第三章 入学、編入、転学及び除籍について

一、入学、編入

 新制中学校程度の通信教育を受けることのできる者は、前述のように昭和二十一年三月三十一日以前に国民学校初等修了又はこれと同等の学年を修了した者であり、新制高等学校程度の通信教育を受けることのできる者は、新制中学校卒業又はこれと同等の学力があると認められた者であるが、通信教育においては、学年制をとらずに、ひとつひとつの学科を中心として進むので、編入とか進級とかいうことが普通の学校の場合とは多少事情を異にする。通信教育では、その学科を学習するに必要な条件さえ備えておれば、学科ごとに他の学科に関係なく学習することができる。たとえば、新制中学校第二学年の国語の課程(コース)を修了した者は、他の学科がまだ第二学年の課程を修了していなくても、国語だけは第三学年の課程に進みうるのである。

 このように課程単位に取り扱ってゆくと、ある学年に編入するということは考えられなくなってくる。しかし、現在わが国には業半ばにして学窓を去ったいわゆる中途退学者が非常に多いので、これ等の者が通信教育によって学業を続けることを希望する場合の処置をきめておかなければならない。たとえば、旧制中等学校第二学年を修了している者が、通信教育によって勉強を続けようとする場合には、第二学年程度の各課程を修了した者として第三学年の任意の課程から始めることを認める。但し、旧制度と新制度とでは教科課程がかなり違ってきているので、たとえば、第二学年程度のある選択科目を、この生徒がまだ履習していないというような場合もあり得るのであって、もしこの科目が通信教育の課程として用意されているならば、もちろんこれを履習しても一向さしつかえない。

 こうした編入の基準については、学校教育法施行規則第九十三条及び「新学校制度実施準備の案内」二一一頁以下を参照されたい。

二、転学

 新制中学校が義務教育である関係から、通信教育生は普通の新制中学校への転学を全然認められない。

 新制高等学校の場合は、学校教育法施行規則第六十条に基いて、欠員があり、かつ当人の学力が十分である場合には、普通の高等学校の相当学年に転学することができる。但し、この場合にも、その生徒が普通の新制中学校卒業又はそれと同等の学力を有するものでなければならないことは、学校教育法の定める通りである。

 以上は、通信教育生から普通の学校に転学する場合であるが、このほかに、一つの通信教育実施校から他の実施校に転学する場合も考えられる。この転学は、もちろん認められるが、その場合には、校長はその生徒の履修した課程に対して修了証明書を作り、転学先の学校に廻付して、生徒がむだなく次の段階から始められるように取り計らってやらなければならない。

三、除籍

 所定の学習報告をしない生徒に対しては、校長は親切に忠告を与えなければならい。

 なお、病気その他の理由で所定の学習報告を出すことのできない者は、速にその旨を校長に届け出なければならない。

 もしも、生徒が再三の注意にもかかわらず学習報告に関する規則を遵守しない場合は、その生徒をその課程から除籍し、その課程に他の生徒を編入する機会を与えることができる。