第九章 第四学年の算数科指導
一、幾つかの単位を持つ数や量の加法や減法をすること。
幾つかの単位で表わされる数や量の加法や減法を指導し,単位の観念を明らかにし,計算の合理化をはかること。
(二) 予備調査
2.小数の単位がわかっているかどうか。
3.諸等数の単位についての理解。
4.分数は単位分数を単位にして表わしたものであることの理解。
(三) 指導方法──児童の活動
2.不十進諸等数についての加・減法を,十進諸等数・整数・小数の加・減法にならって計算する。
3.分数を単位分数と1とを単位にして表わす。
4.分数についての加法・減法を習う。
(四) 指導結果の考査
(2) 分母・分子という言葉を使用する能力。
(3) 日常生活において,時間などのような不十進諸等数の加法・減法を用いているかどうか。
2.テストによって
(2) 仮分数を帯分数に直す能力。
(3) 1を任意の単位分数を単位として書き表わす能力。
(4) 分数をいろいろな単位分数を単位として書き表わす能力。
(5) 分数の相等を知る能力。
(6) 除法と分数との関係を知る能力。
二、二位数あるいは三位数に,二位数あるいは三位数をかける計算をすること。
筆算による,次のような乗法を指導する。
(一位数または,三位数)×(二位数)
0を適当に処理して,上のような形式になる乗法
たとえば,2600×3700,210×403
(二) 予備調査
2.0を適当に処理して上の形になる計算をすることができるかどうか。
3.被乗数と乗数とを交換しても,その積が変らないことがわかっているかどうか。
(三) 指導方法──児童の活動
2.概算で結果をたしかめることを習う。
3.二位数と一位数とをかける計算をする。
4.概算で上の計算の結果をたしかめる。
5.被乗数と乗数とを交換して試し算をする方法を習う。
6.乗法で,部分積はかける数の下から書き始めることを習う。
7.0にどんな数をかけても,あるいは,どんな数に0をかけても0になることを習う。
(四) 指導結果の考査
(2) 日常の生活で,乗法を概算でする能力。
(特に位取りをきめる能力)
2.テストによって
(2) 概算する能力。
三、二の逆算として考えられる範囲の除法をすること。
筆算による,次のような除法を指導する。
(三位数)÷(二位数) 商が二位数で余りのある場合とない場合
(四位数)÷(二位数) 商が二位数で余りのある場合とない場合
0を適当にに処理して,上の計算に帰着するもの。
(二) 予備調査
2.0を適当に処理して上の計算に帰着するものを計算できるかどうか。
3.仮商を見つける能力。
4.数の単位に関することが,わかっているかどうか。
(三) 指導方法──児童の活動
2.験算の仕方を考える。
3.0を適当に処理して,上の計算に帰着するものについて計算する。
4.三位数・四位数を二位数で割る計算で余りのない場合について計算する。
5.0を適当に処理して,上の計算に帰着するものについて計算する。
6.概数をとって,上の計算に帰着するものについて計算する。
7.三位数あるいは四位数を,基数あるいは二位数で割って,余りのあるものについて計算する。
(四) 指導結果の考査
(2) 商や余の意味が理解されているかどうか。
(3) 日常生活に除法を用いる能力。
(4) 日常生活に概数をとって除法をする能力。
(5) 割合いや「ならす」という言葉の意味の理解。
(6) 「速さ」という言葉の意味の理解。
2.テストによって
(2) 概数をとって除法をし,商の概数を知る能力。
(3) あるものの分数部分を,除法で計算する能力。
四、小数や小数点の意味を理解すること。
小数はどんな場合に使われるか,また小数点の位置はどんな計算で変わるかなどを教え,小数に整数をかけたり,小数を整数で割ったりする計算をわからせる。
(二) 予備調査
2.整数の単位について,わかっているかどうか。
(三) 指導方法──児童の活動
2.小数の記法を習う。
3.具体物に即して,小数と整数との大小関係を調べる。
4.小数第一位を四捨五入して,約いくらと考えることを習う。
5.小数の考えからグラフを作ったり,読んだする。
6.筆算あるいは珠算で,小数に関する加法・減法をする。
7.小数に整数をかける計算をする。
8.小数を整数で割る計算をする。
9.小数は計算を簡略にするのに用いられることを考える。
(たとえば,200g×9を0.2㎏×9として計算するなど)
2.ある数を10で割ると,小数点は一けた左へ移り,100で割ると二けた,1000で割ると三けた左へ移る事を考える。
3.ある数に10をかけると小数,は一けた右へ移り,100をかけると二けた,1000をかけると三けた右へ移ることを考える。
2.小数は測定値を表わすのに使われることを習う。
3.分数は理論的な値を表わすのに使われることを習う。
(四) 指導結果の考査
(2) 日常生活で,小数を使つて端数を処理する能力。
(3) 日常生活で,小数を使って表現を簡潔にする能力。
(4) 分数と小数の特質についての理解。
2.テストによって
(2) 小数について加法・減法を行う能力。
(3) 小数に整数をかけたり,小数を整数で割ったりする能力。
(4) 小数に10の累乗をかけたり,小数を10の累乗で割ったりしたときの小数点の位置の移動についての理解。
(5) 分数を小数になおす能力。
五、いろいろの絵やグラフをかいたり,また,それを用いたりすること。
目的に応じて,棒グラフ・円グラフ・折れ線グラフ・曲線グラフあるいは絵などをかいたり,かかれたものを用いる能力を養うこと。
(二) 予備調査
2.概数をとる能力。
3.割合の観念がわかっているかどうか。
(三) 指導方法──児童の活動
2.棒グララを一直線に並べて,割合を明らかにしてみる。
3.上に作った棒グラフで,いろいろなことを話し合う。
4.物の割合を,グラフに作って表わしてみる。
5.折れ線グラフをかく。
6.折れ線グラフの各部の勾配とその変化の様子との関係を調べる。
7.連続変化を曲線グラフにかいてみる。
(四) 指導結果の考査
(2) グラフでいろいろなものの割合や大小を調べる能力。
(3) グラフを用いて周期を考える能力。
(4) 勾配についての理解。
2.テストによって
(2) グラフから量の大きさの割合を読む能力。
(3) グラフに表わす能力。
六、対称形や回転体の基本的な性質を理解すること。
対称の美をわからせたり,回転体の作り方を考えさせたして,対称形や回転体の基本的な性質を直観的に理解させること。
(二) 予備調査
(三) 指導方法──児童の活動
2.対称形を図にかいたり,折紙で作ったりする。
3.回転体を作る遊びをしながら,回転体の基本性質を調べる。
4.回転体についてその軸と,そのもとになる図形とを調べる。
(四) 指導結果の考査
(2) 対称形・対称軸という言葉の意味を理解しているかどうか。
(3) 対称形・対称軸という言葉を使用しているかどうか。
(4) 回転体・回転軸という言葉の意味を理解しているかどうか。
(5) 回転体・回転軸という言葉を使用しているかどうか。
2.テストによって
(2) 回転体であることを認めて,その回転軸を見出だす能力。