第七章 第八学年の農業指導

 

 第八学年は,「土地・労力・資本はどんなにしたら合理的に使えるか」に指導の重点をおき,土地利用,労力の調整,肥料の活用の面から農業の指導を進めることになる。そうして,土地利用については,「土地をよく利用するにはどうしたらよいか」の単元で,広く国土全体の適地適作に目を注いだり,一農村の何枚かの田畑や,宅地あるいは,一枚一枚の田畑の各部分の合理的な利用を考えたり,郷土の作物栽培の状態を調べたり,作物を栽培する順序を研究したりした後,これらのことや第七学年で学んだことの応用として,生徒が一定の田畑を受け持って,自ら作物を選んで栽培し,更にれを販売し,収入や支出を記帳しておいて収支計算をしたり,研究の報告を書いたりするというようなことが考えられる。そうして,選択の時間にも農業を学ぶような生徒は,この応用の部分を大きくして,いろいろな作物を学校や自分の家で作ることになろう。また,国際的あるいは国内的な適地適作から発展して工芸作物を学んだり,宅地利用というようなところから発展して,花の栽培や庭の見方や,手入れの仕方などに及ぶことができるであろう。

 労力の調整については,農業の仕事が季節によって忙しすぎたり,ときには失業したといってもよいほどひまになったりすることに目をつけ,「農業の繁閑を調節するにはどうしたらよいか」の単元を掲げて労力のでこぼこをならすことを学ぶと同時に,労力当たりの生産を高めることの必要にも目を向けることができるであろう。

 次に,資本といっても,すべての資本の合理的利用というようなことを,突然持ち出しても,生徒の重荷になるから,大部分はむしろ第九学年にゆずり,ここでは最もわかりやすい肥料だけを取り上げ,土地を受け持って,生徒の自由な計画で作物を作ることと関連して「肥料をむだなく使うにはどうしたらよいか。」の単元で,与えられた金肥を活用し,自給肥料を増産してこれをむだなく使うことを研究するわけである。

 そうして,第七学年に始めた仕事で,第八学年に持ち越している仕事も第八学年の学習に結びつけて,ねぎの植え付けは土地利用の面から,さつまいもの植え付けは労力と肥料の面から,むぎのとり入れは労力の面からみて「経営と栽培技術とはどんな関係があるか。」の単元を学ぶことになる。

 また,土地の利用価値を高めたり,他の仕事の割合にひまな時期の労力を活用したりする方法として養蚕を学び,農繁期の労働の能率を高め,農閑期の労力を活用するとともに,ききめの多い自給肥料を生産する手段としての「養畜」を学び,農閑期の労力を活用し,自給肥料となる下草を供給する。「森林」にはいり,林木の成長量を増すことのたいせつなわけを学び,更に,花と庭や畜産などに関連して,農閑期の労力を活用するのに役立つ「農業工作」を学ぶことができるのである。

 単元の第一が終って第二,第二が終って第三にはいるというように,端から片づけてゆくことのできないのは第七学年も同様であったが,それでも第七学年はだいたいの順序があった。しかし,第八学年のこれらの単元は,その多くが,学年の初めから終りまで平行して学習することになるのであろうから,その取り扱いについては,それぞれの学校で計画を立てなければならない。

 また,これらの諸単元の学習時間の配当も,地方の事情,学校の設備,及び必修の時間だけ学習する場合,選択の時間も加えて学習する場合などによって違うのは当然であるが,各学校がそれをきめる参考までに,数例を掲げれば次のようである。
 
単  元
農村1
農村2
山 村
都 市
1.土地をよく利用するにはどうしたらよいか

2.農業の繁閑を調節するにはどうしたらよいか

3.肥料をむだなく使うにはどうしたらよいか

4.経営と栽培技術とはどんな関係があるか

5.養  蚕

6.養  畜

7.森  林

8.農業工作

30%

10

10

10

10

20

20%

10

10

15

15

20

20%

10

30

20

20%

10

15

15

25

 

単元 1 土地をよく利用するにはどうしたらよいか

 この単元の学習は,その発展として学習する「工芸作物」や「花と庭」を発展的な別の小単元と考えた方が好都合であろう。

1.目  標

 

2.指 導 法

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)  

単元 2 農業の繁閑を調節するにはどうしたらよいか

1.目  標

 

2.指 導 法

 

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)

 

単元 3 肥料をむだなく使うにはどうしたらよいか

1.目  標

 

2.指 導 法

 肥料についての指導は,第七学年に作物の栽培に直接関係づけて,いろいろなことを学び,この単元で肥料としてまとめて理論的に学んだ方が都合のよいことを学び,更に,この後その応用に類したことを学ぶような仕組みにするのが便利であろう。したがって,教師はいろいろな準備をしておいて,生徒の理解を助けてやる必要がある。

 

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)

 

単元 4 経営と栽培技術とはどんな関係があるか

1.目  標

 

2.指 導 法

 

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)

 

単元 5 養  蚕

 養蚕の盛んな地方では,実習や調査を中心として学習を進めることができるであろうが,養蚕の実際に行われていない地方では,説明あるいは問題解決を中心とした学習となるであろう。

1.目  標

 

2.指 導 法

 

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)

 

単元 6 養  畜

 一口に養畜といっても,その範囲は広く,ある学校では,うさぎ・にわとり・やぎを飼育する程度であるかもしれないが,ある学校では,役畜としての牛馬はもとより,乳牛までも実際に飼育するようなことがあろう。したがって,この学習の様子も学校によって違い,学校で飼っているものについては,実習を通して学習することができるが,その他のものは,見学や説明によって学習することになろう。

1.目  標

 

2.指 導 法

 

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)

 

単元 7 森  林

 学校林がある場合は,もちろん実習を中心として学習することができるであろうが,その他の場合でもなるべく公有林などを使って実習することが望ましい。そのような都合のつかない学校では,観察や説明及び問題解決を中心として進められるであろう。

1.目  標

 

2.指 導 法

 

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)

 

単元 8 農 業 工 作

1.目  標

 

2.指 導 法

 

3.学習結果の考査(一般編第五章,この編第五章参照)