第五章 学習結果の考査

 

 学習指導要領一般編第五章の「学習結果の考査」に述べている事がらは,農業科の学習結果を考査するに当たっても極めてたいせつなことである。これを更に,農業の立場から,技能・理解及び知識・態度について,具体的に立ち入ってみると,次のようなことが考えられるであろう。

1.技能について

 

2.理解や知識について

 これまで,一般の教育がそうであったが,ことに農業の教育において,単なる知識が重んじられすぎていた。実習・実験も往々体験を通して知識を教えこむ方便に終ったような場合も少なくない。そこに農業の学習が興味のないものとなったり,発展性のないものとなる理由があった。術語の定義や作物の品種名をおぼえたり,うね幅・株間は何センチメートル,肥料は何ほどと暗記したりするよりも,むしろ,これらのうね幅・株間・品種などと,気候・土地や栽培の季節,栽培技術・病虫害などの関係,即ち品種やうね幅・株間などに対する見方・考え方をしっかりと理解することの方が,どれほど役に立ち,どれほど興味ある学習ができるかわからない。いいかえれば,農業の教育においては,量的な事がらの暗記よりも,質的な事がらの理解の方がはるかにたいせつであって,農業を営む場合には,量的な事がらは,その土地の農業の実際とか,一般的な標準のようなものから得て,これを質的な理解によって,その土地,その経営に最も適合したものに変えていくことができればよいであろう。したがって,学習結果の考査もこのような立場に立って行われる必要がある。しかし,理解といっても知識の外にあるものではなく,知識あっての理解であるから,さつまいもの貯蔵温度は何度ぐらいとか,いもち病菌の繁殖の適温は何度ぐらいであるとか,わがの国の耕地面積はどれくらいあるとかいうようなことは,知識として記憶していることも有意義であるから,このような知識の有無・正否を調べることもむだではない。

 

3.態度について