世の中は常に進展し変化している。そうして現在は過去に連続し,未来につながるものである。過去の発展の十分なる知識なくしては,とうてい現代を理解することもできないし,まして将来を予測することは不可能である。歴史的知識の必要は主としてここにあるのであって,現代人が古代人に比して確かにたちまさっている点は,その経験が深く重なり,眼界が広くなっていることと共に,よくこれを認識していることでなければならぬ。歴史の効用はいろいろあるが,その第一は,人類文化発展の跡を尋ねて,われわれの今日の立場を明らかならしめることである。
世人の教養がようやく深まり,知識が整理されて科学的になって来ると,政治・経済・社会・文化のあらゆる方面にわたって,日常見るところの事々物々をみな歴史的に観察することはすでに始まっている傾向である。けれども歴史の教育においては特にその点に注意し,正確な認識を養成しなければならない。歴史的に物を観ることは,他の学科においても教えられるに相違ないが,歴史学科はことにその全体を総合して連絡を与え,系統をつける任務を持っているのである。
従来はややもすると,歴史を暗記物などと称し,史実を暗記するものと誤解する傾向があったが,それはもちろん誤りである.歴史もやはりこれを了解し体得すればよいのであって,決して理解できない知識を詰め込むものではない。了解した事項で暗記していないことがあれば,必要な参考書について確かめればよいのである。教科書ももちろんそういう意味の一参考書であって,これを丸暗記する必要はない。今後の教科書がやや詳細にわたって部厚くなるのもそのためである。たびたび参考し,理解している中には,必要なことだけは自然に記憶に残るものである。
東洋史の課題は,東洋独自の文化がどのようにして起り,それがどのような発展をとげ,また他の文化と交渉してどのように変化したか,ことに近世にいたって西洋の近代文化の影響を受けてどんなに変わったかを明らかにし,もって今日の実状を正しく認識せしむるにある。もっとも考えようによると,今日の文化はだいたい西洋文化の系統であって,東洋古来の文化は中途で断絶し,今日につながらない観がある。そのために世人の東洋史に関する興味はすこぶる消極的となり,あるいは東洋の歴史は退歩の歴史であるなどと,誤解する向きもある。しかしそれは決してそうではない。東洋の歴史も徐々にではあるが,着実に進歩・発展して,漢・唐より明・清になったのである。それがたまたま飛躍的に進歩した西洋の近代文化のために圧倒されただけであって,決して衰弱せる東洋が亡びて西洋がこれにかわったわけではない。もちろん西洋の近代文化は優秀なものであるから,東洋の古風文化がこれに圧倒されたのは当然のことであって,ここに全世界は一つになり,東洋はひたすらこの優秀な文化を学習消化することになった。けれども東洋五千年の伝統は亡びるものでないから,西洋伝来の近代文化を吸収同化し尽くしてしまった後には必然東洋固有の特色が新装して現われるであろう。そうしてそれこそ東洋が世界文化に貢献する唯一の道なのである。
この指導要領ではこういう見地から,五単元を選び,主として年代で配列し,第一に「東洋の古代文化はどのようにして成立したか」を見,第二にそれが「どのように発展拡充したか」,更に第三に「庶民生活の向上」となって現われ,第四にかくして「東洋文化の一応の成熱」を見たが,第五にやがて西洋文化の圧倒的影響を受けて「東洋の近代化」となったこととして考えてみた。もとよりこれは一例を示す試案であって,必ずしもこれにこだわる必要はない。他にまだいろいろな考え方はあろう。ことに中に例示した諸問題のごときは事情により時と処とにより随意に取捨採択すべきである。
要するに,努めて限界を広くして国史・西洋史はもちろん,他の学科にも十分連絡をとり,必ずこれを現代と連関させて生きた知識とすべきである。なお参考書は現下の情勢ではすこぶる得がたいが,それだけ学校当局として特別の努力をして多数を備え,生徒に自発的研究の便宜を提供すべきである。
学習効果の判定
学習効果の判定については,「学習指導要領一般編」を参照せられたい。なおこの東洋史は社会科の一課として学習せられるものであるから,社会科の内容と東洋史との関係については,「社会科学習指導要領(二)」及びその附録「高等学校における社会科の選択教科について」を参考とせられたい。
一般参考書の例
矢野 仁一 東洋史大綱 目黑書店 昭13
市村 ■(せん)次郎 東洋史統 三巻 冨 山 房 昭14〜18
新 光 社 世界文化史大系(または東洋文化史大系) 昭9〜15
平 凡 社 世界歴史大系(または全亞細亞歴史大系) 昭8〜14
岩 波 書 店 東洋思潮(岩波講座) 昭9〜11
那 珂 通 世 支那通史(岩波文庫)三冊 岩波書店 昭13〜16
ラトゥレット 支那の歴史と文化 二巻 生 活 社 昭15〜16
岡崎 三郎 訳
加藤 繁 支那経済史概説 弘 文 堂 昭19
武内 義雄 支那思想史(岩波全書) 岩波書店 昭11
クレッシイ 支那の土地と人 偕 成 社 昭14
三好 武二 訳
箭内 互 編 東洋読史地図 冨 山 房 昭16
和田 淸 補
三 省 堂 編 模範最新世界年表 三 省 堂 昭21
単元一 東洋の古代文化はどのようにして成立したか
要 旨
東洋における人類文化の誕生は,西ヨーロッパの場合と同じく,第四紀洪積世の前期までさかのぼることができる。1920年代以来,発掘が続けられた中国の北平西南の周口店の遺跡は,貴重な古人骨を出した点で世界史上に大きく浮かび上がった。この古人骨は洪積世前期の人類のものと認められ,シナントロプス=ペキネンシス(北京人類)と名づけられた。この初期旧石器時代人は,現人類と体質を異にしているが,すでに石器を使い,火を用いていたことが知られている。その後永い年代を経て,後期旧石器時代,ついで新石器時代に到達するのであるが,その間には多くの明らかにされていない部分があり,文化的な継続関係は,まだ十分明らかではない。けれども新石器時代になると,はっきりとした遺跡があり,遺物も多く,現人類の祖先が,東洋の各地に住み,地域ごとに独得の文化をつくりあげていたことがわかる。そうして中国・蒙古・インド・日本など,東洋の主要地域では,その発展の様相もだいたいは知ることができる。
中国では,その後,黄河の下流域を中心として,文化の著しい発展があり,青銅器時代となった。それと前後してそのころの社会状態を知らしめる遺物も増加し,また文献も現われて,歴史時代に入った。歴史時代の最初に名を著わす強力な国は殷である。殷は今の河南省安陽附近を根拠として栄えた氏族的な古代国家であって,その地に高度の青銅器文化の華を咲かせた。けれどその支配の及ぶ範囲は黄河下流域に過ぎなかった。ついで陜西方面から周が興り,殷を滅ぼしその故地を併すと,華北ははじめて一つの主権のもとに統治されることとなったのである。周王は近親や功臣を諸方に分封して,諸侯とし,地方の統治を委ねた。封建制度といわれるのがこれである。その後,文化は地方に普及し,諸方に地方的な政治・文化の中心ができた。
紀元前八世紀のはじめ(770 B.C.),外民族の攻撃を受けて,周王が本拠の陜西地方を棄てると,これに続いて550余年にわたる永い政治的分裂抗争時代が訪れた。地方の諸侯は,表面周王を戴きながら,実は独立の形をとり,互に争いつつ,実力をもって中原の支配を競った。春秋・戦国の時代といわれるのがこれである。その間,周王の権威はますます衰えたけれども,一方では北は長城地帯から南は揚子江流域に及ぶ広大な地域が,同一の文化圈内に含まれるようになった。また社会的には旧い氏族的な社会秩序が崩れ,個人の活躍が認められ,経済的・文化的にも著しい発展をとげた注目すべき時期である。ことに春秋の末から戦国にかけては思想・学術の発展はめざましく,儒家・道家・法家等いわゆる諸子百家が競い起った。
このような政治的分裂の時代もやがて秦の始皇帝の全国統一によって終りを告げた。秦は西方の陜西方面に早くから強固な地位を築いていた国である。始皇帝は全国を統一すると,外に対しては,絶えず北方より中国をおびやかしつつあった遊牧民族の匈奴を退け,また南方は安南方面まで地を拡げた。同時に内に対しては政治・経済・文化の各方面にわたってきびしい統制を加え,君主専制の中央集権国家を作り上げた。けれども秦の政策には行き過ぎがあったので,国民の反抗を受けて間もなく倒れ,漢の高祖がこれをついだ。漢は緩急さまざまの方策を用いて,中央集権的な国家体制の強化に努め,武帝の時代に至って,ほぼ完成した。秦・漢の領域は,ほぼ今の中国本土と等しく,また政治・社会・経済・文化の形態は,後の中国のそれの規範となったものが多い。漢はこのころを頂点として次第に衰え,王莽の新によってかわられたが,再び光武帝によって復興された。これより以後を後漢という。
一方インドでも,インダス河流域を中心とした銅器文化の発展以来,幾度か民族的な混淆・流入があり,また政治的な変遷もあったが,遂にマガダ国のアショカ王によってインドの大半が統一された。その間,思想方面にはバラモンに対して仏教が興った。この仏教は漸次他地域に拡がり,北東するものは中亜を経て中国に入り,後には日本にも伝わり,南するものは南海諸地域に行われ,以後の東洋の文化に大きな影響を与えた。
要するに現代東洋の社会・文化は遠く古代に発生し,それが変化発展を続けて今日に至ったものである。それ故,現状を正しく認識するためには,古代の姿を正しく理解しなければならぬ。ことに,文化が早くより開け,しかもその後は発展の速度の遅かった中国及びインドの場合なおさらである。
目 標
二.中国の古代文化は黄河流域に発生し,ここを中心として発展したのであるが,その理由を理解すること。
三.中国の春秋・戦国の時代は,政治的には分裂抗争の時代であるが,社会的・経済的・文化的には,進化・発展をとげた時代であることを理解すること。
四.中国(秦)及びインド(マガダ国)における中央集権的統一国家の在り方を理解すること。
五.インドの古代文化はインダス河流域にはじまリ,ガンジス河流域で栄えたが,その理由,及び後のインド文化との関係を理解すること。
六.仏教発生の状態を理解し,仏教文化の東亜諸地域に及ぼした影響を認識すること。
七.文化は一元的な存在でなく,相互に影響しあうことを認識すること。
八.古文献及び古代遺物の取り扱いと鑑識に関する能力と技術とを養うこと。
九.現代生活と関連させて,古代文化の型を理解すること。
教材の範囲
(一) シナントロプス=ペキネンシス(北京人類)の生活
(二) 北京人類とピテカントロプス=エレクトス(直立猿人)との比較
(三) 後期旧石器時代の状態
(四) 新石器時代文化の状態及び各風土区毎の特色
2.東洋の原始文化と西欧のそれとの関係はどうか。
(一) 北京人類とネアンデルタール人類との比較
(二) 後期旧石器時代における東洋と西洋との関係
(三) 東西新石器時代文化の比較
(四) 彩陶文化を通じて西南アジア・東欧・インド・中国の相互関係
(一) 歴史地理上よりみた殷の地位
(二) 国家組織の概略
(三) 殷代文化の性質
(四) 殷代文化特に青銅器鋳造技術及び文字の中国文化に与えた影響
(五) 殷墟とその出土遺物について
2.周はどのようにして勃興し,その文化はどのようであったか。
(一) 陜西方面の古代住民
(二) 周の中原征服
(三) 封建制度と社会組織
(四) 文化及び生活の実態
(五) 周室の東方移動
3.春秋・戦国時代の政治的・社会的情勢はどうであったか。
(一) 中原文化の四辺への普及
(二) 春秋時代の政治的情勢
(三) 戦国時代の政治的情勢
(四) 政治的・社会的及び経済的変化
4.春秋・戦国時代の生活と,文化はどのようであったか。
(一) 外文化の流入と中国文化に与えた影響
(二) 各種の技術の進歩と普及
(三) 商工業の発達
(四) 貴族生活と庶民生活
(五) 諸種の思想と,後世に与えた影響
(六) 思想や学問の性質
(一) 秦の強国となった理由
(二) 始皇帝の中央集権的統一事業について。政治・経済・文化等に対してとった方法
(三) 秦の領土と現中国本土との比較
(四) 中国史上における統一の意義と,西南アジアの古代帝国の統一事業との比較
2.漢はどのようにして成立し,またどのように発展したか。
(一) 漢の成立事情
(二) 武帝の外征と,外国との交渉
(三) 武帝の統一事業と,そのためにとった方法
(四) 漢の衰微と新の出現
(五) 漢の再興事情
(六) 後漢時代の国内情勢と,対外関係
3.戦国及び秦・漢時代における外民族は,どのような状態であったか,その政治的変遷と文化。
(一) 北方−匈奴 (二) 東方−■貊(わいばく)・韓及び倭
(三) 南方−■(びん)・越(四) 西方−大月氏・■(てい)・羌
4.漢代の社会と文化とは,どのような状態であったか。
(一) 社会構造 (二) 政治組織 (三) 産業と技術
(四) 生活状態 (五) 思想と学術 (六) 美術工芸
(一) インダス文化
(二) アーリヤ人のインド進入と勢力の拡大
(三) 階級制度(四種姓)の成立とバラモン文化
(四) 仏教の発生
(五) マガダ国の繁栄
2.インドはどのようにして統一され,また西方諸国との関係はどのようであったか。
(一) 古代ペルシアの状態とアレキサンドルの遠征
(二) マウリヤ王朝とアショ力王のインド統一
(三) クシャナ王国
(四) 仏教の東方及び南方への伝播
(五) ガンダ−ラ美術
(六) 仏教文化の中国・南方アジア及び日本への影響
学習活動の例
O黒陶(城子崖・安陽) ×彩陶(仰韶・朱家寨・安陽)
△細石器 □有肩石斧 ●その他
2.春秋及び戦国時代における大国の首都を図示し,かつ黄河文化の発展を矢印をもって示すこと。
3.秦及び漢の領土を図示し,現中国の領域と比較すること。
4.アショカ王時代の領域を図示し,かつ統一の経過を矢印をもって示すこと。
5.中国の文字の発展の状態を図によって示すこと。
特定の一字を選び出し
甲骨文字・金文・秦篆・漢隷
の順序で書くこと。
6.次の貨幣を時代順に図示すること。
貝貨・蟻鼻銭・布・刀・円銭・半両・五銖銭・貸泉
二 写真あるいは模造品の展観
類人猿との異同,現人類との異同
などについて観察すること。
2.彩陶の実物・写真あるいは実測図などにつき,西南アジア・甘粛・河南・熱河など各地方の彩陶の異同を観察すること。
3.黒陶については器形の種類を観察し,殷墟の青銅器との関係を調べること。
次の図書を実際に手に取って観察し,内容の概略を調べること。
2.論語・孟子・老子・莊子・荀子・韓非子
3.楚辞 4.史記・漢書 5.淮南子・塩鉄論 6.説文
7.リグ=ヴェダ 8.ウパニシャッド 9.マハーバーラタ・ラーマーヤナ
四 口頭報告
この時代にどのようなことが起ったか,冲積世とは。
2.旧石器時代とはどのような時代をさしていうか。新石器時代とは。青銅器時代とは。鉄器時代とは。
3.人と類人猿どはどこが違うか。
初期旧石器時代人と後期旧石器時代人とはどの点が違うか。
4.陜西地方は中国古代文化の発展上,どのような役割を演じたか。河南及び山西地方は。山東地方は。揚子江流域地方は。
5.周代の封建制度とはどのような政治組織であったか。これの後世に与えた影響。
6.春秋・戦国時代における外文化の影響を総括的に調べること。
7.古代中国の外国貿易は主としてどのような経路によって行われたか,主要貿易品は何か,またそれと現代中国の外国貿易との比較。
五 報告書の作成
2.牛・馬・羊・豚・大・鶏などは東洋において,いつごろから家畜化され,何の用に使われたかを調べること。
3.中国における塩の生産地と塩の問題の中国史に与えた影響を調べること。
4.大形石器と細石器とを比較し,おのおのの使用者の生活上の相違を明らかにすること。
5.彩陶文化人の活動を中心とし,石器時代における東西文化の伝播の状態を調べること。
6.青銅器の鋳造技術はどこで発見され,どのような過程を経てヨーロッパや東洋に伝わったか。
7.中国古代の貴族が壮大な墳墓を造ったのは,どのような理由に基づいているか。殷・周・秦・漢の各時代の場合について考えてみること。
8.中国及びインド古代おいて,祭祀と政治とはどのような関係があったか。
9.春秋時代から戦国時代を経て漢代に至る間に起った社会状態の変化を調べること。
10.春秋・戦国時代に鋳造された各種の貨幣と,その流通地域を調べること。
11.中国の開国説話を調ベ,どのような組み立てになっているか,また後世への影響はどうかについて考えること。
12.儒家思想と道家思想の中国及び日本の文化に与えた影響。また五行思想の中国の思想及び実生活に与えた影響を考えてみること。
13.中国古代の学術・思想の特長は何か。インド古代のそれは。また両者の特長を比較研究すること。
14.古代における北方民族の名称と動向とを調べ,東洋史にどのような影響を与えたかを考えること。
15.オルドス青銅器と,戦国式銅器とを比較し,相互に影響しあった点を考えること。またオルドス青銅器文化と,エニセイ文化・スキタイ文化とを比較すること。
16.戦国時代及び漢代における商業の発達はどのようであったか。秦及び漢の統一とどのような関係を持っていたか。
17.秦代の政治組織の後世に与えた影響はどうか。また秦の中央集権的統一政策と,アッシリア・ペルシアのそれとを比較してみること。
18.漢代の美術工芸品は,地域的にどの方面にまで及んでいるか。またその方面の文化にどのような影響を与えたかを考えること。
19.パンジャブ地方はインド文化の発展上,どのような役割りを演じたか。またガンジス河流域は。
20.インドの階級制度はどのような形と起源とを持っているか。またインド史に与えた影響。
21.アレキサンドル大王の遠征は東洋の歴史にどのような影響を与えたか。
22.仏教の東洋文化に与えた影響。
23.ガンダーラ芸術はインド・中国・日本の美術にどのような影響を与えたか。
六 討 論
2.儒家思想と,道家思想とを調べ,組を分かって,その可否を論ずること。また儒家思想と,法家思想との長短,及び孟子と墨子と荀子の思想の長短を論ずること。
3.漢の武帝の行った経済上の統制政策及び専買制度は漢代の経済界にどのような影響を与えたか。為政者側と,商人・民衆側とに分かれて,可否を論じあうこと。
4.周の封建制度と,日本及びヨ一ロッパのそれとを比較すること。
5.中国古代の氏族制度と日本のそれとを比較し,その異同を論じあうこと。
6.中国古代の奴婢制度と,ギリシア・ロ一マのそれとを比較し,性質の異同を論じあうこと。
7.周・漢代の都市の状態を調べ,近代の都市と比較し,その異同を論じあうこと。
8.中国思想と,インド思想との性質を調べその異同を論じあうこと。
9.秦の始皇帝の統一政策と漢の武帝の統一政策とを比較し,両者の得失を論じあうこと。
七 伝記の作成
孔子・釈迦・秦の始皇帝・漢の武帝
2.殷代の王者の生活
3.周代の貴族・学者・商人の生活
4.殷代から漢代までの間に生じた農業技術の進歩変遷を中心として各時代の農民の生活を描け。
5.画像石及び明器等を通じて,漢代の貴族及び庶民の生活を復原し描写すること。
6.インドのバラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ及びスードラの生活。
九 見学及び実地調査
(一) 東洋各地の石器 (二) 東洋各地の土器
(三) 中国・オルドス・仏印・日本・インドなど,東洋各地の古代青銅器
(四) 東洋各地の古代鉄器
(五) 中国・バクトリアなどの貨幣
(六) 中国の玉器・漆器・明器その他の美術工芸品
(七) 中国・インドなどの文字
(八) インド・ガンダーラなどの仏像・仏具
2.実地調査−附近の古代遺跡を調査し,過去の生活状態をしのび考えること。同時にそこで採集した遺物を整理すること。
貝塚・住居地・古墳
参考書の例
一 赤堀 英三 化石人類史(先史人類学講座Ⅵ) 雄 山 閣 昭13
先史時代 (世界文化史大系Ⅰ) 新 光 社 昭12
駒井 和愛 江上 波夫 東亞考古学(世界歴史大系Ⅱ) 平 凡 社 昭9
アンダーソン 松崎壽和 訳 黄土地帯 座 右 宝 昭19
濱田 耕作 東亞考古学研究 岡 書 院 昭5
梅原 末治 東亞考古学論攷 第一 星野書店 昭19
梅原 末治 古代北方系文物の研究 星野書店 昭13
市村 ■(せん)次郎 東洋史統 巻一 冨 山 房 昭14
橋本 増吉 東洋古代史(世界歴史大系Ⅲ) 平 凡 社 昭8
古代支那及びインド(世界文化史大系Ⅲ) 新 光 社 昭12
漢魏六朝時代(世界文化史大系Ⅵ) 新 光 社 昭11
和田 清 支那 上 (東洋思潮) 岩波書店 昭10
岡崎 文夫 古代支那史要 弘 文 堂 昭19
内藤 虎次郎 支那上古史 弘 文 堂 昭19
林 泰輔 支那上代の研究 光 風 館 昭2
小島 祐馬 古代支那研究 弘 文 堂 昭18
貝塚 茂樹 中國古代史学の発展 弘 文 堂 昭21
ラトゥレット 岡崎三郎 訳 支那の歴史と文化 上 生 活 社 昭15
和田 清 編 支那官制発達史 上 中央大學 昭17
加藤 繁 支那の社会(東洋思潮) 岩波書店 昭10
加藤 常賢 支那古代家族制度研究 岩波書店 昭15
諸橋 轍次 支邦の家族制 大 修 館 昭15
牧野 巽 支那家族研究 生 活 社 昭19
加藤 繁 支那経済史概説 弘 文 堂 昭19
武内 義雄 支那思想史 岩波書店 昭11
津田 左右吉 論語と孔子の思想 岩波書店 昭21
原田 淑人 漢六朝の服飾 東洋文庫 昭12
原田淑人・田澤金吾 樂 浪 刀江書院 昭5
羽田 亨 西域文明史概論 弘文堂 昭6
岩井 大慧 印度(東洋思潮) 岩波書店 昭11
金倉 圓照 印度古代精神 岩波書店 昭10
宇井 伯壽 印度佛敎思想(東洋思潮) 岩波書店 昭10
マクドネル 大澤貞藏 訳 インド文化史 地 平 社 昭18
二 濱田 耕作 東亞文明の黎明 刀江書院 昭5
梅原 末治 東亞の古代文化 養 徳 社 昭21
梁啓 超 重澤俊郎訳 先秦政治思想史 創 元 社 昭16
目加田 誠 詩経(東洋思想叢書) 日本評論社 昭18
橋川 時雄 楚辞(東洋思想叢書) 日本評論社 昭18
長與 善郎 韓非子(東洋思想叢書) 日本評論社 昭18
武田 泰淳 司馬遷(東洋思想叢書) 日本評論社 昭18
池田 澄淳 マーバラタとラーナーマヤ(東洋思想叢書) 日本評論社 昭18
桑原 隲藏 秦始皇帝(東洋史説苑) 弘 文 堂 昭2
桑原 隲藏 張騫の遠征(東西交通史論叢) 弘 文 堂 昭8
桑原 隲藏 紙の歴史(東洋文明史論叢) 弘 文 堂 昭6