第八章 第七学年の家庭科指導
第七学年の指導内容
単元(一) 家庭生活
単元(ニ) 備えある生活
B 災害の予防
C 夏着物の支度(ワンピース ドレスの裁縫)
単元(三) 食物と栄養
B 基本調理(しる物・蒸し物・煮しめ・炊飯)
単元(四) 備えある生活(続き)
B 被服の手入れ,保存
C 病気の予防と救急法及び常備薬と衛生用品
単元(五) 幼い家族の世話(乳幼児の生活)
1 目 標
(1) 幸福な家庭の建設に,自分がどんな役割りを持つべきかを理解する。
(2) 家族のものと意見が違った場合どうして解決して行くか,又家族とおたがいに協力して美しい間柄を持ち続けるにはどうしたらよいかを学ぶ。
(3) このような努力が,わが国の家庭の向上に貢献することを理解する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 過去二年間の家庭科学習の結果,自分の寄与によって,家庭が実際によくなったと思われることを考えて来て,報告する。例えば,自分の意見がとおってよくなった事とか,自分のした仕事が役にたっている事とか。これによって,たがいに新しい級友の家庭事情に就いて理解を持ち親しみをいだくことができる。
(2) 一方,自分の意見がとおらなくて残念に思っていることに話が触れる。例えば,台所の模様変えが母の気に入らないとか,栄養本位が味覚本位の家族と調和しないとか。これらの場合どんな態度をとったか,どう処理するのが適当であるかを話し合う。
(3) それについて,両親に対する要求のとおらない幾つかの場合が,だれにもあることが気づかれる。例えば,
b 勉強の時間が十分に与えられない。
c 自分の部屋がもらえない。
d 自分の持ち物や飼っているものについて顧みられない。
など。そこで,それらの理由に就いて話し合う。
(4) これらの場合に執るべき態度について討議する。例えば前のaについて,
b 物価事情が今買う時期でない場合──物価について考慮をするようになる。
c 市場に適当な品物がない場合──上手な買物の心得を学ぶ。
など。
これらの討議の結果から,解決の根本として,家族がたがいにわかり合い認め合い,みんなが自分の責任を重んじながら,協力して行く態度の必要であること,それによって幸福な家庭が営まれることを知る。
(5) 更に,幸福な家庭の営みは,その日その日の暮しに追われてばかりいないで,将来への見とおしと計画とが必要であることを決定し,衣食住その他の計画的生活の研究に発展させる。
3 指導結果の考査
(1) 家庭の協力に就いて,適当な題の作文を書かせて,記述尺度法で考査。
(2) 選択法,完成法などで家庭生活の態度についての理解を考査。
新聞の社会記事には,毎日のように,思わぬ災害に襲われた人々とか,とっさの機転でうまく危険をのがれた話とか,わるい病気の流行や犯罪とかが伝えられる。戦災のため,にわかに身寄りのない気の毒な境遇におちた人のことは,目のあたり見もし聞きもする。これらの見聞にもとづき,静穏安全な家庭生活を維持するために,日常の用意としてどんなことを心がけたらよいかの研究計画を立てる。
1 目 標
(1) 貯蓄の増殖に興味を持つように預金や貯金の意議を研究する。
(2) 一層節約の習慣を養う。
(3) 小遺い帳などの記帳の形式を習得し,これを生活に役立てるようにする。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 家庭の経済の失調を防ぐためには,どんな心がけが必要かを話し合う。
b 節約に努める。
c 貯蓄に努める。
(2) 節約には,どんな要領があるかの話し合い。
b 一度には少額でも,始終遣う金や物は,積もれば大きな額に達するものであるから,これを警戒する。
その実例を考え,計算問題を作ってみる。
c できれば自家製のもので間に合わせる。
d 不時にはいった収入は,ない物と思って,ついむだに使ってしまうものであるから,これを警戒する。
どうすればそれを有意義に使うことができるか。例えば,生産的なこととか,つつましく,しかし家族みんながその喜びを味わうようなことに使うとか,また一部は新な利子を生むような蓄え方をするとか。
(3) 貯蓄にどんな方法があるか,どれが簡便であるか,どれが有利であるか,どれが安心であるかをざっと話し合う。
b 諸種の預金
c 保険
(4) 貯金をふやすには,どんな要領があるかを話し合う。
「ちりも積もって山となる」貯金の計算問題を作ってみる。
b 貯金を引き出す時は,有意議な事に使う時だけにする。
(5) 節約に役立つ設備や,道具の研究に発展することもあろう。
例えば沸いた湯を魔法びんにとっておけば,三度三度のむ湯を沸かさなくてよいとか,着物であったら上っ張のを着て作業をするとか,道具であったら,そのいたみを防ぐ手入れを怠らないとか。
(6) (4)から小遺い帳の形式と,その利用法に発展させる。
b 線の引き方
c 文字・数字の書き方
d 追記・訂正のし方
e 余白の消し方
f 繰越しの表わし方
(7) ある期間,食物費の出納を受け持ち,又は賄帳の記帳にあずかる。その結果気づいたことを学級に報告する。家計簿記の家庭経済上有意義であることを話し合う。
(8) 「時は金なり」の格言の意味を考え,時間の節約についても,金と同様に予定と計画の必要なことを,種々の実例を挙げて話し合う。
1 目 標
(1) 予想される災害に対し,平素の生活においてどんな用意がいるかを理解しこれを実行する能力を養う。
(2) 地方的な災害とその対策について理解する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) いろいろな災害を,新聞やラジオ等によって記録し,話し合う。
い) 天災地変
ろ) 人の加害
は) 不慮のけが
b どんな経過であったか。
c どうかして避けられなかったか,又は被害を軽減することはできなったか。
(2) それらのうち,特に火災の予防について研究する。
b ある期間の火災の原因と損害見積もりの統計を作る。
い) 火の用心についての実効ある方法を研究する。
ろ) 火の始末についての動作の習慣を確立する。
は) 防火資材・整備を点検してまわる。
(3) 盗難の予防について話し合う。
b 盗心を誘発する物件を外部に現わさない。
c すきを見せない。
(4) 風水害・雪害等地方に起りがちな災害を調査し,その予防について話し合う。
3 参考書
小山書店発行 吉村冬彦著「とちの実」
183ページ「災難雑考」
108ページ「震災日記より」
4 指導結果の考査
記録法,再生法,選択法,完成法等によって災害予防についての理解を考査。
1 目 標
(1) 活発な生活活動に適する表着の構成を理解する。
(2) 自分のからだに合うように表着の型紙を調整する方法を会得する。
(3) 自分に似合う形や色の選び方を知る。
(4) 適当な材料の選び方を知る。
(5) 裁縫技術を進歩させる。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 製作見本,スタイルブック等を見る。
(2) 形と用布の選び方を研究し,話し合う。
実物標本やスタイルブックによって,自分に適し,且つ平常着に適する形を選び,用布をきめて相互に批評する。
(3) 教師の示す型紙を写す。(附録教材型紙使用)(5〜6図)
(4) 次の事項について研究して型をかえる。
b 縫い縮めしたスカート。
c ひだをとったスカート
d 半そで。
(5) 布地に応じた裁ち方を研究し,必要な縫代を型紙に記入して,むだが出ないように置いて,裁断する。
(6) 仮縫いをし,着てみて,相互に批評し合い,修整する。
(7) 地質に適した縫い方を工夫し,実習する。特にそで附けについては示範によって実習する。
(8) 仕上げて,着用し批評し合う。
(9) 日常の手入れ法を話し合う。
b 常にしわにならないようにすること。
c 洗たくしたら,アイロンをかけること。
アイロンかけの実習,熱量計の読み方,実習。
(10) 材料費や調製に要した時間等の計算。
3 指導結果の考査
(1) 製作品について記述尺度法による考査。
(2) 再生法,選択法,完成法などで布地の選び方,色や形の似合うかどうかについての理解を考査。
1 目 標
(1) 栄養に関する知識を一層確実にする。
(2) 調理手法を科学的にする心構えを養う。
2 指導の方法──生徒の活動
災害の予防,あるいは不時の失費の原因を除くことの研究から進んで,病気の予防,健康保持の要件として食物研究へ発展する。
(1) 日常の保健に食物が重要な地位を占めるのはなぜであるかを,復習的に話し合う。
b 幼い者はどうして成長して行くか。
c 体温はどうして一定に保たれるか。
d 働く力はどうして出て来るか。
(2) 持参の弁当又は給食の食品を栄養上から分類する。その中,栄養価の高いたんぱく質をもっているもの,カルシウム,ビタミンABC等に富むものに○印を附けてみる。その正否を吟味し研究する。
(3) 同じ食物を食べても同じ効果が得られず,発育がよかったりわるかったりすることを問題として研究し,消化と吸収の条件について話し合う。
b 生食を適当とする食品は何々か。それはなぜか。生食にはどんな注意がいるか。
c 加熱を必要とする食品は何々か。それはなぜか。加熱にはどんな注意がいるか。
d 各種食品は,食べられてから吸収されるまでの間にどんな変化を受けるであろうか。
い) 飯・いも・パンなど。
ろ) 獣・鳥・魚の肉,卵・乳
は) バタその他の油類
に) 果物・野菜類
(4) 健康を楽しむことのできる食事の条件を挙げ,次の事項を研究する。
b 各食品の栄養価を向上させる調理法
c 適当な食べ方
3 指導結果の考査
(1) 記録法,完成法等で栄養についての知識を考査。
(2) 完成法等で調理の合理化の心構えを考査。
[備考]
栄養に関する知識として,以下のようなことをなるべく実際的に取り扱う。
2 この栄養素はそれぞれ働きが異なること。
各栄養素の機能
(1) たんぱく質 肉体を作る。
(2) 炭水化物・脂肪及びたんぱく質 体温や活動力のもととなる。
(3) 灰分(カルシウム・りん) 骨や歯を作る。
(4) 灰分(大部分)ビタミン 他の食物がからだに吸収されて栄養になるために,いろいろな変化をする時のなかだちになる。
おもな食品の種類とその栄養価
(1) 米・麦・あわ・ひえなどの穀類。
おもな成分はでん粉で,熱や力の源として最も普通に用いられる。しかしたんぱく質や力ルシウムは少ない。
(2) いも類,さつまいも,じやがいも,里芋など。
主成分は同じくでん粉で,穀類と同じく熱量の源として用いられる。
(3) 大豆その他の豆類及びその加工品。
たんぱく質を豊かに含み,その上脂肪・カルシウム・りんなどをも多く含み,副食物としてたいせつな食品。
みそ・豆腐・納豆・黄な粉などはその加工品である。
(4) 野菜類・果実類・海草類
灰分及びビタミンを含む,殊に青菜には種々のビタミンや力ルシウムが含まれている。この灰分は血液が酸性になることを防いで、アルカリ性にするたいせつな役目を持っている。
(5) 肉類・魚貝類及びその加工品。
良質のたんぱく質を含み,脂肪も多い。
カルシウムやビタミン類は一般に少ないが,しかし小魚類で骨ごと食べられるものは,カルシウム給源としてたいせつな食品である。
(6) 牛乳・卵及びそれらの加工品
乳は良質のたんぱく質とその他の重要な栄養素をことごとく含み,完全に近い食品である。卵は乳に次ぐ栄養的な食品で,特に卵黄にはビタミン・灰分・脂肪が多い。
1 目 標
(1) 簡単な基本的な調理手法を習得する。
(2) 材料として使用する食品の栄養価を理解する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 調理実習を始める前に、六年級での経験に基づき各自の心得なければならないことを話し合う。
b 仕事の前に手を洗う,いつも清潔な手ぬぐいを用意。
c 仕事の途中で頭,くつ下,はき物に手をふれない。
d 途中でなるべく便所に行かない。
e むだ口をつつしむ。
f 調理くずの処理,用具の処理,掃除,あと片づけを十分に。
g 材料,調味品,燃料の節約(煮過ぎ,焦げつきは二重の浪費である)。
h 火の用心。
i 換気。
(2) しる物の調理実習
い) 一わんのしるの量
ろ) しるの塩味
は) しょうゆのうまみ
に) みその栄養と塩加減
ほ) しるの実の分量と取り合わせ
へ) みそしるをもって栄養向上に資するにどんな工夫があるか。
b しるのうまみを噌すには,どんな物が用いられるかを調べる。
c 煮干し,かつおぶしの品質,市価を調査し,その扱い方を研究し話し合う。
d すましじる,みそしるの実習
(3) 蒸し物の調理実習
蒸し物・蒸し器の復習から,日常の調理にもっと蒸し物を利用するのがよいことを発見する。
芋を蒸すのとどう違うか,蒸した飯が冷飯より軟かいのはなぜか。双方の味を比較研究をする。
b 魚の塩蒸しの実習,塩の適当な量を研究する。(材料の2%)
c 蒸し野菜の酢の物実習
キヤベツは殺菌されるのを程度にして蒸す。蒸した後適宜に切って二杯酢をかける。
塩・酢の使用量を研究する。(塩,材料の2%,酢,塩の五倍程度)
三種の蒸し物を,班を分けて同時に行い,各手法の相異をたがいに話し合う。
蒸し湯の利用法について考案する。
(4) 煮しめの調理実習
b それらが同時に煮上がるための工夫をする。例えば切り方の大きさを違えるとか,同じ大きさに切った時は,煮えにくいものから順次に加熱するとか。。
c 煮しるの水の量を研究する(材料の三分の一から四分の一)
d 塩としょうゆで味をつける時の使用量を研究する。
塩,材料の1%,はじめに入れる。
しようゆは5%,煮え上がるころ入れる
(5) 炊飯の調理実習
b 各自が家庭から持ち寄った米について
い) 精白度
ろ) ぬかの附着状態(場合によっては,つき砂)
は) はい芽の残っている程度
に) くだけ米・赤米・青米等の有無
を調べる。価格について知っていることを話し合う。
c 常食としてはどんな米がよいかを決定する。
d 米飯にまぜられる食品にはどんなものがあるか。それらの食品は,米が煮える時間内に煮えるかどうかを実験する。
e 米の体積と重さとの関係を実験する。
f 各自の家で行っている。
い) 米の洗い方
ろ) 水の分量と水加減の見方
は) 火加減
を話し合う。
g これらの問題を念頭に置いて,実習の計画を立て実習する。
例えば,米飯を炊くのと同時に,小豆,まる麦,押し麦の各十粒くらい又は1cm角に切ったいも三きれくらいを混ぜて炊いてみるなど。
h それから麦飯に発展し,実習する。
い) 麦の品種,利用法,価格
ろ) 炊飯
3 指導結果の考査
(1) 再生法,選択法,組み合わせ法,記録法などで,調理手法の理解を考査。
(2) 記述尺度法によって実習の際のやり口を考査。
1 目 標
(1) 食物の腐敗を防ぐ方法を会得する。
(2) 野菜類の貯蔵法を会得する。
(3) つけ物のつけ方を習得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 不自由な食糧事情をどうしてしのいで来たか,又しのごうとしているかを話し合う。
(2) 食品貯蔵のために,何を知らなければならないかを研究し,更に腐敗の原因,微生物繁殖の条件を研究する。
(3) それから食品の腐敗防止の方法を研究する。
b 冷蔵及び冷凍
c かんづめ及びびんづめ
d つけ物・つくだ煮
e その他
これらのうち,家庭でできる方法,商品として市場にあるものを実例を挙げる。
(4) 野菜の豊富な季節の喜びを話し合い,この喜びとの乏しい,そして思いがけない季節に味わう方法はないかを,各自好きな野菜を中心にして話し合う。そのうち,適当なものを実習する。
根菜類,葉菜類,果菜類等
b 野菜の乾燥
い) 目的
ろ) 種類
は) その栄養
に) 製法
さつまいものなま切り干し,蒸し切り干しの実習
大根の切り干しの実習
干し葉の実習
(5) つけ物の効用を話し合い,適当なものを実習する。
b 種類
c その栄養
d 製法
即席づけ及び塩づけの実習
ぬかみそづけの実習
当番でつけ物の世話をして,なるべくみんなに当番がゆき渡るようにする。
3 指導結果の考査
選択法,組み合わせ法,記録法などで理解の如何を調査。
1 目 標
(1) 身だしなみのよい,よい趣味を発展させ,ほんとうの意味で身なりを考えるようになる。
(2) 衣類の手入れ保存の方法を理解する。
(3) 虫干しの要領を会得する。
(4) 廃物に近い衣類を復活させる喜びを知る。
(5) 目だたない,めんどうな仕事を厭わないよい習慣を養う。
(6) 普通の縫い方と異なるつくろい方の特殊な技術を習得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 衣類の日常の手入れ
b しわのしの復習。
c 洗たくの実習。
d たび・くつ下の繕い実習。
い) くつ下やたびの薄くなったもの,あなのあいたものなどを持ち,体裁と,繕い方の難易について話し合い,早期の手入れの必要を知る。
ろ) くつ下やたびのどこが,どうしていたんだかを調べて発表する。
は) いたみの部位といたみ方に応じて,どんな繕い方を用いるかを決定する。
ロ つぎ布
ハ たびのはなおの当たる所は,特にどんな注意がいるか。
二 くつ下の目はずれは,どうして止めるか。
ホ くつ下のつくろいに,湯のみの類を使用することの示範。
に) 繕いがきかなくなったくつ下は,どう利用するかを考える。それから同色同質のくつ下を買っておくことの有利なことを見出だす。
(2) たび,くつ下のいたみやすい部分についてあらかじめ補強することを考える。
(3) 保存
b しまい方の実習。
c 虫干しの実習。
3 指導結果の考査
繕い方の成績品を記述尺度法で考査。
保存の知識を組み合わせ法,完成法等で調査。
一 まる洗い(木綿物)
1 準備
ちりを払い,仮りの繕いをしておく。
2 下洗い
3 本洗い
a 水とその量
b 洗剤とその量
c 洗い方
4 すすぎ方
5 のり附け
a のりの種類
b 作り方
c 分量と附け方
6 仕上げ
畳みつけ仕上げ,アイロン仕上げ
7 スフや麻織物の洗い方,しぼり方で,木綿物以上に注意すべきこと。
二 解き洗い
1 解き方
簡単に解き洗いする場合と,全部を解き放ち,たん物の形に合わせて洗う場合。
2洗う物の仕わけ
種類,汚れの程度,色,せんい等により仕わける。
3 洗い方
木綿物はまる洗いに同じ。
4 仕上げ
木綿物は板張り仕上げ。
a のりの種類とその作り方
b 張り方
c 取り入れの注意,用具の始末。
絹物は伸子張り仕上げ
a 布の張り方
b ふのり液の作り方,のり附け
c 伸子の打ち方
d 耳直し
e 後始末
三 毛織物の収縮を防ぐ注意
1 せっけんその他洗剤の種類と濃さ
2 洗たく液
a 液の温度
b 本洗いはアンモニア水を使用。
3 洗い方,はげしくもんだり,ねじたりしない。
4 手早く洗い,手早く乾かす。
5 アイロン仕上げ
四 交織物の洗い方
混用されているせんいのうち,洗たくに対して弱い方を標準にして洗う
五 編み物の洗たく
毛織物に準ずる。特に干し方に注意。
湯のし仕上げを用いる。
1 目 標
(1) 自他の健康状態によく気がつき,よく気を配るようになる。
(2) 日常的な衛生知識を実行するようになる。
(3) 消毒法を知ってこれを実行する。
(4) 簡単な救急法を習得する。
(5) 常備薬についての知識を持つ。
(6) 簡単な衛生用品の取り扱いを習得する。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 自分が,あるいは家族全部が,または家族のだれかが,実行している健康法の報告。
(2) 種々な健康法の中から,個人的に,又は学級で採用実践すべきものを話し合う。
(3) 伝染病や寄生虫病のまん延状況について,医師の話をきいたり研究したりする。
(4) 消毒法の研究に発展させる。
b 焼却
c 煮沸
d 日光
e 蒸気やガス
f 腐敗や発酵の利用
(5) どんな場合に消毒を必要とするかについて話し合う。
(6) どんな場合にどんな消毒法をとるかの話し合い。
例えば,
b 手ぬぐいに附いたトラホーム病原体,手指ついた伝染病毒はどうするか。
c 病人のたんや便はどう処置するか。
d 病人に附き添う場合はどうするか。
e 病人の寝具や着物はどうするか。
等について,適当な消毒法を話し合う。
(7) これまでの自分や他人のけがの経験をおたがいに発表し,けがをしないように,どんな注意をしているかを話し合う。
b 学校で
c 往来で
(8) けがや急病の手当法の実習(示範による)。
b 中毒
c 脳貧血
d おぼれた人
e やけど
f 虫にさされたり,犬にかまれたり
g 骨折
h 異物をのみこんだ場合
i 卒倒
j 鼻血
(9) 各自の家庭でどんな病気の対策ができているかを調べる。
(10) どんな薬品が家庭に備えてあるかを調べ,その薬品をいろいろに分類して用法を研究する。
b 丸薬,じょう剤,散薬,水薬,こう薬
c 普通薬,劇薬,毒薬
d 薬草(その種類,用途,科学性)製薬
e 病原菌を殺す薬,からだの抵抗力を勢づける薬,症状の苦痛を軽減する薬等。
(11) 薬品の保存,薬品の取り扱いに起りやすい,あやまちの話し合い。
b ほかのものとくっつけてならないもの。
c はり紙がとれて,ほかのものと取り違える恐れはないか。
d 極量が明示してあるか。
e よけいにのめば,よけいにきくというようなのみ方をしてはいないか。
(12) 各自の家庭にどんな衛生用品が備えてあるかを調べ,その取り扱い方を実習する。
b 目盛りグラス(読み方,使い方)
三十倍のオキシフル,五十倍のほう酸水などを作ってみる。
c 氷のう,水枕
d かいろ,湯たんぽ
e その他
3 指導結果の考査
(1) 消毒法,救急法,常備薬等についての知識を組み合わせ法,記録法等で考査。
(2) 器具の取の扱いについて,記述尺度法などで考査。
1 目 標
(1) 乳幼児を正しく愛し育てることの興味と関心を発展させる。
(2) 乳幼児の生活の早期指導のたいせつなことを理解する。
(3) 幼児のおやつを作る技術を習得する。
(4) 幼児の衣類の世話ができるようになる。
(5) 幼い弟妹に対しての姉としてのよい態度を養う。
2 指導の方法──生徒の活動
(1) 家族の保健防疫の問題から発展して幼い家族のよい成長を助ける方法を研究する。
(2) 弟妹を持たないものは,近所のふだんめんどうを見て上げられる乳幼児について経験する。
(3) 学級うちそろって,子供遊園とか幼稚園とか託児所とかを訪問し,いろいろ経験する。
(4) 幼い家族に対する姉としての態度と,実際に受け持っている責任について報告する。
弟妹のないものは,なつかれている近所の子供について発表する。
(5) これらの態度や能力を発展させるために,乳幼児の生活を研究する。
毎日十五分ずつ一週間乳幼児の生活を観察して,その記録を持ち寄り,年齢別に整理する。
b どんなおもちゃで遊んでいたか。
c どんな要求をしたか。
d どんなことを聞きたがり,又はどんな返事をしたか。
e どんな理由で泣いたか。
f どんな話,又はどんな歌をおもしろがったか。
(6) 望ましい社会性が養われつつあるかどうかを観察し,その指導の要領を話し合う。
b よい返事。
c 仲間と仲よく遊ぶ,進んで仲間にはいる。
d いじわるをしない。
e 自分の物と人の物とを区別する。
(7) 泣き方によって異なる子供の要求や状態を研究する。抱きぐせはついていないかどうか,又ひとりできげんよく遊んでいる時,どんな精神が養われつつあるかを観察する。
(8) どんなおもちゃが,子供にどんな影響を与えるかを観察し,各歳児にどんな遊び道具がよいかを研究し,報告し,よいおもちゃの条件を討議する。できれば見本を陳列する。
(9) おもちゃの見本を観察する。
(10) おもちゃ屋に就いておもちゃの種類をしらべたり,売れ行きを調べる。
(11) 幼児について,その動きの観察を記録する様式をきめる。
(12) 幼児に与えるおやつの調理を実習し,食べさせる。
[例]1.さつまいもの茶きんしぼりと魚肉野菜しる。
2.きな粉かすりごまをまぶしたおむすび。
(13) 乳幼児のたび・くつ下を編む。
b 寸法のきめ方の発見
目の立て方
目数のきめ方
c 目のへらし方,増し方の示範・説明。
d 実習
編み加減はややゆる目の方が,含気量が多くて温かい。
3 指導結果の考査
(1) 乳幼児の取り扱い方の理解の程度について,組み合わせ法及び記録法によって考査。
(2) 生徒の作品について,記述尺度法を用い,棒針編みの技術の考査。