各  論

 

商業の各単元の指導例

 

第七学年 単元 一.われわれの日常生活と経済   一. 目 的

 この単元においては,次のようなことを理解する。

(1)われわれの日常生活にとって,衣・食・住・文化生活などのために多くのものが必要であること。たとえば,米・麦・綿布・材木などのほか新聞・ラジオ・電気なども必要であること。

(2)ものを得るためのおかねを手に入れるには,働くことがまず第一にたいせつであること。働くことにはわれわれの肉体・精神のほかにいろいろの他の力,たとえば,畜力・風力・電力・機械力などが必要であること。

(3)ものやおかねを使うに当たっては,できるだけ有効にそれらを用いることがたいせつであり,そのためにいろいろと使い方をくふうしなければならない。

たとえば,燃料の場合でも科学的に完全燃焼するよう,もし,電気のような場合には少なく使って熱効率を大きくするような使い方。

(4)現在のわが国における日常生活の実体をあらゆる角度から認識し,生活の安定・充実を得るために,いろいろとくふうしなければならない。絶対量の少ない必需品を公平に配給して,ものをたいせつにする心持で使うというようなこと。

 

二.指導法

 各単元に共通する事項については,第五章を参考にしてもらいたい。

 

 一.教師の準備と活動

(1)生徒の家庭経済・日常生活についての関心と理解とを話しあう。口答・筆答の方法で調べる。

(2)わが国の一般生計費の標準を調べ,国民各層の生活水準について統計なりグラフなりを作る。たとえば,総額,内訳,食糧費・衣料費・文化費・衛生費・娯楽費・住居費・レクリエーション費などについて。

(3)じぶんの家庭の家計簿を整理して各種の費用を%でつくり,一般国民生計水準と比較してみて,どんな改善方法があるかを考える。

(4)わが国の経済・産業の実態を統計表や新聞・ラジオなどから調べ,従来のすう勢と照らしあわせて生徒に話しをする。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)じぶんたちが日常使用しているものには,どんなものがあるかを調べあげる。また,これを家計簿の内訳のようなものに従って分類してみる。

(2)じぶんたちの家庭では,どんな仕事をしておかねやものを手に入れているかを調べる。たとえば,実際に企業をしてか,給料生活者としてか,資本家としてかなど。

(3)各自の家計簿を持ちよって,じぶんたちの家庭では一月の間にどんなものに,どのくらいのおかねを使っているかを調べる。生命を維持する基本物資と生活にうるおいを与えるものとの割合はどうかを調べる。

 (B)理解のために (1)じぶんたちが今欲しいと思うものについて,その要求度の高いものから順次に書きあげてみる。そして各自のそれを比較計量してみてどういう物に一番関心が深いかを列記してみる。学校全体のものについてグラフを作ってみるもよい。

(2)家計簿について,主食費・副食費・教育費・小遣い,その他について,科目別に分類を試み,その最高・最低及び平均値を調べ,適当かどうかを現在の日本経済の段階から,また各自の家庭の社会的位置からふさわしいかどうかを調べてみる。

(3)新聞や雑誌などによって米・麦・鉄・石炭などの最近の生産状況・需要状況のすう勢を調べる。

(4)新聞や雑誌によって最近の物価の動きを調べる。

(5)新聞や雑誌・ラジオによって最近の日銀券の発行高を調べる。

(6)以上調べたところの主要な物資(鉄・石炭・肥料・米・麦など)の生産統計・物価統計・日銀券発行高統計などを比較検討して,おのおのの間にどんな連関性があるかを考えてみる。

(7)最近におけるわが国の国民所得の変化すう勢を,新聞や雑誌・年鑑などから調べてみる。

(8)じぶんの家庭の家計簿について,生活費がこの一年間各月に,どのように変わっているか,その総額・内訳について調べてみる。

 (C)練習・応用・発展のために (1)生活改善についての具体的方法として,どんなことがあるかを調べて論文を書く。

(2)新聞・雑誌・ラジオなどによって,カロリーを基礎とした日本人の食生活費を調べ出し,これを物価と照らしあわせて,現在の生活費を計算してみる。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参照してこれを実施する。

 

 第七学年 単元 二.ものをつくるには(生産)

 

一.目 的

 この単元においては,次のようなことを理解するほか,態度のかん養を目的とする。

(1)ものを生産することは,人間生活の営みを豊かにするために重要な仕事である。未開の人々の生活と文化的な人々の生活とを比較しただけでも生活に必要な物資の量が違うことがわかる。

(2)ものを生産するに必要な材料・原料・道具・機械あるいは原動力などに関する知識,かりに電気などを例にとれば,その発電・送電・電熱・照明・動力などの利用まで一連の知識を会得する。

(3)労働がものを生産するに当たってたいせつなこと。生産増強のためには労働力のレクリエーションが必要にしてたいせつであること。勤労を愛好してまじめに積極的に働く態度。

(4)資本がなくてはものの生産ができないこと,すなわち消費生活を合理化して,貯蓄によって資本を造成することが,社会経済の充実・発展のために欠くことのできないこと。

(5)ものを配給する仕事も産業であって,産業・経済並に社会生活にたいせつであること。

(6)原始生産(農産・林産・畜産・水産・鉱産)の場合には,自然が生産にたいせつなこと,及びその他生産に関係するいろいろの自然についての知識。

(7)企業が起らなければ,生産が盛んにならないことから,企業が産業・経済並にわれわれの生活にどんなにたいせつであるかということ。

 

二.指導法

 各単元に共通な事項はこの本の第五章を参考にされたい。

 

 一.教師の準備と活動

(1)生徒の家庭の職業を調べ,また生徒がそれに関してどんな関心と理解とを持っているかを調べる。

(2)わが国及び郷土の産業について,その現勢と特色とを調べる。

(3)わが国及び郷土における農業経営・工業経営の実態について,原動力・労力並に生産物の販売面を調べて,われわれの生活にどんな影響を与えるかを研究する。

(4)工場や模範的農場について見学するための連絡をとる。それについての便宜の得られない場合は,模型・写真・略図・絵葉書などを用意する。

(5)参考書・郷土研究書・生産統計書・労働能率統計書などを用意する。

(6)実習に必要な農場や工作場を整え,使用する道具・資材などを準備する。

 

 二.生徒の活動

 ここに示す生徒の活動例は,全部をやる必要はないのであって,事情に応じて適当なものを選べばよい。またここにない問題でも,郷土,学校の教育施設,また生徒の傾向などから必要なものがあったら附加してもよい。要するに,民主的な教材,生活実態にふれた教材を盛った教科課程案が勘案されればよい。

 (各単元もこれに準じて行われたい。)

 

 (A)端緒として

(1)各自が今までにものを作ったりまたは栽培した経験について,どんなものを,どんな方法で,どんなくふうをして作ったか,そうしてできあがったときの感想はどうであったかについて話しあう。

(2)米やじゃがいもなどの栽培を試みて,終始よく観察しながら,それらが生産される過程や大自然力の神秘をさぐる。

(3)工場見学や工作実習を行い,材料にくふう加工して一つの製品をまとめあげることの喜びや苦労を味わい,一貫的過程を研究する。

(4)にわとりやうさぎなどの小動物を飼う。また,そのための小舎などの設計,材料の選定,建築工作などを実地に行う。なお,かかった費用・労働量などの原価計算をも行う。

(5)蚕の飼育から製糸・紡織の過程を経て,着物になるまでの実際,たとえば,染色,模様の考案,色合いの調和などについて研究する。

 (B)理解のために (1)わが国の産業の種類,産業別人口及びその構成,有業者の人口及びその構成,地域的分布状況及びその将来における発達の見通しなどを調べ,それらを図表や略図にあらわし,わが国の産業の実状について講演会や討論会をひらいて,話しあう。また教師の批判をも仰ぐ。

(2)わが国の主要な生産物,たとえば農産中の主要食糧,鉱産中の鉄・石炭・石油,その他水産の加工品などの年生産額,原料・資材の需給状態及び生産物の販売状況などを調べ,それらを図表や略図にあらわし,それについて話しあい,また教師の批評を仰ぐ。

(3)郷土の特産物の陳列所などを見学し,その生産状況・販売状況などを過去から現在にわたって沿革的に調査,理解し,日本経済のかく期的変遷に応じて,将来どんなにすべきかを見通してみる。さらに郷土の自然・社会・経済的環境からどんな特産物ができるか,またその方法を研究する。

(4)特産物について,各自いろいろなものを持ちよって,これについて生産状況・生産過程・販売状況・将来の見通しなどについて図表を作製したりして話しあう。また展覧会を開き説明などを試みる。

(5)近くにある農事試験場・工業試験場などの研究機関やその他奨励機関・研究所などを見学して,郷土の農業・工業その他の産業の特色について話を聞き,またさらに,わが国産業の特色や生産のたいせつなわけについて,それらの当事者と話しあう。

(6)近くにある工場・鉱山・模範農場などを見学して,原料の購入,生産過程,分業の行われる状況,生産額,生産物の販路など,経営の実態及び苦心について調べ,それについて討論会や講演会を開いて話しあう。また,その際スケッチや写生をして,感想文を書いたりして教師その他に展覧し批評を仰ぐ。

(7)単元一.「われわれの日常生活と経済」の中にある「生活に必要なもの」「働くこと」を復習して,われわれの生活には多数のものが多量に入用であり,それを得るためにはわれわれは,まじめにしかも能率的に勤労しなければならないことを再認識する。

(8)わが国の気候条件の特異性と,その地域的変化及び農作物や家畜のうち,わが国に最も適したもの,中等程度のもの,全く不適当のものなどを,作物・家畜の習性と照らしあわせて調べあげる。また,わが国内で,気候条件のために大体地域的に作物や果樹などで分布が限定されたものがあれば,それについて略図を書いて展覧し説明して当業者に利益を与える。たとえば,稲のようなものは科学的研究の結果栽培北限がますます伸びていること,じゃがいもの普遍性とさつまいもの南方性などについて例示するとよい。

(9)わが国における自然力の利用状況(たとえば風力・水力など)その他地域的分布・将来性などを調査して,略図・図表・グラフなどを作り展覧したり批判したりするほか,講演会・討論会などをその問題を中心にして開催する。

(10)わが国の周囲の海流・海洋・気候,水産物の種類・年産額,その他地域的特異性及びその原因などを調べ,略図・図表を作製する。これもある一つの問題をとらえて講演会・討論会などを開いて相互に研究・討議するほか,他からの批評・指導を聞く。

(11)わが国地下資源の埋蔵量・年産額・分布状況・生産過程及びその将来性などについて調べ,作図などして見やすいようにするほか,わが国に不足している資源や全然外国にたよらなければならない資源などを調べて図解・統計を作り展覧したり,講演会や討論会を開いて話しあう。

(12)各種産業別労働要素として,人力・畜力・機械力が大体どのくらい重要であるかを調べてみる。なお先生に報告して批判をこう。

(13)ミシン縫いと手縫い,機械利用と人力による製じょう(製縄)などを実際に行って,その能率,製品の仕上りについて話しあう。なお,能率などは個人差・機械差などが著しくあらわれることなどを調べて報告する。

(14)農業・工業・商業・水産などに大別された産業中,一,二の例を選び出して,分業組織がどのようにしくまれているかを調べ,その能率上の影響を数字的にあらわしてみる。なお,将来分業組織のとり入れられる余地はないかを研究してみる。

(15)学校で行う菜園作りや運搬作業,野球あそびなどについて,分業のしくみ,協業のしくみの効果を調べてみる。たとえば,鉛筆製造工程についていくつぐらいの分業にしたら,どのくらいの能率があがるだろう。これを農業の田植え作業について,分業のしくみの適用範囲と共同作業の範囲とを研究して,どんなに工業の方が農業よりも分業の利益にあずかるかを話しあう。

(16)精米機や耕作機・計算機などについて,その発達の歴史的過程を研究してその労働能率向上に対する貢献について調べてみる。

(17)労働能率について,いろいろな統計を調べて,その効果をさらにいっそう進ませるためには,どんな方法・手段があるかを考えてみる。これについて討論会や話しあう会を開く。

(18)道具や機械を使ったあとで,それをきれいに掃除・整備し,保存に必要なようにしてしまっておく。なお,工場や修理場などを見学してその必要なわけをたしかめておく。

(19)経済統計書を調べて,わが国における各種産業別に,その経営資本額,資本運用の速度,資本の構成などを調べ,略図や図表を作製してこれを展覧したり,会や報告会を開いて話しあう。

 (C)練習・応用・発展のために (1)消費と生産の関係について論文を書く。たとえば,主食糧の米についてその定時性生産と不定時性消費の関係や,また石炭のような生産と,各種産業の原動力としての再生産用消費と,暖房・ガス用などの消費との関係について。

(2)生産能率増進のためのいろいろな方策について調べて,論文を書き教師に提出して批評をこい,ついで相互に話しあう。たとえば,農業における労作・耕種と,機械・畜力などの応用による能率について比較,論評する。

(3)石炭・米・教科書・学用ノート・鉛筆などについて,それぞれの生産のために他の産業がどんな影響を与え,また,うけるかについて論文を書く。たとえば,日本の綿糸紡績が外国産綿花・海運・保険・紡績,その他中間作業に従事する多数の労働者の力によって成り立つことを,トレーシングしながら研究すること。

(4)各自簡単な工作をしたり家庭菜園を経営した経験にもとづき,労働・資本・経営・計算などに関し論文を書き,教師の批判を聞き話しあいをする。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考して考査にあたられたい。

 学習結果の考査は,学習指導要領一般編第五章及び商業編の総論などに準じてこれを行うが,各単元における方法決定の参考のために,特に本単元に例をとって各事項を示すと次の通りである。

(1)各種の調査と研究活動及びその結果の集計・作表・考察については,記述尺度法による。

   考査事項……熱意・根気・所要時間・所要経費・配材の量や質・構想・観察力・整理能力・表現力・発表力・くふうの才・創造力・共同態度など。

(2)工作実習について 記述尺度法あるいは一対比較法による。

   考査事項……記述尺度法による場合,次のような点を考査の対象とする。何を作るかの着想,熱意,態度,製作計画,製品の良否,材料の選択,その使用,工具や材料の扱い方,くふう創造力などを考査する。製作についての感想は論文を書かせてみる。

(3)栽培・飼育実習について 記述尺度法による。

   裁培・飼育ともに一朝一夕に結果をとらえて判断することができないから,主として過程における熱意や愛育の態度について調べ,特に感想を書かせて考査する。

 

 第七学年 単元 三.ものが手にはいるまで(配給)

 

一.目 的

 この単元では,次に示すようなことについて理解するとともに,商人としての態度を養う。

(1)商業特に商品の配給(売買)の仕事が,われわれの日常生活や産業経済の円滑な運営,業務の発展にたいせつであること。

(2)近代における商業の形態が,おおむかし自給自足経済の時代から,物々交換の時代を経て,貨幣経済並に信用経済の今日のように高度に発達してきた経路。

(3)いろいろのものの配給のしくみに関する知識。

(4)商店の経営に関するいろいろの知識,殊に売買・配給に関する知識,特に商店の位置,規模の大小,取扱商品の種類・数量の決定,企業形態を単独にするか合同企業にするか,小売商か卸商かまたは仲介商かなどについて。

(5)現在におけるわが国の経済事情のもとでは,なぜ配給統制が必要かというわけ,及びそれに積極的に協力する態度とその効果。

(6)資源の少ないのに人口の多いことから,わが国の経済再建のために外国貿易が特にたいせつであること。貿易振興に尽くす態度はどうあるべきかということ。昭和二十二年八月十五日を期して管理下の貿易が再開されたことについての重大な覚悟とこれが振興策・協力態度。

(7)商店の経営に必要ないろいろの技術。

 

二.指導法

 第五章を参考して実施すること。

 

 一.教師の準備と活動

(1)郷土の町や村における商店街・工場街・住宅街などの立地,また各種商店の分布状況,商店数,商品の仕入れ方,販売の状況などを調べる。

(2)郷土に適当な商店がない場合,たとえばデパート・連鎖店などについては絵葉書・写真などを用意する。

(3)各種商店・市場・商工会議所などの見学や,夏期見習いまたは実習について連絡・打ちあわせをしておくこと。

(4)学校売店の経営のための準備をする。生徒の共同的自治経営に協力する。

(5)事務用機械・計算機械・度量衡器,その他この単元の指導に必要な教具・教材を準備すること。

(6)外国貿易,主食の生産配給,重要物資の生産配給などに関する統計を準備する。たとえば,石炭・米などについて。

(7)商店の経営に必要な技術について練習し理論をきわめておく。たとえば,そろばん・度量衡器・計算器の原理及び扱い方,その他ホッチキス・ナンバーリングなどについても。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)学校への往復の途中にある各種の商店・銀行・会社について,それぞれの企業形態・取扱い品目・一日平均売上高・仕入れ先・資本などを調べて報告する。

(2)商店街・百貨店・問屋・市場などの見学,商人から経営の実状を聞く。また,教師及び級友と見たり聞いたりしたことについて話しあう。

(3)米や衣料の配給統制のしくみ,及びなぜ統制が必要かのわけを考え教師に報告して批評を聞く。

(4)自由販売と配給とについて違うところを調べる。

 (B)理解のために (1)野菜・魚・肉・木材・鉛筆・教科書などについて,配給のしくみを調べてその系統略図を書く。

(2)主食について,じぶんの家ではどんな割合で統制配給と買い出しで,まかなわれているかを調べてみる。

(3)われわれは商店があることによってどんな便宜を受けているかについて,討論会を開き,さらに発展して配給機関としての商店の存在意義を論ずる。

(4)商人が「士農工商」といって,社会階級の最下位におかれた封建制時代のことについて話しあう。

(5)各自が商売を始めるここと仮定して,資本の大きさ,商店の位置,企業形態,取扱商品,営業モットーなどについて話しあう。

(6)郷土の町や村で商店を経営する場合,その地域の相違によって地代・家賃に違いがあるであろう。その理由を研究する。

(7)郷土の町ではどんな種類の商店が,どんな地域に分布されているかを調べて略図に書く。

(8)各種の商店・市場・組合などについて一日の平均売上高,商品の値段,平均月収などの相違を調べる。

(9)じぶんの住む町にある小売商について,注文や仕入れの方法を調べる。

(10)いろいろな商標を集め,その必要なこと,意匠その他の条件が信用・美術・広告心理などにあっているかどうかを話しあう。

(11)いろいろの商品について,それを買うときにどんな点に注意したらよいかについて話しあう。

(12)いわゆる一流の商店といえばどんな商店か。店の規模,資本の大きさ,信用の高低,従業員の取扱い,顧客に対する親切などの点から話しあう。じぶんたちの町ではどれが一流の店かについて話しあう。

(13)一流商店の店員訓を調べて,店員はどうあるべきかについて話しあう。

(14)じぶんの町で,どこの商人の態度がよいか,またどんな点がよいかについて話しあう。たとえば,客に接して,または商品の品質,数量の正確など。

(15)いろいろの広告方法(新聞・雑誌・ポスター・チラシ,その他新興広告のいろいろ)について,現在どのくらいの費用がかかるかを話しあう。

(16)学校の売店で取り扱っている商品を材料として,広告ポスターを書き展覧し批評しあう。

(17)いろいろの商品について,どんな広告法が最も効果があがったかについて実際家の経験談をきき,学校売店の広告法をくふうする。

(18)販売高を増加するために,商人はどんな広告その他の手段を実際に行っているかを調べて話しあう。薄利多売という言葉が使われているがそのわけについて話しあう。

(19)じぶんの住む町の各種の商店の飾り窓について,よいと思う店,その取扱商品,その配置・配列,照明・色彩・彩光・背景などについてスケッチして話しあう。できれば実際に飾り窓の品評会に参加して研究する。

(20)学校の売店で常に飾り窓を設計して批評しあう。

(21)商品の荷造り・包装,またその重要性について話しあう。運送会社・駅・局・百貨店その他荷役の行われるところにいって,その要領,材料の扱い方,効果などについて経験談をきき,なお実地にやってみる。

(22)商品の違いによりそれぞれ違った荷造り・包装がある。それについて研究し,より経済的でより有効な方法をくふうする。

(23)郷土の町にある各種商店の屋号・商号などを集め,その由来・効用などについて話しあう。

(24)荷造りや荷役,荷扱い上注意しなければならないことについて調べあげて話しあう。

(25)じぶんの住む町に委託販売店や日用品交換所があれば,その手続き,方法,一日の売上高,手数料などについて調べる。交換の割合が日により月により差異があるのはどういうわけか研究する。

(26)宝くじなどの売上高は一日どのくらいであるか,じぶんの住む町について調べてみる。

(27)商工会議所を見学してその組織・活動,その効果について話しあう。

(28)現在どんな商品が,統制配給されているかを調べる。それはどういうわけかを考え

(29)現在わが国は管理貿易下にあるが,どんな商品をどこの国に輸出し,どんな商品をどこの国から輸入しているか,またその量はどのくらいかについて調べる。

(30)わが国が将来見返り物資として重要視するものにどんなものがあるか。その生産見通しについて調べる。

(31)いろいろの商人について苦心成功談を聞き,じぶんたちが商人となって商業を経営する場合にどうするかについて話しあう。

(32)ホッチキス・ナンバーリングなど新しい事務用具について,その使い方・保存法を研究する。

(33)注文書・請求書・受取書・送り状その他商業取引上用いられる書類について,その記入,その扱い方などを実習する。

(34)習字を行い常時正しく早く美しく書けるように実習する。

(35)謄写印刷術について実地に練習する。

(36)夏期または冬期などの休暇を利用して商店経営の見習い実習をやる。

(37)班・組に分かれて学校の売店の経営に当たり商店経営の実際に習熟する。利益をモットーとしてよい商品を安く売る方法その他を研究する。

(38)商店の経営は誠実が第一であることを実際に行ってみる。

 (C)練習・応用・発展のために (1)現在の社会におけるわれわれの日常生活上配給がどんなにたいせつかについて論文を書く。

(2)商店が存在してわれわれの生活上どんな便利を受けているかについて話しあう。また,商店があるためにどんな不便・不利を受けているかについても話しあう。

(3)商店を全くなくした場合について話しあい,商店の数はどのくらいがよいかについて話しあう。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にして行う。

 

 第七学年 単元 四.ものを運ぶには(交通・通信)

 

一.目的

 この単元では次のような事がらを理解する。

(1)交通及び通信がわれわれの個人生活・社会生活上どんな重要な役目をもっているかについて,たとえば,通信の往復や貨物の運送の進歩・発達が,われわれの行う産業の発達,生活文化の向上にどんな効果があったかなど。

(2)いろいろの交通及び通信の方法,その特徴など。

(3)いろいろの倉庫について,その機能・構造・特徴など。

 

二.指導法

 第五章を参考にする。

 一.教師の準備と活動

(1)郷土にある交通及び通信機関を調べ,その発達した状況について調べる。

(2)わが国における交通・通信機関の現在の活動状況について調べる。たとえばその距離・取扱数量などについて。

(3)駅・局・港湾施設・放送局・新聞社・倉庫などについて見学・実習のための連絡をとる。

(4)運輸統計・通信統計・港湾統計・交通案内地図・汽車の時刻表などを用意する。

(5)交通・通信で適当な便宜が得られない場合は絵葉書・写真などを準備する。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)駅にいって旅客や貨物輸送の実状を見学し,当事者から最近の鉄道輸送の現状についての話しを聞く。

(2)港にいって港湾施設・税関などを見学し,汽船会社で水上輸送について話しを聞く。

(3)郵便局について局の各班の活動を見学し最近の郵便・電報・小包の発着数量・品種などについて話しを聞く。

(4)丸通など荷物の回そう問屋にいって,そこで行われている業務について見学し,当事者から取扱品目・数量・従業員数・危険負担などについて話しを聞く。

(5)倉庫にいって貨物保管の状況を見学し,当事者から活動状況について話しを聞く。特殊な機構の倉庫,たとえば,乾繭倉庫・冷凍倉庫などについて調べる。

(6)郵便局・電話局・放送局・新聞社などにいって,そこに行われている仕事について見学し,当事者から話しを聞く。さらに従業員が公共的仕事に従事することに誇りをもってやっているかどうかについて聞く。

(7)以上のような見学・視察・聴講の便宜がない所では,各自が交通・通信・倉庫などに関する絵葉書・写真・図解などを持ち寄り互に見せあって先生の話しを聞き,かつ話しあったり,読書して調べたりする。

(B)理解のために (1)郷土におけるいろいろの交通機関(自動車・汽車・電車・馬車・人力車など)の種類・特徴・数量,及びこれが利用に当たっての費用などを調べ,現在利用表などを作図する。また郷土にない交通機関についても,経験談・書物などから調べてその機能などについて知る。

(2)わが国の略図を書き,その中に国鉄・私鉄を色分け記載し,主要駅間のキロ数を記入し,その営業マイル数を書く。

(3)地下鉄または高架鉄の所在を調べ,その特徴・効用・機能について調べる。海底トンネルによる連絡の便利を考える。

(4)陸上交通・海上交通及び鉄道と自動車などの交通機関の特徴と便利とを調べて比較する。

(5)交通機関の原動力として電気・蒸気・ガソリン・石炭・木炭などについてそれぞれの特徴と需給関係について調べる。

(6)鉄道の貨客輸送料金について調べる。そして自動車及び汽船のそれと比較する。

(7)車内特ち込みについていろいろの制限がある。これについて調べる。品種・数量または容積について,また郵便小包についてのこのような制限について調べる。

(8)手荷物の重さ及び容積の制限とこれが料金について調べる。

(9)貨車扱いによる貨物の等級・料金について調べる。

(10)わが国現行貨物自動車の数及びその型式などについて調べる。

(11)世界の海の主な海流を調べて海図に記入し,わが国の近海のそれについて特徴と効用とを調べる。

(12)わが国現在の国際管理下における船舶保有能力について調べる。

(13)最近受け取った郵便物を持ちより,国内各地から郷土の町へ何日ぐらいで到着するかを調べて,地図に書き込んで参考にする。

(14)封筒の料金と重量との関係を調べる。

(15)開封・帯封で出せる郵便物及びその重量対料金率を調べる。

(16)書き損じた葉書の利用法について研究する。

(17)第四種・第五種郵便物についてその量目及び料金を調べる。

(18)書留・価格表記・速達などの料金を調べる。

(19)和文,欧文電報の料金換算率並に至急報・普通報などについて調べる。

(20)郵便局の私書箱とはどんな制度か調べ,実際に見学してこれが開設を研究する。

(21)小包郵便の重量や容積の制限と料金とを調べる。小包で送れないものの種類を調べる。特殊取り扱いとして小包米制度が設けられたがどんなことか。

(22)普通小包と特別小包との差異及びその料金を調べる。

(23)普通電報及び特殊電報の種類と料金とを調べる。

(24)電報に関する暗号・略号及び誤り易い文字・文句などを調べて表にしておく。

(25)郵便局以外で電報を取り扱う所があるか調べる。

(26)郷土の町や村で電話加入者がどのくらいあるか調べる。

(27)電話を取りつけるにはどうすればよいか。その手続き,その料金などについて調べる。

(28)最近におけるわが国の郵便局の等級別の数と,その増加のすう勢,及び各種郵便物取り扱い数量のすう勢を郵便統計から調べる。そして国民経済の発達とどんな関係にあるかを研究する。

(29)わが国における放送局,及びラジオ聴取者の数とその増加すう勢を調べる。

(30)わが国における大新聞5種を選び,その発行部数,発行のしくみ,記事を集める苦心,速報上の苦心,確報上の苦心などについて当事者に経験談を聞くなり,調べるなりする。

(31)電報頼信紙への記入について実習し,どうすれば公共的でよいかなど,利用者としての良心を研究する。

(32)商業文の書き方を実習する。最近口語文体が推称されているが,以前の候文体とを比較して優劣を研究する。

(33)電話のかけ方について研究し,国内同志と進駐軍関係とでどう違うかを調べる。

(34)新聞の読み方について研究し,老練者・実業家などの経験談を聞く。

(35)葉書・封書の宛名の認め方についてどうすればよいかを研究する。

 (C)練習・応用・発展のために (1)世界の主な航路を地図に記入し,更にどんなものがどこの国から,どこの国に運ばれるかを調べて記入する。

(2)東京または大阪,あるいは郷土からどこか特定の場所までの,団体旅行の計画を立案し,所要日時・所要費用・宿泊箇所・見学箇所などを調べる。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にする。

 

 第八学年 単元 一.おかね(貨幣)と小切手

 

一.目 的

 この単元では次のようなことを理解し,会得する。

(1)現今のように高度に発達した経済組織のもとにおいて,物資の円滑な流通のために貨幣が重大な役割をもっていること。

(2)貨幣のはじまりとその変遷の歴史。

(3)わが国における貨幣の発行制度や,通貨の種類とその特質。

(4)おかねを早く,正確に計算する技術。

(5)小切手の商業取引における重要性,並に小切手の種類・振り出し・譲り渡し・支払いの手続き。

 

二.指導法

 第五章を参考にする。

 

 一.教師の準備と活動

(1)わが国現行の通貨及び古い通貨などを集めて,その特徴を研究しておく。

たとえば,硬貨と軟貨,銀行券と政府紙幣,本位貨と補助貨などについて。

(2)外国貨幣の種類とその単位を研究しておく。

(3)わが国の貨幣制度を沿革的に研究しておく。できればわが国で過去において通用した貨幣,その見本や写真・絵葉書などを用意する。

(4)使用ずみの小切手を用意して,その振り出し・譲り渡し・支払いなどを研究しておく。

(5)郵便局や銀行でおかねの計算を担当している人から,おかねを数える要領・技術を教えてもらい,練習しておく。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)各自の持っているおかねを出して,なぜお互におかねを持っているか,おかねがあるとなぜ,どんなものでも買えるか。父母や兄弟はどうしておかねを手に入れているか。得るための苦労と使うときのやさしさとを考えあわせ,また,どこでどう発行されるかについても話しあう。

(2)造幣局・印刷局などを見学し,貨幣が生まれるまで,また発行について話しを聞く。

(3)もし,われわれがおかねなしに暮すとすれば,どんなに不自由かについて話しあう。

(4)わが国でむかし用いられた貨幣を持ち寄って,いつごろ用いられたか,またなぜ廃されたかについて話しあう。

 (B)理解のために (1)わが国の貨幣のはじまりとその変遷について調べる。

(2)わが国の金属貨幣にどんなものがあるか,またその材料はどんなに変わったかを調べる。

(3)わが国における紙幣を持ちよって,政府紙幣・日本銀行券の区別について話し合う。

(4)わが国に現在通用されている補助貨幣を集め,その種類・単位を調べ,それがあるがためにどんな利便を得ているかについて話しあう。

(5)外国貨幣の種類・単位などを調べる。

(6)貨幣や紙幣を摩損したり,き損したりした場合,通貨として通用するかどうかについて調べる。

(7)平価切り下げとはどんなことをするのか,その影響について調べる。

(8)わが国でなぜ新円が発行され,旧円と代替えしたかの理由を調べる。

(9)封鎖預金にはどんな区別があるか,どんな場合にその引き出しが許されるかについて調べる。

(10)日本銀行券の発行高について最近数年間の分を調べてみる。

(11)おかねを早く,正確に数える実習をする。

(12)小切手の振り出し,裏書き譲り渡しについて実習する。

 (C)練習・応用・発展のために (1)貨幣の働きの流通経済界に及ぼす影響について論文を書く。また,貸幣の働きを調節することによって,生産業界にどんな影響を及ぼすかについて論文を書く。

(2)おかねの数え方について練習する。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にする。

 

 第八学年 単元 二.ものの値段(価格・物価)はどうしてきまるか

 

一.目的

 この単元においては,次のようなことを理解する。

(1)ものの値段はどうしてきまるか,また,その上がり下がりはなにに原因するか。

(2)インフレーションの原因,インフレーションがわれわれの生活に及ぼす影響及びそれを防ぐにはどうしたらよいか。

(3)やみ価格はなぜ起ったか,また,それはわが国の財政経済やわれわれの私生活にどんな影響を及ぼすか。

(4)やみ価格をなくするにはわれわれ国民はどうすればよいか。

(5)ものの値段はなぜ統制されるのか,またそれに対してわれわれはどんなに協力したらよいか。

 

二.指導法

 第五章を参考にする。

 

 一.教師の準備と活動

(1)いろいろな日用品・食料品などについて,公定価格とやみ価格を調べ,なぜ両者が大きく違っているかについて研究する。

(2)最近における公定価格とやみ価格の変化のすう勢を調べ,通貨の流通量や生産状況と連関して,それらの間に存在する相互作用を研究する。たとえば日本銀行券の発行すう勢とやみ物価の騰貴の実状とを連関的に研究する。

(3)わが国に現在用いられている公定価格が,漸次上げられなければならない経済事情を研究しておく。

(4)いろいろな主要物資について,地方的なやみ価格の相違を調べ,その理由を研究しておく。

(5)生徒の家庭の職業を調べたのを用意する。

(6)家計簿を整理して,ものの値段の騰貴に伴なって生計費の増大する割合を調べておく。

(7)物価統計・賃金統計・生計費指数など諸統計を用意しておく。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)いろいろの日用品・食料品などについて公定価格とやみ価格の比較研究を行う。そして各自の家計について,公定価格だけで生活する場合とやみ買いで生活する場合との生計費の相違を比較する。

(2)なぜ,わが国で新円が発行されたかについて復習する。

(3)同じ商品でも,店によって売り値が違うのはなぜかを研究する。

(4)商品の品質と価格との関係を吟味して,高価必ずしも高からず,安価必ずしも安からずということについて話し合う。

 (B)理解のために (1)なぜ,公定価格がきめられているか,また,なぜやみ価格が存在するのかを調べる。

(2)わが国現在の日本銀行券の発行高及びその推定流通高を調べる。

(3)最近における物価指数の変化すう勢を調べる。

(4)どんな品物にどんな種類の税金がかけられているかを調べる。

(5)生産統計,日本銀行券の発行高,物価統計,賃金統計などによってインフレーションの原因,及びそのわれわれの生活及び産業の発展に及ぼす影響,インフレーションの防ぎ方を研究する。

(6)主要物資について,その生産価格及びその決定方法を調べる。

(7)主要物資について,卸売価格・小売価格を調べ,生産価格から小売価格にいたる一連の過程について,その間の商人の獲得する利益や,運賃その他価格に加算される金額を研究する。

(8)百貨店・単一店・露天商・行商・消費組合・標準店などにおける同種商品の価格の相違を調べ,その理由を考える。

(9)最近における各物資の値段の上がり下がりを調べ,その原因を研究する。

(10)物価値下げ運動はなぜ起ったか,どう協力すればよいかについて話しあう。

(11)最近一年間における生計費の変化を調べ,ものの値段の変化と連関して研究する。

(12)最近一年間における賃金の変化を調べ,ものの値段の変化と連関して労働者の生活を考える。

(13)学校菜園で栽培されたもの,工作で作られたものについてバザーを開いて,その値段を実際にきめる。

(14)学校売店における学用品の小売値段の決定をやってみる。そして,市中における同種商品の値段と比べてみる。

(15)商店見習い実習において,小売値段の決め方を研究する。

(16)いろいろの商品について,平均利潤率はどのくらいか調べる。

(17)銀行事務はどのくらいに分かれて,どんな種類・内容があるか調べてみる。

(18)始めて預金をしようとする場合,銀行にするか郵便局にするか,または組合にするかは,どこでどういう条件を見て決定するか。また同じ銀行ならどういうところに注意して取引銀行をきめたらよいか。

(19)学校の会計課にいって,経費が現金で支払われているか,または小切手で支払われているか調べてみる。どちらがよいか研究する。

 (C)練習・応用・発展のために (1)やみ値段をなくするには,どうすればよいかについて論文を書く。

(2)各種の物資について,値段を統制するのがよいか,また自由に放任しておくのがよいかについて,商人・消費者・生産者などすべてにわたって世論調査をしてみる。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にする。

 

 第八学年 単元 三.おかねの融通(金融)

 

一.目的

 この単元においては,次のようなことについて理解し,これに処するの態度を養う。

(1)あらゆる経済活動はおかねの融通(金融)という貨幣の働きによって円滑に行われ,さらにますます発展すること。

(2)金融機関の種類とその働き。

(3)金融の統制の行われなければならない理由,及び進んでこれに協力するの態度。

(4)金融によって産業活動を左右し得ること。

 

二.指導法

 第五章を参考する。

 

 一.教師の準備と活動

(1)郷土における各種の金融機関について,その種類・数・規模・活動状況などを調べる。たとえば資本総額・払込資本額・預金額・貸出額・社債・投資額などを調べて,その基礎の堅実か否かを研究する。

(2)郷土にある銀行についてその組織,業務の実際を調べておく。

(3)銀行・郵便局・組合などの預金・引出・貸出などの手続きを調べておく。

(4)郷土に最も近い所にある手形交換所について手形交換高,その最近のすう勢,加盟銀行などを調べておく。なお,新聞をみて最近の手形交換高を調べておく。

(5)手形の振り出し・裏書き譲り渡し・支払い・不渡りなどについて調べておく。

(6)生徒の家庭の金融機関利用状況を調べて,どんな種類の預金を,またどんな金融機関を多く利用しているかを調べておく。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)生徒各自の家庭では郵便局・銀行・組合など,金融機関のうちどれを利用しているか,その利用方法はどうかを調べる。

(2)各自の家庭では,にわかにまとまったおかねが必要なとき,また日常生活費の不足はどんな方法で補っているかを調べる。

(3)郷土にはどんな種類の銀行がどのくらいあって,どんな金融的活動をしているかを調べる。

(4)郵便局ではどんな金融活動をしているか聞いてみる。

(5)郷土の信用組合・頼母子講などの金融機関の有無を調べ,その金融的活動の範囲・金額・効果などについて調べる。

(6)郷土の住民の中どんな商売の人が,最も多く金融機関を利用しているか,また職業別利用高を図表に作製してみる。

(7)高利金融というのがあるが,どんなものか聞いておく。

(8)問屋金融について調べる。

 (B)理解のために (1)社会の各種階級の人々は,この金融的活動によってどんな利益を得ているかを調べる。たとえば商人・工場経営者・農業者・一般サラリーマンなど。

(2)郷土にある銀行について資本総額・払込資本額・積立金額・預金総額・貸出額などを調べて,それがどんな産業に多く利用されているかを調べる。

(3)銀行における各種の金融方法の手続きを調べ実地に行ってみる。

(4)各自の家庭が取引を結んだ原因についてわけをきいてみる。たとえば,銀行をなぜ金融取引の対象と選んだか,多数の銀行のうちなぜその銀行を選んだか,郵便局にはどういう考えを持っているか。

(5)郷土における銀行の預金利率・貸付利率はどのくらいか調べて,全国平均とどんな差があるか,またそのわけはどうか。

(6)小切手の種類・効用について復習する。

(7)手形の振り出し・裏書き譲り渡し・引き受け・支払い・不渡りなどについて実際家の経験談を聞く。また,実際の手続きに習熟する。

(8)手形や小切手をなくしたら,どうしたらよいか。

(9)新聞やラジオに注意して,手形交換高を調べ,最近5箇年間のすう勢をグラフに書く。

(10)代金支払法・送金法などを安全性,迅速性,手続きの容易性などの点から研究する。

(11)郵便貯金の各種についてその最高金額を調べる。

(12)郵便貯金の利率を調べ銀行利子とそれを比較してみて,なぜ差異があるかを調べる。

(13)いろいろの預金について10年後に1万円,20年後に5万円,30年後に10万円を受けとるには,毎年どのくらいずつ預金をすればよいか。利率年5分として計算する。

(14)銀行と郵便局で扱う為替について,それぞれの特徴と料金とを調べる。

(15)振替貯金について次のことを調べる。

(イ)各自の家庭で振替貯金に加入しているかどうか。

(ロ)振替貯金が安全で便利であるわけ。

(ハ)加入手続き・送金手続きのいろいろ。たとえば払い込み・振り替え・払いもどし・局待ち払いなど。

(16)郵便局に集まった貯金はどんなふうにして利用されているか,そして実際社会のどんな方面にどのような効果をもたらしているか,また,その利用条件はどんなであろうかを調べる。

(17)貯蓄が社会経済生活においてどんなにたいせつかを研究する。たとえば,われわれのれいさいな貯金も集まればばくだいな額のものとなり,学校々舎の建築,築港々湾施設などに用いられて,われわれの文化,われわれの産業に効果をもたらしている。その他どんなに用いられているか調べる。

(18)庶民金庫の業務を調べ,その社会的効果について研究する。

(19)質屋が金融上どんな役割を果たしているかを調べる。公設質屋の制度のある国があるかどうか調べてみる。

(20)郷土に信用組合があるかどうか。もし,あったらその設置・業務,並に地方に及ぼす効果について調べる。また,市街地の信用組合はどういうところが違うか。

(イ)信用組合の貯金額・貯金者数・貯金者の種類について調べ,銀行または郵便局利用者とどう違うかを研究する。

(ロ)信用組合の貸し出しは,生産資金と生活資金とであるが,一般にどちらが多いか調べる。

(21)学校の販売店について,資金が不足したとき,どんなにして補えばよいかを研究する。商品の仕入れ,代価の支払方法などはどうしたらよいか,研究する。

(22)百貨店・商店などに見習い実習にいって,いろいろの商店において金融方法をどうしているか調べて,各自の経験について座談会をひらき,実験法を発表し,商店の種類と金融方法との連関について調べる。

(23)学校で開いたバザー,または行商によって得た利益の処分または貯蓄をどうするかを研究する。

(24)学校の会計は,どのようにおかねの出し入れをしているかを調べる。たとえば,どのようにして日本銀行から受けて費用を支払い,授業料その他の収入を日本銀行に預金しておくか,またその関係はどうかを研究する。

(25)現在日本銀行券が1,900億も発行されているというが,それがどんな所にあり,どんな作用を経済界に及ぼしているかを,新聞やラジオまたは先生の話しを聞いて研究する。

 (C)練習・応用・発展のために (1)預金・資金の借り入れ,代金支払い・送金その他いろいろの場合を仮定して実際と比較研究する。また話しあう。

(2)各自の家業において,資金を借り入れる場合を仮定して,取引先を定めるにどんな条件をもってしたらよいかを研究する。そして先生に指導・批評をしてもらう。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にする。

 

 第八学年 単元 四.保険はどんなにたいせつか

 

一.目的

 この単元では次のようなことを理解する。

(1)われわれの生活または企業をおびやかすいろいろの危険には,どんなものがあるか。たとえば生命に対しては生死の原因となる病気のようなもの,企業に対する景気変動などがあるが,こうした危険のうち保険にかけられる危険にはどんなものがあるか,かけられない危険にはどんなものがあるか。

(2)保険が個人及び社会に対して損害を補い,更生に役立つということ。たとえば 家を焼かれた人は火災保険で再建ができる。

(3)保険の種類とその活動機能や保険を経営する機関について。

(4)いろいろな保険の契約手続き。

 

二.指導法

 各単元に共通する事項は第五章を参考にして実施する。

 

 一.教師の準備と活動

(1)生徒の家庭の職業と連関して,保険の必要なこと。そしてかけられている保険の種類・性質・契約額などを調べる。

(2)わが国現在の各種別保険会社数・契約件数・保険金額・支払保険金などを調べる。

(3)保険に関する統計を準備する。たとえば生命保険について会社数,その組織内容や活動内容など。

(4)保険は現在どんなものに対して行われているかを調べ,将来どんなものが保険にかけられるようになるかを研究してみる。たとえば,今後保険はどんな方向に展開するだろうか。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)各自の家庭ではどんな保険に加入し,どんな契約を結び,どれほど保険金を支払っているかを調べる。

(2)部落・町村・学校などで保険に加入している者の数・種類別と調べて知識の程度とその保険加入の割合とを研究してみる。

(3)生活や企業をおびやかす危険について話しあう。

(4)最近一箇年間郷土における火災度数及びその原因,火災保険加入の有無,損害の額と保険金の額との関係を調べる。

(5)運送保険・海上保険などのほか旅行保険などについて話しあう。

 (B)理解のために (1)われわれの身辺にあるもののうちから,保険されるものとされないものとを調べる。

(2)各種保険について,この契約及び契約金受け取りの手続きを調べる。

(3)火災保険料が,保険をかけられる客体のある地域によってどんなに違うか,またそれはどういうわけかを調べる。

(4)火災保険証券の裏書きにある約束を調べる。

(5)火災による損害で保険金を受け取れるものと受け取れないものとを調べる。

(6)海上保険について,保険金を受け取れる場合と受け取れない場合とがある。どう違うか研究する。

(7)運送保険について,最近一箇年間に起った損害,その原因,保険金の支払額などを調べる。

(8)生命保険について,わが国における一箇年間の死亡総数と,その原因,生命保険加入割合を調べる。

(9)傷害保険について,傷害件数・原因並に保険がかけられていたかどうかについて調べる。

(10)簡易生命保険の保険金や保険料について調べる。

(11)簡易生命保険の契約件数・契約金額などを調べる。

(12)旅行保険について,それがなぜもうけられたかのわけと,その一般普及利用状態を調べる。

(13)じぶんたちの学校生活において,保険に類したしくみがつくれるかどうかを考える。

 (C)練習・応用・発展のために (1)事故や損害の痛手を緩和するために,どんな方法があるかについて論文を書く。

(2)将来ぜひ必要と思われる保険制度とそのわけについて論文を書く。

(3)農業保険・家畜保険・森林保険などについても,各自の地方でどんなに利用されているかを調べる。ついでに,保険に関する一般地方民の知識・関心の程度を調べる。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にする。

 

 第九学年 単元一.所得と消費について

 

一.目 的

 この単元においては,所得と消費の学習を通じて次のようなことを理解し,会得する。

(1)所得はどうして発生し,どうして手に入るか。

(2)所得の種類にはどんなものがあるか,そうして,その額はどうして決定されるか。

(3)生活を豊かにするためには,消費を合理的に整えて,将来の不時に発生する災害にそなえると同時に,積極的に働いて収入を増加させることが必要である。

(4)消費を合理化することは,たとえば,栄養を考慮した食生活,衛生・礼節を考えた住居・衣服,国産・増殖を考えた貯蓄心など。

 

二.指導法

 各単元に共通する事項は第五章を参考にすること。

 

 一.教師の準備と活動

(1)わが国及び主要外国の国民所得はどのくらいか。国内統計書や国際統計書から調べて比較する。

(2)わが国民の標準生活費を調べて,各種職業者の収入と比較してみる。

(3)賃金統計(主要産業従事者,たとえば,石炭工・紡績工・勤労者など),その他生活費統計(前と同様に主要職業者の)を準備する。たとえば,政府の発表したもの,労働組合の発表したもの,または,栄養研究所・労働科学研究所などの科学的根拠より発表したものなど。

(4)自家の家計簿を整理して,所得・消費の最近数年間の変化すう勢をみる。たとえばエンゲルの法則を基準として比較する。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)各自の家庭の所得・消費について,どんな種類の費目にどのくらいの金額を消費しているかを調べる。

(2)各自の家計について自給品の品目・数量その価格を調べ,全体に対する割合を調べる。

(3)将来の支出のために,または次の生産のために,どんな用意がなされているかを両親に聞いて話しあう。

(4)第七学年の〔単元一,「われわれの日常生活と経済」〕を復習する。

 (B)理解のために (1)新聞やラジオに注意して,最近わが国の国民所得及びその国民一人当たりの額はどのくらいかを調べる。

(2)新聞やラジオまたはいろいろな経済統計書を見て,各国の国民所得を調べる。

(3)いろいろの職業について,平均賃金額,その構成内容について調べる。たとえば構成については,自給部面と購買部面の割合,または現金支給・現物支給の別,基本給,能力給,家族手当,勤務地手当,危機突破資金などについて調べる。また,適正賃金の理想はどうあるべきかを研究する。

(4)わが国の賃金が,諸外国のそれに比べて安いことが,わが国の従来の産業,特に輸出貿易に,どんな影響を及ぼしていたかを調べる。

(5)都市及び農村の土地について,どんな所にある,どんな土地の地代が高いかを調べる。

(6)産業と繁栄させるために,資本の利子がどうあればよいかについて研究し話しあう。

(7)じぶんの家の生活費(家計)を調べて,わが国標準生活費に比較し改良すべき点はどこにあり,どのように改善すベきかと研究する。

(8)農家・商人・工員・都市のサラリーマンなどの収入・支出の内訳について研究し,どの階級のものがどの方面に最も費用を投じているかを調べる。

(9)1800円ベースについて先生に聞く。

 (C)練習・応用・発展のために

 生活費の面から生活を安定させ,充実向上させるために,どんなくふうをこらすべきかにつき論文を書いて話しあう。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にする。

 

 第九学年 単元 二.事業はどう経営するか

 

一.目 的

 この単元では事業の経営の学習を通じて,次のようなことを理解する。

(1)社会が健全な発展をするために,企業がどんなにたいせつであるかということ,並に企業と国民各自の家計とが密接な関係があること。

(2)企業は収入と支出とを適合させる経営経済であること。

(3)単独企業・合同企業の長所・短所について。

(4)家計,企業経済及び国家の財政運営にも,平衡の原理,能率の原則が適用されること。

(5)会社及び組合の長所と短所とについて。

(6)国家が直接経営にあたるもの,資金を出しまたは補助金を出して援助するものなど,そしてその種類・特徴・効用など,たとえば,専売・鉄道・通信・船舶・保険などの事業について。

(7)石炭国管の問題などについて,国家直営・国有民営・民有国管など。

 

二.指導法

 各単元に共通な事項については第五章を参考にする。

 

 一.教師の準備と活動

(1)生徒の家庭の職業中,企業・経営に類するものを調べる。

(2)郷土にある各種の会社・組合などについて,その種類・事業・組織・運営,並に地方への影響について調べる。

(3)郷土地方に国営または国管事業があるか調べる。

(4)郷土近くにある事業経営体を見学・視察し,生徒が見習いできるように連絡をとる。さらに当事者に来てもらって話しをしてもらうようにする。

(5)どんな事業はどんな組織のもとに経営するがよいか,現今行われている一般社会経済のうちの企業形態から実例をとって参考案をつくっておく。

(6)会社・組合の設立,商店の開業について,関係法規を研究して生徒の学校共同店開設の場合に,指導できるように準備しておく。

(7)郷土にはどんな種類の事業が適するか,そしてその企業形態及び組織はどうしたらよいかを,産業立地条件などから調べておく。

(8)郷土の産業立地条件を調べて,生徒を指導できるように,資源・労力・原動力・交通・顧客などの各条件について表を作っておく。

(9)会社・組合等の郷土にあるものの数,資本額,事業の範囲などについて,統計資料を準備しておく。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)郷土にある会社・組合・商店などを見学し,当事者から経営・組織・規模などについて話しを聞く。

(2)学校の売店や学校菜園の経営はどんなになされているかを調べ,これをどうしたら合理的・能率的になしうるかを研究する。

(3)各自家庭の商売を事業経営として見た場合,その組織・規模・経営方針などがどんな部類にはいるかを研究する。

 (B)理解のために (1)郷土における会社・組合について,その数・種類・経営組織及びここに行われている事業の内容について調べる。

(2)郷土で事業を起すとすれば,どんな事業を,どんな形態で,どんな規模で始めたらよいかを計画してみる。

(3)貿易商会を始めるとしたら,どこで,何を,どんな規模・組織で始めたらよいか計画をたててみる。

(4)統計書を調べて金融業(銀行・信託)や各種産業(電気・肥料・石炭・鉄)の会社数・総資本額・払込資本額などを調べ,最近数年間の変化のすう勢をグラフに書き,話しあう。

(5)学校の売店,学校菜園の経営について,必要な資金・経営組織・規約などを実際と照らし合わせて立案する。

(6)わが国の財閥がなぜ解体されたか,そのわけを新聞・ラジオ・雑誌などから調べて判断し,話しあう。

(7)企業の合理的な経営はどうすればよいか。書物を読んでみなで話しあい,ほぼ成案を得て先生の批評をこう。そしてこれを学校の売店の経営に照らしあわせてみる。

(8)経営者が持たなければならない責任はどんなものか,みなで考えて話しあう。立派な社会的産業人とはどんなものか,過去におけるわが国及び世界の事業家の経歴について話しあい,また,現在の人の中にもそうした人があるか話しあう。

(9)わが国の政府の直営事業・出資事業・補助事業について,その種類・数・経営の実状を話しあう。

(10)どうしても国営事業でなければならない事業には,どんなものがあるか話しあう。

 (C)練習・応用・発展のために (1)多数の人々が集まって力を合わせて仕事をすると,どんな点がよいかについて論文を書く。

(2)石炭事業の国管案について論文を書く。

(3)主食糧(米穀)の国営専売制について論文を書く。

(4)郷土の立地条件を調べて,どんな事業が適するかを研究する。

 

三.学習結果の考査

 第七章を参考にする。

 

 第九学年 単元 三.国の財政はどうたてるか

 

一.目 的

 この単元においては次のようなことを理解する。

(1)財政と経済との異なること。

(2)財政とわれらの家計経済とが密接な関係をもっていること。

(3)国家の予算や地方自治団体の予算はどう決定するか,またその決算の仕方。

(4)国家及び地方自治団体の歳入・歳出のあらまし。

(5)国民各自の経済がどんなぐあいに国家の財政と連関をもつか。

 

二.指導法

 第五章を参考にする。

 

 一.教師の準備と活動

(1)すでに調べた生徒の家庭の職業を参考として,これと連関のある租税について,その額・名称・納期などについて調べる。

(2)生徒の学習進行と国の財政との連関性を調べる。

(3)国家財政や地方財政について,歳入・歳出の内訳などの統計を用意する。

(4)申告税制度について教師にきく。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)じぶんの家ではどんな直接税をどのくらい納めているかを調べる。また間接税として納めているものに,どんなものがあるか調べてみる。たとえば,地租・営業税・所得税・山林税・砂糖消費税・織物消費税・酒税・タバコ税・交通税などについて。

(2)われらの運道具・学習用品に税はかかっていないか調べてみる。たとえば,グラブ・ネット・ボール・スキー・写真器・楽器などについて。

(3)じぶんの家にはどんな種類の公債があるか聞いてみる。

(4)国家はどんなふうにして歳入を得,また,それをどう使っているか,今まで学んだ知識で話しあう。

 (B)理解のために (1)昭和22年度の国費・地方費の歳入歳出表を調べて,そのうち教育に関する費用がどのくらいあるか計算し,その全体に対する%をだす。

(2)じぶんたちの市町村・都道府県などの地方財政について調べてみる。たとえば,その総額,一人当たりの額,また教育費はどのくらいかなど。

(3)社会科ですでに学んだ,租・庸・調などと連関して,現物小作料・金納小作料などむかしと今の税について調べてみる。

(4)財産税というのはどういうものか。そしてその税率を調べる。非戦災税について教師にきく。

(5)勤労所得税についてその税率を調べ,賃金の大小によって税高が違うところを数字にあらわしてみる。

(6)間接税はどんなものか,どうして間接税がかけられるのか,そのわけ。昭和22年度に国家はこの間接税収入をどのくらい見積っているか。

(7)わが国の国債について,現在までの種類別発行総額,現在残存額,一箇年間に支払われる利息額などを調べる。

(8)わが国の産業収入の種類別収入額を調べる。

(9)学校の経営費用,河川・土木・橋りょうなどの修理保全費用,失業保険費,健康保険施設費,図書館などの公共事業費などはどんな費用でまかなわれているか。また,どんな費用でまかなうのが理想的であるかを考える。

(10)家計・会社企業会計・国家財政の間にどんなところに相違点があるか調べてみる。生徒個人の会計はどうか。

 (C)練習・応用・発展のために (1)国家の財政状態が国民生活に及ぼす影響について話しあう。

(2)財政収入の源として,その負担を将来の国民に残す国債と,現代の国民が負担する税金とでは,どちらがよいかについて話しあう。

(3)国民各自が身分想応に税金を不公平なく負担するようにするには,どうすればよいか考える。たとえば,クラスや校友会各部の事業に出費することを例にとって考える。

三.学習結果の考査

 第七章を参考とする。

 

 第九学年 単元 四.国民経済について

 

一.目 的

 この単元では次のようなことを理解し,これに応ずる態度を養う。

(1)国民経済と家計とは密接な関係があり,家庭経済の向上発展のために国民経済を安定し,充実しなければならないこと。また,そのためには国民全体が積極的に経済再建に尽くす態度を養うこと。

(2)商業は国民経済,特に産業の発達のために重要な役割をもっていること。たとえば,製造場に原料を集めて運ぶこと,また,一般消費者にそこでできた製品,すなわち商品を運搬・配給すること。企業者に資金を供給すること。

(3)国民経済は世界経済と密接な関係をもつこと。国民経済の健全な発展を期するためには,世界経済のしくみの中にあってこれの円満な発達に尽くす態度を持たねばならないこと。たとえば,綿花の輸入,その原料の綿糸・綿布への加工,製品の輸出によるわが国の失業救済と労働者生活の維持のように。

(4)国民経済の成立とその発展の状態。

(5)資本主義経済・社会主義経済・共産主義経済の特徴。

(6)重農主義・重商主義とはどんなものか。

(7)わが国の経済・産業の特徴とその現状の,よって来たる原因を研究し,その再建に努力する態度。

 

二.指導法

 第五章を参考にする。

 

 一.教師の準備と活動

(1)生徒が新聞や雑誌を読んでいるか,ラジオに注意しているか,また,紙面にあらわれた国民経済及び産業についてどんな関心をもっているか,どんな程度に理解しているか,どんな批判力を持っているかを調べる。

(2)わが国の地下資源・人口・農産物資源・水産物資源などに関する知識を得るための諸統計。

(3)わが国産業の特徴が,わが国民経済にどんな影響を及ぼしているかを調べる。

(4)現在わが国にある政党はどんな主義,どんな経済政策をもっているかを調べる。

 

 二.生徒の活動

 (A)端緒として

(1)わが国民の職業別人口構成を調べ,それとわが国産業との関係について,たとえば,男子労働者数と重工業,女子労働者数と軽工業,すなわち紡績事業との関係,または工場工員と家庭工場工員との数から大工場工業と家庭工業との関係について。

(2)家庭経済と国民経済とが,どんなところで密接な連関をもっているかについて調べる。われわれの小さい貯蓄行動が,どんな大きな役割を国民経済にもっているかについて研究する。

(3)財閥解体について,どんな財閥が解体の対象となったか,なぜそうされたか,その結果はどうなるだろうかを考える。

(4)わが国現今の政党の主義・政策について調べ,現在の日本経済とどんな関係があるかを研究する。

 (B)理解のために (1)生産・配給・消費・所得・交通・通信・金融・保険・物価・貿易及び財政などについて,今までに学んだ事項を基礎として,わが国の現状に照らしあわせて考える。

(2)現在のわが国民経済が,われわれの家計にどんな影響を与えているかについて調べる。

(3)現在わが国は世界経済からどんな援助をどんなふうに受けているか,今後はこれがどう変化して行くか,わが国民経済は独立独行できないであろうかなどについて話しあう。

(4)わが国民経済は明治維新以降,どんな主義・政策をとってどんな発展をしてきたかについて,統計や歴史を基礎として調べる。

(5)新聞紙上をにぎわせている国民経済と世界経済との問題について,特に貿易について話しあう。

(6)わが国民経済を再建するにはどうすればよいか。そして,われわれはどういう心構えであればよいかを話しあう。

(7)農地調整法による小農開放,労働組合法による団体交渉権,個人の生活権擁護などについて話しあう。開放と自由・放らつなどについて話しあう。

(8)世界貿易の再開に当たって,わが国が輸出することのできるものにどんなものがあるかを調べる。また,わが国はどんなものをどこの国から仰がなければならないかについて話しあう。たとえば,最も有利な輸出商品はどんなものか。その種類・生産状況について調べる。

 (C)練習・応用・発展のために (1)現在直面しているわが国民経済再建に最も重要な問題,たとえば石炭問題・電力問題・船舶問題について論文を書く。

(2)教材として,失業問題,物資問題,やみぼくめつの問題,生産増強の問題などについて討論会を開く。

 

三.学習結果の考査

第七章を参考とする。