第4節 理 科
第1 目標
自然の事物・現象に進んでかかわり,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔第1分野〕
1 目標
(1) 物質やエネルギーに関する事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2) 物理的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身近な物理現象,電流とその利用,運動とエネルギーなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3) 化学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,身の回りの物質,化学変化と原子・分子,化学変化とイオンなどについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4) 物質やエネルギーに関する事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め,科学的に考える態度を養うとともに,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) 身近な物理現象
身近な事物・現象についての観察,実験を通して,光や音の規則性,力の性質について理解させるとともに,これらの事物・現象を日常生活や社会と関連付けて科学的にみる見方や考え方を養う。
ア 光と音
(ア) 光の反射・屈折
光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだすこと。
(イ) 凸レンズの働き
凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像の位置及び像の大きさの関係を見いだすこと。
(ウ) 音の性質
音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだすこと。
イ 力と圧力
(ア) 力の働き
物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだすとともに,力は大きさと向きによって表されることを知ること。
(イ) 圧力
圧力についての実験を行い,圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだすこと。また,水圧や大気圧の実験を行い,その結果を水や空気の重さと関連付けてとらえること。
(2) 身の回りの物質
身の回りの物質についての観察,実験を通して,固体や液体,気体の性質,物質の状態変化について理解させるとともに,物質の性質や変化の調べ方の基礎を身に付けさせる。
ア 物質のすがた
(ア) 身の回りの物質とその性質
身の回りの物質の性質を様々な方法で調べ,物質には密度や加熱したときの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだすとともに,実験器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。
(イ) 気体の発生と性質
気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を見いだすとともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。
イ 水溶液
(ア) 物質の溶解
物質が水に溶ける様子の観察を行い,水溶液の中では溶質が均一に分散していることを見いだすこと。
(イ) 溶解度と再結晶
水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けてとらえること。
ウ 状態変化
(ア) 状態変化と熱
物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いだすこと。
(イ) 物質の融点と沸点
物質の状態が変化するときの温度の測定を行い,物質は融点や沸点を境に状態が変化することや沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだすこと。
(3) 電流とその利用
電流回路についての観察,実験を通して,電流と電圧との関係及び電流の働きについて理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて電流と磁界についての初歩的な見方や考え方を養う。
ア 電流
(ア) 回路と電流・電圧
回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,回路の各点を流れる電流や各部に加わる電圧についての規則性を見いだすこと。
(イ) 電流・電圧と抵抗
金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだすとともに金属線には電気抵抗があることを見いだすこと。
(ウ) 電気とそのエネルギー
電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,電流から熱や光などが取り出せること及び電力の違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだすこと。
(エ) 静電気と電流
異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流は関係があることを見いだすこと。
イ 電流と磁界
(ア) 電流がつくる磁界
磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,コイルの回りに磁界ができることを知ること。
(イ) 磁界中の電流が受ける力
磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くことを見いだすこと。
(ウ) 電磁誘導と発電
磁石とコイルを用いた実験を行い,コイルや磁石を動かすことにより電流が得られることを見いだすとともに,直流と交流の違いを理解すること。
(4) 化学変化と原子・分子
化学変化についての観察,実験を通して,化合,分解などにおける物質の変化やその量的な関係について理解させるとともに,これらの事物・現象を原子や分子のモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 物質の成り立ち
(ア) 物質の分解
物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質から元の物質の成分が推定できることを見いだすこと。
(イ) 原子・分子
物質は原子や分子からできていることを理解し,原子は記号で表されることを知ること。
イ 化学変化
(ア) 化合
2種類の物質を化合させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見いだすとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の組成は化学式で表されること及び化学変化は化学反応式で表されることを理解すること。
(イ) 酸化と還元
酸化や還元の実験を行い,酸化や還元が酸素の関係する反応であることを見いだすこと。
(ウ) 化学変化と熱
化学変化によって熱を取り出す実験を行い,化学変化には熱の出入りが伴うことを見いだすこと。
ウ 化学変化と物質の質量
(ア) 化学変化と質量の保存
化学変化の前後における物質の質量を測定する実験を行い,反応物の質量の総和と生成物の質量の総和が等しいことを見いだすこと。
(イ) 質量変化の規則性
化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応する物質の質量の間には一定の関係があることを見いだすこと。
(5) 運動とエネルギー
物体の運動やエネルギーに関する観察,実験を通して,物体の運動の規則性やエネルギーの基礎について理解させるとともに,日常生活や社会と関連付けて運動とエネルギーの初歩的な見方や考え方を養う。
ア 運動の規則性
(ア) 力のつり合い
物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだすこと。また,力の合成と分解についての実験を行い,合力や分力の規則性を理解すること。
(イ) 運動の速さと向き
物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知ること。
(ウ) 力と運動
物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運動では運動の向きや時間の経過に伴って物体の速さが変わること及び力が働かない運動では物体は等速直線運動することを見いだすこと。
イ 力学的エネルギー
(ア) 仕事とエネルギー
仕事に関する実験を行い,仕事と仕事率について理解すること。また,衝突の実験を行い,物体のもつエネルギーの量は物体が他の物体になしうる仕事で測れることを理解すること。
(イ) 力学的エネルギーの保存
力学的エネルギーに関する実験を行い,運動エネルギーと位置エネルギーが相互に移り変わることを見いだし,力学的エネルギーの総量が保存されることを理解すること。
(6) 化学変化とイオン
化学変化についての観察,実験を通して,水溶液の電気伝導性や中和反応について理解させるとともに,これらの事物・現象をイオンのモデルと関連付けてみる見方や考え方を養う。
ア 水溶液とイオン
(ア) 水溶液の電気伝導性
水溶液に電流を流す実験を行い,水溶液には電流が流れるものと流れないものとがあることを見いだすこと。
(イ) 原子の成り立ちとイオン
電気分解の実験を行い,電極に物質が生成することからイオンの存在を知ること。また,イオンの生成が原子の成り立ちに関係することを知ること。
(ウ) 化学変化と電池
電解質水溶液と2種類の金属などを用いた実験を行い,電流が取り出せることを見いだすとともに,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されていることを知ること。
イ 酸・アルカリとイオン
(ア) 酸・アルカリ
酸とアルカリの性質を調べる実験を行い,酸とアルカリのそれぞれの特性が水素イオンと水酸化物イオンによることを知ること。
(イ) 中和と塩
中和反応の実験を行い,酸とアルカリを混ぜると水と塩が生成することを理解すること。
(7) 科学技術と人間
エネルギー資源の利用や科学技術の発展と人間生活とのかかわりについて認識を深め,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。
ア エネルギー
(ア) 様々なエネルギーとその変換
エネルギーに関する観察,実験を通して,日常生活や社会では様々なエネルギーの変換を利用していることを理解すること。
(イ) エネルギー資源
人間は,水力,火力,原子力などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギーの有効な利用が大切であることを認識すること。
イ 科学技術の発展
(ア) 科学技術の発展
科学技術の発展の過程を知るとともに,科学技術が人間の生活を豊かで便利にしてきたことを認識すること。
ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
(ア) 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までのうち,内容の(1)及び(2)は第1学年,内容の(3)及び(4)は第2学年,内容の(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,全反射も扱うこと。また,光の屈折で入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。
イ アの(イ)については,光源の位置と像の位置,像の大きさの定性的な関係を調べること。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの(ウ)については,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さを扱うこと。
エ イの(ア)については,ばねに加える力の大きさとばねの伸びの関係も扱うこと。また,重さと質量の違いにも触れること。力の単位としては「ニュートン」を用いること。
オ イの(イ)については,水中にある物体にはあらゆる向きから圧力が働くことにも触れること。また,水中では物体に浮力が働くことにも触れること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。また,代表的なプラスチックの性質にも触れること。
イ アの(イ)については,異なる方法を用いても同一の気体が得られることも扱うこと。
ウ イの(ア)については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。また,質量パーセント濃度にも触れること。
エ イの(イ)については,溶解度曲線にも触れること。
オ ウの(ア)については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。その際,粒子の運動にも触れること。
カ ウの(イ)については,純粋な物質の状態変化を中心に扱うこと。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「回路」については,直列及び並列の回路を取り上げ,それぞれについて二つの抵抗のつなぎ方を中心に扱うこと。
イ アの(イ)の「電気抵抗」については,物質の種類によって抵抗の値が異なることを扱うこと。また,二つの抵抗をつなぐ場合の合成抵抗にも触れること。
ウ アの(ウ)については,電力量も扱うこと。その際,熱量にも触れること。
エ アの(エ)については,電流が電子の流れであることを扱うこと。
オ イの(イ)については,電流の向きや磁界の向きを変えたときに力の向きが変わることを扱うこと。
カ イの(ウ)については,コイルや磁石を動かす向きを変えたときに電流の向きが変わることを扱うこと。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「原子」については,周期表を用いて多くの種類が存在することにも触れること。また,「記号」については,基礎的なものを扱うこと。
イ イの(ア)の「化学式」及び「化学反応式」については,簡単なものを扱うこと。
ウ イの(イ)の「酸化や還元」については,簡単なものを扱うこと。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)については,物体に力が働くとき反対向きにも力が働くことにも触れること。
イ アの(ウ)の「力が働く運動」のうち,落下運動については斜面に沿った運動を中心に扱うこと。その際,斜面の角度が90度になったときに自由落下になることにも触れること。「物体の速さが変わること」については,定性的に扱うこと。
ウ イの(ア)については,仕事の原理にも触れること。
エ イの(イ)については,摩擦にも触れること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「原子の成り立ち」については,原子が電子と原子核からできていることを扱うこと。その際,原子核が陽子と中性子でできていることにも触れること。また,「イオン」については,イオン式で表されることにも触れること。
イ アの(ウ)の「電池」については,電極で起こる反応を中心に扱うこと。また,日常生活や社会で利用されている代表的な電池にも触れること。
ウ イの(ア)については,pHにも触れること。
エ イの(イ)については,水に溶ける塩と水に溶けない塩があることにも触れること。
(8) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,熱の伝わり方も扱うこと。また,「エネルギーの変換」については,その総量が保存されること及びエネルギーを利用する際の効率も扱うこと。
イ アの(イ)については,放射線の性質と利用にも触れること。
ウ ウの(ア)については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第2分野(7)のウの(ア)と関連付けて総合的に扱うこと。
〔第2分野〕
1 目標
(1) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に進んでかかわり,その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して,多様性や規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。
(2) 生物や生物現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,生物の生活と種類,生命の連続性などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(3) 地学的な事物・現象についての観察,実験を行い,観察・実験技能を習得させ,観察,実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに,大地の成り立ちと変化,気象とその変化,地球と宇宙などについて理解させ,これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。
(4) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象を調べる活動を行い,これらの活動を通して生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度を育て,自然を総合的に見ることができるようにする。
2 内容
(1) 植物の生活と種類
身近な植物などについての観察,実験を通して,生物の調べ方の基礎を身に付けさせるとともに,植物の体のつくりと働きを理解させ,植物の生活と種類についての認識を深める。
ア 生物の観察
(ア) 生物の観察
校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだすとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付け,生物の調べ方の基礎を習得すること。
イ 植物の体のつくりと働き
(ア) 花のつくりと働き
いろいろな植物の花のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,花のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを花の働きと関連付けてとらえること。
(イ) 葉・茎・根のつくりと働き
いろいろな植物の葉,茎,根のつくりの観察を行い,その観察記録に基づいて,葉,茎,根のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに,それらを光合成,呼吸,蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。
ウ 植物の仲間
(ア) 種子植物の仲間
花や葉,茎,根の観察記録に基づいて,それらを相互に関連付けて考察し,植物が体のつくりの特徴に基づいて分類できることを見いだすとともに,植物の種類を知る方法を身に付けること。
(イ) 種子をつくらない植物の仲間
シダ植物やコケ植物の観察を行い,これらと種子植物の違いを知ること。
(2) 大地の成り立ちと変化
大地の活動の様子や身近な岩石,地層,地形などの観察を通して,地表に見られる様々な事物・現象を大地の変化と関連付けて理解させ,大地の変化についての認識を深める。
ア 火山と地震
(ア) 火山活動と火成岩
火山の形,活動の様子及びその噴出物を調べ,それらを地下のマグマの性質と関連付けてとらえるとともに,火山岩と深成岩の観察を行い,それらの組織の違いを成因と関連付けてとらえること。
(イ) 地震の伝わり方と地球内部の働き
地震の体験や記録を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に
気付くとともに,地震の原因を地球内部の働きと関連付けてとらえ,地震に伴う土地の変化の様子を理解すること。
イ 地層の重なりと過去の様子
(ア) 地層の重なりと過去の様子
野外観察などを行い,観察記録を基に,地層のでき方を考察し,重なり方や広がり方についての規則性を見いだすとともに,地層とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と地質年代を推定すること。
(3) 動物の生活と生物の変遷
生物の体は細胞からできていることを観察を通して理解させる。また,動物などについての観察,実験を通して,動物の体のつくりと働きを理解させ,動物の生活と種類についての認識を深めるとともに,生物の変遷について理解させる。
ア 生物と細胞
(ア) 生物と細胞
生物の組織などの観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだすこと。
イ 動物の体のつくりと働き
(ア) 生命を維持する働き
消化や呼吸,血液の循環についての観察,実験を行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察,実験の結果と関連付けてとらえること。また,不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解すること。
(イ) 刺激と反応
動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕
組みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けてとらえること。
ウ 動物の仲間
(ア) 脊椎(せきつい)動物の仲間
脊椎(せきつい)動物の観察記録に基づいて,体のつくりや子の生まれ方などの特徴を比較,整理し,脊椎(せきつい)動物が幾つかの仲間に分類できることを見いだすこと。
(イ) 無脊椎(せきつい)動物の仲間
無脊椎(せきつい)動物の観察などを行い,その観察記録に基づいて,それらの動物の特徴を見いだすこと。
エ 生物の変遷と進化
(ア) 生物の変遷と進化
現存の生物や化石の比較などを基に,現存の生物は過去の生物が変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けてとらえること。
(4) 気象とその変化
身近な気象の観察,観測を通して,気象要素と天気の変化の関係を見いださせるとともに,気象現象についてそれが起こる仕組みと規則性についての認識を深める。
ア 気象観測
(ア) 気象観測
校庭などで気象観測を行い,観測方法や記録の仕方を身に付けるとともに,その観測記録などに基づいて,気温,湿度,気圧,風向などの変化と天気との関係を見いだすこと。
イ 天気の変化
(ア) 霧や雲の発生
霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び湿度の変化と関連付けてとらえること。
(イ) 前線の通過と天気の変化
前線の通過に伴う天気の変化の観測結果などに基づいて,その変化を暖気,寒気と関連付けてとらえること。
ウ 日本の気象
(ア) 日本の天気の特徴
天気図や気象衛星画像などから,日本の天気の特徴を気団と関連付けてとらえること。
(イ) 大気の動きと海洋の影響
気象衛星画像や調査記録などから,日本の気象を日本付近の大気の動きや海洋の影響に関連付けてとらえること。
(5) 生命の連続性
身近な生物についての観察,実験を通して,生物の成長と殖え方,遺伝現象について理解させるとともに,生命の連続性について認識を深める。
ア 生物の成長と殖え方
(ア) 細胞分裂と生物の成長
体細胞分裂の観察を行い,その過程を確かめるとともに,細胞の分裂を生物の成長と関連付けてとらえること。
(イ) 生物の殖え方
身近な生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだすとともに,生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだすこと。
イ 遺伝の規則性と遺伝子
(ア) 遺伝の規則性と遺伝子
交配実験の結果などに基づいて,親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだすこと。
(6) 地球と宇宙
身近な天体の観察を通して,地球の運動について考察させるとともに,太陽や惑星の特徴及び月の運動と見え方を理解させ,太陽系や恒星など宇宙についての認識を深める。
ア 天体の動きと地球の自転・公転
(ア) 日周運動と自転
天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けてとらえること。
(イ) 年周運動と公転
星座の年周運動や太陽の南中高度の変化などの観察を行い,その観察記録を地球の公転や地軸の傾きと関連付けてとらえること。
イ 太陽系と恒星
(ア) 太陽の様子
太陽の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだすこと。
(イ) 月の運動と見え方
月の観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,月の公転と見え方を関連付けてとらえること。
(ウ) 惑星と恒星
観測資料などを基に,惑星と恒星などの特徴を理解するとともに,惑星の見え方を太陽系の構造と関連付けてとらえること。
(7) 自然と人間
自然環境を調べ,自然界における生物相互の関係や自然界のつり合いについて理解させるとともに,自然と人間のかかわり方について認識を深め,自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。
ア 生物と環境
(ア) 自然界のつり合い
微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けてとらえるとともに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだすこと。
(イ) 自然環境の調査と環境保全
身近な自然環境について調べ,様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解するとともに,自然環境を保全することの重要性を認識すること。
イ 自然の恵みと災害
(ア) 自然の恵みと災害
自然がもたらす恵みと災害などについて調べ,これらを多面的,総合的にとらえて,自然と人間のかかわり方について考察すること。
ウ 自然環境の保全と科学技術の利用
(ア) 自然環境の保全と科学技術の利用
自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し,持続可能な社会をつくることが重要であることを認識すること。
3 内容の取扱い
(1) 内容の(1)から(7)までのうち,内容の(1)及び(2)は第1学年,内容の(3)及び(4)は第2学年,内容の(5)から(7)までは第3学年で取り扱うものとする。
(2) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「生物」については,植物を中心に取り上げ,水中の微小な生物の存在にも触れること。
イ イの(ア)については,被子植物を中心に取り上げること。「花の働き」については,受粉後に胚(はい)珠が種子になることを中心に扱うこと。
ウ イの(イ)については,光合成における葉緑体の働きにも触れること。また,葉,茎,根の働きを相互に関連付けて全体の働きとしてとらえること。
エ ウの(イ)については,シダ植物やコケ植物が胞子をつくることにも触れること。
(3) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)の「火山」については,粘性と関係付けながら代表的な火山を扱うこと。「マグマの性質」については,粘性を扱うこと。「火山岩」及び「深成岩」については,代表的な岩石を扱うこと。また,代表的な造岩鉱物も扱うこと。
イ アの(イ)については,地震の現象面を中心に取り扱い,初期微動継続時間と震源までの距離との定性的な関係にも触れること。また,「地球内部の働き」については,日本付近のプレートの動きを扱うこと。
ウ イの(ア)については,地層を形成している代表的な堆(たい)積岩も取り上げること。「野外観察」については,学校内外の地層を観察する活動とすること。「地層」については,断層,褶(しゅう)曲にも触れること。「化石」については,示相化石及び示準化石を取り上げること。「地質年代」の区分は古生代,中生代,新生代の第三紀及び第四紀を取り上げること。
(4) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イの(ア)については,各器官の働きを中心に扱うこと。「消化」については,代表的な消化酵素の働きを取り上げること。また,摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になることにも触れること。「呼吸」については,細胞の呼吸にも触れること。「血液の循環」に関連して,血液成分の働き,腎臓(じんぞう)や肝臓の働きにも触れること。
イ イの(イ)については,各器官の働きを中心に扱うこと。
ウ ウの(ア)については,脊椎(せきつい)動物の体の表面の様子や呼吸の仕方,運動・感覚器官の発達,食物のとり方の違いに気付かせること。
エ ウの(イ)については,節足動物や軟体動物の観察を行い,それらの動物と脊椎動物の体のつくりの特徴を比較することを中心に扱うこと。
オ エの(ア)については,進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について取り上げること。その際,生物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れること。
(5) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア イの(ア)については,気温による飽和水蒸気量の変化が湿度の変化や凝結にかかわりがあることを扱うこと。また,水の循環も扱うこと。
イ イの(イ)については,風の吹き方にも触れること。
ウ ウの(イ)については,地球を取り巻く大気の動きにも触れること。また,地球の大きさや大気の厚さにも触れること。
(6) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,染色体が複製されることにも触れること。
イ アの(イ)については,有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱うこと。「無性生殖」については,単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れること。
ウ イの(ア) については,分離の法則を扱うこと。また,遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることや遺伝子の本体がDNAであることにも触れること。
(7) 内容の(6)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(イ)の「太陽の南中高度の変化」については,季節による昼夜の長さや気温の変化にも触れること。
イ イの(ア)の「太陽の特徴」については,形,大きさ,表面の様子などを扱うこと。その際,放出された多量の光などのエネルギーによる地表への影響にも触れること。
ウ イの(イ)については,日食や月食にも触れること。
エ イの(ウ)の「惑星」については,大きさ,大気組成,表面温度,衛星の存在などを取り上げること。その際,地球には生命を支える条件が備わっていることにも触れること。「恒星」については,自ら光を放つことや太陽もその一つであることを扱うこと。その際,恒星の集団としての銀河系の存在にも触れること。「太陽系の構造」における惑星の見え方については,金星を取り上げ,その満ち欠けと見かけの大きさを扱うこと。また,惑星以外の天体が存在することにも触れること。
(8) 内容の(7)については,次のとおり取り扱うものとする。
ア アの(ア)については,生態系における生産者,消費者及び分解者の関連を扱うこと。その際,土壌動物にも触れること。
イ アの(イ)については,生物や大気,水などの自然環境を直接調べたり,記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。また,地球温暖化や外来種にも触れること。
ウ イの(ア)については,地球規模でのプレートの動きも扱うこと。また,「災害」については,記録や資料などを用いて調べ,地域の災害について触れること。
エ ウの(ア)については,これまでの第1分野と第2分野の学習を生かし,第1分野(7)のウの(ア)と関連付けて総合的に扱うこと。
第3 指導計画の作成と内容の取扱い
- 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 各学年においては,年間を通して,各分野におよそ同程度の授業時数を配当すること。その際,各分野間及び各項目間の関連を十分考慮して,各分野の特徴的な見方や考え方が互いに補い合って育成されるようにすること。
(2) 学校や生徒の実態に応じ,十分な観察や実験の時間,課題解決のために探究する時間などを設けるようにすること。その際,問題を見いだし観察,実験を計画する学習活動,観察,実験の結果を分析し解釈する学習活動,科学的な概念を使用して考えたり説明したりするなどの学習活動が充実するよう配慮すること。
(3) 原理や法則の理解を深めるためのものづくりを,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(4) 継続的な観察や季節を変えての定点観測を,各内容の特質に応じて適宜行うようにすること。
(5) 博物館や科学学習センターなどと積極的に連携,協力を図るよう配慮すること。
(6) 第1章総則の第1の2及び第3章道徳の第1に示す道徳教育の目標に基づき,道徳の時間などとの関連を考慮しながら,第3章道徳の第2に示す内容について,理科の特質に応じて適切な指導をすること。
- 各分野の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。
(1) 観察,実験,野外観察を重視するとともに,地域の環境や学校の実態を生かし,自然の事物・現象を科学的に探究する能力の基礎と態度の育成及び基本的な概念の形成が段階的に無理なく行えるようにすること。
(2) 生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度が育成されるようにすること。
(3) 科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや安全性の向上に役立っていることに触れること。また,理科で学習することが様々な職業などと関係していることにも触れること。
- 観察,実験,野外観察の指導においては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮するものとする。
- 各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的かつ適切に活用するよう配慮するものとする。