単元一 動物の生活
(一)指導目標
生活の環境にある動物に親しみと興味を持ち,その生活の様子を正確に観察する態度を養う。
(二)指導方法——児童の活動
例,4月 ツバメ−はじめて見た日。
ヒバリ−はじめて鳴き声を聞いた日。
トカゲ・ヘビ−はじめて姿を見た日。
5月 カイコ−はきたて・眠り・上がりの日。
セミ−はじめて鳴き声を聞いた日。
6月 カ−かやをつりはじめた日。
8月 コオロギ・ウマオイなど−はじめて鳴き声を聞いた日。
ヒグラシ(カナカナ)−はじめて鳴き声を聞いた日。朝夕の鳴きはじめた時刻。
9月 アカトンボ−はじめて見た日。
2月 ウグイス−はじめてホーホケキョと鳴くのを聞いた日。
3月 カエル−はじめて卵を見た日。
アリ・トカゲ・ヘビ・モンシロチョウ・ミズスマシ・アメンボウ・メダカ−はじめて姿を見た日。
3,学校でウサギの子・ヒヨコ・オタマジャクシ・ハツカネズミなどを育てて,動物が成長し,えさをたべることを見る。
4,植木ばちに土を入れて,その中でミミズを飼う。
5,ミツバチ・アシナガバチ・クモ・アリなどの巣を観察する。(子を育てる様子の見える場合もある。)
6,カタツムリを飼って観察する。
7,モンシロチョウの卵やアオムシをとって来て,飼育し観察する。
8,甲虫類をたくさん集めて,紙にはりつける。それでいろいろな模様を作る。
9,水そうにキンギョ・メダカ・タニシ・ニナなどを飼って,いろいろな食物をとるのを観察する。
10,いろいろな鳥の巣を観察する。鳥の生活の映画を見る。
11,箱庭を作る工夫をしたり,作る手傳いをする。
12,ツバメの巣を観察する。巣を作り,卵を生み,子を育て,やがて巣立つことを折々注意して見る。
13,秋の終り,冬の間,枝についているまゆ・さなぎ・虫の巣などを取って来て飼っておく。
14,カイコを飼って,まゆを作らせ,カイコの一生の変化を観察する。
例 観察の態度についての記述尺度
對する 興 味 |
動物の形や生活
について非常に 興味を持ってよ く観察する |
動物の形や生活
について興味を 持ってよく観察 する |
|
観察しよう
とする気持 が乏しい |
観察しよう
とする気持 がほとんど ない |
発 見 |
非常によい問題
をたくさんとら える |
よい問題をたく
さんとらえる |
|
時に問題を
とらえても ねうちのな いものが多 い |
たいていぼ
んやり見て いるだけ |
精密さ |
極めて精密 |
|
|
|
極めて粗雑 |
正確さ |
極めて正確 |
|
|
|
極めて不正確 |
根 気 |
目立って根気よ
く続けて観察す る |
根気よく続けて
観察する |
|
続けて観察
する根気が 乏しい |
続けて観察
する根気が 目立って乏 しい |
考察の 態度 |
つねに動物相互
や人との関係に 目をつけ,考え 方も非常に深い |
動物相互や人と
の関係に目をつ け,考え方も深 い |
|
関係的に考
えることは あってもた いてい的を はずれる |
ほとんど関
係的には考 えない |
の 記 録 |
実によく整理し
てくわしく書く |
よく整理して
くわしく書く |
|
あいまいな
ことをごた ごた書く |
記述が極め
て少なく, 要領も得な い |
2,次の児童の作品について,できばえ,作成の態度等を記述尺度法あるいは一対比較法によって考査する。
(2)甲虫類を集めて作った作品
(2)カイコとモンシロチョウの一生の似ていること,カイコとカエルの一生の異なることなどについての理解。
(3)動物はどんなえさを食べているかについて。
例,下に書いてある動物は何を食べていますか。
ミツバチ モンシロチョウ
ツバメ ウサギ
ウマ アオムシ
テントウムシ ヤギ
(4)動物と季節との関係についての理解。
例,下にあげてある動物は夏も冬も見られますか。次に書いてある四角の中の適当なところに書き入れなさい。
カエル ツバメ
マガモ コオロギ
トンボ ウシ
アヒル イヌ
単元二 植物の生活
(一)指導目標
生活の環境にある植物に親しみと興味を持ち,その生活の様子を正確に観察する態度を養う。
(二)指導方法——児童の活動
1,季節だより。 動物の生活の時と同様に植物の生活について季節だよりを作る。
木の芽−ほころびはじめた日。
ナタネ・スミレ・レンゲソウ・タンポポなど−花を見た日。
ヘチマ・トウモロコシなど,種をまいた日。
5月 マツ−花粉の飛ぶのに気づいた日。
アサガオ−種をまいた日。
イネ−モミをまいた日,苗代の様子。
ムギ−穂の出はじめた日。
ツツジ−花の咲きはじめた日。
6月 イネ−田植えのはじまった日。
ムギ−刈り取った日。
ジャガイモ−花を見た日。
7月 ジヤガイモ−掘り取った日。
アサガオ−花の咲きはじめた日。
8月 ヘチマ−花の咲きはじめた日。
トウモロコシ−実をはじめて食べた日。
イネ−穂の出はじめた日。
9月 コスモス−花の咲きはじめた日。
キク−花の咲きはじめた日。
10月 イネ−取り入れの始まった日,終った日。
エンドウ・ソラマメなど−種をまいた日。
もみぢ−はじめて紅い葉を見た日とその木の名。
11月 ナタネ−種をまいた日。
ムギ−種をまいた日。
木の葉−紅葉の経過,著しく葉の散った日。
サツマイモ−とり入れの日。
1月 ナタネ・ムギなど−冬越しの様子。
2月 ウメ−花の咲きはじめた日。気温。
3月 木の芽−ほころびはじめた日。気温。
ナタネ−つぼみの見えはじめた日。
ジャガイモ−植えつけた日。
2,ヘチマ・トウモロコシ・インゲン・ササゲ・アズキなどの種子をまいて,育て,これらが発芽し,成長して,花を開き,実を結ぶことを見る。その実をわれわれがどんなふうに利用しているかについて調べる。(食べること,次の年の種にすることなど)
3,夏はアサガオ,秋にはいろいろな草花の種をまいたり,チューリップ・ヒヤシンス・クロカス・ダリアなどの球根類を植えて上と同様に育てる。そして,それぞれちがった発育をして,美しい花を開くのを見る。
4,秋には,ヌスビトハギ・メナモミ・エノコログサなどの実や種が着物などについて,遠くへはこばれるのを観察する。
5,春・夏にはタンポポの実が風に飛ばされて,ほうぼうへまき散らされるのを観察する。
6,ホウセンカ・ダイズの実がはじけて,種子がまき散らされるのを観察する。
7,エンドウ・ダイズ・ダイコン・ナタネなどの種子を水につけて,さらにまいて芽生えの様子を観察する。また芽生えを日なたと日かげとに分けて置き,その発育の様子を観察して,芽生えには,どんなことが必要であるかについて考える。
8,ジャカイモが,光のあるところと,光のないところで芽立ちの様子のちがうことを観察し,また,芽生えに水を與へたものと,與えないものとを作って比較し,芽の発育にはどんなことが必要であるかを考える。
9,サツマイモのつるを返しておくと,まもなく葉が太陽のほうに向き直るのを観察する。
2,次の事項について記述尺度法あるいは一対比較法によって考査する。
(2)児童の世話をしている畠の作物や花だんの草花の成長の具合を見て,手入れのよしあしを判断する。
(3)エンドウ・ソラマメ・の発芽の実験がうまくできたかどうかを見る。
(2)発芽・成育の條件
(3)植物の日光に対する適応
(4)植物と季節との関係
例A,次にあげた仕事は,いつごろ行われますか。
・稲の種まき ・麥まき ・麥刈り ・稲の刈り取り
・ジャガイモの植えつけ ・麥ふみ ・ダイコンの種まき
・田植え
B,次にかかげた花は,いつごろ咲きますか。
ウメ・サクラ・アサガオ・イネ・ツツジ・キク・フクジュソウ・モモ・スイセン・キキョウ
単元三 空と土の変化
(一)指導目標
空と土の諸現象について自然の偉大さを知り,自然の妙趣を味わうとともに,その恩恵を感得し,すすんで自然の眞相をさぐり,その理法に順応しようとする態度を養う。
(二)指導方法——児童の活動
○天気
例 6月 梅雨−このごろの雨の日と晴れた日。
7月 雷・夕立−あった日とその様子。
8月 夕立・雷・稲妻・大風−あった日とその様子。
9月 大風−あった日とその様子。
月見−した日と月の様子。
11月 霜−はじめておりた日。
12月 氷−はじめて見た日。その時の気温。
雪−はじめて降った日。深さ。気温。
1月 雪−大雪の降った日。深さ。気温。
つらら・霜柱−はじめて見た日。気温。
2月 氷豆腐・寒天−はじめて作った日。気温。
3月 なだれ−はじめてあった日。
雪−とけた日。気温。
2,天気ごよみ。毎日の天気を色分け,または簡単な画の記号で記録する。
3,氷・霜柱・つららを観察する。
4,いろいろな雲の絵や写眞をかけておき,空に現われた雲がどれに似ているか比べて見る。
5,雲の走る様子や形の変わる様子を観察する。
2,雲が日光をさえぎると暗く涼しくなり,また日かげにはいっても暗く涼しいことを観察する。
2,三日月の西に沈むのを観察する。
2,落下さんを投げ上げてみたり,手に持って振ってみたり,走ってみたりして空気の存在を観察する。
3,うちわ・扇風機でいろいろなものを吹き飛ばしてみて風を観察する。
2,さらに入れた水の蒸発するのを観察する。ふたをしておいたほうでは,ふたの内側に水滴が附くこと,水の蒸発の少ないことを見る。
3,窓ガラスについた霜の結晶を観察する。
4,ふろ場の天井や壁などに水滴がつくのを見る。
5,やかんの湯がわくにしたがってだんだんへるのを見る。湯気の出る口に,つめたいものを当てると,水滴が附くのを見る。
6,雨あがりに,雨水で洗い流された土地の様子を観察する。流された土砂がたまっているのを観察する。
7,雨が降って,川やみぞの水かさが増したのを観察する。
8,日でりが続くと植物がしおれたり,枯れたりするのを観察する。
9,はち植えに水を與えないと,土が乾いて,植物がだんだん元気がなくなるのを観察する。
2,つみごえの下や,ごみ箱の下などにミミズ・コガネムシの幼虫・カブトムシの幼虫・畑の土にヨトウムシなどのいるのを観察する。
3,地中にアリの巣を見つけたり,ツチグモの巣・アリジゴクを見つけて観察する。
4,いろいろな土をとって来てびんに入れ,水を加えて振ると,石や,砂・粘土が分かれて沈むのを観察する。その上部のどろ水を長くほっておくと,こまかい土が沈むのを観察する。
5,いろいろな石を金づちで割ってみて,堅いのと軟らかいのとがあることを調べる。
6,山のがけ,道路を切り開いたところなどで,地中深いところに岩のあるのを観察する。
7,海岸には岩のところと砂のところがあり,岩が波で削られたあとのあるのを観察する。
2,空気の存在,水の蒸発等を実験の結果から正しく推論することができるかどうかを記述尺度法によって考査する。
3,季節だよりを調べて,観察が次第に精密になって来ているかどうか,根気よくつゞけているかどうか,現象をはっきりつかんでいるかどうか,などについて記述尺度法によって考査する。
4,石や土を集めたものについて,その手ぎわを一対比較法あるいは記述尺度法によって考査する。
5,天気・太陽・風・水・土地と生物との関係についての理解の状態を,判定法・訂正法等によって考査する。
単元四 機械と道具のはたらき
(一)指導目標
児童の身辺にある機械・道具についてその構造・機能を理解するとともに,これに慣れ親しみ,その取り扱いを身につけ,すすんで改良の工夫考案をする態度を養う。
(二)指導方法——児童の活動
2,レンズで日光を集めて黒い紙を焼いてみる。
3,レンズで文字や花や虫などを拡大して見る。
4,鏡で日光を反射して,天井に当ててみる。
5,磁石(棒磁石・馬てい形磁石)でいろいろな物をひきつけてみる。金物の中にもくっつくものとくっつかないもののあるのを調べる。
6,精米機・製粉機などの動いている様子を見る。電車・電気機関車の実物を見る。それらの模型を動かしてみる。絵や幻燈でこのような電気の力で動いているものを見る。
7,小型のモーターをまわしたり,これを使った扇風機・精米機などを動かしてみる。
2,次の事項について観察し,記述尺度法によって考査する。
(2)磁石に興味を持ち,おもしろいあそびを考えたり,実際に利用したりするかどうか。
(2)磁石の引きつける物について。