第三章 小学校四、五、六学年の国語科学習指導
第一節 話 し か た
話しかた学習指導は、児童が日常生活において、自分の思想や感想などを、ことばによって、はっきりと正しく相手にわからせ、しかも、言語活動を高めていくために行われるものである。
この話しかた学習を効果的に計画をたてていくには、次のようなことが考えられる。
(二) 学校におけるすべての活動や経験は、よいことばを練習する機会であり、ことばを練っていくいい場面である。
(三) わるいことばをつかう習慣をなおそうとすることは、児童ひとりひとりについての問題である。だから教師は、各児童のことばの習慣について、まず、調査しなければならない。そうして、その調査の結果から、各児童が正しいことばを使用したいという自覚をもたせ、かつ、努力をさせることが必要である。
(四) 話しかたの学習をはじめるにあたり、教師はその形式よりも、話の内容をつかませるように心がける。
(五) 話しかたは、きまったわずかな時間内に学習しても、その効果はあがるものではない。他の学科と関連して練習することはもちろん、日常生活においても注意をはらって、反省することがたいせつである。
(六) 豊かな話しかたをするには、語いをしだいに増していくことが必要である。
この語いを増すために、読みかた学習がそのおもな機会になるが、そのほか、学校におけるいろいろな計画により、児童が話す経験を十分得させるようにすることが望ましい。
(七) 語法は、児童のことばづかいに誤りのあったとき、それを手がかりとして、具体的な事実として、理解させていく。
二 話しかた学習指導の目標
小学校高学年における話しかた学習指導の目標は、
(二) はっきりとおちついてものをいうようにする。
(三) 見たこと聞いたことを順序だてて話すようにする。
(四) ことばづかいや、いいまわしなどを正しくする。
などのことがらを高めるとともに、次のような点が考えられなければならない。
(二) よいことばとわるいことばとを比べて、よいことばの力とか美しさとかをわからせる。
(三) よいことばをつかうには、どうしたらいいのか、そのしかたについて考えていく。
(四) 話すことがらを、うまくまとめ、聞き手にはおもしろくわかりやすく伝える力をやしなう。
(五) 相手とばあいに応じて、それにふさわしい話しぶりができるように学習する。
(六) ほかの人の話の要点を、すぐつかむことのできる力をやしなう。
三 話しかた学習指導上注意すべき点
(二) はっきりとした発音と語調で話をすすめていく。
(三) できるだけ、語法の正しいことばをつかい、俗語または方言をさけるようにする。
(四) 相手の話をおしまいまでよく聞き、いわゆる聞きじょうずになる。
(五) 話しかたは、いつも自然な場面によって行い、不自然な形式的機械的な学習をさける。
四 話しかた学習の場所とよい機会
2 食卓の話しあいに、樂しくしかも、ゆかいに仲間入りができるようにする。
3 食後には、その場にふさわしい話をする。
(二) お話会。
2 その材料をえらんだり、話したりする。
3 聞く人を樂しませるようにくふうする。
(三) 演劇会。
2 台本を読んだり、それについて話しあったりする。
3 脚本をよく理解して、そのせりふのいいかたをくふうする。
4 しぐさや表情などを考えて、みんなで話しあってなおしていく。
5 観劇後、その演出や素材などについて話しあう。
(四) 報告会。
2 これを話す時、みんなによくわかるように考える。
3 報告をしあって、それについて感想を話しあう。
(五) 話しあい。
2 自分のいうべきことをよく考え、整理してから発表する。
3 他の人に質問する時には、その要点をあきらかにする。
4 他の人の意見について、自分も反省し、疑問や違いがあれば、しずかにたずねてみる。他の人の感情を害するようなことばづかいをつつしむ。
5 話しあいの記録をとったり、要旨をさらにねりあったりする。
(六) 自治会。
2 その問題について、秩序正しく自然に、また、全級の意見がでるように進めていく。
3 きめたことがらを、よく守り、おたがいにこれを理解しあう。
4 口できめることでも、実行の伴なわないようなことを決してきめないこと。言行不一致は、ことばを軽んじるもとになるからである。
(七) 編集会議。(学校新聞・学級新聞・かべ新聞・文集などの編集会議)
2 編集する材料について、みんなと話しあってきめていく。
3 材料の適・不適、真ぎなどについて話しあう。
4 できあがった喜びを話しあい、また今後の仕事の計画をたてていく。