第九学年の農業指導は「農業の経営はどんなにしたら堅実になるか」に重点がおかれ,労働当たりの生産を高めることが,中心問題となる。そうして,経営を堅実なものにするためには,まず,農業の経営や農家の経済がどんなふうになっているかを数量的に知り,これをもととして具体的な計画を立てなければならない。そこで「農家経済の実際はどうなっているか」の単元において,模型的な一,二の農家の経済を数量的に調べ,自分の家や,郷土の農家の経済はどんなになっているだろうかに目を向け,これを数量的に知るには,財産の台帳を作ったり,日常の金銭,物品の受け払いを帳面に記入しておく必要のあることをさとり,記帳やその整理の方法を学ぶことができる。第八学年の,単元1において,作物栽培の収入や支出を調べて,収支計算をしたことなどは,これが学習のよい基礎となるであろう。そうして,またこの単元において,生徒は,農業の経営をいっそう堅実にするにはどうしたらよいかの方法にも目を向けて,単元2以下の学習のきっかけを得るようになるであろう。
そうして,農業の経営を堅実なものにする方法として「農耕地を拡げるにはどうしたらよいか」の単元で農業経営の基礎である農耕地を平面的に拡げる方法である開墾などや,立体的に拡げる方法と考えられる土地改良を学び,更に,農地の問題にも耳を向けることができるであろう。「どんな仕組みの経営をしたらよいか」の単元においては,一定の土地を最も能率的に使用する経営を研究し,農産加工の単元においては,第二次的な生産を取り入れることによって,経営を拡げることを学ぶことができる。
以上のように経営を拡げるためにも,また,豊かな生活を営むためにも,機械や電気を適当に取り入れることは必要であるから,「機械・電気の利用」の単元において,その必要や,利用法を学ぶことができる。また「豊作と凶作」の単元においては,豊作に関連して農産物の価格のことを学び,凶作に関連して,自然の災害について今まで学んできたことをまとめたり,これから発展してその対策を考えたり,更に,農業保険のことにも及んだりして,農産物の価格や,災害の対策が,政治とどんな関係があるかをさとることもできるであろう。
「農村の生活」の単元では,農村の生産生活や,消費生活がどんなものであるかを学び,そのよい所を伸ばし悪い所を改善する方法を研究することができる。「私たちの将来」の単元では,今まで農業を学んだものが,これからいろいろな方面に分かれて進むのであるが,農業も,工業も,商業も,互に他を理解し,協力していかなければならないことをさとる。また,いよいよ実際の農業について学ぶ場合,更に学校に学ぶ場合,農業以外のいろいろな職業につく場合における希望と覚悟を新にすることができるであろう。
この学年の諸単元も,実際の指導に当たっては,その順序配列などについて具体的な計画が立てられなければならない。
将来,農業に進もうとするものや,農業に特に興味をもつものは,これらの学習のほかに,第七学年で学んだ作物の栽培や,第八学年で学んだことなども,更に深入りしてこの学年で学ぶことに関連して学ぶことができるのである。
この学年の各単元の学習に割当てられる時間は,学校によって違うであろうが,その一例をあげれば次のようである。
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1.農家経済の実際はどうなっているか。
2.農耕地を拡げるにはどうしたらよいか。 3.どんな仕組みの経営をしたらよいか。 4.農畜加工 5.機械・電気の利用 6.豊作と凶作 7.農村の生活 8.私たち将来 |
10 10 35 10 5 10 5 |
5 5 40 20 5 5 5 |
単元 1 農家経済の実際はどうなっているか
1.目 標
(2) 農業生産と家庭菜園の生産との違いについて理解する。
(3) 工業生産について理解する。
(4) 農業生産と工業生産との違いについて理解する。
(5) 農業の生産にはどんな要素が働いているかを理解する。
(6) それぞれの生産要素は,農業経営の上でどんな働きをしているかを理解する。
(7) それぞれの生産要素は,互にどんな関係をもっているかを理解する。
(8) わが国農業の特徴について理解する。
(9) 農地制度の改革について理解する。
(10) いっそう堅実な農業経営を計画するには,現在のありさまを数量的に調査する必要があることを理解する。
(11) 簡単な帳面の記入の仕方,整理の仕方を会得する。
(12) いっそう堅実な農業経営を計画するには,どんな方面に目をつけたらよいかを理解する。
2.指 導 法
ロ.企業生産の発達について研究しておく。
ハ.農地制度の改革について研究しておく。
ニ.わが国の農業の特徴について研究しておく。
ホ.郷土の農家と経済の実際について研究しておく。
ヘ.農家簿記について研究しておく。
ト.郷土の農家はどんな簿記をどの程度につけているか調べておく。
チ.郷土では簿記の結果がどんなに活用されているか調べておく。
リ.商店・会社・工場ではどんな簿記をつけているかを調べておく。
ヌ.生徒の家庭が農家か非農家か,農業的な環境はどうかなどについて調べておく。
目標(10)から(12)までの活動を一例としてあげる。なお,この単元の学習には,農地改革に関する社会科の教科書を参照する。
(ロ) 第八学年で行った作物栽培を反省し,その改善について,記録を通して具体的に話し合う。
(ロ) それぞれの生産要素を,どう取り扱えば農業の経営が合理化するか,読む,聞く,話し合う。
(ハ) 一定面積の土地当たりの生産はどんなにしたら高まるか話し合う。
(ニ) 一定の労働当たりの生産はどんなにしたら高まるか話し合う。
(ホ) 模型的農家の例にあげられたような数字的な資料を得るにはどうしたらよいか話し合う。
(ヘ) 自分の家や近所の家では,農業経営または家計について,どんなことをどんなふうに記帳しているか調べて来て話し合う。
(ト) 郷土の農業全体・郵便局・商店・銀行・会社・工揚などでは,それぞれどんな帳面を用意してどんなふうに書き入れているか。また,その経営はどうなっているか,調べる,聞く,話し合う。休暇などを利用して手伝いに行く。
(チ) 記帳の仕方を習う。
(リ) 整理の仕方を習う。
(ロ) 自分の家の記帳を習う。自分の小遣帳で書く。
(ハ) 文字を習う。
(ニ) 郷土の農業経営の特色を聞く,調べる,話し合う。
(ホ) 郷土の農業経営はどんな方向に向かって改められたらよいか話し合う,聞く。
(ヘ) 農業団体・銀行・工場・事業場等の事務の内容を調べる。
3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)
(2) 帳面の記入法・整理法をのみこんだかどうか考査する。
(3) 日常のいろいろなことを帳面につけておいて,これを事務的・能率的に処理する習慣ができたかどうか考査する。
単元 2 農耕地を拡げるにはどうしたらよいか
1.目 標
(2) 農耕地がこのように狭いことが,わが国の農業をどんなに特徴づけているかを理解する。
(3) わが国の農耕地のおよそ半分は水田であり,水田は畑といろいろな点が違うことを理解する。
(4) わが国には,開墾し得る土地がまだ相当にあることを知り,これがなぜ今まで開墾されなかったか,どうしたら開懇できるようになるかを理解する。
(5) 開墾する土地の地力の見分け方を会得する。
(6) 開墾の仕方を会得する。
(7) 開田の方法を会得する。
(8) 高原の開発について理解する。
(9) 土地改良をすることも,耕地を拡げた場合と同じ結果になることを理解する。
(10) 排水の効果を理解し,その方法を会得する。
(11) 床締めの効果を理解し,その方法を会得する。
(12) 客土・焼土の効果を理解し,その方法を会得する。
(13) 耕地整理の必要を理解し,その方法を会得する。
(14) 農耕地の交換分合の必要を理解し,その方法を会得する。
(15) 農耕地に関するいろいろな法規のあらましを理解する。
2.指 導 法
ロ.郷土の農耕地の現状を調べておく。
ハ.郷土の開墾適地,開墾状況,土地改良の必要な土地,土地改良状況について調べておく。
ニ.生徒の理解を助けるための図表類,その他の教具を整えておく。
ホ.実習の計画及び材料・用具を整えておく。
一例として,目標(4)から(6)までの学習における生徒の活動の例を次に掲げる。
(ロ) それらの土地はどんな土地であるか,教師から聞く。教師の示す資料や図表を見る。
(ハ) 郷土はいつごろ,どんな人々が,どんな動機で開墾にとりかかったか,聞く,話し合う。
(ニ) 郷土の農家一戸当たりの耕地面積はどれくらいあるか調べる,話し合う。
(ホ) 郷土では,耕地はもっとあった方がよいといわれているか,これで十分だといわれているか話し合う。
(ヘ) 郷土で開墾見こみ地とされている所は,どこか,どれくらいあるか,教師の示す資料を見る。家の人や村の人の話を聞く,地図を調べる。
(ロ) 最近になって開墾された土地があったら,そこは熟田や,熟畑とどんなところが違うか,どんな経営をしているか,将来の見通しについてはどういわれているか,調べる,話し合う。
(ハ) 現在開墾が行われている土地があったら,その土地はどんな土地か,土質・傾斜・日あたりや,人家からの距離はどうかを調べて,話し合う。また,その土地が今までほうっておかれたのはなぜか,調べて話し合う。農地改革に関する社会科の教科書を読む。
(ニ) まだ開墾されていない土地の地力はどんなことで判断したらよいか,教料書を読む。教師や,家の人,村の人に聞く,話し合う,調べてみる。
(ホ) 耕地の傾斜や,水の便は,農業経営とどんな関係があるか教科書を読む。教師に聞く。
(ヘ) 郷土の開墾見込み地とされているところを見に行く。本当に開墾して経営して行くことができるのかどうかを聞く,話し合う。
(ト) 学校で開墾するのに都合のよい土地を探して,その土地の環境を調べてみる。開墾して経営することができるかどうかを話し合う。
(チ) 開懇の方法・順序,開墾にあたって注意しなければならないことなどについて教科書を読む,教師に聞く,模範的な仕事の仕方を見る。わからない点を聞いてみる。
(リ) 開懇をする。
(ロ) 自分の家に開墾するような土地があったら手伝う。
(ハ) 近くに,現在,開墾しているところがあったら見に行く,手伝う。
(ニ) 以上の体験の結果を話し合う。
3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)
単元 3 どんな仕組みの経営をしたらよいか
1.目 標
(2) 経営の組織について理解する。
(3) 農業の管理の方式について理解する。
(4) 農業の経営は,労力の多少によってどんなに違うかを理解する。
(5) 農業の経営は,農耕地の多少や地力によってどんなに違うかを理解する。
(6) 農業の経営は,資本の多少によってどんなに違うかを理解する。
(7) 農業の経営は,経営する人の技能によってどんなに違うかを理解する。
(8) 適当な農業経営の仕組みを研究したり,計画したりすることに興味を持つようになる。
2.指 導 法
ロ.養蚕を中心とした経営,乳牛その他の家畜を中心とした経営,果物を中心とした経営,野菜を中心とした経営,花を中心とした経営などを,書物で読んだり,見学したりして,それらの経営が,どんなにその土地の環境に適応しているか,またどんなにして発達したかを研究しておく。
ハ.郷土の農業経営は,どんな特徴を持っているかを研究しておく。
ニ.郷土の農業経営は,近年どんなに変わって来たか,また,どんなに変わらなければならないといわれているか研究しておく。
ホ.郷土の特色のある農業経営,模範的な農業経営を,見学したり,話を聞いたりして研究しておく。
(ロ) 農業経営の移り変わりの様子を話し合う。
(ハ) 仕組の違いはどんな原因でおこるか話し合う。
(ニ) いろいろな型の経営特徴について教科書を読む。
(ロ) それらの経営の実際について教師の話を聞く,映画を見る,写真を見る,参考書を読む。
(ハ) それらの経営がどうして発達したか,教師の話を聞く。
(ニ) できるだけいろいろな経営を見学する,聞く,手伝う。休暇などには,住みこんで手伝う。ことに次のような点を調べる。
《イ》 家畜や農産加工などを取り入れて多角形経営をしているものがあったら,その結果を調べる。
《ロ》 機械を取り入れて失敗したものがあったら,その原因を調べる。
《ハ》 機械を取り入れて成功しているものがあったら,そのわけを調べてみる。
《ニ》 協同作業や協同経営をやっているものがあったら調べる。
《ホ》 自給自足経営をじょうずにやっているものがあったら調べる。
《ヘ》 いろいろな農家の自然的事情や経済的事情を調べて比べてみる。
これらの結果を報告し,話し合う。
(ホ) 郷土は,他の地方と比べて,自然的,経済的にどんな特色を持っているか話し合う,聞く。
(ヘ) 郷土ではどんな経営が行われたらよいかを話し合う。
(ト) 農耕地の広い狭いによってどんな経営が考えられるか話し合う。
(チ) 家族の人員の多少によってどんな経営が考えられるか話し合う。
(リ) 将来の理想をえがきながら,自分の家の農業経営,または他の地方の農業経営・協同経営・兼業的な農業経営など,その好むところの計画を立てて発表し,話し合う。
(ロ) 自分が将来選ぼうとする職業について,その基礎的な事項を調べ,自分の理想をえがきながら計画を立てる。互に発表し,話し合う。
3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)
単元 4 農 産 加 工
1.目 標
(2) 農産加工を行うにあたっては,経済的な運営ができるように十分くふうしなければならないことを理解する。
(3) 精穀の種類や加工法,製品の組成,用途などについて理解し,加工の技術を会得する。
(4) 穀粉の種類や加工法,製品の組成,用途などについて理解し,加工の方法を会得する。
(5) めん類の種類や製造法,製品の組成,用途などについて理解し,作り方を会得する。
(6) パンの種類・製造法,こうぼの作用,製品などについて理解し,作り方を会得する。
(7) でんぷんの種類と性質・製造法・製品,組成などについて理解し,作り方を会得する。
(8) 水あめの原料・製造法,麦芽の作用,製品,用途について理解し,作り方を会得する。
(9) とうふの製造法,にがりの作用,製品,組成について理解し,作り方を会得する。
(10) なっとうの製造法,組成について理解し,作り方を会得する。
(11) びんづめとかんづめの原理,びんづめ・かんづめの種類とその用途・つめ方について理解し,作り方を会得する。
(12) こうじの種類・製造法・製品などについて理解し,作り方を会得する。
(13) 甘酒の原料・製造法・製品などについて理解し,作り方を会得する。
(14) みその種類・製造法・熟成・製品・組成について理解し,作り方を会得する。
(15) しょうゆの原料・製造法・熟成・製品について理解し,作り方を会得する。
(16) アミノ酸しょうゆの原料・製造法・製品について理解し,作り方を会得する。
(17) 牛乳の性質・組成・殺菌法について理解し,殺薗の仕方を会得する。
(18) 乳製品の種類・製造法について理解し,作り方を会得する。
(19) 豚肉製品の種類・製造法・製品・組成について理解し,作り方を会得する。
(20) なめし皮の原料による種類・加工法・製品について理解し,作り方を会得する。
(21) ホームスパンの原料・加工法について理解し,作り方を会得する。
(22) 物をたいせつに利用する態度,研究的にくふうする態度を身につける。
2.指 導 法
ロ.郷土の農産加工法について研究しておく。
ハ.郷土における各種の農産加工が,農業経営上どんな意義を持つかについて研究しておく。
ニ.それぞれの農産加工についての生徒の経験知識を調査しておく。
(ロ) 農家ではどんな種類の農産加工を行っているか,実際について調べる,話し合う。
(ハ) それはどんな目的で行われているか調べる,話し合う。
(ニ) 農産加工を行うことによって農業経営はどんなになったか,農家の経済や生活はどんなになったかを調べる,話し合う。
(ホ) 農産加工を経営に取り入れるには,どんな困難があるか,また,その困難を打開するにはどうしたらよいか話し合う。
(ロ) できるだけ学校で実習する。
(ハ) 実習の結果を話し合う。
(ロ) 体験したり,見たり聞いたりした結果は,まとめて書きとめておく。
(ハ) 報告や論文を書く。
3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)
単元 5 機械・電気の利用
1.目 標
(2) 農機具の種類を理解する。
(3) 農機具と農業経営の関係を理解する。
(4) 農業用石油発動機の構造・作用のあらましを理解する。
(5) 農業用石油発動機の取扱方を会得する。
(6) 農業用電動機の構造・作用のあらましを理解する。
(7) 農業用電動機の取扱方を会得する。
(8) 動力を伝えるしかけとその作用を理解する。
(9) 動力の伝え方を会得する。
(10) 電気の配線について理解する。
(11) 電熱温床について理解する。
(12) けい光燈(螢光燈)について理解する。
(13) 注意深く,正確に行動する態度を身につける。
(14) 機械・電気に親しむようになる。
2.指 導 法
ロ.常に新しい研究に注意する。
ハ.郷土の農器具の利用状況を調査研究しておく。
ニ.農機具に関する生徒の経験知識を調べておく。
ホ.農機具の取扱方,故障の見分け方,修理の仕方などの実習計画を立てる。
(ロ) 郷土の農機具を種類分けして,大農具はその数を調べる。
(ハ) 能率の高い機械はいつごろから取り入れられるようになったか。またこれを取り入れた結果,農業の経営や農家の生活はどんなに変わったか,ことに能率の高い農機具を取り入れて成功した実例,失敗した実例を調べて話し合う。
(ニ) 最近,ことに,どんな傾向が見られるか,調べて話し合う。
(ホ) 機械を取り入れたことによって,浮いた労力はどの方面に使われているか調べる,話し合う。
(ヘ) 機械を取り入れたことによって,土地当たりの生産は向上したか,低下したか調べる,話し合う。
(ト) 機械の価格はどれくらいか,何年使えるか,これを運転するのに,費用はどれくらいかかるか調べる。これを取り入れることによって,生産費はどうなるだろうか話し合う。
(チ) 機械や電気を取り入れたことによって,郷土の農業経営や,農民の生活はどんなになったか調べる,話し合う。
(リ) 機械は一年間に幾日ぐらい使われているか。工業機械に此べてどうか調べる,話し合う。
(ヌ) 機械を使う日数が少ないと,生産費はどうなるか話し合う。
(ル) 機械はどんな時に取り入れられるか,どんなふうに取り入れたらよいか話し合う,教師に聞く。
(ヲ) 小作料が安くなり,労働賃金が高くなると,機械を農業経営に取り入れることは,楽になるか,むずかしくなるか話し合う。
(ワ) 機械や電気を農業に取り入れることについて,農家の若い人はなんといっているか,老人はなんといっているか聞いてみる,話し合う。
(ロ) 石油発動機はどんなところに故障が起りやすいか調べる,聞く。その故障はなぜ起るか,聞く,調べる。
(ハ) どんな点に注意して取り扱ったらよいか話し合う,聞く。
(ニ) 代わり合って運転してみる。気づいたことを話し合う。
(ホ) 農家ではこれをどんなふうに使い,どんなふうに保存しておくか,見る,聞く,話し合う。
(ヘ) 電動機,動力の伝え方,作業機その他電気器具・配線などについてもほぼ同様な活動をする。
(ロ) 自分の家や近所の家のものを借りて習う。
(ハ) 見たこと,聞いたこと,調べたこと,話し合ったことをまとめて,書きとめておく。
(ニ) 報告や論文を書く。
(ホ) 農機具の製作工場を見学する。できる仕事があったら手伝う。
(ヘ) 農業用以外の機械,例えばミシンなどについても研究し,報告して話し合う。
3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)
(2) 械械・電気のしかけや,働きについての理解の程度は,分解・組み立てや,その他の取扱方から判断すると同時に,実物について問題を出して答えさせたり,行わせたり,あるいは図解させたりして考査する。
単元 6 豊 作 と 凶 作
1.目 標
(2) 自然の災害を防ぐには,どんな方法があるかを理解する。
(3) 農業保険の制度は,どんな目的で作られているか,またどんな働きをしているかを理解する。
(4) 農産物の,価格はどんな原因でどう変動するかを理解する。
(5) 収益減少の危険は,豊作の年にもあることを理解する。
2.指 導 法
ロ.郷土の農業上の自然の災害にはどんなものがあるか,またそれぞれの災害はどんな特徴を持っているかを研究しておく。
ハ.郷土の災害の様子を,書物を読んだり,話を聞いたりして研究しておく。
ニ.郷土には災害対策としてどんなことが行われているかを,見学したり,話を聞いたりして研究しておく。
ホ.農業保険の規則を研究しておく。
へ.郷土ではどれくらい農業保険が普及しているか,またこの普及によってどんな効果があったか調査研究する。
(ロ) どんな原因で豊作になったり凶作になったりするか話し合う。
(ロ) いろいろな災害を種類分けする。
(ハ) いろいろな災害対策を種類分けする。
(ニ) 災害対策を徹底させるにはどうしたらよいか,話し合う,聞く。
(ホ) 災害を防ぐ上に協同がどんなに必要かについて話し合う,聞く。
(ヘ) 農業保険の制度について読む,聞く,調べる,話し合う。
(ト) 農産物が余ったら,その価格はどうなるか話し合う。
(チ) 豊作は常に農家の経済を豊かにするかどうか話し合う。
(リ) 農産物の価格の変動は他の物価の変動とどんなに違うか話し合う。
(ロ) 過去の作がらを調べて報告を書く。
(ハ) 災害対策について論文を書く。
3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)
単元 7 農 村 の 生 活
1.目 標
(2) 農村の生活の特徴はどこから起るかを理解する。
(3) 農村には農村らしい豊かな生活があり,都市には都市らしい豊かな生活があることを理解する。
(4) 農村の衣食住は,自給自足の部分が大きいことを理解する。
(5) 自給自足による豊かな生活を生み出すことに目を向けるようになる。
(6) 農村の衣食住の改善に熱意を持つようになる。
(7) 農村の保健衛生の現状を理解し,これが改善について考えるようになる。
(8) 農村の生産生活にも,消費生活にも,協同の力に待つべき点が多いことを理解する。
(9) 農村の交際や協同について,よいところ悪いところをはっきりさせ,よいところを伸ばし,悪いところを改めようとするようになる。
(10) 農村文化の現状を理解し,正しい発達を望み,これが改善に熱意を持つようになる。
(11) 農業はどんなにして発達したか,またこの発達を助けるものにはどんな機関があるかを理解する。
2.指 導 法
ロ.農村生活の改善について研究しておく。
一例として目標(1)から(6)までの学習における生徒の活動の例を次に掲げる。
(ロ) 農村の生活は,都市の生活となぜ違うだろうか話し合う。
(ロ) 衣食住について,どんなものを自給自足しているか,どんなものを買い入れているか,調べる,話し合う。
(ハ) 食物は,どんなものを,どんなにして,どれくらいたべているか,調べる,話し合う。
(ニ) 食生活はどんな点を改めたらよいか,考える,聞く,話し合う。
(ホ) 協同したら,食生活をもっと合理化することができはしないだろうかを話し合う。
(ヘ) 衣服の改善について調べる,読む,聞く,話し合う。
(ト) 住宅の改善について調べる,見学する,読む,聞く,話し合う。自分の家の台所や,かまど・湯殿・便所などの改善を研究し,設計図を作る。実際に行う。また,将来の理想を考えて,自分の家やその他の建物・庭・野菜畑などの設計図を作る。
(ロ) 研究したことの報告書を書く。
(ハ) 農村生活のある部分の改善について論文を書く。
(ニ) 自分たちでできることはやる。
3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)
単元 8 私 た ち の 将 来
1.目 標
ロ.どんなことを研究・くふうしたらよいかを具体的に考えるようになる。
ハ.農業の改良や,農村生活の改善について,希望と熱意を持つようになる。
ニ.どんな方法で研究・くふうを続けていったらよいかを知る。
ロ.農業で身につけた,積極的に根気よく働く態度をもって,それぞれの職場に身心を打ちこもうとするようになる。
(4) すべての産業や職業は互に調和を保って発達しなければならないことを理解する。
ロ.青年の行った興味ある実例を調べておく。
ハ.農業に熱心な人の言行を調べておく。
ニ.郷土の青年の読書や,研究の状況について調べておく。
ホ.一人一人の生徒の環境を調べておく。
一例として,目標(1)の学習における生徒の活動の例を次に掲げる。
(ロ) 学校を修了後は,どんなにしてその研究や学習を続けることができるかを話し合う。
(ロ) 青年の研究・勉学の事績について本を読む。
(ハ) 自分の学校修了後の生活について家の人と話し合う。
(ニ) 自分で今後行いたいと思う研究や勉学を,どんな方法で進めたらよいか,教師や家の人などに相談したり,生徒どうしで話し合ったりする。
(ホ) 修了後の日常の仕事・研究・勉学についての注意を教師から聞く,本を読む。
(ヘ) 農業においては,他人の研究を自分の家の経営に取り入れる場合にも,いろいろなくふうを必要とすることについて,教師から聞く。
(ロ) 先輩をたずねて話を聞く。試験場・学校などを見学する。
3.学習結果の考査
ロ.三箇年間を通じて,どんなことを最もよく理解し,どんな態度が身についたかについても考査する。また,どんな点の学習が徹底しなかったか,それはなぜかも判断する。