第4章外国語活動

第1款 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である児童に対する教育を行う特別支援学校

 

  小学部における外国語活動の目標,内容及び指導計画の作成と内容の取扱いについては,小学校学習指導要領第4章に示すものに準ずるほか,次の事項に配慮するものとする。

 1 児童の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて,指導内容を適切に精選するとともに,その重点の置き方等を工夫すること。

 2 指導に当たっては,自立活動における指導との密接な関連を保ち,学習効果を一層高めるようにすること。

 

第2款 知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校

 1 目 標

   外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語や外国の文化に触れることを通して,コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  (1) 外国語を用いた体験的な活動を通して,日本語と外国語の音声の違いなどに気付き,外国語の音声に慣れ親しむようにする。

  (2) 身近で簡単な事柄について,外国語に触れ,自分の気持ちを伝え合う力の素地を養う。

  (3) 外国語を通して,外国の文化などに触れながら,言語への関心を高め,進んでコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

 

 2 内 容

  〔英 語〕

   〔知識及び技能〕

  (1) 英語の特徴等に関する事項

     具体的な言語の使用場面や具体的な状況における言語活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

   ア 言語を用いてコミュニケーションを図ることの楽しさを知ること。

   イ 日本と外国の言語や文化について,以下の体験を通して慣れ親しむこと。

    (ア) 英語の歌や日常生活になじみのある語などを聞き,音声やリズムに親外国語活動しむこと。

    (イ) 外国の生活や行事などに触れ,日本と外国の生活や違いを知ること。

   〔思考力,判断力,表現力等〕

  (2) 自分の考えや気持ちなどを表現したり,伝えたりする力の素地に関する事項

     具体的な課題等を設定し,コミュニケーションを行う目的や場面などに応じて表現することを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

   ア 身近で簡単な事柄について,注目して見聞きしようとすること。

   イ 身近で簡単な事柄について,相手の働きかけに応じようとすること。

  (3) 言語活動及び言語の働きに関する事項

   ① 言語活動に関する事項

     (2)に示す事項については, に示す事項を活用して,例えば,次のような言語活動を取り上げるようにする。

    ア 聞くこと

     (ア) 既に経験している活動や場面で,英語の挨拶や語などを聞き取る活動。

     (イ) 既に知っている物や事柄に関する語などを聞き,それが表す内容を実物や写真などと結び付ける活動。

    イ 話すこと

     (ア) 既に経験している活動や場面で,実物や写真などを示しながら自分の名前や好きなものなどを簡単な語などを用いて伝える活動。

     (イ) 既に知っている歌やダンス,ゲームで,簡単な語や身振りなどを使って表現する活動。

   ② 言語の働きに関する事項

     言語活動を行うに当たり,主として次に示すような言語の使用場面や言語の働きを取り上げるようにする。

    ア 言語の使用場面の例

     (ア) 児童の遊びや身近な暮らしに関わる場面

        ㋐ 歌やダンスを含む遊び

        ㋑ 家庭での生活

        ㋒ 学校での学習や活動 など

     (イ) 特有の表現がよく使われる場面

        ㋐ 挨拶

        ㋑ 自己紹介 など

    イ 言語の働きの例

     (ア) コミュニケーションを円滑にする

        ㋐ 挨拶する

     (イ) 気持ちを伝える

        ㋐ 礼を言う など

 

3 指導計画の作成と内容の取扱い

 (1) 外国語活動においては,言語やその背景にある文化に対する関心をもつよう指導するとともに,外国語による聞くこと,話すことの言語活動を行う際には,英語を取り扱うことを原則とすること。

 (2) 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

  ア 単元や題材など,内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,具体的な課題等を設定し,児童が外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,コミュニケーションのよさを感じながら活動を行い,英語の音声や語などの知識を,二つの領域における実際のコミュニケーションにおいて活用する学習の充実を図ること。

  イ 外国語活動の指導を行う場合は,第3学年以降の児童を対象とし,国語科の3段階の目標及び内容との関連を図ること。

  ウ 2の内容のうち,主として言語や文化に関する内容の指導については,コミュニケーションに関する内容との関連を図るようにすること。その際,言語や文化については体験的な理解を図ることとし,指導内容が必要以上に細部にわたったり,形式的になったりしないようにすること。

  エ 指導内容や活動については,児童の興味や関心に合ったものとし,国語科や音楽科,図画工作科などの他教科等で児童が学習したことを活用するなどの工夫により,指導の効果を高めるようにすること。

  オ 授業を実施するに当たっては,ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る等,指導体制の充実を図るとともに,指導方法を工夫すること。

  カ 音声を取り扱う場合には,視聴覚教材を積極的に活用すること。その際,使用する視聴覚教材は,児童,学校及び地域の実態を考慮して適切なものとすること。

  キ 第1章総則の第2節の2の に示す道徳教育の目標に基づき,道徳科などとの関連を考慮しながら,第3章特別の教科道徳に示す内容について,外国語活動の特質に応じて適切な指導をすること。

 (3) 2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。

  ア 外国語でのコミュニケーションにおいては,児童の発達の段階を考慮した表現を用い,児童にとって身近なコミュニケーションの場を設定すること。

  イ 外国語でのコミュニケーションにおいては,聞くこと,話すことに関する言語活動を中心とし,文字については,児童の学習負担に配慮しつつ,音声によるコミュニケーションを補助するものとして取り扱うこと。

  ウ 言葉によらないコミュニケーションの手段もコミュニケーションを支えるものであることを踏まえ,ジェスチャーなどを取り上げ,その役割を理解することができるようにすること。

  エ 外国語活動を通して,外国語や外国の文化のみならず,国語や我が国の文化についても併せて理解を深めることができるようにすること。