第1款 目 標
我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての理解と認識を深め,国際社会に主体的に生きる民主的,平和的な国家・社会の一員として必要な自覚と資質を養う。
第1 世界史A
1 目 標
近現代史を中心とする世界の歴史を,我が国の歴史と関連付けながら理解させ,人類の課題を多角的に考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。
2 内 容
風土,民族,宗教などに着目させながら,ユーラシアを中心に形成された諸地域世界の特質を把握させる。また,諸地域相互の交流に触れ,世界の一体化につながる交流圏の成立に気付かせる。
東アジアの風土と諸民族,漢字文化,儒教,中国を中心とする国際体制に触れ,日本を含む東アジア世界の特質を把握させる。
イ 南アジア世界
南アジアの風土と諸民族,仏教の成立,ヒンドゥー教とカースト制度,イスラームの影響に触れ,南アジア世界の特質を把握させる。
ウ イスラーム世界
西アジアの風土と諸民族,イラン文明の伝統,イスラームの成立と拡大に触れ,イスラーム世界の特質を把握させる。
エ ヨーロッパ世界
ヨーロッパの風土と諸民族,ギリシア・ローマ文明の伝統,キリスト教に触れ,ヨーロッパ世界の特質を把握させる。
オ ユーラシアの交流圏
8世紀以降の諸地域世界の交流の深まりに触れ,ユーラシア規模の交流圏の成立とそれを支えた都市や港のネットワークを把握させる。
(ア) 海域世界の成長とユーラシア
ムスリム商人のインド洋進出,中国商人の南シナ海進出を中心に,ユーラシアの諸海域を結ぶネットワークの成長を把握させる。
(イ) 遊牧社会の膨張とユーラシア
内陸アジアの騎馬遊牧民,オアシス都市民の活動を中心に,陸のネットワークの成長とモンゴルによるユーラシアの一体化を把握させる。
(ウ) 地中海海域とユーラシア
イタリア商人による東方貿易とイスラーム文明のヨーロッパへの流入を中心に,ユーラシア,アフリカとつながる地中海交流圏の成長を把握させる。
(エ) 東アジア海域とユーラシア
元の大都を拠点とする東西交流と黄海や東シナ海における交易の活性化,倭寇(わこう),勘合貿易,琉球(りゅうきゅう)王国の交易活動を中心に,日本列島を含む東アジア海域の交流圏としての成長を把握させる。
16世紀以降の世界商業の進展と産業革命後の資本主義の確立を中心に,世界の一体化の過程を理解させる。その際,ヨーロッパの動向と日本などアジア諸国の対応に着目させる。
大航海時代のヨーロッパとアフリカ,アメリカ,アジアとの接触・交流を扱い,16世紀の世界の一体化への動きを理解させる。
イ アジアの諸帝国とヨーロッパの主権国家体制
アジアの諸帝国の政治と社会,ヨーロッパの主権国家体制の成立,大西洋貿易の展開を扱い,17世紀及び18世紀の世界の特質を理解させる。
ウ ヨーロッパ・アメリカの諸革命
産業革命,フランス革命,アメリカ諸国の独立,自由主義と国民主義の進展,拡大する貿易活動を扱い,ヨーロッパ・アメリカにおける資本主義の確立と国民形成を理解させる。
エ アジア諸国の変貌と日本
ヨーロッパの進出期におけるアジア諸国の状況,植民地化や従属化の過程での抵抗と挫(ざ)折,伝統文化の変容,その中での日本の対応を扱い,19世紀の世界の一体化とその特質を理解させる。
地球規模で一体化した現代世界の特質と展開過程を理解させ,人類の課題について考察させる。その際,世界の動向と日本とのかかわりに着目させる。
輸送革命,マスメディアの発達,企業や国家の巨大化,社会の大衆化と政治や文化の変容,公教育の普及と国民統合などを扱い,20世紀という時代の特質を人類史的視野から把握させる。
イ 二つの世界戦争と平和
第一次世界大戦と第二次世界大戦の原因や総力戦としての性格,それらが及ぼした影響を理解させ,平和の意義などについて考察させる。
ウ 米ソ冷戦とアジア・アフリカ諸国
第二次世界大戦後の米ソ両陣営の対立,アジア・アフリカの民族運動と植民地支配からの独立を理解させ,核兵器問題やアジア・アフリカ諸国が抱える問題などについて考察させる。
エ 地球社会への歩みと日本
1970年代以降の市場経済の世界化や地球規模での問題の出現を理解させ,日本が世界の諸国,諸地域と多様性を認め合いながら共存する方向などについて考察させる。
オ 地域紛争と国際社会
冷戦終結後の世界で起こった地域紛争の原因や歴史的背景を追究させ,国際社会の変化や国民国家の課題などについて考察させる。
カ 科学技術と現代文明
原子力の利用,情報科学,宇宙科学の出現など現代の科学技術の人類への寄与と課題を追究させ,人類の生存と環境,世界の平和と安全などについて考察させるとともに,国際的な交流と協調の必要性に気付かせる。
イ 諸地域世界,交流圏,国際関係の展開などを取り扱う際,比較文明的視点も考慮するとともに,各時代における世界の中に日本を位置付けて考察させること。
ウ 風土,民族の扱い,人類の課題の考察,歴史地図の活用などについては,地理的条件との関連に留意すること。
イ 内容の(1)のオについては,生徒の実態等に応じ,(ア)から(エ)までのうち二つ程度を選択して交流の具体的様相を把握させるものとし,詳細な交流史は扱わないこと。
ウ 内容の(2)及び(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) 客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
(イ) 政治,経済,社会,文化,生活など様々な観点から歴史的事象を取り上げ,近現代世界に対する多角的で柔軟な見方を養うこと。
エ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) 単に知識を与えるだけでなく,現代の世界が当面する課題について考察させること。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること。
(イ) 内容のオ及びカについては,例示された課題などを参考に適切な主題を設定し,生徒の主体的な追究を通して認識を深めさせるようにすること。
第2 世界史B
1 目 標
世界の歴史の大きな枠組みと流れを,我が国の歴史と関連付けながら理解させ,文化の多様性と現代世界の特質を広い視野から考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。
2 内 容
身近なものや日常生活にかかわる主題,我が国の歴史にかかわる主題など,適切な主題を設定し追究する学習を通して,歴史に対する関心と世界史学習への意欲を高める。
時計,暦,世界地図,都市図などから適切な事例を取り上げて,その変遷や意義を追究させ,人々の時間意識や空間意識が時代や地域により異なることに気付かせる。
イ 日常生活に見る世界史
衣食住,家族,余暇,スポーツなどから適切な事例を取り上げて,その変遷を追究させ,日常生活からも世界史がとらえられることに気付かせる。
ウ 世界史と日本史とのつながり
日本と世界の接触・交流にかかわる人,物,技術,文化などから適切な事例を取り上げて,接触・交流の具体的様相を追究させ,日本列島の歴史と世界史との密接なつながりに気付かせる。
人類は各地の自然環境に適応しながら農耕や牧畜を基礎とする諸文明を築き上げ,やがてそれらを基により大きな地域世界を形成したことを把握させる。
西アジア・地中海世界の風土,オリエント文明の盛衰,イラン人の活動,エーゲ文明,ギリシア・ローマ文明に触れ,西アジア・地中海世界の特質を把握させる。
イ 南アジア世界の形成
南アジアの風土,インダス文明,アーリヤ人の進入以後の文化,社会,国家の発展に触れ,南アジア世界の形成過程を把握させる。
ウ 東アジア・内陸アジア世界の形成
東アジア・内陸アジアの風土,中華文明の起源と秦(しん)・漢帝国,遊牧国家の動向,唐帝国と東アジア諸民族の活動に触れ,日本を含む東アジア世界と内陸アジア世界の形成過程を把握させる。
ユーラシアの内陸及び海域のネットワークを背景に,諸地域世界の交流が一段と活発になり,新たな地域世界の形成や再編を促したことを把握させる。
アラブ人とイスラーム帝国の発展,トルコ系民族の活動,アフリカ・南アジアのイスラーム化に触れ,イスラーム世界の形成,拡大の過程を把握させる。
イ ヨーロッパ世界の形成と変動
ビザンツ帝国と東ヨーロッパの展開,西ヨーロッパの封建社会,都市の発達と王権の伸長に触れ,キリスト教とヨーロッパ世界の形成,変動の過程を把握させる。
ウ 内陸アジアの動向と諸地域世界
契丹(きったん)・女真(じょしん)と宋(そう)の抗争,モンゴル帝国の興亡と諸地域世界や日本の変動に触れ,内陸アジア諸民族がユーラシア諸地域の交流と再編に果たした役割を把握させる。
アジアの繁栄とヨーロッパの拡大を背景に,諸地域世界の結合が一層進んだことを把握させるとともに,主権国家体制を整え工業化を達成したヨーロッパの進出により,世界の構造化と社会の変容が促されたことを理解させる。
明(みん)・清(しん)帝国と朝鮮や日本との関係,東南アジア海域世界とイスラーム世界の動向を扱い,16世紀から18世紀にかけてのアジア諸地域世界の特質を理解させる。
イ ヨーロッパの拡大と大西洋世界
ルネサンスと宗教改革,新航路の開拓,主権国家体制の成立,大西洋貿易を扱い,16世紀から18世紀にかけてのヨーロッパ世界の特質とアメリカ・アフリカとの関係を理解させる。
ウ ヨーロッパ・アメリカの変革と国民形成
産業革命,フランス革命,アメリカ諸国の独立など,18世紀後半から19世紀にかけてのヨーロッパ・アメリカの経済的,政治的変革を扱い,産業社会と国民国家の形成を理解させる。
エ 世界市場の形成とアジア諸国
世界市場の形成,ヨーロッパ諸国のアジア進出,オスマン,ムガル,清帝国及び日本などアジア諸国の動揺と改革を扱い,19世紀のアジアとヨーロッパの関係を理解させる。
オ 帝国主義と世界の変容
ヨーロッパ諸国によるアジア・アフリカの植民地化をめぐる競合とアジア・アフリカの対応を扱い,19世紀後期から20世紀初期の世界の支配・従属関係を伴う一体化と社会の変容を理解させる。
科学技術の発達や生産力の著しい発展を背景に,現代世界は地球規模で一体化し,相互依存を強めたことを理解させる。また,国際対立と国際協調,科学技術と現代文明などの観点から20世紀の歴史の特質を考察させ,未来を展望させる。
二つの大戦と総力戦,ロシア革命とソヴィエト連邦の成立,大衆社会の出現と全体主義,世界恐慌と資本主義の変容,アジアの民族運動などを扱い,20世紀前半の世界の動向と社会の特質を理解させる。
イ 米ソ冷戦と第三勢力
米ソ冷戦の展開,アジア・アフリカ諸国の独立と紛争,平和共存の模索と多極化の進展を扱い,冷戦期の世界の動向を理解させる。
ウ 冷戦の終結と地球社会の到来
市場経済の世界化,東欧諸国の民主化と冷戦の終結,ソヴィエト連邦の解体,アジア経済の急成長,地域統合の進展などを扱い,1970年代以降の世界と日本の動向を理解させる。
エ 国際対立と国際協調
核兵器問題,人種・民族問題,第二次世界大戦後の主要な国際紛争など,現代の国際問題を歴史的観点から追究させ,国際協調の意義と課題を考察させる。
オ 科学技術の発達と現代文明
情報化,先端技術の発達,環境問題などを歴史的観点から追究させ,科学技術と現代文明について考察させる。
カ これからの世界と日本
国際政治,世界経済,現代文明などにおいて人類の当面する課題を歴史的観点から追究させ,これからの世界と日本を展望させる。
イ 具体的な歴史の展開を通して,文化・文明などの概念,年代の表し方,時代や地域の区分などを把握させるようにすること。
ウ 風土,民族の扱い,現代の課題の考察,歴史地図の活用などについては,地理的条件との関連に留意すること。
イ 内容の(2)及び(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) 各時代の人々の生活や意識を具体的に理解できるようにし,政治史のみの学習にならないようにすること。
(イ) 比較文明的視点から世界の歴史の中の日本の位置付けにも着目させること。
ウ 内容の(4)及び(5)については,次の事項に留意すること。
(ア) 客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
(イ) 広い視野から世界の動きをとらえることとし,各国史別の扱いにならないようにすること。
(ウ) 政治,経済,社会,文化,生活など様々な観点から歴史的事象を取り上げ,近現代世界に対する多角的で柔軟な見方を養うこと。
(エ) 日本と関連する諸国の歴史については当該国の歴史から見た日本などにも着目させ,世界の歴史における日本の位置付けを明確にすること。
エ 内容の(5)については,次の事項に留意すること。
(ア) 単に知識を与えるだけでなく,地球世界の課題について考察させること。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現させることが重要な課題であることを認識させること。
(イ) 内容のエ,オ及びカについては,例示された課題などを参考に適切な主題を設定し,生徒の主体的な追究を通して認識を深めさせるようにすること。
第3 日本史A
1 目 標
近現代史を中心とする我が国の歴史の展開を,世界史的視野に立ち我が国を取り巻く国際環境などと関連付けて考察させることによって,歴史的思考力を培い,国民としての自覚と国際社会に主体的に生きる日本人としての資質を養う。
2 内 容
身近な生活文化や地域社会の変化などにかかわる主題を設定し追究する学習を通して,歴史への関心を高めるとともに,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
日常の生活の中で接している衣食住がどのように変化してきたかを,社会的な背景と関連付けて追究させる。
イ 交通・通信の変化
交通や通信の変化がどのような時代的背景の下でもたらされ,それが人々の日常生活にどのような影響をもたらしたかを追究させる。
ウ 現代に残る風習と民間信仰
現代に残る風習や民間信仰が本来どのような意味をもち,それがどのように変化してきたかを現代の人々の生活と関連付けて追究させる。
エ 産業技術の発達と生活
産業技術の発達がどのような時代的背景の下でもたらされ,それが人々の日常生活にどのような影響をもたらしたかを追究させる。
オ 地域社会の変化
地域社会がどのように変化してきたかを,政治的,経済的な条件や国際的な動きと関連付けて追究させる。
開国以後,明治維新を経て近代日本が急速に形成された過程を,国際環境と関連付けて理解させる。
産業,学問・思想,教育における近代の萌(ほう)芽や欧米諸国のアジア進出に着目して,幕藩体制動揺期の内外の情勢について理解させる。
イ 明治維新と近代国家の形成
文明開化などに見られる欧米文化の導入と明治政府による諸制度の改革に伴う社会・文化の変化に着目して,開国,明治維新から自由民権運動を経て立憲体制が成立するまでの我が国の近代国家の形成について理解させる。
ウ 国際関係の推移と近代産業の成立
条約改正や日清(にっしん)・日露戦争前後の欧米諸国やアジア近隣諸国との関係の変化及び産業革命の進行に着目して,我が国の対外政策の推移と近代産業の成立について理解させる。
第一次世界大戦前後から第二次世界大戦終結までの我が国の状況について,国際情勢と関連付けて考察させる。
政党の役割と社会的な基盤,学問・文化の進展と教育の普及に着目して,政党政治の推移と大衆文化の形成について考察させる。
イ 近代産業の発展と国民生活
都市や村落の生活の変化と社会問題の発生に着目して,近代産業の発展とそれが国民生活にもたらした影響について考察させる。
ウ 両大戦をめぐる国際情勢と日本
諸国家間の対立や協調関係と日本の立場,国内の経済・社会の動向,アジア近隣諸国との関係に着目して,二つの世界大戦とその間の内外情勢の変化について考察させる。
第二次世界大戦後の民主化と復興,国際社会への復帰,経済の発展と現代の日本について,世界の動向と関連付けて考察させるとともに,我が国の課題と役割について認識させる。
第二次世界大戦後の国際関係の推移に着目して,占領政策と諸改革,新憲法の成立,平和条約と独立など我が国の再出発及びその後の政治の推移と新しい外交関係の確立について考察させる。
イ 経済の発展と国民生活
生活意識や価値観の変化に着目して,戦後の経済復興,技術革新と高度成長,経済の国際化など日本経済の発展と国民生活の向上について考察させる。
ウ 現代の日本と世界
経済や文化の国際的交流,科学技術の発達と世界の平和,我が国の国際貢献の拡大などに着目して,現代世界の動向と日本の課題及び役割について考察させる。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし,細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
(3) 内容の(1)の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
イ 選択した項目の一つは,この科目の導入として実施し,現在の生活環境が歴史の産物であることに気付かせることによって日本史学習への関心を高めるようにすること。
ウ 前項以外の選択した項目については,学習の深化と歴史的思考力の育成を図ることをねらいとして,内容の(2)以下の学習と関連させて取り扱うよう指導計画を工夫すること。
第4 日本史B
1 目 標
我が国の歴史の展開を,世界史的視野に立って総合的に考察させ,我が国の文化と伝統の特色についての認識を深めさせることによって,歴史的思考力を培い,国民としての自覚と国際社会に主体的に生きる日本人としての資質を養う。
2 内 容
歴史を考察する基本的な方法を理解させるとともに,主題を設定して追究する学習,地域社会にかかわる学習を通して,歴史への関心を高め,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
歴史における資料の特性とその活用及び文化財保護の意義について理解させる。
(ア) 資料をよむ
様々な歴史的資料の特性に着目して,資料に基づいて歴史が叙述されていることを理解させる。
(イ) 資料にふれる
博物館などの施設や地域の文化遺産についての関心を高め,文化財保護の重要性について理解させる。
イ 歴史の追究
我が国の歴史の展開について,時代ごとに区切らない主題を設定し追究する学習を通して,歴史的な見方や考え方を身に付けさせる。
(ア) 日本人の生活と信仰
衣食住の変化,習俗や信仰などに着目して,日本人の生活様式や精神生活の推移について追究させる。
(イ) 日本列島の地域的差異
文化の特色,人々の生活,都市の形成,他地域との交流などに着目して,日本列島の諸地域における歴史の差異について追究させる。
(ウ) 技術や情報の発達と教育の普及
人々の生活の変化に着目して,各時代における産業や生活の中の技術,交通,情報などの発達や教育の普及の影響について追究させる。
(エ) 世界の中の日本
我が国と外国との交流や相互理解などに着目して,外国人が日本をどう見ていたか,また日本人が世界をどう見ていたかについて追究させる。
(オ) 法制の変化と社会
様々な法制の特色や変化に着目して,各時代における法と人とのかかわりや法が社会に果たす役割について追究させる。
ウ 地域社会の歴史と文化
地域社会の歴史と文化について,その地域の自然条件や政治的,経済的な諸条件と関連付けて考察させる。
原始社会の人々の生活の変化,大和朝廷による統一,律令(りつりょう)に基づく古代国家の成立と推移及び文化の形成について,東アジア世界の動きとも関連付けて理解させる。
自然環境や大陸からの文化の影響による生活の変化に着目して,旧石器文化,縄文文化及び弥生(やよい)文化の時代の社会について理解させる。
イ 古代国家の形成と東アジア
我が国における国家の形成と律令体制の確立の過程,隋(ずい)・唐など東アジア世界との交流に着目して,古代国家の展開と古墳文化,天平(てんぴょう)文化などの文化の特色について理解させる。
ウ 古代国家の推移と社会の変化
東アジア世界との関係の変化,荘園(しょうえん)・公領の動きや武士の台頭など地方の動向に着目して,古代国家の推移と国風文化の展開及び中世社会の萌(ほう)芽について理解させる。
武家政権の成立から戦国大名の時代に至る武家社会の進展と文化の展開について,東アジア世界の動向と関連付けて理解させる。
武士の土地支配と公武関係,宋(そう)・元とのかかわりに着目して,武家政権の形成過程と鎌倉(かまくら)新仏教など文化に見られる新しい気運について理解させる。
イ 武家政権の展開と社会の変化
日本の諸地域の動向,日明(にちみん)貿易など東アジア世界との交流,庶民の台頭に着目して,産業経済の発展や下剋上(げこくじょう)など中世社会の多様な展開及び武家文化と公家文化のかかわりや庶民文化の萌芽など文化の動向について理解させる。
織豊政権及び幕藩体制の特色と推移,社会・文化の動向について,国際関係の変化とその影響にも触れながら理解させる。
ヨーロッパ世界との接触とその影響,鎖国などその後の対外関係,支配体制と身分制度や儒学の役割,文化の特色に着目して,織豊政権,幕藩体制の特質について理解させる。
イ 産業経済の発展と都市や村落の文化
幕藩体制の下での経済機構や交通・技術の発展,都市の繁栄に着目して,農業や商工業の発展及び町人文化の形成,農山漁村の生活文化について理解させる。
ウ 国際環境の変化と幕藩体制の動揺
欧米諸国のアジアへの進出,学問・思想及び産業の新たな展開に着目して,幕藩体制の動揺と近代化の基盤の形成について理解させる。
開国,幕府の滅亡と新政府の成立からの明治時代の近代日本の歩みについて,アジアにおける国際環境と関連付けて考察させる。
文明開化など欧米の文化・思想の影響や国際環境の変化に着目して,開国,明治維新から自由民権運動を経て立憲体制が成立するまでの我が国の近代化の推進について考察させる。
イ 国際関係の推移と立憲国家の展開
条約改正,日清(にっしん)・日露戦争とその前後のアジア及び欧米諸国との関係の推移に着目して,我が国の立憲国家としての展開について考察させる。
ウ 近代産業の発展と近代文化
国民生活の向上と社会問題の発生,学問の発展や教育制度の拡充に着目して,近代産業の発展と近代文化の特色について考察させる。
第一次世界大戦から第二次世界大戦に至る我が国の歴史について,世界情勢と国内の動きを関連付けて考察させる。
国際社会の中の日本の立場に着目して,第一次世界大戦前後の対外政策の推移や大戦が国内の経済・社会に及ぼした影響について考察させる。
イ 政党政治の発展と大衆文化の形成
都市の発達と大衆社会の成立に着目して,政党の役割と政治や社会運動の動向及び文化の特色について考察させる。
ウ 第二次世界大戦と日本
国際社会の動向,国内政治と経済の動揺,アジア近隣諸国との関係に着目して,対外政策の推移と戦時体制の強化など第二次世界大戦と日本とのかかわりについて考察させる。
第二次世界大戦の終結から今日に至る我が国の歴史について,世界の動向と関連付けて考察させるとともに,広い視野から日本の文化や課題について認識させる。
第二次世界大戦後の国際関係の推移に着目して,占領政策と諸改革,新憲法の成立,平和条約と独立など我が国の再出発及びその後の政治の推移と新しい外交関係の確立について考察させる。
イ 経済の発展と国民生活
生活意識や価値観の変化に着目して,戦後の経済復興,技術革新と高度成長,経済の国際化など日本経済の発展と国民生活の向上について考察させる。
ウ 現代の日本と世界
国際理解の推進と日本文化の特色,世界の中の日本の立場や我が国の国際貢献の拡大などに着目して,現代世界の動向と日本の課題及び役割について考察させる。
イ 1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし,細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
ウ 文化に関する指導に当たっては,各時代の文化とそれを生み出した時代的背景との関連,外来の文化などとの接触や交流による文化の変容や発展の過程などに着目させ,我が国の文化と伝統の特色とそれを形成した様々な要因を総合的に考察させるようにすること。また,生活文化については,時代の特色や地域社会の有様などと関連付けるとともに,民俗学などの成果に基づきその具体的な様相を把握させること。
(ア) 日本史学習に対する関心を高めるとともに,歴史の学習の基礎的な認識を深めることをねらいとして,作業的,体験的な学習を重視すること。
(イ) 内容の(1)のアの(ア)については,この科目の導入として実施することとし,(イ)については,適切な時期に実施すること。
イ イについては,歴史的思考力を深めさせるため,内容の(1)のイの(ア)から(オ)までの中から,生徒の実態等に応じ,二つ程度を選択して主題を設定し,適切な時期に実施すること。主題の設定に当たっては,特定の時代や地域に偏らないようにするものとし,例えば次のような観点が考えられること。
(ア) 我が国の文化と伝統の特色とかかわらせてとらえること。
(イ) 歴史上の人物の果たした役割や生き方などとかかわらせてとらえること。
(ウ) 政治的,経済的な条件や国際環境など時代的背景とかかわらせてとらえること。
(エ) 地域の特性や地理的条件などとかかわらせてとらえること。
ウ ウについては,次の事項に配慮すること。
(ア) 地域の範囲は,学校所在地を中心とする日常の生活圏,都道府県,それらを包含する地方など,学習指導上の観点に立って適宜設定すること。
(イ) 学習指導上の観点や地域の特性に応じて,まとまった時間を設定して実施したり,内容の(2)以下の学習に関連させて適宜実施したりするなど,効果的な方法をとること。
(ウ) 地域の史跡や諸資料の調査・見学などを取り入れるとともに遺物,伝承などの文化遺産を取り上げ,祖先が地域社会の向上と文化の創造や発展に努力したことを具体的に理解させ,それらを尊重する態度を育てるようにすること。
第5 地 理 A
1 目 標
現代世界の地理的な諸課題を地域性を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。
2 内 容
現代世界の地域性や動向を作業的,体験的な学習を通してとらえさせるとともに,地理的技能を身に付けさせる。
地球儀と世界地図との比較,略地図の描図などを通して,地球表面の大陸と海洋の形状や各国の位置関係,方位,時差及び日本の位置と領域などについてとらえさせる。
イ 結び付く現代世界
交通・通信の発達,人や物の国際間の移動などに関する資料の収集,分析などを通して,諸地域間の相対的な位置,距離関係が変化し,人々の地理的視野が拡大するとともに国家間の結合や国際貿易などが活発化,複雑化していることをとらえさせる。
ウ 多様さを増す人間行動と現代世界
世界各地の消費や余暇に関する行動,観光,ボランティア活動などに関する資料の収集,分析などを通して,世界の人々の多様化する行動を地理的環境と関連付けてとらえさせる。
エ 身近な地域の国際化の進展
生活圏,行動圏に見られる世界と結び付く諸事象の地域調査やその結果の地図化などを通して,身近な地域の国際化の進展や日本と世界との結び付きの様子をとらえさせる。
現代世界が取り組む諸課題のうち,異文化の理解及び地球的課題への取組に重点を置いて,それらを地域性を踏まえて追究し,現代世界の地理的認識を深めるとともに,地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
(ア) 諸地域の生活・文化と環境
世界諸地域の生活・文化を地理的環境や民族性と関連付けて追究し,生活・文化を地理的に考察する視点や方法を身に付けさせるとともに,異文化を理解し尊重することが必要であることについて考察させる。
(イ) 近隣諸国の生活・文化と日本
近隣諸国の生活・文化の特色を追究し,日本との共通性,異質性を地理的に考察する視点や方法を身に付けさせるとともに,近隣諸国の生活・文化を理解し尊重することが必要であることについて考察させる。
イ 地球的課題の地理的考察
(ア) 諸地域から見た地球的課題
環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題を地球的及び地域的視野から追究し,地球的課題は地域を超えた課題であるとともに地域によって現れ方が異なっていることを理解させ,それらの課題の解決に当たっては各国の取組とともに国際協力が必要であることについて考察させる。
(イ) 近隣諸国や日本が取り組む地球的課題と国際協力
近隣諸国や日本が取り組んでいる地球的課題を追究し,それらの現れ方は国によって異なっていることや,その解決には地域性を踏まえた国際協力が必要であることを理解させ,日本の役割などについて考察させる。
イ 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。
ウ 現代世界の動向や地域の変容に留意し,歴史的背景を踏まえて地域性を追究するようにすること
エ 地域性を追究する過程で政治,経済,生物,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは地域性を理解するのに必要な範囲にとどめること。
オ 各項目の中にできるだけ日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
(ア) ウ及びエについては,いずれかを選択して扱うこと。また,アからエまでの項目においては,地球儀や地図の活用,観察や調査,統計,画像,文献などの地理情報の収集,選択,処理,諸資料の地理情報化や地図化などの作業的,体験的な学習を取り入れるとともに,各項目を関連付けて地理的技能が身に付くよう工夫すること。
(イ) アについては,球面上の世界のとらえ方に慣れ親しませるよう工夫すること。その際,地図の投影法には深入りしないこと。略地図の描図については,世界地図の全体や部分が描けるようにすること。日本の位置と領域については,世界的視野から日本の位置をとらえるとともに,日本の領域をめぐる問題にも触れること。
(ウ) イについては,年次の異なる主題図や統計などを比較し関連付けてとらえさせるようにするとともに,地理情報の活用の方法が身に付くよう工夫すること。
(エ) ウについては,身近な情報を地理情報として活用する技能が身に付くよう工夫すること。
(オ) エについては,生徒の特性や学校所在地の事情等を考慮し,地域調査を実施し,その方法が身に付くよう工夫すること。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) アの(ア)及びイの(ア)については,世界を広く大観する学習と具体例を通して追究する学習とを組み合わせて扱うこと。その際,イの(ア)の環境,資源・エネルギー,人口,食料及び居住・都市問題はそれぞれ相互に関連し合っていることに留意して取扱いを工夫すること。
(イ) アの(イ)及びイの(イ)については,いずれかを選択して扱うこと。その際,アの(イ)については,東アジア,東南アジアの国々やロシアの中から二つ又は三つの国を選び,また,イの(イ)については,それらの国々及び日本が取り組んでいる地球的課題の中から二つ又は三つの課題を選んで扱うこと。
第6 地 理 B
1 目 標
現代世界の地理的事象を系統地理的,地誌的に考察し,現代世界の地理的認識を養うとともに,地理的な見方や考え方を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。
2 内 容
自然環境,資源,産業,都市・村落,生活文化に関する地域性について世界的視野から考察し,現代世界が多様な地域から構成されていること,それらの地域には類似性や空間的な規則性などがみられること,分布から幾つかのまとまりでとらえたり,幾つかの地域に区分したりできることを理解させるとともに,現代世界を系統地理的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
世界の地形,気候,植生などから系統地理的にとらえる視点や方法を学習するのに適切な事例を幾つか取り上げ,世界の自然環境を大観させる。
イ 資源,産業
世界の資源・エネルギーや農業,工業,流通などから系統地理的にとらえる視点や方法を学習するのに適切な事例を幾つか取り上げ,世界の資源,産業を大観させる。
ウ 都市・村落,生活文化
世界の都市・村落や消費,余暇に関する行動,人々の衣食住などから系統地理的にとらえる視点や方法を学習するのに適切な事例を幾つか取り上げ,世界の都市・村落,生活文化を大観させる。
地域の規模に応じて地域性を多面的・多角的に考察し,現代世界を構成する各地域は多様な特色をもっていることを理解させるとともに,世界諸地域を規模に応じて地誌的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
直接的に調査できる地域の特色を多面的・多角的に調査して,日常の生活圏,行動圏の地域性を地誌的にとらえさせるとともに,日本又は世界の中から同規模の地域を取り上げて地誌的に考察し,それらを比較し関連付けることを通して市町村規模の地域を地誌的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
イ 国家規模の地域
世界の国家を事例として幾つか取り上げ,それらの地域性を多面的・多角的に考察してそれぞれの国を地誌的にとらえさせるとともに,それらを比較し関連付けることを通して国家規模の地域を地誌的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
ウ 州・大陸規模の地域
世界の州・大陸を事例として幾つか取り上げ,それらを多面的・多角的に考察してそれぞれの州・大陸を地誌的にとらえさせるとともに,それらを比較し関連付けることを通して州・大陸規模の地域を地誌的にとらえる視点や方法を身に付けさせる。
現代の世界や日本が取り組む諸課題について,広い視野から地域性を踏まえて考察し,現代世界の地理的認識を深めさせるとともに,地理的に考察する意義や有用性に気付かせ,地理的な見方や考え方を身に付けさせる。
世界各地に生起している地球的課題に関する諸事象を地図化して追究し,その現状や動向をとらえさせるとともに,地図化することの有用性に気付かせ,それに関する技能を身に付けさせる。
イ 地域区分してとらえる現代世界の諸課題
世界各地に生起している地球的課題に関する諸事象を分布などに着目し地域区分して追究し,その空間的配置や類似性,傾向性をとらえさせるとともに,地域区分することの有用性に気付かせ,それに関する技能を身に付けさせる。
ウ 国家間の結び付きの現状と課題
現代世界の国家群や貿易,交通・通信などの現状と課題を地域の環境条件と関連付けて追究し,それらを世界的視野から地域性を踏まえてとらえさせるとともに,国家間の結び付きを地理的に考察することの意義に気付かせる。
エ 近隣諸国研究
近隣諸国の生活・文化を地域の環境条件と関連付けて追究し,日本との共通性や異質性及び異文化を理解し尊重することの必要性をとらえさせるとともに,近隣諸国との交流の在り方や日本の役割などについて考察させる。
オ 環境,エネルギー問題の地域性
環境,エネルギー問題を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらは地球的課題であるとともに各地域によって現れ方が異なっていることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が必要であることなどについて考察させる。
カ 人口,食料問題の地域性
人口,食料問題を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらは地球的課題であるとともに各地域によって現れ方が異なっていることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が必要であることなどについて考察させる。
キ 居住,都市問題の地域性
居住,都市問題を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらの問題の現れ方には地域による特殊性や地域を超えた類似性がみられることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が効果的であることなどについて考察させる。
ク 民族,領土問題の地域性
人種・民族と国家との関係,国境,領土問題の現状や動向を世界的視野から地域性を踏まえて追究し,それらの問題の現れ方には地域による特殊性や地域を超えた類似性がみられることをとらえさせ,その解決には地域性を踏まえた国際協力が効果的であることなどについて考察させる。
イ 地理的な見方や考え方及び地図の読図や作図,景観写真の読み取りなど地理的技能を身に付けることができるよう系統性に留意して計画的に指導すること。
ウ 現代世界の動向や地域の変容に留意し,歴史的背景を踏まえて地域性を追究するようにすること。
エ 地域性を追究する過程で政治,経済,生物,地学的な事象なども必要に応じて扱うことができるが,それらは地域性を理解するのに必要な範囲にとどめること。
オ 各項目の中にできるだけ日本を含めて扱うとともに,日本と比較し関連付けて考察させること。
イ 内容の(2)については,次の事項に留意すること。
(ア) アからウまでについては,地域の規模に応じて取り上げる視点や方法などが異なってくることに留意して取扱いを工夫すること。
(イ) アについては,学校所在地の地域のほかに日本又は世界から一つの地域を選んで扱うこと。
(ウ) イ及びウについては,それぞれ地誌的にとらえる視点や方法を学習するのに適した二つ又は三つの地域を事例として選び,地誌的に考察する学び方が身に付くよう工夫すること。その際,地域性を地誌的に考察するに当たっては,取り上げた地域における特徴的な事象とその動きに着目し,他の事象を有機的に関連付けるかたちで多面的・多角的に追究する地誌と,取り上げた地域の多様な事象を項目ごとに整理するかたちで多面的・多角的に追究する地誌とがあることに留意し,この両方の地誌を学習できるよう工夫すること。また,イにおける国家及びウにおける州・大陸に替えて,州・大陸を幾つかに区分した規模の地域を選ぶことができること。ただし,その場合,替えるのはイ又はウのいずれかにすること。
ウ 内容の(3)については,次の事項に留意すること。
(ア) アからエまでの中から二つ,オからクまでの中から二つの項目を選択して扱うこと。その際,内容の(1)及び(2)の学習成果を活用し,地理的事象を見いだし追究する過程を重視し,現代世界の地理的認識を深めさせるとともに,地理的考察の方法に慣れ親しませるよう工夫すること。
(イ) 各項目ともそれぞれの特質を考慮して二つ又は三つの地域又は課題を事例として選び,具体的に扱うこと。エについては,東アジア,東南アジアの国々やロシアの中から選ぶこと。クについては,領土問題の現状や動向を扱う際に日本の領土問題にも触れること。
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(2) 中学校社会科及び公民科との関連並びに地理歴史科に属する科目相互の関連に留意すること。
3 各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において必要がある場合には,この事項にかかわらず指導することができること。