2.精密に描写する練習とともに,速写によって,要点をつかんでかく練習をさせる。
3.創作的態度を育成する。
4.自然美を味わわせる。
5.水絵具の使用になれさせる。
花・野菜・果物・器物・遊び道具・園芸用具・農具・など。
2.風景
遠景・中景・近景の見える風景,川・海などの風景,曇り・晴れ・雨・雪などの風景
3.建築物
建築物を主とした風景,室内,など。
4.動 物
こん虫・鳥・魚・獣・など。
5.人 物
手・足・顔等人物の部分的描写,半身・全身の人物,活動している人物の速写,など。
水絵具・鉛筆を主とし,毛筆・墨等を併せ用いる。
(四) 指導方法──児童の活動
2.形体・色彩・明暗・陰影・構図など同時に研究する総合的な描写と,遠近による形や色の変化,明暗による色や調子の変化,風景や静物の構図などを分解的に研究する描写とを,併せて練習する。
3.植物やこん虫などの精密描写,獣・鳥・人物などの速写,風景その他の省略表現なども稽古する。
4.水絵具の性質の研究と,その取り扱いの練習には,特に注意する。また毛筆と墨とを用いる表現も練習する。
5.絵画的の表現のほか,説明的な表現も練習する。
「一対比恢法」及び「記述尺度法」による。
例 速写指導の結果の考査「記述尺度」
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あまり的確でない | 極めて的確でない |
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たいへん要領を得ている |
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少しも要領を得ない |
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2.絵画的な表現とともに,説明的な表現もさせる。
3.工夫考案の力を養う。
第五学年に準ずる。
(三) 描写材料
「写生による描画」に準ずる。
(四) 指導方法──児童の活動
(2) 題材が決定したら,それを,どういう風に表現するか,どんな材料(資料)を用いるかなど考えて,必要な資料を写生したり,集めたりする。
(3) それを一つの画面に構成する上に,変化と統一・律動・均衡・調和などの原則を,どう生かして行くかについて工夫し,場合によっては略図をかいて研究する。
(4) 案がきまってから描写する。
(5) 結果についての反省・批評などをする。
(2) 必要な資料を集める。
(3) 描写する。
(4) かいた結果の反省・批評
(2) 各自思い思いの空想を,あるいは絵画風な表現により,あるいは説明図風の表現によってかく。
(3) かいた結果を反省し,また,たがいに批評しあう。
「—対比較法」または「記述尺度法」による。
例 文章を絵画的に表現した場合の結果の考査「記述尺度」
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とらえ方がたいへんよい |
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文の気持がたいへんよく出ている | 文の気持がよくでている |
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文の気持があまり出ていない | 文の気持がさっぱり出ていない |
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2.形体に対する観察力を養う。
3.立体表現の力を養う。
4.創造力を養う。
5.眼と手を練らせる。
第五学年の「粘土による表現」に準ずる。
(三) 指導方法──児童の活動
2.物の見方,表現の方法等について,共同で研究して,たがいによい影響を与えあう。時には,教師その他の製作を見る。
3.器物のようなものを作る場合は,それを焼成して,実際に役に立つものにする。できれば焼成にも児童が当たる。
4.彫塑的のものは,できれば石こうにとって保存できるようにする。乾いてもこわれない粘土があれば,それを使うとよい。
「一対比較法」または「記述尺度法」による。
例 写生による彫塑的な製作結果の考査の「記述尺度」
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2.混色板による混色実験をさせ,更に,混色に対する観念を確実にする。
3.色彩感覚を鋭敏にする。
4.図案の指導と連絡を保って,配色の練習をさせる。
2.同じ純色の絵具に,黒い絵具をまぜると,その色の暗い色ができ,両者の割合によって,種々の明度の色のできることを,実験する。
かくしてできた,その色相の純色と,それに白だけをまぜた色や,黒だけをまぜた色を総称して,その色相の「清色調」の色という。
3.白い絵具と,黒い絵具とを混ぜると,両者の混合割合如何によって,種々の明度のはいいろのできることを実験する。
4.ある清色調の色に,その色と同じ明度を有するはいいろをまぜると,両者の割合によって,明度は同じで,あざやかさのちがったいろいろな色のできることを実験する。
このあざやかさの度合のことを彩度(純度)といい,はいいろに近いものを彩度が低いといい,清色調の色に近いものを彩度が高いという。また,清色調の色に,はいいろをまぜた色を,その色相の「濁色調」の色という。したがって,濁色調の色は,純色に白と黒とを同時にまぜた色で,純色と白と黒との割合によって,種々の明度・彩度の色ができるのである。
5.以上のような,絵具による混色実験では,明度差・彩度差等を規則正しく求めることは困難であるから,そのだいたいが求められることで満足する。実験は,明清色・中間の清色・暗清色・明濁色・中間の濁色・暗濁色等に分けて,児童が分担して行う。なお,この実験に用いる絵具は,普通の水絵具でもよいが,ポスターカラーか何かで,なるべく標準色に近い純色の絵具でする。分担して実験する場合は,なるべく同じ絵具で実験する。
6.以上の絵具による実験の不備を補い,更に混色について確実な結論を得るために,同様な実験を,混色こま,または,回転板によって行う。
7.暖かい配色と寒い配色,はなやかな配色と渋い配色,についても研究する。
注意 絵具による混色(減算混合)と,回転板による混色(加算混合または中間混合)とのちがいについては,まだ指導するに及ばないが,そのちがいに,児童が気がついたなら適当に簡単な説明を加える。
絵具による混色の場合,色相にかたよりが生ずることがあるが,そういうときは適当に補正する。例えば,きいろに黒を加えると,著しく緑にかたよるが,その場合は,緑の反対色を少し加えて補正する。
次のような「記述尺度」による。
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目立ってよく解る |
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よくはわからない |
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所要の色が非常にうまく出せる |
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感覚の考査は個々の色についても行う。
2.形の特長を確実にとらえる力を養う。
3.新しい形を構成する力を養う。
4.創造力を養う。
2.これまでに,各種の形を分解的に見て行ったとき,その基本として採用した形には,どんな形があったかを,共同してしらべ,それを分解・集計する。
3.分類・集計した基本形について,あまり多く出て来ないものは省いたり,あまり類似しているものは整理したりして,なるべくその数を少なくする工夫はないかについて,共同研究をする。
4.整理した基本形を組み合わせて,新しい形を組み立てる。新しく組み立てる形は,それが直接に成る器物の形になったり,建築物の形になったりするものでもよく,また何になるというあてのない,単なる抽象的なものであってもよい。要は,安定・均衡・律動・変化・統一などの原則が,盛られているものができればよい。
5.基本形を組み合わせて,新しい形体を構成することは,やむを得なければ紙上計画によるが,なるべく,木や粘土で,各種の基本形を作っておき,積み木をやるようにそれを組み合わせ,形の良否を判断して,新しい形を創り出す。この種の基本形体の製作は,粘土細工や木工で作る。
6.構成した形は,紙にかいて,適当な場所に陳列して,たがいに批評しあいまた良否を討論する。
次のような「記述尺度」による。
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極めて要領よく分解的にとらえる | 要領よく分解的にとらえる |
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あまり分解的にとらえられない | 分解的にとらえられない |
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極めて独創的に美しい形体を構成する | 独創的に美しい形体を構成する |
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うまく構成できない | 構成がでたらめである |
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第五学年に準じ程度を高める。
(二) 教材及び用具・材料
第五学年に準ずる。
(三) 指導方法──児童の活動
2.水絵具で,図案を手ぎわよくかくことは,相当困難を伴なうことがあるから,色紙を使ったり,布きれを使ったり,ポスターカラーを使ったり,その他きりふき,青写真など図案表現上便利な方法をとり入れて,表現をおもしろくやさしくする工夫をして思いきった構成をする。
3.配色については,暖かい感じのする色(暖色)の配色,寒い感じのする色(寒色)の配色,暖色・寒色を混用した配色,明度差の大きい配色,明度差の少ない配色,彩度の高い色同志の配色,彩度の低い色同志の配色,彩度の高い色と低い色とを混用した配色,接近した色相の配色,色相距離の遠い配色,同じ配色でも大がらものと小がらのものとの配色効果の相違等について,具体的な例によって研究する。
4.図案の構成法や配色についての研究は,理論を知るのではなく,感覚を鋭敏にし,判断力を練ることに眼目をおく。
5.配色の研究は,単に図案のときに応用するだけでなく,地図や図表をかくとき,服飾の選択,その他生活のあらゆる面において活用する。
注意 家庭科・社会科,その他の教科と連絡をとる。
次のような「記述尺度」による。
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目立って独創的でたくみ | 大体独創的でたくみ |
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創意が少なくてやや拙い | 目立って創意に乏しく拙い |
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2.読図力を養う。
3.正確に作図する習慣を養う。
教材は木工教材・金工教材と関連あるものをとる。
用具を用いた作図とともに,手がきの作図もさせる。
(三) 指導方法──児童の活動
2.自分で設計して製図する場合,はじめは手がきの図をかき,それを十分修正してから,定木・コンパス等を使って正確にかく。場合によっては,手がきのままですませることもある。
3.できているものを実測して製図する場合も,はじめ手がきで製図し,それから用具を用いて正確にかく。この場合も手がきだけですませることもある。
4.手がきの場合は方眼紙を使う。用具を用いてかく場合は,方眼紙を用いることもあり白紙にかく場合もある。
5.縮尺については,その必要のおこったときに実習する。
6.線の用法,用具の扱い方は,漸次正則な方法によって実習する。
第五学年に準じて行う。
第五学年に準じて程度を高める。
(二) 教材例
本立て・たな・台類・筆箱・ペンざら・盆・箱類・パン焼き器・その他学習上,家庭生活上必要なものの製作及び小修理。
2.遊び道具・模型の類
家屋・室内などの模型,交通機関の模型,機械や機構の模型,木製遊び道具,その他学習上必要な模型の製作及び小修理。
第五学年に準ずる。
(四) 指導方法──児童の活動
目的をきめるには,標本・掛け図・写真などを見たり,参考図書を調べたりする。
2.製作する目的がきまれば,それに対する,設計・製図,材料をあつめること,工作法の工夫,製作,反省・批評,等をする。
注意 1.工具の使用法・手入れ法,工作方法等については,必要に応じて,いっせいに,または個別的に指導する。
注意 2.製作は,児童の自力にまかすのが本体であるが,必要に応じて,ある部分を手つだってやる。特に,家庭にある木製品の修哩を,児童がやろうと企てたときなどに手つだってやる必要を生ずる。ただ,そのために,児童に,依頼心を起させないよう注意する必要がある。
注意 3.木材以外の材料の混用は,できるだけの材料を用意して,児童の希望を満たしてやるがよい。
第五学年に準じて行う。
2.針金・板金によって,立体な構成する力を養う。
3.創造力を養う。
4.眼と手を練る。
ちえのわ・魚焼き網・もち焼き網・鳥かご・虫かご・など。
2.板金を主とするもの。
ちりとり・じょうろ・くず物入れ・鳥のえさ入れ・板金の遊び道具・など。
第五学年に準じ多少種類を増す。
(四) 指導方法──児童の活動
2.針金の切り方・曲げ方及び接合,板金の切り方・曲げ方及び接合など製作上欠くべからざる基本技術は,時としてそれだけを別に実習する。
3.製作する題目がきまれば,それに対する,設計・製図,材料を集めること,工作法の工夫・製作・反省・批評をする。
4.板金で作るものは,はじめ中厚紙で作ってみてから作ることもよい。
注意 1.児童に困難な箇所は,教師が手つだってやる必要のある場合がある。
注意 2.技術の要領を会得させるには,よい模範を示すことが必要である。
第五学年に準じて行う。なお,第五学年の,「記述尺度」に工具・材料の取り扱い方等を加えるとよい。
第五学年に準じ程度を高める。
(二) 教 材
教材は第五学年に準じ,ややその程度を高める。
(三) 指導方法──児童の活動
児童の活動は,題目の決定,立案計画,材料を集めること,製作・反省・批評など他の製作教材に準ずる。
注意 2.材料にする糸や布は目下非常に不足しているから,古物の利用,有り合わせ品の活用に重点をおいて指導する。
第五学年に準じて行う。
第三四五学年に準じ程度を高める。
(二) 指導方法──児童の活動
2.廃品や新材料を見つけ出す仕事は,ある時期にだけやるのではなく,一年じゅう絶えず注意して集める。
注意 1.新材料は必ずしも年々ちがった材料を見つけ出さなければならないとは限らない。同種の材料でも,次第に進んだ利用法を考えて製作すればよい。したがってその地方特有の材料の利用によって,その地方,その学校特有の教材組織ができることも望ましい。ただここで注意しなければならないことは,粘土細工ばかり,つる細工ばかり,枝細工ばかり,まつかさ細工ばかり,やって,しまいには,その材料の特質や,材料の性質上から来る限度を越えて,他の材料を用いた方がはるかに便利で効果的なものまでも,その材料でやろうとするようなことは,厳重にいましめなければならない。
注意 2.この教材を選んだ目的は,新しく材料を見つけ出すことと,その材料を有効に使いこなすことの二点にあるのである。
「一対比較法」または次のような「記述尺度」による。
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適当な材料を非常によく発見する | 適当な材料を発見する |
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材料をあまり発見できない | 材料を発見する力がない |
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極めて独創的で周密 |
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他人のあとを追い粗雑 | 独自の着想を持たず,計画もほとんど立たない |
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あまり役に立たない |
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第二三四学年に準じ程度を高める。
(二) 指導方法──児童の活動
2.問題の発見や,その処理・製作は,その問題の性質によって,個人的の仕事または共同の仕事にする。
3.製作題目が決定すれば,それを達成するために,細かな計画を立て,設計図をかき,意匠図案を考え,必要な材料を集め,製作の順序方法を考えて,製作し,製作の結果に対する反省・相互批評などをする。
次のような「記述尺度」による。
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目的を選び出す力が非常に秀でている | 目的を選び出す力が秀でている |
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目的を選び出す力が劣っている | 目的を選び出す力が非常に劣っている |
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極めて計画力に富む |
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計画が立てられない |
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あまり役に立たない |
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2.工具や備品を,良好な状態に保持する力を養う。
3.工具や備品の良否を判断する力を養い,その改善に対する関心を持たせる。
第五学年に準ずる。
教材を決定するには,現に児童の家庭に,どんな工具や備品があるかの調査をして,多くの家庭にある工具や備品とともに,進歩した工具や備品も教材としてとる。
(三) 指導方法──児童の活動
2.家庭にある工具類は,さびてはいないか,よくといで切れるようになっているか,破損したままになってはいないか,等についてしらべ,そして,自分の手でできるものは,といだり,修理したりする。また刃物類は,油をひいてさびないようにする。農具類についても同様の扱いをする。
3.家庭にある器物・器具類は少数の代表的なものについて,その扱い方を研究し実習する。
4.家庭にあるような簡単な機械類や,設備なども,その分解掃除,組み立て方を実習し簡単な修理もする。
5.学校にある機械や・備品などについても同様にする。
注意 1.家庭科・社会科・理科などと十分連絡を保って指導する。
注意 2.項目を多くして,浅く広い指導をするよりも,重要な項目について深い指導をし,他はそれによって得た力を応用させるようにする方が効果的である。
次のような「記述尺度」による。
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非常によく理解する |
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あまり理解しない |
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極めてていねいでたくみ |
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目立ってよくわかる |
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あまりわからない | さっぱりわからない |
2.工芸品・美術工芸品については,実用と美との関係について関心を持たせる。
3.美的情操を養う。
例えば,陶器などを鑑賞するときの目のつけどころは,
(3) 焼き方の良否。 (4) 焼くときの変形の有無。
(5) うわぐすりの美しさ。 (6) はだの美しさ。
(7) 丈夫さ。 (8) 安定感。
(9) 実用上の便不便。
(10)どこから見ても同じ美しさに見えるか,特に美しく見える角度があるか。
(2) 竹材の色の美しさを生かしているか。
(3) 竹のひずみの美しさ。
(4) 製作技術から来る美しさ。
(5) 丈夫さ。 (6) 安定感。
(7) どこから見ても同じ美しさに見えるか,特に美しく見える角度があるか。
3.その作品のできた背景となる時代の特色,作者の略伝・逸話・名作物語,等も調べ,またその作品のどこがよいかについて,これまで多くの人が称えていたことについて調べる。しかし,どこまでも自分の眼で見,自分の心で判断する。
4.つぎつぎに変わった作品を見ることもよいが,同一の作品をたびたび見ることもする。
5.機会あるごとに展覧会・美術館・博物館・古社寺等を見学する。
「並立比較法」「順位評価法」などによる。