、模倣・物語り遊び

  1.あ ひ る

  2.ぞ   う

  3.小 う ま

  4.う さ ぎ

  5.野   球

○ 6.汽車ぽっぽ

  7.せんどうさん

  8.交通巡査

○ 9.お家つくり

  10.大そうじ

  11.もちつき

  12.お店ごっこ

○ 13.金 太 郎

  14.うさぎとかめ

  15.ゆめのくに

  16.雪こんこ

 

  汽車ぽっぽ

○ 隊形 ひとりずつの自由、または間隔五メートルの一列縦隊、あるいは数人が肩または腰に手をかけたり、ひもの中にはいったりする一列縦隊。

○ 方法 旅や、未知の世界へのあこがれをのせて汽車は走る。その子どもたちの夢を汽車の動きにたくして表現させる。

1.手をまげて前に出したりひっこめたりする。シュッポッシュッポウとリズムにあわせて走る。

2.ゴットンゴットンとからだをゆすって走る。

3.駅に到着する。物売りが来る。そのまねをする。

4.トンネルをくぐる。(ふたりが組んでトンネルをつくる。)

5.鉄橋をわたる(平均台通過)

 など種々の変化が生まれてこよう。

○ 指導上の注意

1.児童たちの世界は想像の世界であるから、できるだけ楽しく連想して行うように導く。

2.あまり広い場所を利用しない。

3.トンネルや機関車やお客様などをつくる場合、適宜交替させる。

○ 用具 オルガン、平均台、細ひもなど。

 

  お家つくり

○ 隊形 自由。

○ 方法 家が完成するまでのいろいろの動作をまねて運動を行う。次のような動作が生まれることが考えられる。

1.地ならし(土を掘るまね、もっこで運ぶまね)

2.木材の運搬(木をつむまね、トラックで運ぶまね)

3.木材を切る、削る、のみとつちを使う。くぎを打つ。(大工さんのまね)

4.壁をぬる。(壁土をぽいとほうり上げるまね、板で受けるまね、こてをつかってじょうずにぬるまね)

○ 指導上の注意 1.動作はのびのびと大きく行う。

2.トンチンカンとかヨイショとかホーラドッコイショなどかけ声をリズム的に利用する。

 

  金 太  郎

○ 隊形 自由。

○ 方法 児童たちに親しみ深い金太郎の物語りを一連の動作によって表現しつつ、いろいろの運動を行う。考えられるものに、

1.まさかりかついで山登り。

2.「おうい」と動物を呼ぶ。

3.動物が集まってくる。(動物のまね)

4.すもうをする。(行司の役もいる)

5.おうまのけいこ。(各自がたずなをもった気持でぴょんぴょんとぶ)

6.日がくれて山を下る。

などの動作がある。

○ 指導上の注意

1.金太郎はじめ動物をみんなでやってもよいし、配役をきめてやってもおもしろい。

2.物語り通りに運ばなくても、児童たちの創意によって変えてよい。

3.女児の取り扱いに注意する。

 

 五、器械遊び

  1.棒登り

○ 2.鉄棒遊び

  3.ジャングルジム

  4.はしご登り

  5.一 本 橋

  6.とび箱遊び

  7.ころころまわり

○ 8.野越え山越え

 

  鉄棒遊び

○ 隊形 自由。

○ 方法 鉄棒を利用していろいろな運動をして遊ぶ。

1.懸垂して振る。

2.振ってうしろへおりる。

3.とび上がる。

4.よじのぼる。

5.前へまわっておりる。

6.両手の間から両足を入れてうしろへまわっておりる。

7.片足をかけて上ったり回ったりする。

○ 指導上の注意 1.鉄棒を握るためにおや指をしいて下に回さなくともよい。

2.危険防止に努めるため、砂場を利用する時はよく整地しまた一らんで多人数行ったり、やっている者に近よったりしないようにする。

○ 用具 低鉄棒。

 

  野越え山越え

○ 隊形 一列の縦隊(前後の距離は約五メートル)

○ 方法 山や野原を利用できるところでは、かけっこ形式の運動として、断郊競走のように原野をしぜんに走ったりとんだりするが、都会ではそれが困難であるから、いろいろの器械を利用して行う。所定の位置におかれた器具を先頭に続いて走りながら、児童は山を連想し川を考えるであろう。とび箱を越したり、鉄棒を回ったり、転回したり、ひも(あるいは線)でしるされた川をとびこしたり、平均台の橋をわたったりして目的地に達する。

○ 指導上の注意

1.児童が突破し得る障害物を置く。

2.全走距離は一○○メートル前後とする。

3.障害の突破の方法は自由である。

4.とくに運動能力の低い子どもには補助者をつけて助けさせ、協同動作をするとか、別のものを行うようにする。

5.終点に来ると教師は「さあ、とうとう○○へ来ましたね」などのねぎらいのことばを与えて喜びの感情をよびおこすと効果的である。

○ 用具 とび箱、マット、平均台、鉄棒、腰掛、ひも、その他利用できる障害物。

 

 六、ボール遊び

  1.紅白球入れ

○ 2.追いかけ球入れ

  3.球ころがし

  4.球 け り

  5.球 あ て

○ 6.手渡し球送り

  7.投げ渡し球送り

  8.ボール投げ

○ 9.球 受 け

○ 10.自由ドッジボール

  11.ころがしドッジボール

○ 12.ティーチャーボール

 

  追いかけ球入れ

○ 隊形 一列横隊になった紅白チームが二十メートルの距離であい対する。

かごを背負った子どもが中央に立ち紅白球をばらまく。

○ 方法 「始め」の合図で紅白各チームは走り出してばらまかれた球を拾い相手方のかごを背負った子どもを追いかけ背中のかごに球を入れる。一定時間の後多く球を入れた方が勝である。

○ 指導上の注意

1.競技の範囲を定め縦横四十メートルくらいとする。

2.かごの背負い手が過労にならないように交替させる。

3.ゲームは二分くらいが適当である。

4.かごやその背負い手にふれてはならない。

○ 用具 紅白球、かご、ひも、赤白のたすきまたは帽子。

 

  手渡し球送り

○ 隊形 いくつかの組に分け適当な距離で一列縦隊をつくる。先頭と後尾の位置を定めておく。

○ 方法 両手を高くあげて先頭から順次ボールをうしろへ手渡しする。最後の者までゆきつくとボールを持って走り先頭の位置に立って同様の動作をくり返し、最後の者がボールをもって走り、先頭の位置に立った時の、早さによって勝敗を決める。またまたの下から渡したりまたの下と頭上を交互に行ったりしてもよい。

○ 指導上の注意

1.横隊になって横渡しをしたり、円形になって鬼が出てボールを落したりする方法などもあわせて指導する。

2.運動量が比較的少ないから冬季には適しない。

3.からだの前後屈、側転などの徒手体操と連関して指導する。

○ 用具 ドッジボール、その他のボール。

 

  球 受 け

○ 隊形 二列になって約三 ── 一○メートルの距離で向き合う。

○ 方法 ドッジボールあるいは紅白球などを利用して互にボールを投げあって受ける。この場合投げることもたいせつであるが、受けることに中心を置いて指導する。

○ 指導上の注意

1.ボールの来る方向に早く移動する。

2.手はボールの方向に向けてボールが手にふれると同時にからだにひきつけるようにして受けとめる。

3.投げる時に指先だけに力を入れず、全身をつかってとくに肩から投げるようにする。

4.上手投げ・下手投げ・横投げなどの正しい形も漸次指導し投げたり受けたりする動作に悪いくせのつかないようにする。

○ 用具 ドッジボール、ワンアウトボール、紅白球など。

 

  自由ドッジボール

○ 隊形 (図参照)

○ 方法 一定の区域内で紅白両組が互にボールを投げあって、あてられた者は帽子またはたすきを取って区域外に出る。一定時間の後多く残った方が勝である。

○ 指導上の注意

1.紅白チームに分けないで全員が自由に投げあって、あてられた者は区域外に出て、最後まで残った者の勝にしてもよい。

2.区域は縦横、二十メートル以内がよい。

3.逃げる時、衝突しないようにする。

4.ボールを受けとめることは、この時期では奨励しない方がよい。

○ 用具 ドッジボール。

 

  ティーチャーボール

○ 隊形 半円形。

○ 方法 ひとりを除いてすべての競技者は半円形をつくり、除かれたひとりがティーチャーとなり、半円から約三メートル程度離れた中心にみんなの方を向いて立つ、そして右側の方から順番にボールを両手で投げ渡し、競技者はそのつどボールを受けティーチヤーに同じ要領で返す。よい球を受け損じた者は列の最左端に移される。「ティーチャー」が失敗した場合にも最左端に下げられ、最右端がティーチャーとなる。

 半円形のかわりに円形として、ティーチャーは中心にいて順番にボールを投げ、受け損じた者は腰をおろし最後まで残った者を勝としてもよい。この場合ティーチャーが失敗すればその時ボールを投げた者がティーチャーになる。

○ 指導上の注意

1.ボールの投げ方、捕らえ方の基礎的技術を練習する。(球受け参照)

2.ボールの投げ方は、両手投げから片手投げへと指導し、またティーチャーと競技者の距離は漸次遠くする。

3.順番を正しく待ち、他人の失敗を笑ったりしない。

○ 用具 バレーボール、サッカーボール、ドッジボール。

 

 七、水 遊 び

  1.水かけごっこ

○ 2.波 よ け

  3.水中あるき

○ 4.伏面競争

  5.石ひろい

  6.もぐりっこ

  7.浮きっこ

  8.かけっこ

  9.並びっこ

  10.鬼ごっこ

 

  波 よ け

○ 隊形 手をつないで一列横隊になる。または三メートル間隔の一列横隊にしてもよい。ただし長さは管理しやすい範囲に止める。

○ 方法 海岸の波うちぎわに並んだ児童たちが、波を追いかけ、またよせてくる波に、指導者の合図でいっせいに逃げる。砂浜に逃げきらないうちに波にぬらされたり、ころんだりすると失敗である。

○ 指導上の注意

1.二組以上の組をつくって、何人失敗するか競争するとおもしろい。

2.自由にひとりすつが波をよけて逃げて遊んでもよい。

3.砂地、あるいは水中で倒れても危険のない海岸を利用する。

○ 用具 笛。

 

  伏面競争

○ 方法

1.洗面器などを用いて目をあけたまゝ水に顔をつける練習をする。

2.海、プールなどで水に顔をつける練習をする。海岸の浅瀬などでは底に手をつき、プールではプールのふちに一列に並び、ふちにつかまって練習する。

3.だれが長く水に顔をつけていられるか競争する。

4.やゝ水に馴れはじめた者は、ふたりで互に手をとりあって水中に沈み、どちらが長くいられるかを競争する。

○ 指導上の注意 1.水に顔をつけている間は、常に目をあいているよう指導する。

2.水から顔をあげた際には、決して手で顔をぬぐわないよう注意する。

3.水に顔をつけているときは、口や鼻からぶくぶく息を出す練習をあわせ行うのがよい。

○ 用具 洗面器。

 

  浮きっこ

○ 方法

1.静かに水中に沈んでからだをまるめ、ひざを抱くようにすると、ひとりでに浮いてくる。このようにしてなかなか沈みにくいことをわからせる。

2.海岸の浅瀬やプールの端につかまり、からだを伸ばし力を抜いてからだを水にまかせて浮く練習をさせる。

3.浮くことができるようになったら、顔をつけたまゝ手足を伸ばして水面に浮き、だれが長く浮いていられるかを競争する。

○ 指導上の注意 1.二人組にしてひとりは相手の両手を持ち、浮く動作をする者は手の力を抜いてひとりでに浮けるように導いてゆく。

2.プールのふち、浅瀬の底などをけってからだを伸ばしたまゝ水面に伏すことによって浮く要領を会得させてもよい。

3.浮くことを会得しにくい児童にはとくに注意をはらい、いろいろな水遊びをしているうちにしぜんに水になれ水泳に対する興味を感じてきた機会をとらえて指導することがたいせつである。

 

 八、雪遊び

○ 1.造形ごっこ

  2.雪 ふ み

○ 3.ラッセル車遊び

  4.鬼 遊 び

  5.雪玉投げ

  6.竹すべり

  7.たちそり

  8.腰掛けそり

  9.げたスケート

○ 10.スキー遊び

 

  造形ごっこ

○ 方法 雪だるま、お家、うさぎ、友だちの顔など、個人または組ごとにつくる。

○ 指導上の注意

1.競争的につくらせるがよい。

2.教師も加わって学級全員で仲よく一つの作品をくふうし完成するのもおもしろい。

3.とくにしもやけ・ひびの防止に意しつゝ冬季衛生と関連して指導する。

 

  ラッセル車遊び

○ 方法 幾組かをつくって、各組がラッセル車となる。先頭の者がリードし、他の者は前の者の肩に手をかけて、シュッ シュッ シュッといいつゝ、先頭に調子を合わせて雪をけたてながら小きざみに走り、雪野原にたくさんの新しい線路をつくる。

○ 指導上の注意

1.できるだけじょうずな線路をつくるように競争させるがよい。

2.ふみかためた線路を利用して鬼遊びをするのもおもしろい。

 

  スキー遊び

○ 方法 竹スキーまたは短いスキーですべる。

○ 指導上の注意

1.競争をさけ、だれがどこまですべれるかを中心として指導する。

2.平地またはごくゆるい安全な斜面を利用すること。用具の点検を十分にすることなどに注意する。

3.個別的観察に力を注ぎ、終始全習法を行うがよい。

 

 

第十節 第三・四学年の教材例

 

 一、鬼 遊 び

  1.手つなぎ鬼

○ 2.場所かえ鬼

○ 3.見張り鬼

  4.子とり鬼

○ 5.ともえ鬼

  6.日月遊び

  7.横ぎり鬼

○ 8.リレー鬼

  9.陣 と り

  10.ひょうたん鬼

  11.ハンカチ落し

  12.名ざし鬼

○ 13.手つき鬼

  14.ボール鬼

○ 15.迷い鬼

 

  場所かえ鬼

○ 隊形 両手をつないで円形をつくり、各自の場所に小円を描く(腰掛、または枝切れを利用してよい。)小円や板切れの数は全員数よりも一つだけ少なくする。鬼をひとりきめ円形内に入れる。

○ 方法 小円内のものは互に合図をしながら、鬼に気づかれないようにして場所を自由に交換する。鬼は気がつかぬふりをしていて、すきをねらってあいた小円をとる。小円をとられて場所のなくなった者が代わって鬼になる。

○ 指導上の注意

 児童の中には見て楽しむだけで自主的に場所を交換しない者があったりいつまでも同じ鬼が場所をとることができないでいることがあったりするかもしれないから、ときどき教師の合図により全員同時に場所をかえさせる。

○ 用具 チョーク、または腰掛あるいは板切れ。

 

  見張り鬼

○ 隊形 二列縦隊をつくらせ、ひとりの鬼を前方二・三メートルの地点に立たせる。

○ 方法 準備ができると鬼は「さあ出てこい。(または出ていらっしゃい。)」と合図する。すると最後端のものが図のように左右に分かれて前方に進み,鬼につかまらない前に手をつなぐ。無事に手がつなげたら組の先頭につく。その隊列中の者は一組分だけ後退する。もし左右いずれかの者がつかまったならば、つかまった者が鬼となり、前の鬼とつかまらなかった者が一組となって先頭につく。鬼はうしろをふり返ったり、逃げ手が自分の側方または前に出てくるまではつかまえてはいけない。

○ 指導上の注意

 鬼のすぐ前で手をつながなければならないことはない。場所が許すならば、逃げる者は列の外側を遠まわりして出てくるようにしてもよい。

 

  ともえ鬼

○ 隊形 児童を赤・青・白に組み分けし、図のように用意されたそれぞれの円内に内側を向いて入れる。

○ 方法 一種の反応遊びで、教師の一定の合図であらかじめきめた移り方ができない者、または判断を誤った者をつかまえる遊びである。まず教師はあらかじめ合図と動作との関係、たとえば、

(1)右といえば右の円に移り、左といえば左の円にうつる。

(2)茶わんといえば左の円にうつり、はしといえば右の円にうつる。

というように定めておく。

 教師の「右」の合図で赤は白、白は青,青は赤の円に走りこむ。円内にはいりこまぬうちにつかまったものは、定められた場所で待たされる。一定の時間の後に円に残った者の多い組を勝とする。

○ 指導上の注意

1.うし・うま・いぬ・ねこなどで動作の方向を示すことから、「左右」と「牛馬」「犬猫」などの動物名称を交互に使って反応させたり、奇数と偶数などによって反応させるように指導するがよい。

2.合図までの待機についても、たとえば円の周囲を歌を歌って歩かせながら合図するなどのくふうをする。

 

  リレー鬼

○ 隊形 自由。

○ 方法 一名が鬼になり、一名がバトン(またはボール・たすきなど)をもち合図とともに鬼はバトンをもっている者を追いかける。バトンをもつ者は鬼の追跡をさけながら他の者にバトンを渡す。バトンを渡す前に捕えられれば鬼となり、バトンを相手に渡す。

○ 指導上の注意

1.バトンを渡された際にはこれをこばむことができない。

2.捕らえられて鬼となった場合はバトンを渡してから三秒以上たたなければ追跡できない。この場合の追跡は指導者の笛の合図で始めさせるがよい。

○ 用具 バトン、またはボール、あるいはたすき。

 

  手つき鬼

○ 隊形(図参照)

○ 方法 オルガンがなり始めると各グループごとに鬼以外の者はオルガンに合わせてスキップやギャロップで回る。オルガンが止ると鬼はだれかをつかまえる。みんなはいっせいに床に手をつける。つける前に鬼につかまった者が代わって鬼になる。

○ 指導上の注意

1.リズム遊びとして行ってもよい。

2.雨天など室内や廊下で行うのに好適である。

○ 用具 オルガン。

 

  迷い鬼

○ 隊形 二名を除き、二列または四列の縦隊をつくる。一名は鬼、他の一名は逃げる人である。

○ 方法 列中の者は横に手をつなぐ。逃げる者は手をつないでできた東西の線をぬって逃げ、それを鬼はつかまえようとして追う。突然、指導者は「右向け」または「左向け」の号令を、適当な時機をみてかける。すると列中の者は手を離し、号令にしたがって向きを変えてまた手をつなぐと今度は新しい南北の走路を逃げ、鬼はそれを追うのである。逃げる者が鬼につかまったら、鬼も逃げる者も列中の者と交替する。

○ 指導上の注意

 1.合図は笛を用いてもよい。

 2.合図は機をみて適切にかけるようにする。

 3.鬼は手の下をくゞったり列中の者にふれたりしてはいけない。

 

 二、リ レ ー

○ 1.回旋リレー

  2.障害リレー

  3.なわとびリレー

  4.ボール渡しリレー

○ 5.ボール投げ越しリレー

  6.うさぎとびリレー

  7.だるま運びリレー

○ 8.救助リレー

○ 9.馬とび遊び

  10.幅とび競争

  11.高とび競争

○ 12.押し出し遊び

  13.突き出し遊び

  14.二人三脚

 

  回旋リレー

○ 隊形(図参照)

Ⅰ図

Ⅱ図

○ 方法

1.出発線の前方二○メートル—三○メートルの地点に立てた小旗を走って回って来る。(Ⅰ図)

2.小旗を出発線と折返線との間に等距離に数本並べてそれを蛇(だ)行して走る。(Ⅱ図)

○ 指導上の注意 1.受け渡しを正確にするために出発線にも小旗を立て、左側でバトンを受けとり右側から出発させるか、各組の後方に小旗次を立てそれを回って出発線の走者に渡すようにした方がよい。

2.小旗にふれないようにする。

3.小旗の代わりに腰掛を用いてよい。

4.順位の決定を容易にするために、先頭はたすきまたははちまきをするがよい。終った組はいっせいに挙手させたり、うずくまらせたりするのもよい方法である。

○ 用具 小旗または腰掛、バトン、たすき。

 

  ボール投げ越しリレー

○ 隊形(図参照)

○ 方法 ボールをもって走り、行き帰りに出発線と折返線との中間に適当の高さに張られた綱の上からボールを投げ越して地上に落さずに受け取り、リレーをする、投げたボールを受けとめることができなかった場合には、成功するまで何回でもやり直す。

○ 指導上の注意

1.綱の高さは能力に応じて定める。

2.失敗を三回連続したら通ってもよいことにするなど適宜規則を変えてやってもよい。

3.旗の回り方、受渡し方は回旋リレーと同様にする。

○ 用具 小旗、ボール(バレーボール、ハンドボール、ドッジボールなどでもよい。)綱、支柱、たすき。

 

  救助リレー

○ 隊形(図参照)

○ 方法 出発合図で主将は自己のチームに向かって走っていき、自己のチームの第一番めの手をひいて、自分のもとの場所へ走って帰る。そこで主将はその位置に止り、今手をひかれてきた者がもどって第三番めの者と手をつないで走ってきて主将のうしろにすわる。このようにして主将のうしろにみんなが最も早くつれてこられて新しい線をつくるまでゲームは続けられる。最初に全員を救助したチーム、すなわち最も早く新しい線をつくったチームが勝つ。

○ 指導上の注意

1.次に走る順番にある者は、救助者が伸ばしている手を握りにくるまでは、自分の位置に止っていなければならない。

2.新しくつくられる線はまっすぐであるようにさせる。

 

  馬とび遊び

○ 隊形 児童を数組に分けて、各人の距離を一・五メートルぐらいずつとって一列の縦隊をつくる。

○ 方法

1.「用意」で各列の児童は足を横に開き、上体を前にまげ、両方の手をひざにあて、または足首を握って馬をつくる。各組の最後にいる者は出発の用意をする。

2.「始め」の合図で、最後の者は、前方にならんでいる者の背に両手をつき両足を開いてとび越し、全員をとび越したらその前方一・五メートルくらいのところに馬をつくる。

3.最後のものは、全員をとび越し終ったとき片手を高くあげる。次の者はこの手を合図に同じように動作して順を送る。全員が早く終わった組を勝とする。

○ 指導上の注意 1.一組の人数があまり多いと運動が激しくなるから、十名くらいが適当である。

2.馬になっている者には十分頭を下げさせる。

3.とぶ者がとび越すときに、馬になっている者を押さないように指導する。

4.最初の者が前の者をとび越したら、その者はすぐ馬をやめて連続的にとんで行く方法でもよい。

 

  押し出し遊び

○ 隊形 二—三メートル幅の平行線を引き、その中に紅白二組の児童がはいり、互にひとり対ひとりで向かい合う。

○ 方法 相手を線の外に押し出す。一定時間内に押し出した数の多い組を勝とする。紅白の区別なしに円の中に全員あるいは適当な人数を入れ、全然手を用いないでからだで他の者を円外に押し出す方法もある。

○ 指導上の注意

1.着物や帯などはつかませない。

2.投げたり、足をからんだりするなどの危険な動作は禁ずるがよい。

3.はじめの方法を直径二・五メートルくらいの円の中で行ってもよい。

4.ときどき相手をかえて行うがよい。

5.この運動は女児には不適当である。

 

 三、ボール遊び

  1.球ころがし競争

  2.送球競争

  3.順送球

  4.円形ドッジボール

○ 5.方形ドッジボール

  6.キヤッチボール

○ 7.フットベースボール

  8.ハンドベースボール

○ 9.ロングベースボール

  10.対列フットボール

○ 11.コーナーボール

○ 12.フィールドボール

 

  方形ドッジボール

○ 配置(図参照)

○ 方法 図のように分かれた紅白両チームがセンタージャンプによって競技を開始し、内外野から相手方の内野手にボールを投げあて、一定時間の後内野に残った人数の多少によって勝敗をきめる。

○ 指導上の注意

1.内野の者が直接ボールにふれた場合はアウトになり、味方外野の位置につく。

2.最初に外野に出る者(三名)は適当な時期に内野にもどることができる。

3.外野で相手側にボールをあてた者は、内野に帰り得ることにしてもよい。

4.ボールをさけるために相手側の外野または内野に出た者はアウトになる。

5.内野からパスした場合、外野線を外野手の手にふれることなく出た場合は、パスボールとして相手側にボールを渡す。

6.ボールを二個使用するとおもしろい。

7.強い者だけがボールを取らないよう、みんなが積極的にゲームに参加するよう指導する。

8.ボールを受ける場合、直接胸にあてないようにする。

9.ボールは全身をつかって正しく投げる。

○ 用具 ドッジボール。

 

  フットベースボール

○ 配置(図参照)

○ 方法 攻撃側は、所定の位置にあるボールをけり第一塁から二・三塁を踏んで、アウトになることなく本塁に走りもどる。守備側は、図のように配置して、ける者および走者をアウトにすることに努め、三人アウトにすれば交替する。数回の後本塁を踏んだ者の多い方が勝である。規則はだいたい野球を準用すればよいが、異なる点は次のとおりである。

1.けったボールが通過線(図参照)内を出るまで、けった者は通過線を出てはならない。

2.ファウルを三回するとアウトにする。

3.走者が、各塁に達する前にボールにあてられたら、アウトである。

4.塁にいる走者は、次の者がボールをけるまで塁を離れてはいけない。

5.ボールが本塁にもどされたら、塁間にある走者はもとの塁にもどらなければいけない。

6.守備側は本塁を守る者のほか、通過線内にはいってはいけない。

○ 指導上の注意 1.足のつめをよくきらせておく。

2.審判はなるべく児童が交互に行うよう指導する。

3.守備と攻撃の交替動作を敏速に行う。

○ 用具 フットボール、ベース。

 

  ロングベースボール

○ 配置(図参照)

○ 方法 攻撃側は、ホームベース上に置かれたボールをけるか、またはホームベース上でボールを打つ。野球と同じように、打者のけりまたは打ったボールがフライで地上に落ちる前に、守備側の野手に捕らえられればアウトであり、ゴロであれば走者がロングべースにつく前に、守備側によってロングべースにボールをつけられればアウトである。ロングべースには、セーフになった者が何名はいっていてもよい。しかしホームべースに帰る順は,ロングべースにセーフになってはいった順にしたがって帰らなければならない。ホームべースに帰れば一点となり、同じ回数攻撃して得点の多い方を勝とする。

○ 指導上の注意

1.技りょうが進むにしたがって、投手・捕手を設けて、投手の投げたボールを打つ方法をとるのもよい。ただし投手の投球については、ストライク・ボールを数えない。

2.ロングべースにいる者は、次の者がボールをけるまで塁を離れることはできない。

3.ファウルを三回した者はアウトである。

4.アウト三回で守備と攻撃は交替する。

5.投球動作・捕球動作などの基礎的技術を指導する。

○ 用具 バレーボール、フットボール、ソフトボール、バット、べースなど。

 

  コーナーボール

○ 配置(図参照)

○ 方法 紅白二組が、図に示すような運動場で、中央でセンタージャンプされたボールを、中央線の手前から相手側の頭上を越えて味方のすみにいる捕球者に投げ渡す遊戯である。片すみの捕球者がボールを捕らえれば一点、その捕球者がさらにパスしてもうひとりの捕球者が続けて捕らえれば二点になる。

○ 指導上の注意

1.ボールが場外に出た場合は、その場所から反対側の者が投入する。

2.守備者・攻撃者とも限られた地域外に出ることは許されない。

3.コートの大きさは学年の程度により変化をつければよい。

4.捕球者の側にいる味方は、いったんボールを向側の味方に渡さなければならない。直接同一側の味方に投げ渡しても得点にはならない。

5.競技者はボールを持って一歩以上歩いてはいけない。

6.ボールを三秒以上持ってはいけない。

7.その他規則を適宜定める。

○ 用具 バレーボール、フットボール、バスケットボールなど。

 

  フィールドボール(簡易ハンドボール)

○ 配置(図参照)

○ 方法 紅白二組の競技者が、運動場の中央で打たれたボールをとり、送球して相手側のゴール内に入れあう競技である。ボールは、投げたり、手渡したり、ドリブルしたりして相手方地域に運ぶ。ゴールに投げ入れる場合にはゴール地域内にはいってはならない。両足ともにはいった場合は得点にならない。一定時間内にゴールに投入した数の多い方が勝である。

 ゴール内に投入されたたびに、中央内で競技開始の時と同じ要領でボールを打って試合を再開する。

○ 指導上の注意

1.ボールがサイドラインから出た場合には、そこから相手側の者が投入する。

2.もしボールがエンドラインから出た場合には、攻撃側が出したら防ぎょ側の者がゴール地域内から、守備側が出したら攻撃側の者がすみからボールを投げる。たゞし、すみからそのまゝゴールに投入しても得点にならない。

3.ボールを持って一歩以上歩き、または走ってはいけない。その場合とけった場合は、相手側の球となり、その場所からフリースローが与えられる。

4.規則は性、年齢、人数などに応じて適宜定める。

5.ボールの投げ方、受け方の基礎技術をあわせて指導する。

○ 用具 フットボール、バレーボール、トッジボールなど。

 

 四、リズム遊び

  1.春が来た

○ 2.まりつき

○ 3.野ぎく

  4.はねつき

  5.なわとび

  6.たなばた様

  7.おせんたく

○ 8.みんなで楽しく

○ 9.マウンテンマーチ

○ 10.らかんさん遊び

  11.たんすながもち

  12.通りゃんせ

  13.ギャロップ遊び

  14.木の葉

 

  まりつき(創作の例)

○ 隊形 自由。

○ 方法

1.教師がまりをつく人、児童がまりになる。教師は片腕を上下に動かしてまりをつく動作をする。児童はつく人の手をよく見ながらその動きに合わせて動く。

2.二人組になって、まりをつく人とまりになり、いろいろなつき方とそれに応ずる動き方をくふうする。

3.三人組でひとりがまりになり,他のふたりがひとりのまりをつきくらする。

4.ひとりまたはふたり以上が組になり,幾つかのつき方を組み合わせて、一つのまとまりを持ったものをつくりあげる。

○ 指導上の注意 1.ちがった動作を連続させる時、とくにその移る場合の動作がリズミカルになるよう注意する。

2.一つあるいは二つのつき方だけをとらえて、いろいろに変化をさせることも考えてよい。

3.最初から適当なリズムを与え、その中でリズムにのるつき方を考えさせてもよい。

4.示してある曲は、まりつきに適当と思われる一例である。全部を一曲として用いてもよいし、分割して用いてもよい。aとdの部分は普通につくつき方に適し、bの部分は足の下をくゞらせるつき方に、cの部分は大きくついて回るつき方に、eの部分は大きくついて小さくつくつき方に、fの部分はふたりで交互につき合うつき方に適する。

○ 用具 ピアノまたはオルガン、太鼓。

       ま り つ き

 

   野 菊(既成作品の例)

○ 隊形 一列の円形、円心を向いて立ち手をつなぐ。

○ 方法「前奏」静かに聞く。

  一番

 「遠い山から」

手をつないだまま円周上を、左に八歩く。

 「吹いて来る」

手をほどいて両腕を上にあげ、左右交互に二回ずつ動揺させる。左に動揺する時は左足を一歩左に出し、右足先を左足かかとのうしろにつける。右も同じ。

 「こさむい風にゆれながら」

遠い山から吹いて来るの動作を続けて行う。

 「けだかく清く」

つないだ手を肩にとりつつ円心に進む。

 「におう花」

肩に手をかけたまま左足を左側に一歩出し、右足のつま先を左足かかとのうしろにつけ、顔を見合わせる。この動作を左右交互に二回ずつ行う。

 「きれいなのぎく」

八歩うしろへさがって、円をもとの大きな円にかえす。

 「うすむらさきよ」

つないだ手を離して体前から交さして上にあげ、頭上に花をつくる。

  二番

 「あびてとぶ」「やすませて」

両腕を横にあげて自分のまわりを八歩で左まわり一回する。

他はすべて一番と同じ動作をする。

  三番

 「まけないで」「むれてさく」

円心を向いてホップ(左ひざをまげて前にあげ右足でとぶ。)を四回左右交互に行い、腕は大きく体前で交さして上にあげ横からおろす動作を四回する。

 他はすべて一番と同じ動作をする。

○ 指導上の注意 1.静かで伸び伸びとした動きをさせる。

2.児童の能力に応じて自由に振りつけさせるがよい。

3.教師の振りつけしたものを練習させるもよい。

○ 用具 ピアノまたはオルガン。

     野 ぎ く

 

  みんなで楽しく(ドイツの民踊)

○ 隊形 六人一組となり、三人ずつ向かい合い、肩の高さに手をつなぐ。三人のまん中は男の子で両側を女の子にする。

○ 方法

1.一—二小節

二つの向かい合った組は、互に前に右足から三歩進み、左足を右足のうしろに軽くつけひざをまげておじぎをする。

2.三—四小節

もとの場所まで三歩退く、四歩めに足をそろえる。

3.五—八小節

一小節から四小節までをくり返す。

4.九—十六小節

男の子は、右腕を右の女の子の右腕と組みスキップ四つでまわる。さらに左の女の子と左腕をくみ同様にする。ふたりがスキップでまわる間他のひとりはその場でスキップをする。おのおの二回ずつしてもとの列に帰る。

5.一—八小節

最初の一小節から八小節までと同じことをくり返す。ただし二回めに前に出ておじぎをする代わりに向かい側の人と左肩をすり合わせて行きすぎ、他の組から進んで来た三人と向かい合って新しい組をつくる。

○ 指導上の注意 1.あいさつをする時は親愛の情をこめて相手の顔をみる。

2.スキップはリズミカルに行わせる。

○ 用具 ピアノまたはオルガン。

          みんなで楽しく

        (Come Let us Be Joyful)

 

  マウンテン・マーチ(ノールウェーの民踊)

○ 隊形 図のように三人が位置して三角形に手をつなぐ。

○ 方法

1.一—八小節 三呼間ずつランニングステップを左斜め前と右斜め前とに交五に行う。

2.九—十小節 前の子どもはうしろの子どもの連手の下をくぐってうしろへ下がる。

3.十一—十二小節 左うしろの子どもは右うしろの子どもと前の子どもとの連手の下をくぐる。

4.十三—十四小節 右うしろの子どもは自分の両手の下をくぐって手の交さをとく。

5.十五—十六小節 前の子どもは右手の下をくぐりもとの位置に帰る。

○ 指導上の注意 1.教師の示範によって行わせる。

2.連手の下をくぐる時は、とくにリズミカルに行わせる。

3.ノールウエーについて簡単な知識を与える。

○ 用具 ピアノまたはオルガン。   

    マウンテン・マーチ
          

 

  らかんさん遊び

○ 隊形 円形、リーダーは円の中心に立つ。

○ 方法

 「らかんさんがそろたらまわそじゃないか」

こぶしを軽く握り、両腕を胸の前にまげて、体前でぐるぐるとまわす。(この動作は地方によって異なるかもしれない。それは地方そのままの動作で行うがよい。)

 「よいやさのよいやさ」

リーダーは自分の好む動作をする。(たとえば両腕で上と下を突く、からだを前後にまげる。)その間他の人は、リーダーの動作を見ながら、前にまげたひじを斜めうしろにひく動作を二回する。

 「よいやさのよいやさ」

他の人はリーダーのまねをし、リーダーは他の人の動作、すなわちひじを斜めうしろに引く動作をする。

○ 指導上の注意 1.歌詞をみんなで歌いながら行う。

2.リーダーの動作を正しく模倣させる。

3.リーダーの動きは、初めは簡単な動作からしだいに複雑な動きに発展させるがよい。

4.リーダーの反対動作をさせるのもよい。

5.リーダーはなるべく児童に当たらせる。リーダーになる機会を多くするために何組かのグループをつくってやるのもよい。

6.リーダーなしで最初の「よいやさ」は自由に表現し、次の「よいやさ」で隣の人のまねを、さらに「よいやさ」でひとりおいて隣の人のまねをする。このようにしてグループ全部のお友だちのまねが終るまで続ける方法もある。

     らかんさん遊び
 

 

 五、器械遊び

  1.棒登り

  2.懸垂とび上がり

  3.足かけ上がり

○ 4.さか上がり

  5.足かけまわり

  6.腕立てまわり

○ 7.とび上がりおり

  8.とび越し

○ 9.前まわり

  10.横まわり

 

  さか上がり

○ 方法 肩ぐらいの高さの鉄棒を、さか手、片さか手、または順手で肩幅に握り、足を前後に開いて立ち、あと足を前から上に強く振り上げ、腹を鉄棒に近づけ、胸を起すようにしてまわりながら上がる。上がったら腕立て姿勢になる。

○ 指導上の注意

1.おり方(前まわりおり・うしろおり)を十分指導する。

2.上がれない者は二回—三回くり返すなどの方法を定め、かつ危険のないよう注意する。

3.ときどき連続してやらせるとよい。

4.初歩では腕をしっかりまげ、ひざをまげて行わせ、よくできる者はしだいに腕を伸ばし、両足同時に踏みきり、足を伸ばして上がれるように導く。

○ 用具 低鉄棒。

 

  とび上がりおり

○ 方法

イ、片足踏み切りの場合 1.ごく低いとび箱を横または縦に置き、走って来て片足で台上を踏み前方に走り抜けさせる。

2.ひざくらいの高さのとび箱を横または縦に置き,走って来て片足で台上を踏み切り、なるべく遠くとばせたり高くとばせたりする。

3.空間で任意の姿勢をとらせる。

4.からだをまっすぐにとばせたり、しゃがんだままとばせる。

5.とび箱を二、三台適当な間隔にならべ、これをとび越して継走させる。

ロ、両足踏み切りの場合

適当な距離から助走し、とび箱の上に両足をそろえて上方にとばせる。この方法は、助走が強すぎてはうまくできないからしぜんに連動の強さが制限され、女子には適当である。

○ 指導上の注意 1.とくに足首、ひざの準備運動を十分にさせる。

2.着地場を安全にしておく。

3.あらかじめ適宜の高さのとび箱上から各方にとび下りる練習をさせ着地を確実に学ばせる。

4.助走は漸次その強さを増し、かつ内容に即して加減させる。

5.とび箱は能力に応じて高さを加減することが必要であるが、とくにうしろとびや、横とびは高すぎると危険を伴ないやすいからごく低く、安全な高さで行わせるように注意する。

○ 用具 とび箱、踏切板またはスプリングボールド(跳躍板)、マット。

 

  前まわり

○ 方法

1.マット(柔らかいしばふ)に向かって足を小さく左右に開き、からだを前にまげて足もとに手をつき、顔を両足の間に突っこむようにして前にころがって立つ。

2.歩いて来て手をつき、片足を前に出したまゝの姿勢からころがって立つ。

3.歩いて来て両足をそろえて踏み切りころがって立つ。

4.手をつかないで前にころがって立つ。

5.助走してマットの上に手をつき、一回または連続してころがって立つ。

6.助走してとび箱(最初はごく低いもの)の上に手をついてまわる。

○ 指導上の注意 1.恐怖心を起さないよう、能力に応じて漸次程度を高める。

2.漸次ひざを伸ばしたまゝ回れるように指導する。

3.初心者や恐怖心を起しやすい児童には斜面の上から下に向かってころがらせるのもよい。

4.とび箱上で行う場合は、まっすぐに回れないで落ちることがあるから、マット上でよく練習してから行うようにする。

 

 六、模倣・物語り遊び

○ 1.消防夫

  2.なわとび

  3.機 械

  4.シーソー

○ 5.えんそく

  6.びっくり箱

  7.サーカス

○ 8.森の秋

  9.夏の海

  10.運動会

  11.汽車の旅

○ 12.オリンピック

  13.ガリバー物語り

  14.いなばの白うさぎ

 

  消 防 夫

○ 隊形 自由。

○ 方法 勇ましく活動する消防夫の動作をまねて運動する。

1.鐘がガンガンと鳴る。(いっせいに整列する。)

2.自動車に乗ったさあ行こう。(円形でぐるぐる走る。)

3.さあ着いた、ホースを伸ばす。(腕を伸ばしてからだの前に大きな円をつくって動かす。)

4.水をかける。(ホースをもった形で、シュウシュウといいながら先生のいう方向に向ける。)

5.はしごをかける。登る。(その動作をまねる。)

6.貴重品を見つける。そして包み、窓から投げる。(敏速に)

7.ホースをまく。(ゆっくりと)

8.さあ帰りましょう。

9.つかれた。大きく伸びをしましょう。

○ 指導上の注意 1.動作はかっぱつに生き生きと行う。

2.動作の途中に、じょうずに火災防止や安全逃避の思想をうえつける。

3.火災防止や安全などについて指導する機会にする。

 

  えんそく

○ 隊形 自由。

○ 方法 えんそくで見たことを思い浮かべながらそれを模倣し、表現する。

たとえば、

1.みんなで手をつないで歩く。

2.小鳥がとんでいた。(手をぱたぱたしたり、よい声で鳴いたり、木にとまったりする。)

3.馬が苦しそうに荷車をひいていた。(よいしょ、よいしょと車をひっぱる。

4.お川がさらさら流れていた。(春のお川を歌ってもよい。)

5.魚が泳いでいた。(びんしょうに動き、手をうしろへ伸ばして尾ひれを動かすまねをしたりする。)

6.お川の丸木橋を渡った。(平均台をわたる。)

○ 指導上の注意 1.えんそくの思い出をよく話し合う。

2 運動量の豊かなものをやるように、教師が誘導する。

○ 用具 平均台・オルガンその他。

 

  森 の 秋

○ 隊形 自由。

○ 方法 秋深い森へ出かけた時の様子を思い浮かべて、一連の模倣動作として運動する。

 一例として次のようなものがある。

1.森ヘスキップで行く。

2.みんなでお川をとび越える。(手をつないで仮想の川をとぶ。)

3.鳥の巣を見つけて木に登る。

4.木をゆすってくりの実を拾う。

5.にわか雨だ、急いで木陰にかくれる。

6.落ち葉を集めて積み上げる。

7.その上にとび乗る。(マットなどを利用する。)

8.夕やけだ、みんなで歌い踊る。手をつないで帰る。

○ 指導上の注意 1.近くに森のあるところでは森に出かけて印象を深める。

2.(じょ)情的にリズム的に行う。

3.個人の自由な表現を重んずる。

 

  オリンピック

○ 隊形 自由。

○ 方法 映画や先生のお話しで得た感激的なオリンピックの状景を子どもなりにまねて表現させる。

1.リズム的な運動

2.たいまつのリレー

3.マラソン

4.その他各種スポーツのまね(高速度写真のまねはとくにおもしろい。)

などが生まれてくることが考えられる。

○ 指導上の注意

1.スポーツそのものを行うのでなく、あくまでもスポーツのまねとして取り扱う。

2.オリンピック映画やおとなのスポーツを見る機会をつくる。

3.かけっこやリレーと連関して指導する。

 

  七、水遊び

  1.石拾い

○ 2.ばた足

  3.面かぶり

○ 4.犬かき

  5.波くゞり

○ 6.平泳ぎ

  7.背泳ぎ

  8.潜水競争

  9.鬼ごっこ

  10.水中ずもう

  11.馬乗り遊び

 

  ば た 足

○ 方法

イ、プールの壁・丸太・浮板などにつかまり、または浅瀬に両手をつき、腕をしぜんに伸ばし、両足をそろえて伸ばしながら、どの関節からも思いきって力を抜き、足を交互に上・下に動かして水を下方に打つ。

ロ、進んでは両腕をそろえて前に伸ばし、水底をけって息の続くかぎりばた足だけで進む練習をさせる。

○ 指導上の注意 1.両足の幅はおや指が軽くふれあうくらいで打ちおろしを強くし、打ち終った足はしぜんにもとにかえるようにする。

2.だいたいの要領をのみこんだら、板につかまったり、ふたりで組んで、ひとりが背進しながら、ばた足の者を引いたり、ひとりが他の者の肩に手をおいて、ばた足競争を行わせたりする。

3.プールのふち、あるいは板などにつかまっているうでの力はできるだけ抜き、軽くふれる気特で行わせる。

4.最初はひざは少々まがってもよいが、なるべく足を太もゝ全体から上下に大きく動かすよう指導する。

5.ばた足でひどく水煙のたつのは、ひざがまがりすぎているからである。

6.腰が大きく左右にゆれぬよう注意する。

7.ばた足は泳ぎの基礎であり、進み出すと興味も出てくるので、よく要領を会得するよう指導する。

 

  犬 か き

○ 方法

1.顔を伏せたまゝばた足で進み、手で水をおさえつゝ、左右交互に水をかく動作を練習させる。(面かぶり)

2.面かぶりが楽にできるようになったら、呼吸ができる程度に顔を軽くあげて、1の要領で進む練習をする。

○ 指導上の注意 1、犬かきは速泳ぎや平泳ぎに進む基礎になるのであるから、十分その要領を会得させる。とくに水中での体位・ばた足のしかたに留意する。

2.顔は呼吸のできる程度にわずかにあげればよい。

3.決して深い方に向かって練習させてはいけない。

 

  平 泳 ぎ

○ 方法 からだを下向きにし、両手はそろえて軽く前方に出してから左右に開きつゝ後方にかき、足はかえる足をつかって主たる推進力を得る。(かえる足平泳ぎ)

1.足の動作は、両おや指が軽くふれあう程度に各関節の力を抜いてそろえて伸ばし、つぎに太もゝを左右に開きながら、ひざをまげて足を十分にちゞめ、足首をまげて足先を外側に向ける。腰が浮きやすいので腰・ひざ・足首は同一平面にあるような気持ちでまげる。まげ終ったならば,足の裏を十分に使って、大量に水を後方に押しやるつもりで、強く斜めうしろにけるとともに、内またの力で水をはさむのである。

2.腕の動作は、軽くそろえて前方に伸ばしてから、両てのひらを外側に向け、水を丸く押さえるような気持で外側にかく、肩の線でひじを胸にてのひらで水を抱きこむようにしておさめる。水のかき方はひじをひかないようにする。

3.手と足の関係は、手をかきよせる時に足をちゞめ、ける時に腕を前方に伸ばすのである。この際むりに腕に力を入れず、抵抗をできるだけ少なくするよう、足でつくる推進力を弱めぬよう軽く前方に伸ばすのである。

4.呼吸は、手を胸におさめる時に顔をあげて口から吸い、水をける時顔を水につけて口と鼻から息を吐く。

○ 指導上の注意 1.足の動作・腕の動作・足と腕の関係などは陸上でも正しく十分に指導する。

2.足はとくに平泳ぎの推進力となるから、プールのふち、板子などにつかまって練習する。

3.腕の練習は,水中の胸くらいの深さで行うとよい。

4.呼吸の際むりに顔をあげてからだが上下しないようにする。

 

  八、スキー遊び

○ 1.雪玉あて

  2.雪玉わり

  3.ころび方

  4.おき方

  5.方向変換

  6.直登行

  7.斜登行

  8.開脚登行

○ 9.階段登行

○ 10. 直滑降

  11.斜滑降

  12.全制動滑降

○ 13.全制動回転

  14.リレー

  15.ろうのぬり方

 

  雪 玉 あ て

○ 方法

1.雪玉をつくって投げ合ったり、紅白二組に分かれて投げ合う。

2.目標をきめて雪玉を投げあてる。

○ 指導上の注意 1.投げ合う場合は、雪玉をあまり堅く握らせない。

2.雪の少ない地方では、雪玉の中に土塊や石などのはいるおそれがあるから注意する。

3.顔をめがけて投げさせないようにする。

 

  階 段 登 行

○ 隊形 縦隊。

○ 方法 スキーを斜面に水平に置き、山側のスキーを上げて上方または前上方(斜階段登行)に置き、正しく角づけしてこれに体重を移し、谷側のスキーを引きつけ、階段を上るように山側のスキーから一歩一歩山側に移してゆく。

○ 指導上の注意

1.つえは山側スキーと同時に上方に突き、これに頼って体重を移動するが、谷側のつえにあまり頼らないようにする。

2.疲労を招きやすいから注意する。

3.他の登行法の用いられない狭い場所または急斜面だけに利用するものであることを知らせる。

 

  直 滑 降

○ 方法 両スキーを並行にし、体重を両足に均等にかけ、両ひざを前方に突き出すようにしてまげ、足首の角度を鋭角に保ち、両腕をしぜんにまげて両づえを軽く後方に流し、目を前方十数メートルに注ぎながらまっすぐにすべり降りる。

○ 指導上の注意

1.あらかじめころび方、起き方について児童の実態を十分つかみ、かつ指導しておく。

2.平地に続く緩やかな斜面を選び、練習させるとともに平地の滑降姿勢の練習を加える。

3.硬雪の場合はスキーを少しく開くようにする。ただし幼稚な者にはかたい雪で行わせない。

4.相当熟練したならば、競争的に(たとえば距離を定め、どの組はころばないですべれる者が何人かというように)取り扱うがよい。

 

  全制動回転

○ 方法

1.全制動滑降から右ひざと足首とを前方に強くまげながら体重を右足に移す。(左回りの初め)

2.つぎに右スキーの内角づけをやゝ強くし、体重をほとんど全部これに移す。(左回りの完成)

3.以上の動作を反対に行う。(右回り)

○ 指導上の注意 1.両スキーは常に全制動の形を保ち、回り初めの際は前傾姿勢をとる。

2.回転中の内側スキーは平踏みとする。

3.リズミカルな体重移動のコツを会得させる。

 

第十一節 第五・六学年の教材例

 

 一、ボール運動

  1.ワンアウトボール

  2.ベースボール

○ 3.ソフトボール

  4.ドッジボール

  5.ドリブル競争

  6.フットボール

○ 7.ポートボール

  8.キャプテンボール

○ 9.エンドボール

○ 10.ゴールハイ

  11.バスケットボール

○ 12.ネットボール

  13.バレーボール

  14.フリーテニス

○ 15.陣とりボール

 

  ソフトボール

○ 配置 (図参照)

○ 方法 競技方法は野球とだいたい同様であるが、おもな相違点をあげると次のようである。

1.投手の投球動作は下手投でなければならない。

2.フェアとファウルは、打者の打ったボールが最初に地上に落ちた点で決定する。

3.投手がボールをもって投手板に立ったら、走者は塁を離れてはならない。

4.投手の投げたボールが打者に打たれるかまたは捕手に達するまでは走者は塁を離れてはならない。

○ 指導上の注意 1.適宜ポジションを交替してやらせる。

2.チームを定めないでアウトになった者はライトにはいり、ライトはセンターヘと順次交替して投手が打者になる方法もある。

3.用具のない時はゴムまりを手で打って行ってもよい。

4.一組十人が最も適当であるが、それより多くてもよい。

○ 用具 ソフトボール、ベース、バット。

 

   ポートボール

○ (図参照)

○ 方法 紅白両組に分かれ、(約十名くらいずつ)ボールをパスし相手をさけながら進んで、台上に立っている味方の主将にボールを渡して得点するゲームである。

○ 指導上の注意

1.競技はセンタージャンプで開始する。

2.ボールをもって走ってはならない。

3.一回だけ地面に打ちつけてもよい。

4.乱暴な行為があった場合は相手方のボールにする。

5.ボールが場外に出た場合は出した反対側に自由投げを与える。

6.主将がボールを受けとっても台上から落ちれば得点にならない。ただし相手に押されて落ちた場合は得点とし、さらにペナルテイスローを与える。

7.得点された場合は、反対側がエンド・ラインからボールを投げて競技を続ける。

8.ボールに密集しやすいから、適宜ポジションを定めて自己の責任範囲を守るように指導する。

9.主将は台上に立つかわりに直径三—四メートルの円内に立ってもよい。

10.規則その他は適宜変更してよい。

○ 用具 バレーボール、バスケットボール、ドッジボールなど。

 

  エンドボール

○ 配置 (図参照)

○ 方法 競技の方法はコーナーボールと同じであり、ただ両すみの捕球者のかわりに両端エンドゾーン内に三—五人を配置し、その者に相手側の頭上を越えて、中央線手前から味方の捕球者にボールを投げ渡す競技である。

○ 指導上の注意

1.球を持って歩いたり走ったりしてはならない。

2.両組の者がボールを同時に持って放さない時は、ジャンプ・ボールとする。

3.エンド・ゾーン内の者はそこから出てボールを扱ってはいけない。

4.性・年齢・競技者の数・技りょうに応じて、運動場の広さ、競技規則など適宜定める。

○ 用具 ドッジボール、フットボール、バレーボール、バスケットボールなど。

 

  ゴールハイ

○ 準備 コート

 二組に分かれてコート内に位置する。

○ 方法 アウトアコートとインナーコートの境の線の外側で、代表者のジャンプボールによってゲームを開始し、簡易なバスケットボールの規則と要領で送球しながらボールをゴールに入れあい、一定時間内に多く得点した組を勝とする。得点は自由投一点、インナーコートからの得点二点、アウトアコートからの得点三点とする。

○ 指導上の注意

1.初めのうちは内側の円だけのコートとする。

2.ゴールの下にばかり集まらないようにする。

3.規則の程度を能力に応じて順次高める。

○ 用具 ゴールハイの支柱、バスケットボール、ドッジボールなど。

 

  ネットボール

○ 配置 (図参照)

○ 方法

1.じゃんけんで決定してサーヴを先取した側が、うしろのラインからボールを相手方にネットを越して投げこむ。

2.ボールを投げこまれた側はだれかがこれを受けとめる。

3.受けたら、その場所から、相手方に対してネットを越してボールを投げこむ。(味方同志のパスの回数は通常三回以内とする。)

4.ボールを落としたら相手方に得点を一点与えたことになり、得点した方がサーヴする。

5.一定の得点(二十一点)に早く達した方が勝である。

6.ボールが城外に出た場合は、ボールを投げ出した反対側が得点となりサーヴを取ることにする。(たゞしサーヴの場合は一回の失敗が許される。)

○ 指導上の注意 1.ボールのとんで来る方向を早く判断して動くよう指導する。

2.チームが協力しておのおのが自分の責任範囲を守るようにする。

3.ボールは胸で受けとめないで手で受けるように指導する。

4.競技場の広さ、人員、ネットの高さは適宜変更してよい。

○ 用具 バレーボール、ネット。

 

  陣とりボール

○ 準備 コート

○ 方法 紅白両チームが、センタージャンプで開始されたボールをパスしながら運んで相手の陣まで運び、その陣につければ一点になる。陣の外周四メートルに達すれば、もったまゝ走ってもよい。この際相手からからだを捕らえられたら、ボールを放さなければならない。

○ 指導上の注意

1.乱暴な動作があれば反則として相手方の自由投にする。

2.得点があれば中央円から開始する。

3.ゲームの時間は八—一○分が適当である。

4.両陣地の距離は三○—四○メートルが適当である。

○ 用具 ドッジボール,バスケットボール。

 

 二、陸上運動

  1.重なり鬼

  2.反応遊び

  3.旗とり

  4.帽子とり

  5.綱引き

  6.馬乗り遊び

  7.片足もう

  8.競 走

  9.継 走

  10.競歩リレー

  11.ジグザグ競走

  12.持久走

○ 13.黒板リレー

○ 14.カンガルーリレー

○ 15.幅とび

○ 16.高とび

  17.三回とび

  18.なわとび

  19.棒押し

○ 20.すもう

 

  黒板リレー

○ 隊形 普通のリレー隊形。

○ 方法 出発合図で最初の者は黒板に向かって走っていき、チョークで印をつけてもとの位置にもどり、次の者にチョークを手渡してもとの位置にすわる。第二走者は同じように黒板に走ってゆき、印をつけてもとの位置にもどり第三番めの者にチョークを手渡す。最後の者がチョークで黒板に印をつけもとの位置にもどるまでゲームは続けられ、早く終わった方が勝である。だんだん程度が進めば、競技者は、黒板に×印をつけたり、ある文字を書いたり、ある単語を書いたり、あるいはみんなで一つの絵を完成するなどする。

○ 指導上の注意

1.与えられた課題を黒板に確実に書く。

2.チョークを投げてはいけない。

3.チョークの折れた場合は、折った者が指導者の所へ来て、代わりのものを受け取る。

4.書く印又は文字等はなるべく大きい方がよい。

○ 用具 黒板、チョーク。

 

  カンガルーリレー

○ 配置 (図参照)

○ 方法 ボールを第一番めの走者の前に置き、合図があるまでは直立している。出発合図で第一走者はボールを拾い、それを自分のひざの間にはさみ、手をふれずにひざにはさんだまゝで跳びはねていく。定められた線に到着したら、ボールをとり旗をまわって走りもどり、第二番めの者に渡す。行く時にボールを落した時は、ボールを拾い、落した地点でひざの間にはさみ競技を続けていかなければならない。第一番めの者は、渡し終ったならば休憩線のうしろにさがって休む。第二番め以下の者は、一番めの者と同じようにボールをひざの間にはさんで、前半はとび、後半はボールをもって走りもどり次の者に手渡す。チーム全員がこの動作を終わるまで続け、最も早く全員終わった組が勝である。

○ 指導上の注意

1.ボールの受け渡しは右手から右手へと行わせる。

2.ボールを受け取るまでは、出発線から決して前に出ないよう注意する。

3.ボールを落した場合は、必ずボールを落した場所へもどって動作を続行するよう指導する。

4.競技の終った者は必ず休憩線の後方に順序よく並ぶようにする。

5.距離は能力に応じて適当に考える。

○ 用具 ボール、小旗。

 

  幅 と び

○ 隊形 (図参照)

○ 方法

イ、踏切板の上に立ち、腕を上とうしろに振り、うしろから前にふれ返る勢を利用して、強く踏み切ってできるだけ幅をとぶ。(立幅とび)

ロ、二十メートルくらい助走し、踏切線前二・三歩の地点で全速力になり、踏切線にふれずに片足で強く踏み切り、からだを前方に高く引き上げてとび上がり、できるだけ幅をとぶ。(走幅とび)

○ 指導上の注意 1.競争して楽しく行わせる。

2.進歩に応じて、着陸の要領を教える。

3.そりとびは、立幅とびでさせるのはよいが、走幅とびでは指導しない方がよい。

4.砂場をよく掘り起し、水平にならしておいて行わせる。

 

  高 と び

○ 隊形 助走の方向に縦隊。

○ 方法 

1.きわめて低い高さで、斜めから走り片足ずつ交互に横木をまたぎ越す。

2.いくつかの組をつくり、みんながとべる程度の高さで、走って横木をとび越える競争(高とび競争)をする。

○ 指導上の注意 1.進歩に伴ない、助走の方法、斜めとび、正面とび、ロールオーバーとびを教え、自己に適したとび方を発見させるがよい。

2.走る方向に強く踏み切ること、反対足はひざから強く上に振り上げる(足先からけり出さない。)こと、両腕は肩とともに引き上げることを指導する。

3.砂場をよく掘り起して危険を防止する。

4.立高とびはむりである。

○ 用具 支柱、横木、またはゴムひも、砂掘り具。

 

  す も う

○ 準備 約三メートル幅の平行線を引き、または直経三メートルくらいの円(人数の多い場合には円の数を増す。)を描く。

○ 方法

イ、押し出しすもう

 引っぱったりひねったりしないで相手を押し出したものを勝とする。

ロ、突き出しすもう

 相手を突き出した者を勝とする。

ハ、押し突き出しすもう

 押しと突きを総合して行う。

○ 指導上の注意 1.「押し出しすもう」は、押すに防技なしといわれるほどいろいろなわざの中で最も基本的なものであり、この「押し出しすもう」を十分にやらせることによって、おのずから「倒しわざ」のコツを体得することができるのであって、経験の乏しい者に「倒しわざ」を教えようとすると、からだがもつれ合って倒れることが多く,とかく大けがのもとになるから、あくまでも「押し出しすもう」を中心として指導し、六年になってから「突き出しすもう」・「押し突き出しすもう」をあわせて指導することが望ましい。

2.基本動作が実技指導(すもう)と遊離してしまったのでは、すもうに対する興味を失い,従来の弊をくり返すことになるから、あくまでも実技指導の中に織りこんで一体として指導しなければならない。

3.土俵の大きさは、児童の体力・運動量などの点から考えて、五年は直径九尺くらい、六年は十尺くらいが適当である。競技場は必ずしも本格的な土俵の必要はなく、危険物のない地表に円を描くか、土を丸く浅く削りとってもよい。

4.危険なわざ(禁技)はいっさいこれを禁じなければならない。

5.体力・能力に応じて、その力の等しい者どうしを組み合わせ、弱い者にもすもうを楽しいものにしてやらなければならない。

6.基本動作として次のようなものを指導することが望ましい。

 五年—そんきょ、四つまた、伸脚、構え。

 六年—そんきょ、四つまた、伸脚、構え、攻め、運び足。

 

 三、徒手休燥

○ 1.ひとりで行う体操

○ 2.ふたり以上組んで行う体操。

○ 方法

イ、ひとりで行う体操(例)
 

 

屈 伸 ○手をひざにあて足を屈伸する。 

○腕を前・横・上・下に伸ばす。 

○腕を前と上に振りながらかかとをあげひざをまげ伸ばす。

挙 伸 ○片足を前に振る。 

○腕を前・横・上・斜め上に振る。 

○腕と足を横に振る。

回 旋 

跳 躍

○腕を前後(内外)に回す。 

○片足でとぶ。 

○両足でとぶ。

 

 屈 

 転 

回 旋

○くびを前後左右にまげる。 

○くびを左右に回す。 

○くびを回す。

○腕をまげながら胸をそらす。 

○腕を上にあげ胸を伸ばす。 

○腕を前にあげ横にひらく。

 

 屈 

 倒

○手を腰にとりからだを前とうしろにまげる。(開脚) 

○からだを前(後)に倒し腕を上に振る。(開脚)

 

 屈 

 倒

○片腕を横から上にあげからだを横にまげる。(開脚)。 

○腕をまげ足を出してからだを横に倒す。

 

 転 

回 旋

○腕を振りからだを横に回す。(開脚) 

○腕を横に振りからだを回旋する。(開脚)

ロ、ふたり以上組んで行う体操(例)

A.腹の運動

1.ふたり一組となり向かい合って立つ。

2.ひとりは両足を前にのばしそろえてすわり(長座)、他の者はその前にひざ立ちとなり、前の者の足首を握る。

3.長座している者はからだをうしろに倒す。

4.からだを起す。

5.以上の動作を適当な回数くり返し交替して行う。

B.背の運動 1.ふたり一組となりひとりは床上に腹をつけて伏す。

2.他の者はひざ立てとなり足首を握る。

3.伏している者は腕を横にあげからだを強くそらす。

4.からだをもどす。

5.以上の動作を適当な回数くり返し交替して行う。

C.胴体の運動 1.ふたり一組となり向かい合って立つ。

2.ひとりは長座し、他の者はその前にひざ立てとなり前の者の足首を握る。

3.長座している者はからだを前にまげ左または右からからだを大きく回旋する。

4.以上の動作を適当な回数くり返し交替して行う。

D、跳躍運動 1.三人一組となり、向かい合って手をつなぐ。

2.ひとりは他のふたりの握っている手の上をとび越す。

3.以上の動作を交替して行う。

4.上達してきたらとび越して後直ちに逆もどりさせる。

E.その他の例(図参照)

○ 指導上の注意

1.なるべく画一的な取り扱いを避け、各個人の現有する運動領域の極限まで動かすような個別指導を主体とする。

2.個々の運動の目的を明確にして指導する。

3.遊戯と関連させて指導し、それらの準備・調整・補助としてたいせつなことを自覚させるとともに、児童が体操をくふうしてつくれる程度にまで指導する。

4.運動を律動的にしてより高い効果をあげるために、運動の性質に応じた適正な速度を自覚させるように努める。

5.すべての運動はこれを呼吸および平均運動と考え、十分な注意を払って指導する。

6.すわったり伏したりして行う体操は、清潔な床か、しばふの上で行うようにする。

7.健康を保持増進するためにはどうしても必要なものであるから、生活習慣にまで発展するように指導する。

8.組体操は、ややもすると強くなりがちであるから、相手の身体的状態をよく考えて徐々に強くしていくようにする。

 

 四、器械運動

  1.綱 登 り

  2.足かけ回り

  3.腕立て回り

  4.振りとび

○ 5.け上がり

  6.とび上がりおり

○ 7.腕立てとび越し

  8.倒  立

  9.前 回 り

  10.横 回 り

○ 11.うしろ回り

 

  け 上 り

○ 方法

1.肩ぐらいの高さの鉄棒に向かって肩幅に握る。

2.大きく一歩離れて足を前後に開きまたはそろえて立つ。腕を伸ばしたまま小きざみに二・三歩前進して片足から足をふり上げながら腰をまげて足首を鉄棒に近づける。

3.腰は前方に振り上げる。

4.振れかえりの最初の瞬間に足を上方に向けてけるように伸ばし腰が鉄棒に接近すると同時に上体を前に傾けて鉄棒上に腕立姿勢となる。

○ 指導上の注意 1.基礎的運動として、足かけ上がりとマット上でのからだの屈伸要領とを十分練習させる。

2.懸垂とび上がりの競争をさせ、上がる瞬間に必要な力を補充する。

3.初心者は、ひざをまげてけらせるがよい。

4.ける時期は早すぎないよう指導する。

5.腕はいつでも伸ばしたままでいるようにする。

6.漸次程度が進めば短振・長振などのけ上がりや高鉄棒を利用して行うがよい。

○ 用具 低鉄棒、マット。

 

  腕立てとび越し

○ 方法

イ、腕立て開脚とび越し

1.とび箱を縦にして置き、適当な距離を助走し、両足をそろえて踏み切り、前方にからだを飛揚させつつ開脚し両腕を前方に出し、手をとび箱上につき下後方に押し放しながら前方にとび越す。

2.からだをかがめ手をついて地上にうずくまる者の背中に手をついて足を開いてとび越す。これがとび越せるようになれば、今度は台になるものはひざを伸ばし、手をひざについて腰を高くする。

ロ、腕立て閉脚とび越し

 横に置いたとび箱を助走してきて両腕をとび箱上につき、ひざをそろえまげてとび越す。

○ 指導上の注意 1.準備運動を十分に行わせる。

2.着地場を安全にしておく。

3.手のつき方、踏切地点を変えることによって斜めとび、水平とび、垂直とびの初歩をおのずから学ばせる。

4.能力に応じてとび箱の高さを加減する。

5.人のからだをとび越すときには、台になる者がくずれぬようしっかりしゃがませる。

6.十名内外を一組にして競走的、連続的に行うのもよい。

7.腕立て横とび越し、腕立て斜めとび越し、仰向けとびと十分関連して指導するがよい。

 

  うしろまわり

○ 方法 腰をおろし足をのばした姿勢から、一度からだを前屈し、その反動を利用してひざをかかえるようにしてからだをちぢめうしろにころがり手を使って起きる。

○ 指導上の注意

1.前まわりと関連して指導する。

2.手を肩のそばに正しくついて、まうしろにころがるよう指導する。

○ 用具 マット。

 

 五、リズム運動

○ 1.ぶらんこ

○ 2.波

  3.仲よし

  4.しかられて

  5.村のカジヤ

○ 6.麦刈り

  7.まきばの朝

  8.赤とんぼ

  9.機  械

  10.ふるさと

  11.朝日は上る

  12.佐渡おけさ

  13.盆踊り

○ 14.バージニアリール

○ 15.困った小人

  16.スケーティング

 

  ぶらんこ(既成作品の例)

○ 隊形 図のように三人を一組とした円形。各組で番号をつける。一、二番生は連手してぶらんこをつくり、三番生はぶらんこに向かって立つ。

○ 方法

1.一—四小節 番生はぶらんこを両手で三回押し、四回めにぶらんこの下をくぐり抜け、次のぶらんこの前に立つ。ぶらんこになった者は押されるままに動いている。

2.五—八小節 今までの動作をくり返す。

3.九—十二小節 一回ぶらんこを押し二回めにぶらんこの下をくぐり抜け次のぶらんこの前に立つ。この動作をくり返す。

4.十三—十六小節 二呼間に一回ずつ新しいぶらんこをくぐり抜けて五つめのぶらんこの前に立つ。

5.十七—二十小節 ぶらんこを二回押し、つぎに三人は連手して左へ歩き、一番生は二番生の位置へ二番生は三番生の位置へ三番生は一番生の位置へ行く。

○ 指導上の注意 1.既成作品の指導は教師の指示によって行ってよいが、児童に工夫させながら(たとえば連手の上に腰をおろさせてぶらんこを動かすとか、連手の中へ入れて左右に動かすとか、ぶらんこを押して連手の下をくぐり反対側からくぐって帰るとか、くぐってからその片側の人をまわってもとの位置に帰るなど。)ぶらんこをまわったりくぐったりする動作を組み合わせて遊ばぜるうちに、いつの間にか既成作品の動作にもっていくようにするのがより望ましい。

2.くぐることを連続する場合は、テンポが早くなりがちであるから注意する。

○ 用具 太鼓、オルガン。

        ぶ ら ん こ

 

  (創作の例)

○ 隊形 自由(単独またはグループ)。

○ 方法

1.波について話し合いをする。波の動きの種々の特徴を自由に表現させる。予想される表現は、たとえば大波は、波がさかまくようにからだを動かす、あるいは数人連手して大きく前後左右に振る運動で、小波は大波と同じ動きを静かに小さな運動で、砂浜にくずれては引く様子はからだを前にまげながら小走りで前に進み、しだいに伸び上がり、再びからだを前にまげながらもとの位置に帰る運動で、表現されることであうう。

2.同じことをグループで表現した場合にはいっせいに行う場合やひとりずつ二呼間ぐらいおくれて連続する場合など考えるであろう。その他たとえば岩に打ちあたってくずれる様子を、からだを前に深くまげぐっと上体を起し、指を開き腕を上にあげて再び急にからだを前にまげることで表現するなど児童は種々なくふうをすることであろう。

3.つぎに、グループによって、たとえば、小波がゆれる、やゝ大きい波が砂浜にくずれては引く、再び小波がゆれる、大波がやってくる、砂浜にくずれては引く、大波がどんどん押しよせてくる、岩にくだけて散る、うずをまいて流れる、しだいにおさまって再び小波がゆれるというような一つの構想をたてさせ、その構想にしたがってみんなで即興に踊る。そして踊りにくいところ、表現のまずい部分などについて話し合いをして改めたり、へたな運動を取り出して部分的に練習するように導きながら、一応のまとまりをもたせる。

4.打楽器または音楽の伴奏で各グループの作品を発表させ、鑑賞させる。

○ 指導上の注意 1.波の動作をよりよく了解させるために実際に種々な波を観察させる。

2.打楽器またはピアノによって動きに応ずる適当なリズムを組み合わせて与える。

3.鑑賞の際は、全体の統一、選ばれた運動、リズミカルな動き、頂点の場所、感じなどについて考えるように指導する。

○ 用具 打楽器またはピアノ、オルガン。

 

  麦 刈 り(歌曲に振りつける例)

○ 隊形 十人ぐらいのグループに分け、各グループごとに自由隊形。

○ 方法

1.歌詞を指導し、それがどんな場面を歌っているかを発表させる。一番は、豊かにみのったこがねの麦を刈るよろこびを、二番は、刈ってたばねて山ほどつんで豊年をよろこぶところを、三番は、親子そろって麦を刈りあげた後のよろこびを歌っていることを知らせる。

2、話し合いで、この音楽がそぼくな民踊調であるから、振り付けもまた民踊的な要素をもる方が、いなかのそぼくなよろこびを表わしていてよいということを考えさせる。

3.適当な暗示指示を与えながら、各グループによってまず一番から振りつけをさせる。

4.できあがったものを各グループに発表させ鑑賞させる。全体としてよろこびが感じられるか、頂点はどこにあるか、統一されているか、動作があまり複雑すぎはしないが、動作から動作への流れがリズミカルであるかなど話し合いをさせ研究させる。

5.こうしてできあがった作品をみんなで踊る。

○ 指導上の注意 1.歌詞のある音楽に振りつけることは、メロデーと歌詞とリズムとに制約され、自由に踊ることが非常に困難であるから、教師は常によい相談相手になってやる。

2.作品そのものよりも過程を重視していくべきで、三—五時間は少なくとも取り扱うようにする。

3.一・六・十一小節は休止符から出ていることを注意する。

○ 用具 楽譜、ピアノまたはオルガン。

          麦 か り

 

  バージニア・リール(アメリカの民踊)

○ 隊形 八人組とし、男女各四人ずつ相対して並び、先頭から番号をつける。

○ 方法 全体をスキップまたは軽いウォーキングで行う。

ファスト・パート 1.四小節 各組の男女は三歩前に進みおじぎをしてうしろ向きのまゝもとにもどる。

2.四小節 前に進み右手を肩の高さにつなぎ一回りして手をはなしもとにもどる。

3.四小節 前に進み左手をつないで回ってもどる。

4.四小節 前に進み両手をつないで回ってもどる。

5.四小節 前に進み腕を組んで背中合わせに回ってもどる。

リール 1.一組の男女は前に進み、右腕を組んで一回半回る。つぎに一組の女の子は二組の男の子の方へ、一組の男の子は二組の女の子の方へ進み、左腕を組んで一回回る。再び一組の男女は列の中央へ進み右腕を組んで一回る。

 以上の動作を三組、四組に行い最後に一組は回りして、両手をつなぎ列の間をスライドしてもとの位置にもどり、再びスライドして四組の方にもどり、さらに自分の位置にもどる。この間他の者は拍手をつづける。

マーチ 1.一組の女の子は右回り男の子は左回りをして列の終に向かって進む、みんなそのあとに続く、一組は列の最後まで行ったら止まって両手をあげアーチをつくる。他の者はアーチをくぐって列の先頭の方に進み、二組は一組の、三組は二組の、四組は三組の位置につき一組は最後の組になる。

 つぎに二組が一組と同様、リール・マーチの動作をくり返し、三組、四組も同様に行う。

○ 指導上の注意 1.フスアトパートの動作は、全部一緒に行わないで一組と四組だけ行ってもよい。この場合は一組の女の子と四組の男の子が始め、つぎに一組の男の子と、四組の女の子が同じことをする。

2.十人または十二人くらいのグループで行ってもよい。

3.示してある楽譜以外の楽譜を使用してもよい。たとえばオゝスザンナなど。

○ 用具 ピアノまたはオルガン。

          バージニア・リール

 

  困った小人(デンマークの民踊)

○ 隊形 図のように四人組ふたりずつ反対の方を向く、中の男どうしは左腕を組み、右腕は外側の女子の腰にまわす。女子は左手を男子の右肩におき、右手を腰にとる。一組だけふたりの組をつくっておく。(これが困った小人の組である。)

○ 方法

1.一—八小節 図のような隊形で左に円をかいて回る。

2.一—四小節のくり返し、男子どうしは組んでいた左腕を放して手をとる。女子も肩から腕をおろして手をとる。そしてふたりの男子の連手の下をくゞり、左に回って顔を向け合わせ女子同志右手をとる。

3.五—八小節 のくり返し、図のような隊形のまゝで手を引き合いながら左の方に円をかいて回る。

4.九—一六小節 男子と女子ふたりずつに分かれて内側の手をとり、バランスステップで先頭の方へ進む。

5.曲のくり返し、新しい組をつくって男の子は先頭の方を向きふたり向かい合って、ワルツステップで進む。

 以上の動作をくり返すのであるが、再び最初の四人組になる時、困った小人であった組はどの組かと腕を組んでしまう。そこで新しい別の困った小人の組が生まれるわけである。

○ 指導上の注意 1.ワルツの部分はゆっくりとひくがよい。

2.ワルツの部分だけ取り出して練習してもよい。

3.困った小人にならないようお互に注意させる。

○ 用具 ピアノまたはオルガン。

 
              困った小人
         (Little man in a Fix)

 

 六、水 泳

  1.平 泳 ぎ

○ 2.横 泳 ぎ

○ 3.速 泳 ぎ

○ 4.背 泳 ぎ

  5.潜   水

  6.飛びこみ

  7.リ レ ー

  8.水   球

  9.水中野球

 

  横 泳 ぎ

○ 方法 からだをまっすぐに伸ばし、水をまくらにする気持で水面に横伏し、下の手は下方に向けて進行方向に水面に近く伸ばし、上の手は伸ばしてからだに添え、てのひらを内またに収める姿勢から上体を伸ばしたまゝひざをまげ、両足をちゞめ、上の太もゝを腹側に、下の足を背側に十分開き、この間に上の手の手先を下の肩とくびとの間に運びてのひらを下方に向け、前方に伸ばした下の手は、てのひらを下に向け水を下方におさえながら手先を耳の下まで運ぶ。つぎに開いた両足は直ちに上の足の裏と下の足の甲をきかせて強くあおり、両足おや指の重なるまで水をはさむ。この間に上の手はてのひらで水を後方にかき、てのひらをまたに収める。下の手はてのひらを下に向けたまゝ前方の水面近く伸ばす。呼吸は手足の動作と調子を合わせ、足の沈むのを防ぐよう足をあおる時息を吐き直ちに吸い始める。

○ 指導上の注意

1.手足の動作とも、陸上あるいは浅瀬などで練習して、基礎動作を十分会得させるよう指導する。

2.方向が定まらなかったり、からだが上下したり、伸びが悪いのは、足の動作が弱いか悪いか、あるいは腕のかき方がからだの線に対し平行でないかによるものが多いから、その指導に留意する。

 

  速 泳 ぎ

○ 方法 ばた足で推進力を得るとともに浮きをとり、腕を交互にかきぬいて推進する。足の動作はばた足の項を参照されたい。

 腕の動作は、交互に手が肩の線を通るよう水をまっすぐ後方へ圧する気持でかきぬく。指は軽く合わせ、かき手は軽く伸ばす、水をかく時は、てのひらはやゝ外方に向けるようにする。水中での腕の各部位の関係は肩よりひじが、ひじより手首が常に深く(下方に)あるようにする。空中での腕の動作は伸ばしたまゝか、ひじを軽くまげて肩の力で水面近く運んで水に入れる。手先を水に入れる時には、少しく斜め下方に入れ、すぐにてのひらに十分水を含ませ、水の抵抗を感ずるように後方にかく。手を肩の線より内に入れたり、肩や腕の関節を硬直させたりするのはよくない。

 腕と足の動作が練習できたならば、ばた足で推進しているところに腕の動作をつければよい。腕は交互に一回動かす間に、足は交互に六回打つのが普通とされている。呼吸は腕を交互に一回ずつ動かす間に一呼吸するのであるが,水中でと口から十分吐き、頭を回して口から大きく吸うのである。

○ 指導上の注意 1.腕の動作は、陸上および肩が水に浸る程度の深さの所で、十分正しく練習し、足はばた足だけでも十分進み得るよう指導する。

2.伏したまゝ全身の力を抜いてからだを前方に伸ばし、頭をひき胸をはるよう体位の保持に留意する。

 

  背 泳 ぎ

○ 方法 からだを仰向けにし、足は水面下から足の甲で水を上方にけ上げる気持で推進力をつくり、腕は伸ばしたまゝあるいはやゝまげぎみに前方に運び、肩先のこゝろもち外側へ小指から入れ、すぐま横にやゝ深めに十分外ももまでかく。(かえる足平泳ぎを仰向けにした泳ぎもこの中にはいるが、今日では普通速泳ぎを裏返した泳ぎを意味する場合が多い。)

 呼吸は腕を一かきするごとに息を吐き出す。かき手をきかす時に息を吐き、腕を空中に運ぶ時に息をする。息は鼻から出し口から吸うように努める。 ○ 指導上の注意 1.足および腕・足と腕の関係を陸上、浅瀬などで練習して基礎動作を十分に会得させる。

2.速泳ぎと同じように仰向けにしたからだを楽に伸ばし、あごをひきつけ、目は足先をみるようにし、腰が落ちないよう指導する。

 

 七、ス キ ー

  1.横すべり

  2.半制動滑降

  3.半制動回転

○ 4.制動クリスチヤニヤ

○ 5.踏みかえ滑走

  6.三歩滑走

  7.小飛躍

○ 8.山巡り

  9.リレー

 

  制動クリスチヤニア

○ 方法

1.斜滑降から腰は斜滑降のまま左側の手を静かに出し、上体を右に回しながら新方向に視線を向け体重を左足にかける。(平制動)

2.左ひざを内側にひねり倒すようにして右スキーのテール(後端)を開き出し、前外傾するとともに、腰の確実な荷重を意識しながら右スキーに乗り移るようにして、全体重を右スキーに移す。(左回りの初め)

3.上体が外ひざを乗り越えるような気持で前外傾姿勢を深めながら右スキーに乗り、新方向に誘導し、回転が終りに近づいたら、右手を軽く前に出しながら機をとらえて立ち上がる。(左回りの完成)

4.斜滑降にはいる。

5.以上の動作を反対にする。(右回り)

○ 指導上の注意 1.緩斜面または平地で要領を会得させてから漸次急斜面を選び、スキーの開き出しを漸次少なくするよう指導する。

2.急速回転の段階では、まずこの教材の完成に努力する。

3.第一動の半制動はとくにはっきり練習させるがよい。

 

  踏みかえ滑走

○ 方法

1.緩斜面をすべりながら、右スキーを雪面から上げその先端を外側に開いてはさみ形とし、からだをその方向にやゝ強く向け,倒しつゝ左スキーの内角で雪面を強くけって踏み切り、右スキーを斜め前の雪面に踏み出し、全体重を移して右スキーをすべらせる。

2.以上の動作を反対側について行う。

○ 指導上の注意 1.スキー全体でけるようにする。(けりが強いほどよくすベる。)

2.踏み出したスキーは必ず平踏みにする。

3.けりつけた足は、スキーをすばやく上げて滑走スキーの足首近くに引きよせるようにする。

4.初歩においてはスキーをほとんど平行にすベらせ、体重の移動練習に重点をおくがよい。

 

  山 巡 り

○ 方法 学校付近の山を、学級全員でそれまでに修得した技術を生かして巡る。

○ 指導上の注意

1.技術および体力の基準を学級内の最低度の者におき、その技術によって短時間に全コースをまっとうすることが可能でかつ安全容易なコースを選定する。

2.班をつくりその責任者を定める。

3.途中でしばしば休憩を行うことを予定して、時間的に十分余裕をもつよう計画する。

4.出発に際して、服装・締具・塗ろうなどの状況を再調査する。

5.滑降の際は、適時適所に停止させて人員の点検をする。

6.悪条件の際は実施を見合わせる。

○ 用具 スキー、修理用具、救急修理品、救急薬、ワックス、ひも、応急食糧など。