第2節 知的障害者を教育する養護学校
第1款 普通教育に関する各教科の目標及び内容
[国 語]
1 目 標
生活に必要な国語についての理解を深め,それらを適切に活用する能力と態度を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) 目的や場に応じて要点を落とさないように話す。
(3) いろいろな語句,文及び文章を正しく読み,内容を読み取る。
(4) 手紙や日記などを目的に応じて正しく書く。
○2段階
(2) 自分の立場や意図をはっきりさせながら,目的や場に応じて適切に話す。
(3) 文章の概要や要点などを適切に読み取る。
(4) 相手や目的に応じて文章を適切に書く。
[社 会]
1 目 標
社会の様子,働きや移り変わりについての関心と理解を一層深め,社会生活に必要な能力と態度を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) 社会や国にはいろいろなきまりがあることを知り,それらを適切に守る。
(3) 日常生活に関係の深い公共施設や公共物などの働きを理解し,それらを適切に利用する。
(4) 政治,経済,文化などの社会的事象に興味や関心をもち,生産,消費などの経済活動に関する基本的な事柄を理解する。
(5) 我が国のいろいろな地域の自然や生活の様子を理解し,社会の変化に関心をもつ。
(6) 外国の自然や人々の生活の様子,世界の出来事に関心をもつ。
○2段階
(2) 社会の慣習,生活に関係の深い法や制度を知り,必要に応じて生活に生かす。
(3) 公共施設や公共物などの働きについての理解を深め,それらを適切に利用する。
(4) 政治,経済,文化などの社会的事象に興味や関心をもち,これらに関する基本的な事柄を理解する。
(5) 地図や各種の資料などを活用し,我が国のいろいろな地域の様子や社会の変化を知る。
(6) 各種の資料を活用し,外国の自然や人々の生活の様子,世界の出来事について知る。
[数 学]
1 目 標
生活に必要な数量や図形などに関する理解を深め,それらを活用する能力と態度を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) 長さ・重さなどの単位の関係が分かり,測定する。
(3) 図形を正しく作図したり,表やグラフを工夫して作ったりして,生活の中で使う。
(4) 金銭や時計・暦を生活の中で使う。
○2段階
(2) 長さ・重さ・量などの測定方法を理解し,生活の中で活用する。
(3) 様々な図形,表やグラフを理解し,生活の中で工夫して使う。
(4) 金銭や時計・暦を生活の中で工夫して使う。
[理 科]
1 目 標
自然の仕組みや働きについての理解を深め,自然を愛する豊かな心情を培う。
2 内 容
○1段階
(2) 生物についての理解を深め,生命の大切なことを知る。
(3) 生活に関係のある物質の性質や機械・器具の構造及び働きについて理解し,適切に取り扱う。
(4) 自然の事物・現象についての初歩的な理解を図るとともに,自然と生活との関係を理解する。
○2段階
(2) 生物とそれを取り巻く自然環境についての理解を深め,生命を尊重する態度を育てる。
(3) 様々な物質の性質や機械・器具の種類,構造及び働きについて理解し,適切に取り扱う。
(4) 自然の事物・現象についての理解を図るとともに,自然と生活との関係について理解を深める。
[音 楽]
1 目 標
表現及び鑑賞の能力を伸ばし,音楽活動への意欲を高めるとともに,生活を明るく楽しいものにする態度と習慣を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) 音楽を聴いて曲の特徴などを感じ取り,創造的に身体の動きで表現したりする。
(3) 打楽器や旋律楽器に親しみ,その演奏の仕方に慣れ,気持ちを込めて合奏や独奏をする。
(4) 歌詞の内容を感じ取って,独唱,斉唱,簡単な合唱などをする。
○2段階
(2) 音楽を聴いて感じたイメージを創造的に身体表現する。
(3) 打楽器,旋律楽器の演奏の仕方に慣れ,楽器の特色や音色を生かしながら合奏や独奏をする。
(4) 独唱,斉唱,二部合唱,オペレッタなどによる表現に慣れ,楽しみながら歌う。
[美 術]
1 目 標
造形活動によって,表現及び鑑賞の能力を高め,豊かな情操を養う。
2 内 容
○1段階
(2) いろいろな材料の性質や用具などの扱い方を理解し,工夫して使う。
(3) 自然や優れた造形品を鑑賞し,それらを大切にする。
○2段階
(2) いろいろな材料の性質や用具などの扱い方を理解し,適切に使う。
(3) 自然や優れた造形品を鑑賞し,美しさを味わうとともに,地域の伝統工芸品に関心をもつ。
[保健体育]
1 目 標
適切な運動の経験や健康・安全についての理解を通して,心身の調和的発達を図り,明るく豊かな生活を営む態度と習慣を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) きまりやいろいろなスポーツのルールなどを守り,互いに協力し,安全に運動をする。
(3) 心身の発育・発達に関心をもち,生活に必要な健康・安全に関する事柄を理解する。
○2段階
(2) きまりやいろいろなスポーツのルールなどを守り,互いに協力し,進んで安全に運動をする。
(3) 心身の発育・発達や生活に必要な健康・安全に関する事柄を理解し,実際の生活に生かす。
[職 業]
1 目 標
勤労の意義について理解するとともに,職業生活に必要な能力を高め,実践的な態度を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) 道具や機械の操作に慣れるとともに,材料や製品の扱い方を身に付け,安全に作業や実習をする。
(3) 自分の分担に責任をもち,他の者と協力して作業や実習をする。
(4) 適切な進路選択のために,いろいろな職業や職業生活について知る。
(5) 産業現場等における実習を通して,実際的な職業生活を経験する。
(6) 職業生活に必要な健康管理や余暇利用の方法を知り,生活に生かす。
(7) 職場で使われる機械や情報機器等の簡単な操作をする。
○2段階
(2) いろいろな道具や機械の仕組み,操作などを理解し,材料や製品の管理を適切に行い,安全で正確に効率よく作業や実習をする。
(3) 作業の工程全体を理解し,自分の分担に責任をもち,他の者と協力して作業や実習をする。
(4) 職業生活に必要な実際的な知識を深める。
(5) 産業現場等における実習を通して,職業生活に必要な事柄を理解する。
(6) 職業生活に必要な健康管理や余暇利用の方法についての理解を深め,生活に積極的に生かす。
(7) 職場で使われる機械や情報機器等の操作をする。
[家 庭]
1 目 標
明るく豊かな家庭生活を営む上に必要な能力を高め,実践的な態度を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) 計画的な消費や余暇利用の方法を知り,生活に生かす。
(3) 家庭生活で使用する道具や器具などの正しい使い方が分かり,安全に実習をする。
(4) 被服,食物,住居などに関する実習を通して,実際的な知識と技能を習得する。
(5) 保育や家庭看護などに関心をもち,それらに協力する。
○2段階
(2) 生活の設計のために,計画的な消費や余暇利用の方法について理解を深め,実際の生活に生かす。
(3) 家庭生活で使用する道具や器具を効率的に使用し,安全に実習をする。
(4) 被服,食物,住居などに関する実習を通して,実際的な知識と技能を習得し,生活に生かす。
(5) 保育や家庭看護などに関する基礎的な知識と技能を習得し,生活に生かす。
[外国語]
1 目 標
外国語でコミュニケーションを図る基礎的な能力や態度を育てるとともに,外国語や外国への関心を深める。
2 内 容
英 語
○1段階
(2) 簡単な語,句,文を読んだり書いたりすることに親しむ。
(3) 日常生活の中で見聞きする語や句の意味を知る。
○2段階
(2) 簡単な文を書いたり読んだりする。
(3) 簡単な語や句の意味を知る。
その他の外国語
その他の外国語の内容については,英語に準ずるものとする。
[情 報]
1 目 標
コンピュータなどの操作の習得を図り,生活に必要な情報を適切に活用する基礎的な能力や態度を育てる。
2 内 容
○1段階
(2) コンピュータなどの基本操作に関心をもち,実習をする。
(3) 各種のソフトウェアに関心をもち,実習をする。
(4) コンピュータなどを利用した情報の収集,処理,発信に関心をもつ。
○2段階
(2) コンピュータなどの基本操作が分かり,実習をする。
(3) 各種のソフトウェアの操作に慣れ,生活の中で活用する。
(4) コンピュータなどを利用した情報の収集,処理,発信の方法が分かり,実際に活用する。
(5) 情報の取扱いに関するきまりやマナーについて理解し,実践する。
第2款 専門教育に関する各教科の目標及び内容
[家 政]
1 目 標
家庭に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,生活に関連する職業の意義と役割の理解を深めるとともに,生活に関連する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内 容
(2) 生活に関連する職業において必要な基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
(3) 生活に関連する職業で使用する各種の器具や機械,コンピュータなどの操作に必要な知識と技術を習得し,安全に実習をする。
(4) 次に示すような家庭に関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。
・クリーニング
・手芸
・調理,製菓,食品
・住居の管理,インテリア
・保育,家庭看護,介護
[農 業]
1 目 標
農業に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,農業の意義と役割の理解を深めるとともに,農業に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内 容
(2) 農業に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
(3) 農機具や簡単な機械,コンピュータなどの操作に必要な知識と技術を習得し,安全に実習をする。
(4) 次に示すような農業に関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。
・草花の栽培,花壇の管理
・家畜の飼育
・食品加工
[工 業]
1 目 標
工業に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,工業の意義と役割の理解を深めるとともに,工業に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内 容
(2) 工業に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
(3) 各種の工具や機械,コンピュータなどの操作に必要な知識と技術を習得し,安全に実習をする。
(4) 次に示すような工業に関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。
・木材を主材料とする製品の製造
・金属を主材料とする製品の製造
・石材を主材料とする製品の製造
・布を主材料とする製品の製造
・印刷
[流通・サービス]
1 目 標
流通やサービスに関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,それらの意義と役割の理解を深めるとともに,流通やサービスに関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。
2 内 容
(2) 流通やサービスに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得し,適切に接客,応対する態度を身に付ける。
(3) コンピュータなどの事務機器,機械や道具の操作に必要な知識と技術を習得し,安全に実習をする。
(4) 次に示すような流通やサービスに関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。
・販売
・清掃
・事務
第3款 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,生徒の知的発達の遅滞の状態や経験等を考慮しながら,実際に指導する内容を選定し,配列して,効果的な指導を行うことができるよう配慮するものとする。
2 各教科,道徳,特別活動及び自立活動の全部又は一部を合わせて指導計画を作成するに当たっては, 個々の生徒の実態に即して,生活に結び付いた学習活動が展開できるよう配慮するものとする。
3 「職業」及び「家庭」の指導計画の作成に当たっては,職業生活,家庭生活に必要な実際的な知識,技能及び態度の形成に重点を置いた指導が行われるよう配慮するものとする。
4 「家政」,「農業」,「工業」及び「流通・サービス」の内容の取扱いについては,それぞれの教科の内容の(4)は,地域や学校の実態などを考慮して適切な内容を選択し,重点的に取り扱うものとする。
5 生徒の実態に即して学習環境を整えるなど,安全に留意するものとする。
6 家庭等との連携を図り,生徒が学習の成果を実際の生活に生かすことができるよう配慮するものとする。