第六節 学校新聞について
学校新聞とか、学級新聞をつくるのは、中学年からはじめるのがよい。
新聞の作製は、国語の学習、とくに作文の学習にとっては、すぐれた方法の一つであって、児童や生徒の社会意識をそだて、さらに編集・報道・広告・家庭・社会・絵画・写真などについて、いろいろのことを学ばせることができる。
また、学友の作文や創作・詩歌・俳句・ニュース・研究発表などが新聞にのれば、興味をもってそれを読むだろうし、読むことによって自分でもつくりたいとか、研究したいという気持を高めることができる。
したがって新聞をつくることは、国語の学習だけにかぎらず、他教科とも結んで、総合的な学習を営ませる点に、そのねうちがみとめられる。
なお、学校新聞を家庭にくばることによって、児童の学習のようすや、学校のようすを父兄に知らせ、学校と家庭との連絡を、いっそうふかくすることができる。
二 目 的
2 共同作製をすることによって、協同・友愛の精神がふかまる。
3 各教科・学校・家庭・社会の研究調査によって、児童生徒に、自分の才能や、個性について自覚させる。
(二) 特殊目的。
(2) 新聞はどんな順序で作られるかを学ぶ。
ニュースを集めたり、写真をとったりしなければならない。読みものを書いてもらったり、時事問題を解説しなければならない。
書きあげた記事は、くり返して読んでよくなおさなければならない。また題目のつけかたについてくふうしなければならない。
広告を集めなければならない。
記事や写真の割りつけについて、くふうしなければならない。
印刷しなければならない。
まちがいのないように、校正しなければならない。
できあがった新聞を、配達人、あるいは郵便で発送しなければならない。
(3) 次のような記事について学ぶ。
世界のニュース。
国内のニュース。
地方のニュース。
論説・解説・随筆に関するもの。
物語・創作・詩歌など文芸に関するもの。
音楽・美術・その他芸能に関するもの。
運動・保健・衛生に関するもの。
天文・気候・飼育・栽培に関するもの。
写真・漫画・広告など。
(4) 新聞の収入は、購読料と広告料であることを学ぶ。
2 学校、あるいは学級新聞のつくりかたについて学ぶ。
自由研究の国語部のものがなる。
希望者をもってつくる。
学級全員をなん班かにわけ、順番にあたるようにする。
(2) 同じ新聞班の中で、いろいろの係をきめることもできる。たとえば、
感想・隨筆を書くもの。
ニュースを集めるもの。
童話・脚本・詩などをつくるもの。
写真の切りぬきを集めたり、漫画をかいたりする。
投書や応募文をしらべ、その採否をきめるもの。
広告文や報告文などを書くもの。
(3) ニュースは各方面から得られることを学ぶ。たとえば、
登校・下校・途中において経験したこと。
家庭あるいは学校において起った事件。
学校から家庭ならびに児童、生徒への通知。
学習中にあった興味あることがら。
学芸会・運動会・遠足・展覧会・運動試合、その他種々の会合・行事についての予告ならびに結果の報告。
(4) 各教科で学習したことが新聞記事になることを学ぶ、たとえば、
こんちゅう・植物・鳥類・魚類・海草・貝類・家畜などの飼育・観察に関する感想・報告。
くふう創作によってできた機械・器具の解説。
雨量・温度・天候など、長期にわたる観察・統計の報告。
読書の紹介や感想・批評。
ある科の学習方法について考えたことや、自分で作った問題。
その他、調査・研究したことがらの報告・感想。
(5) 時機に応じて、特集記事をかかげることを学ぶ。たとえば、
ことばづかい、遊びかた、あいさつのしかた、そうじのしかた、食事のしかたなど、児童生徒の反省を必要とするようなばあい。
夏季あるいは冬季における衛生とか、運動などについて、児童生徒に対し、注意を必要とするようなばあい。その他危険防止週間とか、防火デーとか、社会の施策に協力するばあい。
(6) 書きあげた原稿は、発表するまえに、教師に見てもらい、誤りは訂正しなければならないことを学ぶ。
(7) 訂正した原稿は清書し、謄写したり、印刷したりすることを学ぶ。
三 方 法
2 天気予報、その日のこよみ・気温・必要なラジオ番組などを、毎日掲示する。
3 うちではどんな新聞をとっているか、ふだん新聞を読んでいるかどうか、どんなところを読むか、いままで読んだものの中でどんなことがおもしろかったか、また、ためになったかどうか、などを時々しらべてみる。
4 新聞は、世の中でどんな役割をしているか、どうしてつくられるか、だれがつくるか、などの問題について、考えさせる。
(二) 関心や興味を、学校新聞を作ろうとする方向に向ける。
2 新聞社・印刷工場・発送部などを見学する。
(三) 学校あるいは学級新聞をつくる。たとえば、
2 新聞の名称は、公募したり、新聞班で考えたりする。
3 教師は、座長になるなり、顧問格になるなりして、編集会議を開く。
(2) 絵や写真や、(一枚の新聞を回覧するとか、掲示をするようなときには、紙面にはりつける)広告はどうするか。
(3) 投書や応募文はどうするか。
(4) その他、目的の欄にかかげたいろいろの事項を参照して、どんな新聞をつくるかの相談をする。
4 発表原稿がきまったら、紙面の効果をねらって、割りつけをくふうしたり、題目をきめたり、文字や活字の大小について考えたりする。
5 印刷、あるいは、謄写する。紙不足のためたくさんつくれないようなばあいには、鉛筆・ペン・毛筆・クレヨンなどで書く。その時には、わら半紙を何枚かつぎ足して大判にするか、そのまま何枚かをつづりあわせて、文集のような型でつくることもできる。
6 配布・発送・掲示・回覧などをする。
7 できあがった新聞について批評会を開き、次号の新聞について相談をする。
8 新聞班の組織のしかたによって、発行は、一週一回とか、隔週一回とか、毎月三回(一日、十一日、二十一日)とかいうようにすることができる。
四 新聞作製の効果
2 文の構造や表現に関する知識をふかめる。
3 辞書のつかいかたや参考書を読むことになれる。
4 印刷機や謄写板の使いかたに関する知識がえられる。
(二) 習慣としては次のようなものがやしなわれる。
2 新聞を読む習慣。
3 読みかたや、話しかたや、作文の学習をさらによくしようとする習慣。
(三) 態度としては、次のようなことがやしなわれる。
2 自分の作品を友だちの作品に比べて考えるという態度。
3 集団的のしごとに対し、理解をもち、また批判するという態度。
4 一般の新聞に対しても関心をもつ態度。
(四) そのほか、まえがきや目的の項にかかげたことがらは、新聞をつくることによってえられる効果である。