第1 

 

高等部における教育については,学校教育法第72条に定める目的を実現するために,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等を十分考慮して,次に掲げる目標の達成に努めなければならない。

  学校教育法第51条に規定する高等学校教育の目標

2 生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識,技能,態度及び習慣を養うこと。

 

第2  程の

 

第1  等部における教育の基本と教育課程の役

 

1 各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等,学科の特色及び学校や地域の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。

2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3款の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,次の(1)から(4)までに掲げる事項の実現を図り,生徒に生きる力を育むことを目指すものとする。

(1)基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮すること。

(2)道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や創造性の涵(かん)養を目指した教育の充実に努めること。

学校における道徳教育は,人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことによりその充実を図るものとし,視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。),総合的な探究の時間,特別活動及び自立活動(以下「各教科・科目等」という。)において,また,知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,第3章に掲げる特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として,各教科,総合的な探究の時間,特別活動及び自立活動において,それぞれの特質に応じて,適切な指導を行うこと。

道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達の段階にあることを考慮し,人間としての在り方生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とすること。

道徳教育を進めるに当たっては,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,平和で民主的な国家及び社会の形成者として,公共の精神を尊び,社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。

(3)学校における体育・健康に関する指導を,生徒の発達の段階を考慮して,学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。特に,学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,保健体育科,家庭科及び特別活動の時間はもとより,各教科・科目,総合的な探究の時間及び自立活動(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科,道徳科,総合的な探究の時間及び自立活動。)などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めること。また,それらの指導を通して,家庭や地域社会との連携を図りながら,日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮すること。

(4)学校における自立活動の指導は,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し,自立し社会参加する資質を養うため,自立活動の時間はもとより,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,自立活動の時間における指導は,各教科・科目,総合的な探究の時間及び特別活動(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科,道徳科,総合的な探究の時間及び特別活動。)と密接な関連を保ち,個々の生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等を的確に把握して,適切な指導計画の下に行うよう配慮すること。

3 2の(1)から(4)までに掲げる事項の実現を図り,豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手となることが期待される生徒に,生きる力を育むことを目指すに当たっては,学校教育全体,各教科・科目等並びに知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科,道徳科,総合的な探究の時間,特別活動及び自立活動(以下「各教科等」という。)において,それぞれの指導を通してどのような資質・能力の育成を目指すのかを明確にしながら,教育活動の充実を図るものとする。その際,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等を踏まえつつ,次に掲げることが偏りなく実現できるようにするものとする。

(1)知識及び技能が習得されるようにすること。

(2)思考力,判断力,表現力等を育成すること。

(3)学びに向かう力,人間性等を涵(かん)養すること。

4 学校においては,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等,学校や地域の実態等に応じて,就業やボランティアに関わる体験的な学習の指導を適切に行うようにし,勤労の尊さや創造することの喜びを体得させ,望ましい勤労観,職業観の育成や社会奉仕の精神の涵(かん)養に資するものとする。

5 各学校においては,生徒や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。その際,生徒に何が身に付いたかという学習の成果を的確に捉え,第2款の3の(5)のイに示す個別の指導計画の実施状況の評価と改善を,教育課程の評価と改善につなげていくよう工夫すること。

 

第2  程の編

 

  各学校の教育目標と教育課程の編成

教育課程の編成に当たっては,学校教育全体,各教科・科目等及び各教科等において,それぞれの指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にするとともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努めるものとする。その際,第4章総合的な探究の時間において準ずるものとしている高等学校学習指導要領第4章の第2の1に基づき定められる目標との関連を図るものとする。

  教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成

(1)  各学校においては,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科・科目等又は各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。

(2)  各学校においては,生徒や学校,地域の実態並びに生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等を考慮し,豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を,教科等横断的な視点で育成していくことができるよう,各学校の特色を生かした教育課程の編成を図るものとする。

  教育課程の編成における共通的事項

(1)  視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科・科目等の履修等

  教科・科目及び単位数

()卒業までに履修させる単位数等

各学校においては,卒業までに履修させる()から()までに示す各教科・科目及びその単位数,総合的な探究の時間の単位数,特別活動及びその授業時数並びに自立活動の授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,卒業までに履修させる単位数の計は,イの()及び()に掲げる各教科・科目の単位数並びに総合的な探究の時間の単位数を含めて74単位(自立活動の授業については,授業時数を単位数に換算して,この単位数に含めることができる。)以上とする。

単位については,1単位時間を50分とし,35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする。

()各学科に共通する各教科・科目及び標準単位数

各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる各教科・科目及びその標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及びそれらの単位数について適切に定めるものとする。ただし,生徒の実態等を考慮し,特に必要がある場合には,標準単位数の標準の限度を超えて単位数を増加して配当することができる。

 

   

  単位

 

   

  単位

 

保健体育

 

 

 

7〜8

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

地理歴史

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

英語コミュニ

 

 

 

 

ケーション

 

 

 

 

英語コミュニ

 

 

 

 

ケーション

 

 

 

 

   

英語コミュニ

 

 

 

 

ケーション

 

 

科学と人間生活

 

論理・表現

 

 

 

論理・表現

 

 

 

 

 

論理・表現

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

理数探究基礎

 

 

 

 

 

 

2〜5

 

()主として専門学科において開設される各教科・科目

各学校においては,教育課程の編成に当たって,視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の㋐及び㋑,聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の㋐及び㋒,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の㋐に掲げる主として専門学科(専門教育を主とする学科をいう。以下同じ。)において開設される各教科・科目及び設置者の定めるそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及びその単位数について適切に定めるものとする。

㋐ 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する 教育を行う特別支援学校

 

 

農業と環境,課題研究,総合実習,農業と情報,作物,野菜,果樹,草花,畜産,栽培と環境,飼育と環境,農業経営,農業機械,植物バイオテクノロジー,食品製造,食品化学,食品微生物,食品流通,森林科学,森林経営,林産物利用,農業土木設計,農業土木施工,水循環,造園計画,造園施工管理,造園植栽,測量,生物活用,地域資源活用

工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業情報数理,工業材料技術,工業技術英語,工業管理技術,工業環境技術,機械工作,機械設計,原動機,電子機械,生産技術,自動車工学,自動車整備,船舶工学,電気回路,電気機器,電力技術,電子技術,電子回路,電子計測制御,通信技術,プログラミング技術,ハードウェア技術,ソフトウェア技術,コンピュータシステム技術,建築構造,建築計画,建築構造設計,建築施工,建築法規,設備計画,空気調和設備,衛生・防災設備,測量,土木基盤力学,土木構造設計,土木施工,社会基盤工学,工業化学,化学工学,地球環境化学,材料製造技術,材料工学,材料加工,セラミック化学,セラミック技術,セラミック工業,繊維製品,繊維・染色技術,染織デザイン,インテリア計画,インテリア装備,インテリアエレメント生産,デザイン実践,デザイン材料,デザイン史

ビジネス基礎,課題研究,総合実践,ビジネス・コミュニケーション,マーケティング,商品開発と流通,観光ビジネス,ビジネス・マネジメント,グローバル経済,ビジネス法規,簿記,財務会計Ⅰ,財務会計Ⅱ,原価計算,管理会計,情報処理,ソフトウェア活用,プログラミング,ネットワーク活用,ネットワーク管理

水産海洋基礎,課題研究,総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作,電気理論,移動体通信工学,海洋通信技術,資源増殖,海洋生物,海洋環境,小型船舶,食品製造,食品管理,水産流通,ダイビング,マリンスポーツ

生活産業基礎,課題研究,生活産業情報,消費生活,保育基礎,保育実践,生活と福祉,住生活デザイン,服飾文化,ファッション造形基礎,ファッション造形,ファッションデザイン,服飾手芸,フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品,食品衛生,公衆衛生,総合調理実習

基礎看護,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと回復の促進,健康支援と社会保障制度,成人看護,老年看護,小児看護,母性看護,精神看護,在宅看護,看護の統合と実践,看護臨地実習,看護情報

情報産業と社会,課題研究,情報の表現と管理,情報テクノロジー,情報セキュリティ,情報システムのプログラミング,ネットワークシステム,データベース

,情報デザイン,コンテンツの制作と発信,メディアとサービス,情報実習

社会福祉基礎,介護福祉基礎,コミュニケーション技術,生活支援技術,介護過程,介護総合演習,介護実習,こころとからだの理解,福祉情報

理数数学Ⅰ,理数数学Ⅱ,理数数学特論,理数物理,理数化学,理数生物,理数地学

スポーツ概論,スポーツⅠ,スポーツⅡ,スポーツⅢ,スポーツⅣ,スポーツⅤ,スポーツⅥ,スポーツ総合演習

音楽理論,音楽史,演奏研究,ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,鑑賞研究

美術概論,美術史,鑑賞研究,素描,構成,絵画,版画,彫刻,ビジュアルデザイン,クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環境造形

総合英語Ⅰ,総合英語Ⅱ,総合英語Ⅲ,ディベート・ディスカッションⅠ,ディベート・ディスカッションⅡ,エッセイライティングⅠ,エッセイライティングⅡ

㋑ 視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

教科

科目

保健理療

医療と社会,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと予防,生活と疾病,基礎保健理療,臨床保健理療,地域保健理療と保健理療経営,保健理療基礎実習,保健理療臨床実習,保健理療情報,課題研究

㋒ 聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

 

教科

科目

 

印刷概論,印刷デザイン,印刷製版技術,DTP技術,印刷情報技術,デジタル画像技術,印刷総合実習,課題研究

理容・美容

関係法規・制度,衛生管理,保健,香粧品化学,文化論,理容・美容技術理論,運営管理,理容実習,美容実習,理容・美容情報,課題研究

クリーニング

クリーニング関係法規,公衆衛生,クリーニング理論,繊維,クリーニング機器・装置,クリーニング実習,課題研究

()学校設定科目

学校においては,生徒や学校,地域の実態及び学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,()及び()の表に掲げる教科について,これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」という。)を設けることができる。この場合において,学校設定科目の名称,目標,内容,単位数等については,その科目の属する教科の目標に基づき,高等部における教育としての水準の確保に十分配慮し,各学校の定めるところによるものとする。

()学校設定教科

㋐ 学校においては,生徒や学校,地域の実態及び学科の特色等に応じ,特色 ある教育課程の編成に資するよう,()及び()の表に掲げる教科以外の教科(以下この項及び第4款の1の(2)において「学校設定教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において,学校設定教科及び当該教科に関する科目の名称,目標,内容,単位数等については,高等部における教育の目標に基づき,高等部における教育としての水準の確保に十分配慮し,各学校の定めるところによるものとする。

㋑ 学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標,内容,単位数等を各学校において定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとともに,生徒の主体的な各教科・科目の選択に資するよう,就業体験活動等の体験的な学習や調査・研究などを通して,次のような事項について指導することに配慮するものとする。

a   社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観,職業観の育成

b   我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察

c   自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成

  教科・科目の履修

()各学科に共通する必履修教科・科目及び総合的な探究の時間

㋐ 全ての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,アの()に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,「数学Ⅰ」及び「英語コミュニケーションⅠ」については2単位とすることができ,その他の必履修教科・科目(標準単位数が2単位であるものを除く。)についてはその単位数の一部を減じることができる。

a 国語のうち「現代の国語」及び「言語文化」

b 地理歴史のうち「地理総合」及び「歴史総合」

c 公民のうち「公共」

d 数学のうち「数学

e 理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目(うち1科目は「科学と人間生活」とする。)又は「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから3科目

f 保健体育のうち「体育」及び「保健」

g 芸術のうち「音楽Ⅰ」,「美術Ⅰ」,「工芸Ⅰ」及び「書道Ⅰのうちから1科目

h 外国語のうち「英語コミュニケーションⅠ」(英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。

i 家庭のうち「家庭基礎」及び「家庭総合」のうちから1科目

j 情報のうち「情報

  総合的な探究の時間については,全ての生徒に履修させるものとし,その単位数は,各学校において,生徒や学校の実態に応じて適切に定めるものとする。

㋒ 外国の高等学校等に留学していた生徒について,外国の高等学校等における履修により,必履修教科・科目又は総合的な探究の時間の履修と同様の成果が認められる場合においては,外国の高等学校等における履修をもって相当する必履修教科・科目又は総合的な探究の時間の履修の一部又は全部に替えることができる。

()専門学科における各教科・科目の履修

専門学科における各教科・科目の履修については,()のほか次のとおりとする。

㋐ 専門学科においては,専門教科・科目アの()の表に掲げる各教科・科目,同表の教科に属する学校設定科目及び専門教育に関する学校設定教科に関する科目をいう。以下同じ。)について,全ての生徒に履修させる単位数は,25単位を下らないこと。ただし,各学科の目標を達成する上で,専門教科・科目以外の各教科・科目の履修により,専門教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目以外の各教科・科目の単位数の一部の履修をもって,当該専門教科・科目の単位数の一部の履修に替えることができること。

㋑ 専門教科・科目の履修によって,()の必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目の履修をもって,必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。

㋒ 職業教育を主とする専門学科においては,総合的な探究の時間の履修により,農業,工業,商業,水産,家庭,情報,保健理療,印刷,理容・美容若しくはクリーニングの各教科の「課題研究」,看護の「看護臨地実習」又は福祉の「介護総合演習」(以下「課題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な探究の時間の履修をもって課題研究等の履修の一部又は全部に替えることができること。また,課題研究等の履修により,総合的な探究の時間の履修と同様の成果が期待できる場合においては,課題研究等の履修をもって総合的な探究の時間の履修の一部又は全部に替えることができること。

  教科・科目等の授業時数等

()各教科・科目,ホームルーム活動及び自立活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科・科目及び自立活動の授業を特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。)に行うことができる。

()週当たりの授業時数は,30単位時間を標準とする。ただし,特に必要がある場合には,これを増加することができる。

()ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間以上とするものとする。

()生徒会活動及び学校行事については,生徒や学校の実態に応じて,それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

()各学年の自立活動の時間に充てる授業時数は,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて,適切に定めるものとする。

()各教科・科目等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科・科目等の授業時数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。

()各教科・科目等の特質に応じ,10分から15分程度の短い時間を活用して特定の各教科・科目等の指導を行う場合において,当該各教科・科目等を担当する教師が単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した中で,その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは,その時間を当該各教科・科目等の授業時数に含めることができる。

()総合的な探究の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な探究の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。

()理数の「理数探究基礎」又は「理数探究」の履修により,総合的な探究の時間の履修と同様の成果が期待できる場合においては,「理数探究基礎」又は「理数探究」の履修をもって総合的な探究の時間の履修の一部又は全部に替えることができる。

(2)  知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等の履修等

  教科等の履修

()卒業までに履修させる各教科等

各学校においては,卒業までに履修させる()から()までに示す各教科及びその授業時数,道徳科及び総合的な探究の時間の授業時数,特別活動及びその授業時数並びに自立活動の授業時数に関する事項を定めるものとする。

()各学科に共通する各教科等

㋐ 国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,職業及び家庭の各教科,道徳科,総合的な探究の時間,特別活動並びに自立活動については,特に示す場合を除き,全ての生徒に履修させるものとする。

㋑ 外国語及び情報の各教科については,生徒や学校の実態を考慮し,必要に応じて設けることができる。

()主として専門学科において開設される各教科

㋐ 専門学科においては,()のほか,家政,農業,工業,流通・サービス若しくは福祉の各教科又は()に規定する学校設定教科のうち専門教育に関するもの(以下「専門教科」という。)のうち,いずれか1以上履修させるものとする。

㋑ 専門教科の履修によって,()の㋐の全ての生徒に履修させる各教科の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科の履修をもって,全ての生徒に履修させる各教科の履修に替えることができる。

()学校設定教科

学校においては,生徒や学校,地域の実態及び学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,()及び()に掲げる教科以外の教科(以下この項において「学校設定教科」という。)を設けることができる。この場合において,学校設定教科の名称,目標,内容等については,高等部における教育の目標に基づき,高等部における教育としての水準の確保に十分配慮し,各学校の定めるところによるものとする。

  教科等の授業時数等

()各教科等(ただし,この項及び()において,特別活動についてはホームルーム活動に限る。)の総授業時数は,各学年とも1,050単位時間(1単位時間は,50分として計算するものとする。()において同じ。)を標準とし,特に必要がある場合には,これを増加することができる。この場合,各教科等の目標及び内容を考慮し,各教科及び総合的な探究の時間の配当学年及び当該学年における授業時数,道徳科,特別活動及び自立活動の各学年における授業時数を適切に定めるものとする。

()各教科,道徳科,ホームルーム活動及び自立活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科,道徳科及び自立活動の授業を特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。)に行うことができる。

()専門学科においては,専門教科について,全ての生徒に履修させる授業時数は,875単位時間を下らないものとする。

()ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間以上とするものとする。

()生徒会活動及び学校行事については,生徒や学校の実態に応じて,それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

()総合的な探究の時間に充てる授業時数は,各学校において,生徒や学校の実態に応じて,適切に定めるものとする。

()各学年の自立活動の時間に充てる授業時数は,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて,適切に定めるものとする。

()各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科等の授業時数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科等の特質を考慮して適切に定めるものとする。

()各教科等の特質に応じ,10分から15分程度の短い時間を活用して特定の各教科等の指導を行う場合において,当該各教科等を担当する教師が単元や題材など内容の時間のまとまりを見通した中で,その指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは,その時間を当該各教科等の授業時数に含めることができる。

()総合的な探究の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な探究の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。

(3)  選択履修の趣旨を生かした適切な教育課程の編成

教育課程の編成に当たっては,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた適切な各教科・科目(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科。以下この項,(4)のイ,(6)及び第5款において同じ。)の履修ができるようにし,このため,多様な各教科・科目を設け生徒が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また,教育課程の類型を設け,そのいずれかの類型を選択して履修させる場合においても,その類型において履修させることになっている各教科・科目以外の各教科・科目を履修させたり,生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目を設けたりするものとする。

(4)  各教科・科目等又は各教科等の内容等の取扱い

ア 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することができる。また,第2章第1節第1款において準ずるものとしている高等学校学習指導要領第2章及び第3章並びに同節第3款から第9款までに示す各科目又は第2節第1款及び第2款に示す各教科の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,当該科目(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科。)を履修する全ての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において必要がある場合には,この事項にかかわらず指導することができる。ただし,これらの場合には,第2章以下に示す各教科・科目等又は各教科等の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担が過重となったりすることのないようにするものとする。

イ 第2章以下に示す各教科・科目,特別活動及び自立活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。

ウ 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,あらかじめ計画して,各教科・科目の内容及び総合的な探究の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して指導することができる。

エ 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,特に必要がある場合には,第2章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で,各教科・科目の内容に関する事項について,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。

オ 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校において,各教科の指導に当たっては,各教科の段階に示す内容を基に,生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,具体的に指導内容を設定するものとする。その際,高等部の3年間を見通して計画的に指導するものとする。

カ 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校において,道徳科の指導に当たっては,第3章に示す道徳科の目標及び内容に示す事項を基に,生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,具体的に指導内容を設定するものとする。

(5)  指導計画の作成等に当たっての配慮すべき事項

  各学校においては,次の事項に配慮しながら,学校の創意工夫を生かし,全体として,調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。

()各教科・科目等又は各教科等の指導内容については,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,第3款の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して資質・能力を育む効果的な指導ができるようにすること。

()各教科・科目等又は各教科等について相互の関連を図り,系統的,発展的な指導ができるようにすること。

()知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校において,各教科等の一部又は全部を合わせて指導を行う場合には,各教科,道徳科,特別活動及び自立活動の内容を基に,生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,具体的に指導内容を設定するものとする。また,各教科,道徳科,特別活動及び自立活動の内容の一部又は全部を合わせて指導を行う場合は,授業時数を適切に定めること。

イ 各教科・科目等又は各教科等の指導に当たっては,個々の生徒の実態を的確に把握し,次の事項に配慮しながら,個別の指導計画を作成すること。

()生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等並びに学習の進度を考慮して,基礎的・基本的な事項に重点を置くこと。

()生徒が,基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め,学習内容を確実に身に付けることができるよう,それぞれの生徒に作成した個別の指導計画や学校の実態に応じて,指導方法や指導体制の工夫改善に努めること。その際,生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等並びに学習の進度を考慮して,個別指導を重視するとともに,グループ別学習,繰り返し学習,学習内容の習熟の程度に応じた学習,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れることや,教師間の協力による指導体制を確保することなど,指導方法や指導体制の工夫改善により,個に応じた指導の充実を図ること。その際,第3款の1の(3)に示す情報手段や教材・教具の活用を図ること。

(6)  キャリア教育及び職業教育に関して配慮すべき事項

  校にお,第5(3)に示すア教及び進するたに,生の障害状態や特及び心身の発達の段階等,学校地域の実等を考し,地及び産業や労働等の業務を行う関係機関の連携をり,産現場等おける長間の実習を取り入れるなどの就体験活動機会を極的にけるととに,地域や産業界や労働等の業を行う関機関の々の協を積極的得るよう配慮するものとする。

  普通において,生徒障害の状や特性及び心身の発達の段階等,校や地域実態等考慮し必要に応て,適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。

  職業育を主とる専門科においは,次の事項に配慮するものとする。

()職業に関する各教科・科目については,実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにすること。

()生徒の実態を考慮し,職業に関する各教科・科目の履修を容易にするため特別な配慮が必要な場合には,各分野における基礎的又は中核的な科目を重点的に選択し,その内容については基礎的・基本的な事項が確実に身に付くように取り扱い,また,主として実験・実習によって指導するなどの工夫をこらすようにすること。

エ  職業関する各科・科について,次の事項に配慮するものとする。

()職業に関する各教科・科目については,就業体験活動をもって実習に替えることができること。この場合,就業体験活動は,その各教科・科目の内容に直接関係があり,かつ,その一部としてあらかじめ計画し,評価されるものであることを要すること。

()農業,水産及び家庭に関する各教科・科目の指導に当たっては,ホームプロジェクトなどの活動を活用して,学習の効果を上げるよう留意すること。この場合,ホームプロジェクトについては,適切な授業時数をこれに充てることができること。

  学部段階間及び学校段階等間の接続

教育課程の編成に当たっては,次の事項に配慮しながら,学部段階間及び学校段階等間の接続を図るものとする。

(1)  現行の特別支援学校小学部・中学部学習指導要領又は中学校学習指導要領を踏まえ,中学部における教育又は中学校教育までの学習の成果が高等部における教育に円滑に接続され,高等部における教育段階の終わりまでに育成することを目指す資質・能力を,生徒が確実に身に付けることができるよう工夫すること。

(2)  視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,生徒や学校の実態等に応じ,必要がある場合には,例えば次のような工夫を行い,義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るようにすること。

ア 各教科・科目の指導に当たり,義務教育段階での学習内容の確実 な定着を図るための学習機会を設けること。

イ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図りながら,必履修教科・科目の内容を十分に習得させることができるよう,その単位数を標準単位数の標準の限度を超えて増加して配当すること。

ウ 義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることを目標とした 学校設定科目等を履修させた後に,必履修教科・科目を履修させるようにすること。

(3)  大学や専門学校,教育訓練機関等における教育や社会的・職業的自立,生涯にわたる学習や生活のために,高等部卒業以降の進路先との円滑な接続が図られるよう,関連する教育機関や企業,福祉施設等との連携により,卒業後の進路に求められる資質・能力を着実に育成することができるよう工夫すること。


 

第3  育課程の実施と学習評

 

  主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善

各教科・科目等又は各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

(1)  第1款の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。

特に,各教科・科目等又は各教科等において身に付けた知識及び技能 を活用したり,思考力,判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等を発揮させたりして,学習の対象となる物事を捉え思考することにより,各教科・科目等又は各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し,生徒が各教科・科目等又は各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。

(2)  第2款の2の(1)に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要な言語環境を整えるとともに,国語科を要としつつ各教科・科目等又は各教科等の特質に応じて,生徒の言語活動を充実すること。あわせて,(6)に示すとおり読書活動を充実すること。

(3)  第2款の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

(4)  生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れるよう工夫すること。

(5)  生徒が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよう,各教科・科目等又は各教科等の特質に応じた体験活動を重視し,家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。

(6)  学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに,生徒の自主的,自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また,地域の図書館や博物館,美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資料を活用した情報の収集や鑑賞等の学習活動を充実すること。

  障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して,教師を派遣して教育を行う場合については,障害の状態や学習環境等に応じて,指導方法や指導体制を工夫し,学習活動が効果的に行われるようにすること。

  学習評価の充実

学習評価の実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

(1)  生徒のよい点や可能性,進歩の状況などを積極的に評価し,学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また,各教科・科目等又は各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して,学習の過程や成果を評価し,指導の改善や学習意欲の向上を図り,資質・能力の育成に生かすようにすること。

(2)  各教科・科目等又は各教科等の指導に当たっては,個別の指導計画に基づいて行われた学習状況や結果を適切に評価し,指導目標や指導内容,指導方法の改善に努め,より効果的な指導ができるようにすること。

(3)  創意工夫の中で学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう,組織的かつ計画的な取組を推進するとともに,学年や学部段階を越えて生徒の学習の成果が円滑に接続されるように工夫すること。


 

第4  単位の修得及び卒業の認定

 

  視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

(1)  各教科・科目及び総合的な探究の時間の単位の修得の認定

ア 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が各教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。

イ 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な探究の時間を履修し,その成果が第4章において準ずるものとしている高等学校学習指導要領第4章第2の1に基づき定められる目標からみて満足できると認められる場合には,総合的な探究の時間について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。

ウ 学校においては,生徒が1科目又は総合的な探究の時間を2以上の年次にわたって履修したときは,各年次ごとにその各教科・科目又は総合的な探究の時間について履修した単位を修得したことを認定することを原則とする。また,単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。

(2)  卒業までに修得させる単位数

学校においては,卒業までに修得させる単位数を定め,校長は,当該単位数を修得した者で,特別活動及び自立活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。この場合,卒業までに修得させる単位数は,74単位(自立活動の授業については,授業時数を単位数に換算して,この単位数に含めることができる。)以上とする。なお,普通科においては,卒業までに修得させる単位数に含めることができる学校設定科目及び学校設定教科に関する科目に係る修得単位数は,合わせて20単位を超えることができない。

(3)  各学年の課程の修了の認定

学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする。

  知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

学校においては,卒業までに履修させる各教科等のそれぞれの授業時数を定めるものとする。

校長は,各教科等を履修した者で,その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。


 

第5  徒の調和的な発達の支

 

  生徒の調和的な発達を支える指導の充実

教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

(1)  学習や生活の基盤として,教師と生徒との信頼関係及び生徒相互のよりよい人間関係を育てるため,日頃からホームルーム経営の充実を図ること。また,主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと,個々の生徒の多様な実態を踏まえ,一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの双方により,生徒の発達を支援すること。

(2)  生徒が,自己の存在感を実感しながら,よりよい人間関係を形成し,有意義で充実した学校生活を送る中で,現在及び将来における自己実現を図っていくことができるよう,生徒理解を深め,学習指導と関連付けながら,生徒指導の充実を図ること。

(3)  生徒が,学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら,社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう,特別活動を要としつつ各教科・科目等又は各教科等の特質に応じて,キャリア教育の充実を図ること。その中で,生徒が自己の在り方生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。その際,家庭及び地域や福祉,労働等の業務を行う関係機関との連携を十分に図ること。

(4)  学校の教育活動全体を通じて,個々の生徒の特性等の的確な把握に努め,その伸長を図ること。また,生徒が適切な各教科・科目や類型を選択し学校やホームルームでの生活によりよく適応するとともに,現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるようにすること。

(5)  生徒が,学校教育を通じて身に付けた知識及び技能を活用し,もてる能力を最大限伸ばすことができるよう,生涯学習への意欲を高めるとともに,社会教育その他様々な学習機会に関する情報の提供に努めること。また,生涯を通じてスポーツや文化芸術活動に親しみ,豊かな生活を営むことができるよう,地域のスポーツ団体,文化芸術団体及び障害者福祉団体等と連携し,多様なスポーツや文化芸術活動を体験することができるよう配慮すること。

(6)  学習の遅れがちな生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行い,生徒の実態に応じ,例えば義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための指導を適宜取り入れるなど,指導内容や指導方法を工夫すること。

(7)  家庭及び地域並びに医療,福祉,保健,労働等の業務を行う関係機関との連携を図り,長期的な視点で生徒への教育的支援を行うために,個別の教育支援計画を作成すること。

(8)  複数の種類の障害を併せ有する生徒(以下「重複障害者」という。)については,専門的な知識,技能を有する教師や特別支援学校間の協力の下に指導を行ったり,必要に応じて専門の医師やその他の専門家の指導・助言を求めたりするなどして,学習効果を一層高めるようにすること。

(9)  学校医等との連絡を密にし,生徒の障害の状態等に応じた保健及び安全に十分留意すること。

10  実験・実習に当たっては,特に安全と保健に留意すること。

  海外から帰国した生徒などの学校生活への適応や,日本語の習得に困難のある生徒に対する日本語指導

(1)  海外から帰国した生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うものとする。

(2)  日本語の習得に困難のある生徒については,個々の生徒の実態に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。


 

第6  校運営上の留意事

 

  教育課程の改善と学校評価等,教育課程外の活動との連携等

(1)  各学校においては,校長の方針の下に,校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ,相互に連携しながら,各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行うよう努めるものとする。また,各学校が行う学校評価については,教育課程の編成,実施,改善が教育活動や学校運営の中核となることを踏まえ,カリキュラム・マネジメントと関連付けながら実施するよう留意するものとする。

(2)  教育課程の編成及び実施に当たっては,学校保健計画,学校安全計画,食に関する指導の全体計画,いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針など,各分野における学校の全体計画等と関連付けながら,効果的な指導が行われるように留意するものとする。

(3)  教育課程外の学校教育活動と教育課程との関連が図られるように留意するものとする。特に,生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵(かん)養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い,持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。

  家庭や地域社会との連携及び協働と学校間の連携

教育課程の編成及び実施に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

(1)  学校がその目的を達成するため,学校や地域の実態等に応じ,教育活動の実施に必要な人的又は物的な体制を家庭や地域の人々の協力を得ながら整えるなど,家庭や地域社会との連携及び協働を深めること。また,高齢者や異年齢の子供など,地域における世代を越えた交流の機会を設けること。

(2)  他の特別支援学校や,幼稚園,認定こども園,保育所,小学校,中学校,高等学校及び大学などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け,共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること。

特に,高等部の生徒の経験を広げて積極的な態度を養い,社会性や豊かな人間性を育むために,学校の教育活動全体を通じて,高等学校の生徒などと交流及び共同学習を計画的,組織的に行うとともに,地域の人々などと活動を共にする機会を積極的に設けること。

3 高等学校等の要請により,障害のある生徒又は当該生徒の教育を担当する教師等に対して必要な助言又は援助を行ったり,地域の実態や家庭の要請等により保護者等に対して教育相談を行ったりするなど,各学校の教師の専門性や施設・設備を生かした地域における特別支援教育のセンターとしての役割を果たすよう努めること。その際,学校として組織的に取り組むことができるよう校内体制を整備するとともに,他の特別支援学校や地域の高等学校等との連携を図ること。


 

第7  徳教育に関する配慮事

 

道徳教育を進めるに当たっては,道徳教育の特質を踏まえ,第1節及び第1款から第6款までに示す事項に加え,次の事項に配慮するものとする。

1 各学校においては,第1款の2の(2)に示す道徳教育の目標を踏まえ,道徳教育の全体計画を作成し,校長の方針の下に,道徳教育の推進を主に担当する教師(「道徳教育推進教師」という。)を中心に,全教師が協力して道徳教育を展開すること。なお,道徳教育の全体計画の作成に当たっては,生徒や学校,地域の実態に応じ,指導の方針や重点を明らかにして,各教科・科目等との関係を明らかにすること。その際,視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,第2章第1節第1款において準ずるものとしている高等学校学習指導要領第2章第3節の公民科の「公共」及び「倫理」並びに第5章の特別活動が,人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面であることに配慮すること。

また,知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,学校の道徳教育の重点目標を設定するとともに,道徳科の指導方針,第3章特別の教科道徳(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校)に示す内容との関連を踏まえた各教科,総合的な探究の時間,特別活動及び自立活動における指導の内容及び時期並びに家庭や地域社会との連携の方法を示すこと。

2 道徳教育を進めるに当たっては,中学部又は中学校までの特別の教科である道徳の学習等を通じて深めた,主として自分自身,人との関わり,集団や社会との関わり,生命や自然,崇高なものとの関わりに関する道徳的諸価値についての理解を基にしながら,様々な体験や思索の機会等を通して,人間としての在り方生き方についての考えを深めるよう留意すること。また,自立心や自律性を高め,規律ある生活をすること,生命を尊重する心を育てること,社会連帯の自覚を高め,主体的に社会の形成に参画する意欲と態度を養うこと,義務を果たし責任を重んじる態度及び人権を尊重し差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うこと,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重すること,国際社会に生きる日本人としての自覚を身に付けることに関する指導が適切に行われるよう配慮すること。

3 学校やホームルーム内の人間関係や環境を整えるとともに,就業体験活動やボランティア活動,自然体験活動,地域の行事への参加などの豊かな体験を充実すること。また,道徳教育の指導が,生徒の日常生活に生かされるようにすること。その際,いじめの防止や安全の確保等にも資することとなるように留意すること。

4 学校の道徳教育の全体計画や道徳教育に関する諸活動などの情報を積極的に公表したり,道徳教育の充実のために家庭や地域の人々の積極的な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連携を図ること。


 

第8款 重複障害者等に関する教育課程の取扱

 

1 生徒の障害の状態により特に必要がある場合には,次に示すところによるものとする。

(1)  各教科・科目(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科。)の目標及び内容の一部を取り扱わないことができること

(2)  高等部の各教科・科目(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科。)の目標及び内容の一部を,当該各教科・科目に相当する中学部又は小学部の各教科の目標及び内容に関する事項の一部によって,替えることができること。

(3)  視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の外国語科に属する科目及び知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の外国語科については,小学部・中学部学習指導要領に示す外国語活動の目標及び内容の一部を取り入れることができること。

2 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の高等部に就学する生徒のうち,高等部の2段階に示す各教科の内容を習得し目標を達成している者については,高等学校学習指導要領第2章に示す各教科・科目,中学校学習指導要領第2章に示す各教科又は小学校学習指導要領第2章に示す各教科及び第4章に示す外国語活動の目標及び内容の一部を取り入れることができるものとする。また,主として専門学科において開設される各教科の内容を習得し目標を達成している者については,高等学校学習指導要領第3章に示す各教科・科目の目標及び内容の一部を取り入れることができるものとする。

3 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校に就学する生徒のうち,知的障害を併せ有する者については,次に示すところによるものとする。

(1)  各教科・科目の目標及び内容の一部又は各教科・科目を,当該各教科・科目に相当する第2章第2節第1款及び第2款に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科の目標及び内容の一部又は各教科によって,替えることができること。この場合,各教科・科目に替えて履修した第2章第2節第1款及び第2款に示す各教科については,1単位時間を50分とし,35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とするものとすること。

(2)  生徒の障害の状態により特に必要がある場合には,第2款の3の(2)に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等の履修等によることができること。

(3)  校長は,(2)により,第2款の3の(2)に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等を履修した者で,その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとすること。

4 重複障害者のうち,障害の状態により特に必要がある場合には,次に示すところによるものとする。

(1)  各教科・科目若しくは特別活動知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科,道徳科若しくは特別活動。)の目標及び内容の一部又は各教科・科目若しくは総合的な探究の時間(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科若しくは総合的な探究の時間。)に替えて,自立活動を主として指導を行うことができること。この場合,実情に応じた授業時数を適切に定めるものとすること。

(2)  校長は,各教科・科目若しくは特別活動(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科,道徳科若しくは特別活動。)の目標及び内容の一部又は各教科・科目若しくは総合的な探究の時間(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科若しくは総合的な探究の時間。)に替えて自立活動を主として履修した者で,その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとすること。

5 障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して,教師を派遣して教育を行う場合については,次に示すところによるものとする。

(1)  1,2,3の(1)若しくは(2)又は4の(1)に示すところによることができること。

(2)  特に必要がある場合には,実情に応じた授業時数を適切に定めること。

(3)  校長は,生徒の学習の成果に基づき,高等部の全課程の修了を認定することができること。

6 療養中の生徒及び障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒について,各教科・科目の一部を通信により教育を行う場合の1単位当たりの添削指導及び面接指導の回数等(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,通信により教育を行うこととなった各教科の一部の授業時数に相当する添削指導及び面接指導の回数等。)については,実情に応じて適切に定めるものとする。


 

第9款 専攻科

 

 

1 視覚障害者又は聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の専攻科における教科及び科目のうち標準的なものは,次の表に掲げるとおりである。視覚障害者又は聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,必要がある場合には同表に掲げる教科について,これらに属する科目以外の科目を設けることができる。

 

 

教科

科目

視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

保健理療

医療と社会,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと予防,生活と疾病,基礎保健理療,臨床保健理療,地域保健理療と保健理療経営,保健理療基礎実習,保健理療臨床実習,保健理療情報,課題研究

 

 

医療と社会,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと予防,生活と疾病,基礎理療学,臨床理療学,地域理療と理療経営,理療基礎実習,理療臨床実習,理療情報,課題研究

 

理学療法

人体の構造と機能,疾病と障害,保健・医療・福祉とリハビリテーション,基礎理学療法学,理学療法管理学,理学療法評価学,理学療法治療学,地域理学療法学,理学療法臨床実習,理学療法情報,課題研究

聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

理容・美容

関係法規・制度,衛生管理,保健,香粧品化学,文化論,理容・美容技術理論,運営管理,理容実習,美容実習,理容・美容情報,課題研究

 

歯科技工

歯科技工関係法規,歯科技工学概論,歯科理工学,歯の解剖学,顎(がく)口腔(くう)機能学,有床義歯技工学,歯冠修復技工学,矯正歯科技工学,小児歯科技工学,歯科技工実習,歯科技工情報,課題研究

 

 

2 視覚障害者又は聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の専攻科においては,必要がある場合には1の表に掲げる教科及び科目以外の教科及び科目を設けることができる。