第九章 第八学年の家庭科指導
四季のうつり変わりは,日本人の生活に,また性格に,いろいろの意味で影響する。寒帯,温帯,熱帯の生活が去来し,暑いうちから冬の支度,冬が来れば春遠からじと,家事の忙しさはちよっとの油断もできないが,それをきびきびと処理して,新しい季節を迎える気持もうれしいものである。そこでこの学年の課程を「季節と家庭生活」として展開させてみると,次のような案が考えられる。
単元(一) わが国住居の長所,短所
単元(二) 食物と健康及び保健献立
B 健康法
C 各自の健康増進表
D 食品の上手な買い方
E 春の食品と献立
単元(三) 夏の生活
B 夏休みの過ごし方
単元(四) 夏の装い
B 単長着
単元(五) 家庭の美しさ
単元(六) 秋の装い
B あわせ
C ツーピース ドレス
単元(七) 上手な買物
単元(八) 冬の迎え方
B スモックの裁縫
C 編み物
単元(九) 簡単な病気の手当と病気の予防
1 目 標
(1) わが国住居の得失に関する理解。
(2) 楽しい生活を営むための住居の使い方の工夫。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 外国の家に住んだことのある人,訪ねたことのある人は,何が珍しかったか,何がよいと思ったか,何をきらいだと思ったか話してみる。
(2) 以上の話を更に写真や絵によって話し合い,わが国の住宅の特徴について討議する。
ろ) 融通性に富む。
は) 私室がないが家族的。
に) 採光不十分。
ほ) 非衛生的──特に便所,畳,夏ののみ,蚊,はい。
へ) 設備不十分で乱雑に陥る。
と) 坐作進退が非能率的。
(3) 洋風住宅の得失の討議。
ろ) 衛生的設備が特によい。
は) 能率的。
に) 私室があり,個人性が保てる。
(4) 日本の家もどんなふうにしたら使いよくなるか。すわったままか,いすかなど,余りこまかくなく話し合う。
(5) (4)の話から家族間の問題に移る。大勢で一部屋を使っている時,一人は早く床を取りたい,一人はいつまでも勉強したい,一人は暗くしないと眠れない,一人は余り暗いのはきらい,又朝早く起きたい人,寝ていたい人など。
(6) 日本の家の非衛生なのを,どうして防ぐか。
[例] 便所(宿題としてみなで考えて来る)
3 指導結果の考査
(1) 自分の訪問したことのある客間,居間で好きだと思ったのは,どんなのか──よく整理していた,お花がきれいだった。日当たりがよかったなどを作文させて評定する。
(2) 自分の家の居間をどんなふうにしたら,もっとみなが気持よく住めるかを問い,部屋の整理,新聞の置き場所,座布団の置き場所,掃除の回数。
その責任をどう分担するか
新聞整理──自分
掃 除──ねえさん
座布団──弟
などの計画をさせて評定する。
1 目 標
(1) 栄養的な食事計画の能力を養う。
(2) 食品に対する常識を豊かにする。
(3) 調理技術を発展させる。
2 指導の方法──生徒の活動
A 何を食べたらよいか。
生徒自身のいっさいの食事の記録をとってみる。(後で役に立てる)
(1) 健康体とはどんなのかを討議する。
b 元気でピチピチしている。
c からだがピンとして姿勢がよい,体重が順にふえて行く,など。
(2) 各自はほんとうの健康体かどうか,相互に調べる。
b 顔色がわるい。
c 太り過ぎている。
d かぜを引きやすいなど。
(3) やせ過ぎはなぜか,どうして直すか。
b 食べ足りない。
c 過労──燃料の使い過ぎ。
(4) 燃料を補うには,何を食べたらよいか。
穀類と脂肪──日本人は脂肪摂取の足りないことを指摘する。
(5) 筋肉のしっかり発育したからだを作るには,
肉類,魚貝類(乾物でもなんでもよい)卵,大豆など。
(6) かぜを引きやすいのはなぜか,どうしてなおすか。
「肝油球を弱い子に」などの広告を見たことがあるか,なぜ弱い子に肝油球がよいか。
ビタミンA,B,C,Dの必要性。
何を食べたらこれが補えるか。
米のはい芽,動物の臓物など。
野菜,果物など──できるだけ新鮮なもの。
(7) 栄養素の中で,人間が一番とらないではいられないものは何か。
水──その必要。
B そのほか健康を保つにたいせつなことは何か。
よくかんでゆっくり食べること。
食べる前に手を洗うこと。
水を一日に十分(約二リットル)とること。
十分寝ること(—日九時間)
運動十分,など。
C 各自の健康増進表
生徒各自改善すべき点をよく上の研究から考えて,実行できるようもって行って,時々調べる──一前の一日の食事の記録を出してみて,ここで討議する。
十分な睡眠 |
× |
○ |
○ |
|
野菜をもっと |
× |
○ |
○ |
|
食前,手を洗う |
○ |
○ |
○ |
D 食品の上手な買い方
(1) 教師は次のような問題を与え,みなに討議させる。
二つのちがいは何か。
b ほうれん草一束10円のと12円のとがある。同じ量に見えるが,10の円の方には黄いろい葉が多く交じり,12円の方は生き生きしている。どちらを選ぶか。
(2) この討議から発展して,魚類,貝類の鮮度の見分け方を話し合い,手に入った実習材料などについて,実際に観察する。
貝類 貝がらの開合,むき身の様子
(3) 野菜や果物の上手な貿い方について,同じように研究する。
目方で買うのと数で買うのと
一山物が有利な場合
(4) 肉類の品質の見分け方及び調理法による選び方について,同じように研究する。
(5) 卵の見分け方 からの中の明かるさ,両端の温かさの観察
E 春の食品と献立
種々の条件を満たすように献立を作ろうとすると,春夏秋冬の移り変わりとともに,食品の種類が変わって来る。これは食事を楽しくする一つの原因となる。季節々々にどんな食品がたくさんあるか,それを巧みに組み合わせて,よい献立を作ることを実習する。
春の献立の一例
朝 |
昼 |
夕 |
飯 米 130グラム ごじる みそ 30 わかめ 2 大豆 30 魚粉 2 きんぴら にんじん 20 ごぼう 30 油 3 |
飯 米 130g にしんの煮つけ 身欠きにしん30 ふきとたけのこの煮つけ ふき 100 たけのこ 50 |
あんかけうどん 干しうどん 130グラム さくらえび 15 にんじん 20 たまねぎ 30 青菜 30 片くり粉 5 刻みキャベツ 50 |
[注意]
一 この実習以後,夏と秋と冬とに,生徒の共同で計画した献立三,四例を設けその中から適当な調理を選んで実習する。
二 献立の作成とともに,最も普通な日常食調理の訓練を与えるように,なるべく変化に富む手法を取り扱うようになることが望ましい。
例えば,
1 飯
塩味 しょうゆ味 いため 五目 力レー
2 煮込みうどん
3 しる
ごじる 薄くずじる いためじる 塩じる かき玉じる 魚のあらじる
4 なま物──特に衛生的取り扱いに注意
野菜の即席づけ おろしあえ なます
5 いため物
きんぴら いためじる いため飯
6 焼き物
焼き魚 蒸し焼き魚 なすの油焼き
7 あえ物
ごまあえ うの花あえ 酢みそあえ おろしあえ
8 煮物
野菜の煮つけ 煮魚 煮豆 寄せなべ カレー煮 つくだ煮 おでん
9 場げ物
魚 野菜のから揚げ 衣揚げ
1 目 標
(1) 夏季に適する部屋の使い方の工夫。
(2) 夏季の衛生知識を進める。
(3) 季節向きの献立と調理法を習得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 予備調査
各自の住居の平面図を作る。
(2) 夏の蒸し暑さを緩和する方法を討議し,まとめる。
季節風とは何か,どう利用するか──窓の方向と戸障子の開放。
家具の配置の模様変え。
広々と,又さっぱりとした部屋とする工夫──前の平面図とともに,家庭宿題とする。
(3) 日射の住居に及ぼす影響と,日よけの工夫を討議する。
b ふじたな,ぶどうだな
c へちま,かぼちゃなどのたな
d 植え木
e カーテン
(4) 夏は特にどこが不潔になりやすいか。
b 特にうじやぼうふらの発生を防ぐ。
(5) 夏向き献立(実習)
暑気あたり,食欲減退等を考慮して夏向き献立の要領を討議,実習。
(6) 食品防腐の方法復習。
(1) 夏休みにみんな何をするか。
家事の手伝いをする,いなかに行く,海岸に行く,泳ぐ,山を歩く。
(2) 夏休みにありがちな悪い習慣は,暑さに負けてだらしなくなることなど。
夏休みに規則正しい健康的な生活をするにはどうしたらよいか(宿題)
その話し合い。
(3) 家族と楽しむにはどうしたらよいか。
いつも忙しい母をできるだけ助けて楽をさせる。
夏休みのない父をどうして慰めるか,など。
3 指導結果の考査
(1) 献立と調理技術を,記述尺度法によって評定する。
(2) 休暇中の日誌を点検して,評定する。
1 目 標
(1) 二部式表着が一部式表着に比べて便利な点を理解する。
(2) 色の配合,用布の選び方におけるディザインの知識を深める。
(3) 採寸を精密にし,一層よく体に合うよう型紙を調える能力を養う。
(4) 一層複雑な仕立て方の技術を習得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 実物標本により一部式と比較する。
冬季は保温のために下着を重ね着しても,一部式に比べて形を損ずる事がないし,夏季は,汗に汚れた場合,上衣だけを洗たくすることができることを理解する。
(2) 形と材料とを選ぶ。
自分に似合い,平常着に適する形と材料とを選び,相互に批評して決定する。
b 丸顔と角な顔立ちとで,えりをどう変えるがいいか。
(3) 胸部の発育に従って原型を変えなけれはならないことを,理解する(附録教材型紙使用)(7〜11図)
(4) 下衣は四布はぎ,六布はぎ,ひだ取りの三種について,用布の経済を検討する。
ひだの下衣のために,一部式のすその復習をする。
(5) 布地に応じた縫代を型紙に記入し,用布の上にむだのないように置いて,裁断する。
(6) 仮縫いをし,着てみて相互に修整する。
(7) 布地に適した縫い方で縫う。
下衣の上部は,その部分をあらかじめ部分縫いする。
(8) 日常の手入れ法を復習する。
(9) 材料費や製作に要した時間等を計算する。
1 目 標
(1) 平面的な布で立体的な人体を被う一つの行き方である長着形式の被服の構成要領を会得する。
(2) 単物に適する布地,色,柄の選び方を会得する。
(3) 長着の仕立て方の基礎を習得する。
(4) 和式の被服の得失を理解する。
(5) 各種和式被服の仕立て方技術への発展。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 洋式表着との比較
(2) 各部の名称を調べ,図に記入する。
(3) 形,特にそでとおくみの決定。
(4) 材料を選ぶ。
(5) 仕立て方実習。
b でき上がり寸法と縫い方等を考え,裁ち切り寸法をきめる。
そで丈 身丈(おくみ丈) えり肩あき えり丈 えり幅 など
c 布の折り方,裁ち切り方,柄合わせ,肩当て及び居敷当ての裁ち方。
d 標附け。
い) そでの標附け
ろ) 身ごろ(おくみ)えりの標附け
e 縫い方
そで
い) そで下
ろ) たもと
は) そで口
身ごろ
い) えり肩あきのかがり
ろ) 背縫い
は) 肩当て,居敷当て附け
に) わき縫い
ほ) (おくみ附け)
へ) えり下ぐけ
と) すそぐけ
ち) えり附け
り) そで附け
ぬ) 八つ口くけ
る) 肩揚げ及び腰揚げ
を) ひも附け
わ) 仕上げ
f 仕上げ,畳み方の示範実習。
(6) 着方について討議し,実演する。
3 指導結果の考査
製作の計画と技術とを記述尺度によって評定する。
1 目 標
(1) 衣食住に季節の感覚を生かし美を創り出すことの意義と技術を会得する。
(2) ふだんの手入れやたしなみのよさが発揮する美を会得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 夏休み中他家を訪間して,その家庭で見出した美しさについて報告する。教師は,報告がそれに触れない場合,何がその美をもたらしたかを考えることを要求する。例えば,
b 心がけの美しさ
c 家族の間柄の美しさ
d それらの総和から来る美しさ
(2) 暑い夏を送り,新涼を迎える喜びを現わすことによって,家庭生活を楽しく明かるくする計画を話し合う。
すだれ,うちわ,夏座布団,蚊帳,蚊やり,灰吹きなど。
b 秋の部屋づくり(実習)
障子のはり方,建て方,懸け物の懸け替え
c 秋の感覚を生かす花の生け方(実習)
い) 季節のどんな花が家庭を美しく生き生きとさせるに役立つかを話し合う。
ろ) 家庭にあり合う花器に利用し得る器を持ち寄り,たがいに批評する。
例えば,
竹の筒 ざる かご とっくり どんぶり はいせん つぼ コップ あきびん
は) それらの太さ,高さと花の量,高さ,広がり等とのつり合いを研究する。
に) 花と,花を置こうとする場所との色彩関係を検討する。
ほ) 花の寿命を保つために,花を切る時刻,手のかからない水揚げ法等を心得のある人から聞いて来て,公開する。
(3) 張り替えた障子の気持よさ等から,ふだんの手入れのもたらす精神的な効果を認識し,いろいろな経験を持ち寄って報告する。
(4) 季節の味覚をそそる食品と献立の研究(実習)
3 指導結果の考査
(1) 当番で教室に花を飾り,その相互評定(花と器と場所とを採点)
(2) 季節の野菜をとり入れた献立表の相互批評。
1 目 標
(1) 自他の身なりに対する関心を発展させる。
(2) 整容の真の意義をさとり,教養を高めるようになる。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 雑誌などの絵画や写画から,いろいろ身なりの例を集める。
(2) 特に印象の深かったよい身なり,わるい身なりの実例について作文。
(3) これらの資料による討議の結果,次の諸項を決定する。
b 趣味,教養の高下は,身なりを一見してわかる。
c よい身なりは,必ずしも手がこんではいない。ましていたずらに高価な着物や装身具のことではない。
d 特にどんな点が目につくか──よごれた髪,きたないつめ,よごれた下着やたびなど。
(4) 整容の若干の実習
b 被服の色,柄及びデザインの調和
c 着附けの技術。
d 附属品の選択。
e 仕事の内容や場所柄への適否。
これから発展して,表情,身のこなし,ことば遣いに関する注意に発展させる。
3 指導結果の考査
日々の身なりの点検。
1 目 標
(1) 季節によって被服並びにその着方が異なることから,寒い季節の平常用表着の特色を理解する。
(2) 衛生,経済,活動能率,容儀の点から,あわせ類の長所,短所を知る。
(3) あわせ長着あるいは二部式あわせの裁ち方,縫い方を習得する。
(4) 解き洗いの方法を習得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 実物の観察と討議によって,形が単長着と同じ所異なる所を発見する。
(2) 仕立て直す材料の解き洗いを要するものは,これを級全体の実習材料として,洗たく法を研究する。
八年級 理科「着物はどうしてできるか」
(3) 寸法
(4) 裁ち方,縫い方実習
3 指導結果の考査
あわせ長着を二部式あわせに裁ち替える工夫──相互評定。
[備考]
あわせ長着 裁ち方 表 すそまわし 奥裏 標附け方 一 そで たもとそで げんろくそで 二 身ごろ 表,すそまわし,胴裏 三 (おくみ) 表,すそまわし,おくみ先を重ねて 四 えり 表,えり先布,裏えりを重ねて 縫い方 一 そで そで口布かけ,そで口あわせ,そ で口四つ留め,そで口下,たもと そで下,たもとのまるみ,八つ口 二 身ごろ 表,背縫い,わき縫い,裏,胴は ぎ,背縫い,わき縫い,すそ合わ せ,縦とじ,身八つ口 三 そで附け 表,裏 四 (おくみ) 胴はぎ,すそ合わせ,おくみ附け えり下 五 えり えり附け,えりくけ,掛けえり |
二部式あわせ 上衣 表 そで口布 奥裏 下衣 表 裏(すそまわし奥裏にすることもある) 上 衣 一 そで 舟底そで 二 身ごろ 表,裏 三 えり 下衣 表裏重ねて 上衣 一 そで そで口布かけ,そで口合わせ,そ で下,八つ口 二 身ごろ 表裏背縫い,わき縫い,すそ合わせ, 縦とじ,身八つ口 三 そで附け 表,裏 四 えり えり附け 下 衣 表裏背縫い,わき縫い,すそ合わ せ,えり下,ひも附け |
夏の装いに同じ。
1 目 標
(1) 金を有効に使う心がけを養成する。
(2) 買物を通じて,よい家族関係を発展させる。
(3) 商品に対するふだんの注意力を養う。
(4) 衣料や食品の選び方を会得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 実習用食品の当番の買物を批評する。
b 店の人の態度はどうであったか。
買う方の態度はどうあるべきか。
買物も人と人との関係であるから,双方に適当な礼儀がなければならないことを理解する。
(2) 歳末の買物の手伝い
b 例えば次のような問題が取り上げられ,決定される。
い) どこの店で買うか。
ロ) なじみの店,なじみのない店。
ろ) どんな品物を買うか。
ロ) まとめて箱やかんで買うか,ばらで買うか。
ハ) 目方で買うか,数・量で買うか。
二) 季節のもの,流行のものと季節はずれ,流行おくれのもの。
ホ) 新しい物と中古品。
ヘ) 既製品とあつらえ物。
は) 実用品とか致命的でないきず物とかでがまんをして,残りで幼い家族を喜ばせることはできないか。
に) 多少の値段の差を奮発して,長持ちがし後に幼い家族に譲られるものはないか。
ほ) 買いだめの是非。珍しい物にすぐ手を出す傾向はないか。
c 各自買物を実行して報告する。それに対し,(1)の諸点から評定する。
1 目 標
(1) 寒冷な気候に応ずる家族の営みを習得する。
(2) 寒気や空気の乾燥等に対する衛生上の心得を発展させる。
(3) 冬の菜園の手入れについて理解する。
(4) 防寒用被服の裁縫や編み物技術を習得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 衛生上,冬季の住まい方に注意すべきことを討議し,決定する。
採暖などはどうするか,火ばち,いろり,こたつの長所・短所を討議する。
よりよい方法はないか,悪い点の直し方を話し合う。
冬に起りやすい不衛生状態は何か。
家の外に必要な冬の支度は何か。
しも除け,雪かこい。井戸・水道のかこい。
(3) 各自の家庭菜園の計画を発表する(一部宿題)。その後農業専門家の講評を受ける。
(4) 冬の健康を保つには,特にどんな注意が必要か──運動不十分にならぬよう。
特に冬に流行する病気は何か。それにかからぬようにするにはどうするか。
○各自の健康表を作る。
予 定 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
6 時 起 床 |
× |
○ |
||||||
毎日分屋外作業 |
○ |
× |
||||||
朝晩歯をみがく |
○ |
○ |
||||||
夜9時就寝 |
○ |
○ |
(5) 冬の食品を研究し,温かい献立と調理法を実習する。
(1) 防寒,防雨,ちりよけあるいは作業用等の各種外被の調査。
(2) 使用の目的及び下に着る物に応じて変わる外被の形,材料について討議し,自分の製作するものをきめる。
(3) 仕立て方の説明と実習。
い 型紙の選び方
ろ 縫い方
背の中央の摘まみ縫い,ヨーク附きの場合は,先ずギャザーを取り,ヨ一クを附ける。
前のギャザー取り,ヨーク附け
見返し附け
えり縫い,えり附け
わき縫い
そで下縫い,そで附け,そで口
すそ
肩すべり附け
仕上げ,孔かがり,ボタン附け
棒針の目の立て方,目数のきめ方,表編み,裏編み,目の減らし方等の示範説明。編もうとする題材をきめ,手引きによって実習する。
1 目 標
(1) 自他の健康の異常に早く気がつき,早期に手当を施すこと,そしてもっと積極的に保健をはかる能力。
(2) 症状に応じた手当を施す能力。
(3) 衛生用品の取の扱い方を発展させる。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) ほんとうの健康体はどんなのか。
第二課程の同項を思い出し,各自の健康の度を調べ,進歩した点があるか同じかを検討する。
やせた人はやせたままか。
かぜひきやすい人はどうか。
顔色の悪い人はどうか。
健康表を実行しているかどうか。その後の各自の採点を発表する。
(2) 病気になる前にはどういうことが起るか。
b 元気がない,からだがだるい,疲れやすい,食欲がない。
c 熱が出る,寒けがする,せきが出る。
d からだのどこかが痛む。
e 腹痛がある,吐き気がある,吐く。
f 下痢する,便秘する,尿の色が変わる,尿の回数が変わる。
g 手足,顔などにむくみが出る。
h 目まいがする,気が遠くなる。
i ひきつける。
(3) 早期の手当の必要と,素人診断の危険とについて話し合う。それは特にどんな病気についてそうであるかを決定する。
(4) 何かの症状を見たら,先ず体温を測り,あるいは痛む所をよく確かめて,差し当りの手当をして,医師に見てもらうかどうかをきめることを発見する。
(5) 次の実習をする。
検温器の扱い方
脈の見方
かいろ,湯たんぽ,氷のう,水枕の取り扱い,湿布のし方
(6) 更に病気になってからの手当より,かからぬ手当のたいせつなことを強調する。
健康表をもう一度たしかめる。
3 指導結果の考査
(1) 組み合わせ法によって,症状と手当法との理解を考査。
(2) 検温のし方,脈の見方を相互に評定。