第3節 商 業
第1款 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ビジネスを通じ,地域産業をはじめ経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 商業の各分野について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) ビジネスに関する課題を発見し,職業人に求められる倫理観を踏まえ合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3) 職業人として必要な豊かな人間性を育み,よりよい社会の構築を目指して自ら学び,ビジネスの創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 ビジネス基礎
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ビジネスを通じ,地域産業をはじめ経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な基礎的な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) ビジネスについて実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) ビジネスに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを適切に展開する力の向上を目指して自ら学び,ビジネスの創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 商業の学習とビジネス
ア 商業を学ぶ重要性と学び方
イ ビジネスの役割
ウ ビジネスの動向・課題
(2) ビジネスに対する心構え
ア 信頼関係の構築
イ コミュニケーションの基礎
ウ 情報の入手と活用
(3) 経済と流通
ア 経済の基本概念
イ 流通の役割
ウ 流通を支える活動
(4) 取引とビジネス計算
ア 売買取引と代金決済
イ ビジネス計算の方法
(5) 企業活動
ア 企業の形態と組織
イ マーケティングの重要性と流れ
ウ 資金調達
エ 財務諸表の役割
オ 企業活動に対する税
カ 雇用
(6) 身近な地域のビジネス
ア 身近な地域の課題
イ 身近な地域のビジネスの動向
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 商業教育全般の導入として基礎的な内容を扱うとともに,基本的な用語については,英語表記に慣れ親しむことができるよう留意して指導すること。
イ 各種メディアの情報を活用するなどして経済社会の動向を捉える学習活動を通して,ビジネスについて理解を深めることができるようにすること。
ウ 〔指導項目〕の(1)及び(2)については,(3)から(6)までの項目を指導する前に扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,生徒の実態に応じて適切な計算用具を活用することができること。なお,計算用具を活用する際には,操作に習熟する学習活動に偏らないよう留意して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,社会や産業全体の課題とその解決のために商業が果たしている役割,働くことの社会的意義や役割,職業人に求められる倫理観,グローバル化する経済社会で求められる人材,商業の学びの過程などについて扱うこと。イについては,企業の社会的責任を果たすことの重要性及び社会的な課題への対応の現状についても扱うこと。ウについては,生産から消費までの過程に関わるビジネスの動向・課題について扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,ビジネスを円滑に行う上でのコミュニケーションの意義及びビジネスの場面に応じた言葉遣い,話の聞き方,伝え方などに関する基礎的なコミュニケーションの方法について扱うこと。ウについては,情報の信頼性を見極めることの重要性,企業活動に必要な情報の所在などについて扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,生産要素の概要と希少性,経済主体の役割,経済活動の循環などについて扱うこと。ウについては,物流活動,金融と保険の働きや仕組み及び合理的な流通管理や円滑なサービスの提供を可能にしている情報システムの概要について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,新たな代金決済の手段とその仕組みについても扱うこと。イについては,ビジネス計算の用具としてのそろばんの歴史についても触れること。
オ 〔指導項目〕の(5)のアについては,起業家精神,ビジネスの創造,経営理念,企業倫理の重要性についても扱うこと。カについては,雇用形態及び雇用の安定,労働時間の管理,福利厚生など雇用に伴う企業の責任について扱うこと。
カ 〔指導項目〕の(6)のアについては,ビジネスに関する国内の身近な地域の課題について扱うこと。
第2 課題研究
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ビジネスを通じ,地域産業をはじめ経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 商業の各分野について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,相互に関連付けられた技術を身に付けるようにする。
(2) ビジネスに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として解決策を探究し,科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) 課題を解決する力の向上を目指して自ら学び,ビジネスの創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 調査,研究,実験
(2) 作品制作
(3) 産業現場等における実習
(4) 職業資格の取得
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 生徒の興味・関心,進路希望等に応じて,〔指導項目〕の(1)から(4) までの中から,個人又はグループで商業の各分野に関する適切な課題を設定し,主体的かつ協働的に取り組む学習活動を通して,専門的な知識,技術などの深化・総合化を図り,ビジネスに関する課題の解決に取り組むことができるようにすること。なお,課題については,(1)から(4)までの2項目以上にまたがるものを設定することができること。
イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。
ウ 〔指導項目〕の(4)については,職業資格に関して探究する学習活動を取り入れるよう留意して指導すること。
第3 総合実践
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ビジネスを通じ,地域産業をはじめ経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人として必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 商業の各分野について実務に即して総合的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) ビジネスの実務における課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスの実務に対応する力の向上を目指して自ら学び,ビジネスの創造と発展に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) マーケティングに関する実践
(2) マネジメントに関する実践
(3) 会計に関する実践
(4) ビジネス情報に関する実践
(5) 分野横断的・総合的な実践
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 商業の各分野の学習に関連する職業や業務に関して,地域や産業界等と連携して具体的な実務について理解を深める学習活動及び実務に即して知識,技術などを総合的に活用する学習活動を通して,ビジネスを担う当事者としての意識を高めるとともに,ビジネスの実務に対応することができるようにすること。
イ 〔指導項目〕の(1)から(5)までについては,学科の特色に応じて,その中からいずれか一つ以上を選択して扱うことができること。
ウ 〔指導項目〕の(5)については,(1)から(4)までの2項目以上にまたがる内容を扱うこと。
第4 ビジネス・コミュニケーション
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ビジネスにおけるコミュニケーションに必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) ビジネスにおけるコミュニケーションについて実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) ビジネスにおけるコミュニケーションに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを円滑に展開する力の向上を目指して自ら学び,ビジネスにおいてコミュニケーションを図ることに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) ビジネスとコミュニケーション
ア 意思決定と組織の構成者としての行動
イ 人的ネットワークの構築
(2) ビジネスマナー
ア 応対に関するビジネスマナー
イ 交際に関するビジネスマナー
ウ 接客に関するビジネスマナー
(3) ビジネスにおける思考の方法とコミュニケーション
ア 言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション
イ ビジネスにおける思考の方法
ウ ビジネスにおけるコミュニケーション
(4) ビジネスと外国語
ア 企業活動のグローバル化
イ 文化と商慣習
ウ ビジネスの会話
エ ビジネスの文書と電子メール
オ ビジネスにおけるプレゼンテーション
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア ビジネスの場面を想定したコミュニケーションに関する実践的・体験的な学習活動を充実させるとともに,身に付けた知識,技術などを様々な学習活動の中で活用する機会を設けるなどして,ビジネスにおいて円滑にコミュニケーションを図ることができるようにすること。
イ 〔指導項目〕の(4)のウからオまでについては,英語を原則とするが,生徒や地域の実態に応じて適切な外国語を扱うことができること。また,ビジネスにおいて平易な外国語を用いてコミュニケーションを図ることができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,組織の階層化,意思決定の流れと方法,良好な信頼関係を構築し協働することの意義などについて扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,挨拶,言葉遣い,表情などについて扱うこと。イについては,慶事,弔事などについて扱うこと。ウについては,販売活動における接客の心構えと方法及びホスピタリティの概念と重要性について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,ビジネスの場面において活用できる論理的,批判的に捉えたり,分析したりするなどの方法について扱うこと。ウについては,ビジネスの場面において相手の考えを迅速に理解して思考し伝える工夫,伝え方と聞き方の工夫及びアイデアを創出する方法についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,ビジネスを展開する上で踏まえる必要がある外国の文化と商慣習について扱うこと。また,ビジネスにおいて,意見や主張を伝えること,議論することなどに関する考え方や方法の違いについても扱うこと。
第5 マーケティング
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,マーケティングに必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) マーケティングについて実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) マーケティングに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを適切に展開する力の向上を目指して自ら学び,マーケティングに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 現代市場とマーケティング
ア 市場環境の変化
イ マーケティングの発展
ウ マーケティングの流れ
エ 消費者行動
(2) 市場調査
ア 市場調査の目的と方法
イ 情報の分析
(3) 製品政策
ア 製品政策の概要
イ 製品企画と生産計画
ウ 販売計画と販売予測
エ 製品政策の動向
(4) 価格政策
ア 価格政策の概要
イ 価格の種類と決定の方法
ウ 価格政策の動向
(5) チャネル政策
ア チャネル政策の概要
イ チャネルの種類と特徴
ウ チャネル政策の動向
(6) プロモーション政策
ア プロモーション政策の概要
イ プロモーションの方法
ウ プロモーション政策の動向
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 顧客満足の実現,顧客の創造,顧客価値の創造などマーケティングの考え方の広がりに留意して指導すること。
イ マーケティングの動向・課題を捉える学習活動及びマーケティングに関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,企業で行われているマーケティングについて理解を深めることができるようにすること。
ウ マーケティングに関する理論を実験などにより確認する学習活動及びマーケティングに関する具体的な課題を設定し,科学的な根拠に基づいてマーケティング計画を立案して提案などを行う学習活動を通して,マーケティングに適切に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のウについては,環境分析,セグメンテーション,標的市場の選定,ポジショニング,マーケティング・ミックスの考え方,マーケティング管理の重要性などについて扱うこと。エについては,消費者心理,消費者の意思決定の過程,消費者の行動に影響を及ぼす要因などについて扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,統計的手法を用いた情報の分析方法について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,製品政策の目的,重要性などについて扱うこと。エについては,製品の多様化とサービス化,企業と顧客との関係の変化及び他の企業との協働による製品政策の実施について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,価格政策の目的,重要性などについて扱うこと。イについては,価格の種類と選定方法,価格決定に影響を及ぼす要因及び価格決定の考え方について扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のアについては,チャネル政策の目的,重要性などについて扱うこと。ウについては,流通が社会環境や情報技術の進歩などによって大きく変化していること及び流通の変化を捉えたチャネル政策の動向について扱うこと。
カ 〔指導項目〕の(6)のアについては,プロモーション政策の目的,重要性などについて扱うこと。イについては,広告,セールス・プロモーション,パブリック・リレーションズ,販売員活動などについて扱うこと。
第6 商品開発と流通
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,商品開発と流通に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 商品開発と流通について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 商品開発と流通に関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを適切に展開する力の向上を目指して自ら学び,商品開発と流通に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 現代市場と商品開発・流通
ア 商品の概念と商品開発の流れ
イ 流通の仕組みと商品との関わり
ウ 市場環境の変化
(2) 商品の企画
ア 環境分析
イ 開発方針とテーマの決定
ウ 市場調査
エ 商品企画書の作成
(3) 事業計画
ア 商品仕様の詳細設計と評価
イ 商品デザインの制作
ウ 知的財産の登録
エ 価格の設定
オ 事業計画書の作成
カ 商品開発の動向・課題
(4) 流通とプロモーション
ア 流通経路の開拓
イ プロモーションの実施
ウ 流通とプロモーションの動向・課題
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 商品の企画から流通とプロモーションまでを一連のものとして扱い,流通の立場から捉えた取引対象としての商品について理解を深めることができるようにすること。
イ 商品開発と流通の動向・課題を捉える学習活動及び商品開発と流通に関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,企業で行われている商品開発と流通について理解を深めることができるようにすること。
ウ 商品開発と流通に関する理論を実験などにより確認する学習活動及び商品開発と流通に関する具体的な課題を設定し,科学的な根拠に基づいて商品開発と流通に関する計画を立案して提案などを行う学習活動を通して,商品開発と流通に適切に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,商品開発や商品の流通に関する企業の責任及び販売後の商品の評価とそれに基づいて商品を改良することの重要性についても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,環境分析の結果を基にして商品開発に関する意思決定を行う過程についても扱うこと。エについては,アイデアを創出する方法についても扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,商品デザインの役割,グラフィックデザイン,コンピュータを活用したデザインの技法,パッケージデザインなどについて扱うこと。ウについては,商標権,意匠権,著作権の概要,ビジネスにおける知的財産の活用と保護の重要性及び登録の出願手続の概要について扱うこと。オについては,販売後の市場調査に基づく事業計画の検証の重要性と方法についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,商品の特性とプロモーションを取り巻く環境の変化を踏まえたプロモーションの実施について扱うこと。
第7 観光ビジネス
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,観光ビジネスの展開に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 観光ビジネスについて実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 観光ビジネスに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを適切に展開する力の向上を目指して自ら学び,観光ビジネスに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 観光とビジネス
ア 観光ビジネスの特徴
イ 観光ビジネスの動向
(2) 観光資源と観光政策
ア 国内の観光資源
イ 観光資源の保護と保全
ウ 観光政策の動向
(3) 観光ビジネスとマーケティング
ア 観光ビジネスの主体
イ 観光ビジネスにおけるマーケティングの特徴
ウ 顧客の理解
エ 顧客サービス
(4) 観光ビジネスの展開と効果
ア 観光振興とまちづくりとの関係
イ 観光に関する地域の課題
ウ 地域の活性化
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 観光ビジネスの動向・課題を捉える学習活動及び観光ビジネスに関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,企業で行われている観光ビジネスについて理解を深めることができるようにすること。
イ 観光ビジネスに関する理論を実験などにより確認する学習活動及び観光ビジネスに関する具体的な課題を設定し,科学的な根拠に基づいて観光の振興策を考案して提案などを行う学習活動を通して,観光ビジネスに適切に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,観光に関する消費行動の変化による観光の多様化などについて扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のウについては,観光振興の組織についても扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,観光ビジネスの各主体に関して,役割や業務などの概要及び関連する法規の概要について扱うこと。エについては,観光ビジネスにおけるホスピタリティの概念と重要性,観光ビジネスにおける接客方法と接客マナーなどについて扱うこと。また,緊急時の対応体制の構築など安全管理についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,観光の振興と地域社会におけるまちづくりとが連携することの意義及び観光需要や観光目的に対応したまちづくりについて扱うこと。
第8 ビジネス・マネジメント
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ビジネスにおけるマネジメントに必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) ビジネスにおけるマネジメントについて実務に即して体系的・系統的に理解するようにする。
(2) ビジネスにおけるマネジメントに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを適切に展開する力の向上を目指して自ら学び,ビジネスにおけるマネジメントに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) ビジネスとマネジメント
ア マネジメントの役割
イ イノベーションの重要性
ウ 創業者や経営者の理念
エ 外部環境の影響
(2) 組織のマネジメント
ア 組織の形態
イ 経営理念と経営戦略
ウ 企業間連携と事業構造の再構築
(3) 経営資源のマネジメント
ア 経営資源の種類と最適化
イ 人的資源のマネジメント
ウ 物的資源のマネジメント
エ 財務的資源のマネジメント
オ 情報的資源のマネジメント
(4) 企業の秩序と責任
ア 企業統治
イ リスク・マネジメント
ウ 企業の社会的責任
(5) ビジネスの創造と展開
ア ビジネスの創造の意義と課題
イ プロジェクト管理
ウ 起業の意義と手続
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 適切なマネジメントの重要性について企業の社会的責任や企業倫理との関連から捉える学習活動及びマネジメントに関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,ビジネスにおけるマネジメントについて理解を深めることができるようにすること。
イ ビジネスの展開を題材としたマネジメントに関する具体的な課題を設定し,科学的な根拠に基づいてビジネスアイデアなどを考案するとともに,経営資源を効果的に活用した事業計画を立案して提案などを行う学習活動を通して,マネジメントに適切に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,技術革新,新しい商品や市場の開拓,新しいビジネスの仕組みなどが企業に新たな利益をもたらすことについて扱うこと。ウについては,創業者や経営者の理念と企業の発展との関連について扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,経営理念とそれに基づく経営目標,経営方針などの意義及び経営戦略の意義とそれを実行するためのマネジメントの考え方について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,雇用に伴う所得税の源泉徴収と納付,住民税の特別徴収と納付,社会保険に関する企業の責任と負担についても扱うこと。エについては,資金調達の方法,金融商品の利点とリスク,資金の調達と運用の現状・課題などについて扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,火災,賠償責任などの保険についても扱うこと。ウについては,環境の保護と保全,持続可能な社会の実現などが企業に求められている現状及び法令遵守,企業倫理,説明責任の重要性について扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のウについては,起業家精神の重要性,起業の意義と支援体制及び株式会社を設立するための手続の概要について扱うこと。
第9 グローバル経済
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,グローバル化する経済社会におけるビジネスの展開に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 経済のグローバル化について実務に即して体系的・系統的に理解するようにする。
(2) 経済のグローバル化への対応に関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを適切に展開する力の向上を目指して自ら学び,グローバル化する経済社会におけるビジネスに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 経済のグローバル化と日本
ア グローバル化と国際化
イ 日本経済の現状
(2) 市場と経済
ア 市場の役割と課題
イ 経済成長
ウ 景気循環
エ 経済政策
(3) グローバル化の動向・課題
ア 人材のグローバル化
イ 財とサービスのグローバル化
ウ 金融と資本のグローバル化
エ 情報のグローバル化
(4) 企業活動のグローバル化
ア 企業の海外進出
イ グローバル化に伴う企業の社会的責任
ウ 世界との関わり
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 地球規模で経済を俯瞰(ふかん)して経済社会の動向・課題を捉える学習活動及び経済のグローバル化に関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,経済のグローバル化について理解を深めることができるようにすること。
イ 企業における経済のグローバル化への対応に関する具体的な課題を設定し,科学的な根拠に基づいて対応策を考案して提案などを行う学習活動を通して,ビジネスに適切に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,グローバル化が進展する中での日本の果たす役割についても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,国内総生産の概念及び日本の国内総生産の現状についても扱うこと。ウについては,景気循環の局面と仕組み,景気循環を表す指標,日本における物価と景気の現状などについて扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,経済のグローバル化が労働市場に影響を及ぼしている現状についても扱うこと。ウについては,外国為替についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,経済のグローバル化に伴って企業活動が経済社会に広く影響を及ぼしている現状及び企業活動に責任をもつことの重要性について扱うこと。ウについては,企業が地球規模で経済を俯瞰(ふかん)し直接的,間接的に世界の市場と関わりをもってビジネスを展開していることなどについて扱うこと。
第10 ビジネス法規
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,法規に基づくビジネスの展開に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) ビジネスに関する法規について実務に即して体系的・系統的に理解するようにする。
(2) 法的側面からビジネスに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として法的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) ビジネスを適切に展開する力の向上を目指して自ら学び,法規に基づくビジネスに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 法の概要
ア ビジネスにおける法の役割
イ 法の体系と解釈・適用
ウ 権利・義務と財産権
(2) 企業活動と法規
ア 株式会社の特徴と機関
イ 契約
ウ 資金調達と金融取引
エ 組織再編と清算・再建
オ 競争秩序の確保
(3) 知的財産と法規
ア 知的財産の種類
イ 知的財産の重要性
(4) 税と法規
ア 税の種類と法人の納税義務
イ 法人税の申告と納付
ウ 消費税の申告と納付
(5) 企業責任と法規
ア 法令遵守と説明責任
イ 労働者の保護
ウ 消費者の保護
エ 情報の保護
オ 紛争の予防と解決
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア ビジネスに関する法規の改正などの動向・課題を捉える学習活動及びビジネスに関する具体的な事例について法的側面から分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,ビジネスに関する法規について理解を深めることができるようにすること。
イ ビジネスで想定される具体的な課題を設定し,法的な根拠に基づいて解決策を考案して提案などを行う学習活動を通して,法規に基づいてビジネスに適切に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,経済環境の変化に伴って法規の改正などが行われている現状についても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のウについては,資金調達の方法,金融商品に関する法規の概要,資金の調達や運用と金融取引の現状・課題などについて扱うこと。また,電子記録債権の概要及び電子資金移動の現状・課題についても扱うこと。エについては,組織再編の形態について扱うこと。また,日本における企業の組織再編と清算・再建の現状・課題について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,知的財産の保護と活用の重要性,知的財産を活用したビジネスの現状及び知的財産権が侵害されたときの対抗手段について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,国税,地方税など税の種類と分類,法人税など法人に対する税,不動産に対する税及び内国法人と外国法人の納税義務について扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のアについては,企業統治の意義と重要性についても扱うこと。イについては,雇用主の立場から,労働者の保護の重要性と課題及び法規の概要について扱うこと。ウについては,企業の立場から,消費者の保護の重要性と課題及び法規の概要について扱うこと。エについては,ビジネスを展開する際の情報の保護の重要性と課題及び企業が扱う情報の保護に関係する法規の概要について扱うこと。
第11 簿記
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,取引の記録と財務諸表の作成に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 簿記について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 取引の記録と財務諸表の作成の方法の妥当性と課題を見いだし,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に課題に対応する力を養う。
(3) 企業会計に関する法規と基準を適切に適用する力の向上を目指して自ら学び,適正な取引の記録と財務諸表の作成に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 簿記の原理
ア 簿記の概要
イ 簿記一巡の手続
ウ 会計帳簿
(2) 取引の記帳
ア 現金と預金
イ 債権・債務と有価証券
ウ 商品売買
エ 販売費と一般管理費
オ 固定資産
カ 個人企業の純資産と税
(3) 決算
ア 決算整理
イ 財務諸表作成の基礎
(4) 本支店会計
ア 本店・支店間取引と支店間取引
イ 財務諸表の合併
(5) 記帳の効率化
ア 伝票の利用
イ 会計ソフトウェアの活用
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 企業会計に関する法規と基準の改正などに随時対応して指導すること。また,実務に即した例題を取り入れた学習活動及び取引の記録と財務諸表の作成の方法について考察や討論を行う学習活動を通して,適正な取引の記録と財務諸表の作成ができるようにすること。
イ 基本的な会計用語については,英語表記に慣れ親しむことができるよう留意して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,簿記の目的,資産や負債などの概念,財務諸表の役割と構造などについて扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)については,企業における日常の取引に関する主要簿及び関連する補助簿の記帳法について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,試算表を作成する方法,売上原価の算定,貸倒れの見積り,収益と費用の繰延べ・見越しなどについて扱うこと。イについては,勘定式の財務諸表を作成する方法について扱うこと。また,精算表を作成する方法についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,支店会計が独立している場合の取引の記帳法について扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のアについては,3伝票制について扱うこと。イについては,取引の記録と財務諸表の作成の基本的な流れに係る会計ソフトウェアの活用方法について扱うこと。
第12 財務会計Ⅰ
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,会計情報の提供と活用に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 財務会計について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 企業会計に関する法規と基準及び会計処理の方法の妥当性と課題を見いだし,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に課題に対応するとともに,会計的側面から企業を分析する力を養う。
(3) 会計責任を果たす力の向上を目指して自ら学び,適切な会計情報の提供と効果的な活用に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 財務会計の概要
ア 企業会計と財務会計の意義・役割
イ 財務諸表の構成要素
ウ 会計法規と会計基準
(2) 会計処理
ア 資産と負債
イ 純資産
ウ 収益と費用
エ 税
(3) 財務諸表の作成
ア 資産・負債・純資産に関する財務諸表
イ 収益・費用に関する財務諸表
(4) 財務諸表分析の基礎
ア 財務諸表分析の意義
イ 財務諸表分析の方法
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 企業会計に関する法規と基準の改正などに随時対応して指導すること。また,実務に即した例題を取り入れた学習活動及び会計処理の方法などについて考察や討論を行う学習活動を通して,企業の財政状態や経営成績などの把握と会計情報の活用ができるようにすること。
イ 基本的な会計用語については,英語表記に慣れ親しむことができるよう留意して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,企業会計の意義や役割,財務会計と管理会計の役割の違い,会計公準の概要,会計情報を開示することの重要性などについて扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,資産と負債の分類,評価基準,各種の資産と負債の会計処理などについて扱うこと。イについては,株式会社の純資産の会計処理について扱うこと。ウについては,工事契約,外貨建取引,役務収益,役務費用など収益と費用の会計処理について扱うこと。エについては,株式会社における税の会計処理及び税効果会計に関する基礎的な会計処理について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,報告式の財務諸表の表示区分と作成方法及び株主資本等に関する財務諸表の作成方法について扱うこと。イについては,報告式の財務諸表の表示区分と作成方法について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,収益性,成長性及び安全性に関する財務指標を利用した企業の実態を分析する方法について扱うこと。また,連結財務諸表の目的,種類及び有用性についても触れること。
第13 財務会計Ⅱ
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,会計情報の提供と活用に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 財務会計について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 企業会計に関する法規と基準及び会計処理の方法の妥当性と課題を見いだし,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に課題に対応するとともに,会計的側面から企業及び企業の経営判断を分析する力を養う。
(3) 会計責任を果たす力の向上を目指して自ら学び,国際的な会計基準を踏まえた適切な会計情報の提供と効果的な活用に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 財務会計の基本概念と会計基準
ア 財務諸表の作成と表示の考え方
イ 資産負債アプローチと収益費用アプローチ
ウ 会計基準の国際的統合
(2) 会計処理
ア 金融商品
イ 収益と費用
ウ 有形固定資産と無形固定資産
エ 固定負債
オ 純資産
カ 税効果会計
(3) キャッシュ・フローに関する財務諸表
ア 資金繰りの重要性
イ キャッシュ・フローに関する財務諸表の作成
(4) 企業集団の会計
ア 企業結合の形態
イ 合併後の財務諸表の作成
ウ 連結財務諸表の作成
エ 連結税効果会計
(5) 財務諸表分析
ア 企業価値の評価
イ 連結財務諸表分析
ウ 株主関連指標
(6) 監査と職業会計人
ア 会計責任と監査の概要
イ 職業会計人の職務
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 企業会計に関する法規と基準の改正などに随時対応して指導すること。また,実務に即した例題を取り入れた学習活動及び会計処理の方法などについて考察や討論を行う学習活動を通して,企業の財政状態や経営成績などの把握と会計情報の活用ができるようにすること。
イ 会計処理と監査に関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,会計情報の信頼性を確保する意識を高めることができるようにすること。
ウ 企業の経営判断に関する具体的な事例について企業に及ぼす影響を会計的側面から分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,企業活動と財務会計との関連について理解を深めることができるようにすること。
エ 基本的な会計用語については,英語表記に慣れ親しむことができるよう留意して指導すること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,財務報告の目的,財務諸表の構成要素の認識と測定などについて扱うこと。イについては,純利益と包括利益の概念についても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,デリバティブ取引,外貨建取引などの期中及び決算時の会計処理について扱うこと。イについては,特殊商品売買などの会計処理について扱うこと。ウについては,減損,投資不動産などの会計処理について扱うこと。エについては,社債,退職給付及び資産除去債務の会計処理について扱うこと。オについては,純資産の区分,新株予約権とストック・オプションの会計処理,分配可能額の計算方法及び株主資本の各項目における振替について扱うこと。カについては,積立金方式による圧縮記帳など税効果会計について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,適切な資金繰りを行うための財務諸表の意義についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,吸収合併について扱うこと。ウについては,連結財務諸表の目的及び連結の範囲についても扱うこと。エについては,子会社の資産と負債の時価評価,未実現利益の消去及び債権と債務の相殺消去に伴う連結税効果会計について扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のウについては,株価収益率,株価純資産倍率,株価売上高倍率及び株価キャッシュ・フロー倍率について扱うこと。
カ 〔指導項目〕の(6)のアについては,会計責任を果たすことと監査の重要性,監査の仕組みと過程などについて扱うこと。
第14 原価計算
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,原価情報の提供と活用に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 原価計算,原価計算に関する会計処理及び原価情報の活用について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 原価計算,原価計算に関する会計処理及び原価情報を活用する方法の妥当性と課題を見いだし,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に課題に対応する力を養う。
(3) 企業会計に関する法規と基準を適切に適用する力及び適切な原価管理を行う力の向上を目指して自ら学び,適切な原価情報の提供と効果的な活用に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 原価と原価計算
ア 原価の概念
イ 原価計算の特色と仕組み
(2) 原価の費目別計算
ア 材料費の計算
イ 労務費の計算
ウ 経費の計算
(3) 原価の部門別計算と製品別計算
ア 個別原価計算と製造間接費の計算
イ 部門別個別原価計算
ウ 総合原価計算
(4) 内部会計
ア 製品の完成と販売
イ 工場会計の独立
ウ 製造業の決算
(5) 標準原価計算
ア 標準原価計算の目的と手続
イ 原価差異の原因別分析
(6) 直接原価計算
ア 直接原価計算の目的と財務諸表の作成
イ 短期利益計画への活用
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 企業会計に関する法規と基準の改正などに随時対応して指導すること。また,実務に即した例題を取り入れた学習活動及び会計処理の方法などについて考察や討論を行う学習活動を通して,科学的な根拠に基づいて適切な原価管理に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,製造原価と総原価の違い及び原価要素の分類について扱うこと。イについては,サービス業における原価情報の活用の特徴についても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)については,各原価要素の分類及び各原価要素の計算方法と仕訳について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,原価計算表の作成,製造間接費の配賦などについて扱うこと。また,製造間接費差異の原因別分析についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,工場会計が本社会計から独立している場合の本社と工場間の取引の記帳法について扱うこと。ウについては,製造業における決算の特徴と手続,製造原価報告書の作成方法及び製造業と商品売買業の財務諸表の違いについて扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のアについては,シングルプランとパーシャルプランによる記帳法などについて扱うこと。
カ 〔指導項目〕の(6)のアについては,直接原価計算の目的と方法,直接原価計算による財務諸表の作成方法及び全部原価計算による財務諸表との違いについて扱うこと。イについては,原価,営業量,利益の関係を分析する方法などについて扱うこと。
第15 管理会計
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,経営管理に有用な会計情報の提供と活用に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 管理会計について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 会計情報を活用した経営管理の方法の妥当性と課題を見いだし,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に課題に対応する力を養う。
(3) 適切な経営管理を行う力の向上を目指して自ら学び,経営管理に有用な会計情報の提供と効果的な活用に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 管理会計と経営管理
ア 管理会計の目的
イ 管理会計と原価計算との関係
(2) 短期利益計画
ア 原価予測の方法
イ 損益分岐分析と感度分析
ウ 利益の最大化
(3) 業績測定
ア 企業の組織構造
イ 業績測定の方法
(4) 予算編成と予算統制
ア 企業予算の編成
イ 予算統制の方法
(5) コスト・マネジメント
ア 標準原価計算
イ 直接標準原価計算
ウ 目標原価計算
エ 活動基準原価計算
オ 品質原価計算
(6) 経営意思決定
ア 経営意思決定の概要
イ 業務的意思決定
ウ 構造的意思決定
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 実務に即した例題を取り入れた学習活動及び会計情報を活用した経営管理の方法について考察や討論を行う学習活動を通して,科学的な根拠に基づいて適切な経営管理に取り組むことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,経営管理の重要性についても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のウについては,制約条件の下で営業利益を最大にする販売数量の組合せを求める方法について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,事業部制組織における業績測定の方法について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,予算統制の意義,予算実績差異分析の方法などについて扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のアについては,標準原価計算における仕損,減損,原料配合差異などについて扱うこと。イについては,標準原価計算による直接原価計算を採用した場合の差異分析を伴った財務諸表の作成方法などについて扱うこと。
カ 〔指導項目〕の(6)のアについては,経営意思決定の意義と過程及び業務的意思決定と構造的意思決定の特徴について扱うこと。
第16 情報処理
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,企業において情報を適切に扱うために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 企業において情報を扱うことについて実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 企業において情報を扱うことに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) 企業活動を改善する力の向上を目指して自ら学び,企業において情報を適切に扱うことに主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 企業活動と情報処理
ア 情報処理の重要性
イ コミュニケーションと情報デザイン
ウ 情報モラル
(2) コンピュータシステムと情報通信ネットワーク
ア コンピュータシステムの概要
イ 情報通信ネットワークの仕組みと構成
ウ 情報通信ネットワークの活用
エ 情報セキュリティの確保と法規
(3) 情報の集計と分析
ア ビジネスと統計
イ 表・グラフの作成と情報の分析
ウ 問題の発見と解決の方法
(4) ビジネス文書の作成
ア 文章の表現
イ ビジネス文書の種類と作成
(5) プレゼンテーション
ア プレゼンテーションの技法
イ ビジネスにおけるプレゼンテーション
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 企業における情報の管理と活用に関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,情報を扱う者としての役割と責任について理解を深めることができるようにすること。
イ 情報技術の進歩に留意して指導すること。また,表現の方法や伝え方などの工夫について考察や討論を行う学習活動及び企業において情報を扱う具体的な場面を想定した実習を通して,情報を適切に扱うことができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のウについては,情報技術の進歩や情報が社会に及ぼす影響,情報に対する個人と企業の責任,個人情報と知的財産の適切な取扱いと保護の重要性などについて扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,コンピュータの基本的な機能と構成などについて扱うこと。また,ファイル管理の機能を活用する方法についても扱うこと。ウについては,ウェブページと電子メールを活用する方法,受信者の立場に立って情報を発信することの重要性及び情報の信頼性などを見極める方法について扱うこと。エについては,情報セキュリティを確保することの重要性と基礎的な方法及び情報セキュリティに関する法規の概要について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,適切な表の形態とグラフの種類・形態を検討し,表やグラフを用いて伝えたいことを表現する方法及び表計算ソフトウェアを活用して情報を分析し,表とグラフを作成する方法について扱うこと。ウについては,モデル化,シミュレーション及びプログラミングの基礎的な技法を用いた問題の発見と解決などについて扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,ビジネス文書を作成するための適切な文章の表現方法について扱うこと。イについては,ビジネス文書の種類とその構成及び文書作成ソフトウェアを活用して効果的なビジネス文書を作成する方法について扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)のアについては,プレゼンテーションを行う際の話の構成,話し方,画像と音声の活用などについて扱うこと。イについては,目的,形態,対象,規模によるプレゼンテーションの方法の違い及びプレゼンテーションソフトウェアを活用して効果的にプレゼンテーションを行う方法について扱うこと。
第17 ソフトウェア活用
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,企業活動におけるソフトウェアの活用に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 企業活動におけるソフトウェアの活用について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 企業活動におけるソフトウェアの活用に関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) 企業活動を改善する力の向上を目指して自ら学び,企業活動におけるソフトウェアの活用に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 企業活動とソフトウェアの活用
ア ソフトウェアの重要性
イ 情報通信ネットワークの導入と運用
ウ 情報資産の保護
(2) 表計算ソフトウェアの活用
ア オペレーションズ・リサーチ
イ 情報の集計と分析
ウ 手続の自動化
(3) データベースソフトウェアの活用
ア データベースの重要性
イ データベースの設計
ウ データベースの作成と操作
エ 手続の自動化
(4) 業務処理用ソフトウェアの活用
ア 仕入・販売管理ソフトウェアの活用
イ 給与計算ソフトウェアの活用
ウ グループウェアの活用
(5) 情報システムの開発
ア 表計算ソフトウェアによる情報システムの開発
イ データベースソフトウェアによる情報システムの開発
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 情報技術の進歩に留意して指導すること。また,情報を多面的・多角的に分析し工夫して表現する学習活動,情報の管理と提供の方法について考察や討論を行う学習活動及びソフトウェアを活用する具体的な場面を想定した実習を通して,企業活動においてソフトウェアを適切に活用することができるようにすること。
イ 〔指導項目〕の(5)のア及びイについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,その中からいずれか一つを選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,情報技術の進歩に伴う通信手段の変化についても扱うこと。ウについては,情報を扱う施設における入退室の管理,ファイルとフォルダのアクセス権の設定などリスクを適切に管理し,情報資産を保護する方法について扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,標本を用いて母集団の傾向を推測する方法及び表計算ソフトウェアを活用した集計,分析,シミュレーションについて扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のアについては,データベースの機能と役割,ロック機能及び障害対策についても扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)については,業務の基本的な流れに係る各種業務処理用ソフトウェアの活用方法について扱うこと。
オ 〔指導項目〕の(5)については,ビジネスに関する情報を処理する簡易な情報システムの開発について扱うこと。
第18 プログラミング
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,企業活動に有用なプログラムと情報システムの開発に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) プログラムと情報システムの開発について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 企業活動に有用なプログラムと情報システムの開発に関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) 企業活動を改善する力の向上を目指して自ら学び,企業活動に有用なプログラムと情報システムの開発に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 情報システムとプログラミング
ア 情報システムの重要性
イ プログラム言語の種類と特徴
ウ プログラミングの手順
(2) ハードウェアとソフトウェア
ア データの表現
イ ハードウェアの機能と動作
ウ ソフトウェアの体系と役割
(3) アルゴリズム
ア アルゴリズムの表現技法
イ データ構造と制御構造
ウ 変数・定数と演算
エ データの入出力
オ 条件判定と繰り返し処理
カ 配列の利用
(4) プログラムと情報システムの開発
ア 情報システム開発の手法と手順
イ プロジェクト管理
ウ 手続き型言語の利用
エ オブジェクト指向型言語の利用
オ 携帯型情報通信機器用ソフトウェアの開発環境の利用
カ 情報システムの評価と改善
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 情報技術の進歩に留意して指導すること。また,プログラムと情報システムを開発する手順と方法について考察や討論を行う学習活動及び企業活動に有用なプログラムと情報システムを開発する具体的な場面を想定した実習を通して,情報を処理する環境の構築ができるようにすること。
イ 〔指導項目〕の(4)のウからオまでについては,生徒の実態や学科の特色に応じて,その中からいずれか一つ以上を選択して扱うことができること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のイについては,プログラムや情報システムの開発を支援するソフトウェアについても扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,中央処理装置におけるアドレス指定の種類,入出力インタフェースの種類と機能,補助記憶装置の信頼性と可用性を向上させる技術などについて扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のイについては,基本データ構造と問題向きデータ構造の種類と特徴,適切なデータ構造を選択することの重要性,制御構造の種類及びアルゴリズムが制御構造の組合せで表現できることについて扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のイについては,プロジェクト管理の意義と手法について扱うこと。カについては,情報システムの評価の意義と手法及び情報システムの改善の流れについて扱うこと。
第19 ネットワーク活用
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,ビジネスにおけるインターネットの活用に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) ビジネスにおけるインターネットの活用について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) ビジネスにおいてインターネットを活用することに関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) 企業活動を改善する力の向上を目指して自ら学び,ビジネスにおけるインターネットの活用に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 情報技術の進歩とビジネス
ア ビジネスの変化
イ 個人情報と知的財産の保護
ウ 関係法規とガイドライン
(2) インターネットと情報セキュリティ
ア インターネットの仕組み
イ ハードウェアとソフトウェアの導入
ウ 情報セキュリティの確保
(3) 情報コンテンツの制作
ア 図形と静止画
イ 動画と音声
(4) インターネットの活用
ア ウェブページの制作とデザイン
イ 企業情報の発信
ウ 電子商取引と電子決済
エ ビジネスの創造
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア ビジネスにおけるインターネットの活用の動向・課題を捉える学習活動及びビジネスにおけるインターネットの活用に関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,ビジネスにおけるインターネットの活用について理解を深めることができるようにすること。
イ 情報技術の進歩に留意して指導すること。また,ビジネスにおいてインターネットを活用する具体的な場面を想定した実習及びビジネスにおけるインターネットの活用に関する具体的な課題を設定し,科学的な根拠に基づいてインターネットを活用した新たなビジネスを考案して提案などを行う学習活動を通して,ビジネスにおいてインターネットを効果的に活用することができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,情報技術の進歩によるビジネスの形態と進め方の変化について扱うこと。イについては,インターネットを活用したビジネスを展開する際の個人情報と知的財産の保護の重要性について扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のイについては,ビジネスにおいてインターネットを活用するために必要なハードウェアとソフトウェア及びインターネットへの接続について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)については,情報コンテンツを取得,作成,編集する方法及び適切なファイル形式を選択し,インターネットで活用する方法について扱うこと。
エ 〔指導項目〕の(4)のアについては,ウェブページへのアクセス数を増加させるための工夫及びアクセス解析のための技法についても扱うこと。ウについては,電子商取引と電子決済の仕組み,電子商取引を行うためのウェブページの制作などについて扱うこと。エについては,インターネットを活用した様々なビジネスの概要と動向及びインターネットを活用したビジネスを創造することの重要性について扱うこと。
第20 ネットワーク管理
1 目 標
商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,情報資産を共有し保護する環境の提供に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 情報資産を共有し保護する環境の提供について実務に即して体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2) 情報資産を共有し保護する環境の提供に関する課題を発見し,ビジネスに携わる者として科学的な根拠に基づいて創造的に解決する力を養う。
(3) 企業活動を改善する力の向上を目指して自ら学び,情報資産を共有し保護する環境の提供に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。
2 内 容
1に示す資質・能力を身に付けることができるよう,次の〔指導項目〕を指導する。
〔指導項目〕
(1) 企業活動と情報通信ネットワーク
ア 情報資産の共有の重要性
イ 情報通信ネットワークの形態と通信
ウ ネットワーク機器と周辺機器の種類・機能
(2) 情報セキュリティ管理
ア 情報セキュリティ管理の目的と重要性
イ 人的対策
ウ 技術的対策
エ 物理的対策
(3) 情報通信ネットワークの設計・構築と運用管理
ア 情報通信ネットワークの設計方法
イ 情報通信ネットワークの構築方法
ウ 情報通信ネットワークの運用と障害対応
エ システム監査
3 内容の取扱い
(1) 内容を取り扱う際には,次の事項に配慮するものとする。
ア 情報セキュリティ管理及び情報通信ネットワークの設計・構築と運用管理に関する具体的な事例について多面的・多角的に分析し,考察や討論を行う学習活動を通して,情報資産を共有し保護する環境の提供を担う者としての役割と責任について理解を深めることができるようにすること。
イ 情報技術の進歩に留意して指導すること。また,企業において情報セキュリティ管理及び情報通信ネットワークの設計・構築と運用管理を行う具体的な場面を想定した実習を通して,情報資産を共有し保護する環境の提供ができるようにすること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 〔指導項目〕の(1)のアについては,情報通信ネットワークを活用してビジネスに関する情報などを共有することの重要性について扱うこと。
イ 〔指導項目〕の(2)のアについては,機密性などの確保,情報資産に対する脅威の種類,組織的な対策の重要性などについて扱うこと。エについては,災害,事故,外部からの侵入などへの物理的対策について扱うこと。
ウ 〔指導項目〕の(3)のウについては,通信環境を維持する方法,障害対応の方法と原因を特定する方法などについて扱うこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,商業の見方・考え方を働かせ,企業活動に関する事象を捉え,専門的な知識,技術などを基にビジネスに対する理解を深めるとともに,ビジネスの振興策などを考案して地域や産業界等に提案し,意見や助言を踏まえて改善を図るなどの実践的・体験的な学習活動の充実を図ること。
(2) 商業に関する各学科においては,「ビジネス基礎」及び「課題研究」を原則として全ての生徒に履修させること。
(3) 「財務会計Ⅱ」については,「財務会計Ⅰ」を履修した後に履修させることを原則とすること。
(4) 地域や産業界等との連携・交流を通じた実践的な学習活動や就業体験活動を積極的に取り入れるとともに,社会人講師を積極的に活用するなどの工夫に努めること。
(5) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) ビジネスに関する課題について,協働して分析,考察,討論を行い,解決策を考案し地域や産業界等に提案するなど言語活動の充実を図ること。
(2) コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるよう工夫すること。
3 実験・実習を行うに当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。