高等学校生物科の学習指導要項(試案)
これは学習指導上の目標や注意事項などの基準を示した一案であって,将来は完全な学習指導要領が編修されなければならない。
1.目標
中学校の理科教育を基礎として,生物現象の研究方法に慣れさせるとともに生物学全般についての知識の体系を得させ,その結果さらに高い学習に進む基礎を作り,また,これを日常生活に活用できるようにする。
2.理解の目標
2.細胞は生物のからだを構成する単位と見ることができる。
3.細胞は分裂によって増殖する。
4.生物のからだのしくみには簡単なものから複雑なものまでいろいろある。
5.生物は類似の特徴をもとにして分類することができる。
6.生物には種族と個体を保待するはたらきがある。
7.生物の生活はからだの各部分がともに働くことによって行われる。
8.生物はたえず外界から物質をとり入れてからだを作りその一部を使って活動する。
9.生物はからだの中で不用になった物を排出する。
10.生物は外界の変化に反応する。
11.生物は環境に適応する能力を持っているが,それには限度がある。
12.生物のからだの構造や機能には,その環境内で生活するのにつごうよくできているところが多い。
13.生物は他の個体または種族と密接な関連を持って生活する。
14.生物のからだと外界との間には物質の循環がある。
15.生物は生物から生ずる。
16.生物の生殖法にはいろいろな型がある。
17.多くの生物には性の区別がある。
18.子は親に似るが,ある形質の現われ方は親と違う。
19.生物の形質はある程度人為的に変えられる。
20.生物は,種族により一定した過程を経て生育する。
21.生物のからだの各部分は生育するにつれて分化し,その種族の特徴を現わす。
22.人も他の生物も長い時代を経て変遷した。
23.生物の類縁は進化の道筋を示している。
24.生物に関する学問の進歩は保健あよび病気の治療に貢献する。また,これは農業・水産業その他の産業の技術をも向止させる。
25.生物学は社会の要求と他の学問の進歩とに関連して発達した。
3.教材一覧
2.形態
3.機能
4.自然界における生物の生活。
5.生殖
6.発生
7.成長
8.遺伝と変異
9.性
10.進化
11.生物と人生
12.保健と病気
13.生物学の発達とその応用
4.指導上の注意
2.生物のからだの機能と構造とを一体として理解し,生物現象を構成する要因の間の関係を調べるとともに,それら諸要因の配置状態をも明らかにさせる。
3.植物・動物・人について,おのおのの特性をつかませる。
4.生物学の成立のゆえんとその現状を理解させる。
5.生物学の応用の現状を知り,さらに新しい応用の道を見いださせる。
6.学習にあたっては,つとめて野外での観察,採集と飼育・栽培を行わせ,生物の生活のありさまを理解させる。
7.参考書・参考資料を活用する能力を養い,自発的学習態度を起すように努める。