2.人物・動物等の描写練習もさせる。
3.自然美を観察し理解させる。
4.創造力と美的情操とを養う。
静物・風景・建築物・植物・動物・人物・など。
(三) 描写材料
鉛筆・水絵具・毛筆と墨・ペン・その他。
版画を課すのもよい。
(四) 指導方法──生徒の活動
題目・描写材料・描写様式等を一定して研究し練習する。
共同で研究練習する。
各自任意に研究し練習する。
2.各種の描写練習を,転々と変えることをせず,類似の練習を相当期間続ける。
3.鉛筆画・木炭画・鉛筆淡彩画・水彩画・毛筆画・版画,スケッチ・エチュード・絵画的表現・説明的表現,静物画・風景画・動植物画・人物画,などは実情に応じて取捨し,なるべく深く練習する。
「—対比較法」及び次のような「記述尺度」によって考査する。
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目立ってよく発達した |
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あまり発達しない |
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あまり熱心でない |
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2.色彩に対する感覚を鋭敏にする。
3.配色の練習をさせる。
2.各色名について,それはどんな色相でどのくらいの明度・彩度であるかの研究をする。
3.日常,同じ色名でよばれている色でも,人により,職業によって,必ずしも一致はしていないから,同じ色名で呼ばれている色のひろがりはどの位であるかの調査などもする。
4.色が,日常の生活上いかに利用されており,また,色がわれわれの日常生活にいかなる影響を持っているかを研究する。
5.図案の研究と関連を保って配色の練習をする。
次のような「記述尺度」によって考査する。
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鋭敏で良否の判断が極めて確実 | 鋭敏で良否の判断が確実 |
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鈍感で良否の判断が不確実 | 鈍感で良否の判断がほとんどできない |
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感覚は各種の色について別々にも考査する。
2.形に対する感覚を鋭敏にする。
2.研究の方法はだいたい次の例に準ずる。
例 1.自動車・汽船等を,その初期のものから,現代のものまでならべてみて,(図や写真によって)自動車の速く走るという機能が,次第に発達するにつれ,また汽船の積載量が増し,速力が増すという機能が次第に発達するにつれ,その形体がいかに変って来ているか,それが単体や船体の美の上に,どんな影響なり関係なりをもっているかを研究する。
例 2.建築物ならば,住宅とか,学校とかいうように同じ目的を持つ建築物を,歴史的順序にならべてみて,時代時代の要求により,その建築物としての機能がどう変わり,それにしたがって形体がどう変わり,又それが美という点からみて,どんな関係を持つかについて研究する。この場合は,時代により要求される美の質にも,変わりのあることに注目する。
例 3.同じ建築物の研究においても,現代のものばかりを横にならべてみて,住宅ならば住宅としての機能を最もよく発揮したものと,そうでないもの,あるいは住宅としての機能上からは不必要な附加物や装飾物を全部取り除いたものなどを比較し,それが形体上からどう違うか,又それが美の見地から見てどんな関係があるかなどの研究をするのも一つの方法である。
例 4.以上の例に示したように,同じ目的を持つものを,歴史的に縦にならべてみて,その要求される機能の変遷と形体と美との関係を研究したり,現代のものばかりを横にならべてみて,その機能発揮の程度が,形体や美の上に,どんな関係を持つかを,研究することを,種々の器物・器具・機械・建築物などについておこない,また,一方においては,同じ目的をもつもの数個を集めてそれを美しさの順序にならべたり,最も機能的なものからならべたりして,機能的な順序と,美しさの順序との間の関係について研究する。
3.以上の研究の結果,次の諸項について討議する。
(2) 最も機能的なもの必ずしも最も美しくはない。
(3) 機能的なものほど美しさが減ずる。
注意 1.前項の討議の結果を妥当なものとするためには,研究した材料が適当なものでなければならない。それで討議によって,かかる問題に対する関心を深めることはたいせつであるが,不十分な資料によって出した結論を,簡単に信じて,その定木で総てのものを見るようにしてはならない。
注意 2.この教材は,鑑賞・図案その他の教材との関連が深く,また,社会科・家庭科その他の教科との関連も深いから,指導上十分の注意をする。
2.指導結果の全体については,次のような「記述尺度」による。
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用心深くて判断は妥当 |
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少数の資料で独断的に決めることが多い | 容易に判断ができない |
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非常に研究的である |
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あまり研究的でない |
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2.図案に対する広い見解を持たせる。
3.創造力を養う。
4.美的情操を養う。
日本間の室内設備・洋間の室内装飾・教室その他の室内設備・住宅の間取りと,敷地内の諸施設との計画・成績品展覧会の施設計画・その他の展覧会の施設計画・学校博物館の施設計画・郷土室の施設計画・屋外の諸展示計画・商品の陳列・ショーウィンドの計画展示などの中から,土地の情況に応じたものをとる。
(三) 指導方法──生徒の活動
2.住宅の間取りや,敷地中のどこに庭園を作り,樹木を値え,菜園を設け,その他の施設をするかなどの題目では,先ず設計上注意すべき諸点を研究し,更に計画をどんな描法によって表現するかを研究してから立案する。
3.室内設備の計画は,小さい室内の模型を作り,その模型によって,壁やふすまの色をどうするか,どんな家具をどんな位置に置くか,などの研究をする場合もあり,紙上図示による場合もある。できれば,実際の室で,実際の家具類を使って,室内設備の実習をする。
図示による場合は,図示法を研究する。模型による場合は模型があればそれを使い,なければ製作する。
4.展示計画の場合,例えば成績品の展覧会を催す場合ならば,どの室とどの室とを会場に使うか。
受け付け・入口・出口をどこにし,観覧の道順をどうするか,会場がはなれている場合は,その連絡をどうするか。
陳列の仕構えはどうするか,なるべくたくさんの成績品を陳列したいという要求と,なるべくあっさりならべて見易くするという要求とをどう調和させるか。
図表や説明書は,どのように作り,どのように作品につけるか。
案内状や招待状はどのように作り,いつ発送するか。
宣伝のポスターは,どんなものを作り,いつ,どこに出すか。
などについて細密な案を立て,その案にしたがって分担をきめて実行する。
なお,分担して仕事をする場合は,各部分の連絡と,全体としての調和に注意する。
考査法は,とる題目のいかんによって異ならなければならないが,個人で立案・計画・表現をさせる場合は,「一対比較法」または「記述尺度法」による。
展覧会の計画実行のごとき場合は,主として「記述尺度法」による。
例 成績品展覧会の計画・実行の場合の考査の「記述尺度」
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非常に見通しがきき,こまかい点まで行きとどいた計画をたてる | 実施可能なよい計画をたてる | 欠点が多いがとにかく計画をたてる | ほとんど計画がたてられない | 全く計画がたてられない |
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補助をすればだいたい計画がたつ | 補助をしても計画がたてられない |
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的確に早く手ぎわよく遂行する |
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独力では遂行できない | 殆どなにもできない |
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非常によく共同し先んじて仕事をする |
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いやいやながらついていく |
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2.正確に作図する習慣を養う。
3.読図力を養う。
歯車・軸受け・その他簡単な機械。
(三) 指導方法──生徒の活動
2.機械の部品や簡単な機械の実測製図をし,実測の方法の練習,製図の練習をする。
3.ねじ・歯車その他の略写法を研究する。
4.製図用具の使用法を研究し,使用になれる。
次のような「記述尺度」によって考査する。
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非常によく理解する |
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なかなか理解しない |
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線が生きていて美しい |
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線ががさついている | 線が死んでがさがさしている |
2.普通金工具(できれば金工用機械まで)の使用練習をさせる。
3.金属製品に対する関心を高め,その賢明な使用者となる能力を養う。
4.創造力を養う。
2.小刀の類・じゅうのう・移植ごて・直角定木のようなものの製作。
3.遊び道具・錠前・文房具・運動具・その他金属製家具類の小修理。
第八学年に準ずる。
(四) 指導方法──生徒の活動
2.大形のものの修理などは共同作とし,小形のものの設計・図案・製作などは,主として個人作とする。
3.基本工作法・主要工具の使用法などは,事情に応じ,個々にまたは一斉に十分研究し練習を積む。
4.設計・図案・製作・修理などの作業に附帯して,一般金属製品につき,その用材の適否,設計・製作の適否などの判定を練習し,金属製品の使い方・手入れや保存の仕方について研究する。
「一対比較法」又は「記述尺度法」による。
例 むくの小刀製作の場合の「記述尺度」
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材料のむだなく,所要の形に順序よく作る |
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形や大きさは図面とちがうが,小刀の形にはなる | 材料のむだが多く,ほとんど形をなさない |
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所要の寸法に手ぎわよく仕上げる | 所要の寸法に仕上げる |
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寸法はちがうがどうやら仕上げはする | ほとんど仕上げになっていない |
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要領よく,よく切れる |
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何度もやりなおして,どうにか焼きがはいる | どうしても所要の硬さに焼きがはいらない |
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ていねいでたいせつにする |
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工具を使いにくいものにし炭その他の材料をそまつにする | 工具をこわし,材料を非常にそまつにする |
第七八学年に準じ,程度を高める。
(二) 教 材
教材は,染色・袋物・革細工その他の手芸の中から,適宜のものを選んで課す。
(三) 指導方法──生徒の活動
2.染色は,新しい材料を染めるもよく,また古い材料の染めかえしをするもよい。染め方は,無地染め・絞り染め・ろうけつ染め・友禅染め・ばっせん・なっせんなどの中から,染める物により,材料や用具の関係も考えて,適当なものを選ぶ。
3.その他の手芸も,前項に準じて研究し練習する。
4.どんな種類の手芸を学ぶにしても,図案・意匠の作成に留意し,新しい感覚で作る。
5.製作技法の研究と練習に注意し,正しい製作法により,堅固に作る。しかし,技法にとらわれて創意にとぼしいものになることは,極力避ける。
6.古いものに,少し加工して,全く新しい気持のものにしたり,流行おくれのものに,工夫を加えて,目新しいものにしたりする研究もする。
「一対比較法」または「記述尺度法」による。
例 染色指導の結果の考査「記述尺度」
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極めて創意に富みたくみ |
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創意に乏しく拙い | 極めて創意に乏しく拙い |
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材料の選び方染色の手法技術ともに大いによい | 材料の選び方染め方とも適当 |
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材料の選び方染め方ともによくない | 材料の選び方染め方ともにわるい |
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進んでまじめに学習する | まじめに学習する |
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学習意欲が乏しい |
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たいへんていねいに,たいせつに扱う | ていねいでたいせつに扱う |
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用具・材料の扱い方がそまつである | 用具の扱い方がなげやりで材料をそまつにする |
2.セメントが日常生活に関孫の深いことを理解させる。
3.共同して作業する習慣を養う。
敷石・セメントれんが・植木ばち・道路舗装及び修理,花壇の周辺・水そう・流し・足洗場・など。
(三) 用具・材料
シャべル・練台・こて・木工用具・ペンチその他。
2.材料
ポルトランドセメント・その他のセメント・砂・じゃり・砕石・割栗・鉄筋用鋼材・木わく用木材・など。
2.製作題目に応じて,木わくの作り方,コンクリートの混合,コンクリートの充てん,養生,などの研究をする。
3.ひととおりコンクリートの混合及び使用法が解れば,個々の作品の設計・製作を自由に研究する。
4.コンクリート工は,混合・充てんを一気にやり,養生には長時間を要するものであるから,手順よく作業を進めるよよう時間の配当をする。特に個人作の場合,充てんがまちまちになって,材料が不経済になることを避ける。
5.共同作の場合は,十分協議して全部の生徒が力いっぱいの仕事ができるように,全体の計画をたてて,分担をきめる。
6.コンクリート製作物の修理もする。
7.この製作作業を通して,一般コンクリート工作物の長所・短所,その保存法を研究する。
次のような「記述尺度」によって考査する。
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はなはだ綿密で適当 |
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極めて正確で巧み |
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極めて不正確で拙い |
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混合・充てんともにきわめて完全 | 混合・充てんもともに完全 |
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混合不十分,つきかため充てんも不完全 | 混合,充てん共に極めて不完全 |
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養生適当仕上げ大いによい | 養生適当仕上げもよい |
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養生やや不完全,仕上げ粗雑 | 養生不完全仕上げはなはだ粗雑 |
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極めて共同的で誠実勤勉 | 共同的で誠実勤勉 |
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作業態度がはなはだわるい |
第七八学年に準じ程度を高める。
(二) 教材例
前学年に準じ,指導の程度を進める。
(三) 指導方法──生徒の活動
2.数多く学習するよりも,模式的なものについて自由に応用できる程度まで徹底的に研究する。
3.諸設備・備品の適不適・良否について討論研究する。
4.類似の設備や備品について比較研究し,研究の結果を報告する。できればそれを小冊子にまとめて回覧し,各自の批評を加え,後の研究者の参考に残す。
注意 この教材の指導は,「形」「図案」その他の教材,及び家庭科・社会科・理科などとの関連に注意して指導する。
第七八学年に準じて行う。
2.美術を生活上に利用する道を考えさせる。
3.美術に対する関心を高める。
2.現在のわれわれの家庭生活や,社会生活において,絵画・彫刻その他の造形芸術がいかに利用されており,生活とどんな関係をもっているかについて調べ,われわれの生活から,いっさいの美術を取り去ったならば,その結果はどうであろうかについて研究する。
3.美術が,純粋の形をとらないで,応用的な形態をとって現われているとき,それがわれわれの生活にどんな影響を及ぼしているかについて研究する。
美術は,美を表現する形式だと考えることができるが,美を唯一の追求目的とした場含,純粋美術が生まれ,美と用とを追究目的とした場合,もしくは,用を追求した結果がある種の美に到達した場合,そこに,応用美術が生まれるものとすると,われわれの日常生活に関係の深い,服飾・家具調度・住居・交通機関・各種の生産施設等の大部分に,美術が応用せられていると見ることができよう。こういう広い意味での美術と生活との関係を研究するのである。
4.われわれは,生活の上に,もっと美術的な意識を働かせ,広い意味での美術を活用する道について研究する。
注意 家庭科・社会科などとの連絡に注意して指導する。
第八学年の「絵画・説明図における各種の表現法」の考査に準じて行う。
2.美術を愛好する精神を養う。
3.美的情操を養う。
前学年の方法を継承する。
美術史に関する知識の考査は,知識の有無を考査する各種の方法を採用する。
鑑賞力の考査は,「並立比較法」「順位比較法」などによって考査する。
学習指導要領 図画工作編
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(Date May.2,1947)
昭和廿二年五月 二日 翻 刻 印 刷
昭和廿二年五月 二十日 翻 刻 発 行
(昭和廿二年五月二日 文部省検査済)
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