初等科第三学年及び第四学年の児童の心理的特性については,国民学校公民教師用書二六頁及び一般編「第二章 児童の生活」の中に説明があるから,ここでは具体的にあらわれて来る一般的な特性を列挙して参考に供しよう。
二 食欲がはなはだおう盛である。
三 運動能力が次第に発達する。
四 一,二年に比べて注意が長く続く。
五 かなり長い時間一つの遊びを続ける。
六 好奇心が強く,いろいろなものを集めたり,知識を求めて本を読んだりする。
七 さ細のことを,重大事のように考えることがある。
八 人と争う傾向がある。
九 欲求を充たすのには,身体の労を惜しまない。
十 男児と女児とは別々になかまを作る。
十一 身なりをかまわない。
十二 指導者になる能力が発達する。
十三 興味が急激に増大する。
十四 家庭外の人たちとだんだん広くつきあうようになる。
十五 社会的な責任が,だんだんとよくわかって来る。
十六 団体的競技や遊戯に参加し始める。
十七 現実のことと,非現実のこととを区別しはじめる。
十八 事実談に興味をもっている。
十九 英雄を崇拝する。
二十 物を集めることに興味をもっている。
廿一 次第に自己を律するようになる。
廿二 自分のやることが,他人の役に立つことを望む。
廿三 自分の経験に関係させて,時間や空間のことがわかって来る。
廿四 他人がどんな動機で事をやるかに敏感で,欺くことは困難である。
廿五 自分のしたことあるいは作品の成績に対し,批判的になる。
生活を持続して行くのに必要な順応ということを理解させるためには,児童がその身ぢかな生活の中から得ている理解に出発して,これを次第に広い範囲に及ぼすのである。よその土地の文化のことを児童の生活と関係なしに教えてもだめである。児童の興味や経験を通じて,いろいろな環境への順応を理解させなければならない。よその土地の子供の服装などでも,劇をやってその衣しょうを作ってみたり着てみたりして,はじめてその色彩や布地の違いなどに気がつくのである。また例えばわらじが児童の好奇心をひきつけたとしたならば,そういうものから出発して,それがどんな所で使われているかとか,また,いつごろ盛んに使われたか,どうして今はすたれたかというように,追求させて行くのがよいのである。昔の人のはきものはどんなだったか,というふうに直接これを調べさせようとすると困難である。
四年の児童は,冒険の物語を好んで読むし,そのいっしよにやっている遊びにも,冒険を好む傾向がよく見られる。それで,昔の人たちが不便な自然環境の中で,いろいろな工夫をして生活して来たようすや,また現在でも,常人の行かない不便な環境で,いろいろな工夫をしながら,ほかの人たちのために働いている人々のようすなどを理解させることができるし,児童もまた,そのような順応のようすを知ったり,まねしたりすることをよろこぶ。
三,四年を通じて,教師は,動植物そして人間の生活している環境は常に変化しつゝあり,動植物や人間はこの環境に順応するか,あるいはこれを制御して行かないと滅亡してしまうということを,常に念頭において指導されたい。
第三学年の児童について特に注意すべきことは,次のような事であろう。
二 団体的活動を意識してするようになるから,どの児童にも,うまく活動ができるように,十分機会を与える必要がある。
三 好奇心が非常におう盛であるから,これを科学的教養の基礎としてやる必要がある。
四 自信の無い子や栄養の悪い子は,姿勢が悪くなる傾きがある。
五 遠足などの際事故を起しやすい。
六 歌ったり,物を作ったり,絵を描いたりするのに,自信がなくなり,きらいになる子があらわれる。
七 一,二年の間に養成された知識や能力・態度等を維持する必要がある。
二 たがいに違う環境に生活している人々は,おたがいに産物を交易すること。
三 動植物を育て,保護し,じょうずに利用することは,自然征服の助けとなったこと。
四 地理的条件は,動植物及び人間に大きな影響を与えること。
五 人々の生活様式は,その住んでいる土地の自然的条件によって,左右されていること。
六 動植物には,自己防衛の手段が備わっていること。
七 世界じゅうのすべての人々に,太陽は光と熱とを与えていること。
八 芸術上の創作も環境によって変化して来ること。
九 厚生・娯楽の活動も環境と密接不離であること。
十 すべての人々は,なんらかの宗教を持っていること。
十一 生物には,よりよい生活条件を求めてほかの場所へ移って行く傾向があること。
十二 あらゆる人々は,おのおのその祖先から精神的物質的恩恵を受けていること。
第三学年の問題としては次のようなものを参考に挙げているが,その意味,これを中心とした単元の意味や取り扱い方,各問題に示された学習活動の意味や取り扱い方,学習指導計画との関係等は,すべて第一学年の場合と同じであるから,その部分を熟読対照していたゞきたい。
また巻末の作業単元の実例を参考にすることが必要である。
二 適当な着物を選ぶには私たちはどうすればよいか。
三 家はどのようにして建てるか。
四 動植物はどのように人間に頼っているか。
五 動物はどのように人間の役に立っているか。
六 いろいろの物を手に入れるには私たちはどうすればよいか。
七 水や電気やガスなどを私たちはどう使えばよいか。
八 土地によって交通,運輸の方法がどんなに違っているか。
九 ほかのなかまと仲よくするには私たちはどうすればよいか。
十 国や宗教上の祝祭行事は各地で,どのように行われているか。
一 指導の着眼
この年ごろの児童は,自分の体力を意識できるほどに成長しており,またほかの者の意見を理解できるようになっている。したがって,ほかの者といっしよに団体活動をしたり,団体的な規則に従ったりすることを喜び,ほかの者の世話をしたり,手助けをしたりすることを得意がるのである。その反面,自分たちの仕事の結果に注意を払い,それを批判する。学業についていえば,その学び方が秩序立って来,積極的に質問をするようになっている。要するに,人格成長の一転機に遭遇しているのである。
この転換期にある児童を指導するに当たって考えらるべきことは,児童が家や学校や遊びなかまの中で自立心を持っているかどうか,学習に当たってはどんな困難を感じているかということ,及び感情の爆発といったことである。
二 指導結果の判定
この問題に関係している学習活動の効果は,以下のような諸点から知られよう。
児童がどのくらい自信を持って団体生活をしているかという点,学習態度がどれほど進歩したかという点,団体活動の規則にどのくらい気をつけるようになったかという点。それから,ほかの者,特に自分のなかまのために,どれほど役立とうとしているかという点。
三 学習活動の例
(一) 家で自主的にふるまう。
2.家でする自分の時間割を作る。
3.三年生の児童が自分でできる仕事について話しあう。
4.自分たちでできる仕事の表を作る。
5.家の人たちの誕生日などに,お祝いを言ったり,贈り物をしたりする。
6.一人でお使いに行ったことを話しあい,学級の者が一人でお使いに行った場所を書いた地図を作る。
7.簡単な家具の修繕法や,簡単な家庭用具の作り方を話しあう。
2.学級内での仕事の分担をきめる。
3.学級日誌を作って,交替でつける。
4.指導者を選んで,その下で協力する。
5.クラス会を開いて,遠足,誕生会その他の学級活動の相談をし,各自の分担をきめる。
6.教室をきれいに気持よくするため,ともに働き,工夫する。
7.病気欠席の級友に見舞状を出したり,贈り物をしたりする。
8.学級生活についての簡単な決議事項を公表する。
9.ほかの教室を見てその組のよい点について話しあう。
2.いろいろな団体活動を話しあい,それぞれの規則を研究する。
3.遊びなかまとする楽しみについて話しあったり,書いたりする。
4.自分がどんなふうになかまのために尽くそうとしているか,ということを報告する。
5.指導者としての責任と資格とについて話しあう。
2.学校に不思議なもの,おもしろいものを持って来て,みんなで研究する。
3.日の出・日没・気温・天候,豆の発芽,おたまじゃくし・養蚕などの共同観察と実験を計画し実行する。
4.新聞や雑誌からためになる切り抜きをとって,それを掲示板にはる。
5.疑問が起ったらすぐノートに書きつけておき,できるだけ早く解決できるようにする。
6.自分だけのために,家で研究する問題や時間を作る。
7.自分が読んだ話で,みんなの役に立つと思うものを,ほかの人に話して聞かせる。
8.学習自治会を作って,勉強をする時のさまたげになるものを克服するように協力する。
一 指導の着眼
児童は新しい着物に強い魅力を感じている。そして着物の原料とか,着物と気候,天候との関係,着物の種類などに興味を持っている。このような興味を利用して,児童に,着物と環境との関係に対する理解を与えることができることと思われる。
二 指導結果の判定
この問題,関係づけた学習活動の効果は,着物の選び方,使い方,手入れの仕方,その原料に関する知識と見わける力などを観察して知ることができよう。
三 学習活動の例
(一) 着物の原料を知る。
2.着物の材料はどんなものから作られているかということを,本を読んで知る。
3.土地の工場に行って,着物や布地が作られる有様を見学する。
4.も綿・絹・麻・羊毛・皮などで作られているいろいろの品物を見て,表に作る。
5.衣服地の原料を絵図に書き示す。
6.簡単なものをせんたくする。
7.お母さんがせんたくの時どんなことに注意し,どんなことをするかを話しあう。
8.仕立屋や洋服屋に行って,衣類の仕立方,仕立道具,ミシンなどを見て報告する。
2.天候の図表を作り,人が天候に応じて衣類をとりかえる有様を見,それを書き入れる。
3.寒帯・熱帯各地の着物の型を示す絵図を作る。
4.お人形に季節季節や特別な時の着物を着せて見る。
5.雲と風を観察して,その関係を話しあう。
2.都会やいなか・山村・漁村それぞれの特徴を示す衣類について話しあう。
3.祝祭日に人々が着る着物について話しあう。
4.寝巻にどんなものを使っているかを報告し,一番適当だと思うものについて話しあう。
5.お祭や儀式,行事などの時見た,わが国の昔の着物類の絵を書き,話しあう。
一 指導の着眼
子供たちは,新しい家の建築を見ることが好きである。いろいろな建築材料にも大きな好奇心を持っている。戦災者の子供なら,ごう舎やバラック,簡易住宅を建てるのを,身ぢかに経験しているであろう,一部の児童には,自分の室を持ち,いろいろの体験を持っている者もあろう。更にまた,家の掃除や手入れを分担している者も少なくない。このような点に,関連して,児童の体験を拡めるのに,注意すべき点は次のようである。
○構造及び様式──高層建築・耐震家屋・ガラスの家・耐火建築・丸木小屋・アパート建築・長屋・簡易住宅・ごう舎・テント等。
○位置──水辺・丘の上・谷間等。
○家具──設備・暖房・採光・装飾・室の種類
この問題の学習活動の効果は,以下のような諸点の理解から知られるであろう。
家とは健康を守るために作るものであること,気候とか地勢が家の形や建築材料に影響を及ぼしていること,家を長持ちさせるにはよく手入れをすることが必要なこと。
三 学習活動の例
(一) 家はどんなふうにして作られているかということを知る。
2.材木・れんが・ガラス・石・土・わら・紙・鉄その他の金属・布地・その他家の各部に使ってある資材を見つけて図表を書く。
3.家を建てる有様を見て,絵に書く。
4.家を建てるのには,どんな人が入用かということを話しあう。
5.炉やかまど,暖房用具の絵を書き,それぞれの特徴を話しあう。
6.家庭用照明具の絵を書いたり集めたりする。
7.いろいろな照明具を比べて,どれが一番明かるく,気持がよいかを調べる。
8.寒さや暑さ,湿気,虫やねずみなどによる破損に対処するため家で行っている方法について話しあう。
9.学校をきれいで,換気よく,気持よくしておくために,各自が活動できる計画表を作る。
10.校庭の水はけをよくするため,みぞを掘って,それに踏み板をわたす。
11.室の改善のために,ペンキや壁紙を選んで買う。
12.家のこわれた個所をその原因を考えながら修繕する。
2.農家・漁師の家,その他の模型を作る。
3.気候の違う各地の家の絵を集めて,その構造や建築材料を調べる。
4.わが国の家と外国の家を比べて,似た点を話しあう。
5.日本の家の建て具と外国のそれとの相違と,その相違の原因を話しあう。
6.探険家の住居の絵を集め,どんな用意をして行くのかを調べる。
7.テントを張ってみる。
一 指導の着眼
子供たちは,動植物の生態に非常な興味を持っており,これらといっしょに遊ぶ性質がある。そしてまるで友だちか何かのようにむやみとかわいがるのであるが,しかしまた,それとは反対に残酷なことをする傾向もないとはいえない。児童を指導するに当たっては,このような点に注意し,こうしたことから出発して,生物の生命に対するより深い理解と,生物の生態に対する科学的な態度を持たせることができよう。
この問題は,これを動物と植物の二つに分けることができ,そのおのおのにおいて注意すべき諸点は次のようである。
○食物—植物及び他の動物,食料の貯蔵,冬眠。
○対敵能力—色彩・外皮・闘争法,安住できる場所,走力・飛行力。
○人間によってなされる保護—森林・原野・河川における人工的繁殖法,法令規則の発布,人工的巣の製作供給。
○子の世話—食物の供給,巣のこと,親が世話をしてやるいろいろな場合。
○養分──日光・水・土壌・空気・肥料。
○人間によってなされたる保護──食用植物・耕作・法規・記号標識。
この問題の学習活動の効果を判定する一つの方法としては,以下のような点について観察することである。即ち
児童が以前よりもたくさんの動植物の性格を認識し了解するようになったかということ。
動植物がどんなふうにして環境に適応しているかを理解するようになったかということ。
家や学校で動植物の世話をよく見るようになったかということ。
生命の起源と成長に厳粛な理解を持つようになったかということ。
三 学習活動の例
(一) 動物がどんなふうにして身を守っているかということを知る。
2.うさぎや雷鳥その他の動物が,季節に応じてその色や毛や羽を変える有様を観察する。
3.ちょう類の一生を調べて絵に書く。
4.鳥類の移住を観察して報告を書く。
5.すゞめ・つばめ・からす・とび等,虫や獣の害を減らしてくれる野鳥の効用を話しあう。
6.なぜ動物は冬になると移住したり,冬眠したりするかを話しあう。
7.かえるの卵を水の中で育てて,かえるになるまでの有様を観察する。
8.ありの巣を観察して,ありが食物を集めたり貯えたりするようすを調べる。
9.いろいろな動物の物のたべ方,眠り方を調べて,話しあう。
10.毒や角・肢・歯・尾・羽・色や模様・悪臭・針など動物が身を守るために持っている道具の話を読んたり,見たりする。
11.へびやくも・がま・もぐら・毛虫などのようにあまり気持のよくない動物でも,何か人間の役に立っていることを発見する。
12.動物の巣について読んだり話しあったりして,なぜあるものは地下に,あるものは地上,あるものは樹上,あるものは水中に巣を作るかを調べる。
13.かたつむりを見て,そのからの効用を話しあう。
14.鳥の巣箱を作って,適当な所に置く。
15.校庭のすみに動物小屋を作って,いろいろな動物を飼う。
16.野外遠足をして,いろいろな動物の巣を見る。
17.動物の親が子の世話をする有様を読んだり話しあったりする。
18.菜園の害虫・害鳥・害獣の話を読んだり聞いたり話しあったりして,その表を作る。
19.動物になったつもりで,動物は人からどんなふうにされたいか,ということを話しあう。
2.種を植えて,どんなふうに育つかを調べる。
3.別々な場所に種子を植えて,日光や水のあんばいが,どんなにその生長に影響があるかを調べる。
4.野外遠足をして,しめった土地,かげった土地,かわいた土地,日当たりのよい土地に育つ植物を見て,その区別を知る。
5.暑くて,湿気のある地方と,乾燥地帯の植物の生態の違いを知るため本を読む。
6.熱帯・温帯・寒帯・低地・山地を世界地図で調べ,おのおのに生えている植物の種類を知る。
7.とげ・いが・から・木皮・毒・悪臭等,植物が身を守るための方法を読んだり,話しあったりする。
8.箱庭を作って若い雑草を植え,それが繁茂して行き,やがて枯れて土になる有様を観察する。
9.実験に使った材料の量を記録しておく。
10.常緑樹・落葉樹・一年草・多年草の表を作る。
11.植え木鉢,植え木箱を作る。
12.学校や家の植え木ばちや庭に植物を植える。
13.公園その他公共地や他人の家の,木や草をいためないための方法と,なぜたいせつにしなければならないか,ということを話しあう。
一 指導の着眼
この年ごろの児童は,動物に関する経験をたくさん持っている。家畜は人間の生活に欠くべからざるものであって,子供の日常生活もまた,家畜のあることによって楽しさを増大していることが多い。更にあらゆる子供,あらゆる人間が動物性製品及び食料を使っている。
このような点から出発すれば,児童に動物の効用と人間がどんなに動物のおかげをこうむっているか,という理解を与えることが容易であろう。
二 指導結果の判定
この問題の学習活動の効果は,問題四のとほゞ同様な点から観察することができるであろう。
三 学習活動の例
(一) 食用に使われている動物のことを知る。
2.食用動物の種類をあげる。
3.魚をとるいろいろな方法を読む。
4.魚市場やさかな屋に行って,どこから,どんな方法で,どんなふうにして魚貝類が運ばれて来るかを知る。
5.山村・漁村・都市その他で手に入れることのできる動物性食料の表を作る。
6.日本料理・中華料理・西洋料理のおのおのによく使われる動物性食料の絵を書く。
7.各自が好きな動物性食料の味について話しあう。
8.家や学校で,山羊・羊・鶏その他の世話をする。
9.鶏や山羊や牛が,どんなうまいたべ物を私たちに提供しているか,その種類について話しあう。
10.搾乳場に行って,牛乳のとり方を見る。
11.ふだんの食事にどんな肉や魚があったかを記録する。
12.さかな屋や肉屋に,魚や肉がどんなふうにして配給されて来るかを知る。
2.山地では動物をどんなふうに運搬や交通のために使っているかを知る。
3.さばくの旅でらくだが使われている有様を知る。
4.雪で犬やとなかいが交通,運搬に使われているようすを知る。
5.牛や馬が交通,運輸にどんなに役立っているか,ということを話しあう。
6.世界各地でいろいろな動物がいろいろな方法で交通,運搬に使われているようすを示す絵巻物を作る。
7.犬がどんなに忠実な動物か,ということを話しあい,その家畜化した歴史を調べる。
8.犬が人間を助けるいろいろな場合のことを話しあう。
9.伝書ばとの話を読んだり,伝書ばとを見たり飼ったりする。
10.牛や馬のいろいろな用途を絵に書く。
2.世界各地の子供が飼っている愛がん動物の話を聞いたり読んだりする。
3.動物園や水族館に行って,その絵巻物を作る。
4.さるとさるのなかまの統率者の話を読む。
2.いろいろな毛皮獣の話を書いた本を読む。
3.うさぎ・しか・とら・くまその他の狩の話を聞く。
4.学校でうさぎの世話をする。
5.動物の毛皮や皮が高価な理由について話しあう。
6.熱帯・温帯・寒帯等,各地で使われている動物性衣料の話を読み,地図で調べる。
7.毛皮製品を調べ,一番よい手入れ法を発見する。
8.皮革製品を調べ,一番よい手入れ法を発見する。
9.学校で養蚕の実験をし,農家に行って養蚕を見学する。
10.土地の絹製品工場を見学する。
11.養蚕業の現状を調べたり聞いたりする。
12.まゆの選択や仲買人への売り渡しの状況,そのための準備を見たり聞いたりし,生糸や絹布製造の過程の話を聞く。
13.絹の歴史を,聞いたり読んだりする。
14.貝がらの用途を発見する。
15.貝がら細工を作る。
2.動物が作り出す肥料について話しあう。
3.農家にはどんな動物が飼ってあるか,それがどんなふうに役立っているかということについて報告を書く。
4.各地の動物性産物を示す地図を作る。
一 指導の着眼
いろいろな物がほかの土地や外国から移入,輸入されて,日々の生活に使われている。このことが,この問題解決のいとぐちになるであろう。これを取り扱うに当たって注意すべき諸点は次のとおりである。
○工業製品—絹・綿布・リンネン・人絹・皮革・タバコ・遊び道具・紙・鉛筆・鉄製品・木製品・竹製品。
○原料—塩・砂糖・羊毛・麻・薬剤。
この問題の学習活動の効果は,児童の観察態度,会話,筆答試験等を通じて,気候・地勢・天然資源と生産物の関係,物資輸送における骨折り,各種の分業に子供としてできる手助け,に関する理解の程度を察することによって知ることができるであろう。
更にまた,児童が物を取り扱う際にどれほど巧妙になったか,ということも,よい手掛りとなろう。
三 学習活動の例
(一) どんなふうにして食料が提供されるかということを発見する。
2.菜園を計画し,耕作,栽培,手入れをする。
3.米・麦・麦粉・じゃがいも・さつまいもその他の主食を示す図表を作り,一人一日の配給量を書きこむ。
4.青物市場に行って,よその土地から来た野菜や果物を見る。
5.家で食べている食糧で,よその土地でできたものを報告する。
6.ある種の植物がなぜその土地で育たないのか,その理由を発見する。
7.ある食料がなぜほかの土地から移輸入されなければならないか,その理由を知るため本を読んだり話を聞いたりする。
8.気候の違う土地で育っている食用植物の話を読んだり聞いたりする。
9.地震・台風・大水・かんばつ・火山・さばく・山岳地帯等,食糧生産に影響を及ぼす自然力について聞いたり話しあったりする。
2.おもしろいと思って特別に調べている物の生産地を示す地図を作る。
3.物がその土地に入って来るものをさまたげている障害を発見する。
4.物々交換の話を聞く。
5.駅や港,倉庫などに行ってどんなものがよその土地から来,どんなものがよその土地に送り出されるかを見る。
6.近所にある工場の人を学校によんで来て,原料品がどこからどんなふうにして持って来られ,製品がどこに送られて行くのか,話をしてもらう。
7.工場の製産状況や土地の特産物を見て,それについて書く。
2.よその土地の特産物を調べるため絵を集めたり,本を読んだりする。
3.日常使っている物の原産地を示す絵地図を作る。
4.外国の産物を集め,展覧会を開く。
5.外国に行ったことのある人をよんで,外国で買った物を見せてもらい,その話を聞く。
6.博物館や商品陳列所に行って外国の産物を見,それと自然環境との関係を調べる。
7.輸出向けの産物を調べる。
一 指導の着眼
人間の生活で水は絶対に欠くべからざるものである。近代生活と電気の関係もまた不可分のものである。更に一部の都市生活者にとっては,ガスもまたたいせつなものである。そして,児童はこうした公共施設の中で生活し,その恩恵に慣れ切っている。これらのものに関する児童の日常の諸体験をとおして,その有用性とその活用保全の必要性を理解させようとするのがこの問題の目的である。
二 指導結果の判定
学習活動の効果は,児童が,水その他の必要をどのくらい感ずるようになったか,それらの物の使用に当たって十分の注意を払うようになったかどうか,ということを考えることによって,知ることができよう。
水・電気・ガスのほかにも,これと同様な例はいくらもあるであろうが,それらをも適当に活用されたい。
三 学習活動の例
(一) 水の効用を知る。
2.あらゆる生物には水がなければならないという話を聞いたり読んだりする。
3.植物の成長に水がなければならないことを知るための実験を計画し実施する。
4.世の中に水がなかったらどんなことが起るかということについて話しあう。
5.水がどんなふうに使われているか,家や学校で水を手に入れるのにはどんなふうにしているかということを観察し報告する。
6.飲用水を保護するため,家や学校で使っている方法を話しあう。
7.わき水や井戸のある場所を調べ,井戸を掘るにはどんな所がよいかということを話しあう。
8.水道をとおして,家まで水がどんなふうにして運ばれて来るかという話を聞く。
9.貯水池・配水所・浄水池を見学する。
10.その土地のかんがい状況を示す地図を作る。
11.動力源・飲料・かんがい・清掃等水の効用を話しあう。
12.水の保全法について話しあう。
13.水に不便な所を調べ,その人々がどんなに苦労して水を手に入れているかということを話しあう。
14.水道料金を調べる。
15.水を手に入れるいろいろな方法を見つけ比べあって,どれが古い型でどれが新しい型かということを話しあう。
2.近所のたまり水を調べて,汚物が入っているかどうかを見る。
3.下水をためておくとどんな弊害があるかを話しあう。
4.水たまりや,汚い流れで遊ぶのがなぜよくないかということを話しあう。
5.なま水や悪い水を飲んで腹をこわした経験を報告する。
6.水には病気を媒介することがあるという話を読んだり聞いたりする。
2.顔を洗ったり,ふろに入ったりする時に,水やお湯をじょうずに使う順序について話しあう。
3.航海をしたことのある人を呼んで,船中では水をどんなふうに使うか,話してもらう。
4.家で一日に使う水の量を用途別に調べる。
5.家で一箇月に使う水の量を調べ,それとその料金を記録する。
6.自分が毎日飲む水やお湯の量を記録する。
7.教室を掃除する時の水の運び方,使う順序,残り水の処理のしかた,などについて話しあう。
8.用水路をこわしたり,用水をよごさないために必要な注意事項を報告する。
2.停電の時,家や学校でどんな故障が起るかということを報告する。
3.家の安全器やスイッチのありかを知る。
4.家で使っている電気を利用した器具の表を作る。
5.電気アイロン・電熱器・電動機等の電気器具や電気装置使用上の注意事項を話しあう。
6.配電会社の人の仕事と漏電による危険についての話を読んだり聞いたりする。
2.家にあるガスパイプやガスコンロを調べて表を作る。
3.家で一筒月に使うガスの量とその料金を記録する。
4.ガス使用上の注意を聞く。
一 指導の着眼
この年ごろの児童は,よその土地における人間の生活に非常な好奇心を持ち,想像をめぐらしている。そして冒険や探検の話がとても好きである。たとえば,小さな木立ちを大密林と考えたり,ほんの小川を大河のごとく想像したりする。教師はこの好奇心と想像力を利用して,各地の交通運輸に関する理解を与えることができよう。
二 指導結果の判定
この問題の学習活動の効果は,児童が地域のひろがりに関する興味をどのくらい増すようになったか,いろいろの物の性格や,それらが運ばれる道すじについてどのくらい疑問を提出するようになったか,更に交通運輸に従事している人々の価値をどれほど理解するようになったか,といったことから察することができるであろう。
三 学習活動の例
(一) 土地で使われているいろいろの交通運輸の方法を発見する。
2.あるものが運ばれるにはどんな方法があるかを表にして書く。
3.ある方法で(例えば牛車,リヤカー)運ばれるものにはどんなものがあるかを表記する。
4.駅に行ってどんな物が運ばれて来るか,どんなふうにして運ばれて来るかということを見たり聞いたりする。
5.駅に行って,汽車または電車で,人や物がどんなふうに運ばれているかを見る。
6.駅の付近の絵地図を作る。
7.山の上や不便な所にある家から物が運ばれて来る有様について話しあう。
8.車の発明と発達に関する話を聞く。
9.車輪の効用とその用途について話しあう。
10.交通を阻害している障害物を示す絵の掲示板を作る。
11.交通を阻害する事がらについて話しあう。
12.小包を作るお手伝いをする。
2.山の茶店で売っている品物とその値段を表にする。
3.荷物を運ぶ動物の絵を書く。
4.薪や炭が運ばれて来る方法を話しあう。
5.山岳地帯で車がそんなに役立たないわけを話しあう。
6.ケーブルカーやその絵を見る。
2.交通機関としての車・船・動物それぞれの効用を話しあう。
3.橋や渡し舟の絵を書く。
4.船の旅のおもしろさを話す。
5.運河の話を読む。
6.船で運ばれる物を見る。
(五) 熱帯や寒帯地方の交通運輸について話を読む。
(六) さばくの旅の話を読み,隊商の絵を見る。
(七) 各国の旅行の方法を示した映画を見る。
問題九 ほかのなかまの者と仲よくするには私たちはどうすればよいか。
一 指導の着眼
この年ごろの児童は,なかまを作っており,なかまに対しては忠実であるが,ほかのなかまとは対立し,それと競争する傾向がある。しかもなお一面においてほかのなかまの者に対しても十分同情を持ち,よくめんどうを見たがるものである。したがって,こうした感情は,これをうまく利用するならば,競手相手に十分な同情を払い,公正な態度で競争する性質を発達させることができると思われる。
二 指導結果の判定
この問題の学習活動の効果は,どんな友だちにでも公正な態度で対するようになったかどうか,自分のなかま内で物の貸し借り,遊びや仕事をなごやかにするようになったかどうか,といった点から察し得るであろう。
三 学習活動の例
(一) 自分たちのなかまをよくして行く。
2.いっしょに勉強する友だちの名を上げ,いっしょに勉強する時のよいこと悪いことを話しあう。
3.いっしょに仕事をする友だちの名を挙げ,いっしょに仕事をするのがどんなによいかということを話しあう。
4.自分のなかまとほかのなかまを比べて,どっちがよくなかま同志で尊敬しあっているか,仲よくしているかを考え,その結果がどんなふうに現われているかを報告する。
5.なかまで相談して,学校や土地のためになることを計画し,実施する。
6.近所の掃除をし,学級備品をとゝのえ,学校の燃料に使うための枯れ枝を集める。
7.なかまのためによい意見を出し,それをやりとげた人の話を見つけて,級友に読んで聞かせる。
8.読書クラブ・運動クラブ・科学クラブといったクラブを教室で作り,これを活用する。
9.教室掃除・用紙分配・動植物の世話等を処理するための学級委員を選ぶ。
2.なかま以外の者とうまく行かない理由を発見し,その解決の方法を話しあう。
3.なかま以外の者を呼んで来て,いっしょに遊んだり勉強したりする。
4.ほかのなかまと気持よく,進んで協力する。
5.新しい友だちをなかまにひきあわせる。
6.引揚者を土地の新しい生活になじませる方法を話しあう。
7.学級にいる引揚者の子供に,紙ばさみとかふとんとかいった物を作って分けてやる。
一 指導の着眼
児童は祝祭日を楽しみにし,その日に行われる行事やにぎやかな光景に心を踊らせている。
またその日に見られる古い習慣や伝統的事物に興味の目を見張っている。こうしたことを土台に,祝祭日行事の計画を立てたり,祭や年中行事の催しを見た話や,それについて読んだり聞いたりした話を,お互に話しあったりする事を通して,児童の知識と理解を広めることができるであろう。
指導に当たって心がけるべき点は
○祝祭日──宗教的,国民的,労働及び収穫その他
学習活動を通じて,児童はいろいろな祝祭日についての理解と外国の祝祭日で行われる風俗・慣習についての知識を増し,各地の祝祭日で行われる行事の変化が何にもとづいているかを理解できるようになろう。このような理解の増進の結果は,種々の事がらにおける形態や色彩・調和・均衡・律動に対してより深い鑑賞力を増し,美術的・音楽的な表現法も進歩するであろう。更にまた,人々の美を鑑賞しようとする衝動が,環境や宗教の力によって相当程度影響を受けている,ということについての理解を増すことと思われる。
三 学習活動の例
(一) 土地の祭や年中行事について学ぶ。
2.国民的祝祭日や地方的祭日の由来の話を読んだり話しあったりする。
3.国旗の立て方を学んだり,祝祭日の歌を習ったりする。
4.正月のお飾りを用意し,その由来を聞く。
5.神社・佛閣・教会で行われる年中行事を見たり,聞いたり,話しあったりする。
6.家の人たちが祭や行事の用意をする有様,どれくらい前から用意をしはじめるか,といったことを話しあう。
7.祭や行事の時の特別なごちそうについて話しあい,その由来を聞く。
8.祭や年中行事の時の特別な風習や行事を話しあう。
9.祭や行事のある日によそからやって来る人について話しあう。
10.祭や行事の日に使われる特別な器具や装飾を見たり話しあったりして,その由来を聞く。
11.学校で節句その他の特別の日に父兄を招待する会を計画し実施する。
12.祭の日に使った小づかいについて報告する。
2.自分が見て来たよその土地の祭の絵をみなに聞かせる。
3.日本各地で行われている珍しい祭の絵を見たり,話を聞いたりする。
2.世界各地のクリスマスや新年の行事の話をしてもらう。
3.欧米人がどんなにクリスマスを待ちわび,それを楽しみにしているかの話を聞く。