第一章 家庭科の指導目標
Ⅰ．総目標
家庭科の教育の全体を通じた目標としては，次のようなことが挙げられる。
２．家庭生活を幸福にし，その充実向上を図って行く常識と技能とを身につけること。
３．家庭人としての生活上の能率と教養とをたかめて，いっそう広い活動や奉仕の機会を得るようにすること。
Ⅱ．各学年別による目標
これらを，更に児童や青年の心身発達の如何と，その内容の発展とを考え，学年の程度に応じて，具体的に考えてみると，次のようになる。
第五ないし第六年
この学年のこの科目は，男女ともに課すべき家庭科であって，その考え方も教え方も中学校におけるものとは異なるべきである。
２．家人及び友人との間に好ましい間柄を実現する態度。
３．自主的に自分の身のまわりの事に責任を持つ態度。
４．食事の支度や食品に興味を持ち，進んでこれを研究する態度。
５．家庭生活に必要な技術の初歩。
Ａ 簡単な被服の仕立てと手入れ及び保存の能力。
Ｂ 家庭の普通の設備や器具を利用したり，よく手入れしたりする能力。
第七ないし第九年
２．住居の科学的，能率的な使い方の会得。
３．堅実な家事経理，特に時間と労力，物と金の上手な使い力のできる能力。
４．家族の病気やけがの予防，手当のできる能力。
５．栄養が十分で，経済的で且つ楽しい食事をととのえ得る能力。
６．自分及び家族の身なりをととのえ，保健や経済に適合するように経理し得る能力。
７．乳幼児の生活を理解し，やさしく世話をすることのできる能力。
８．家人や隣人との間に正しい間柄を表現する態度。
第十ないし第十二年
(一) 家事経理
２．科学的，経済的な住宅，家具，造作の利用の能力。
３．上手な買物ができる能力。
４．竪実な経済生活の能力，及びその公共性の理解。
５．家入及び他人との正しい間柄の実現と調整の能力。
６．子女を教養のあるよい公民として世に立たせる能力。
(二) 家庭看護
２．病気の症状やけがの状況に応じて適当な処置を施す能力。
３．親切で間違いのない看護をする能力。
４．病人に適合した食事をととのえる能力。
５．間違いのない薬品や医療器具取り扱いの能力。
(三) 食 物
２．細菌除去の心得を実行する能力。
３．種々の食品の季節や市価についての知識。
４．人数に応じ過不足のない食事の用意をする能力。
５．食品の加工貯臓の能力。
(四) 被 服
２．被服を工合よく調整する能力。
３．怠らず又手落ちなく手入れをし，誤りなく保存をする能力。
４．経済的な被服計画を手まわしよく実行する能力。
５．似合わしく着装する能力。
(五) 育 児
２．乳幼児の世話ができ，特に授乳，離乳の正しい方法の理解。
３．乳幼児の心身異常に正しく手落ちのない手当をする能力。
４．妊娠・出産の正しい知識。
５．幼児の性格，行動に賢い指導をする能力。