第1章 総  則

1 幼稚部における教育の基本

 幼稚部における教育は,学校教育法第71条に規定する目的を達成するため,幼児期の特性を踏まえ,環境を通して行うものであることを基本とする。

 このため,教師は幼児との信頼関係を十分に築き,幼児と共によりよい教育環境を創造するように努めるものとする。これらを踏まえ,次に示す事項を重視して教育を行わなければならない。

 

 その際,幼児の主体的な活動が確保されるよう幼児一人一人の行動の理解と予想に基づき,計画的に環境を構成しなければならない。この場合において,教師は,幼児と人やものとのかかわりが重要であることを踏まえ,物的・空間的環境を構成しなければならない。また,教師は,幼児一人一人の活動の場面に応じて,様々な役割を果たし,その活動を豊かにしなければならない。

 

2 幼稚部における教育の目標

 幼児期における教育は,家庭との連携を図りながら,生涯にわたる人間形成の基礎を培うために大切なものであり,幼稚部では,幼児の障害の状態や発達の程度を考慮し,幼稚部における教育の基本に基づいて展開される学校生活を通して,生きる力の基礎を育成するよう次の目標の達成に努めなければならない。

    (1) 幼稚園教育要領第1章の2に掲げる幼稚園教育の目標

    (2) 障害に基づく種々の困難を改善・克服するために必要な態度や習慣などを育て,心身の調和的発達の基盤を培うようにすること。

 

3 教育課程の編成

 各学校においては,法令並びにこの盲学校,聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部教育要領の示すところに従い,創意工夫を生かし,幼児の障害の状態や発達の程度及び学校や地域の実態に即応した適切な教育課程を編成するものとする。

    (1) 幼稚部における生活の全体を通して第2章に示すねらいが総合的に達成されるよう,教育期間や幼児の生活経験や発達の過程などを考慮して具体的なねらいと内容を組織しなければならないこと。この場合においては,特に,自我が芽生え,他者の存在を意識し,自己を抑制しようとする気持ちが生まれる幼児期の発達の特性を踏まえ,入学から幼稚部修了に至るまでの長期的な視野をもって充実した生活が展開できるように配慮しなければならないこと。

    (2) 幼稚部の毎学年の教育週数は,39週を標準とし,幼児の障害の状態等を考慮して適切に定めること。

    (3) 幼稚部の1日の教育時間は,4時間を標準とすること。ただし,幼児の障害の状態や発達の程度,季節等に適切に配慮すること。