第二章 理科学習と児童の発達
上に述べた,理科の目的を達成するためには,いろいろな科学的能力を児童・生徒の身につけさせなくてはならない。いまその能力を分類して示してみると次のようである。
一,科学的処理に使う能力
(一)比較観察によって物を見別けること。
(二)貝がら・石・虫・その他の小動物や植物などを採集すること。
(三)集めたものを順序よく分類整理すること。
(四)観察し,その記録をとること。
2. 記録のグラフを作ること。
3. 統計をとること。
(五)感覚によって直覚的に判断すること。
(六)分析的総合的に判断すること。
(七)問題をつかむこと。
(八)植物の栽培,動物の飼育をすること。
(九)生物を愛育すること。
(十)科学的な実験及びその他のことを工夫,企画すること。
二,科学的な器械,器具を使う能力
(一)温度計 (二)湿度計 (三)気圧計 (四)虫めがね (五)顕微鏡 (六)物指・ます
(七)はかり (八)メートル(電気・ガス・水道) (九)磁石 (十)風見
三,安全に仕事をする能力
(一)危険な生物に気を付けること。
(二)器械器具を使うとき危険のないようにすること。
(三)有毒な薬品の使用に注意すること。
(四)火の用心をすること。
以上の能力が年齢によってどのように発達するかの一般的な状態を示してみると,次の各図のようであり,理科の指導に当ってこれを十分考慮に入れておかなくてはならない。