第一 音楽の学習指導法
説 明
2) 比較的学習指導とは,少数あるいは多数の児童の相互関連的な指導方法である。
3) 指導的学習指導とは,教師が児童に対し積極的にある目標達成のため行う指導方法である。
4) これら各種の指導法を適宜混用することによって目標を達することができる。
第二 学習指導上注意すべき要点
一 本格的な発声法の学習には困難があるけれども,次のような点に注意する。
2) 自然な発声を重んじ,のどをつめないようにする。
3) 姿勢を正しくし,身体の自然な運動を自由にする。
4) 疲労を来たさせないよう適当に休息を与えるとともに,教材の配当に注意する。例えば,比較的高音の多い教材の次には高音のないものを教える。
5) 発音を正しくするために発音の練習を行う。例えば,毎時間少しずつ母音による発声の練習を実施する。
6) 変声期(主として中学校第一学年及び第二学年)にある生徒に対しては,旋律を四度ないし五度くらい下げて歌わせてよい。
7) 各学年の音域はだいたい次の標準にもとづき,旋律の選択についての基礎とする。但し,発声練習には,これらの標準より,上下へ各一音程あるいは二音程拡げて行うことが望ましい。
小学校第一学年 |
低音はハ(・)音まで比較的容易に出せるが,高音のハ(・)音及びニ音はあまり多くないほうがよく,更にそのような高い音が連続するような曲は避けるほうがよい。例えば次のような旋律はよくない。
小学校第二学年 |
第二学年は第一学年よりも幾分拡張されるが,しかし高音が連続するような旋律は依然よくない。
小学校第三学年
小学校第四学年 |
音域は次第に拡張され発声器官も次第に成熟して来るから,適宜音域の拡張をはかるような高い音や低い音の含まれている旋律を歌わせる。
小学校第五学年
小学校第六学年 |
第五学年及び第六学年の変ホ音あるいはホ音は,これらの学年にとって発声がやや困難であるから,あまり多く使用することはつつしむほうがよい。しかし第四学年のところでも述べたように,音域の拡張をはかる必要もあるから,適宜これらの音を含む旋律を歌わせることが必要である。その時にも,これらの高音が連続して出て来るような旋律は避けるほうがよい。例えば次のような旋律はよくない。
しかし,自然な正しい発声法による時は,これらの音も決して困難なものでなく,更に高い音も美しい声でやすやすと歌うことができる。それ故,指導者は,児童の発声指導について研究を積み,声域の拡張をはかるよう心掛けなければならない。
中学校第一学年
中学校第二学年 |
中学校第一・第二学年では音域は高いほうとともに低いほうにも拡張されるから,低いほうの音を含む旋律も歌わせる必要がある。それとともに男子と女子とによって音域も次第に違って来る。それらの点を考慮して男子に適する旋律と女子に適する旋律とを適宜選択する必要がある。また変声期の生徒に対しては,前にも述べたように移調の処置をとることもよいであろう。
この旋律を四度低めると次のようになる
五度低めると次のようになる
中学校第三学年 | 女子
男子 |
第三学年では男子と女子の音域が以上のように分かれて来る。しかし高音のほうは依然として容易ではないから,連続して使用することは疲労を避ける意味でつつしんだほうがよい。
それについては次のような点に注意する。
四分の二拍子(2/4) | |
八分の六拍子(6/8) |
八分の六拍子は幾分ゆるやかな拍子である。
旋律の下に示した線のような感じが必要である。しかし,普通の歌唱曲に現われる6/8は,六拍ずつに数えることが多い。その場合には,第一拍と第四拍とにアクセントが来て,第一拍のアクセントが第四拍のそれに比べて強くなる。
四分の三拍子(3/4) | |
四分の三拍子は舞曲的なものに多い拍子であるから,強弱弱のリズムがよく現われることが大切である。
四分の四拍子(4/4 または C) | |
四分の四拍子は四分の二拍子の複合したものである。最強弱強弱のリズムのうち,特に最強の拍に置かれるアクセントに注意する必要がある。
2) 児童に拍子を覚えさせるには,四分の二拍子から始め,四分の四拍子に及び,漸次四分の三拍子あるいは八分の六拍子に至る。
小学校第一学年 | 2/4 | 最大多数 | |
4/4 | 中くらい | ||
3/4 | ごくわずかか,あるいは含めない |
小学校第二学年 | 2/4 | } | 最大多数 |
4/4 | |||
3/4 | ごくわずか |
小学校第三学年 | 2/4 | } | 五割程度あるいはそれより幾分多く |
4/4 | |||
3/4 | 少数 | ||
6/8 | ごくわずかか,あるいは含めない |
小学校第四学年 | 2/4 | } | 五割程度 |
4/4 | |||
3/4 | } | 少数 | |
6/8 | |||
2/2 | 2/4の変形として少数含めてもよい |
小学校第五学年 | 2/4 (2/2) | } | 五割程度 |
4/4 | |||
3/4 | } | 中ぐらい | |
6/8 |
小学校第六学年 第五学年に準じ,3/4,6/8の数を増加する
中 学 校 別に制限を設けないが,3/4,6/8の数を多くする。
3) 音符の種類の混合も最初はできるだけ少なくし,漸次多種類の音符を混合するようにする。
小学校第二学年 附点音符の使用を第一学年の場合より幾分増加する。
小学校第三学年 四種類以上の異なる音符の混合を避ける。附点音符の使用を漸次増加する。
小学校第四学年 第三学年に同じ。
小学校第五学年 音符の種類の混合については制限しないが,あまりに歴時の短い音符,例えば三十二分音符以上のこまかい音符は避けるほうがよい。
小学校第六学年 第五学年に同じ。
中 学 校 制限を設けない。
ハ長調を主体とし,これにト長調・ヘ長調をまじえる。但し,第一学年では聴唱法を主とするから,少数のやさしい変ロ長調・ニ長調をまじえることもできる。
小学校第二学年 第一学年に同じ。
小学校第三学年 長音階 大多数
ハ長調・ト長調・ヘ長調を主体とし,変ロ長調・ニ長調も次第に増加する。
小学校第四学年 長音階 多数
短音階その他の音階 少数
調子はこれまでのものにイ短調あるいは日本調をまぜる。
小学校第五学年 長音階を多数とするも,短音階その他の音階も増加する。調子も,これまでのもののほかにイ長調・変ホ長調をまぜることができる。
小学校第六学年 第五学年に同じ。
中 学 校 別に制限を設けない。但し嬰(えい)記号・変記号ともに四つ以上の調子は避けるほうが適当であろう。
小学校第二学年 第一学年と同じ。
小学校第三学年 第一学年において使用した楽器のほかに,次のようなものを加える。 ハーモニカ・木琴・笛・ピアノ・オルガン
小学校第四学年 第三学年において使用した楽器のほかに,次のようなものを加える。 手風琴
小学校第五学年 第四学年において使用した楽器のほかに,次のようなものを加える。 バイオリンのような弦楽器,フルート・クラリネットのような管楽器
小学校第六学年 第五学年において使用した楽器のほかに,次のものを加える。各種の弦楽器,各種の木管楽器.トランペットのような金管楽器
中 学 校 楽器の編成を,できるならば次第に本格的なものとする。
小 夜 曲
ロシアのおどり
2) 器楽教育においては個人的技能を高めることはもちろん大切であるが,これとともに合奏を盛んにしたい。そして,できれば各学校に学校合奏団ができるようにすることが望ましい。それには,各学校にて入手できる楽器を基礎にした合奏が行われるのは当然で,その場合,教師はそれらの楽器にもとづいて編曲をしなければならない(前ページの実例参照)。
音階の練習は最初から広い音階を取り入れず,まず一年では五度ないし六度の範囲の音階的運動を練習し,二年の終りごろから八度にわたるものに進み,四年ごろから更に八度以上のものに進む。音階的運動即ち順次進行は音楽の基礎的なものの一つであるから,歌唱においても,器楽においても,十分練習する必要がある。次に示すものは音階的運動の練習の階梯(かいてい)の一つの実例である。
教師はこのようなものを参考として,生徒に音階的練習を行わせるとよい。
2) 跳 躍
跳躍運動は音階的運動と並んで重要な要素であるが,順次運動に比べてむずかしいので,最初は三度・四度等の跳躍から始め,五度・六度・八度に漸次及んで行く。そして七度あるいは九度等の跳躍は,十分技術的訓練ができてから実施するようにすべきである。また跳躍では上行よりも下行のほうがいっそうむずかしいから,この点にも注意を要する。次に跳躍を含んだ練習の実例を示す。
3) 指使い
これは歌唱にはない事がらであるが,器楽でははなはだ大切で,正しい指使いを用いることは楽器の演奏技術の上達に,はなはだ深い関係がある。しかも,指使いは手の大きさによって多少異なるものであることに注意すべきである。
4) レガート スタッカート
レガートとスタッカートは表情技術の基本である。特に歌唱におけるレガートは,息つぎ(ブレス)と深い関係を持っている。例えば「池のこい」の旋律においても,次のようなさまざまな表情が可能である。
5) 漸急 漸緩
次第に速度をはやめる漸急(accel),あるいは次第に速度をゆるめる漸緩(rit)の使用も大切である。一般に漸急・漸緩ともにあまりに誇大になることは避けなければならない。これを誇大にすると,リズムのくずれる場合が多い。
6) 強 弱
強(f)弱(p)は表情の重要な要素であるが,あまり技巧的に強弱を附けることは避けるべきで,自然な強弱を尊ばなければならない。
7) 速 度(tempo)
速度は,音楽の表現の死命を制する極めて重要な要素である。それ故,楽曲のはじめに指定されている速度記号に十分注意することが肝要である。
8) 音符の歴時
音符の歴時を正しく表現することは,はなはだ大切である。これが正しくないとリズムがくずれるし,またレガートとスタッカートとの区別が明らかにならない。それだけでなく,合奏においても正しい調和が作れない。例えば次のような音符の歴時の違いを注意する必要がある。
9) 輪唱及び合唱の取り扱い
輪唱及び合唱のうち困難なものは単唱唱歌として取り扱ってもよいし,また上の学年において輪唱あるいは合唱として取り扱ってもよい。またこれと反対に単唱の曲のうち適当なものを合唱に編曲して教えてもよい。
教材 巻末に示す。例 メヌエット(モーツァルト作)
2) 旋律のおもしろさを味わわせるもの
教材 巻末に示す。例 アベ マリア(シユーべルト作)
3) 和音のおもしろさを味わわせるもの
教材 巻末に示す。例 大行進曲,タンホイザーより(ワーグナー作)
4) 楽器の特徴を味わわせるもの
教材 巻末に示す。例 ウィリアム=テル序曲(ロッシーニ作)
5) 楽器の組み合わせの違いを味わわせるもの
教材 巻末に示す。例 イタリア狂詩曲(チャイコフスキー作)
6) 合唱の美しさを味わわせるもの
教材 巻末に示す。例 ハレルヤコーラス(ヘンデル作)
7) 形式についての理解を持たせるもの
教材 巻末に示す。例 弦楽四重奏ヘ長調作品18の1(ベートーベン作)
8) 標題と音楽との関係についての理解を持たせるもの
教材 巻末に示す。例 子供の情景(シューマン作)
9) 各国の民族的特徴を味わわせるもの
教材 巻末に示す。例 ホタ(スペイン民謡)
10) 音楽の様式についての理解を持たせるもの
教材 巻末に示す。例 各種古典音楽・ロマン音楽 等
2) 旋律のある部分に空白を作り,これを児童につながせる。
児童につながせる部分 |
児童はいろいろな答を作るであろうが,それらについて,教師は自然なつながりと不自然なつながりとを手びきして教える。例えば,次の三つの答において
a)及びb)は自然であるが,c)は不自然である。それは第六小節の第二拍ホ音から第七小節第一拍のハ音への跳躍六度の音程が無理だからである。このようにして旋律の自然な流れを理解させる。
3) 簡単な旋律を与え,これをさまざまなリズムによって変化させる。
この旋律をもととし,これにリズム上の変化を与えさせる。
あるいは種々な音を補って,やや複雑な旋律にする。
ここに示したような方法は,主として中学校において用いるべきであるが,しかし個人的に優秀な者に対しては,小学校の高学年でも試みさせることができる。
4) 例えば第一学年の教材「こうもりがさ」のような旋律を示し,これと類似の形式による旋律を作らせて,形式の知識を与える。
5) 創作の練習として聴き取りを行うこともよい。記憶力ができるようになれば,ごく簡単な旋律を聞かせ,これを書き取らせる。また記譜力のないうちは聴いた旋律をすぐに歌わせる。このような練習は楽しみを伴なってできるように,児童の重荷にならないようにすることが大切で,短い旋律を中心にしてやることが大切である。また聴き取りは単に創作の練習になるだけでなく,音感の教育にもなるし,音程の練習にもなる。
第三 音楽と他教科及び学校生活との関連
一 体育との関連
音楽と体育とは特に深い関係にある。中でもダンスは音楽と体育との総合されたもので,リズムを中心として児童に精神的,身体的な喜びを与える。幼児及び小学校の低学年児童においては,ダンスという形においてでなく,広い意味の遊戯として音楽と体育との結合が考えられる。遊戯は児童が最も好むものの一つであるが,それによって次のような事がらが習得される。
2) リズミカルな運動による身体的能力
3) 協力による秩序の快感
4) 旋律(広く言えば音楽)の自然的記憶
5) 精神の解放
小学校高学年から中学校にかけては,ダンスあるいはマスゲームのようなものが遊戯の発展として考えられる。ダンスでは個性の自己表現が加わるとともに,フォームの美がはいって来る。そのような特徴は,情操の発達の上にも,身体の発達の上にも,よい結果が得られる。またマスゲームでは団体訓練の利益が大きく考えられる。ダンスやマスゲームにおけるこれらの特徴は,遊戯の特徴の上に更に加わって来るものである。
二 社会科との関連
今度新たに設けられた社会科は,児童の社会生活経験を組織的に発展させることを目標にしており,したがって極めて複雑な内容を持っているとともに,あらゆる教科に関連を持っている。音楽が社会科と接触を持って来る面もかなり多く,それをどのように取り扱うかは将来の最も興味深い問題の一である。音楽の社会的効用というような点については,第一章の説明の最後の部分に触れてあるが,これをもう少し詳しく考えてみよう。社会科では,児童の社会生活のうちにおけるいろいろな楽しみというものが重要な単元である。この楽しみの内容のうちには,レクリエーション(厚生)があり,娯楽があり,また更に宗教的な要素さえも考えることができる。この面において音楽が持つ役割は,演劇や映画やスポーツ等とともに極めて大きい。第一章の説明の中でも述べたように,鑑賞という事がらのうちには,楽しみ即ちレクリエーションやまた品のよい娯楽の意味が含まれている。これは,余暇善用や自由研究やまた広く学校生活全体の中で十分考えられなければならない面である。この場合でも,音楽教育の方針を少しもゆがめる必要はなく,音楽そのものを味わわせ楽しませることで十分目的を達することができる。次には,児童の社会生活の中での意志感情の疎通という面がある。これは文通あるいは交際というような形で現われるが,ここでも音楽は重要な役割を持つ。多くの人間が集まって合唱や合奏をしたり,また音楽を聴いてそれについて話しあったりすることは,互の意志感情の疎通に大いに役立つ。それを通してクラスの気分がなごやかにもなろうし,また心を語りあう友を得ることもできるであろうし,また互の教養や物の考え方・感じ方を高めることもできる。更に合唱や合奏が,社会的協力や団体的訓練に役立つことはすでに述べたからここではくりかえさない。これは要するに秩序を愛する心を養うことであり,協力の精神を養成することである。以上のような事がらはいずれも小学校時代から実施できる。社会科と音楽の関連であるが,中学校ではこれらの事がらが持続するとともに,更に次のような面が加わって来る。その一つは文化様式の問題で,音楽教育としても様式に対する理解を持たせることを望んでいる。様式の真の理解は,それを裏附けている世界観をとらえることによらなければならず,そこから社会科との深い関連が生ずる。従来の音楽教育ではこのような問題に触れることは考えられていなかったが,国民の音楽的教養を真に高めるためには,どうしてもここまで到達しなければならない。次に,音楽的創造において果たしている社会の役割を真に理解することである。すぐれた音楽的創造(広く言えば文化的創造)はただ単に芸術家の力によってのみできるものではなく,すぐれた社会の協力によって,言いかえれば芸術家と社会との交流の中から生まれるのである。芸術家もまた社会に属するものであることは言うまでもないが,音楽的創造という一つの限定された活動の中で考える時,芸術家と社会との二つの要素が見出だされるのである。真の音楽的創造が芸術家と社会との交流によって生まれるとすれば,過去の歴史の中で,芸術的創造について社会が果たした役割と意味とを十分理解することは大切である。この面における社会科と音楽との関連は,最高のものであり,また最も総合的なものである。このような関連を具体的にとらえさせることは将来の重要なテーマの一つである。
三 理科及び算数との関連
理科で取り扱う音の問題は音楽にとって基礎的な事がらである。そして,理科において理論的,概念的な説明がなされる前に,児童は音についての感覚的経験を持つことが大切である。多数の感覚的経験が集合され,これに理論的説明が加えられる時,児童ははじめて真の理解を持つことができるのである。その意味から,小学校第四学年ごろから,音は何かがふるえることと関係があるということに気づかせ,のどや楽器などについてその経験をさせて行く。歌を歌うことも,笛を吹くことも,弦を鳴らすことも,打楽器を打つことも,発音についてのよい経験であろう。
算数と音楽とは無関係のように考えられるが,実は決してそうではない。音楽の表現上重要な速度のごときは,数理観念がなくては理解ができない。また,拍子を計るにしても,長さを調べるにしても,数量と深いつながりを持っている。算数と密接な関連を持たせることの必要は,今更説明の要はあるまい。
四 工作との関連
音楽と工作との関連は簡易楽器の製作という面で見出だされる。小学校で竹工が課せられるのは第四学年であり,木工が行われるのが第五学年である。そのような時,工作の教師と協力して簡単な笛や弦楽器や打楽器を作ることもよい練習となるであろう。これらのことはすでに実施せられており,新しいことではないが,いっそうの研究によってよい結果を得るようにしたい。
五 国語との関連
音楽と国語との関連は従来も深く考えられていた。直接には,国語教材を作曲して,児童の歌唱教材とすることである。これは今年度においても行われている。その他,劇においてこの両者を結合することで,これもまた従来から行われていた。このような方法は今後も当然続けられるであろう。更に根本的な点で,国語教育と音楽教育との間における情緒的発展の関係もまた考慮せらるべきであろう。これについては,今直ちに解決を得ることは困難であるが,将来の問題として考究する必要があろう。
六 音楽と学校生活
音楽はただ単に音楽の時間においてだけでなく,学芸会・運動会・遠足・音楽会・学校行事・儀式などにおいて学校生活全体と深く関連している。このような場合に音楽が正しく扱われ,第一章において説明した音楽の持つ社会的価値が発揮せられることは大切である。このような機会を通して,音楽は児童の生活と結びついて行く。教育はある場を限って行うべきものではないから,音楽の教育においても,児童の生活全体にしみこんで行くことが望ましい。