第九章 第四学年の図画工作指導
(一) 指導目標
2.要点をつかんで速くかく速写の練習をさせる。
3.クレヨンによる重色に習熟させる。
4.形体・色彩の美しさを味わわせ,写生の風味を深める。
(二) 教材例
花・果物・野菜・箱類・つぼ・花びん・植木ばち・その他の器物・おもちゃ・など。
2.風 景
春の景色・夏の景色・秋の景色・校庭風景・など・
3.建築物
農家・店・校舎の一部・など。
4.動 物
こん虫・鳥(はく製)など。
5.人 物
友達の顔・動作している人の速写・など。
(三) 描写材料
クレヨン・鉛筆を主とする。
(四) 指導方法──児童の活動
2.諸要素を総合した表現練習をする場合と,形と色との表現練習をする場合には主としてクレヨンを用いて描写させ,形と明暗・陰影との表現を,分解的に練習する場合と,速写の練習をする場合は,主として鉛筆を用いて描写する。
3.遠近による形の変化,陰影による明暗や色彩の変化などに気をつけて見てかく。
4.クレヨンによる混色の工夫をしたり,鉛筆やクレヨンで,自由に曲線や直線をかく練習をしたり,鉛筆で濃淡を自由にかく練習をしたりする。
注意 1.児童の眼が高まるにつれて,いろいろな描法の練習をさせなければならないが,そのためには,児童の環境として豊富な参考作品を提供したり,児童の作品中によい傾向が見えて来たとき見のがさずに推賞したりして,全体の児童に研究的な態度を作っていくことが大切である。
注意 2.写生の指導には,全教授時数の15%ないし20%くらいを当てるのが適当であろう。
(五) 結果の考査
「一対比較法」及び次のような「記述尺度」による。
写生の興味 |
非常に興味をもつ |
興味をもつ |
普 通 |
あまり興味をもたない |
興味をもたない |
形 |
非常に正しい |
正しい |
普 通 |
あまり正しくない |
不正確 |
色 |
非常にこまかい変化をかく |
こまかい変化をかく |
普 通 |
変化に乏しい |
単調でわるい |
明 暗 |
非常にこまかい変化までかく |
こまかい変化をかく |
普 通 |
あまり明暗をかかない |
ほとんど明暗に注意しない |
総合表現力 |
非常にうまい |
う ま い |
普 通 |
ま ず い |
非常にまずい |
(一) 指導目標
2.計画的に表現する態度を養う。
3.表現意欲を高める。
4.絵画的な表現とともに説明的な表現を練習させる。
(二) 教材例
児童の生活・童話・社会事象等,前学年に準ずればよいが,題材の範囲を一層ひろめて,絵日記や産業に関係あるものなどもかかせ,また,名所図絵風のものや,説明図的なものの描写も試みさせる。
(三) 描写材料
クレヨンを主とし,鉛筆・毛筆・墨等を補助として用いる。水絵具を使わせる研究などもするとよい。
(四) 指導方法──児童の活動
2.題材を定めてかくこともあり,任意にかくこともある。また絵画的描写をすることもあり,説明的描写をすることもあり,個人作であることも,共同作であることもある。
3.絵画的表現においては,着想・構図などのよい参考品を見たり,話を聞いたりして表現上の工夫をする。
4.説明的な表現においては,参考資料によって,描写の様式を研究して,構想をねってかく。
注意 1.記憶・想像による描写の最高潮に達する時期であるから,着想,構図などの指導に力を用い,表現意欲を高め,描写の喜びを十分味わわせなければならない。
注意 2.理知の発達に伴ない,表現が縮む傾向を示す児童があったら,スケッチなどを課して,大胆率直に表現するようにつとめさせる。
注意 3.記憶・想像による描写には,全教授時数の10%内外を当てるのが適当であろう。前にも述べたように,この学年は,記憶・想像による描写の最高潮に達する時期であるから,もっと多く課してもよいのであるが,一方において,写生による描写力を養っていかないと,あとで伸びない恐れもあるので,写生の時間の方を多くしたのである。児童の描写傾向や描写力に応じ,適宜時間の配当をしなければならない。
(五) 結果の考査
個々の作品については,「—対比較法」により,また,要所要所の教材については,「記述尺度」による。
例,童話の共同作の結果の考査
題材への興味 |
非常に興味をもつ |
興味をもつ |
普 通 |
あまり興味をもたない |
ほとんど興味をもたない |
計 画 |
非常に周到 |
周 到 |
普 通 |
少し粗雑 |
非常に粗雑 |
共同態度 |
目立ってよく共同する |
よく共同する |
普 通 |
あまり共同しない |
共同しない |
描 写 |
非常にうまい |
う ま い |
普 通 |
ま ず い |
非常にまずい |
(一) 指導目標
2.観察力を養う。
3.曲面の自由な表現練習をさせる。
4.眼と手を練らせる。
(二) 教材例
果物・野菜・花・葉・などの写生。
2.動 物
獣類・鳥類の写生。
3.器 物
各種器物の写生または構想による表現。
4.建築物
住宅・公共建物・その他の建築物の構想による表現。
(三) 指導力法──児童の活動
教師が題材を選ぶ場合もあろうが,それはなるべく避けるのがよい。
2.写生によって作る場合は,実物とよく見くらべさせて,次々に形を訂正しながら作る。
構想によって作る場合は,初めにできるだけ十分に,心の中で形の構想を練ってから,製作に着手する。
3.製作中に,時々は製作の手をやめて,写生によるものは静かに実物との比較をし,構想によるものは,出来かけのものと心の中で作り上げている想とを比べながら,更に想をねり,よい構想が生まれれば,その想によって作り進む。
(四) 結果の考査
「一対比較法」及び次のような「記述尺度」による。
製作への興味 |
大いに好む |
好 む |
普 通 |
好まない |
き ら う |
観 察 |
非常によく注意して見る |
よく注意して見る |
普 通 |
注意しない |
非常に不注意 |
構 想 |
非常に創意に富み適当 |
創意に富み適当 |
普 通 |
創意に乏しく貧弱 |
創意なく非常に貧弱 |
表現技術 |
目立ってうまい |
う ま い |
普 通 |
ま ず い |
日立ってまずい |
(一) 指導目標
2.色に対する興味を喚起し,色彩感覚を練らせる。
3.どういう色と,どういう色とを組み合わせると目立つかの実験(明視実験)をさせ,図案の指導と連絡を保って,目立つ配色と,目立たない配色との指導をする。
(二) 指導方法──児童の活動
(2) 個人的に集めることもあり,分団的に集めることもある。集めたものは袋の中に入れて,ていねいに保存する。
(3) 相当の色数が集まったとき,整理方法を相談し,集めたものを1センチか2センチ四角に切って台紙にはるようにすること。台紙にはる前に机の上に並べて,はり方を研究すること。などをきめる。
(4) 児童各自,または分団ごとに研究した方法によって,色を机の上にならべる。
(5) 児童相互に各自の整理を見てまわらせて,更にならべ方について研究を進める。
(6) 整理したものを台紙にはる。
注意 場合によっては,参考品なども見せて,結局だいたい色相と明度とに基づいてならべさせる。これらの指導は,たいへんむずかしいことのようであるが,色集めの遊戯という気持ちで行われれば,児童は非常な興味をもって学習を進める。
集めた色を系統的にならべる場合,ここでは彩度(純度)を度外視して色相と明度だけしか考えないのであるから,整然とはならべられない。また彩度を考えに入れるとしても,紙・布その他いろいろ物質上のちがいがあるから,すっきりした配列はできないので,ここでは,児童が色を扱っている間に,何か色には系統的なものがあると,おぼろげに悟ることができれば上乗であり,そこまでいかないにしても,色を扱っている間に,少しずつ色に対する感覚を練ることができれば,それでよいとしなければならない。
集めた色を配列させる場合,第三学年「いろ」の備考欄にのせておいた,有彩色と無彩色との明度の比較表のようなものを,実際の色紙で,色と色との間を相当離して作っておき,その間に,集めた色をはらせることも,一つの方法である。
2.配色の指導方法
(2) 調べた結果を報告し合い,もっとよく調べる方法はないかを研究する。
(3) 明視の実験をする。その方法は10センチ四角の色紙の中に,1センチ四角の他の色紙をはって,明度差・色相差を種々の組み合わせにとったもの多数を作り,校含の外の壁などにならべてはり,離れたところから,漸次近づいていき,中に別の色紙のあることを識別できる距離,その色相の判別できる距離,中の色紙が正方形であることを識別できる距離などを調べ,また,どんな組み合わせが,最も目立つか,目立たないかを調べる。
(4) 目立つ組み合わせ(配色),目立たない組み合わせ(配色)はそれぞれどんなところに応用したらよいかについて研究もし,調べもする。
注意 1.配色の指導は,図案の指導と,一体にして扱うがよい。したがって目立つ配色・目立たない配色は図案に適用する。
注意 2.色の明視実験をした結果,直ちに結論を下し,あとはその結論によって盲目的にそれを適用するというような態度はおもしろくない。同じ配色でも,模様の大小その他のちょっとした変化で,変わった結果を生ずることも少なくないのであるから,あまり簡単にきめてしまわないようにありたい。
注意 3.色の教材全体に,全教授時数のだいたい5%をとるのが適当であろう。
(三) 結果の考査
次のような「記述尺度」による。感覚の考査は個々の色についても行う。
色の集め方 |
非常にたくさん集める |
たくさん集める |
普 通 |
集め方がやや少ない |
集め方が非常に少ない |
整理の仕方 |
非常に系統立てて整理する |
系統立てて整理する |
普 通 |
系統が立たない |
整理できない |
色に対する感覚 |
非常に鋭敏 |
鋭 敏 |
普 通 |
鈍 感 |
非常に鈍感 |
(一) 指導目標
2.環境にある諸種の形体に心を向けて,形に対する感覚を練らせる。
(二) 指導方法──児童の活動
2.円柱・円すい・角柱・角すいに属する形をした実物にどんな物があるか話し合う。
例,円柱に属するもの──茶筒・かんずめのかん・丸火鉢・びん・湯呑み・竹の筒・輪切りにした木の幹・だいこん・など。
角柱に属するもの──人工物には非常に多い。自然物には,ある種の結晶がある。
角すいに属するもの──角形七輪・角形植木ばち・筆立て,腰掛け・など。
3.集める方法を相談する。実物で集めることは困難であるから,おもにスケッチで集めることにする。
4.どのようにしてスケッチするかを研究する。各自が研究することもあり,分団で研究することもある。
5.各自思い思いに,または,分団で形を集める。
6.相当数集まったとき,分類の方法を相談し合って整理する。整理は分団でやる。
先ず円柱・円すい・角柱・角すいに分け,更にそれを高さや幅や奥行との関係,すい体は傾斜角度を考え,分類的・あるいは順序的に整理する。
注意 1.この教材は,描画・紙工・粘土による表現などと連絡を保ち,また算数その他の教科との連関に注意して指導する。
注意 2.児童の身辺に,児童の興味をひくに足りる,いろいろな形をしたものを備えてやること,教師自身が集めてみせることなどは,児童の学習をはげます。
注意 3.スケッチは,この程度の児童では,形がだいたい解る程度のものでよい。それ以上の要求は無理である。
注意 4.円柱・円すい・角柱・角すいという名称を強いて知らせる必要はない。ただ実際にそういう形を認識させさえすればよい。
注意 5.この教材の指導には,全教授時数の5%内外を当てる。この時間の中には,実際に集める時間は含まれていない。
(三) 結果の考査
第三学年の考査に準じて行う。
(一) 指導目標
2.図案の初歩的な構成練習をさせる。
3.配色の練習をさせる。
4.工夫考案の力を養う。
5.装飾の才能を養う。
(二) 教材例
2.帯模様──上下または左右に続いている模様。これは二方連続模様ともいう。
3.当てはめ模様──ある形の中へ当てはめた模様。これは独立適合・単独模様・独立模様などといっている人もある。
4.四方続き模様──上下左右の四方に続いている模様で,これには,模様の単位が互にからみあって続いているものと,単位は一つ一つ離れながら上下左右に続けて配置されたものとある。この模様は,四方連続模様ともいう。
5.ポスター・表紙の如きものの図案。
6.目立つ配色・目立たない配色。
注意 模様はなるべく,児童の身辺にあるものの装飾に使わせる。
(三) 指導方法──児童の活動
2.二方続き模様・当てはめ模様・四方続き模様などの実例をみる。
3.どんな資料で,どんな模様をかくか,またそれを,何に利用するかについて,だいたいの計画を立てる。
4.配色について,目立つものにするか,目立たないおちついたものにするかをきめてかく。
注意 1.模様を応用させるものの例としてはポスター,帳面の表紙,時間表の装飾,紙工で作るお手玉入れ,筆箱・筆立などの装飾等が適当である。
注意 2.図案の指導には,全教授時数の5%ないし10%を当てる。
(四) 結果の考査
次のような「記述尺度」による。
図案に対する興味 |
大いに興味をもつ |
興味をもつ |
普 通 |
興味が少ない |
興味をもたない |
図案の組み立て |
非常にたくみ |
た く み |
普 通 |
ま ず い |
非常にまずい |
配 色 |
適 当 |
だいたい適当 |
普 通 |
不 適 当 |
非常に不適当 |
図案の適用 |
非常によく適用する |
よく適用する |
普 通 |
あまり適用できない |
適用できない |
(一) 指導目標
2.正確な作図をする能力を養う。
3.読図力を養う。
4.一つの平面から,立体を構成することの興味を養う。
(二) 教 材
教材は,最初紙工で作らせる筆箱・筆入れ・お手玉入れのような基本的のものからとり,ついで,自動車・電車・メガホンのようなものに及ぶ。
(三) 指導方法──児童の活動
2.何の展開図をかくかをなるべく相談によってきめる。すなわち,展開のやさしい直方体に属するものをかくか,五角形や六角形の箱のようなものをかくか,筆立のような角すいに属するものをかくか,円箱のような円柱形のもの,メガホンのような円すい形のものもかくか,もっと複雑な形をしたものをかくかなどをきめる。これは児童の理解力や描図力と児童の要求とから決まる。
3.各自が意見を述べて,方眼紙を利用してかくか,無地の紙にかくかをきめる。
これは児童の定木やコンパスを使いこなす力の如何や,かく図形の如何によって決まるが,児童がなるべく困難を感じないこと,なるべく早く,定木やコンパスの使い方に上達することも同時に考え合わされなければならない。
注意 1.展開図を指導したからといっても,どんなものを作るにも,正しく展開図をかいて作らせなければならない訳ではない。形の複雑なものを作る場合には,できかけた部分に当てて作るような,初歩的方法も,認めなければならない。
注意 2.展開図は方眼紙にかき,実際にはそれを厚紙で作るような場合には,コンパスの脚か針かで図の要所要所を写すようなことも,場合によっては認めてよい。
注意 3.三角定木・ものさし・コンパス等の用法は,たえず注意して指導する。
注意 4.この教材の指導は,紙工と一体として指導するのであるが,展開図の基本的な指導時間としては,全教授時数の5%ぐらいと考えるのか適当であろう。
(四) 結果の考査
第三学年の方法に準じて行う。
(一) 指導目標
2.工夫考案の力を養う。
3.自分に必要なものは,なるべく自分で作り,また処理する態度を養う。
4.研究的に誠実に仕車をする態度を養う。
(二) 教材例
筆箱・筆立・紙ばさみ・お手玉入れなど,いずれも適当な装飾を施す。
2.建築物の模型
室内とそれに所属する家具類・和洋の住宅・学校・各種の建築物を含む町又は村(砂箱を利用して作る)。
3.交通機関
電車・汽車・自動車など。これらはゴムなどを動力として動くように作る。
4.小刀の用法
(三) 指導方法──児童の活動
はさみだけではやりにくいこと。厚い紙を折り曲げるには,小刀で切り筋を入れなければならないこと。またまっすぐに切るには,はさみよりも小刀の方が都合がよいことなどを明らかにして,小刀の使い方を練習する。
2.参考資料を見たりして,製作題目をきめる。きめ方は各自できめることもあり,分団できめることもある。
3.製作する前に,いろいろ下図をかいて見て,形や組み立て方について計画し,適当な材料を準備し,展開図を正しくかいてから製作する。
4.製作後,作ったものが実用品である場合は,はたしてそれが実用に適するようにでき,しかも美しくできたかどうか,動くように作ったものならば,うまく動くかどうか,など作ったものに応じて,反省し,うまくいかなければ,その原因を探究して訂正する。
注意 この単元の指導には,全教授時数の15%ないし25%を当てるのが適当であろう。
(四) 結果の考査
「一対比較法」と次のような「記述尺度」とを併用する。
立体の構成力 |
非常に順序よく丈夫に組み立てる |
順序よく丈夫に組み立てる |
普 通 |
組立が粗末 |
組立が非常に粗末 |
創 作 力 |
目立って創意工夫に富む |
創意工夫に富む |
普 通 |
創意工夫に乏しい |
目立って創意工夫に乏しい |
製作技術 |
大いにたくみ |
た く み |
普 通 |
拙 い |
大変拙い |
(一) 指導目標
2.竹材のような硬い材料の使用になれさせる。
3.自分に必要なものは,なるべく自分で作りまた処理する態度を養う。
(二) 教材例
粘土細工用のへら・衣紋掛け・箸・筆巻・竹ペン・ピンセット・など。
2.おもちゃ
竹とんぼ・竹笛・水鉄砲・など。
(三) 用具・材料
女竹・しの竹・はちく・まだけ・もうそう竹などで,その土地にあるものを使う。
竹ひきのこぎり・竹割りなた・竹削り台・切り出し小刀・えぐり小刀・三つ目ぎり・ねずみ歯きり・印刀・など。
(四) 指導方法──児童の活動
2.竹は弾力に富むこと,たてに割り易いこと,表面が滑らかで美しいこと,自然に円い筒をしていること,節があることなど,竹の性質を観察し研究する。
3.竹材の割り方・切り方・削り方・みがき方なとについて研究する。
4.通当な題目を選んで製作する。
注意 竹工には,全教授時数の5%ないし10%ぐらいを当てるのが適当であろう。
(五) 結果の考査
次のような「記述尺度」によって考査する。
竹材の性質の利用 |
非常によく利用する |
よく利用する |
普 通 |
利用法が拙い |
利用法が非常に拙い |
製作技術 |
目立ってたくみ |
た く み |
普 通 |
拙 い |
目立って拙い |
(一) 指導目標
第三学年に準じ程度を高める。
(二) 指導方法──児童の活動
2.相当集まったところで,それを使って,何か有用なものや美しいものができないかを工夫して,自分や家庭で必要なもの,だれかへの贈り物などを作る計画を立てる。
3.必要な補助材料を集めて製作する。
4.完成後は,はたして自分の初めに考えた通りのものができたか,実際に役立ったか,贈り物ならば,贈られた人が喜んだかなどについて反省し,また相互に各自の計画や実際製作上の苦心を語り合い批評し合って将来の参考にする。
注意 1.児童が,常に適当な材料を集めること,気のきいた思いつきを探すことに関心をもつためには,いろいろな参考品を常に見せること,教師もそういうことに興味をもつことが大切である。
注意 2.この教材の指導には,全教授時数の5%ないし15%を当てるのが適当であろう。
(三) 結果の考査
次のような「記述尺度」によって考査する。
材料を発見し集める力 |
適当な材料を非常によく発見し,よく集める |
よく発見しよく集める |
普 通 |
なかなか発見できず,集めることも少ない |
発見し集める能力がない |
着想及び計画 |
非常に独創的で周到 |
独創的で周到 |
普 通 |
他人のあとを追い粗雑 |
独自の着想を持たず,計画もほとんど立たない |
作品は役に立つか |
大いに役に立つ |
役に立つ |
普 通 |
あまり役に立たない |
役に立たない |
(一) 指導目標
第二三学年に準じ程度を高める。
(二) 指導方法──児童の活動
2.その選んだ目的が適当であるか否かを十分たしかめ,材料と製作方法との計画を立ててから製作する。計画も製作も個人個人ですることもあり,共同作とすることもある。共同作の場合は,材料を集めることも,作ることもなるべく分担をきめて作る。
3.製作の結果について,初めに立てた目的は適当であったか,はたしてみなに喜ばれたか,また丈夫で役に立ったかなどについて反省し,批評もし合い,必要があれば訂正もする。
注意 この単元の指導には,全教授時数の5%ないし15%を当てるのが適当であろう。
(三) 結果の考査
次のような「記述尺度」によって考査する。
環境の中から作る目的を選び出す力 |
すばらしい目的を選び出す |
目的を選び出す力に富む |
普 通 |
目的を選び出す力がやや乏しい |
目的を選び出せない |
目的を達するための計画 |
非常に計画力に富む |
計画力に富む |
普 通 |
計画力が乏しい |
計画が立てられない |
作品は実際の役に立つか |
大いに役に立つ |
役に立つ |
普 通 |
あまり役に立たない |
役に立たない |
(一) 指導目標
第三学年に準じ程度を高める。
(二) 指導方法──児童の活動
材料は,陶磁器・ガラス器・金属製品・木竹製品・紙製品・糸布製品等学校に備えられたものがなければ,家庭から持って来る。
2.美術工芸品の実物又は写真・絵画・彫刻等の実物または写真・複製品などを見て,その美しさを味わい感想や所見を述べる。
注意 1.工芸品や美術品を味わうことは,むしろ理解ではなく,度々それに接することによって,自然にできてくるものであるから,計論させたり,感想を述べたりさせるときも,理論に流れないように注意し,感受性をするどくすることに重点をおかなければならない。
注意 2.児童に見せる美術品は,価値の高いものでなければならないが,児童の興味をひく写実的な解りよいものでなければならない。
注意 3.鑑賞のために特に時間を設けて指導することもよいが,この程度のうちは,他の教材の指導に附帯して,工芸品や美術品を見せたり,教室に掲げておいて,常に見せたりすることを主とするのが適当であろう。
(三) 結果の考査
「並立比較法」「順位評価法」などを,適宜採用する。