第4節 水 産
第1款 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産業や海洋関連産業を通じ,地域や社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 水産や海洋の各分野について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 水産や海洋に関する課題を発見し,職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 水産海洋基礎
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産業や海洋関連産業において必要となる基礎的な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 水産業や海洋関連産業の国民生活における社会的意義や役割などについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 水産業や海洋関連産業全体を広い視野で捉え課題を発見し,水産業や海洋関連産業に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 持続可能な水産業や海洋関連産業の構築を目指して自ら学び,地域の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 海のあらまし
ア 日本の海,世界の海
イ 海と食生活・文化・社会
ウ 海と環境
エ 海と生物
(2) 水産業と海洋関連産業のあらまし
ア 船と暮らし
イ とる漁業・つくり育てる漁業と資源管理
ウ 水産物の流通と加工
エ 我が国の水産業と海洋関連産業
(3) 基礎実習
ア 水産・海洋生物の採集
イ 水産・海洋生物の飼育
ウ 水産物の加工
エ 海洋実習
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 水産や海洋について広く生徒の興味・関心や目的意識を高め,学習する意義を理解できるようにするとともに,学ぶ意欲を喚起するよう工夫して指導すること。
イ 人間生活における海の役割や重要性に着目するとともに,水産業や海洋関連産業における課題について,具体的な事例を基に,水産物及び船の活用と関連付けて考察するよう工夫して指導すること。
ウ 地域の水産業や海洋関連産業の見学及び実験・実習などの体験的な学習活動を通して課題を発見し,その解決に向けて主体的に計画したり,提案したりすることができるよう工夫して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,海と人間の古くからの関わりや偉人,文化,国際的な協調について扱うこと。イについては,我が国の魚食文化などを取り上げるとともに,海,水産物,船及び漁村と生活との関わりについて扱うこと。ウについては,海洋環境の概要を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)については,水産物の安定供給並びに付加価値向上の必要性について基礎的な内容に触れること。また,社会や産業全体の課題を解決するために,水産業や海洋関連産業が果たしている役割,働くことの社会的意義や役割,職業人に求められる倫理観についても扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のエについては,操船や漕(そう)艇を中心に扱い,地域の実態や学科の特色に応じて,結索,体験乗船,海洋観測,水泳,マリンスポーツなどを扱うこと。
第2 課題研究
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,社会を支え産業の発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 水産や海洋の各分野について体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。
(2) 水産や海洋に関する課題を発見し,水産業や海洋関連産業に関わる者として解決策を探究し,科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) 課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 調査,研究,実験
(2) 作品製作
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)から(4)までの中から,個人又はグループで水産や海洋に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,水産や海洋に関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)から(4) までの2項目以上にまたがるものを設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
第3 総合実習
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産業や海洋関連産業において必要となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 水産や海洋の各分野について総合的に捉え体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 水産や海洋の各分野に関する課題を発見し,水産業や海洋関連産業に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 水産や海洋の各分野に関する総合的な知識と技術の実務への活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 海洋漁業実習
(2) 海洋工学実習
(3) 情報通信実習
(4) 資源増殖実習
(5) 水産食品実習
(6) その他の水産・海洋実習
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)から(6)までについては,生徒の進路希望,地域の実態や学科の特色等に応じて,その中からいずれかを選択して扱うこと。
イ 安全管理や事故防止,衛生管理などの指導の徹底を図ること。
ウ 水産業や海洋関連産業に従事する者として,実務に活用する能力と態度を養うとともに,使命や責任について,総合的に理解できるよう指導すること。
エ 〔指導項目〕の(1),(2),(4)及び(6)において,ダイビングやマリンスポーツなどの実習を行う場合には,事前の健康診断や器具の点検など安全に十分留意して行うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,漁業乗船実習及び漁業生産実習を行うこととするが,いずれかを選択して扱うことができること。また,漁業乗船実習の一環として,外地寄港地活動や海事実務英語などを扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)については,機関乗船実習,機械工作実習及び海洋機器実習を行うこととするが,いずれかを選択して扱うことができること。また,機関乗船実習の一環として,外地寄港地活動や海事実務英語などを扱うこと。なお,機関乗船実習については,必要に応じ,陸上の実習施設などを利用して行うことができること。また,海洋機器実習については,機関工学的内容又は海洋開発的内容を選択して扱うことができること。
ウ 〔指導項目〕の(5)については,地域の実態や学科の特色に応じて,適切な食品を選択すること。その際,必要に応じ,農畜産物を取り上げることもできること。
第4 海洋情報技術
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産業や海洋関連産業において情報技術を活用するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 水産や海洋における情報技術について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 水産や海洋における情報技術に関する課題を発見し,水産業や海洋関連産業に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 水産や海洋における情報技術の主体的な活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 水産や海洋における情報技術
ア 様々な情報技術
イ 情報セキュリティと情報モラル
(2) 水産や海洋における情報コミュニケーションと情報デザイン
ア 情報メディア
イ 情報のデジタル化と情報処理
(3) コンピュータとプログラミング
ア 情報の表現方法
イ アプリケーションソフトウェアの使用方法
ウ オペレーティングシステム
エ プログラミング
(4) 情報通信ネットワークとデータの利用
ア 情報通信ネットワークの概要
イ 情報通信ネットワークの活用
(5) 水産や海洋における情報技術の応用
ア 海洋の情報システム
イ 船舶運航の情報システム
ウ 水産の情報システム
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 実際に様々な情報技術を適切かつ効果的に活用できるように実習を中心に扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(5)のアからウまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,その中からいずれかを選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,情報や情報技術の果たしている役割や影響と情報に関する法や制度について扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)については,情報社会における多様なコミュニケーションと情報メディアの特性を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)については,適切な開発環境やプログラミング言語を選択するとともに,コンピュータ内部での情報の表し方,コンピュータで情報が処理される仕組みや特徴,アルゴリズムやプログラムの最適化について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(5)のアについては,海洋に関する環境情報システム,気象や海象に関するデータ収集や分析などのシステム,船舶運航や管理,通信に関するシステムについて扱うこと。イについては,沿岸と海中の安全救助や監視に関する情報システムについて扱うこと。ウについては,資源管理,水産物の取引,食品流通に関する情報システムについて扱うこと。
第5 水産海洋科学
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産業や海洋関連産業において必要となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 水産や海洋について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 科学的な視点で水産や海洋に関する課題を発見し,水産業や海洋関連産業に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 水産業や海洋関連産業の充実を目指して自ら学び,グローバルな視点をもって地域の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 海洋と生活
ア 海洋の知識
イ 水産資源の育成と漁業
ウ 水産物の需給と流通
エ 食品としての水産物
オ 船舶の役割
カ 海洋政策と海洋関連産業
(2) 海洋の科学
ア 海洋の地形と海水の組成
イ 海洋と生命
ウ 海洋と気象
エ 海洋の資源・エネルギー
オ 深海の世界
カ 海洋と環境問題
(3) 水産の新しい展開
ア 水産業の新しい展開
イ 水産物の高度利用
(4) 海洋に関する探究活動
ア 探究活動の概要
イ 探究活動の進め方
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 「水産海洋基礎」との関連を考慮しながら,生徒や地域の実態に応じて,地域産業の活性化につながる活動を取り入れるなど,学習内容の深化を図ることができるよう工夫して指導すること。
イ 〔指導項目〕の(4)については,(1)から(3)までを学習した後に扱うとともに,適切な研究課題を設定し,探究する活動を通して,科学的な見方や考え方,自発的な学習態度の育成を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,水産業や海洋関連産業及び地域生活における海洋の役割を扱うこと。また,我が国の水産業や海洋関連産業の展望と課題についても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のエについては,化石燃料,海底鉱物資源などを扱うこと。カについては,異常気象,海洋環境保全を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,海がもつ多面的機能及びその活用方法を扱うこと。イについては,未利用資源及び機能性成分の利用について基礎的な内容を扱うこと。
第6 漁業
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,漁業に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 漁業について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 漁業に関する課題を発見し,漁業生産に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 漁業における生産性の向上を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 漁業と海洋環境
ア 漁業の役割と変遷
イ 我が国の漁業と漁船の概要
ウ 海洋環境と海の生態系
エ 漁場と漁場調査
オ 海洋環境の保全
(2) 水産資源と漁業管理
ア 水産生物の生態
イ 水産資源
ウ 漁業管理
(3) 漁業の技術
ア 漁具と漁法
イ 主な漁業と資源増殖
ウ 漁具の構成と材料
エ 漁業機械,計測機器,冷凍機械
(4) 漁業生産の基盤
ア 漁業制度と法規
イ 漁業をめぐる国際環境
ウ 漁業と情報
エ 貿易と流通
オ 品質管理と安全管理
(5) 漁業経営
ア 漁業経営の仕組み
イ 経営組織と管理・運営
ウ 漁業経営の効率化
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 漁業における国際的な動向と課題に着目するとともに,漁業生産に関する具体的な事例について,漁業の意義や役割と関連付けて考察するよう工夫して指導すること。
イ 産業現場の見学や実験・実習などの体験的な学習活動を通して,漁業に関する具体的な課題を発見し,その解決に取り組むことができるよう工夫して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,水産物と食生活や漁業を中核とした地域活性化の事例などを扱うこと。ウについては,食物連鎖及び海の生産力の概要を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のウについては,漁獲方法や漁場,漁期の規制について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のウについては,漁具製作に必要な結索や編網,修繕の技術について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,漁業法や漁業協同組合などの概要を扱うこと。イについては,排他的経済水域の定着,国際漁業に関する条約や協定,漁業の国際協力などの基礎的な内容を扱うこと。オについては,危害分析・重要管理点方式と食品トレーサビリティシステムなどの基礎的な内容を扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)については,漁業経営の特性,経営分析,簿記及び新たな漁業経営の取組や改善について基礎的な内容を扱うこと。
第7 航海・計器
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,漁船等の船舶を航行させるために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 船舶の安全かつ適切な航海について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 船舶の安全かつ適切な航海に関する課題を発見し,船舶の運航や漁業生産に従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 船舶の安全かつ適切な航海や漁業生産への活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 航海の概要
ア 航海の意義と沿革
イ 航海と航法
ウ 航海と計算
(2) 航海に関する情報
ア 航海と情報
イ 海図と航路標識
ウ 海流や潮汐(せき)の概要
(3) 計器と航法
ア 基本航海計器
イ 地文航法
ウ 電波航法
エ 天文航法
(4) 航海計画
(5) 海上交通関係法規
ア 海上衝突予防法
イ 海上交通安全法
ウ 港則法
(6) 海事実務英語
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 安全な航海について,具体的な事例を基に理解できるよう指導すること。
イ レーダー・自動衝突予防援助装置シミュレータ,電子海図や実習船等を活用した実験・実習などの体験的な学習活動を通して,船舶の安全かつ適切な航海の重要性について具体的に理解できるよう指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(2)のアについては,航海に必要な情報の収集と活用の方法を扱うこと。イについては,電子海図,各種の航路標識,信号などを扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(3)のアについては,航海計器の基本的な操作方法などを扱うこと。イについては,船位の算出と測定及び衝突防止を中心に扱うこと。ウについては,電波の概要や衛星航法を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(4)については,航海計画立案に必要な情報の入手方法と活用方法を扱うこと。また,安全かつ適切な船舶の運航について理解できるよう,(1)から(3)までと関連付けて扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(5)については,海上交通三法及び関係法規を扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(6)については,航海に必要な海事実務英語や外地寄港地などにおける英会話について基礎的な内容を扱うこと。
第8 船舶運用
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,漁船等の船舶の運航に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 船舶の安全かつ適切な運用について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 船舶の安全かつ適切な運用に関する課題を発見し,船舶の運航や漁業生産に従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 船舶の安全かつ適切な運用や漁業生産への活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 船舶の概要
ア 船舶の意義
イ 漁船の意義
ウ 船の種類と船体構造
(2) 船舶の設備
ア 操船・機関・通信設備
イ 係船・荷役設備
ウ 船用品
エ 安全・衛生設備
オ 漁業設備
カ 冷凍・冷蔵設備
(3) 船務
ア 乗組員の編成と職務
イ 船体の整備
ウ ドックと検査
エ 通信
オ 保安の確保
(4) 海上気象
ア 海上気象の基礎
イ 日本近海の海上気象
(5) 操船
ア 操船の基本
イ 応用操船
ウ 荒天運用
エ 海難と応急
(6) 船内の安全と衛生
ア 災害防止
イ 救急処置
ウ 船内消毒
(7) 船員・船舶・海洋関係法規
ア 船員等に関する法律
イ 船舶の安全等に関する法律
ウ 海洋汚染や海上災害の防止に関する法律
エ 船舶の衛生に関する法律
オ 国際公法
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 船舶の運航・管理について,国際的な動向と課題に関連付けて理解できるよう指導すること。
イ 実験・実習などの体験的な学習活動を通して,船舶の安全な運航・管理について具体的に理解できるよう指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,船舶の変遷を中心に扱うこと。イについては,漁船の定義,従業制限などを扱うこと。ウについては,基礎的な内容を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(3)のエについては,海上特殊無線や旗りゅう信号,船位通報制度を扱うこと。オについては,船舶保安統括者及び船舶保安管理者について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(4)のアについては,気象要素や気団,前線などを扱うこと。イについては,我が国の各季節における気圧配置の特徴などを扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(6)のイについては,捜索救助,応急医療,消火作業指揮などを扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(7)については,法改正などに対応した船員・船舶・海洋関係法規について扱うこと。
第9 船用機関
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,船舶の機関及び機械装置の運転に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 船舶の機関及び機械装置の運転や管理について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 船舶の安全運航に必要な機関の運転や管理に関する課題を発見し,船舶の機関及び機械装置の運転や管理に従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 船舶の機関及び機械装置の安全かつ効率的な運転,管理を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 熱機関の概要
ア 熱機関の種類と沿革
イ 熱機関に関する基礎
(2) 内燃機関
ア 内燃機関の概要
イ ディーゼル機関
ウ ガソリン機関
エ ガスタービン
オ 環境技術
(3) 推進装置
ア 軸系
イ プロペラ
ウ 操船装置
エ 各種推進装置
オ 速度と経済性
(4) 燃料と潤滑剤
ア 燃料油
イ 潤滑剤
(5) 補機
ア ポンプ
イ 油圧装置
ウ 造水装置
エ 環境汚染防止装置
(6) ボイラ,冷凍装置
ア ボイラ
イ 冷凍・冷蔵装置
ウ 空気調和装置
(7) 船舶の運航と保安
ア 船舶の種類と構造
イ 船舶の設備
ウ 船内組織と職務
エ 損傷制御と安全衛生
オ 海事関係法規
カ 海事実務英語
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 船舶の機関及び機械装置に関する国際的な動向と環境問題について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 産業現場の見学や実験・実習などの体験的な学習活動を通して,船舶の機関及び機械装置に関する具体的な課題を発見し,その解決に取り組むことができるよう工夫して指導すること。
ウ 〔指導項目〕の(7)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,扱わないことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,熱機関の種類や変遷及び蒸気タービンについて基礎的な内容を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のオについては,船舶の機関における環境技術及び省エネルギー技術の概要を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(5)のイについては,漁業機械や甲板機械及び海洋調査などに用いられる機器を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(7)のエについては,船舶の安全や執務一般に関する基礎的な内容を扱うこと。カについては,機関業務に必要な海事実務英語や外地寄港地などにおける英会話について基礎的な内容を扱うこと。
第10 機械設計工作
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,機械の設計と工作に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 機械の設計と工作について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 機械の設計と工作に関する課題を発見し,水産や海洋の工学分野に従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 機械の設計と工作について,水産や海洋の工学的分野への活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 機械設計工作の概要
ア 機械と設計工作の基礎
イ 機械に働く力と運動
ウ 材料の一般的性質
(2) 機械設計
ア 締結用機械要素
イ 軸に関する機械要素
ウ 歯車伝動装置とその他の機械要素
(3) 機械製図
ア 製図の基礎
イ 製作図
ウ CAD
エ 測定と計測技術
(4) 機械材料
ア 鉄鋼材料
イ 非鉄金属材料
ウ 複合材料
エ 金属の腐食と防食法
(5) 機械工作
ア 鋳造と鍛造
イ 板金加工
ウ 溶接と切断
エ 機械加工
オ 手仕上げと組立て
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 実験・実習などの体験的な学習活動を通して,水産業や海洋関連産業の各分野における機械設計と機械工作について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 〔指導項目〕の(5)のアからオまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,その中からいずれかを選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,流体力学の基礎的な内容を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(3)のアについては,日本工業規格に基づく製図に関する基礎的な内容を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(4)については,鋳鉄や合金,繊維強化プラスチック等の特性や用途,耐食性などの基礎的な内容を扱うこと。
第11 電気理論
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産や海洋における電気機器や電子機器の取扱いに必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 電気機器や電子機器の取扱いについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 電気機器や電子機器の取扱いに関する課題を発見し,電気機器や電子機器の取扱いに従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 電気機器や電子機器の適切な取扱いを目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 電気回路の基礎
ア 直流回路
イ 電気抵抗の性質
ウ 電気エネルギー
エ 交流の性質と交流回路
(2) 電気と磁気
ア 静電気
イ 磁気
ウ 電流と磁気
エ 電磁誘導
(3) 半導体素子と電子回路
ア ダイオードとトランジスタ
イ 各種の半導体素子
ウ 電子回路
(4) 電気機器
ア 同期機
イ 誘導機
ウ 変圧器
エ 直流機
オ 非常用電源装置
(5) 電気計測と自動制御
ア 電気計器
イ 計測
ウ 自動制御の基礎
エ 自動制御の応用
(6) 配電・電気工事
ア 船内配電
イ 工場配電
ウ 電気工事
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 実験・実習などの体験的な学習活動を通して,水産業や海洋関連産業の各分野における電気・電子に関する基礎的な理論と関連付けて考察するよう工夫して指導すること。
イ 〔指導項目〕の(5)のアからエまで及び(6)のアからウまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,直流回路と交流回路における諸定理や計算方法の基礎的な内容を扱うこと。エについては,正弦波交流を中心に扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(4)については,電池,電源設備の原理,構造,運転,保守などの基礎的な内容を扱うこと。
第12 移動体通信工学
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,船舶など移動体における通信に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 移動体通信について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 移動体通信に関する課題を発見し,通信の運用に従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 移動体における電子機器の取扱いや通信業務への活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 移動体通信の概要
ア 通信の種類
イ 移動体通信
ウ 電波や光による情報の伝送
エ 無線局の設備と特徴
(2) 無線通信機器
ア 無線通信機器の基礎回路
イ 送信機,受信機
ウ マイクロ波通信装置
エ 遭難及び安全通信設備
(3) マイクロ波回路とアンテナ
ア マイクロ波回路
イ マイクロ波回路の種類と特徴
ウ アンテナの種類と特性
エ 給電線の種類と特徴
(4) 電波の伝わり方
ア 電波の伝搬特性
イ 伝搬上の諸現象
(5) 航海用電子機器
ア レーダー
イ 衛星航法機器
ウ ソナー
エ その他の電子機器
(6) 応用電子計測
ア 電子計測機器
イ 送信機の測定
ウ 受信機の測定
エ マイクロ波と光の測定
オ アンテナ及び電波の測定
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 実験・実習などの体験的な学習活動を通して,船舶など移動体における通信について具体的に理解できるよう指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,通信の変遷や構成,各種通信サービスを扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,発振回路や変調・復調回路の基礎的な内容を扱うこと。エについては,海上における遭難及び安全に関する世界的な制度を中心に扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のア及びイについては,分布定数回路,導波管を用いた立体回路や四端子回路網を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(5)については,各種電子機器の原理や性能,用途を扱うこと。
第13 海洋通信技術
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,有線通信と情報通信技術の運用に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 有線通信と情報通信技術について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 有線通信と情報通信技術に関する課題を発見し,通信の運用に従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 有線通信と情報通信技術の通信業務への活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 有線通信機器
ア 有線によるデータ通信の基礎
イ 端末設備の技術
ウ ネットワークの技術
エ 情報セキュリティの技術
オ 接続工事の技術
(2) 通信関係法規
ア 電波法及び関係法規
イ 国際通信関係法規
ウ 有線通信関係法規
エ 海事関係法規
(3) 通信英語
ア 無線通信に使用される英語
イ 重要通信の通信文例
(4) 通信交通地理
ア 日本の通信交通地理
イ 世界の通信交通地理
(5) 通信の実技
ア 送受信の実技
イ 通信運用
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 実験・実習などの体験的な学習活動を通して,船内における有線通信技術と通信業務について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 〔指導項目〕の(2)のアからエまで,(3)のア及びイについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,それぞれいずれかを選択して扱うことができること。(4)のア及びイ,(5)のア及びイについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,端末設備やネットワークの伝送技術,種類,構造などの基礎的な内容を中心に扱うこと。エについては,海上における円滑な通信業務と関連付けた情報セキュリティを扱うこと。オについては,各種ケーブルの製作や保守方法を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(3)のイについては,遭難通信,緊急通信,安全通信などの通信文例を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(4)のアについては,海上用の無線航行陸上局や主な漁港の配置を扱うこと。イについては,海岸地球局の配置や日本の漁船の主要寄港地を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(5)のアについては,モールス符号による和文・欧文の受信と送信を扱うこと。
第14 資源増殖
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産増養殖に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 資源増殖について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 資源増殖に関する課題を発見し,生物生産に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 安全な水産物の増養殖と生産性の向上を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 資源増殖の概要
ア 増養殖技術の変遷
イ 増養殖技術
ウ 種苗生産
(2) 飼料・餌料
ア 養魚飼料の現状と特徴
イ 魚介類の摂餌,消化,吸収,栄養要求
ウ 初期餌料
エ 飼料原料と配合飼料
(3) 病気と病害対策
ア 病気の種類と流行
イ 病気の診断と対策
(4) 生産物の安全管理と環境対策
ア 生産物の流通と安全管理
イ 増養殖における環境対策
(5) 水産育種とバイオテクノロジー
ア 水産育種
イ バイオテクノロジー
(6) 主な増養殖技術
ア 海洋動物
イ 海洋植物
ウ 海外の養殖技術
エ 観賞魚飼育
(7) 養殖業経営と増養殖関係法規
ア 養殖業経営
イ 増養殖関係法規
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 産業現場の見学や実験・実習などの体験的な学習活動を通して,水産増養殖による生産性の向上と環境保全の重要性について具体的に理解できるようにするとともに,資源増殖の意義や役割と関連付けて考察するよう工夫して指導すること。
イ 〔指導項目〕の(6)については,地域の実態や学科の特色に応じて,適切な増養殖対象種を扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,主な増養殖技術について基礎的な内容を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のエについては,技術の進展に応じた最新の飼料の原材料を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(4)のアについては,危害分析・重要管理点方式や食品トレーサビリティシステムなど安全管理に関する内容を扱うこと。イについては,自家汚染や遺伝子汚染などの増養殖による環境汚染とその対策を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(5)のイについては,技術革新に対応した最新の内容を扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(7)のアについては,漁業協同組合と金融,共済制度などと関連付けて扱うこと。また,簿記の基礎的な内容と養殖業経営についても扱うこと。
第15 海洋生物
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,海洋生物を水産業や海洋関連産業において活用するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 海洋生物について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 海洋生物を取り巻く課題を発見し,海洋生物に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 水産資源の管理や有効利用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 海洋生物のあらまし
ア 海洋生物の概要
イ 海洋生物と人との関わり
(2) 海洋動物
ア 海洋動物の生活
イ 主な海洋動物
(3) 海洋植物
ア 海洋植物の生活
イ 主な海洋植物
(4) プランクトン
ア プランクトンの生活
イ 主なプランクトン
(5) 水産資源管理
ア 水産資源の特徴
イ 資源量の推定
ウ 資源管理の方法
エ 未利用資源
オ 種の保全
(6) 海洋生物実験
ア 海洋動物実験
イ 海洋植物実験
ウ プランクトン実験
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 飼育,観察,調査等による実験・実習などの体験的な学習活動を通して,水産資源の管理や有効な活用について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 〔指導項目〕の(2)のイ,(3)のイ及び(4)のイについては,地域の実態や学科の特色に応じて,適切な対象種を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(6)については,地域の実態や学科の特色に応じて,適切な実験を選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,海洋生物の利用や海洋生物による被害などを扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,海洋動物の生活と環境との関わり及び生態系,水産資源などの中で海洋動物の果たす役割を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,海洋植物の生活と環境との関わり及び生態系,水産資源などの中で海洋植物の果たす役割を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,プランクトンの生活と環境との関わり及び生態系,水産資源などの中でプランクトンの果たす役割を扱うこと。イについては,海洋や湖沼などの生物生産に関わりの深いプランクトンの種類と生態を扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のウについては,水産資源の持続的有効利用,漁獲可能量制度などを扱うこと。エについては,深海生物やバイオマスなどを扱うこと。オについては,絶滅危惧種の保全や外来種の問題などを扱うこと。
カ 〔指導項目〕の(6)のアについては,基礎的な解剖,発生の観察,外部形態と計測,フィールド調査,標本作製などを扱うこと。イについては,フィールド調査と採集,標本作製,色素の検出などを扱うこと。ウについては,採集方法,計測方法などを扱うこと。
第16 海洋環境
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,海洋環境の管理や保全に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 海洋環境について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 海洋環境に関する課題を発見し,水産業や海洋関連産業に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 海洋環境の管理や保全を目指して自ら学び,持続可能で発展的な水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 海洋環境と人間
ア 海洋環境管理の概要
イ 海洋環境の保全
ウ 陸水環境の保全
エ 海洋環境関係法規
(2) 水産・海洋関連産業と環境保全
ア 漁業・船舶と環境保全
イ 資源増殖と環境保全
ウ 海洋性レクリエーションと環境保全
(3) 漁場環境と調査
ア 漁場環境の特性
イ 漁場の調査
(4) 海洋開発と環境改善
ア 漁場造成技術
イ ウォーターフロント開発
ウ 環境改善技術
(5) 海洋における自然災害への対応
ア 自然災害と人間生活
イ 自然災害と安全確保
ウ 自然災害と持続的な生産活動
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 海洋環境と水産業や海洋関連産業をはじめとする人間生活との関連について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 産業現場の見学や実験・実習などの体験的な学習活動を通して,海洋環境の現状や保全,災害対策に関する具体的な課題を発見し,その解決に取り組むことができるよう工夫して指導すること。
ウ 〔指導項目〕の(2)から(4)までについては,地域の実態や学科の特色に応じて,適切な事例を扱うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,海洋や陸水の環境管理の意義と沿革及び現状と今後の展望を扱うこと。イについては,気候変動に伴う影響などを扱うこと。ウについては,陸水の環境要因の基礎的な内容について扱うこと。エについては,国際条約の概要,環境アセスメントの基礎的な内容を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,漁業に伴う廃棄漁具,船舶運航による排出ガスやバラスト水,省力化船などの現状や課題を扱うこと。イについては,増養殖場における環境要因,海洋生物の生育に適する水質や養殖場の自家汚染対策を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,気象観測や水質,底質及び生物調査などの基礎的な内容を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)については,海洋生物の繁殖や成長に必要な条件を備えた人工漁場や増養殖場を造成するための基本的な技術並びに海岸環境の保全と整備,造成技術など基礎的な内容を扱うこと。
第17 小型船舶
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,漁船等の小型船舶の運航に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 小型船舶の安全かつ適切な操船について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 小型船舶の安全かつ適切な操船に関する課題を発見し,漁業生産など海上業務に従事する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 小型船舶の安全かつ適切な操船や漁業生産への活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 小型船舶操縦者としての心得
ア 水上交通の特性
イ 船長の心得
ウ 小型船舶操縦者の遵守事項
(2) 交通の方法
ア 一般海域での交通の方法
イ 港内での交通の方法
ウ 特定海域での交通の方法
エ 湖川及び特定水域での交通の方法
(3) 運航
ア 船体,設備及び装備品
イ 操縦
ウ 航海の基礎
エ 気象及び海象
オ 航海計画
カ 荒天航法及び海難防止
(4) 機関
ア 機関の取扱い
イ 機関の保守整備
ウ 機関故障時の対処
(5) 小型船舶の取扱い
ア 発航前の準備及び点検
イ 解らん・係留
ウ 結索
エ 方位測定
(6) 小型船舶の操縦
ア 基本操縦
イ 応用操縦
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 実験・実習などの体験的な学習活動を通して,小型船舶の安全かつ適切な操船について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 小型船舶の運航における安全管理や事故防止について指導の徹底を図るとともに,重要性について理解できるよう指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,船員及び船舶と安全に関する法規のうち,小型船舶操縦者に必要な基本的な内容を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,海上衝突予防法及び関係法規を扱うこと。イについては,港則法及び関係法規を扱うこと。ウについては,海上交通安全法及び関係法規を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(6)のアについては,安全確認や発進・直進・停止,後進及び変針・旋回・蛇行を扱うこと。イについては,人命救助や避航操船及び離岸・着岸を扱うこと。
第18 食品製造
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産食品を主とした安全な食品の製造と品質の向上に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 食品製造について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 食品製造に関する課題を発見し,食品製造に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 安全な食品の製造と品質の向上を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 食品製造の概要
ア 食品製造の意義と食育
イ 水産食品の現状と将来
(2) 食品の貯蔵及び加工
ア 水産物の性状
イ 食品の貯蔵及び加工の原理
ウ 食品の貯蔵法
(3) 水産食品の製造
ア 乾製品
イ 塩蔵品
ウ 魚肉ねり製品
エ 缶詰,レトルト食品
オ 冷凍食品
カ その他の水産食品
(4) 食品製造機器
ア 食品製造機器
イ ボイラ
ウ 冷凍・冷蔵装置
(5) 環境汚染の防止
ア 生活環境の保全
イ 環境問題への取組
(6) 経営と生産管理
ア 経営
イ 生産管理
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 産業現場の見学や就業体験活動,実験・実習などの体験的な学習活動を通して,安全な食品を安定的に供給することの重要性について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 〔指導項目〕の(3)及び(4)については,安全指導の徹底を図るとともに,食品衛生上の危害要因を明確にし,その危害発生を予防すること。ウ 〔指導項目〕の(4)については,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切な機器を選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,国民生活に果たしている食品製造の意義や役割,食品製造に関わる者の使命と責任,食育の意義を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(3)のオについては,最新の冷凍技術の実態を具体的に扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(5)のイについては,環境汚染の発生要因とその対策及び処理方法について基礎的な内容を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(6)のアについては,原価計算や簿記の基礎的な内容を扱うとともに,経営や起業に対する支援についても触れること。イについては,品質管理と製品検査の概要を扱うこと。
第19 食品管理
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産物を主とした食品を安全かつ適切に管理するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 食品管理について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 食品管理に関する課題を発見し,食品管理に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 安全かつ適切な食品の管理を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 食品管理の概要
ア 食品管理の意義
イ 食品管理の沿革
(2) 食品の成分及びその変化
ア 食品の成分と栄養
イ 食品の機能性
ウ 食品の品質変化
(3) 食品と微生物
ア 食品と微生物
イ 食品による危害
(4) 食品管理実験
ア 実験の基礎
イ 化学実験
ウ 微生物実験
(5) 食品の安全管理
ア 食品工場における衛生管理
イ 安全管理システム
ウ 食品添加物
(6) 食品管理関係法規
ア 食品の安全に関する法規
イ 食品の規格に関する法規
ウ 食品の表示に関する法規
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 食品管理における国内及び国際的な動向を踏まえ,具体的な事例を基にした学習活動を取り入れること。
イ 産業現場の見学や実験・実習などの体験的な学習活動を通して,食品の品質管理や衛生管理の重要性について具体的に理解できるよう指導すること。
ウ 〔指導項目〕の(4)については,安全指導の徹底を図ること。また,生徒の実態や学科の特色に応じて,適切な実験を選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,国民生活に果たしている食品管理の意義や役割,食品管理に関わる者の使命と責任を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のウについては,水産物の貯蔵,加工及び流通の過程における変化について農産物と比較して扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,食品の生産から消費に至る過程において関係する微生物の性質や働きを扱うこと。イについては,食品に起因する危害要因やその予防・防除を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,定性分析法,定量分析法及び栄養成分の分析法を扱うこと。ウについては,微生物の培養試験法の基本的な内容及び食品の規格基準に定められた試験法を扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)については,危害分析・重要管理点方式などの国際的な安全管理の方法や食品トレーサビリティシステムの我が国における状況を扱うこと。
第20 水産流通
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,安全かつ合理的な水産物の流通に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 水産流通について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 水産流通に関する課題を発見し,水産流通に関わる者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 安全かつ合理的な水産物の流通を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 水産物流通の概要
ア 流通の仕組み
イ 水産物流通の展望
(2) 水産物の流通
ア 鮮魚の流通
イ 活魚の流通
ウ 水産加工品の流通
エ 輸出入水産物の流通
(3) 水産物流通の技術と管理
ア 輸送管理技術と品質管理
イ 包装技術
ウ 情報技術の利用
(4) 水産物の流通機構
ア 卸売業
イ 小売業
ウ 輸出入業
(5) 水産物のマーケティング
ア 市場調査と商品開発
イ 水産物の販売促進
(6) 流通関係法規と知的財産
ア 主な流通関係法規
イ 知的財産
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 産業現場の見学や調査,実験・実習などの体験的な学習活動を通して,水産流通の仕組みと役割について具体的に理解できるよう指導すること。
イ 〔指導項目〕の(5)については,安全指導や衛生指導の徹底を図るとともに,(6)と関連付け,法令遵守の重要性について理解できるよう指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(2)については,各種水産物の特性を踏まえた流通経路や価格形成の仕組みを扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(3)のウについては,基本的な物流情報システムを扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(4)については,各流通段階の役割と機能を扱うこと。ウについては,貿易実務の基礎的な内容を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(5)については,地域と連携した水産物のマーケティングを具体的に扱うこと。
第21 ダイビング
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ダイビングに必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) ダイビングについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) ダイビングに関する課題を発見し,水産や海洋での諸活動を安全かつ適切に行う者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 水産や海洋におけるダイビングの活用を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) ダイビングの概要
ア ダイビングの歴史
イ ダイバーの適性
ウ ダイビングの種類
(2) ダイビングの環境
ア 圧力・温度
イ 浮力
ウ 気体の性質
エ 水中での視覚・聴覚
オ 海の流れ
カ 海洋生物
(3) ダイビングの生理
ア ダイビングの人体に及ぼす影響
イ ダイビングによる障害と対策
ウ 救急処置
(4) ダイビング機器
ア スクーバ式
イ ヘルメット式
ウ 全面マスク式
エ その他の機器
(5) ダイビング技術
ア 送気法
イ 潜降法
ウ 浮上法
エ 水中調査及び水中作業
(6) ダイビング関係法規
ア 労働安全衛生法
イ 高気圧作業安全衛生規則
ウ 漁業に関する法令
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 安全指導や安全管理,水中や沿岸等の環境保全などに十分配慮するとともに,実験・実習などの体験的な学習活動を通して,ダイビングの安全な実施について具体的に理解できるよう指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)については,ダイビングの意義及び業としてのダイビングの現状と今後の展望を扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(3)については,(2)と関連付けて扱うこと。イについては,減圧症の対策など基礎的な内容を扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(4)については,主要なダイビング機器の構造及び使用法を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(6)については,ダイビングに関する労働安全衛生や高気圧作業安全衛生などに関する基本的な法規を扱うこと。
第22 マリンスポーツ
1 目 標
水産の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,水産業や海洋関連産業におけるマリンスポーツに必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) マリンスポーツについて体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) マリンスポーツに関する課題を発見し,海洋や河川などの自然環境を活用する者として合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 海洋などにおける諸活動の円滑かつ安全な実施を目指して自ら学び,水産業や海洋関連産業の振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 海の活用と環境保全
ア 海の有効活用
イ 自然環境保全
(2) フィッシング
ア 海釣り
イ 川釣り
(3) レジャーダイビング
ア スノーケリング
イ スキンダイビング
ウ スクーバダイビング
(4) 海洋レジャー
ア 海上でのルールと自然現象
イ セーリング
ウ カヌー・カヤック
エ その他のマリンスポーツ
(5) 安全指導と安全管理
ア 安全指導
イ 安全管理
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 水産業及び海洋関連産業におけるマリンスポーツの全体を概観できるようにするとともに,安全指導や安全管理,自然環境の保全について理解できるよう指導すること。
イ 実験・実習などの体験的な学習活動を通して,生徒の興味・関心や目的意識が高まるよう工夫して指導すること。
ウ 〔指導項目〕の(2)のア及びイ,(3)のアからウまで,(4)のイからエまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,それぞれいずれかを選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,マリンスポーツを実施する際の海の有効利用について扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)については,海洋や河川で活動する場合のルールやマナーを扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)については,各種レジャーダイビングに関する基礎的な内容を扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)については,海洋気象及び海上におけるルールやマナーを扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)については,指導者として安全を確保する立場を意識させながら,事故を未然に防ぐ方法や事故が発生した場合の対処法を扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,水産の見方・考え方を働かせ,水産業や海洋関連産業に関する事象を科学的に捉え,理解を深めるとともに,地域産業の振興や社会貢献に寄与するため,実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。
(2) 水産に関する各学科においては,「水産海洋基礎」及び「課題研究」を原則として全ての生徒に履修させること。
(3) 水産に関する各学科においては,原則として水産科に属する科目に配当する総授業時数の10分の5以上を実験・実習に配当すること。また,実験・実習に当たっては,ホームプロジェクトを取り入れることもできること。
(4) 地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
(5) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 水産や海洋に関する課題を科学的・論理的に捉え,解決に向けた方策を自らの意見にまとめ,討議,発表する学習活動や,地域及び産業界等への学習成果の発信,研究発表などの機会を活用して,言語活動の充実を図ること。
(2) コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう工夫すること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備や薬品等の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止や環境保全の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。
4 漁業乗船実習,機関乗船実習,体験乗船実習などを行う際には,綿密な計画を立て,所属の実習船により安全で効果的な実習が行われるよう留意するものとする。