〔要 旨〕
食糧の点では,人間は衣服などよりも,自然と強く結合している。衣服や用具などは商業的影響を受けて変化しやすいが,食糧は昔からその居住地域の気候と最も密接な関係をもつ。もっとも今日の食糧は決して身のまわりで生産されるものだけでなく,数千里の遠方からも送られるが,昔は,人々はその居住地域の生産物にのみ依存していたから,各地の住民に,それぞれの食習慣ができて今日に及んでいる。例えば,パン食・米食,各種の肉食・飲料などのごとくである。
食糧としては主食のほかに肉と魚,調味料,各種の野菜と果物,砂糖や香辛料,愛好品(茶・コーヒー・たばこ等)もあり,これらはおのおのある一定の自然環境のもとで生産され,また需要供給の関係から生産が規定される。19世紀以後,大工業が発達して,人口の大集団ができると,その地域で集約的な生産が行われる一方,大規模な方法で,生産する(人口の少ない)地域から大量の食糧が食糧不足の地域へ輸送されるようになった。国際貿易の中で食糧の占める地位は極めて高い。また同時に食糧品を原料として各種の食品工業も盛んになった。かくして食糧の生産は,それのみでなく,交通・工業などの問題と密接に関連して,今日の社会生活の基礎的な諸問題を解くかぎとなっている。
またいろいろの栽培植物や家畜が,その原産地から各地へ伝えられた経路や,当時の事情は,文明史と深く関係している。
〔参考書〕
伊藤 兆司 農業地理学 昭和8年 古今書院
石田 龍次郎 資源経済地理(食糧部門) 昭利16年 中 興 館
那須 賂 日本農業論 昭和4年 千倉書房
山田 勝次郎 米と繭の経済構造 昭和17年 岩波書店
吉岡 金市 日本の農業 昭和19年 伊藤書店
宇野 円空 マライシヤに於ける稲米儀礼 昭和16年 東洋文庫
ケルレル(加茂儀一訳) 家畜系統史 昭和10年 岩波丈庫
宇田 道隆 海 昭和14年 岩波新書
青鹿 四郎 農業経済地理 昭和10年 叢 文 閣
宮坂 梧郎 畜産経済地理 昭和11年 叢 文 閣
今田 溝二 水産経済地理 昭和11年 叢 文 閣
白崎 亨一/佐久間 哲三郎 商品の科学 昭和12年 国 勢 社
宮本 常一 周防大島を中心としたる海の生活史 昭和11年 アチックミューゼアム
〔目 標〕
2.それらの生産が自然環境によって制約され,また人間がこれを利用していることの理解。
3.労働・資本・生活程度などの社会環境もまた食糧の生産に密接に関係していることの理解。
4.科学の進歩,人間の努力によって,食糧の生産地域が拡げられたことの理解。
5.各国にそれぞれ特有な食習慣のあることの理解。
6.食糧の国際貿易に関する理解。
7.日本の食糧問題と栄養問題に関する理解。
各問題にはいる前に,次のような総括的な学習をすることが望ましい。
2.世界の各地城の住民の主食が何であるかを調べ,地図にそれを記入て世界主食地図を作れ。
3.原始人はどうして農耕の方法を発見したのだろうか。また古代社会では主としてだれが農耕に当たったと思うか。男か女か。なぜか。それらを物語るような記録はないか。
4.最も原始的な農耕の方法にはどんなものかあるか。現在世界ではどの地方に行われているか。
5.経済発展の段階説とは何か。世界各地でみなそのように発達したものか。日本ではどうだったか。
6.各食品の栄養価を調べよ。われわれの日常とるもので,どんなものが栄養が高く,どんなものは低いか。
7.各自の家について食器を調べ,食器のうち一般的にどこの家にもあるものと,特殊のものをわけよ。その地方独自のものはないか。あればその性質・材料・用途などについで調べよ。
8.食事をする方法について,(a)はしを使う所はどこか。(b)ナイフ・スプーン・フオークを使う所はどこか。(c)道具を使わず手でたべる所はどこかを調べよ。(d)そのほか何か特殊なものがあるか。(e)なぜこういう差異を生じたのたろうか。
9.英国には世界のどこから,どんな食糧が供給されるか。その地図を作れ。
10.日本には世界のどこからどんな食糧が輸入されなければならないか。その地図を作れ。
〔問題第5〕(教科書第7章)米はどんな条件のもとで作られ配給させれるか。
米は日本人の主食であるばかりでなく,日本農業の中心的作物であるから,米に関する世界的状況を知るとともに,日本の状況を徹底的に研究するようにしたい。特に都会の生徒については日本の農村の実情,農民の労働を十分に知るようにしたい。少なくとも知りたいという欲望をもたせることは必要である。
〔教材の排列〕
2.世界の米の産地と自然ならびに社会的環境。
3.米作と人口密度。
4.日本米作の特徴。
5.モンスーン地域以外の米作地の環境。
6.米の国際貿易。
7.日本における米の需要と食糧問題。
2.周礼には米のことがどう書かれているか。日本の古典ではどうか。
3.稲の起原と伝わりの歴史について調べよ。サンスクリットのUrihi,ラテン語のOryza Sativa,日本のウルチネなどの間に何か関係があると思うか。
4.紀記・風土記によって,日本古代の米作状況・米作方法などを調べよ。日本書記に高田・窪田(クボタ)とあるのは何を意味するか。安田・平田・天垣田・墾田(ハリダ)狭田・長田などの区別があるのは,それぞれ何を意味するか。
5.中国古代にはどういう作物が耕作されたか。米はどの辺に作られたか。どういう方向に拡がっていったか。江南の火耕・水褥(じょく)の農法とは何か。
6.米の大産地の自然的ならびに社会的諸条件を比較研究せよ。(a)シャム・ビルマ・インドシナ・中国。(b)アメリカ合衆国・ブラジル・イタリア。
7.米作を基礎とする社会の最も典型的なものはどこに見られるか。米作社会を維持させ,発展させる条件は何々か。麦作の上に立つ社会とどうちがうか。それらについて討議せよ。
8.稲の耕作法について,地域によってどういう特色があるか。苗代を作らない所はどこどこか。なぜか。インドシナの浮稲とは何か。日本でそういう耕作法の所があるか。
9.灌漑(かんがい)の技術は古代社会ではどこに起ったか。どういうふうに発選していったか。アジアのモンスーン地域でその発展の径路をたどることができるか。
10.水利について特に詳しく研究せよ。(a)灌漑水はどこから来るか。どんな施設があるか。(b)水不足の時期はいつか。その時にはどうするか。(c)水と収量との関係はどうか。水と気温といずれが収量に大きく影響するか。(d)灌漑水路の歴史について調べよ。農村の開発・発展とどんな関係を見出すか。(e)どうして水路を建設したか。それに要した資本や労力はだれがどうして調達したか。
11.日本のため他はいつごろからつくられたか。どこに最も多いか。その築造に要する労力はどのように提供されたか。毀畔(アハナチ)・埋溝(ミゾウミ)・放樋(ヒハーチ)などの古語は何を物語るか。
12.水利権について研究せよ。部落相互間にはどういう取りきめがあるか。同じ村の中でも,高地部と低地部の部落ではどういう関係にあるか。水争いの歴史は?それをどうして解決したか。
13.米作をする農家の農具を調べよ。欧米の農家のそれとくらべてどうちがうか。自作のものと買ったものとの区別はどうか。農民が今もっともほしがっている道具は何か。
14.日本の農具について,歴史的にどういう変遷があったかを調べよ。江戸時代に発明された新しい農具には,どんなものがあったか。それは当時の生産技術にどういう影響を与えたか。特に踏み車・備中ぐわ・いねこきの発明について調べよ。明治以後登場した農具にはどんなものがあるか。
15.米作地帯における他作物を研究せよ。インド・ジャワ・中国などには米のほかにどんな作物があるか。どうして米と結合しているか。気候・季節との関係はどうか。
16.日本の二毛作についで調べよ。二毛作をしていない地方はどこか。なぜか。各種の畑作と米作とはどのように関係しているか。耕作面積は?労力は?
17.米作と肥料との関係について研究せよ。肥料にはどんなものが用いられているか。今と昔ではどうちがうか。農民は肥料を得るため,どのように苦心しているか。
18.日本の農業における米作の地位について検討せよ。(a)全面積のうち耕地は何%か。そのうち水田・畑・桑畑・果樹園などの割合は?古老の言葉や古い資料などによって,明治以来それがいかに変化したかをみよ。その理由は?そのおのおのの自然的条件を調べよ。(b)各作物の収穫高はいくらか。水田の反当収量は場所によってどれたけちがうか。上田はどんな所にあるか。(c)全体の収益は耕作物のうち,どれが一番多いか。単位面積については?労力との関係は?
l9.日本の米の大産地はどこか。そこの地理的条件を調べよ。社会的環境はどうか。
20.日本の食事献立について研究せよ。(a)日本人の栄養源として米の地位はどうか。(b)全食事費のうちで米の割合は?(c)欧米人の主食と比較せよ。
21.米の代用としては,どんなものがあるか。その調理法と効率とは?
22.食習慣に地方的な差があるか。それはどう説明したらよいか。最近30年間に食習慣に変北があったか。なぜか。
23.農家の食事献立を調べよ。おもな栄養源は何か。季節による差があるか。農村の食事と都市の食事とを比較せよ。どんな点がちがうか。改むべき点はないか。それを改めるにはどんなことが問題となるか。
24.白米と玄米とについて調べよ。栄養価はどうか。消化はどうか。糠の用途とその価値を考えよ。
25.保存食糧としては,米はどういうふうに加工されたか。往時には兵糧としてはどんなものがあったか。もちには地方によってどういう種類があるか。その保存方法と気候条件との間に何か関係があるか。
26.世界の米産地における食習慣を比較せよ。(a)米飯の調理法は?米と他に何かをまぜてたべている所があるか。欧米人はどういうふうにしてたべるか。(b)1人1年の消費量は?(c)副食物は何が多いか。どんな経路で入手しているか。(d)ライスターフェルとは何か。どうして発展したものか。
27.日本の米の商品化の過程を研究せよ。(a)収穫量のうちどれだけを自己消費するか。それは農家の経営規模によってどう変わるか。消費量は水田地方と畑地方で異なるか。(b)籾より精米までの過程はどこでだれが行うか。糠の用途は?(c)日本の米の産額の多い地方,移出の多い地方はどこか。大きな米の移入地はどこか。どんな交通路があるか。
28.日本の米作労働について研究せよ。ある農家または部落,あるいは地方について具体的に調査せよ。(a)1年間の労働ごよみを作れ。おもな作業種目をあげよ。気候との関係はどうか。(b)各作業に必要な労働量はいくらか。
29.ある農家(または部落)について,それがもっている労力と必要な労力とを調べよ。農閑期と農繁期はいつか。不足はどうして補うか。労力のあまった時は何をするか。
30.数戸の農家または部落が共同して行う作業は何々か。なぜそれが共同で行われるか。その起原は?
31.近年になって,機械化・電化が行われたか。労働の能率を高めるには,どんなことが考えられるか。それをはばむ地理的条件は何か。
32.封建時代における農村の労働関係について研究せよ。(a)どんな使用人があったか。(b)それを最も多く出す地方として有名な所があったか。(c)抱え百姓とは何か。田人(たうど)または田子耕作(たご)とは何か。それらは現在どんな形で残っているか。
33.米作地域の農村の社会的結合関係について調べよ。(a)結合を強めた条件は何か。(b)農村における手伝いの慣行について調べよ。手間替えとは何か。田植えの結(ゆい)とは何か。(c)村ハチブとはどういうことか。(d)農村の結合を崩した原因は何だったか。
34.封建時代の農村の生活はどうだったかを研究せよ。(a)どうして窮乏したか。(b)何がその原因となったのか。自然条件は何か。社会的条件は何か。(c)農民はそれらに対してどういう手段をとったか。百姓一揆はどういう環境の地方にしばしば起ったか。
35.徳川禁令考に出ている農民の生活の種々な制限について調査せよ。特に食生活についてどんなことがあったか。
36.封建時代に地割制度が行われたのはどごか。なぜ行われたか。どういう所に最も広く行われたか。なぜか。明治以後にそれが行われた所はどこか。なぜか。
37.明かるい合理的な,また民主的な農村社会を建設するには,どんな点から改良していったらよいかを討議せよ。村々の環境要素は十分に調査されているか。適地適作はどの程度に理解されているか。それらの実現をはばんでいる条件は何か。
38.日本の不作・凶作の年について研究せよ。その気候的条件はどうか。最もしばしば不作に襲われるのはどこか。なぜか。過去の記録によっていつごろききん(飢饉)が起ったかを調べてみよ。
39.日本のききんについて研究せよ。(a)ききんの時の惨状はどうだったか。それを語る資料には何とあるか。(b)人々はどうしてそれから逃れようと試みたか。(c)ききんに対してはどういう対策が講ぜられていたか。それらは満足すべき状態にあったか。(d)他の地域から救援米を送ったか。どうして輸送したか。
40.北海道の米作について,(a)いつごろからはじまったか。(b)栽培に際しては,どういう困難があったか。(c)それをいかに克服したか。(d)栽培地域はどのように発展したかを調査せよ。
41.明治以降の日本の米産額と人口とを統計によって調べよ。両者の間にはどんな関係がみられるか。
42.日本の米の輸出入の状況を統計によって調べよ。それと日本の工業との関係はどうか。貿易表を分析せよ。
43.日本の食糧問題につき論議せよ。(a)日本の米の産額はどういう条件によってふえたか。(b)米産額の増加は耕地面積の増加か,単位収量の増加か。いずれが多く影響しているか。今後更に増加する見こみがあるか。(c)不足の食糧は今までどこから輸入していたか。今後の見通しはどうか。
44.米のほかに日本人の主食となるものはないか。その利害得失はどうか。栄養は?日本人が1日1回小麦のパン食をするとすれば,それによって日本の米作農業はどう変化するか。
45.現在の技術ではどこまで米作の限界を北進させることができるか。気候及び地形・地質の条件からみて,アジアではどこまでか。北米では?
46.モンスーン地域には米以外にどんな食糧作物があるか。その価値は米と比較してどうか。
〔問題第6〕(教科書第8章)小麦はどこで収穫され消費されるか。
世界では小麦を主食とするものは米に次いで多い。また日本人は小麦のパンは主食にはしないが,麦類は畑作物の第一位を占める重要なものである。米の章で水田を研究したように,麦で畑を研究することにしたい。特に世界的な小麦の生産と貿易をみることによって,今日の国際間のつながりを了解することが大切である。また日本にはみられない大農的な生産様式についても,注意をむけることが望ましい。
〔教材の排列〕
2.小麦の伝わった径路とその時代。
3.世界の小麦の大産地とその生産状況。
4.ヨーロッパ及びアジアの小麦。
5.小麦・小麦粉の世界的輸送。
6.小麦カレンダーと穀倉。
7.日本の小麦と小麦粉。
8.世界の主食の種類とその分布。
2.パンはいつごろから作られたか。パンだねについてはどうか。世界各地で作られるパンの種類には,どんなものがあるが。それに調味料として何をつけてたべているか。
3.日本ではパンはいつごろから作られたか。小麦粉はパン以外にはどういうふうに調理してたべられているか。何か地方的な特色があるか。
4.小麦にはどんな区別があるか。質では?色では?種をまく時期では?産地別では?
5.米と小麦との成育の条件を比較せよ。1年の温度と雨量は?その季節的分布は?地形は?
6.小麦の産産の仕方にはどんな種類があるが。(a)アメリカの大平原では?そこの気候と地形は?(b)ヨーロッパの北西部では?(c)東洋では?
7.小麦の単位収量と耕作面積・人口密度との関係などを調べよ。(a)単位収量の大小は何と最も深く関係しているかを見出だせ。(b)デンマルクはなぜ世界最高であるか。最低はどの国か。
8.気候上から,世界地図の上に小麦・大麦・えんばく・裸麦の栽培の限界線を描いてみよ。なぜ小麦が最も広く栽培されるにいたったのか。この限界線の中で現在の大麦・えんばく・裸麦の生産の中心地はどこか。そこではどういう価値をもっているか。用途は?耕作の方法は?
9.小麦の品種については米と同じような改良が行われているか。その結果,生産地や収量に以前とくらべてどういう変化があったか。
10.小麦の耕作方法について調べよ。(a)大きな機械はどんな地域で使われるか。なぜか。(b)主として人力で耕作するのはどこか。なぜか。(c)両者について収量・経営面積を比較せよ。(d)乾燥農法というのはどういう方法か。世界ではどこで行われているか。それによって小麦耕作はどれだけふえたか。(e)飛行機で種をまいている所はどこか。
11.小麦の収穫や輸送・処理にはどんな機械が使われているか。トラクター・ハーヴェスター・スレッシャー・エレヴェーターとは何か。人力はどのくらいですむか。それらの機械に対する資本関係は?農民はそれを各自に所有しているのか。または借りるのか。
12.世界の小麦の秋まき地底と春まき地帯とを示せ。(a)どんな地域が春まきとなるか。その理由は?(b)両地帯で耕作の方法が異なるか。ほかに何を植えるか。収入・労働はどうか。
13.関東では,小麦はいつまいていつ収穫するか。九州では?北海道では?
14.収穫期の異なるに従って,労力の季節的移動の現象はないか。どことどこの間に最も多いか。
15.世界の小麦カレンダーを作れ。主要な産地の小麦は何月にとれるかを調べよ。
16.北西ヨーロッパの混合農業地域における小麦耕作を研究せよ。なぜ小麦が耕作されるのか。輪作の状況は?1年月には何を植えるか。2年目・3年目・4年目には?家畜飼育との関係はどうか。
17.三圃(さんぽ)農法・四圃農法とは何か。経済史の本をみよ。日本にも同じものがあるか。
18.ソ連のコルホーズ・ソホーズについて研究せよ。(a)その分布。(b)耕作地の環境。(c)耕作の方法。(d)労力はどうして提供されるか。(e)収穫物はどうして分配されるか。(f)許される私有財産は何か。(g)この方法の長所・短所を調べ,かつ討議せよ。
19.世界の小麦穀倉はどこか。なぜそこが穀倉といわれるか。小麦の大産地で輸出の少ないのはどこか。穀倉地帯と自給国との小麦耕作法の差を説明せよ。
20.欧米の小麦栽培地域の農民の生活について調べよ。(a)1年の労働の季節的配分はどうなっているか。米作地城のそれとはどう異なるか。(b)生活程度が高いのはどういうところに起因しているのか。(c)農繁期・農閑期はいつか。その時は何をするか。(d)農家の生活様式には,米作地帯のそれとくらべて,どういう差異がみとめられるか。(e)生活を楽しむためには,どういう組織や施設があるか。
21.華北の小麦栽培地域の農民の生活を調べよ。(a)1年の労働の季節的配分は?欧米の小麦栽培地域のそれと,どう異なるか。(b)他の作物との関係は?(c)生活程度はなぜ低いのか。(d)小麦はどういう形でたべられるか。(e)耕作技術・反当収量の状況はどうか。
22.欧米の農家では小麦をどう処理するか。(a)自家製粉するか。部落協同して行うか。(b)パンはそれぞれの家で焼くのか。職業的なパン焼きに頼むの。(c)家で焼く時はどうするか。パン焼きかまどはどこにあるか。食事ごとに作るのか。そうでないか。(d)撚料は?
23.インドの小麦栽培について研究せよ。(a)どのくらいとれるか。(b)いつごろから盛んになったのか。(c)国内消費高は?輸出能力は?(d)インド人はどういうふうにして小麦をたべるか。チャバテとは何か。
24.小麦の国際貿易について研究せよ。(a)1年にどのくらいの小麦が貿易上に動くか。その量の歴史的変化はどうか。(b)大輸出地はどことどこか。過去にどういう変遷があったか。その輸出先はどこか。
25.大輸入地はどこか。その輸入量にどういう変遷があったか。輸送機関はどんなものが用いられているか。船にはどういう特殊設備があるか。
26.日本の小麦耕作につき研究せよ。(a)どこに作るか。水田の裏作物と畑の冬作物と,地方によってどんなに異なるか。(b)畑の冬作物とする場合には,夏はどんなものを植えるか。(c)種まきより収穫までの労働はどうか。各種目の必要労働量は?特に同時に作る他作物との関係からみた労働量は?(d)収量の多少と気候との関係は?どんな年が豊作か。
27.日本の食糧問題の一環として小麦の需給について研究せよ。(a)明治以来生産額はいかに増加したか。なぜか。どこで増加したか。将来更に増加するか。(b)小麦の主要な用途は何か。
28.主食としてどの程度に使われるか。米の代替品としてどれだけ役立っているか。食糧としての調理法は?農村では?都会では?将来性はどうか。
29.小麦と大麦とは,日本では食糧としてどれだけちがうか。用途を比較せよ。日本では農民は小麦と大麦といずれを多く作るか。なぜか。あわ・ひえとはどうか。価格について,他作物との関係について調べよ。
30.日本は小麦の輸入国か,輸出国か。小麦については?将来不足する米の代わりに,多量の小麦が輸入され得るか。どこからであるか。その結果はどうか。
31.日本の製粉工業について研究せよ。(a)工場はどこにあるか。できれば分布図を作れ。これを平野と海岸に分けてみよ。(b)海岸の工場の創立時代を調べよ。
32.日本の小麦輸入額を過去50年について調べよ。前項との関係はどうか。日本の小麦粉の輸出額は?輸出先は?
33.北海道の農業として米と小麦と酪農とどれが最も適合するかを討議せよ。
34.ウィニペグ・セントルイス・キエフ・パレルモ・バイア=ブランカなどの小麦生産地の月別気温及び雨量を表に表わし,春まきと秋まきの区別及びその理由を調べよ。
35.日本では各種の麦類をどのくらい産するか。それぞれの栽培の中心地はどこか。なぜか。そのうち従来米食に次ぐ重要な食糧となっていたものはどれか。それはどうして調理され,たべられたか。
36.農山漁村における麦飯について研究せよ。純白米食をしている家との割合はどうか。麦飯にはどういう利益と欠点があるか。米と麦との混合割合はどのくらいか。以前とくらべてどう変わつているか。
37.日本では従来小麦粉はどういう方面に消費されたか。用途別による割合を調べよ。ふすまは何に使用されるか。国内の産額は?どのくらい輸入していたか。
〔問題第7〕(教科書第9章)魚はどうしてわれわれの食卓にのぼるか。
副食物としての魚は日本にとっては栄養上,最も重要なものであるとともに,産業としても重要である。日本の漁村の生活を理解し,また栄養の改善に関心をもつように,この問題は説かれねばならぬ。
〔教材の排列〕
2.世界の高緯度の4主要漁場とその漁獲物。
3.バンク漁業の諸条件(海底地形・塩分・海流)。
4.熱帯漁業と淡水漁業。
5.漁穫物の国際的貿易。
6.日本の漁村と水産業。
2.日本の主要な漁場はどとか。その地理的条件は?
3.ノルウェーの耕地は全土の何%か。牧場は?それと漁場との関係は?ニューファウンドランドの人口の1/4が漁業に従事しているのはなぜか。日本の漁業の盛んなことを地形・海岸線・農業などの点から説明せよ。
4.海に面して住みながら,海を恐れて海上に乗り出さない民族があったか。どうしてか。かれらはどういう方向に経済生活を発展させていったか。世界各地について調べてみよ。
5.朝鮮にはなぜ漁業が発展しないのか。いろいろな点からその理由について討議せよ。
6.漁業にはどんな種類があるか。おのおのの地理的条件は?どれが最も重要か。
7.バンク漁業はどんな所で行われるか。なぜ高緯度にあるのか。附近の陸地の気候はどうか。どんな産業があるか。地形はどうか。プランクトン成育につごうのよい条件をあげよ。
8.世界のおもなバンク漁場を比較せよ。おのおの主要な漁港をあげよ。南半球に大きな漁場のがないのはなぜか。
9.漁業は他の産業に比してどういう危険があるか。北米東岸のグランドバンク附近のたら漁は特に危険なのはなぜか。漁業と冒険と新陸地・新島の発見との間にどんな関係があったか。
10.Cape Cod,Sardinia などの地名の由来を考えよ。他にも同じものがあるか。日本については?
11.熱帯漁業は寒帯のバンク漁業とどういう点で異なるか。なぜ世界的な大漁業とならないか。気候との関係は?陸上の食糧獲得の状況は?マライ沿岸・東インド諸島方面の漁業の状況を調べよ。どんなものがとれるか。どこが漁場の中心か。
12.魚の種類について調べよ。(a)たら・にしん・さけ・いわし・まぐろがとれるのはバンクか,没岸か。(b)世界的な産地はどこか。(c)いつとれるのか。一年中か,ある時期だけか。
13.魚の習性について調べよ。(a)群をなして遊泳するのは何のためか。(b)産卵のためには,どんな種類の魚がどんな環境の所を選ぶか。産卵期は魚によってどうちがうか。(c)外洋を好むものは何か。内湾を好むものは?(d)その他どんな程度のことが人間にわかっているか。(e)潮目とは何か。それと魚群とはどういう関係にあるか。
14.世界各国の漁獲高を比較せよ。(a)どこが一番多いか。なぜか。どんな漁業か。(b)日本とノルウェーとカナダとを比較せよ。漁船1隻に対する漁獲高はどうか。(c)日本とノルウェー・合衆国の漁業で,漁法にはどういう差があるか。(d)インドや中国の漁業はどうか。
15.漁業資源の保存について調べよ。(a)濫穫を防ぐ方法は何か。国際的規約があるか。(b)日本で大型船が沿岸漁場を荒らしたという事実があるか。なぜか。(c)どういう繁殖の方法を講じているか。その施設をあげよ。(d)養殖の方法にはどんなものがあるか。
16.養殖漁業について研究せよ。(a)どんな魚が養殖されるか。(b)日本でうなぎ・こいなどはどこでどういうふうに養殖されるか。(c)あゆはどうして繁殖しているか。(d)日本漁業について,どんな制限的規約があるか。
17.貝づかとは何か。どこに見出だされるか。日本ではどこにあるか。
18.日本人はなぜ獣肉より魚肉を多くたべるか。その自然的原因は?社会的原因は?他にもこういう食習慣をもつ住民がいるか。穀物よりも魚を多く食べる民族があるか。
19.日本人の珍重する魚は何か。最も多く食用とされるものは何か。欧米人はどんな魚をたべるか。どういうふうにしてたべるか。さし身はいつごろから発達したものか。他の民族でこういうような生魚をたべるものがあるか。
20.カトリック教徒の獣肉をたべない日はいつか。昔らその日はどんな魚がたべられたか。
21.塩干魚にはどんなものがあるか。最も好まれるのは何か。熱帯地の住民の献立の中で,それが重要な地位を占めている所はどこか。なぜか。
22.日本の古代の文献には,どんな魚が現われてくるか。万葉集では?それらによって当時の人々がどんな魚をたべたかを調べよ。またどういうふうに調理してたべたであろうか。
23.中国ではどういう魚がとれるか。どうしてたべられるか。海産物の輸入はどうか。どんなものをどこから輸入しているか。それをどう調理してたべるか。
24.日本の漁業人口は何万か。割合はどれだけか。他の産業と比較してはどうか。明治以来漁業人口はふえたか。新しい漁村ができたか。どんな漁村が盛んとなり,どんなのが衰えたか。
25.漁業に投下されている資本はどのくらいか。農業と比較せよ。最大級の漁業会社には,どんなものがあるか。どこで何をとるのか。
26.おもな漁法について調べよ。どこにどんな漁法があるか。その理由は?どんな網があるか。1張りいくらか。何年もつか。
27.日本の漁船の大きさを区分してみよ。何トンくらいが最も多いか。主要な外国と比較せよ。日本の漁船の構造を調べよ。西洋との差は?
28.漁船はどこでつくられるのか。修繕はどこでするか。材料はどこから得るか。明治年間と現在とで,漁船の形や装備はどういう変化があったか。
29.日本の近海における海流と漁場の関係について調べてみよ。どんな魚がどの辺でとれるか。
30.日本古代の海人部について研究せよ。どこに最も多かったか。かれらの生活を知る資料はないか。どういう方向に発展していったか。
31.江戸時代には海から遠い地方はどんな種類の魚をたべたか。どうして手に入れたか。塩については?それらの輸送の径路を調べよ。初がつおは江戸でどのようによろこばれたか。どこから運ばれたか。当時の価格はどうだったか。
32.当時の漁村の生活は農村と比べてどうだったか。
33.かつお節はいつごろから作られたものか。どこで最も多く作られたか。なぜか。かかる種類のものの生産を促した社会的,歴史的条件などないか。どんな種類のものがあるか。年産額は?とれた生がつおのどのくらいがかつお節生産に使われるか。日本のほかにもかかる種類の調味品を用いている所があるか。
34.食糧としての海そう類について調査せよ。どんな種類のものがあるか。年産額は?どういうふうにしてたべられるか。地方により名産となっているものは何か。それを原料として何が製造されているか。輸出されるものは何か。
35.日本の食糧問題の一環として漁業を研究せよ。栄養源として魚肉の占める地位はどうか。獣肉と比較して価格はどうか。獣肉を多くとらなかった江戸時代と現在と,魚に対する重要性はどうか。
36.季節的に魚の多い時季はいつか。どんな魚がいつとれるか。一年を通じてたべられるものは何か。“さけは銚子(ちょうし)限り”“18度以下にぶり来る。13度以下にぶり見えず”というのはどんな意味か。同じようないい伝えが漁師なかまにあるか。日本各地のおもな漁獲物をあげよ。どこにどんな名産があるか。
37.生魚はどうして海に遠い地方に輸送されるか。どんな輸送路があるか。今昔を比較せよ。魚の貯蔵と加工の方法はどうか。われわれはどの程度にこういう種類の魚をたべるか。海に遠い地方における魚食の状況はどうか。
38.河川漁業はどれだけの重要さをもっているか。養殖事業について調べよ。
39.日本の漁業の将来性はどうか。沿岸漁業は?遠洋漁業は?輪出品としてはどうか。漁獲物と農業との関係はどうか。
40.世界の海塩について調査せよ。全産額はどのくらいか。岩塩その他との割合は?世界ではどの地方に最も多いか。海塩をとる方法には,どんなものがあるか。地方によりどういう差があるか。その生産に対する労働関係はどうか。
41.日本の漁村生活について研究せよ。附近の漁村について具体的に調べよ。純漁業集落は農産品をどこからどうして得ているか。その食事献立を調べよ。純農村とどうちがうか。
42.漁村の労働状況を調べよ。協同の事実をみよ。女子労働はどうか。
43.網船などの所有関係はどうか。船は漁民1戸についてどのくらいあるか。網元と舟子との関係を調べよ。
44.“板子一板下は地獄”という感情は今もあるか。そういう感情は生活上どこに見られるか。海難の歴史をみよ。その後の処置は?
45.漁師が経験によって得ている魚群の探知法,海上の自然現象の変化の予知などについて調べよ。それらは近代科学の上からどう説明されるか。
46.漁村の家について調べよ。どんな道具があるか。それを数えあげてみよ。どこから買うか。また自家製か。新品と交換する度あいの最もはげしいものはなにか。漁民が現在最もほしがっているものは何か。
47.漁業権について調査せよ。昔と今とどういう差異がかあるか。封建的ななごりがなお見られるか。その解決についてどういう手段が考えられているか。
48.海女の生活について調べてみよ。日本ではどこに多いか。どんなものを採るのか。その人数はどのくらいか。なぜ女がそういう労働をしているのか。そこの社会において,彼女らの占める地位はどうか。その生活の特色は?収入はどうか。漁獲物はどういうふうに処理されるか。
〔問題第8〕(教科書第10章)肉はどうしてたやすく手にはいるようになったか。
欧米人の獣肉に対する関係は,日本人の魚に対するのと同じく,それはみずからも飼うとともに,海外の遠方からも大量に送られる。また動物性の製造品も多く,国際貿易の対象となって動く。
〔教材の排列〕
2.家畜としての牛の重要性。
3.世界における大牧牛地域の環境。
4.牛肉・酪農製品の国際貿易と,交通と冷凍の発達。
5.世界の2大酪農地域。
6.豚と家禽の食糧としての地位。
2.フランスの食用がえる,セレベスのねずみ,中国の燕の巣など,特殊な生物をたべる風習が他にもあるか。どうして料理するか。
3.人間はどのようにして動物を家畜化したかを調べよ。どんな動物が最初に家畜となったか。どういう環境のもとに馴化されたか。現在までにどんな動物が家畜化されたか。家畜化しようとして失敗したものは何か。
4.人間はどのように家畜を改良したか。若干の家畜を例にとって調べよ。どういう点について,どういうふうに改良したのか。
5.聖書にはどんな動物が出て来るか。古事記には?両者を比較せよ。
6.動物を相手とする生活にはどんな種類があるか。現在世界ではどこで狩猟生活が行われているか。そこの地理的環境は?遊牧はどこに行われているか。その気候は?生活程度はなぜ高くないか。
7.日本で狩猟や捕獲を禁ぜられている動物は何か。また季節によって許されるものは何か。
8.となかいはどこにいるか。旧大陸のそれと北米のそれとは,人間の生活と関連してどうちがうか。
9.動物の捕獲と世界の土地の発見は,どういう関係をもっているか。いろいろ例について調べよ。
10.遊牧民の生活を考えよ。どのくらいの範囲の所をいつどうして移動するか。随伴する家畜の数はどのくらいか。
11.やぎはどの地方に最も多いか。世界におけるその分布限界をみよ。その地方の人々の生活と,どういう関係をもっているか。
l2.寒冷地や高山地帯で飼われている特殊な家畜には,どんなものかあるか。それらの生活条件と自然的環境との関係を表に示してみよ。またそこでは何のために飼われているか。
13.熱帯における牧畜について調べよ。どんなものが飼われているか。なぜ盛んにならないのか。牧畜をはばむ自然的条件は何か。
14.世界の大牧畜地帯について調べよ。どこにあるか。おもなものを比較せよ。気候は?地形は?人口密度は?どんな形で消費地へ送られるか。交通路は?距離は?
15.昔は肉をどうして貯藏・保存したか。冷藏・冷凍の発達によってどう変わったか。それはいつからか。この事実は環境と人間の活動との間について何を教えているか。
16.寒帯にはどんな動物が飼われているか。熱帯には?
17.家畜の餌料について研究せよ。地域によってどういう差があるか。家畜によってどういう差があるか。牧草を栽培しなければならない所はどこか。どういうふうに栽培するか。他の作物との関係は?
18.パンパス・北米中部などの食用獣の大飼養地帯における生活を考えよ。それらについて書き記した文献はないか。ひでり・出水・冬季などに対しては,人間はどういう手段で家畜群を保護しているか。1人が平均何頭を監視しているか。
19.オーストラリアの野うさぎの繁殖について調べよ。どうして繁殖したか。どの方面に多いか。どういう被害を与えるか。それを防ぐためには,どんな方法が講ぜられているか。
20.飼養上ぶたとうしはどういう点でちがうか。世界でぶたはどこに多いか。ぶたを飼わないのはどこか。中国ではなぜぶたが多いか。どういうふうに飼っているか。日本では?
21.肉羊はどこに多いか。羊肉はどこで多くたべられるか。日本では?
22.中国ではどんな家禽が多いか。なぜか。日本では?どうして飼っているか。どこに多いか。産業上の地位は?欧米では?
23.家禽の卵について調べよ。どんなものが食用とされるか。地域による区別は?その理由は?大輸出地があるか。どこからどこにどうして輸送されるか。欧米人の生活における消費量をみよ。日本との比較は?
24.水牛の分布をみよ。どこに最も多いか。何のために飼われているか。南洋の米作地帯農家では,1戸あたり平均何頭の水牛がいるか。農民の財産としての価値は?
25.回教ではなぜぶたをきらうのか。コーランには何と書いてあるのか。インド教ではなぜ牛を尊ぶのか。インド教徒は何の肉をたべているのか。
26.世界の酪農業の現状はどうか。どこが最も盛んか。なぜか。酪農地帯の土地はいかに使われているか。労働状況はどうか。
27.欧米人の食事献立を調べよ。肉・牛乳・バタ・チーズの占めている割合はどうか。デンマルクの酪農業と協同組合との関係はどうか。酪農品の貿易ルートを調べよ。どの国が酪農品で有名か。産業上の地位はどうか。
28.デンマルクの酪農業について研究せよ。どこに最も大きな特色があるか。そこの環境要素はどういうふうに利用されているか。酪農を行う農家の土地の利用の状況をみよ。
29.各地域の住民によって,肉の調理法はどうちがうか。欧米では?中国では?その他地域による著しい特色がないか。
30.欧米人は肉類を1人平均1年にどのくらい消費しているか。どこでも同じか。地域による差があるか。日本人のそれとの比較は?
31.牛乳以外の乳にはどんなものがあるか。それらを最も多く飲用する地方はどこか。何か特殊な調理法でもあるか。
32.日本の古代の“牧”はどこに多いか。何が飼われたか。何に使ったか。それから当時の文化圈が察せられないか。
33.日本のうしの牧場はどこに多いか。肉用か,乳用か,役用か。そこの地形は?気候は?他にどんな産業があるか。代表的な和牛はどこに産するか。その地理的環境は?飼料は何か。どこから来るか。
34.乳牛の多いのはどこか。なぜか。生乳で出すか。その輸迭の実際をみよ。バタ・チーズにするか。
35.大都市近くのミルクプラントの位置・運営について調べよ。
36.日本の有畜農業について研究せよ。なぜ有畜農業がよいといわれるか。得点をあげよ。それを妨げている条件は何々か。飼料は何か。どこで得るか。
37.農家はどこから家畜を買うか。いつ売るか。牛馬市はどこにあるか。いつ開くか。家畜はどこから集まるか。
38.農家で牛耕するのはどの地方か。牛耕と馬耕と,どちらが多いか。牛耕するのとしないのと,どれだけちがうか。能率はどうか。収穫は?
39.耕作に役牛を借りるという現象が地方的にないか。どこからどこに運ばれるか。時期は?両者の地理的環境を調べよ。
40.運搬用に牛はどれだけ使われているか。馬車と能率を比較せよ。
41.日本人の肉食の歴史を調べよ。昔からたべたものは何々か。日本の牧畜の発達しなかった自然的原因・社会的原因を調べよ。当時の文献によって,明治初期,肉食はどのように扱われたかを調べよ。
42.魚肉以外に,肉はどんなものを,1箇月にどのくらいたべるか。価格は魚と比較してどうか。都市と農村でどうちがうか。
43.大都市で消費される肉類はどういう径路で来るか。
44.日本ではどこに酪農が行われているか。その自然的,社会的条件を調べよ。将来性はどうか。酪農製品の消費はどのようにふえたか。欧米人と比較せよ。なぜ少ないか。どこで生産されるか。
45.北海道の酪農はいつごろから起ったか。どこで最も盛んに行われているか。環境要素はどう作用しているか。経営形態の特色は?今後の発展の可能性は?
〔問題第9〕(教科書第11章)砂糖はどうして多くとれるようになったか。
砂糖はぜいたく品であるといってもよい。しかし世界の産物として,また国際貿易の上から重要な地位を占めている。甘蔗と甜菜はおのおの興味ある問題を提供している。即ち,前者については熱帯栽植業に注意を向けなければならない。これは19世紀中期以後に起った世界の新しい産業形態の一つである。それに対して後者は,科学的実験が新しい産業を起したものとして,その発展をみなければならぬ。そしてこの両者は,異なった自然ならびに社会の環境のもとに生産されて,相互に競争している事実を読みとらなければならない。塩もまた砂糖と同じ意味をもつ調味料であるが,これについては“問題第11”で触れることにする。
〔教材の排列〕
2.甘蔗の世界的分布とその生産条件。
3.キューバ・ジャワの熱帯栽植農業。
4.甜菜の栽培地とその条件。
5.甘蔗糖と甜菜糖との競争。
6.砂糖と国際貿易の現状。
2.世界で砂糖普及前の甘味品にはどんなものがあったか。甘蔗糖・甜菜糖以外にどんな砂糖があるか。どこで使われているか。
3.原料・製造工程・産地による砂糖の一覧表を作ってみよ。
4.砂糖の栄養価について研究せよ。
5.甘蔗はどこで栽培されているか。その最北と最南はどこか。いつごろから栽塔がはじまったか。
6.甘蔗糖の主要な産地をあげ,その環境を研究せよ。気候条件は?どんな気候が必要か。なぜか。水利の関係はどうなっているか。土壌の条件はどうか。どんなのが理想的か。熱帯の火山島はなぜ栽培に適するか。労力の関係は?人口密度は?どこから労力を得ているか。どんな時に最も必要か。賃金の関係は?どのくらい資本が投下されているか。交通の関係はどうか。輸出先は?
7.砂糖は文化のバロメーターといわれるのはほんとうか。インドや中国の砂糖の消費の状態はどうか。
8.キューバの糖業はどんな好条件と,不利益な点とをもっているか。その砂糖産額は現在世界の何%にあたるか。1919年はどうか。1935年は?この変化は何を語っているか。
9.ジャワの甘蔗栽培はキューバとどこがちがうか。地理的環境をあげて比較せよ。
10.ジャワ糖の産出額を過去30年間にわたって調べてみよ。その輸出高は世界の砂糖の輸出高の何%にあたっているか。
11.ジャワにおける甘蔗と稲との輪作について研究せよ。どこで行われるか。なぜか。どういう利益があるか。欠点は?
12.砂糖の品種の鑑別にオランダ標本を使うのはなぜか。オランダは砂糖の改良にどういう業績を残したか。
13.台湾の砂糖について調べよ。どこに作られるか。産業上の地位は?発達の状況を調べよ。どこへ送られたか。
14.インドはどこに砂糖を産するか。そこでは農業上にどういう地位を占めているか。その需給関係は?
15.気候上からみた甜茶栽培の限界線を描いてみよ。その範囲内で実際に栽培されている地域を書き入れよ。なぜそれ以外の土地には作られていないか。
16.ドイツの甜菜について調べよ。どこに作られているか。産額は全甜菜の何%にあたるか。どういう利益があるか。その産額を過去30年にわたって調べよ。
17.近世における砂糖の消費量を増加させた原因は何か。茶やコーヒーの普及と結合したからか。菓子の製造が増大したからか。一般の調理用としてふえたからか。それらのおのおのの割合は?
18.熱帯栽植農業とは何か。そこでは農業上にどういう地位を占めているか。その需給の関係は?
19.単一耕作とは何か。どこで行われているか。どんなものが作られるか。どういう長所と短所があるが。日本では何がそれに相当するか。
20.多角的耕作とは何か。単一耕作との関係は?どういう長所と短所があるか。
21.世界の砂糖の需給について統計を集めて調べよ。世界の生産額はどんなふうにふえたか。20世紀初頭以来の,甘蔗糖と甜菜糖との産額をグララに示せ。主要輸出地域と輸入地域をあげよ。
22.日本の砂糖の今昔について研究せよ。砂糖はいつごろから日本に伝わったか。いつごろから普及したか。明治以前にはどんな代用品があったか。白砂糖は当時はどこから輸入されたか。長崎貿易の品目について調べよ。どういう地位を占めていたか。黒砂糖の産地はどこであったか。日本の砂糖の消費高はいくらか。明治中期と大正時代と現在とを比較せよ。それは何を語るか。日本の砂糖は主としてどとから輸入されたか。国内の生産はどこで行われるか。どのくらいか。
23.砂糖輸入以前の日本の古代の菓子には,どんなものがあったか。その原料は?江戸時代・明治時代の諸国の名産の菓子をあげよ。その砂糖はどこから来たか。塩あんを使う菓子は今でもあるか。
24.日本の農村生活における砂糖の消費を調査せよ。どんな時に何に使うか。都市生活との消費量の差はどうか。実際に食事献立について調べよ。
25.農村の菓子にはどんなものがあるか。自家製の菓子は何から作られるか。戦前と現在を比較せよ。原料はどうして入手したか。商店にはどんな菓子が売られていたか。
26.日本の甘蔗の栽培について調べよ。(a)栽培限界はどこか。(b)その限界内で今後の発展の可能性はないか。(c)各農家で自家用の小規模の栽培を行う余地があるか。
27.北海道の甜菜農業につき研究せよ。どこで行われているか。いつごろからはじまったか。そこの自然環境は?栽培面積と収穫高は?他の作物との関係は?今後の増産の可能性はあるか。どこで製糖されるか。今後の日本の砂糖の需給について論ぜよ。
28.はちみつについて研究せよ。現在世界ではどこの地方に最も多く使われているか。日本では?その生産の地理的環境は?
29.砂糖生産の副産物としてはどんなものがあるかについて調べよ。
〔問題第10〕(教科書第12章)われわれは何を飲むか。
茶やコーヒー・カカオは砂糖より更に食糧としての栄養価値は少ない。しかし産業上に,また貿易上に占める重要性は砂糖に劣らない。茶を飲むか,コーヒーを使うかは,住民の習慣によるが,生活程度の向上によってその消費量は増加し,したがって大きな生産地が新たに開かれた。
茶やコーヒーと同じような意味をもつものに,たばこや各種の酒類がある。これらについては“序文”や“希望”に述べたように,教科書ではほとんど触れてないから,学習にあたっては適当に加えられることを希望する。
〔教材の排列〕
2.世界における茶の産地とその生活条件。
3.コーヒーの伝わった径路。
4.ブラジルのコ一ヒー栽培条件。
5.単一耕作の結果。
6.世界商品としての茶とコーヒー。
7.カカオの生産地と貿易。
2.茶・コーヒー・ココア・たばこなどの世界に拡がった歴史をみよ。最も古い栽培地はどこか。どんな径路で産地が拡がったか。それにどんな理由があったか。各国民の愛好の程度はどうか。
3.緑茶及び紅茶にどんな種類があるか。それらの重要な産地を調べよ。
4.気候の点から世界地図の上に茶の栽培の限界線を作ってみよ。その限界内で実際生産を行っている地城を記入せよ、なぜ他の地域では生産が行われないのか。小規模に栽培するのはどこか。大きい栽植農園で作るのは?
5.それぞれの地域の人々の生活で“お茶の時間”はどういうふうになっているか。その時には何を飲み何をたべるか。
6.陸羽の“茶経”とは何か。どういう内容が書かれているか。
7.日本の茶について文献を調べよ。茶を飲む風習はいつからあるか。どんな種類の茶があるか。茶道(茶の湯)はいつから発達したか。他国にはコーヒーや紅茶を飲むのに茶の湯のような“作法”がないか。なぜ日本にはあるか。
8.日本で茶の飲用と,それに関連した文化現象にはどんなものがあるか。茶入れ・茶うけ・茶うす・茶がま・茶がゆ・茶会・茶室・茶庭など,多数の名詞の存在は何を物語るか。これ以外に茶に関したものは何があるか。
9.中国茶の産地はどこか。どんな種類があるか。生産地の環境は?19世紀後半以後現在までに,その輸出はどう変化したか。なぜ衰えたか。国内の消費はどうか。どういうふうにして飲まれるか。
10.地図・参考書を使って,中国とアッサムの茶の成育条件を比較せよ。生産と輸出とについて,アッサムの茶園のすぐれている諸条件をあげよ。
11.日本の茶の産地について研究せよ。日本の古い“茶所”とはどこか。日本の茶の北限はどこか。それ以北では何を飲んだか。
12.静岡の茶はいつごろから栽培がはじまったか。どういう動機からだったか。どこで栽培されるのか。その地理的環境は?
13.日本では茶は1年に何回摘むか。労力はどうして得ているか。男が多いか女が多いか。その季節的配分は?労力の季節的移入現象があるか。まだ手もみが行われている処があるか。明治以後生産額や生産方法に,どういう変化があったか。どういう改革が行われたか。
14.日本の茶の産額のうち,商業的な栽培によるものは何%か。その茶はどこで精製されるのか。輸送の方法は?どんな茶に作られるか。どこに送り出されるか。輸出の消長を調べよ。日本の輸出品としての将来性はどうか。
15.緑茶は欧米市場でどういう地位を占めているか。どういうふうにして飲まれるか。今後それを増加させる方法はないか。
16.宇治の茶園はどういう点で昔から有名となったか。何が有利な環境要素として働いたか。
17.日本の家庭では1年にどのくらい茶を消費するか。都市と農村ではどうちがうか。
18.熱帯に栽植農業がはじまる以前,東洋の茶はどんな方法で欧米に輪出されたか。当時の茶の価格はどうだったか。
19.遊牧民族が茶を必需品とするのはなぜか。中央アジア人・蒙古人などはどんな茶を飲むか。どういう径路でそれを入手しているか。その著しい取引場所はどこか。価格はどうか。
20.芸術と結びついた愛好品の容器にはどんなものがあるか。世界で有名なものは?日本の茶器はいつごろから発達したか。その産地は?原料は?
21.長崎貿易の品目を調ベ,当時愛好品及びその容器がどう輸入されたか。また輪出されたかをみよ。キンマ箱・ビイドロ道其・ギヤマン皿とは何か。乳香・アラキ・肉桂酒・波羅蜜(はらみつ)・乳石糖・切砂糖とは何か。
22.インド・セイロン・ジャワなどの茶の農園について,そこの生活の特色を考えよ。管理者の生活はどうか。労働者の生活は?19世紀後半ごろの生活と現在とでは,どういう変化が起こったか。娯楽・慰安の設備などはあるか。衛生施設は?
23.茶・コーヒー・ココアなどの飲用は,人間の社交性の発展とどういう関係をもったか。日本の茶会,ヨーロッパのカフェーやクラブの発展の状況はどうか。
24.コーヒー・たばこなどの飲み方について,地域的な特色はないか。インドでは?トルコの水たばことは?
25.ブラジルのコーヒー園はどこに最も多いか。産額は世界の何%か、同国の輸出の何%にあたるか。ブラジルの自然環境はコーヒー栽培にどう有利か。
26.ブラジルのコーヒーはいつごろから発展しはじめたか。どこの移民が最も多くそれに従事しているか。日本人は?ファゼンダの耕作法について述べよ。労賃関係については?労働者の生活状態はどうか。食糧はどうして得ているか。最近30年間に経営形態にどういう変化がみられたか。
27.単一耕作のためにどんな弊害があったか。最近ではいつあったか。収穫物はどう処理されるか。どこからどこに輸出されるか。
28.ブラジル以外のコーヒー産地はどこか。ブラジルのコーヒー栽培とどこがちがうか。その産額はいくらか。輸出先は?
29.世界で有名な優良コーヒーにはどんなものがあるか。おのおのの特色は?コーヒーが生活の必需品となっている所はどこか。そこではどういう飲み方をしているか。
30.カカオの産地はなぜアフリカの西海岸に集中したのか。その産地はどこか。そこではどんな利益があるか。
31.カカオの国際貿易はどうか。世界における主要なココアの取引場はどこか。なぜか。カカオの実から何がとれるか。どこにその産業が起っているか。
32.アメリカのチョコレートの消費高はどれくらいか。欧米にはどんなチョコレートの会社があるか。
33.たばこの原産地,伝わりの歴史を調べよ。
34.世界のたばこ産地をあげよ。その栽培の自然的条件・社会的条件を調べよ。
35.たばこの世界貿易について調べよ。
36.日本のたばこについて,(a)どこで栽培されているか。(b)耕作面積は?(c)他の作物との関係は?(d)労働関係は?(e)どういうふうに集荷されるかを調べよ。
37.日本でたばこの専売となる以前の耕作はどうであったか。専売となってからどう変わったか。農民の売りわたし価格はどうか。専売による利益は?1人平均の消費高は?外国と比較せよ。外国葉はどこから輸入しているか。
38.地域によってどういう特殊の酒が飲用されるか。原始民族の酒は?ソ連では?ジャワでは?中国では?寒地と熱地ではどんな差があるか。
39.日本の酒の醸造について研究せよ。どこで生産されるか。生産額は?原料は?産米のうち酒造に使われるものは何%か。産地の自然環境は?何か有利な条件でもあるか。労働関係は?労働者はどこから来るか。季節的労働はないか。いつごろから発達したものか。幕末と戦前と現在では,どういう変化があったか。
40.日本の農村及び漁村などにおける飲酒について調べよ。1年にどのくらい消費するか。季節によって差はあるか。なぜか。金額にしてどのくらいか。それが生活費の中で占める割合は?自家製の酒はないか。どうして作っているのか。その労力は?農・漁村では飲酒はなぜ必要か。
41.世界のビール生産について研究せよ。世界的に有名なビールにはどんなものがあるか。どこで最も多く生産されるか。どこの国が最も多く消費するか。日本についてはどうか。ビール醸造に特殊な条件が作用していないか。
42.ぶどう酒は欧米人の食事のうちで,どういう地位を占めているか。どの民族が最も愛用するか。その飲用はいつごろからはじまったか。どこではじまったのか。現在最も多く産するのはどこか。オポルトという地名は何を意味しているか。日本ではいつごろからつくられるようになったか。どこでつくられているか。
〔問題第11〕(教科書第13章)栄養上,野菜や果物はどんな役割をはたすか
野菜・調味料・果物などの役割は,主食のそれとは異なるが,やはり重要なものである。そしてあるものは国際貿易にも重要な地位を占めているが,その他のものも一国内で都市と農村との間に常に動いている。
〔教材の排列〕
2.日本人に対する大豆の価値。
3.世界における大豆の耕作。
4.野菜の生産条件とその生産地。
5.各種の果実の生産地とその地理的条件。
6.国際貿易における果物。
2.野菜で貯蔵できるものと,新鮮さを要し,くされやすいものとを区別せよ。この両者について生産地はどうちがうか。
3.町の青物屋につき,そこに現われる野菜類の種類を見よ。どこから来るのか。季節による変化はどうか。一年中あるものは何か。極めて短期間しか現われないものは何か。それらによって野菜のカレンダーを作れ。
4.“はしり”や“しゅん”をよろこぶ風習はほかにもあるか。それらに関する古いことわざはないか。日本ではなぜそういう感覚が特に発達したのか。
5.日本では山野に自生する植物のうちで,どんなものが食用とされているか。なぜ日本ではそのような食糧が多いのか。
6.統計書を見て,(a)耕地の何%が野菜類の栽培にあてられているか,(b)果樹園の割合は?(c)これらが最近30年間にどのように変化したか,(d)どういう所に新しく作られたのかを調べよ。
7.調味料が食費の中で占めている位置はどうか。欧米人の献立では,どんな調味料が用いられているか。その割合は?気候の差により調味料に差があるか。
8.日本の大豆はどこに作られるのか。何と輪作するか。種まきから刈り取りまでの労働はどうか。その季節は?どんな利用の方法があるか。そのおのおのの割合は?米麦以外の作物のうちにおける地位は?その耕作反別は?大豆の産額は最近30年間にふえたか,へったか。なぜか。
9.統計文献から満州の大豆について調べよ。作附反別・収穫量はいくらか。最近40年の変化がわかるか。グラフに示せ。収穫された大豆はどんなふうに処理されるか。輸出量は何%か。どこに輸出されるか。油房はどこにあるか。日本はどんなふうに満州の大豆とその生産物を使っていたか。
10.日本のみそについて研究せよ。産地はどうか。土地によってみその品質はどうちがうか。甘みそとからみその分布はどうか。みそはいつごろから日本で使われ出したか。みそしるを飲まない風習の家や地方があるか。原料はどこから得ているか。1年にどのくらい必要か。
11.農家におけるみそについて研究せよ。1戸で1年にどのくらいのみそが使われるか。耕作地のうち,どれだけに大豆をまき,どれだけの収穫があるか。みそつくりの工程・時期を調べよ。献立の中でどういうふうに使うか。どのくらい使うか。そのカロリーはどのくらいか。カロリーの点から1箇月にたべる米・肉・魚と比較せよ。価格の上から比較してみよ。
12.日本のしょうゆについて研究せよ。大産地はどこか。どんな種類があるか。地方的相違があるか。そこでは日本のしょうゆの何%を出すか。主要な産地の地理的環境はどうか。いつごろから発達したか。大正以後の変化はどうか。
13.熱帯地では温帯性の野菜や果実を栽培しているか。例えばジャワではどうしているか。また寒地で温帯性の野菜や果実を栽培している所があるか。どういう方法でやっているか。
14.寒地の野菜にはどんなものがあるか。シベリアでは?冬の間はどうして貯蔵するか。
15.日本のつけ物について研究せよ。どんなものを原料とするか。土地によって特殊なものがあるか。日本と朝鮮とではどういう差があるか。いつごろつけるか。どのくらいつけるか。塩やみそはどのくらい使うか。1年を通じて献立に現われるつけ物はどう変化するか。献立の上でどういう地位を占めているか。気候の寒暖とつけ方との間に何か関係があるか。
16.世界のとうもろとしの産地を調べよ。どこに最も多いか。その用途はどうか。どういう環境の所に作られるか。食用としてはどういうふうに調理されるか。人間の食用と家畜の飼用とにされる割合は?
17.世界及び日本のじゃがいもの産地につき調べよ。どこに最も多いか。どういう環境の所に作られるか。どういうふうに調理されるか。食糧としての地位はどうか。他の作物との関係は?伝わりの歴史は?
18.日本のさつまいもについて調査せよ。食用の歴史はどうか。どういう環境の所に最も多く産するか。他の作物との関係は?食糧としての地位について。日本以外ではどこに産しているか。そこでの食糧としての地位はどうか。
19.1年のうちに町の果物屋にならべられる果実の種類のリストを作れ。そのおのおのの産地はどこか。原産地の関係は?加工されているならその状態は?乾燥させてあるか。ジャムに作られているか。かんづめか。それらの果実の熟する表を作れ。
20.日本の果物の木について調べよ。半野生のものと農家の庭に植える程度のものには何があるか。副業的に栽培するものには?企業的に果樹園に作られるものは?主要な産地は?
21.近くの果樹園について,または県下の特産果実について研究せよ。どういう地理的条件をもっているか。気候は?土壌は?産額はいくらか。どこへ送られるか。競争的産地が他にあるか。発展の歴史について調べよ。どんな点が有利であったか。
22.日本のみかん栽培について研究せよ。どこでとれるか。1年の産額はどのくらいか。自然環境はどうか。とれる季節は?地方によりどんな種類があるか。栽培の歴史は?その面積は?また労力の関係はどうか。輸出されているか。どのくらいか。どういうふうに加工されるか。
23.日本のりんご栽培について研究せよ。栽培の限界はどこか。どんな環境のもとに生産されるか。どのくらいの労力が必要か。農家の副業としてはどのくらいの利益があるか。輸送の径路は?どのくらいジャムに作られるか。
24.世界のりんご栽培の限界は?欧米ではりんごはどういう地位を占めているか。
25.世界地図の上に地中海気候をもつ地域を記入し,そこに主要な果実の産地を書き入れよ。
26.地中海地域の果樹栽培経済と,北西ヨーロッパの小麦栽培経済とを比較せよ。なぜ両者は区別を生じたか。労働条件はどうちがうか。その差異に伴って,どういう経済生活の差異を生じているか。
27.熱帯の果実について調べよ。どんなものがあるか。それらのうち1年を通じて市場に現れるものと,そうでないものとを分け,月別の表を作ってみよ。
28.バナナはどうしてたべるか。なぜバナナが熱帯果実のうち,最も多く温帯へ送られるか。原始生活で1人2−3本のやしがあれば生活できるというのはなぜか。
29.欧米人の食生活におけるバナナの地位について研究せよ。世界のバナナ貿易の地位は?大産地と大消費地はどこか。プランテーションとしてのバナナ園の特色は何か。輸送方法につき,何か特殊なことがあるか。
30.加工される果実類のうち,世界的に著名なものは何と何か。その貿易は?
31.世界の油脂植物には,どんなものがあるか。熱帯には?温帯には?日本では植物性の食用油は何からとるか。
32.熱帯地方で常用されるカレー粉や唐がらしはどこで最も多く使われるか。なぜそれが用いられると思うか。
33.香辛料について研究せよ。どんなものがあるか。その産地は?生産上どんな点で野菜や果実に似ているか。昔と今とでは用途に差があるか。昔はおもに何のために用いられたか。香料は世界歴史の発展と,どういう関係をもっていたか。“香料の島”“香料の道”とは何をいうのか。昔の価格と今の価格とを比較せよ。
34.食塩の調味料としての重要牲を論ぜよ。
35.食塩の製造法はどうか。日本では?中国では?アメリカでは?ヨーロッパでは?
36.江戸時代,塩の輸送はどういうふうに行われたか。塩尻という地名は何を示すか。
37.欧米人の食事と日本人の食事に用いられる野菜類について,何か著しい差異があるか。相互に独得のものがあるか。調理法の差は?明治以後日本に輸入された主要な野菜にはどんなものがあるか。
38.日本の大都市を例にとって,近郊の野菜栽培との関係をみよ。主として都市に需要される野菜には,どんなものがあるか。都市の地域的膨脹と栽培地域の関係はどうか。人口の増加と栽培面積との関係は?30年前と現在とくらべて,どういう変化があるか。集荷及び輸送の方法は?
〔学習効果の判定〕
2.食糧問題は日本のみならず,世界各地において最も重要な問題の一つであることを理解したか。
3.交通・運輸が同じく今日の重要な問題であることを理解したか。
4.食糧を通して,世界各国が相互に異存している事実を理解したか。
5.栄養の見地から,日本の食習慣は大いに検討を要することについて関心をもつにいたったか。
6.日本の農村問題,例えば人口の支特力,労働力の配分,所有と耕作の関係,協同組合などについて関心をもつようになったか。
学習指導要領 人文地理編(1)
Approved by Ministry of Education
(Date July 12,1947)
昭和22年 7月 12日 翻 刻 印 刷
昭和22年 7月 16日 翻 刻 発 行
〔昭和22年7月 16日 文部省検査済〕
著作権所有 著作兼
発行者 文 部 省
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