2.事物を注意して見る習慣を養う。
3.自由な表現練習をさせる。
4.眼と手を練らせる。
砂遊び・おにごっこ・汽車ごっこ・石けり・ぶらんこ・スキー・スケート・雪遊び・など。
2.子供や大人が仕事をしているところ。
いもほり・虫とり・おてつだい・教室における勉強・田植え・稲刈り・など。
3.家庭・学校・社会の行事。
ひなまつり・五月の節句・七夕・盆おどり・クリスマス・遠足・運動会・など。
4.樹木。
5.簡単な景色。
6.交通機関。
自転車・自動車・電車・汽車・船・など。
7.想像による描写。
クレヨンを主とし,鉛筆を補助材料として使う。
色紙を描写材料として,それを切ったり,ちぎったりしたものを,はりつけて表現することも,試みさせる。
(四) 指導方法──児童の活動
児童の活動は児童の状態によりだいたい次のようになる。
2.全学級が一団となるか,分団に分かれるかして,その団の話しあいによって,描写題目をきめてかく。
3.児童の生活経験を土台にして教師の選んだ題目によってかく。
4.はじめに,着想の参考となる問答をしたり,話をしたり,参考作品を見たりして,十分想を練ってから描写に着手する。
5.児童がまずかく。その後,教師が批評・鑑賞を兼ねて,適当な指導をし,次の描写の助けとする。この方法は,児童の表現意欲が盛んで,早く描写に着手したがっているときに採用する。
6.題目を前以ってきめておき,それについてあらかじめ考えたり観察したりして,それを整理してからかく。
注意 1.題目は「遊んでいるところ」 というような広い内容を持つものであることもあり「ぶらんこ」「石けり」などのように狭い内容を持つものであることもある。
注意 2.全くの想像により自由に感情のはけ口を求めさせるような表現もあってよい。
注意 3.この指導単元には,全学年にわたり,適当な時期に,全教授時数の20%ないし30%ぐらいを当てるのが適当であろう。
注意 4.社会科・理科などと,よく連絡を保って指導する。
2.全作品を一括して,次の「記述尺度」によって考査する。
|
描くことが
非常に好き |
好 き | 普 通 | あまり好ま
ない |
さっぱり好ま
ない |
|
非常によく
注意して見る | よく注意し
て見る |
普 通 | あまり注意
しない |
不 注 意 |
|
非常に多方面
である |
多方面であ
る |
普 通 | 狭 い | 非常に狭い |
|
極めてたくみ | た く み | 普 通 | 拙 い | 極めて拙い |
|
目立って
器用 |
器 用 | 普 通 | 不 器 用 | 目立って
不器用 |
2.自然物や人工物の美しさを味わわせる。
3.写生の趣味を養う。
4.眼と手を練らせる。
たんぽぽ・チューリップ・あさがお・ひまわり・きく・など。
2.果物・野菜
きゅうり・なす・トマト・りんご・なし・かき・だいこん・かぶ・さつまいも・など。
3.簡単な器物・おもちゃ
色が美しくて,形の単純なもの。
クレヨンを主とし,鉛筆を補助材料として使う。
色紙を描写材料として,それを切ったり,ちぎったりしたものを,はって表現させることもよい。この方法は,形や色を,大づかみに表現させるに適している。
(四) 指導方法──児童の活動
この学年の児童は,写生といっても,モデルと画面とをよく見くらべてかくような能力は,まだ発達していない。最初に見た印象によってかくことが多く,結果から見て,記憶によってかく場合と,大差のないものとなることが多い。
児童の活動は,次のようになることが多い。
2.モデルと,児童各自の写生する位置とをきめ,観察点を話しあい,最初に十分な観察をして,要点をとらえてかく。
3.筆をとる前に,画面のどの辺に,どのくらいの大きさにかくかを考える。
場合によっては,指先で,画面にだいたいの当たりをつける。
4.描いている途中でも,なるべく,モデルと描いているものとを見くらべる。
5.できた作品は,たがいに批評し合い鑑賞する。
注意 1.写生はだいたい一学期の終りか,二学期のはじめごろから始めるのが適当であろう。
注意 2.この単元には,だいたい,全教授時数の,5%ないし10%ぐらいを当てるのが適当であろう。
「—対比較法」及び次のような,「記述尺度」による。
|
くり返して非常によく観察する | よく観察する |
|
あまり観察しない | ほとんど観察しない |
|
極めてのびのびと豊かである | 豊かである |
|
縮んでいる | 縮んで極めて貧弱である |
|
目立って器用 | 器 用 |
|
|
目立って不器用 |
2.粘土による表現への興味を喚起する。
3.事物を注意して見る習慣を養う。
4.眼と手を練らせる。
5.清潔の習慣を養う。
きゅうり・なす・トマト・りんご・かき・だいこん・かぶ・さつまいも・など。
2.簡単な器物
さら・花びん・お勝手道具・はこにわの道具・など。
3.動物
さかな・ことり・かめ・うさぎ・など。
4.児童の想像によって自由に作らせる。
粘土による表現は,表現材料が変わるだけで,表現の態度とか,気持とかは,描画とあまり変らない。
児童の活動は,だいたい次のようになることが多い。
2.用具・材料の扱い方を工夫する。
3.指導を受けて作り方を工夫する。
4.自由に作る。このとき,用具・材料の整とんや扱い方を工夫する。
5.できた作品は,適当なところにならべて,批評・鑑賞する。
6.あとしまつをする。
注意 この単元には,だいたい全教授時数の10%ないし15%ぐらいを当てるのが適当であろう。
「一対比較法」により,また次のような「記述尺度」による。
|
大いに興味を持つ | 興味を持つ |
|
あまり興味を持たない | 興味を持たない |
|
よく注意して見る | 注意して見る |
|
あまり観察しない | ほとんど観察しない |
|
物の形を非常によくとらえて作る | 物の形をよくとらえて作る |
|
拙 い | ほとんど形を成さない |
|
机や着物を少しもよごさない | 机や着物をよごさない |
|
机や着物なよごす | 机や着物をたいへんよごす |
(しろ・はいいろ・くろ・を総称して無彩色といい,無彩色でない色を有彩色という)
2.色に対する感覚を練り,明確な認識を持たせる。
色名と,実際の色とを,関係的に会得していない児童があれば,教師は訂正指導する。
2.色名をいってもらって,その色を,色票の中から選び出し,誤っている場合は,訂正してもらう。
3.標準色票以外の色紙や,絵画その他の色について,それらの色相と,標準色票の色との異同を比べる。
注意 1.有彩色十一色,無彩色三色を,一時に提示する要はなく,児童の知っている程度に応じて,幾つかに区切って提示する。
注意 2.この有彩色十一色と無彩色三色とを,確実に認知させることは,第二学年の終りまでにできればよいのであるから,急がずに,何度もくり返して,一歩一歩確実に会得させる。
注意 3.この単元の指導には,全教授時数の5%内外を当てるのが適当であろう。なお,その時間は,必ずしも一時間単位のまとまった時間のみを使わないで,他の単元の指導のはじめや,終りの時間を利用したり,他の単元の指導につけ加えたりして,短時間ずつ回数多く,反復指導する方が効果がある。
次の例のような「組み合わせ法」によって考査する。
標準色の幾つかがある風景画(その他の絵でもよい)を示して,物の色と,色の名とを,線で結びつけさせる。
はなのいろは みどり
いえのかべのいろは はいいろ
いわのいろは きだいだい
のはらのいろは あお
きのいろは だいだい
みちのいろは しろ
やねのいろは くろ
きいろ
くものいろは あおむらさき
あおみどり
こどものきもののいろは むらさき
きみどり
従来の「日本標準規格」「臨時日本標準規格」は,終戦後「日本規格」の総称のもとに,各産業分野にしたがって,十数部門にわたる部門規格がつくられ,色の規格は「日本化学規格」に所属することになった。
2.従来,国民学校で,無彩色中の「ねずみいろ」とよんでいたものを,規格では,「はいいろ」とよぶことになっているので,それに従うことにした。
3.「日本化学規格—0503」には,有彩色純色を次の24色相採用している。
あか・だいだいあか・あかだいだい・だいだい・きみだいだい・きだいだい・だいだいき・きいろ・みどりき・きみどり・きみみどり・みどり・あおみみどり・あおみどり・みどりあお・あお・むらさきあお・あおむらさき・あおみむらさき・むらさき・あかみむらさき・あかむらさき・むらさきあか・むらさきみあか。
この中,下に線を引いた色相十一色を,小学校で採用することにしたのである。中学校でも,大体この十一色でよかろうと思う。
二十四色相の半分の,十二色相をとりたかったのであるが,あかから始めて,一つおきにとって行くと,他の重要な色が皆はいらなくなるし,他の重要な色を入れて,一つおきにとって行くと,あかがはいらなくなるので,やむを得ず,十一色としたのである。故に,あかとその前後の色とを入れた,十三色にすることも考えられる。
4.従来国民学校で採用していた有彩色十色の色相と,規格の中から選んだ十一色の色相とを比較すると,その中の五色だけは,色相に多少の相違のあることに注意せられたい。
5.純色以外の有彩色の規格は,まだ発表されていないが,目下商工省の色規格委員会で,発表の準備を急いでいるとのことであるから,近いうちにその発表があることと思う。
6.標準色紙は,東京都港区赤坂福吉町一番地,財団法人日本色彩研究所へ申込めば入手できる。
2.形に対する感覚を練る。
2.集めた葉は,書物の間や,他の紙の間にはさんで押し葉にする。
3.相当数の押し葉がたまったならば,それを適当な場所にならべて,形の異同についてしらべる。
4.個人別,または分団別に,集めた葉を,形の上から分類的に整理する方法を工夫して整理する。できればそれを適当な台紙にはる。
5.できたものは,陳列して,たがいに批評しあい,将来のこの種の作業をするときの参考にする。
注意 1.理科・算数と連絡を保つ。
注意 2.この単元の指導には,全教授時数の5%内外を当てるのが適当であろう。
次のような「記述尺度」による。
|
非常に根気よく集める | 根気よく集める |
|
根気が乏しい | ほとんど集めない |
|
非常にきちんと整理する | きちんと整理する方 |
|
秋序が乏しい | 整理できない |
|
形の特徴を非常によくとらえる | 形の特徴をよくとらえる |
|
形の特徴をなかなかとらえられない | 形に対して無関心 |
2.紙製品の初歩的な工作法を会得させる。
3.紙の折り方・切り方・はり方の練習。はさみ・ものさしを使う練習。
4.工夫考案の力を養う。
5.装飾の力・整理の習慣を養う。
6.眼と手を練らせる。
ふね・つる・帽子・箱・おひなさま・など(折り紙はその工作が模倣的ではあるが,児童に親しみの深いものであり,紙の扱い方とか,順序的に仕事をする習慣をつけることに対しては,有数である。)
2.色紙入れの袋・手紙さしのような実用になるもの。
これは中厚紙で作り,色紙で適当な装飾をさせる。
3.正方形やく形の小箱。
4.中厚紙を切り抜いて,立つ動物を作り,それで動物園や牧場などを作る。
この教材は,共同製作にも適する。
5.中厚紙を切り抜いて,樹木や家などを半立体的に作り,それを組み合わせて景色を構成する。この教材は,共同製作にも適する。
6.風車・運動具や家などの模型の組み立て,これは中厚紙を主材料とし,他の材料を補助的に用いる。
この種の教材の指導方法としては,これまで,模作法と創作法とが採用せられていた。
模作法の中にも,標本や工作図を示し,時には半製標本まで作って,全工程を幾つかに区切り,各区切りについて一々製作の順序方法を説明して作らせる徹底した模倣製作から,単に標本や図を示して,ひととおりの工作法を説明するに止めるものまでいくとおりもの方法がある。
創作法の中にも,ほとんど放任に近いものから,適当な参考品を示したり,誘導的な説明をしたり,暗示を与えたりするものまで,いくとおりもの方法がある。
極端な模作法は,単なる技術の会得には役立つけれども,工夫創造の力を養うには適さない,また無計画で放任的な,名ばかりの創作法は,児童の創造性を伸ばすことにならない,要は,学年相応の工夫創作力を養うにはどうしたらよいか,また,学年相応の技術の指導をするにはどうしたらよいかを考えて,適当な指導方法を案出するにある。
しかし,一般的に,この種の教材に対する児童の活動は,だいたい次のような活動が考えられる。
最初に児童の製作意欲を高める指導の必要なことはいうまでもない。
2.どんなにして作るかの計画をたてる。
3.製作の順序方法や,工具・材料の使い方などの指導を受けて製作する。
4.折り紙のようなものは,まず児童各自が知っているものを折り,次にたがいに知っている折り方を教えあう。場合に応じて教師から新しい折り方の指導を受ける。
5.でき上がった結果について反省し批評しあう。
注意 1.紙の折り方・切り方・はり方や,ものさし・はさみの使い方のごときは,時にその指導を主目的とする教材を課す必要もあるが,この程度のものには,他の教材の指導につけ加えて個別的に指導する方がよい。
注意 2.この単元の指導には,全教授時数の20%ないし30%を当てるのが適当であろう。
注意 3.社会科・理科との連絡に注意する。
次の「記述尺度」によって考査する。
|
作ることが非常に好き |
|
|
あまり好まない | 興味を持たない |
|
非常にたくみ |
|
|
|
非常に拙い |
|
目立って創意工夫に富む | 創意工夫に富む |
|
創作力が乏しい | 目立って創作力が乏しい |
|
極めてよく整理する | よく整理する |
|
|
極めて乱雑 |
|
目立って器用 |
|
|
|
目立って不器用 |
2.環境の利用につねに注意する習慣を養う。
3.工夫考案の力を養う。
(二) 指導方法──児童の活動
2.道当な廃品なり,材料なりを見つけて,それで何かできないかを考えて,製作計画を立てる。
3.製作する。
4.製作した結果について反省し,また,たがいに批評し合う。
注意 1.本単元の指導には,全教授時数の10%ないし20%をあてるのが適当であろう。
注意 2.廃品や新材料をみつけ出すことは,なるべく共同してやらせる。
注意 3.社会科その他の教科との連絡を保って指導する。
次の「記述尺度」による。
材料を見つけ出す力 | 常に注意してよく材料を見つけ出す | 材料を見つけ出すことに常に関心を持つ |
|
材料を見つけ出すことにあまり注意しない | 材料を見つけ出す能力がない |
工夫考案の力 | 非常によく材料を利用する | 材料をよく利用する |
|
材料を利用する力が乏しい | ほとんど材料の利用ができない |
2.常に環境をよくすることに関心を向け,自分で目的を立てて製作する態度を養う。
3.工夫考案の力を養う。
2.どんな材料で作るのが適当か,その材料は,手に入れることができるか否かを,児童各自にまたは分団で研究調査する。
3.どんな形に,どういう風に作るかを考える。
4.製作する。
5.製作したものをならべて,反省し,またたがいに批評しあう。
注意 1.本単元の指導には,全教授時数の10%ないし20%を当てるのが適当であろう。
注意 2.理科その他の教科との連絡に注意する。
次の「記述尺度」による。
題目を見つけ出す力 | すばらしい題目を見つけ出す | よい題目を見つけ出す |
|
題目を見つけ出す力が乏しい | 題目をほとんど見つけ出せない |
材料を見つけ出す力 | 適当な材料を非常によく見つける | 材料をよく見つける |
|
あまり材料が見つけ出せない | どんな材料がよいのかわからない |
材料を利用する力 | 非常によく材料を利用する | 材料をよく利用する |
|
材料がうまく使えない | ほとんど材料の利用ができない |