第9節 家 庭
第1款 目 標
生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を通して,様々な人々と協働し,よりよい社会の構築に向けて,男女が協力して主体的に家庭や地域の生活を創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 人間の生涯にわたる発達と生活の営みを総合的に捉え,家族・家庭の意義,家族・家庭と社会との関わりについて理解を深め,家族・家庭,衣食住,消費や環境などについて,生活を主体的に営むために必要な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。
(2) 家庭や地域及び社会における生活の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,考察したことを根拠に基づいて論理的に表現するなど,生涯を見通して生活の課題を解決する力を養う。
(3) 様々な人々と協働し,よりよい社会の構築に向けて,地域社会に参画しようとするとともに,自分や家庭,地域の生活を主体的に創造しようとする実践的な態度を養う。
第2款 各 科 目
第1 家庭基礎
1 目 標
生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を通して,様々な人々と協働し,よりよい社会の構築に向けて,男女が協力して主体的に家庭や地域の生活を創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 人の一生と家族・家庭及び福祉,衣食住,消費生活・環境などについて,生活を主体的に営むために必要な基礎的な理解を図るとともに,それらに係る技能を身に付けるようにする。
(2) 家庭や地域及び社会における生活の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,考察したことを根拠に基づいて論理的に表現するなど,生涯を見通して課題を解決する力を養う。
(3) 様々な人々と協働し,よりよい社会の構築に向けて,地域社会に参画しようとするとともに,自分や家庭,地域の生活の充実向上を図ろうとする実践的な態度を養う。
2 内 容
A 人の一生と家族・家庭及び福祉
次の(1)から(5)までの項目について,生涯を見通し主体的に生活するために,家族や地域社会の人々と協力・協働し,実践的・体験的な学習活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 生涯の生活設計
ア 人の一生について,自己と他者,社会との関わりから様々な生き方があることを理解するとともに,自立した生活を営むために必要な情報の収集・整理を行い,生涯を見通して,生活課題に対応し意思決定をしていくことの重要性について理解を深めること。
イ 生涯を見通した自己の生活について主体的に考え,ライフスタイルと将来の家庭生活及び職業生活について考察し,生活設計を工夫すること。
(2) 青年期の自立と家族・家庭
ア 生涯発達の視点で青年期の課題を理解するとともに,家族・家庭の機能と家族関係,家族・家庭生活を取り巻く社会環境の変化や課題,家族・・家庭と社会との関わりについて理解を深めること。
イ 家庭や地域のよりよい生活を創造するために,自己の意思決定に基づき,責任をもって行動することや,男女が協力して,家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性について考察すること。
(3) 子供の生活と保育
ア 乳幼児期の心身の発達と生活,親の役割と保育,子供を取り巻く社会環境,子育て支援について理解するとともに,乳幼児と適切に関わるための基礎的な技能を身に付けること。
イ 子供を生み育てることの意義について考えるとともに,子供の健やかな発達のために親や家族及び地域や社会の果たす役割の重要性について考察すること。
(4) 高齢期の生活と福祉
ア 高齢期の心身の特徴,高齢者を取り巻く社会環境,高齢者の尊厳と自立生活の支援や介護について理解するとともに,生活支援に関する基礎的な技能を身に付けること。
イ 高齢者の自立生活を支えるために,家族や地域及び社会の果たす役割の重要性について考察すること。
(5) 共生社会と福祉
ア 生涯を通して家族・家庭の生活を支える福祉や社会的支援について理解すること。
イ 家庭や地域及び社会の一員としての自覚をもって共に支え合って生活することの重要性について考察すること。
B 衣食住の生活の自立と設計
次の(1)から(3)までの項目について,健康・快適・安全な衣食住の生活を主体的に営むために,実践的・体験的な学習活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 食生活と健康
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) ライフステージに応じた栄養の特徴や食品の栄養的特質,健康や環境に配慮した食生活について理解し,自己や家族の食生活の計画・管理に必要な技能を身に付けること。
(イ) おいしさの構成要素や食品の調理上の性質,食品衛生について理解し,目的に応じた調理に必要な技能を身に付けること。
イ 食の安全や食品の調理上の性質,食文化の継承を考慮した献立作成や調理計画,健康や環境に配慮した食生活について考察し,自己や家族の食事を工夫すること。
(2) 衣生活と健康
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) ライフステージや目的に応じた被服の機能と着装について理解し,健康で快適な衣生活に必要な情報の収集・整理ができること。
(イ) 被服材料,被服構成及び被服衛生について理解し,被服の計画・管理に必要な技能を身に付けること。
イ 被服の機能性や快適性について考察し,安全で健康や環境に配慮した被服の管理や目的に応じた着装を工夫すること。
(3) 住生活と住環境
ア ライフステージに応じた住生活の特徴,防災などの安全や環境に配慮した住居の機能について理解し,適切な住居の計画・管理に必要な技能を身に付けること。
イ 住居の機能性や快適性,住居と地域社会との関わりについて考察し,防災などの安全や環境に配慮した住生活や住環境を工夫すること。
C 持続可能な消費生活・環境
次の(1)から(3)までの項目について,持続可能な社会を構築するために実践的・体験的な学習活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 生活における経済の計画
ア 家計の構造や生活における経済と社会との関わり,家計管理について理解すること。
イ 生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について,ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること。
(2) 消費行動と意思決定
ア 消費者の権利と責任を自覚して行動できるよう消費生活の現状と課題,消費行動における意思決定や契約の重要性,消費者保護の仕組みについて理解するとともに,生活情報を適切に収集・整理できること。
イ 自立した消費者として,生活情報を活用し,適切な意思決定に基づいて行動することや責任ある消費について考察し,工夫すること。
(3) 持続可能なライフスタイルと環境
ア 生活と環境との関わりや持続可能な消費について理解するとともに,持続可能な社会へ参画することの意義について理解すること。
イ 持続可能な社会を目指して主体的に行動できるよう,安全で安心な生活と消費について考察し,ライフスタイルを工夫すること。
D ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動
生活上の課題を設定し,解決に向けて生活を科学的に探究したり,創造したりすることができるよう次の事項を指導する。
ア ホームプロジェクト及び学校家庭クラブ活動の意義と実施方法について理解すること。
イ 自己の家庭生活や地域の生活と関連付けて生活上の課題を設定し,解決方法を考え,計画を立てて実践すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のAからCまでについては,生活の科学的な理解を深めるための実践的・体験的な学習活動を充実するとともに,生活の中から問題を見いだしその課題を解決する過程を重視すること。また,現在を起点に将来を見通したり,自己や家族を起点に地域や社会へ視野を広げたりして,生活を時間的・空間的な視点から捉えることができるよう指導を工夫すること。
イ 内容のAの(1)については,人の一生を生涯発達の視点で捉え,各ライフステージの特徴などと関連を図ることができるよう,この科目の学習の導入として扱うこと。また,AからCまでの内容と関連付けるとともにこの科目のまとめとしても扱うこと。
ウ 内容のAの(3)及び(4)については,学校や地域の実態等に応じて,学校家庭クラブ活動などとの関連を図り,乳幼児や高齢者との触れ合いや交流などの実践的な活動を取り入れるよう努めること。(5)については,自助,共助及び公助の重要性について理解できるよう指導を工夫すること。
エ 内容のBについては,実験・実習を中心とした指導を行うこと。なお,(1)については,栄養,食品,調理及び食品衛生との関連を図って扱うようにすること。また,調理実習については食物アレルギーにも配慮すること。
オ 内容のCの指導に当たっては,A及びBの内容と相互に関連を図ることができるよう工夫すること。
カ 内容のDの指導に当たっては,AからCまでの学習の発展として実践的な活動を家庭や地域などで行うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のAの(2)のアについては,関係法規についても触れること。(3) から(5)までについては,生涯にわたって家族・家庭の生活を支える福福祉の基本的な理念に重点を置くこと。(4)については,認知症などにも触れること。アについては,生活支援に関する基礎的な技能を身に付けることができるよう体験的に学習を行うこと。
イ 内容のBの(1)のア,(2)のア及び(3)のアについては,日本と世界の衣食住に関わる文化についても触れること。その際,日本の伝統的な和食,和服及び和室などを取り上げ,生活文化の継承・創造の重要性に気気付くことができるよう留意すること。
ウ 内容のCの(1)のイについては,将来にわたるリスクを想定して,不測の事態に備えた対応などについても触れること。(2)のアについては,多様な契約やその義務と権利について取り上げるとともに,消費者信用及びそれらをめぐる問題などを扱うこと。(3)については,環境負荷の少ない衣食住の生活の工夫に重点を置くこと。
第2 家庭総合
1 目 標
生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を通して,様々な人々と協働し,よりよい社会の構築に向けて,男女が協力して主体的に家庭や地域の生活を創造する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 人の一生と家族・家庭及び福祉,衣食住,消費生活・環境などについて,生活を主体的に営むために必要な科学的な理解を図るとともに,それらに係る技能を体験的・総合的に身に付けるようにする。
(2) 家庭や地域及び社会における生活の中から問題を見いだして課題を設定し,解決策を構想し,実践を評価・改善し,考察したことを科学的な根拠に基づいて論理的に表現するなど,生涯を見通して課題を解決する力を養う。
(3) 様々な人々と協働し,よりよい社会の構築に向けて,地域社会に参画しようとするとともに,生活文化を継承し,自分や家庭,地域の生活の充実向上を図ろうとする実践的な態度を養う。
2 内 容
A 人の一生と家族・家庭及び福祉
次の(1)から(5)までの項目について,生涯を見通し主体的に生活するために,家族や地域社会の人々と協力・協働し,実践的・体験的な学習活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 生涯の生活設計
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 人の一生について,自己と他者,社会との関わりから様々な生き方があることを理解するとともに,自立した生活を営むために,生涯を見通して,生活課題に対応し意思決定をしていくことの重要性について理解を深めること。
(イ) 生活の営みに必要な金銭,生活時間などの生活資源について理解し,情報の収集・整理が適切にできること。
イ 生涯を見通した自己の生活について主体的に考え,ライフスタイルと将来の家庭生活及び職業生活について考察するとともに,生活資源を活用して生活設計を工夫すること。
(2) 青年期の自立と家族・家庭及び社会
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 生涯発達の視点から各ライフステージの特徴と課題について理解するとともに,青年期の課題である自立や男女の平等と協力,意思決定の重要性について理解を深めること。
(イ) 家族・家庭の機能と家族関係,家族・家庭と法律,家庭生活と福祉などについて理解するとともに,家族・家庭の意義,家族・家庭と社会との関わり,家族・家庭を取り巻く社会環境の変化や課題について理解を深めること。
イ 家庭や地域のよりよい生活を創造するために,自己の意思決定に基づき,責任をもって行動することや,男女が協力して,家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性について考察すること。
(3) 子供との関わりと保育・福祉
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 乳幼児期の心身の発達と生活,子供の遊びと文化,親の役割と保育,子育て支援について理解を深め,子供の発達に応じて適切に関わるための技能を身に付けること。
(イ) 子供を取り巻く社会環境の変化や課題及び子供の福祉について理解を深めること。
イ 子供を生み育てることの意義や,保育の重要性について考え,子供の健やかな発達を支えるために親や家族及び地域や社会の果たす役割の重要性を考察するとともに,子供との適切な関わり方を工夫すること。
(4) 高齢者との関わりと福祉
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 高齢期の心身の特徴,高齢者の尊厳と自立生活の支援や介護について理解を深め,高齢者の心身の状況に応じて適切に関わるための生活支援に関する技能を身に付けること。
(イ) 高齢者を取り巻く社会環境の変化や課題及び高齢者福祉について理解を深めること。
イ 高齢者の自立生活を支えるために,家族や地域及び社会の果たす役割の重要性について考察し,高齢者の心身の状況に応じた適切な支援の方法や関わり方を工夫すること。
(5) 共生社会と福祉
ア 次のような知識を身に付けること。
(ア) 生涯を通して家族・家庭の生活を支える福祉や社会的支援について理解するすること。
(イ) 家庭と地域との関わりについて理解するとともに,高齢者や障害のある人々など様々な人々が共に支え合って生きることの意義について理解を深めること。
イ 家庭や地域及び社会の一員としての自覚をもって共に支え合って生活することの重要性について考察し,様々な人々との関わり方を工夫すること。
B 衣食住の生活の科学と文化
次の(1)から(3)までの項目について,健康・快適・安全な衣食住の生活を主体的に営むために,実践的・体験的な学習活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 食生活の科学と文化
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 食生活を取り巻く課題,食の安全と衛生,日本と世界の食文化など,食と人との関わりについて理解すること。
(イ) ライフステージの特徴や課題に着目し,栄養の特徴,食品の栄養的特質,健康や環境に配慮した食生活について理解するとともに,自己と家族の食生活の計画・管理に必要な技能を身に付けること。
(ウ) おいしさの構成要素や食品の調理上の性質,食品衛生について科学的に理解し,目的に応じた調理に必要な技能を身に付けること。
イ 主体的に食生活を営むことができるよう健康及び環境に配慮した自己と家族の食事,日本の食文化の継承・創造について考察し,工夫すること。
(2) 衣生活の科学と文化
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 衣生活を取り巻く課題,日本と世界の衣文化など,被服と人との関わりについて理解を深めること。
(イ) ライフステージの特徴や課題に着目し,身体特性と被服の機能及び着装について理解するとともに,健康と安全,環境に配慮した自己と家族の衣生活の計画・管理に必要な情報の収集・整理ができること。
(ウ) 被服材料,被服構成,被服製作,被服衛生及び被服管理について科学的に理解し,衣生活の自立に必要な技能を身に付けること。
イ 主体的に衣生活を営むことができるよう目的や個性に応じた健康で快適,機能的な着装や日本の衣文化の継承・創造について考察し,工夫すること。
(3) 住生活の科学と文化
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 住生活を取り巻く課題,日本と世界の住文化など,住まいと人との関わりについて理解を深めること。
(イ) ライフステージの特徴や課題に着目し,住生活の特徴,防災などの安全や環境に配慮した住居の機能について科学的に理解し,住生活の計画・管理に必要な技能を身に付けること。
(ウ) 家族の生活やライフスタイルに応じた持続可能な住居の計画について理解し,快適で安全な住空間を計画するために必要な情報を収集整理できること。
イ 主体的に住生活を営むことができるようライフステージと住環境に応じた住居の計画,防災などの安全や環境に配慮した住生活とまちづくり,日本の住文化の継承・創造について考察し,工夫すること。
C 持続可能な消費生活・環境
次の(1)から(3)までの項目について,持続可能な社会を構築するために実践的・体験的な学習活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1) 生活における経済の計画
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 家計の構造について理解するとともに生活における経済と社会との関わりについて理解を深めること。
(イ) 生涯を見通した生活における経済の管理や計画,リスク管理の考え方について理解を深め,情報の収集・整理が適切にできること。
イ 生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について,ライフステージごとの課題や社会保障制度などと関連付けて考察し,工夫すること。
(2) 消費行動と意思決定
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 消費生活の現状と課題,消費行動における意思決定や責任ある消費の重要性について理解を深めるとともに,生活情報の収集・整理が適切にできること。
(イ) 消費者の権利と責任を自覚して行動できるよう,消費者問題や消費者の自立と支援などについて理解するとともに,契約の重要性や消費者保護の仕組みについて理解を深めること。
イ 自立した消費者として,生活情報を活用し,適切な意思決定に基づいて行動できるよう考察し,責任ある消費について工夫すること。
(3) 持続可能なライフスタイルと環境
ア 生活と環境との関わりや持続可能な消費について理解するとともに,持続可能な社会へ参画することの意義について理解を深めること。
イ 持続可能な社会を目指して主体的に行動できるよう,安全で安心な生活と消費及び生活文化について考察し,ライフスタイルを工夫すること。
D ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動
生活上の課題を設定し,解決に向けて生活を科学的に探究したり,創造したりすることができるよう次の事項を指導する。
ア ホームプロジェクト及び学校家庭クラブ活動の意義と実施方法について理解すること。
イ 自己の家庭生活や地域の生活と関連付けて生活上の課題を設定し,解決方法を考え,計画を立てて実践すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のAからCまでについては,生活の科学的な理解を深めるための実践的・体験的な学習活動を充実するとともに,生活の中から問題を見いだしその課題を解決する過程を重視すること。また,現在を起点に将来を見通したり,自己や家族を起点に地域や社会へ視野を広げたりして,生活を時間的・空間的な視点から捉えることができるように指導を工夫すること。
イ 内容のAの(1)については,人の一生を生涯発達の視点で捉え,各ライフステージの特徴や課題と関連を図ることができるよう,この科目の学習の導入として扱うこと。また,AからCまでの内容と関連付けるとともにこの科目のまとめとしても扱うこと。
ウ 内容のAの(3)については,学校や地域の実態等に応じて,学校家庭クラブ活動などとの関連を図り,幼稚園,保育所及び認定こども園などの乳幼児,近隣の小学校の低学年の児童との触れ合いや交流の機会をもつよう努めること。また,(4)については,学校家庭クラブ活動などとの関連を図り,福祉施設などの見学やボランティア活動への参加をはじめ,身近な高齢者との交流の機会をもつよう努めること。(5)については,自助,共助及び公助の重要性について理解を深めることができるよう指導を工夫すること。
エ 内容のBについては,実験・実習を中心とした指導を行うこと。なお,(1)については,栄養,食品,調理及び食品衛生との関連を図って指導すること。また,調理実習については食物アレルギーにも配慮すること。
オ 内容のCの指導に当たっては,A及びBの内容と相互に関連を図ることができるよう工夫すること。(2)については,消費生活に関する演習を取り入れるなど,理解を深めることができるよう努めること。
カ 内容のDの指導に当たっては,AからCまでの学習の発展として実践的な活動を家庭や地域などで行うこと。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容のAの(3)については,乳幼児期から小学校の低学年までの子供を中心に扱い,子供の発達を支える親の役割や子育てを支援する環境に重点を置くこと。また,アの(イ)については,子供の福祉の基本的な理念に重点を置くこと。(4)のアの(ア)については,食事,着脱衣,移動など高齢者の心身の状況に応じて工夫ができるよう実習を扱うこと。(イ) については,高齢者福祉の基本的な理念に重点を置くとともに,例えば,認知症などの事例を取り上げるなど具体的な支援方法についても扱うこと。
イ 内容のBの(1)のアの(ア),(2)のアの(ア)及び(3)のアの(ア)については,和食,和服及び和室などを取り上げ,日本の伝統的な衣食住に関わる生活文化やその継承・創造を扱うこと。(2)のアの(ウ)については,衣服を中心とした縫製技術が学習できる題材を扱うこと。
ウ 内容のCの(1)のアの(ア)については,キャッシュレス社会が家計に与える利便性と問題点を扱うこと。(イ)については,将来にわたるリスクを想定して,不測の事態に備えた対応などについて具体的な事例にも触れること。(2)のアの(イ)については,多様な契約やその義務と権利を取り上げるとともに消費者信用及びそれらをめぐる問題などを扱うこと。(3)については,生活と環境との関わりを具体的に理解させることに重点を置くこと。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,生活の営みに係る見方・考え方を働かせ,知識を相互に関関連付けてより深く理解するとともに,家庭や地域及び社会における生活の中から問題を見いだして解決策を構想し,実践を評価・改善して,新たな課題の解決に向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
(2) 「家庭基礎」及び「家庭総合」の各科目に配当する総授業時数のうち,原則として10分の5以上を実験・実習に配当すること。
(3) 「家庭基礎」は,原則として,同一年次で履修させること。
(4) 「家庭総合」を複数の年次にわたって分割して履修させる場合には,原則として連続する2か年において履修させること。
(5) 地域や関係機関等との連携・交流を通じた実践的な学習活動を取り入れるとともに,外部人材を活用するなどの工夫に努めること。
(6) 障害のある生徒などについては,学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(7) 中学校技術・家庭科を踏まえた系統的な指導に留意すること。また,高高等学校公民科,数学科,理科及び保健体育科などとの関連を図り,家庭科の目標に即した調和のとれた指導が行われるよう留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 生徒が自分の生活に結び付けて学習できるよう,問題を見いだし課題を設定し解決する学習を充実すること。
(2) 子供や高齢者など様々な人々と触れ合い,他者と関わる力を高める活動,衣食住などの生活における様々な事象を言葉や概念などを用いて考察する活動,判断が必要な場面を設けて理由や根拠を論述したり適切な解決方法を探究したりする活動などを充実すること。
(3) 食に関する指導については,家庭科の特質を生かして,食育の充実を図ること。
(4) 各科目の指導に当たっては,コミュニケーションや情報通信ネットワークなどの活用を図り,学習の効果を高めるようにすること。
3 実験・実習を行うに当たっては,関連する法規等に従い,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整備するとともに,火気,用具,材料などの取扱いに注意して事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。