第2章 各 教 科

 

第1節 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

 

第1款 各教科の目標及び各科目の目標と内容

 

 各教科の目標及び各科目の目標と内容については,当該各教科及び各科目に対応する高等学校学習指導要領第2章及び第3章に示す各教科の目標及び各科目の目標と内容に準ずるほか,視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校については第3款から第5款まで,聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校については第6款から第9款までに示すところによるものとする。

 

第2款 各科目に関する指導計画の作成と内容の取扱い

 

 各科目に関する指導計画の作成と内容の取扱いについては,高等学校学習指導要領第2章及び第3章に示すものに準ずるほか,視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校については第3款から第5款まで,聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校については第6款から第9款までに示すところによるものとするが,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等を十分考慮するとともに,特に次の事項に配慮するものとする。

1 視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

 (1)生徒の視覚障害の状態等に応じて,点字又は普通の文字等による的確な理解と豊かな表現力を一層養うこと。なお,点字を常用して学習する生徒に対しても,漢字・漢語の意味や構成等についての理解を一層促すため,適切な指導が行われるようにすること。

 (2)視覚的なイメージを伴わないと理解が困難な事象や習得が難しい技能については,既習の内容や経験と関連付けながら,具体例を示すなど指導方法を工夫して,理解を深め習得を促すようにすること。

 (3)生徒の視覚障害の状態等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項を確実に習得するとともに,考えを深めていくことができるよう指導すること。

 (4)視覚補助具やコンピュータ等の情報機器,触覚教材,拡大教材及び音声教材等各種教材の活用を通して,生徒が効率的に多様な情報を収集・整理し,主体的な学習ができるようにするなど,生徒の視覚障害の状態等を考慮した指導方法を工夫すること。

 (5)生徒が空間や時間の概念を活用して場の状況や活動の過程等を的確に把握できるよう配慮し,見通しをもって積極的な学習活動を展開できるようにすること。

 (6)高等学校等を卒業した者が,社会経験を経るなどした後に,専門学科又は専攻科に入学した場合においては,その社会経験等を踏まえた指導内容となるよう工夫すること。

2 聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

 (1)生徒の興味・関心を生かして,主体的な言語活動を促すとともに,抽象的,論理的な思考力の伸長に努めること。

 (2)生徒の言語力等に応じて,適切な読書習慣や書いて表現する力の育成を図り,主体的に情報を収集・獲得し,適切に選択・活用する態度を養うようにすること。

 (3)生徒の聴覚障害の状態等に応じて,音声,文字,手話,指文字等を適切に活用して,発表や生徒同士の話合いなどの学習活動を積極的に取り入れ,正確かつ効率的に意思の相互伝達が行われるよう指導方法を工夫すること。

 (4)生徒の聴覚障害の状態等に応じて,補聴器や人工内耳等の利用により,生徒の保有する聴覚を最大限に活用し,効果的な学習活動が展開できるようにすること。

 (5)生徒の言語力等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項に重点を置くなど指導を工夫すること。

 (6)視覚的に情報を獲得しやすい教材・教具やその活用方法等を工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにすること。

3 肢体不自由者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

 (1)体験的な活動を通して言語概念等の形成を一層図り,生徒の障害の状態や発達の段階に応じた思考力,判断力,表現力等の育成に努めること。

 (2)生徒の身体の動きの状態や認知の特性,各教科・科目の内容の習得状況等を考慮して,指導内容を適切に設定し,重点を置く事項に時間を多く配当するなど計画的に指導すること。

 (3)生徒の学習時の姿勢や認知の特性等に応じて,指導方法を工夫すること。

 (4)生徒の身体の動きや意思の表出の状態等に応じて,適切な補助具や補助的手段を工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにすること。

 (5)各教科・科目の指導に当たっては,特に自立活動の時間における指導との密接な関連を保ち,学習効果を一層高めるようにすること。

4 病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

 (1)個々の生徒の学習状況や病気の状態,授業時数の制約等に応じて,指導内容を適切に精選し,基礎的・基本的な事項に重点を置くとともに,指導内容の連続性に配慮した工夫を行ったり,各教科・科目等相互の関連を図ったりして,系統的,発展的な学習活動が展開できるようにすること。

 (2)健康状態の維持や管理,改善に関する内容の指導に当たっては,主体的に自己理解を深めながら学びに向かう力を高めるために,自立活動における指導との密接な関連を保ち,学習効果を一層高めるようにすること。

 (3)体験的な活動を伴う内容の指導に当たっては,生徒の病気の状態や学習環境に応じて,間接体験や疑似体験,仮想体験等を取り入れるなど,指導方法を工夫し,効果的な学習活動が展開できるようにすること。

 (4)生徒の身体活動の制限や認知の特性,学習環境等に応じて,教材・教具や入力支援機器等の補助用具を工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにすること。

 (5)生徒の病気の状態等を考慮し,学習活動が負担過重となる又は必要以上に制限することがないようにすること。

 (6)病気のため,姿勢の保持や長時間の学習活動が困難な生徒については,姿勢の変換や適切な休養の確保などに留意すること。

 

第3款 保健理療

 

第1 目 標

  保健理療の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,あん摩・マッサージ・指圧を通じ,地域や社会の保健・医療・福祉を支え,人々の健康の保持増進及び疾病の治療に寄与する職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

 (1)あん摩・マッサージ・指圧について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

 (2)あん摩・マッサージ・指圧に関する課題を発見し,職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

 (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及び疾病の治療に主体的かつ協働的に寄与する態度を養う。

 

第2 各 科 目

 〔医療と社会〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,医療と社会の関わりに関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な医療と社会の関わりについて体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)医療と社会の関わりに関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)医療と社会の関わりについて,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)医学,医療及び保健理療の歴史

   ア 西洋,中国,韓国等における医学,医療の歴史

   イ 日本における医学,医療及び保健理療の歴史

  (2)社会保障制度の概要

   ア 医学の分野

   イ 社会保障の概念

   ウ 社会保険制度の概要

   エ 障害者福祉・精神保健医療福祉制度の概要

   オ 医療行政

  (3)保健理療の現状と課題

   ア 保健理療の概念

   イ 医療提供体制と地域包括ケアシステム

   ウ 保健理療業務の現状と課題

   エ 諸外国の保健理療

  (4)あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律

   ア 法令の沿革

   イ  法令の主な内容

  (5)関係法規の概要

   ア 医事関係法規

   イ その他の関係法規

  (6)あん摩マッサージ指圧師の倫理

   ア 医療従事者の倫理

   イ 保健理療業務と倫理

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,保健理療の医療における位置付けについて,十分理解を促すよう,保健理療以外の他の医学の歴史や現状,諸外国における保健理療の現状などを踏まえて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2),(3)及び(6)については,「地域保健理療と保健理療経営」との関連を考慮して指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,保健理療の近現代史に重点を置くこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,少子高齢化が進む我が国の社会の課題や展望について取り扱うこと。ウについては,医療保険(療養費を含む。),介護保険及び主な公費負担医療を中心に制度の概要を取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,地域医療や労働衛生におけるプライマリ・ケアの重要性と関連付けながら,現代社会における保健理療の役割と意義を取り扱うこと。イについては,医療機関の種類並びに医療従事者の資格,免許及び業務範囲を取り扱うとともに,地域包括ケアシステムにおける多職種間連携の意義を取り扱うこと。ウについては,保健理療業務の現状と課題について,関連する統計や資料を踏まえながら,療養費を適切に扱うための基礎的な知識が身に付くよう指導すること。

   エ 〔指導項目〕の(5)のアについては,医療法,医師法等の概要を取り扱うこと。イについては,高齢者の医療の確保に関する法律,介護保険法等の概要を取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(6)については,あん摩マッサージ指圧師としての心構えや倫理観,患者の権利,法令遵守,コミュニケーション能力等について,十分な理解を促すよう具体的に指導すること。

 

 〔人体の構造と機能〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,人体の構造と機能に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な人体の構造と機能について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)人体の構造と機能に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)人体の構造と機能について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)解剖生理学の基礎

   ア 解剖生理学の意義

   イ 人体の体表区分

   ウ 細胞

   エ 人体の発生

   オ 組織

   カ 器官と器官系

  (2)系統別構造と機能

   ア 運動器系

   イ 消化器系

   ウ 呼吸器系

   エ 泌尿・生殖器系

   オ 内分泌系と代謝

   カ 循環器系

   キ 神経系

   ク 感覚器系

  (3)生体機能の協調

   ア 全身的協調

   イ 生体の防御機構

  (4)運動学

   ア 運動学の基礎

   イ 各関節の構造と機能

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,人体の構造と機能についての理解が知識に偏ることがないよう,実験・実習を取り入れるようにすること。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,標本,模型などを有効に活用して,指導の効果を高めるように配慮すること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,「疾病の成り立ちと予防」との関連を考慮して指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,施術と関連の深いア及びキに重点を置いて指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(4)のイについては,肩関節,肘関節,手関節,股関節,膝(ひざ)関節,足関節の各構造と機能を中心に取り扱うこと。

 

 〔疾病の成り立ちと予防〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,疾病の成り立ちと予防に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な疾病の成り立ちと予防について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)疾病の成り立ちと予防に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)疾病の成り立ちと予防について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)衛生学・公衆衛生学の概要

   ア 衛生学・公衆衛生学の意義

   イ 衛生学・公衆衛生学の歴史

  (2)健康の保持増進と生活

   ア 健康の概念

   イ 生活習慣と健康

   ウ ストレスと健康

  (3)生活習慣病

   ア 生活習慣病の概念

   イ 生活習慣病の発生要因

   ウ 生活習慣病の予防対策

  (4)生活環境と公害

   ア 環境と健康

   イ 地域の環境衛生

   ウ 公害

  (5)感染症

   ア 感染症の概念

   イ 感染症の発生要因

   ウ 感染症の予防対策

  (6)消毒

   ア 消毒法の一般

   イ 消毒の種類と方法

   ウ 消毒法の応用

  (7)疫学と衛生統計

   ア 疫学の基礎

   イ 衛生統計の基礎

   ウ 主な衛生統計

  (8)産業衛生,精神衛生及び母子衛生

   ア 産業衛生

   イ 精神衛生

   ウ 母子衛生

  (9)疾病の一般

   ア 疾病の概念

   イ 疾病の分類

   ウ 疾病と症状

   エ 疾病の経過,予後及び転帰

  (10)疾病の原因

   ア 病因の意義

   イ 病因の分類

   ウ 加齢と老化

  (11)各病変の大要

   ア 循環障害

   イ 退行性病変

   ウ 進行性病変

   エ 炎症

   オ 腫瘍(しゅよう)

   カ 免疫の異常とアレルギー

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(6)については,「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」との関連を図りながら,実践的に取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(9)から(11)までについては,疾患や愁訴に対する病態機序の理解と,施術の適応の判断に関する基礎的な能力が身に付くよう指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,特に生活習慣病と関連付けて取り扱うこと。ウについては,産業衛生と関連付けて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(5)については,最新の情報に配慮しながら,代表的な疾患を取り上げ,発生因子の回避に重点を置いて取り扱うこと。ウについては,免疫学についても取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(7)のウについては,保健理療業務と関係の深い統計等について取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(9)については,半健康状態及び東洋医学の未病の概念を取り入れながら指導すること。

 

 〔生活と疾病〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,疾病と日常生活の関わりに関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な疾病と日常生活の関わりについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)疾病と日常生活の関わりに関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)疾病と日常生活の関わりについて,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)診察法

   ア 診察の意義

   イ 診察法の種類

   ウ 臨床検査の概要

  (2)主な症状の診察法

   ア 頭痛

   イ 肩こり

   ウ 肩関節痛

   エ 頸(けい)肩腕痛

   オ 腰痛

   カ 腰下肢痛

   キ 膝(ひざ)痛

   ク 高血圧と低血圧

   ケ 心身の疲労

   コ その他の症状

  (3)治療法

   ア 治療法の基礎

   イ 治療法の実際

  (4)臨床心理

   ア 臨床心理の一般

   イ 心理療法の概要

  (5)系統別疾患の概要

   ア 運動器系疾患

   イ 神経系疾患

   ウ 呼吸器系疾患

   エ 血液・循環器系疾患

   オ 消化器系疾患

   カ 泌尿・生殖器系疾患

   キ 内分泌系・代謝疾患及びビタミン欠乏症

   ク 感染症

   ケ その他の疾患

  (6)リハビリテーションの一般

   ア リハビリテーションの概念と歴史

   イ 医学的リハビリテーションとリハビリテーション医学

   ウ 診察,評価,治療計画と記録

  (7)主な疾患のリハビリテーション

   ア 運動器系疾患

   イ 神経系疾患

   ウ 呼吸器系疾患

   エ 血液・循環器系疾患

  (8)機能訓練の概要

   ア 関節可動域訓練

   イ 筋力強化訓練

   ウ 日常生活動作訓練

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,予防医学,治療医学及びリハビリテーション医学という現代医学の体系に配慮すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,保健理療と直接関わりの深い事項に重点を置き,実習及び「臨床保健理療」との関連を考慮して指導すること。ウについては,医学的な知識として,検査方法やデータの意味等を取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,各症状の病態生理と鑑別診断を取り扱い,施術の適応の判断に生かせるよう指導すること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,代表的な治療法と適応疾患を中心に取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(5)については,現代医学の立場から各疾患の原因,症状及び治療法を中心に指導すること。なお,各症状に対する治療については,施術の有効性との関連を考慮し,保健理療と直接関わりの深い事項に重点を置くとともに,「臨床保健理療」と関連付けて取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(6)については,チーム医療としてのリハビリテーションの過程を,症例紹介やリハビリテーション施設の見学等を取り入れて指導すること。

   カ 〔指導項目〕の(7)については,地域医療や在宅ケアの実情を考慮し,保健理療と直接関わりの深いアからウまでを中心に取り扱うこと。

   キ 〔指導項目〕の(8)については,介護保険施設で行われる介護技術を含めて取り扱うこと。

 

 〔基礎保健理療〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,基礎保健理療に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)基礎保健理療について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)基礎保健理療に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)基礎保健理療について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)東洋医学の基礎

   ア 東洋医学の意義と特色

   イ 陰陽五行論

   ウ 臓腑(ふ)経絡論

   エ 気血,営衛,津液

   オ 病因

   カ 証(しょう)

  (2)東洋医学の診断と治療

   ア 日本の伝統医学的診断と治療

   イ 現代の中医学的診断と治療

  (3)経絡と経穴

   ア 臓腑(ふ)経絡とその流注

   イ 十四経脈の経穴

   ウ その他の特定穴

  (4)経絡,経穴と現代医学

   ア 経絡,経穴の現代医学的研究

   イ 関連する反応点,反応帯

  (5)保健理療施術の概要

   ア あん摩

   イ マッサージ

   ウ 指圧

   エ 保健理療の臨床応用

  (6)保健理療施術の治効理論と関連学説

   ア 刺激の伝達

   イ 身体組織・器官への影響

   ウ 生体反応と治効メカニズム

   エ 関連学説

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,保健理療に関する研究の成果を踏まえて取り扱い,保健理療に対する研究的な態度が培われるよう配慮すること。

   イ 〔指導項目〕の(1)から(4)までについては,保健理療施術との関連を重視して指導すること。

   ウ 〔指導項目〕の(6)については,「人体の構造と機能」の関連を考慮して取り扱うこと。また,(4)や研究の成果を総合し,保健理療臨床の観点から指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)のアについては,問診と切診に重点を置き,実習を取り入れて指導すること。イについては,臓腑(ふ)の生理と病理を踏まえた治療原則と治法を中心に取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(5)については,基本手技を取り上げ,その特徴を理解させるとともに,臨床における施術の適応の判断についても指導すること。アからウまでについては,諸外国における徒手による主な施術法についても取り扱うこと。エについては,病態を踏まえながら,アからウまでを適切に組み合わせた総合的な施術法を取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(6)のアからウまでについては,特に,運動器系疾患や内臓器系疾患に対する刺激の作用や生体反応の医学的意味と臨床への応用という観点で取り扱うこと。

 

 〔臨床保健理療〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,臨床保健理療に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)臨床保健理療について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)臨床保健理療に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)臨床保健理療について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)臨床保健理療の基礎

   ア 臨床保健理療の意義と役割

   イ 施術対象者の心理と施術者の対応

  (2)東洋医学における診断,治療の原則

   ア 診察

   イ 適応の判断

   ウ 施術計画

   エ 施術原則

   オ 記録

  (3)生体観察の基礎

   ア 骨の触察

   イ 筋の触察

   ウ 関節の触察

   エ 神経,血管の触察

  (4)健康と保健理療施術

   ア 健康観と疾病観

   イ 健康の保持増進のための保健理療施術

   ウ 生活習慣病予防のための保健理療施術

   エ その他の健康療法

  (5)主な症状の保健理療施術

   ア 頭痛

   イ 肩こり

   ウ 肩関節痛

   エ 頸(けい)肩腕痛

   オ 腰痛

   カ 腰下肢痛

   キ 膝(ひざ)痛

   ク 高血圧と低血圧

   ケ 心身の疲労

   コ その他の症状

  (6)主な疾患の保健理療施術

   ア 運動器系疾患

   イ 神経系疾患

   ウ 呼吸器系疾患

   エ 血液・循環器系疾患

   オ 消化器系疾患

   カ 泌尿・生殖器系疾患

   キ 内分泌系・代謝疾患

   ク 感染症

   ケ その他の疾患

  (7)高齢者に対する保健理療施術

   ア 高齢者の心身機能の特徴

   イ 高齢者の主な症状に対する保健理療施術

   ウ 要支援・要介護高齢者に対する保健理療施術

  (8)スポーツ領域における保健理療施術

   ア スポーツ障害・外傷の一般

   イ スポーツ障害・外傷の予防と管理

   ウ 主なスポーツ障害・外傷の保健理療施術

  (9)産業衛生における保健理療施術

   ア 仕事と健康

   イ 事業所におけるあん摩マッサージ指圧師の業務と役割

   ウ 主な職業起因性症状の保健理療施術

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 東洋医学と現代医学の知識と技術を総合した臨床概念が養われるよう内容相互の関連に留意して指導すること。

   イ 指導に当たっては,「保健理療基礎実習」における実技実習との関連を考慮すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,施術対象者との信頼関係を確立する上で必要な臨床心理の基礎及び面接技法の基本を理解できるよう取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,東洋医学における未病の考え方を踏まえて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(4)から(7)までについては,疾患ごとにその症状の機序や経過について,病態生理学と関連付けながら扱うとともに,施術の適応の判断ができるよう指導すること。

   エ 〔指導項目〕の(5)及び(6)については,「生活と疾病」で取り上げる症状や疾患と関連付けて指導するとともに,健康指導,生活指導及び応急処置の方法も含めて指導すること。

   オ 〔指導項目〕の(7)のウについては,特に,脳卒中モデル及び廃用症候群モデルのケアについて取り扱うこと。

   カ 〔指導項目〕の(8)のウについては,応急処置及びテーピングの基本について取り扱うこと。

 

 〔地域保健理療と保健理療経営〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,地域保健理療及び保健理療経営に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)地域保健理療及び保健理療経営について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)地域保健理療及び保健理療経営に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)地域保健理療及び保健理療経営について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)少子高齢社会と社会保障

   ア 少子高齢化の現状と動向

   イ 医療保障と介護保障の現状と課題

  (2)地域社会と保健理療

   ア 地域医療の沿革

   イ 地域保健理療の概念

   ウ 地域社会の医療と介護

  (3)地域保健理療の業務と社会保険

   ア 保健理療業務と療養費

   イ 保健理療業務と診療報酬

   ウ 保健理療業務と介護報酬

  (4)保健理療と経営

   ア 経営の一般

   イ 施術所の開設準備

   ウ 障害者雇用と助成金制度

   エ 経営の管理と運営

   オ 経営の展開と実際

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「医療と社会」との関連に留意するとともに,地域社会における保健理療の役割と意義を理解できるようにすること。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,制度に関する基本的な考え方や法令遵守についても指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,最新の統計や資料を踏まえて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,経営の実際の基本的な事項を取り扱うこと。

 

 〔保健理療基礎実習〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,臨床の基礎に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)臨床の基礎について体系的・系統的に理解するとともに,関連する基礎的な技術を身に付けるようにする。

  (2)臨床の基礎に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)臨床の基礎について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ効果的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)施術に必要な衛生と安全管理

   ア 施術室の管理

   イ 施術者の衛生保持

   ウ リスク管理

  (2)あん摩・マッサージ・指圧基礎実技実習

   ア あん摩の基本手技と身体各部の施術

   イ マッサージの基本手技と身体各部の施術

   ウ 指圧の基本手技と身体各部の施術

  (3)保健理療応用実技実習

   ア 医療面接実習

   イ 評価と理学的検査の実際

   ウ 運動療法の応用

   エ 物理療法の応用

  (4)保健理療総合実技実習

   ア 総合実技の基礎

   イ 主要症状・疾患に対する総合実技実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,この科目全体を通して習慣化されるよう取り扱うこと。ウについては,施術の過誤を予防するための適切な安全管理ができるように取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,他の科目と関連付けながら,基礎的な施術ができるよう指導すること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)及び(4)については,現代医学と東洋医学の両面から,病状を総合的に把握して,実際的な施術ができるよう指導すること。また,(3)のアについては,患者の立場に立ち,安全な施術を行うための心構えや実践的な能力が身に付くよう配慮すること。(4)のイについては,臨床実習前施術実技に関する評価を行うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,消毒法や滅菌法の実際に重点を置いて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,運動法の基本等についても取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(4)のイについては,臨床実習への導入として位置付け,「臨床保健理療」の〔指導項目〕の(5)及び(6)で取り上げる症状や疾患に対する施術の実際を取り扱うこと。

 

 〔保健理療臨床実習〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,臨床に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)臨床について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)臨床に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)臨床について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)校内実習

   ア 施術者と施術対象

   イ 施術の実際

   ウ カルテの記載と管理

   エ 症例検討

  (2)校外実習

   ア 校外実習の意義

   イ 校外実習の実際

   ウ 経営実習の実際

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,治療技術的な側面のみならず,インフォームド・コンセントや患者の秘密保持,カルテ等の適切な管理方法など,あん摩マッサージ指圧師としての倫理観や職業観を培うことに配慮すること。

   イ 地域の保健・医療・福祉機関との連携を図りながら,実際的に理解できるように指導すること。

   ウ 校内実習と校外実習の履修学年や授業時数の配当については,生徒の実態や実習・見学施設の状況等により弾力的に取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(2)については,保健理療の実践に適した施設等を選定し,当該施設等との十分な連絡調整を図ること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,生徒の臨床実習の習熟の程度に応じて適切な症例を選択するとともに,きめ細かな指導を行うことができるよう指導体制等に配慮すること。エについては,病態の把握,適応の判断,施術法や施術効果の検討,リスクの検討などを取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,多様な保健理療関連業務を理解するための施設見学や生徒の進路希望に対応した実習ができるように計画すること。ウについては,施術所経営に関する実際的な基礎的な知識が養われるように,臨床経験の豊富な者の話や施術所見学,模擬経営実習などを通して,保険の取扱いの実際を含めて具体的に指導すること。

 

 〔保健理療情報〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,保健理療情報に関する実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)保健理療情報について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)保健理療情報に関する基本的な課題を発見し,あん摩・マッサージ・指圧師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)保健理療情報について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及び疾病の治療に関する課題解決に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)情報社会の倫理と責任

   ア 情報社会の特徴

   イ 情報社会の倫理

   ウ 情報を扱う個人の責任

  (2)保健理療における情報の活用と管理

   ア 保健医療福祉分野の情報

   イ 情報システムの特徴

   ウ 情報の活用

   エ 情報の管理

  (3)保健理療における課題解決

   ア 課題に応じた情報収集

   イ 情報分析と解決方法

   ウ 情報の発信方法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 多様な題材やデータを取り上げ,情報技術の進展に応じた演習などを通して,生徒が情報及び情報ネットワークを適切に活用できるよう,情報の信頼性を判断する能力及び情報モラルを育成すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,個人のプライバシーや著作権を含む知的財産の保護,個人における情報の管理や発信に関する責任について,法令と関連付けて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,保健医療福祉関係者で共有する情報通信ネットワークの特徴と活用について,地域の実例などを取り扱うこと。また,業務における情報セキュリティの重要性について法令と関連付けて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,生徒が主体的に課題を設定して,情報を集め分析し,課題の解決に向けてモデル化,シミュレーション,プログラミングなどを行い,情報デザインなどを踏まえた発信方法を考え,協議する演習などを行うこと。

 

 〔課題研究〕

 1 目 標

   保健理療の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の保健医療福祉を支え,人々の健康の保持増進を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)保健理療について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。

  (2)保健理療に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師として解決策を探究し,科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。

  (3)課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)調査,研究,実験

  (2)職業資格の取得

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)及び(2)から,個人又はグループで保健理療に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,保健理療に関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)及び(2)にまたがるものを設定することができること。

   イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。

 

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。

  (2)実技や実習を伴う科目の指導に当たっては,臨床に応用する力を育むため,生徒が常に達成感と新たな技術の習得への意欲をもって学習できるように,指導内容の構成や指導方法の工夫に留意すること。

  (3)各科目の指導に当たっては,施術の対象となる代表的な疾患や愁訴に対する施術の適応を判断し確実に施術ができるようにするため,個々の生徒の実態に応じた指導計画の作成に配慮すること。

 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)単元などの内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,保健理療の見方・考え方を働かせ,健康に関する事象を,当事者の考えや状況,保健理療が生活に与える影響に着目して捉え,当事者による自己管理を目指して,適切かつ効果的な保健理療を関連付ける実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。

  (2)「保健理療基礎実習」及び「保健理療臨床実習」については,対象となる者の人格を尊重する態度を育てるとともに,実習における安全と規律に留意すること。

  (3)各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。

  (4)地域や保健理療に関する施術所,医療機関,介護保険施設等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

 3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。

 

第4款 理 療

 

第1 目 標

  理療の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,あん摩・マッサージ・指圧,はり及びきゅうを通じ,地域や社会の保健・医療・福祉を支え,人々の健康の保持増進及び疾病の治療に寄与する職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)あん摩・マッサージ・指圧,はり及びきゅうについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)あん摩・マッサージ・指圧,はり及びきゅうに関する課題を発見し,職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及び疾病の治療に主体的かつ協働的に寄与する態度を養う。

 

第2 各 科 目

 〔医療と社会〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,医療と社会の関わりに関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な医療と社会の関わりについて体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)医療と社会の関わりに関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)医療と社会の関わりについて,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)医学,医療及び理療の歴史

   ア 西洋,中国,韓国等における医学,医療の歴史

   イ 日本における医学,医療及び理療の歴史

  (2)社会保障制度の概要

   ア 医学の分野

   イ 社会保障の概念

   ウ 社会保険制度の概要

   エ 障害者福祉・精神保健医療福祉制度の概要

   オ 医療行政

  (3)理療の現状と課題

   ア 理療の概念

   イ 医療提供体制と地域包括ケアシステム

   ウ 理療業務の現状と課題

   エ 諸外国の理療

  (4)あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律

   ア 法令の沿革

   イ 法令の主な内容

  (5)関係法規の概要

   ア 医事関係法規

   イ その他の関係法規

  (6)あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師の倫理

   ア 医療従事者の倫理

   イ 理療業務と倫理

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,理療の医療における位置付けについて,十分理解を促すよう,理療以外の他の医学の歴史や現状,諸外国における理療の現状などを踏まえて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2),(3)及び(6)については,「地域理療と理療経営」との関連を考慮して指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,理療の近現代史に重点を置くこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,少子高齢化が進む我が国の社会の課題や展望について取り扱うこと。ウについては,医療保険(療養費を含む。),介護保険及び主な公費負担医療を中心に制度の概要を取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,地域医療や労働衛生におけるプライマリ・ケアの重要性と関連付けながら,現代社会における理療の役割と意義を取り扱うこと。イについては,医療機関の種類並びに医療従事者の資格,免許及び業務範囲を取り扱うとともに,地域包括ケアシステムにおける多職種間連携の意義を取り扱うこと。ウについては,理療業務の現状と課題について,関連する統計や資料を踏まえながら,療養費を適切に扱うための基礎的な知識が身に付くよう指導すること。

   エ 〔指導項目〕の(5)のアについては,医療法,医師法等の概要を取り扱うこと。イについては,高齢者の医療の確保に関する法律,介護保険法等の概要を取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(6)については,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての心構えや倫理観,患者の権利,法令遵守,コミュニケーション能力等について,十分な理解を促すよう具体的に指導すること。

 

 〔人体の構造と機能〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,人体の構造と機能に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な人体の構造と機能について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)人体の構造と機能に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)人体の構造と機能について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)解剖生理学の基礎

   ア 解剖生理学の意義

   イ 人体の体表区分

   ウ 細胞

   エ 人体の発生

   オ 組織

   カ 器官と器官系

  (2)系統別構造と機能

   ア 運動器系

   イ 消化器系

   ウ 呼吸器系

   エ 泌尿・生殖器系

   オ 内分泌系と代謝

   カ 循環器系

   キ 神経系

   ク 感覚器系

  (3)生体機能の協調

   ア 全身的協調

   イ 生体の防御機構

  (4)運動学

   ア 運動学の基礎

   イ 各関節の構造と機能

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,人体の構造と機能についての理解が知識に偏ることがないよう,実験・実習を取り入れるようにすること。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,標本,模型などを有効に活用して,指導の効果を高めるように配慮すること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,「疾病の成り立ちと予防」との関連を考慮して指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,施術と関連の深いア及びキに重点を置いて指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(4)のイについては,肩関節,肘関節,手関節,股関節,膝(ひざ)関節,足関節の各構造と機能を中心に取り扱うこと。

 

 〔疾病の成り立ちと予防〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,疾病の成り立ちと予防に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な疾病の成り立ちと予防について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)疾病の成り立ちと予防に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)疾病の成り立ちと予防について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)衛生学・公衆衛生学の概要

   ア 衛生学・公衆衛生学の意義

   イ 衛生学・公衆衛生学の歴史

  (2)健康の保持増進と生活

   ア 健康の概念

   イ 生活習慣と健康

   ウ ストレスと健康

  (3)生活習慣病

   ア 生活習慣病の概念

   イ 生活習慣病の発生要因

   ウ 生活習慣病の予防対策

  (4)生活環境と公害

   ア 環境と健康

   イ 地域の環境衛生

   ウ 公害

  (5)感染症

   ア 感染症の概念

   イ 感染症の発生要因

   ウ 感染症の予防対策

  (6)消毒

   ア 消毒法の一般

   イ 消毒の種類と方法

   ウ 消毒法の応用

  (7)疫学と衛生統計

   ア 疫学の基礎

   イ 衛生統計の基礎

   ウ 主な衛生統計

  (8)産業衛生,精神衛生及び母子衛生

   ア 産業衛生

   イ 精神衛生

   ウ 母子衛生

  (9)疾病の一般

   ア 疾病の概念

   イ 疾病の分類

   ウ 疾病と症状

   エ 疾病の経過,予後及び転帰

  (10)疾病の原因

   ア 病因の意義

   イ 病因の分類

   ウ 加齢と老化

  (11)各病変の大要

   ア 循環障害

   イ 退行性病変

   ウ 進行性病変

   エ 炎症

   オ 腫瘍(しゅよう)

   カ 免疫の異常とアレルギー

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(6)については,「理療基礎実習」及び「理療臨床実習」との関連を図りながら,実践的に取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(9)から(11)までについては,疾患や愁訴に対する病態機序の理解と,施術の適応の判断に関する基礎的な能力が身に付くよう指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,特に生活習慣病と関連付けて取り扱うこと。ウについては,産業衛生と関連付けて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(5)については,最新の情報に配慮しながら,代表的な疾患を取り上げ,発生因子の回避に重点を置いて取り扱うこと。ウについては,免疫学についても取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(7)のウについては,理療業務と関係の深い統計等について取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(9)については,半健康状態及び東洋医学の未病の概念を取り入れながら指導すること。

 

 〔生活と疾病〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,疾病と日常生活の関わりに関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)施術を行うために必要な疾病と日常生活の関わりについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)疾病と日常生活の関わりに関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)疾病と日常生活の関わりについて,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)診察法

   ア 診察の意義

   イ 診察法の種類

   ウ 臨床検査の概要

  (2)主な症状の診察法

   ア 頭痛

   イ 肩こり

   ウ 肩関節痛

   エ 頸(けい)肩腕痛

   オ 腰痛

   カ 腰下肢痛

   キ 膝(ひざ)痛

   ク 高血圧と低血圧

   ケ 心身の疲労

   コ その他の症状

  (3)治療法

   ア 治療法の基礎

   イ 治療法の実際

  (4)臨床心理

   ア 臨床心理の一般

   イ 心理療法の概要

  (5)系統別疾患の概要

   ア 運動器系疾患

   イ 神経系疾患

   ウ 呼吸器系疾患

   エ 血液・循環器系疾患

   オ 消化器系疾患

   カ 泌尿・生殖器系疾患

   キ 内分泌系・代謝疾患及びビタミン欠乏症

   ク 感染症

   ケ その他の疾患

  (6)リハビリテーションの一般

   ア リハビリテーションの概念と歴史

   イ 医学的リハビリテーションとリハビリテーション医学

   ウ 診察,評価,治療計画と記録

  (7)主な疾患のリハビリテーション

   ア 運動器系疾患

   イ 神経系疾患

   ウ 呼吸器系疾患

   エ 血液・循環器系疾患

  (8)機能訓練の概要

   ア 関節可動域訓練

   イ 筋力強化訓練

   ウ 日常生活動作訓練

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,予防医学,治療医学及びリハビリテーション医学という現代医学の体系に配慮すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,理療と直接関わりの深い事項に重点を置き,実習及び「臨床理療学」との関連を考慮して指導すること。ウについては,医学的な知識として,検査方法やデータの意味等を取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,各症状の病態生理と鑑別診断を取り扱い,施術の適応の判断に生かせるよう指導すること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,代表的な治療法と適応疾患を中心に取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(5)については,現代医学の立場から各疾患の原因,症状及び治療法を中心に指導すること。なお,各症状に対する治療については,施術の有効性との関連を考慮し,理療と直接関わりの深い事項に重点を置くとともに,「臨床理療学」と関連付けて取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(6)については,チーム医療としてのリハビリテーションの過程を,症例紹介やリハビリテーション施設の見学等を取り入れて指導すること。

   カ 〔指導項目〕の(7)については,地域医療や在宅ケアの実情を考慮し,理療と直接関わりの深いアからウまでを中心に取り扱うこと。

   キ 〔指導項目〕の(8)については,介護保険施設で行われる介護技術を含めて取り扱うこと。

 

 〔基礎理療学〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,基礎理療学に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)基礎理療学について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)基礎理療学に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)基礎理療学について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)東洋医学の基礎

   ア 東洋医学の意義と特色

   イ 陰陽五行論

   ウ 臓腑(ふ)経絡論

   エ 気血,営衛,津液

   オ 病因

   カ 証(しょう)

  (2)東洋医学の診断と治療

   ア 日本の伝統医学的診断と治療

   イ 現代の中医学的診断と治療

  (3)経絡と経穴

   ア 臓腑(ふ)経絡とその流注

   イ 十四経脈の経穴

   ウ その他の特定穴

  (4)経絡,経穴と現代医学

   ア 経絡,経穴の現代医学的研究

   イ 関連する反応点,反応帯

  (5)理療施術の概要

   ア あん摩

   イ マッサージ

   ウ 指圧

   エ はり

   オ きゅう

   カ 理療の臨床応用

  (6)理療施術の治効理論と関連学説

   ア 刺激の伝達

   イ 身体組織・器官への影響

   ウ 生体反応と治効メカニズム

   エ 関連学説

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,理療に関する研究の成果を踏まえて取り扱い,理療に対する研究的な態度が培われるよう配慮すること。

   イ 〔指導項目〕の(1)から(4)までについては,理療施術との関連を重視して指導すること。

   ウ 〔指導項目〕の(6)については,「人体の構造と機能」との関連を考慮して取り扱うこと。また,(4)や研究の成果を総合し,理療臨床の観点から指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)のアについては,問診と切診に重点を置き,実習を取り入れて指導すること。イについては,臓腑(ふ)の生理と病理を踏まえた治療原則と治法を中心に取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(5)については,基本手技を取り上げ,その特徴を理解させるとともに,臨床における施術の適応の判断についても指導すること。アからウまでについては,諸外国における徒手による主な施術法についても取り扱うこと。エについては,特殊な鍼(しん)法も取り扱うこと。カについては,病態を踏まえアからオまでを適切に組み合わせた総合的な施術法を取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(6)のアからウまでについては,特に,運動器系疾患や内臓器系疾患に対する刺激の作用や生体反応の医学的意味と臨床への応用という観点で取り扱うこと。

 

 〔臨床理療学〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,臨床理療学に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)臨床理療学について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)臨床理療学に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)臨床理療学について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)臨床理療学の基礎

   ア 臨床理療学の意義と役割

   イ 施術対象者の心理と施術者の対応

  (2)東洋医学における診断,治療の原則

   ア 診察

   イ 適応の判断

   ウ 施術計画

   エ 施術原則

   オ 記録

  (3)生体観察の基礎

   ア 骨の触察

   イ 筋の触察

   ウ 関節の触察

   エ 神経,血管の触察

  (4)健康と理療施術

   ア 健康観と疾病観

   イ 健康の保持増進のための理療施術

   ウ 生活習慣病予防のための理療施術

   エ その他の健康療法

  (5)主な症状の理療施術

   ア 頭痛

   イ 肩こり

   ウ 肩関節痛

   エ 頸(けい)肩腕痛

   オ 腰痛

   カ 腰下肢痛

   キ 膝(ひざ)痛

   ク 高血圧と低血圧

   ケ 心身の疲労

   コ その他の症状

  (6)主な疾患の理療施術

   ア 運動器系疾患

   イ 神経系疾患

   ウ 呼吸器系疾患

   エ 血液・循環器系疾患

   オ 消化器系疾患

   カ 泌尿・生殖器系疾患

   キ 内分泌系・代謝疾患

   ク 感染症

   ケ その他の疾患

  (7)高齢者に対する理療施術

   ア 高齢者の心身機能の特徴

   イ 高齢者の主な症状に対する理療施術

   ウ 要支援・要介護高齢者に対する理療施術

  (8)スポーツ領域における理療施術

   ア スポーツ障害・外傷の一般

   イ スポーツ障害・外傷の予防と管理

   ウ 主なスポーツ障害・外傷の理療施術

  (9)産業衛生における理療施術

   ア 仕事と健康

   イ 事業所におけるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師の業務と役割

   ウ 主な職業起因性症状の理療施術

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 東洋医学と現代医学の知識と技術を総合した臨床概念が養われるよう内容相互の関連に留意して指導すること。

   イ 指導に当たっては,「理療基礎実習」における実技実習との関連を考慮すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,施術対象者との信頼関係を確立する上で必要な臨床心理の基礎及び面接技法の基本を理解できるよう取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,東洋医学における未病の考え方を踏まえて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(4)から(7)までについては,疾患ごとにその症状の機序や経過について,病態生理学と関連付けながら扱うとともに,施術の適応の判断ができるよう指導すること。

   エ 〔指導項目〕の(5)及び(6)については,「生活と疾病」で取り上げる症状や疾患と関連付けて指導するとともに,健康指導,生活指導及び応急処置の方法も含めて指導すること。

   オ 〔指導項目〕の(7)のウについては,特に,脳卒中モデル及び廃用症候群モデルのケアについて取り扱うこと。

   カ 〔指導項目〕の(8)のウについては,応急処置及びテーピングの基本について取り扱うこと。

 

 〔地域理療と理療経営〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,地域理療及び理療経営に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)地域理療及び理療経営について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)地域理療及び理療経営に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)地域理療及び理療経営について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)少子高齢社会と社会保障

   ア 少子高齢化の現状と動向

   イ 医療保障と介護保障の現状と課題

  (2)地域社会と理療

   ア 地域医療の沿革

   イ 地域理療の概念

   ウ 地域社会の医療と介護

  (3)地域理療の業務と社会保険

   ア 理療業務と療養費

   イ 理療業務と診療報酬

   ウ 理療業務と介護報酬

  (4)理療と経営

   ア 経営の一般

   イ 施術所の開設準備

   ウ 障害者雇用と助成金制度

   エ 経営の管理と運営

   オ 経営の展開と実際

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「医療と社会」との関連に留意するとともに,地域社会における理療の役割と意義を理解できるようにすること。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,制度に関する基本的な考え方や法令遵守についても指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,最新の統計や資料を踏まえて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,経営の実際の基本的な事項を取り扱うこと。

 

 〔理療基礎実習〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,臨床の基礎に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)臨床の基礎について体系的・系統的に理解するとともに,関連する基礎的な技術を身に付けるようにする。

  (2)臨床の基礎に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)臨床の基礎について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ効果的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)施術に必要な衛生と安全管理

   ア 施術室の管理

   イ 施術者の衛生保持

   ウ リスク管理

  (2)あん摩・マッサージ・指圧基礎実技実習

   ア あん摩の基本手技と身体各部の施術

   イ マッサージの基本手技と身体各部の施術

   ウ 指圧の基本手技と身体各部の施術

  (3)はり基礎実技実習

   ア 刺鍼(しん)の方法

   イ 刺鍼(しん)の手技

   ウ 特殊な鍼(しん)法

  (4)きゅう基礎実技実習

   ア きゅう施術の基礎

   イ 各種の施灸(きゅう)法とその実際

  (5)理療応用実技実習

   ア 医療面接実習

   イ 評価と理学的検査の実際

   ウ 運動療法の応用

   エ 物理療法の応用

  (6)理療総合実技実習

   ア 総合実技の基礎

   イ 主要症状・疾患に対する総合実技実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,この科目全体を通して習慣化されるよう取り扱うこと。ウについては,施術の過誤を予防するための適切な安全管理ができるように取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)から(4)までについては,他の科目と関連付けながら,基礎的な施術ができるよう指導すること。

   ウ 〔指導項目〕の(5)及び(6)については,現代医学と東洋医学の両面から,病状を総合的に把握して,実際的な施術ができるよう指導すること。また,(5)のアについては,患者の立場に立ち,安全な施術を行うための心構えや実践的な能力が身に付くよう配慮すること。(6)のイについては,臨床実習前施術実技に関する評価を行うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,消毒法や滅菌法の実際に重点を置いて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,運動法の基本等についても取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)のウについては,小児鍼(しん),皮内鍼(しん),低周波鍼(はり)通電療法を中心に取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(6)のイについては,臨床実習への導入として位置付け,「臨床理療学」の〔指導項目〕の(5)及び(6)で取り上げる症状や疾患に対する施術の実際を取り扱うこと。

 

 〔理療臨床実習〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,臨床に関する実践的・体験的な学習活動を通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)臨床について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)臨床に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)臨床について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)校内実習

   ア 施術者と施術対象

   イ 施術の実際

   ウ カルテの記載と管理

   エ 症例検討

  (2)校外実習

   ア 校外実習の意義

   イ 校外実習の実際

   ウ 経営実習の実際

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,治療技術的な側面のみならず,インフォームド・コンセントや患者の秘密保持,カルテ等の適切な管理方法など,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師としての倫理観や職業観を培うことに配慮すること。

   イ 地域の保健・医療・福祉機関との連携を図りながら,実際的に理解できるように指導すること。

   ウ 校内実習と校外実習の履修学年や授業時数の配当については,生徒の実態や実習・見学施設の状況等により弾力的に取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(2)については,理療の実践に適した施設等を選定し,当該施設等との十分な連絡調整を図ること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,生徒の臨床実習の習熟の程度に応じて適切な症例を選択するとともに,きめ細かな指導を行うことができるよう指導体制等に配慮すること。エについては,病態の把握,適応の判断,施術法や施術効果の検討,リスクの検討などを取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,多様な理療関連業務を理解するための施設見学や生徒の進路希望に対応した実習ができるように計画すること。ウについては,施術所経営に関する実際的な基礎的な知識が養われるように,臨床経験の豊富な者の話や施術所見学,模擬経営実習などを通して,保険の取扱いの実際を含めて具体的に指導すること。

 

 〔理療情報〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,理療情報に関する実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,施術を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理療情報について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理療情報に関する基本的な課題を発見し,あん摩・マッサージ・指圧師,はり師及びきゅう師としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理療情報について,地域や社会を支えるあん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及び疾病の治療に関する課題解決に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)情報社会の倫理と責任

   ア 情報社会の特徴

   イ 情報社会の倫理

   ウ 情報を扱う個人の責任

  (2)理療における情報の活用と管理

   ア 保健医療福祉分野の情報

   イ 情報システムの特徴

   ウ 情報の活用

   エ 情報の管理

  (3)理療における課題解決

   ア 課題に応じた情報収集

   イ 情報分析と解決方法

   ウ 情報の発信方法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 多様な題材やデータを取り上げ,情報技術の進展に応じた演習などを通して,生徒が情報及び情報ネットワークを適切に活用できるよう,情報の信頼性を判断する能力及び情報モラルを育成すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,個人のプライバシーや著作権を含む知的財産の保護,個人における情報の管理や発信に関する責任について,法令と関連付けて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,保健医療福祉関係者で共有する情報通信ネットワークの特徴と活用について,地域の実例などを取り扱うこと。また,業務における情報セキュリティの重要性について法令と関連付けて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,生徒が主体的に課題を設定して,情報を集め分析し,課題の解決に向けてモデル化,シミュレーション,プログラミングなどを行い,情報デザインなどを踏まえた発信方法を考え,協議する演習などを行うこと。

 

 〔課題研究〕

 1 目 標

   理療の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の保健医療福祉を支え,人々の健康の保持増進を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理療について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。

  (2)理療に関する課題を発見し,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師として解決策を探究し,科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。

  (3)課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,適切かつ合理的な施術に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)調査,研究,実験

  (2)職業資格の取得

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)及び(2)から,個人又はグループで理療に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,理療に関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)及び(2)にまたがるものを設定することができること。

   イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。

 

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。

  (2)実技や実習を伴う科目の指導に当たっては,臨床に応用する力を育むため,生徒が常に達成感と新たな技術の習得への意欲をもって学習できるように,指導内容の構成や指導方法の工夫に留意すること。

  (3)各科目に指導に当たっては,施術の対象となる代表的な疾患や愁訴に対する施術の適応を判断し確実に施術ができるようにするため,個々の生徒の実態に応じた指導計画の作成に配慮すること。

 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)単元などの内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,理療の見方・考え方を働かせ,健康に関する事象を,当事者の考えや状況,理療が生活に与える影響に着目して捉え,当事者による自己管理を目指して,適切かつ効果的な理療を関連付ける実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。

  (2)「理療基礎実習」及び「理療臨床実習」については,対象となる者の人格を尊重する態度を育てるとともに,実習における安全と規律に留意すること。

  (3)各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。

  (4)地域や理療に関する施術所,医療機関,介護保険施設等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

 3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。

 

第5款 理学療法

 

第1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理学療法を通じ,地域や社会の保健・医療・福祉を支え,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに寄与する職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理学療法に関する課題を発見し,職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 

第2 各 科 目

 〔人体の構造と機能〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,人体の構造,機能及び心身の発達に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法を行うために必要な人体の構造,機能及び心身の発達について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)人体の構造,機能及び心身の発達に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)人体の構造,機能及び心身の発達と機能について地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)人体の構造

   ア 解剖学の基礎

   イ 系統解剖

   ウ 体表解剖

   エ 機能解剖

   オ 解剖学実習

  (2)人体の機能

   ア 生理学の基礎

   イ 人体各器官の機能

   ウ 運動生理学

   エ 生理学実習

  (3)人体の運動

   ア 運動学の基礎

   イ 身体の運動

   ウ 運動学実習

  (4)人間の発達

   ア 人間発達の基礎

   イ 各期における発達の特徴と評価

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 人体についての理解が抽象的な概念の把握にとどまることのないようにするため,観察及び実験・実習を取り入れ,具体的,実際的に指導すること。

   イ 指導に当たっては,人体の構造面と機能面を系統的に理解できるようにするため,これらの内容を相互に関連付けて取り扱うこと。また,理学療法において重要な運動機能面に重点を置いて取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,模型,標本の活用や実習,生体観察などを通して,人体の構造が実際的に理解できるようにすること。

   イ 〔指導項目〕の(3)のウについては,上肢,下肢及び体幹の動き,各種の姿勢と日常生活における動作などの分析を取り扱うこと。

 

 〔疾病と障害〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,疾病と障害の成り立ち及び回復過程に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法を行うために必要な疾病と障害の成り立ち及び回復過程について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)疾病と障害の成り立ち及び回復過程に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)疾病と障害の成り立ち及び回復過程について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)病理学

   ア 病理学の基礎

   イ 病因

   ウ 病変

  (2)内科疾患

   ア 内科学の基礎

   イ 主な内科疾患

  (3)整形外科疾患

   ア 整形外科学の基礎

   イ 主な整形外科疾患

  (4)神経内科疾患

   ア 神経内科学の基礎

   イ 神経症候学の基礎

   ウ 主な神経内科疾患

  (5)精神科疾患

   ア 精神医学の基礎

   イ 主な精神科疾患

  (6)小児科疾患

   ア 小児科学の基礎

   イ 主な小児科疾患

  (7)高齢者の疾患

   ア 老年医学の基礎

   イ 主な高齢者の疾患

  (8)臨床心理学

   ア 臨床心理学の基礎

   イ 臨床心理学の応用

  (9)栄養学

   ア 栄養学の基礎

  (10)薬理学

   ア 薬理学の基礎

  (11)救急救命医学

   ア 救急救命医学の基礎

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,内容相互に関連をもたせ,疾病,障害,診断,治療及び予防などを系統的に理解できるよう取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)から(7)までについては,理学療法と関係の深い代表的な疾患に重点を置くとともに,医用画像評価や疾病の予測や再発予防についても取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,理学療法と関係の深い循環器系,呼吸器系及び代謝系に重点を置いて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(3)のイについては,スポーツ障害や急性期の外傷についても取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(4)のイ及びウについては,理学療法と関係の深い中枢神経疾患及び末梢(しょう)神経疾患に重点を置いて取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(7)のアについては,嚥下(えんげ)の仕組みについても取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(8)のイについては,患者の心理,臨床心理学的検査法,心理療法及びカウンセリングなどを取り扱うこと。

 

 〔保健・医療・福祉とリハビリテーション〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,保健・医療・福祉とリハビリテーションに関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法を行うために必要な保健・医療・福祉とリハビリテーションについて体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)保健・医療・福祉とリハビリテーションに関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)保健・医療・福祉とリハビリテーションについて,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)保健・医療・福祉の体系

   ア 保健・医療・福祉の概要

   イ 各種の保健・医療・福祉制度

   ウ 地域包括ケアシステムの概要

  (2)リハビリテーション

   ア リハビリテーションの理念

   イ 主要疾患のリハビリテーション

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,内容が抽象的な概念の把握にとどまることのないよう,また多職種との連携の重要性についての理解が図られるよう,症例紹介や保健・医療・福祉及びリハビリテーション施設の見学などを交えて取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,理学療法に関係の深い代表的な保健・医療・福祉制度の現状と課題について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(1)のウについては,住まい・医療・介護・予防・生活支援の一体的提供及び地域ケア会議について取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(2)のアについては,自立支援及び就労支援について取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(2)のイについては,理学療法の対象となる代表的な疾患を取り上げ,その原因,症状,経過及び予後並びにリハビリテーション治療の概要を取り扱うこと。

 

 〔基礎理学療法学〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,基礎理学療法学に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法を行うために必要な基礎理学療法学について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)基礎理学療法学に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)基礎理学療法学について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)理学療法の概要

   ア 理学療法の歴史

   イ 理学療法の基礎

   ウ 健康増進と予防に関する理学療法

   エ 理学療法研究法

  (2)関係法規

   ア 理学療法士及び作業療法士法

   イ その他の関係法規

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「保健・医療・福祉とリハビリテーション」及び「地域理学療法学」との関連に留意して取り扱うこと。また,理学療法士と多職種との連携によるチーム医療の大切さについても触れること。

   イ 〔指導項目〕の(1)については,統計学や教育学,情報科学などとの関連を図りながら指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,医療の歴史における理学療法の位置付けも含めて取り扱うこと。イについては,理学療法の医療における位置付け,理学療法士の関連組織も含めて取り扱うこと。ウについては,予防医学と理学療法とを関連付けて行うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,医師法などの概要を取り扱うこと。

 

 〔理学療法管理学〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,理学療法管理学に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法を行うために必要な理学療法管理学について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)理学療法管理学に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理学療法管理学について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)理学療法管理学の基礎

   ア 職場管理と運営

  (2)理学療法と職業倫理

   ア 理学療法倫理

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,内容相互に関連をもたせ理学療法管理学を体系的・系統的に理解できるようにすること。

   イ 〔指導項目〕の(1)のアについては,「保健・医療・福祉とリハビリテーション」の〔指導項目〕と関連付けながら,医療保険制度,介護保険制度,組織運営及びチーム医療について取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(2)のアについては,医療従事者としての心構え,倫理観,患者の人権,法令遵守などについて取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,安全衛生,リスク管理及び理学療法教育を含めて取り扱うこと。

 

 〔理学療法評価学〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,理学療法評価学に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法評価学について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理学療法評価学に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理学療法評価学について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)理学療法評価

   ア 理学療法評価の基礎

   イ 各種の理学療法評価の方法

   ウ 理学療法評価の実習

  (2)運動学的評価

   ア 運動学的評価の基礎

   イ 運動・動作の分析の方法

  (3)医用画像評価

   ア 医用画像評価の基礎

   イ 医用画像評価の方法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,基礎的な実習を十分に行うとともに,具体的な症例を取り上げること。また,機械・器具などを工夫して生徒の視覚障害の状態に応じた適切な指導ができるよう配慮すること。

   イ 「理学療法治療学」及び「理学療法臨床実習」との関連を図りながら,理学療法評価とともに,医学的な一般評価,心理学的評価や社会的評価も取り扱うこと。

   ウ 指導に当たっては,動画による理学療法評価が行えるようコンピュータ等の情報機器を活用するなどの工夫をすること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,運動機能の評価に重点を置いて取り扱うこと。また,リスク管理としてのバイタルサインの評価の重要性について十分に指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,人体の運動に関する基礎的な知識を踏まえ,各種の疾患や障害の運動学的評価と考察の方法,治療計画への応用などを取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,静止画や動画を用いた,理学療法と関係の深い姿勢や動作の分析,神経系,運動器系,呼吸器系及び循環器系の画像評価を中心に取り扱うこと。

 

 〔理学療法治療学〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,理学療法治療学に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法治療学について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理学療法治療学に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理学療法治療学について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)運動療法

   ア 運動療法の基礎

   イ 各種の運動療法

   ウ 各障害に対する運動療法

   エ 運動療法実習

  (2)物理療法

   ア 物理療法の基礎

   イ 各種の物理療法

   ウ 物理療法実習

  (3)義肢装具

   ア 義肢装具の基礎

   イ 義肢

   ウ 装具

   エ 義肢装具の実習

  (4)日常生活活動

   ア 日常生活活動の基礎

   イ 日常生活活動の評価

   ウ 日常生活活動の指導法

  (5)理学療法技術論

   ア 理学療法技術論の基礎

   イ 疾患別理学療法治療の方法

   ウ 疾患別理学療法治療の実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,基礎実技の実習に重点を置いて実際的に理解させるとともに,リスク管理について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,「地域理学療法学」との関連を図り,指導内容が重複しないよう配慮すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,疾病や障害に対する運動療法にとどまらず,スポーツ,レクリエーションなども取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(5)については,健康増進のための理学療法,診療記録の仕方や管理及び喀痰(かくたん)等の吸引についても取り扱うこと。

 

 〔地域理学療法学〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,地域理学療法学に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)地域理学療法学について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)地域理学療法学に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)地域理学療法学について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)地域理学療法の概要

   ア 地域理学療法の基礎

   イ 地域理学療法における理学療法士の役割

  (2)地域理学療法各論

   ア 地域理学療法における生活評価

   イ 地域理学療法の実際

   ウ 在宅ケアと生活指導

   エ リハビリテーション関連機器

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,地域における理学療法を効果的に実践できるようにするため,症例検討や在宅訪問などを取り入れて指導すること。

   イ 指導に当たっては,「保健・医療・福祉とリハビリテーション」との関連を図り,指導内容が重複しないよう配慮すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)のイについては,保健所,福祉施設等における理学療法を取り扱うこと。ウについては,在宅ケア対象者の介護及び家族を含めた生活指導を中心に取り扱うこと。その際,施設等への通院・通所者の在宅ケアなどについても取り扱うこと。

 

 〔理学療法臨床実習〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,理学療法臨床実習に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理学療法を行うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法臨床実習について体系的・系統的に理解するとともに,関連する基礎的な技術を身に付けるようにする。

  (2)理学療法臨床実習に関する課題を発見し,理学療法士としての職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理学療法臨床実習について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)理学療法の見学実習

   ア 医療機関の見学実習

   イ その他の施設の見学実習

  (2)理学療法の臨床実習

   ア 症例観察と基礎臨床実習

   イ 総合臨床実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,患者の人権の尊重や患者のリスク管理について指導すること。また,生徒の安全や健康管理についても指導すること。

   イ 指導に当たっては,「地域理学療法学」及び「保健・医療・福祉とリハビリテーション」との関連を図り,地域包括ケアシステムについて触れること。

   ウ 〔指導項目〕の(1)については,生徒が理学療法に対する興味・関心を高めることができるよう指導方法を工夫すること。

   エ 〔指導項目〕の(2)については,各種の疾患や障害に対して,偏りなく実習を行うことができるよう実習施設及び臨床実習指導者と連携を図りながら,調整すること。

   オ 〔指導項目〕の(2)については,理学療法に関する総合的な知識や基本的な技術及び態度等に関する臨床実習前の評価と臨床実習後の評価を行うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,地域における様々な施設での理学療法の実際を見学できるよう配慮すること。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,理学療法臨床に必要な症例報告の書き方や症例研究の方法などを含めて取り扱うこと。

 

 〔理学療法情報〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,理学療法情報に関する実践的・体験的な学習活動を行うこと通して,理学療法の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法情報について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理学療法情報に関する課題を発見し,理学療法の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理学療法情報について,地域や社会を支える理学療法士を目指して自ら学び,人々の健康の保持増進及びリハビリテーションに関する課題解決に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)情報社会の倫理と責任

   ア 情報社会の特徴

   イ 情報社会の倫理

   ウ 情報を扱う個人の責任

  (2)理学療法における情報の活用と管理

   ア 保健医療福祉分野の情報

   イ 情報システムの特徴

   ウ 情報の活用

   エ 情報の管理

  (3)理学療法における課題解決

   ア 課題に応じた情報取集

   イ 情報分析と解決方法

   ウ 情報の発信方法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 多様な題材やデータを取り上げ,情報技術の進展に応じた演習などを通して,生徒が情報及び情報ネットワークを適切に活用できるよう,情報の信頼性を判断する能力及び情報モラルを育成すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,個人のプライバシーや著作権を含む知的財産の保護,個人における情報の管理や発信に関する責任について,法令と関連付けて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,保健・医療・福祉関係者で共有する情報通信ネットワークの特徴と活用について,地域の実例などを取り扱うこと。また,業務における情報セキュリティの重要性について法令と関連付けて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,生徒が主体的に課題を設定して,情報を集め分析し,課題の解決に向けてモデル化,シミュレーション,プログラミングなどを行い,情報デザインなどを踏まえた発信方法を考え,協議する演習などを行うこと。

 

 〔課題研究〕

 1 目 標

   理学療法の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の保健・医療・福祉を支え人々の健康の保持増進を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理学療法について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。

  (2)理学療法に関する課題を発見し,理学療法士として解決策を探究し,科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。

  (3)課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,理学療法に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)調査,研究,実験

  (2)職業資格の取得

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)及び(2)から,個人又はグループで理学療法に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,理学療法に関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)及び(2)にまたがるものを設定することができること。

   イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。

 

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。

  (2)各科目の指導に当たっては,生徒が常に達成感と新たな知識及び技術の習得への意欲をもって学習できるように,指導内容の構成や指導方法の工夫に十分留意すること。

 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)単元などの内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,理学療法の見方・考え方を働かせ,健康に関する事象を,当事者の考えや状況,理学療法が生活に与える影響に着目して捉え,当事者による自己管理を目指して,適切かつ効果的な理学療法と関連付ける実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。

  (2)「基礎理学療法学」及び「理学療法治療学」の内容については,相互の密接な関連を図って取り扱うこと。

  (3)「理学療法治療学」及び「地域理学療法学」の内容については,作業療法との関連に留意して取り扱うこと。

  (4)各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。

  (5)地域や医療機関等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

 3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。

 

第6款 印 刷

 

第1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,情報デザインと印刷物の作成を通じ,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)印刷の各工程について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)印刷産業に関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 

第2 各 科 目

 〔印刷概論〕

 1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)印刷とメディアについて体系的・系統的に理解するとともに,印刷の文化的価値を理解し,印刷メディアに関する技術を身に付けるようにする。

  (2)印刷とメディアに関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)印刷とメディアについて,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)メディアの基礎

   ア メディアの定義と機能

   イ メディアの種類と特性

  (2)情報メディアの特性と活用

   ア 情報メディアの種類と特性

   イ 情報メディアの活用

  (3)印刷と社会

   ア 印刷と技術の進歩

   イ 印刷商品の形態と機能

   ウ 印刷物が社会に及ぼす影響

   エ 印刷と情報産業

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 教科の基礎科目であることを踏まえ,視聴覚教材・教具の活用及び産業現場の見学等により,生徒の学習意欲の向上に努めること。

   イ 情報伝達やコミュニケーションの目的に応じて情報メディアを適切に選択し,効果的に活用することを理解させるとともに,著作権などの知的財産の取扱いにも留意することを理解させること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,メディアが社会や情報産業に果たしている役割について取り扱うこと。イについては,多様なメディアについて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,新聞,テレビ,電話などを取り上げ,それぞれの情報メディアの特徴や働きについて取り扱うこと。イについては,情報の収集,分析,発信などにおいて情報メディアを効果的に活用するために必要な基礎的な知識と技術について取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)のイからエまでについては,印刷産業の動向や様々な産業分野における印刷技術の利活用を含めた今後の展望について取り扱うこと。

 〔印刷デザイン〕

 1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)印刷デザインについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)印刷デザインに関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)印刷デザインについて,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)視覚の原理とデザイン

   ア 視覚の仕組みと認知

   イ 印刷デザインの歴史

   ウ 視覚情報の伝達とメディア

  (2)構成とデザイン

   ア デザインの概要と構成要素

   イ 構成による視覚心理

   ウ デザインの基礎技法

  (3)印刷技術とデザイン

   ア デザインのワークフロー

   イ フィニッシュワーク

   ウ タイポグラフィー

   エ カラー理論

   オ レイアウトデザイン

   カ インフォグラフィックス

  (4)デザインの制作

   ア 名刺,カレンダー

   イ 広告チラシ,ポスター

   ウ パッケージ

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 具体的な資料の活用や作品の鑑賞などを通して,生徒が意欲的に作品制作を行うことができるようにすること。

   イ 〔指導項目〕の(1)及び(2)については,具体的な事例を提示して指導すること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,実習を通して指導すること。

   エ 〔指導項目〕の(4)については,アからウまでのうち,一つ以上を選択し,(1)から(3)までの内容の指導で身に付けたことをもとに作品の制作ができるようにすること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(3)については,レタリングについても取り扱うこと。

 

 〔印刷製版技術〕

 1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)印刷製版技術について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)印刷製版技術に関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)印刷製版技術について,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)各種版式の特徴と版式

   ア 凸版印刷における製版

   イ 平版印刷における製版

   ウ 凹版印刷における製版

   エ 孔版印刷における製版

  (2)特色印刷とフルカラー印刷における製版

   ア モノクロ製版

   イ カラー製版

  (3)写真製版

   ア カメラ原理

   イ 写真用感光材料

   ウ 現像処理

   エ 刷版

  (4)デジタル製版

   ア フィルムセッタとプレートセッタ

   イ RIP処理

   ウ 色分解と色再現

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 「印刷総合実習」と関連させながら取り扱い,製版の基礎的な知識や技術の習得を促すよう留意すること。

   イ 刷版工程を含むフィルム製版,プレート製版を総合的に取り扱い,デジタル製版技術の基礎となる基本的な知識や技術について写真製版等の製版技術を通し習得できるよう留意すること。

   ウ 製版材料の保管や取扱いと共に,現像等により生じる廃液等の処理,技術革新による変化についても触れ,環境保全の重要性も取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,印刷の版式に応じた製版を取り扱い,製版材料や工程にも触れること。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,光と色の基礎となる知識に加え,光源と照明,カメラのレンズや絞り,露光と光化学,写真濃度,網点とスクリーン線数についても取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(4)についてはスキャナーによる色分解,コンピュータらの色分解出力,ダイレクト製版について技術革新によるメリットを含め具体的に取り扱うこと。また,アナログ製版の知識や技術がデジタル製版に生かされていることも触れること。

 

 〔DTP技術〕

 1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)DTP技術について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)DTP技術に関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)DTP技術について,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)DTPで取り扱う情報メディアの種類と特性

   ア 文字

   イ 図形

   ウ 静止画

  (2)DTPシステム

   ア ハードウェア,ソフトウェア

   イ 文書作成,編集,管理

   ウ 画像作成,編集,管理

   エ DTP編集

  (3)デジタルプリプレス

   ア ワークフロー

   イ フォント,組版

   ウ カラーマネジメント

   エ データの出力,入稿,面付け

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,印刷産業における実践的な知識と技術の習得を図るよう,生徒や学校の実態に応じて,適切なアプリケーションソフトウェアを選択し指導すること。また,実習を通し,情報メディアの編集処理に関わる技術を著作権など知的財産の取扱いにも留意して習得させること。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,(3)と関連付けて指導すること。

   ウ 他の印刷に関する各科目と関連付けて指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,具体的な事例を通して,それぞれの表現メディアの特性やデジタル化に関する基本的な原理について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,ビジネス文書をはじめとした様々なドキュメント様式についても取り上げ,それぞれの特性やコンピュータによる編集に必要な基礎的な知識と技術について取り扱うこと。また,校正作業についても取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(2)のウについては,ラスタデータ(形式)画像やベクタデータ(形式)画像を取り上げ,それぞれの特性やコンピュータによる編集に必要な基礎的な知識と技術について取り扱うこと。また,図表によるグラフィックスについても取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(3)のウの詳細は,デジタル画像技術で取り扱うこと。また,エについては,スクリーニングやカンプとプルーフについても触れること。

 

 〔印刷情報技術〕

 1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)印刷情報技術について体系的・系統的に理解するとともに,印刷産業に関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)印刷情報技術に関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)印刷情報技術について,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)産業社会と情報技術

   ア 情報化の進展と産業社会

   イ 情報の価値と情報モラル

   ウ 情報のセキュリティ管理

  (2)コンピュータシステム

   ア ハードウェアとソフトウェア

   イ オペレーティングシステムの基礎

   ウ アプリケーションソフトウェアの利用

  (3)プログラミングの基礎とコンピュータ制御

   ア プログラム言語と流れ図

   イ 基本的なプログラミング

   ウ コンピュータ制御の基礎

  (4)コンピュータネットワーク

   ア コンピュータネットワークの概要

   イ コンピュータネットワークの構成

   ウ コンピュータネットワークの通信技術

  (5)印刷産業における情報技術の活用

   ア 情報の収集と活用

   イ DTP活用とデジタル印刷

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,コンピュータの操作を通して具体的に理解させること。また,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切なオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを選択し,印刷に関する題材やデータなどを用いた実習を通して,情報を主体的に活用できるように指導すること。また,他の印刷に関する各科目と関連付けて実習や演習を中心として取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,コンピュータシステムの概要について理解させるとともに,利用に必要な基本的な操作を習得させること。また,印刷産業におけるコンピュータシステムについても触れること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。

   エ 〔指導項目〕の(5)については,情報機器や情報通信ネットワークを活用して,適切な情報の収集,整理,分析,表現及び発表をさせること。また,印刷産業におけるコンピュータネットワークの活用についても触れること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,情報化の進展が産業社会に及ぼす影響について,身近な事例を取り扱うこと。また,個人のプライバシーや著作権など知的財産の保護,収集した情報の管理,発信する情報に対する責任などの情報モラルと情報のセキュリティ管理の方法を取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(3)のイについては,基本的なプログラムの作成方法を取り扱うこと。ウについては,身近な事例を通してコンピュータ制御と組み込みの概要を取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(5)のアについては,情報通信ネットワークを活用した情報の収集,処理及び発信について体験的に理解させること。イについては,生徒の実態に応じてアプリケーションソフトウェアを選択し,入稿,印刷システムへの前段階となるプリプレスに関する知識や技術を含め,取り扱うこと。また,印刷に関する分野における最新の情報機器の活用についても触れること。

 

 〔デジタル画像技術〕

 1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)デジタル画像技術について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)デジタル画像技術に関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)デジタル画像技術について,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)デジタル画像

   ア デジタルデータの特徴

   イ 画像のデジタル化

   ウ 画像の記憶と再現

  (2)画像入力機器

   ア デジタルカメラ

   イ スキャナー

  (3)デジタルデータ

   ア 画像データの形式と特徴

   イ 圧縮技術とインフラストラクチャー

   ウ データ通信

  (4)画像の作成と処理

   ア ラスタデータ(形式)画像

   イ ベクタデータ(形式)画像

  (5)デジタルデータ入稿

   ア プリフライト

   イ 分版

   ウ 入稿用PDF

   エ カラー変換

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「印刷情報技術」,「DTP技術」及び「印刷総合実習」と関連させながら,コンピュータを活用し画像処理の基礎的な知識と技術を習得させること。

   イ 生徒の実態や興味・関心に応じ,関連ソフトウェアの積極的な活用を図り,表現として画像データを実践的に印刷として応用できるよう知識と技術の習得を図ること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,AD変換における量子化や符号化と共にデータ量を表すバイトやビットなど文字と画像をデジタルデータとして扱う際の基礎的な知識について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,入力機器の仕組みや構造を含め,光情報を電気信号に置き換える仕組みについて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,通信技術についても取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,画像サイズ,線数,解像度,色分解,アンシャープマスク等にも触れること。

 

 〔印刷総合実習〕

 1 目 標

   印刷に関する見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)印刷の各工程について,体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)印刷技術や印刷産業に関する課題を発見し,職業人としての倫理観をもって合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)印刷技術や印刷産業について,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,印刷産業の創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)要素実習

  (2)総合実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,安全に配慮するとともに生徒の興味・関心,進路希望等に応じて実習内容を重点化することや生徒に実習内容を選択させることなど弾力的に取り扱うこと。

   イ 指導に当たっては,情報機器の積極的な活用を図りながら,印刷技術に関する基礎・基本が習得できるよう,他の印刷に関する科目との関連を図ること。

   ウ 指導に当たっては,印刷に関する伝統的な技術・技能を扱うとともに,安全衛生や技術者としての倫理,環境及びエネルギーヘの配慮などについて,総合的に理解させること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)の実習においては,関連機械の仕組みや構造,機械の点検整備や保守管理,印刷用紙や印刷インク,製本に関する知識や技術も併せて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,(1)の個々の要素技術を総合化し,企画から納品までの流れを総合的に理解できるよう留意すること。

   ウ 〔指導項目〕の(2)については,地域の企業等の協力を得るなどし,印刷に関する先端的技術に関わる施設設備の見学を含め,インターンシップ等体験的な実習に取り組めるよう工夫すること。

 

  〔課題研究〕

 1 目 標

   印刷の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなど通して,社会を支え産業の発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)印刷について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。

  (2)印刷技術や印刷産業に関する課題を発見し,印刷産業に携わる者として解決策を探究し,科学的な根拠に基づき創造的に解決する力を養う。

  (3)課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,印刷産業の発展や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)調査,研究,実験

  (2)作品制作

  (3)産業現場等における実習

  (4)職業資格の取得

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 生徒の興味・関心,進路指導等に応じて〔指導項目〕の(1)から(4)までの中から,個人又はグループで印刷に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通し,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,印刷に関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)から(4)までの2項目以上にまたがるものを設定することができること。

   イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。

 

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,印刷の見方・考え方を働かせ,見通しをもって実験・実習などを行い,科学的な根拠に基づき創造的に探究するなどの実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。

  (2)印刷に関する各学科においては,「印刷概論」及び「課題研究」を原則として全ての生徒に履修させること。

  (3)印刷に関する各学科においては,原則として印刷科に属する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実習に配当すること。

  (4)地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

  (5)「印刷製版技術」,「DTP技術」,「デジタル画像技術」については,学校や地域の実態などを考慮して適切な指導内容を設定し,重点的に取り扱うこと。

  (6)「課題研究」については,年間指導計画に定めるところに従い,学校や地域の実態,生徒の興味・関心,進路希望などを考慮し,必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。

 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)情報メディアや印刷物に関する課題を明確化して解決するための主体的な情報収集や意見交換を積極的に取り入れ,科学的な根拠に基づいて論理的に説明する言語活動に関わる学習活動を一層重視すること。また,印刷に関する知識と技術の定着と概念の深化を図るため,体験したことや解決方法などを説明するなどの言語活動を取り入れること。

  (2)コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用し,学習の効果を高めるよう工夫すること。また,情報の信頼性や信憑(ぴょう)性を見極めたり,確保したりする能力の育成を図るとともに,知的財産権や個人情報の保護をはじめ,科学的な理解に基づく情報モラルの育成を図ること。

 3 実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止や環境保全の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。また,廃液などの処理についても,十分留意するものとする。

 

第7款 理容・美容

 

第1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容を通じ,公衆衛生の向上に寄与する職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容に関する課題を発見し,職業人に求められる倫理感を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 

第2 各 科 目

 〔関係法規・制度〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容の関係法規・制度について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)理容・美容の関係法規・制度に関する課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理容・美容の関係法規・制度について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)衛生行政

   ア 衛生行政の仕組みと意義

   イ 保健所の組織と活動

  (2)理容師法と美容師法

   ア 沿革と目的

   イ 理容師及び美容師の資格

   ウ 理容所及び美容所の開設

   エ 罰則規定

  (3)その他の関係法規

   ア 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律

   イ 消費者保護関係法規

   ウ 理容師法と美容師法との違い

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)及び(2)については,理容所や美容所,保健所の見学等を通して,理容師や美容師の役割や理容・美容業の意義についての自覚を促すようにすること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,衛生行政の組織のうち,特に,理容・美容業と関係の深い保健所の組織と活動を重点的に取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,特に理容師や美容師の業務上の遵守事項等について取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,理容・美容の業務との関連を図り,関係法規の概要について取り扱うこと。

 

 〔衛生管理〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容業に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容における衛生管理に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容における衛生管理に関する課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理容・美容における衛生管理について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)公衆衛生概説

   ア 公衆衛生の意義と歴史

   イ 保健所と理容・美容業

  (2)環境衛生

   ア 環境衛生概論

   イ 環境衛生各論

   ウ 理容所及び美容所における環境衛生

  (3)感染症

   ア 感染症の種類と発生原因

   イ 感染症の予防

   ウ 理容・美容と感染症

  (4)衛生管理技術

   ア 消毒の意義と目的

   イ 消毒法の種類

   ウ 消毒法の実際

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「保健」と関連させながら,理容・美容業における衛生措置の実際的な知識と技術の習得を図ること。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,器具の消毒が,理容・美容の業務を衛生的に行う上で,特に重要なものであることから,実験・実習を通して,その意義を理解させ,消毒に関して必要な適切な技術などの習得に努めること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,公衆衛生と理容・美容業との結び付き,理容師や美容師の責務,保健所の業務などを重点的に取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,環境と健康,衣食住の衛生,廃棄物処理と環境保全などを重点的に取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,感染症の種類など,理容・美容と関係の深い事項を重点的に取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(4)については,消毒器具の取扱い,消毒薬の保管方法などの概要を取り扱うこと。

 

 〔保 健〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容業に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容の保健に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容の保健に関する課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理容・美容の保健について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)人体の構造と機能

   ア 人体の構造

   イ 人体の調整機能

   ウ 人体の骨格,筋

   エ 人体の神経機能

  (2)皮膚及び皮膚付属器官の構造及び機能

   ア 構造

   イ 生理作用

  (3)皮膚及び皮膚付属器官の保健衛生

   ア 皮膚に影響を及ぼす因子

  (4)皮膚及び皮膚付属器官の疾患

   ア 疾患の種類,原因,症状

   イ 理容・美容で使用する香粧品とかぶれやアレルギーとの関連

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,各種の模型や標本の活用,映像等の工夫によって,専門的な知識の習得を図ること。

   イ 〔指導項目〕の(2)から(4)までについては,「衛生管理」や「香粧品化学」と関連させながら,皮膚疾患とその感染経路,病原菌と消毒法及び予防法に関する的確な知識と技術を習得させること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,施術の際に使う骨格及び筋についても,各器官と関連させながら取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,皮膚及び皮膚付属器官の構造や生理作用の概要について取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,毛髪の保健衛生について重点的に取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(4)については,皮膚及び皮膚付属器官に影響を与える因子,香粧品との関連について重点的に取り扱うこと。

 

 〔香粧品化学〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容業に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)香粧品化学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)香粧品化学に関する課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)香粧品化学について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)香粧品に関する化学

   ア 物質の構造

   イ 化学反応と化合物

   ウ 水と金属

   エ 香粧品概論

   オ 香粧品の種類と原料

   カ 基礎香粧品の使用目的と取扱い

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,実験・実習や観察を重視するとともに,「保健」,「理容実習」及び「美容実習」と関連させながら,実際的な知識の習得を図ること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,溶液の性質,香粧品の原料,洗浄剤の種類等,香粧品に関する化学及び化粧品の成分の概要を取り扱うこと。

 

 〔文化論〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容業に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容の文化に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容の文化に関する課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理容・美容の文化について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)理容・美容文化史

   ア 理容・美容文化の歴史

   イ 理容・美容の変遷

   ウ 流行の影響

  (2)服飾

   ア 服飾の歴史

   イ 理容・美容業と服飾

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,美的感覚,表現力,鑑賞力を養うために,芸術科等と関連させながら指導すること。また,生徒の興味・関心に即して,見学の機会を設けるなどして,ヘアスタイルを概括的に取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,時代や地域を象徴するファッションについても取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,時代や地域を象徴する服飾を基に,その特徴や機能,ファッション性などの概要を取り扱うこと。

 

 〔理容・美容技術理論〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容業に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容技術に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容技術に関する課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理容・美容技術について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)器具類の取扱い

   ア 種類と使用目的

   イ 形態と機能

   ウ 選定法と手入れ

   エ 理容所と美容所の設備・備品

  (2)基礎技術

   ア 理容・美容技術の意義

   イ 理容・美容技術と人体各部の名称

   ウ 作業姿勢

  (3)頭部,顔部及び頸(けい)部技術

   ア ヘアデザインとカッティング

   イ シャンプー技術とリンシング

   ウ 頭部マッサージとヘアトリートメント

   エ ヘアセッティングの種類と特徴

   オ 理容のシェービング

   カ 顔面処置技術

  (4)特殊技術

   ア エステティック技術,ネイル技術など

  (5)理容・美容デザイン

   ア ヘアデザインの造形の意義と応用

   イ 色彩の原理と理容・美容における応用

  (6)美容の和装技術

   ア 美容の和装技術

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「理容実習」及び「美容実習」と関連させて取り扱うこと。また,理容所や美容所の施設等とその業務の見学や器具,用具類の操作等を通して,具体的に知識と技術を習得させること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,理容・美容器具の正しい使い方,種類と特長及び理容所と美容所の設備・備品について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,実際の業務において必要とされる理容師や美容師としての心構えや倫理観,衛生措置等の概要を取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,基礎となるヘアデザインを中心に,各種頭部技術の概要について取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(5)については,色彩や造形の原理等,基礎的な内容を中心に,理容・美容と関連させながら取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(6)については,日本髪の由来や名称及びその特徴,着付け技術等に重点を置いて取り扱うこと。

 

 〔運営管理〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容・美容業の運営管理に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容業の運営管理に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容業の運営管理に関する課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理容・美容業の運営管理について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)経営管理

   ア 経営戦略及び経営管理の基本

   イ 理容所・美容所の運営

  (2)労務管理

   ア 労務管理の基本的理論

   イ 社会保障制度

  (3)接客

   ア 接客の意義と技術

   イ 消費者対応の基本的事項

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,経営管理や労務管理の理論的,技術的な学習にとどまることなく,理容・美容の業務に関する職業観の育成に努めること。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,「理容実習」又は「美容実習」と関連させながら指導すること。また,理容所や美容所における実習等を通して,実践的な態度と能力を育てること。なお,接客の指導に当たっては,個々の生徒のコミュニケーション手段の特性に合わせて,的確な接客が身に付くよう留意すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,経営管理や事務に関わる基本的な理論と事例について取り扱うこと。また,理容業界や美容業界の現状などを,具体的な事例を基に指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,労務管理の目的や範囲について関係法規と関連させながら取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,実習を通して,接客の意義,接客用語などを重点的に取り扱うこと。

 

 〔理容実習〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,理容の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容の実践について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容の実践に関する課題を発見し,理容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)よりよい理容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)基礎技術実習

   ア 実習の心構え

   イ 作業位置と姿勢

   ウ 施設の衛生管理

  (2)器具の取扱い実習

   ア 管理方法と消毒方法

   イ 基本操作

  (3)頭部,顔部及び頸(けい)部技術実習

   ア ヘアカッティング技法

   イ シャンプー技術

   ウ 頭部処置技術

   エ ヘアアイロン技術

   オ パーマネントウェービング

   カ ヘアカラーリング

   キ シェービングとその他の顔面処理技術

  (4)特殊技術実習

   ア エステティック技術

   イ ネイル技術

  (5)総合実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「理容・美容技術理論」と関連させながら,理容師としての専門的な技術を取り扱うこと。

   イ 器具,用具類の基本操作の指導に当たっては,安全で確実な操作の習得を優先するとともに,けが等の応急処置の方法にも触れること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,実習を行う際の一般的な留意事項や衛生上の留意事項について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,刃物類の安全性に留意して取り扱うとともに,刃物類,櫛(くし),ブラシ類の消毒方法などを重点的に取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,準備から事後処理までの順序や各種技法の特徴などを中心に,頭部処置,顔部処置及び頸(けい)部処置の実際を取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(4)については,各種香粧品の取扱い,パッチテストの方法,マッサージの基本手技等を取り扱うこと。

 

 〔美容実習〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,美容の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)美容の実践について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)美容の実践に関する課題を発見し,美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)よりよい美容の実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)基礎技術実習

   ア 実習の心構え

   イ 作業位置と姿勢

   ウ 施設の衛生管理

  (2)器具の取扱い実習

   ア 管理方法と消毒方法

   イ 基本操作

  (3)頭部,顔部及び頸(けい)部技術実習

   ア トリートメント技術

   イ ヘアシャンプー技術

   ウ ヘアカッティング技法

   エ パーマネント技法

   オ ヘアセッティング技法

   カ ヘアカラーリング

   キ メイクアップ

   ク まつ毛エクステンション

  (4)特殊技術実習

   ア エステティック技術

   イ ネイル技術

  (5)和装技術実習

   ア 日本髪

   イ 着付け

  (6)総合実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「理容・美容技術理論」と関連させながら,美容師としての専門的な技術を取り扱うこと。

   イ 器具,用具類の基本操作の指導に当たっては,安全で確実な操作の習得を優先するとともに,けが等の応急処置の方法にも触れること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,実習を行う際の一般的な留意事項や衛生上の留意事項について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,刃物類の安全性に留意して取り扱うとともに,刃物類,櫛(くし),ブラシ類の消毒方法などを重点的に取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,準備から事後処置までの準備や,特にカッティング,カーリング及びワインディングについて基礎的な技術を取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(4)については,各種香粧品の取扱い,パッチテストの方法,マッサージの基本手技等を取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(5)については,伝統的なヘアスタイルの重要性に触れ,着付けの基礎的な技術を取り扱うこと。

 

 〔理容・美容情報〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,理容・美容情報に関する実践的・体験的な学習活動を通して,理容・美容業に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容情報について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容情報に関する基本的な課題を発見し,理容・美容の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)理容・美容情報について,よりよい理容・美容の実践を目指して自ら学び,理容・美容に関する課題解決に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)情報社会の倫理と責任

   ア 情報社会の特徴

   イ 情報社会の倫理

   ウ 情報を扱う個人の責任

  (2)理容・美容における情報の活用と管理

   ア 理容・美容分野の情報

   イ 情報システムの特徴

   ウ 情報の活用

   エ 情報の管理

  (3)理容・美容における課題解決

   ア 課題に応じた情報収集

   イ 情報分析と解決方法

   ウ 情報の発信方法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 多様な題材やデータを取り上げ,情報技術の進展に応じた演習などを通して,生徒が情報及びネットワークを適切に活用できるよう,情報の信頼性を判断する能力及び情報モラルを育成すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,個人のプライバシーや著作権を含む知的財産の保護,個人における情報の管理や発信に関する責任について,法令と関連付けて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,理容・美容関係者で共有する情報通信ネットワークの特徴と活用について,地域の実例などを取り扱うこと。また,業務における情報セキュリティの重要性について法令と関連付けて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,生徒が主体的に課題を設定して,情報を集め分析し,課題の解決に向けてモデル化,シミュレーション,プログラミングなどを行い,情報デザインなどを踏まえた発信方法を考え,協議する演習などを行うこと。

 

 〔課題研究〕

 1 目 標

   理容・美容の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,社会を支え産業の発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)理容・美容について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。

  (2)理容・美容に関する課題を発見し,理容師・美容師として解決策を探究し,科学的な根拠に基づき創造的に解決する力を養う。

  (3)課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,公衆衛生の保持増進に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)調査,研究,実験

  (2)作品制作

  (3)産業現場等における実習

  (4)職業資格の取得

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)から(4)までの中から,個人又はグループで理容・美容に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,理容・美容に関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)から(4)までの2項目以上にまたがるものを設定することができること。

   イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。

 

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,理容・美容の見方・考え方を働かせ,見通しをもって実験・実習などを行い,科学的な根拠に基づき創造的に探究するなどの実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。

  (2)生徒が取得しようとする資格の種類に応じて,各科目の内容を選択して指導すること。

  (3)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。

  (4)地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)各科目の指導に当たっては,各種技術や香粧品等の開発状況を考慮して,科学的な知識と実際的な技術の習得について,特に留意すること。

  (2)各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。

 3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規などに従い,施設・設備や薬品などの安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。また,廃液処理の指導を徹底し,自然環境の保護に十分留意するものとする。

 

第8款 クリーニング

 

第1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,クリーニングを通じ,公衆衛生の向上に寄与する職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)クリーニングについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)クリーニングに関する課題を発見し,職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する能力を養う。

  (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 

第2 各 科 目

 〔クリーニング関係法規〕

 1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,クリーニングの実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)クリーニング関係法規に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)クリーニング関係法規に関する課題を発見し,クリーニングの職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)クリーニング関係法規について,よりよいクリーニングの実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)法制概要

   ア 法の意義と役割

   イ 衛生法規の概要

   ウ 衛生行政の仕組みと意義

  (2)クリーニング業法

   ア 沿革と目的

   イ クリーニング師の免許等

   ウ 細則

  (3)関係法規

   ア 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

   イ 水質汚濁防止法

   ウ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律

   エ 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

   オ 労働安全衛生に関する法律

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)及び(3)については,クリーニング業の関係法規及び従事者の健康保持などに関し,事例を基に具体的に取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,法の役割と運用,衛生行政の仕組みなどについて,クリーニング業と関連させながら指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,クリーニング業の社会的意義,営業者や従事者としての心構え,倫理観及び遵守事項に触れること。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,ドライクリーニング溶剤の有害性,排水と環境汚染の関係,従事者の環境衛生などの概要を取り扱うこと。

 

 〔公衆衛生〕

 1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,クリーニングの実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)公衆衛生に関する実際的な知識について体系的・系統的に理解する。

  (2)公衆衛生に関する課題を発見し,クリーニングの職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)クリーニングにおける公衆衛生について,よりよいクリーニングの実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)公衆衛生の概要

   ア 公衆衛生の意義

   イ 公衆衛生の歩みと課題

  (2)環境衛生

   ア 生物と環境

   イ 生活の変化と環境の変化

   ウ 自然環境と社会環境

   エ 環境衛生活動

  (3)予防衛生

   ア 疾病の予防

   イ 感染性疾患

   ウ 生活習慣病

  (4)感染症

   ア 感染症と社会生活

   イ 種類と発生要因

   ウ 予防接種

  (5)消毒

   ア 消毒の意義と定義

   イ 消毒の種類と方法

   ウ クリーニング業と消毒の必要性

  (6)環境への配慮

   ア 公害の種類と環境保全

   イ クリーニング業と環境汚染対策

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,人と環境との関わり,科学技術の発展と環境汚染,環境保全の必要性などについて,事例を取り上げて具体的に指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,水,空気,日光や衣食住などへの関心を深め,公害や環境汚染と環境衛生活動との関わりについて指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(3)及び(4)については,医学の進歩と高齢化の進展,疾病予防等の学習を踏まえ,感染症とクリーニングとの関わりについて具体的に取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(5)については,クリーニング業法に基づく被洗物の区分,消毒法と各種消毒薬の取扱い,従事者の業務停止等を取り上げること。

   エ 〔指導項目〕の(6)については,クリーニング業務に必要な環境汚染対策を重点的に指導すること。

 

 〔クリーニング理論〕

 1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,クリーニングの実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)クリーニング理論に関する実際的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)クリーニング理論に関する課題を発見し,クリーニングの職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)クリーニング理論について,よりよいクリーニングの実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)衣服と汚れ

   ア クリーニングの歴史と目的

   イ 着衣の目的

   ウ 汚れの種類

   エ 汚れの付着機構

  (2)クリーニングの科学

   ア クリーニングの三要素

   イ 洗浄作用のメカニズム

  (3)水と洗浄作用

   ア 硬水と軟水

   イ 硬水の欠点と軟化法

  (4)界面活性剤

   ア 界面活性剤の構造と性質

   イ ビルダーの種類と働き

   ウ 補助剤の種類と働き

  (5)洗剤と溶剤

   ア 洗剤と溶剤の違い

   イ 洗剤と溶剤の働き

  (6)ランドリー

   ア ランドリーとウェットクリーニング

   イ 被洗物と洗濯方式

   ウ ランドリーの工程

  (7)ウェットクリーニング

   ア 被洗物

   イ 洗剤と洗濯方法

  (8)ドライクリーニング

   ア 溶剤と洗剤

   イ 工程と洗浄方式

   ウ 溶剤管理と清浄方法

  (9)特殊加工とシミ抜き

   ア 各種加工の目的と種類

   イ シミ抜きの用具と機器

   ウ シミの分類と判別

   エ シミ抜きの方法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,実験・実習を中心として取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,着衣に伴う汚れの種類や性質などに重点を置いて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,界面活性剤の種類などに重点を置いて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(6)については,ランドリーの特徴と適する被洗物,工程に沿った洗剤濃度や洗濯時間などに重点を置いて取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(8)については,ドライクリーニングの特徴,有機溶剤の取扱いと人体に及ぼす影響,廃棄物の処理などに重点を置いて取り扱うこと。

   オ 〔指導項目〕の(9)については,シミ抜きに関する知識,薬品の取扱いと管理,被洗物の損傷などについて取り扱うこと。

 

 〔繊 維〕

 1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,クリーニングの実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)繊維製品に関する実際的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)繊維製品に関する課題を発見し,クリーニングの職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)繊維製品のクリーニングについて,よりよいクリーニングの実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)繊維の種類

   ア 繊維素材による分類

  (2)繊維の性質と判別

   ア 各種繊維の性質

   イ 各種繊維の判別

  (3)織物と編み物

   ア 織物の組織と性質

   イ 編み物の組織と性質

   ウ 不織布など

  (4)繊維の各種加工

   ア 各種加工の目的と種類

  (5)付属品や飾りのクリーニングと取扱い

   ア 付属品の取扱いと損傷などの防止

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)及び(4)については,各種繊維の特徴,判別方法及び加工などについて実験・実習を通して指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,各種繊維の用途や取扱いに重点を置いて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,織物と編み物のそれぞれの用途や取扱い,不織布,人工皮革などに重点を置いて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(4)については,防水,防虫加工方法などについて取り扱うこと。

   エ 〔指導項目〕の(5)については,ボタンや飾りなどの破損や熔(よう)解防止の方法について取り扱うこと。

 

 〔クリーニング機器・装置〕

 1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,クリーニングの実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)クリーニング機器・装置に関する実際的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)クリーニング機器・装置の活用に関する課題を発見し,クリーニングの職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)クリーニング機器・装置の活用について,よりよいクリーニングの実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)ランドリー機器・装置の構造と操作

   ア 洗濯機と脱水機

   イ 糊(のり)煮器と湯沸器

   ウ 乾燥機

   エ ブラッシング器具

  (2)ドライクリーニング機器・装置の構造と操作

   ア 洗濯機と脱水機

   イ 清浄装置

  (3)各種プレス機の構造と操作

   ア ワイシャツプレス機類

   イ ズボンプレス機類

   ウ シーツローラー

  (4)シミ抜き機器

   ア 蒸気シミ抜き器

   イ 超音波シミ抜き器

   ウ ジェットスポッター

  (5)ボイラー

   ア ボイラーの構造

   イ ボイラー用水の管理

  (6)機器・装置の安全な操作と事故・危険防止

   ア 蒸気バルブ

   イ 電源とモーター

   ウ 事故・危険防止

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(4)については,各種シミ抜き機器及び道具類の取扱いに関して,実技や実習を中心として指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(6)については,機器・装置の安全な操作,点検及び事故・危険防止に関する事項を関連させながら取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,基本的な構造,原理及び機能とその保守管理について,安全な操作と事故・危険防止の観点から重点的に取り扱うこと。

 

 〔クリーニング実習〕

 1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,クリーニングの実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)クリーニングに関する実際的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)クリーニングの実践に関する課題を発見し,クリーニングの職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)よりよいクリーニングの実践を目指して自ら学び,人々の公衆衛生の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)ランドリー

   ア 洗濯物の受付と仕分

   イ ランドリーの実際

   ウ 被洗物の種類別乾燥方法

  (2)ウェットクリーニング

   ア ウェットクリーニングの実際

   イ ドライクリーニングした被洗物の取扱い

   ウ カーペット

  (3)ドライクリーニング

   ア ドライクリーニングの実際

   イ 溶剤の管理と清浄方法

   ウ 有機溶剤と廃棄物

  (4)仕上げ

   ア ハンドアイロン仕上げ

   イ シーツローラー仕上げとたたみ方

   ウ 各種プレス機による仕上げと手直し

  (5)シミ抜き

   ア シミの判別と使用薬品

   イ シミ抜きの実際

   ウ 薬品の取扱いと管理

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア クリーニング工場などの産業現場における見学や実習を通して,機器・装置が適切に扱えるようにすること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)から(3)までについては,表示記号からの仕分やそれぞれの被洗物に適した洗濯方法と工程などに重点を置いて指導すること。特に,(3)については,溶剤の管理と清浄方法に留意して取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(5)については,薬品の取扱いなどを具体的に指導すること。

 

 〔課題研究〕

 1 目 標

   クリーニングの見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,社会を支え産業の発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)クリーニングの各分野について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。

  (2)クリーニングに関する課題を発見し,クリーニングやクリーニング関連産業に携わる者として解決策を探究し,科学的な根拠に基づき創造的に解決する力を養う。

  (3)課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,公衆衛生の保持増進に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)調査,研究,実験

  (2)産業現場等における実習

  (3)職業資格の取得

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)から(3)までの中から個人又はグループでクリーニングに関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,クリーニングに関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)から(3)までの2項目以上にまたがるものを設定することができること。

   イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。

 

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,クリーニングの見方・考え方を働かせ,見通しをもって実験・実習などを行い,科学的な根拠に基づき創造的に探究するなどの実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。

  (2)各科目の指導に当たっては,各種化学繊維や仕上げに関する機器や技術の進展を踏まえ,科学的な知識と実際的な技術が習得されるよう留意すること。

  (3)地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)クリーニングに関する課題の解決方策について,科学的な根拠に基づき理論的に説明することや討論することなど,言語活動の充実を図ること。

  (2)各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう工夫すること。

 3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品などの安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止や環境保全の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。また,廃液の処理についても十分留意するものとする。

 

第9款 歯科技工

 

第1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工を通じ,歯科医療の発展に寄与する職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯科技工について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)歯科技工に関する課題を発見し,職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する能力を養う。

  (3)職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 

第2 各 科 目

 〔歯科技工関係法規〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯科技工関係法規について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)歯科技工関係法規に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)歯科技工関係法規について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,人々の歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)法制概要

   ア 法の概念と体系

  (2)衛生行政

   ア 衛生行政の意義

   イ 衛生行政の組織と活動

  (3)歯科技工士法

   ア 法の目的と定義

   イ 歯科技工士免許と業務

   ウ 歯科技工所

   エ 罰則規定と附則等

  (4)関係法規

   ア 医療法

   イ 歯科医師法

   ウ 歯科衛生士法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(3)については,(4)との関連を図り,歯科技工士法における基本用語の的確な理解を促すとともに,罰則規定や諸届についての理解を深めるようにすること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)及び(2)については,法制の仕組み及び国や都道府県の衛生行政の概要について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,歯科技工士法の概要,歯科技工士免許の要件,歯科技工の業務等を総合的に理解させるとともに,職業人としての心構えや倫理観にも触れるようにすること。

   ウ 〔指導項目〕の(4)については,各医療従事者の業務内容等について歯科技工との関わりに重点を置いて指導すること。

 

 〔歯科技工学概論〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯科技工及び口腔(くう)の機能と疾患に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するようにする。

  (2)歯科技工及び口腔(くう)の機能と疾患に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)歯科技工学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)歯科技工総論

   ア 歯科医療と歯科技工

   イ 歯科技工士の役割と倫理

   ウ 顔・口腔(くう)組織の形態と機能

   エ 歯科疾患と周囲組織の変化

   オ 歯科臨床における歯科技工

   カ 口腔(くう)と全身の健康

  (2)歯科技工管理と運営

   ア 歯科技工の作業環境

   イ 歯科技工業務と管理運営

   ウ 歯科技工における衛生管理

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)及び(2)については,歯科技工の概要を理解させるとともに医療従事者としての自覚を養うように努めること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,歯科技工に必要な基礎的事項に重点を置いて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,歯科技工業務の特徴を理解させ,その責務等を重点的に取り扱うこと。

 

 〔歯科理工学〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯科理工学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)歯科理工学に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)歯科理工学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)歯科理工学概論

   ア 歯科理工の目的と意義

   イ 歯科材料の性質

  (2)歯科技工材料

   ア 金属材料

   イ 高分子材料

   ウ 無機材料

  (3)歯科技工用機器

   ア 切削機器

   イ 研磨機器

   ウ 歯科技工関連機器

  (4)成形法

   ア レジン成形

   イ セラミック成形

   ウ 金属成形

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,実験・実習を中心として取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(4)については,「歯科技工実習」と関連させて取り扱うこと。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,歯科材料の機械的性質,物理的性質及び化学的性質,歯科材料と人体との関連,歯科材料の接着並びに歯科材料規格などの基礎的な内容について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)及び(3)については,相互に関連させて取り扱い,実際的な知識と技術の習得を図ること。

   ウ 〔指導項目〕の(4)については,レジン材料,セラミック材料及び金属材料の成形法の概要について取り扱うこと。

 

 〔歯の解剖学〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯の解剖学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)歯の解剖学に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)歯の解剖学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)口腔(くう)解剖

   ア 頭蓋(がい)の骨

   イ 口腔(くう)周囲の筋

   ウ 顎(がく)関節と口腔(くう)

  (2)歯の解剖

   ア 歯の概説

   イ 永久歯の形態

   ウ 歯の発生

   エ 歯と歯周組織

   オ 歯列弓と上下顎(がく)の位置関係

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)及び(2)については,「歯科技工実習」の2の〔指導項目〕の(1)及び(2)よりも先行して履修できるようにすること。

   イ 指導に当たっては「顎(がく)口腔(くう)機能学」との関連を図り,口腔(くう)及び歯の解剖について総合的に理解させるよう留意すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,口腔(くう)及び口腔(くう)周囲の概要について取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,歯や歯周組織の形態と構造及び機能について取り扱うこと。

 

 〔顎(がく)口腔(くう)機能学〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)顎(がく)口腔(くう)機能学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)顎(がく)口腔(くう)機能学に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)顎(がく)口腔(くう)機能学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)顎(がく)口腔(くう)系の概論

   ア 顎(がく)口腔(くう)系の構造と機能

  (2)下顎(がく)位と下顎(がく)運動

   ア 下顎(がく)位

   イ 下顎(がく)運動

   ウ 咬(こう)合様式

  (3)咬(こう)合器

   ア 咬(こう)合器の機能と分類

   イ 咬(こう)合器の扱い方

  (4)咬(こう)合検査と顎(がく)機能障害

   ア 咬(こう)合検査と顎(がく)機能障害

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)から(3)までについては,「歯科技工実習」の2の〔指導項目〕の(1)及び(2)よりも先行して履修できるようにすること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,顎(がく)口腔(こう)系器官の機能を,その構造と関連させながら取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,各種の咬(こう)合様式等に関して,歯の接触関係を中心に取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,平均値咬(こう)合器と半調節性咬(こう)合器の取り扱い方に重点を置いて指導し,全調節性咬(こう)合器については,その概略を理解させること。

 

 〔有床義歯技工学〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)有床義歯技工学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)有床義歯技工学に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)有床義歯技工学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)有床義歯技工学総論

   ア 有床義歯技工学概説

   イ 有床義歯技工に関連のある生態についての基礎知識

  (2)全部床義歯技工学

   ア 全部床義歯の構成要素,分類

   イ 全部床義歯の製作

  (3)部分床義歯技工学

   ア 部分床義歯の構成要素,分類

   イ 部分床義歯の製作

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,「歯の解剖学」及び「顎(がく)口腔(こう)機能学」との関連を図り,症例実習を中心にして基礎的な知識と技術の習得を図ること。

   イ 有床義歯の製作の指導に当たっては,機能的回復と審美的回復に必要な知識の習得に努めるようにすること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(2)については,顎(がく)口腔(こう)を取り巻く骨,筋肉などの形態的特徴や機能的特徴について,咬合器と関連させながら取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,残存歯との調和に配慮した人工歯排列及び咬(こう)合調整に重点を置いて取り扱うこと。

 

 〔歯冠修復技工学〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯冠修復技工学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)歯冠修復技工学に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)歯冠修復技工学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)歯冠修復技工学概論

   ア 歯冠修復技工の目的と意義

   イ 印象採得と作業模型

   ウ 咬(こう)合採得と咬(こう)合器

  (2)部分被覆冠

   ア 部分被覆冠の概要と種類

   イ 部分被覆冠の製作法

  (3)全部被覆冠

   ア 全部被覆冠の概要と種類

   イ 全部金属冠の製作法

   ウ 前装冠の製作法

  (4)ブリッジ

   ア ブリッジの概要と種類

   イ 支台装置の種類

   ウ ポンティックの種類と特徴

   エ 連結部の種類と特徴

  (5)インプラント

   ア インプラントの概要と種類

   イ インプラントを用いた治療の流れ

3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 「歯の解剖学」,「顎(がく)口腔(くう)機能学」及び「有床義歯技工学」と関連を図り,症例実習を中心にして基礎的な知識と技術の習得を図ること。

   イ 〔指導項目〕の(3)及び(4)については,歯冠修復技工学の中心となる分野であることから,他の分野と関連させながら,的確な理解を深めるよう留意すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(5)については,インプラント治療の概要とインプラント上部構造の製作法を取り扱うこと。

 

 〔矯正歯科技工学〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)矯正歯科技工学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)矯正歯科技工学に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)矯正歯科技工学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)矯正歯科技工学概論

   ア 矯正歯科治療と矯正歯科技工

   イ 正常咬(こう)合と不正咬(こう)合

  (2)矯正用口腔(くう)模型

   ア 矯正用口腔(くう)模型の種類と特徴

  (3)矯正装置

   ア 矯正装置の必要条件と分類

   イ 矯正装置

   ウ 保定装置

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 「歯の解剖学」及び「小児歯科技工学」との関連を図り,基礎的な知識と技術の習得を図ること。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,矯正歯科治療と関連させて指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,不正咬(こう)合に重点を置いて指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,装置の目的と構造について取り扱い,イ及びウの各装置のうち基本的なものについては製作方法にも触れること。

 

 〔小児歯科技工学〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)小児歯科技工学に関する基礎的な知識について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)小児歯科技工学に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)小児歯科技工学について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)小児歯科技工学概論

   ア 小児歯科治療と小児歯科技工

   イ 歯,顎(がく),顔面の成長発育

  (2)乳歯の歯冠修復

   ア 成形充

   イ 被覆冠

  (3)咬(こう)合誘導装置

   ア 保隙(げき)装置

   イ スペースリゲイナー

   ウ 口腔(くう)習癖除去装置

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 「歯の解剖学」との関連を図り,基礎的な知識と技術の習得を図ること。

   イ 〔指導項目〕の(2)及び(3)については,小児歯科治療と関連させて指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,小児の成長発育に伴う歯,顎(がく)及び口腔(くう)等の変化に重点を置いて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(3)については,装置の目的と構造について取り扱い,アからウまでの各装置のうち,基本的なものについては製作方法にも触れること。

 

 〔歯科技工実習〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯科技工の実践について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)歯科技工の実践に関する課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)有床義歯技工実習

  (2)歯冠修復技工実習

  (3)歯形彫刻技工実習

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 指導に当たっては,実験・実習を中心にして使用機械及び器具の理解を深め,基礎的な知識と技術を総合的に習得させるよう留意すること。また,安全管理や保健管理に関わる知識の習得に努めること。

   イ 臨床的模型上での実習を行うなど,多種多様な模型の活用を図り,適切な知識や技術を習得させること。また,「歯の解剖学」,「有床義歯技工学」及び「歯冠修復技工学」と関連させながら,生徒の実態に応じて適切に指導すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,臨床的模型を使用した全部床義歯の製作及び蝋(ろう)義歯製作の反復練習に重点を置いて指導すること。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,臨床的模型を使用した歯冠修復物の製作及び冠の蝋(ろう)形成の反復練習に重点を置いて指導すること。

 

 〔歯科技工情報〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,歯科技工の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯科技工情報について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。

  (2)歯科技工情報に関する基本的な課題を発見し,歯科技工の職業倫理を踏まえて合理的かつ創造的に解決する力を養う。

  (3)歯科技工情報について,よりよい歯科技工の実践を目指して自ら学び,歯科医療の発展に関する課題解決に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)情報社会の倫理と責任

   ア 情報社会の特徴

   イ 情報社会の倫理

   ウ 情報を扱う個人の責任

  (2)歯科技工における情報の活用と管理

   ア 歯科技工分野の情報

   イ 情報システムの特徴

   ウ 情報の活用

   エ 情報の管理

  (3)歯科技工における課題解決

   ア 課題に応じた情報収集

   イ 情報分析と解決方法

   ウ 情報の発信方法

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 多様な題材やデータを取り上げ,情報技術の進展に応じた演習などを通して,生徒が情報及びネットワークを適切に活用できるよう,情報の信頼性を判断する能力及び情報モラルを育成すること。

  (2)内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

   ア 〔指導項目〕の(1)については,個人のプライバシーや著作権を含む知的財産の保護,個人における情報の管理や発信に関する責任について,法令と関連付けて取り扱うこと。

   イ 〔指導項目〕の(2)については,歯科医療福祉関係者で共有する情報通信ネットワークの特徴と活用について,地域の実例などを取り扱うこと。また,業務における情報セキュリティの重要性について法令と関連付けて取り扱うこと。

   ウ 〔指導項目〕の(3)については,生徒が主体的に課題を設定して,情報を集め分析し,課題の解決に向けてモデル化,シミュレーション,プログラミングなどを行い,情報デザインなどを踏まえた発信方法を考え,協議する演習などを行うこと。

 

 〔課題研究〕

 1 目 標

   歯科技工の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,社会を支え産業の発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1)歯科技工について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。

  (2)歯科技工に関する課題を発見し,歯科技工士として解決策を探究し,科学的な根拠に基づき創造的に解決する力を養う。

  (3)課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,歯科医療の発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

 2 内 容

   1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。

  〔指導項目〕

  (1)調査,研究,実験

  (2)作品制作

  (3)医療現場等における実習

  (4)職業資格の取得

 3 内容の取扱い

  (1)内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。

   ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)から(4)までの中から,個人又はグループで歯科技工に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,歯科技工に関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)から(4)までの2項目以上にまたがるものを設定することができること。

   イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるよう努めること。

 

第3 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

 1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,歯科技工の見方・考え方を働かせ,見通しをもって実験・実習などを行い,科学的な根拠に基づき創造的に探究するなどの実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。

  (2)各科目の指導に当たっては,できるだけ実験・実習を通して,実際的,具体的に理解させるようにすること。

  (3)地域や歯科技工所等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。

 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  (1)各科目の指導に当たっては,各種歯科材料,歯科技工用機械等の進歩を考慮して,科学的知識と技術の習得について,特に留意すること。

  (2)各科目の指導に当たっては,コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。

 3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止や環境保全の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。