単元一 星は日常生活にどんな関係があるか。
(一) 指導目標
宇宙の広大さと星空の美しさとを感得し,地球が太陽をめぐるという説明のほうが合理的であることを理解し,太陽のエネルギーと人生とは離しがたい関係にあること,また天空の事象が人間生活にいかに利用されて来たかについて理解する。
(二) 指導方法——生徒の活動
2,星の存在・宇宙の広さなどについて話しあう。
3,太陽が地球をめぐるのか,地球が太陽をめぐるのかについて話しあいをする。
4,太陽系・銀河系・星雲・宇宙の構造について書物を読んで調べ,話しあいをする。
5,惑星の運動を相当長い期間にわたって観測し,その路すじを図にかいてみる。
6,一等星の星図を書いてみる。
7,地球の公転と自転とによってどんな効果が生ずるか。模型を使って考え,話しあう。
8,夏になると暑く,冬になると寒いのはなぜかについて考え,話しあう。
9,天文学の発達がどんな経過をたどって来たかについて調べ,話しあいをする。
10,コペルニクス,ケプラー,ガリレオなどの伝記を読んでどんな仕事をしたかについて話しあう。
11,天球とその利用法について調べ,話しあう。
12,時間の単位は何からきめたかを調べる。
13,長さの単位は何からきめたかを調べる。
14,航海をするのに,なぜ正確な時計や時報が必要なのかについて考え,話しあう。
15,太陽エネルギーが地球上でどのように変わって行っているか。そして人間がそれをどのように利用しているかについて調べ,話しあいをする。
16,宇宙線とは何のことかを書物によって調べる。
2,観測記録を提出させ,記述尺度法あるいは一対比較法によって考査する。
3,次の事項についての理解の状態を,再生法・真偽法・選択法・判定法等によって考査する。
(2) 宇宙の構造。
(3) 地球の公転と自転。
(4) 人間社会の要求と天文学の発達。
(5) 太陽のエネルギーと人生との関係。
(6) 天空の事象とその利用。
(7) 宇宙線について。
(一) 指導目標
道具を使っても仕事(エネルギー)の得をすることができること,すなわち,エネルギー保存の法則を理解するとともに機械の発朋と使用とによって,人類はその文明を進歩させ,相互の利益が幸福を増して来たこと,今後もそうでなければならないことを理解する。なお原動力として,現在は石炭・石油及び水力にほとんど限られているが,将来は更に別の原動力を求めなければならないことをさとる。
(二) 指導方法——生徒の活動
2,道具を用いても仕事はつねに一定であることを実際について調べ,また話しあう。
3,道具の要素のいろいろの種類を考え,その役割について調べ,話しあう。
4,ボール紙や木などを使って道具の模型を作る。
5,機械の発達の歴史的な関連を調べ,話しあう。
6,石油・石炭・水力いずれの原動力が最も優れているか,またその将来性について考え,話しあう。
7,人類の幸福のためには,機械文明がどのように発達する必要があるかを研究し,論文を書く。
2,論文について記述尺度法によって考査する。
3,次の事項についての理解の状態を,再生法・選択法・真偽法・判定法等によって考査する。
(2) 水を処理する機械(治水機械)の作られた目的とその発展。
(3) 道具や機械の使用で東洋と西洋との異なる点。
(4) 原動力の種類とその長所短所。
(5) 機械技術の発達と科学の発達との関連。
(一) 指導目標
電気の正体をその現象によって理解し,電気の性質を究わめ,電気の取り扱いに自信を持つようになる。また大規模な電気事業,ダム建設や発電工事の社会性を理解する。
(二) 指導方法——生徒の活動
2,電気にさわってみる。電気の安全な使い方を調べる。
3,電気の性質について調べ,話しあう。
4,ファラデーの考え方を使って静電気の説明をしてみる。この考え方をほかの場合に応用してみる。
5,電気の効用について調べ,話しあいをする。
6,電気が極度に利用されたあかつきには,われわれの生活はどのように便利になるかを想像し,話しあう。
7,電熱の実験・磁気作用の実験・誘導作用の実験を行う。
8,電熱器・ガス・たきぎ・木炭の長所短所について調べ,話しあう。
9,電話・電信・ラジオ・電動機・発電機の原理を模型によって調べる。
10,電波・電流・電子などについて,それがどんなものがを研究し,話しあう。
11,交流と直流とについて比較してみる。
12,交流が特に有利なことがある点について研究し,話しあう。
13,自動車の装置のなかで,電気はどこに,どのように使われているかを調べる。
14,農作物を作るのに電気の利用されている場合を調べる。
15,電気を安全に取り扱うにはどんな注意が必要かについて論文を書く。
16,発電所及び電気とよく利用している工場を見学する。
17,今後われわれの日常生活に,電気をどのように利用したらよいかについて論文を書く。
2,実験の態度・技術について記述尺度法によって考査する。
3,論文を提出させて記述尺度法によって考査する。
4,次の事項についての理解の状態を,再生法・選択法・組み合わせ法・排列法・作文法等によって考査する。
(2) 電気の効用。
(3) 電熱・磁気作用・誘導作用。
(4) 電話・電信・ラジオ・電動機・発電機の原理。
(5) 電波・電流・電子。
(6) 交流と直流
(7) 電気の取り扱い上の注意。
(一) 指導目標
交通・通信機関の構造・機能・使命を理解し,それを今日の隆盛に導いた科学者の仕事に対し感謝尊重の気持を持つようになり,更に豊かな社会生活の建設に進む。
(二) 指導方法——生徒の活動
2,交通機関発達の歴史を調べて話しあう。
3,手紙・速達・電報が発信後何時間で受け取れるかを調査する。
4,近在の郵便局の電信機構を調べる。
5,電話の架線配置を観察する。
6,電話加入者数の戸数,人口に対する割合を調査し,他の町村や地方,更に外国との比較をしてみる。
7,電話機の構造・機能の研究・実験をし,話しあう。
8,交換台を見学する。
9,波動の伝わる実験をする。
10,音の伝わる速さを測定する。
11,速さのレコ一ドの調査をする。
12,放送局を見学する。
13,新聞社を見学する。
14,放送局の分布図を作ってみる。
15,放迭局の波長を調査する。
16,ラジオ受信機の機能・構造を研究し,話しあう。
17,荷車・自転車・リヤカー・荷馬車・トラック・汽車などの輸送力を調査する。
18,近在の道路の幅・こう配・曲がり方・障害物などについて,交通の調査をする。
19,道路の交通量について調査する。
20,近在のバス・列車の輸送力について調査する。
21,近在のバスの燃料を調査してみる。
22,蒸気・ガソリン・焼玉・ジーゼル機関の構造・機能の研究をし,話しあいをする。
23,近在の橋について最大通過重量を調べてみる。
24,トンネルを通じる前と後の便利さの比較研究をする。
25,トンネルの構造の観察調査をする。
26,トンネルを堀る時の苦心談を聞き,または書物で読む。
27,港の施設を見学する。
28,入港船トン数の調査をする。
29,土木機械作業現場を見学する。
30,鉄道博物館・通信博物館を見学する。
31,わが国今後の交通・通信磯関はどのように発達させなければならないかについて論文を書く。
2,調査・実験・測定の態度・技術について記述尺度法によって考査する。
3,調査・実験・測定の結果を報告させ,また論文を提出させて記述尺度法によって考査する。
4,次の事項についての理解の状態を,再生法・選択法・真偽法・排列法・判定法等によって考査する。
(2) 通信機関及び交通機関の発達の歴史。
(3) 道路及びトンネルの構造。
(一) 指導目標
伝染病は微生物によってひきおこされること,またこのような微生物の種類・性質・生活を知ることによって,病気の予防・治療の方法がたてられることを理解し,進んで伝染病のない社会の建設に向かう。
(二) 指導方法——生徒の活動
2,身ぢかなところにはどんな病気が多いかを,学級全体の話しあいにもとづいて統計をとる。
3,かぜはどの季節にひきやすいか,かぜをひかないようにするにはどのような用心をするか,そのような用心はなぜ有効なのであろうか,について話しあう。
4,病気は何がもとで起こるのかについて話しあいをする。
5,顕微鏡で徴生物を見る。
6,一般の生物の分布の仕方を調べる。
7,生物が無生物から生ずる場合があるかどうかについて話しあう。
8,病気と微生物との関係について,次の事がらを中心に調査研究をし,話しあう。
(2) これらの微生物が人から人へ移る道すじ。
(3) 結核等,わが国に比較的多い伝染病の種類とその被害の程度。
10,血清やワクチンが伝染病の予防や治療にどんな意味を持っているかを研究し,話しあう。
11,徴生物についての知識をもとにして,丈夫なからだをつくるための心構えを考え,話しあう。(きれいな空気と清潔な住居,からだや着物はいつも清潔に。消毒。からだを強く鍛え,適当な休息をとること。時々健康診断を受けて,病気を早く見つけること。)
12,「ぼくのからだ」「私の健康」のような題で作文を書く。
13,「結核と予防」について論文を書く。
14,野口英世博士の伝記を調べて共同で発表しあう。
2,顕微鏡使用の態度,技術について記述尺度法によって考査する。
3,調査の報告や論文または作文について,そのできばえを記述尺度法によって考査する。
4,次の事項についての理解の状態を,再生法・選択法・真偽法・訂正法・判定法等によって考査する。
(2) 伝染病の感染。
(3) 血清・ワクチンのはたらき。
(4) 丈夫なからだをつくるための心構え。
(5) 結核と予防。
(一) 指導目標
社会生活の向上をめざし,都市計画・住宅問題・公園・国立公園・温泉その他の保健施設に対する科学的な考え方を理解する。
(二) 指導方法——生徒の活動
2,学校生活についても同じ意味で話しあい,理想案を作成する。
3,一般社会についても同じ意味で話しあい,理想案を作成する。
4,都市計画案について検討し,自分で最もよいと思う案を立て,模型の製作をする。そして互に批評しあう。
5,公園・緑地帯等の意義について検討し,理想案を立て,模型の製作をする。
6, 国立公園について次の調査研究をする。
(2) 公園の交通・施設について調査する。
(3) 地図から模型を作る。
(4) 観光計画の案を立てる。
8,温泉の分布調査・泉質の調査・どんなききめがあるかの調査を行う。
9,温泉の保健上の利用について調べ,また理想的な計画案を立てる。
10,保健施設の改善意見をまとめ,また話しあう。
11,近在の保健施設について調査する。
3,製作した模型について,記述尺度法あるいは一対比較法によって考査する。
4,次の事項についての理解の状態を,再生・選択法・組み合わせ法等によって考査する。
(2) 森林保護の意味と方法。
(3) 温泉の保健上の利用。
(4) 鳥類保護の意味と方法。
学習指導要領〔理科編〕
APPROVED BY MINISTRY
OF EDUCATION
(DATE MAY 22,1947)
昭和22年5月2日印刷 同日翻刻印刷
昭和22年5月26日発行 同日翻劾発行
[昭和22年5月26日文部省検査済]
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