この章に示すねらいは幼稚部修了までに育つことが期待される心情、意欲、態度などであり、内容はねらいを達成するために指導する事項である。これらを幼児の発達の側面から、心身の健康に関する領域「健康」、人とのかかわりに関する領域「人間関係」、身近な環境とのかかわりに関する領域「環境」、言葉の獲得に関する領域「言葉」及び感性と表現に関する領域「表現」として、また、幼児の心身の障害に対応する側面から、その状態の改善又は克服に関する領域「養護・訓練」としてまとめ、示したものである。
各領域に示すねらいは幼稚部における生活の全体を通じ幼児が様々な体験を積み重ねる中で相互に関連をもちながら次第に達成に向かうものであること、内容は具体的な活動を通して総合的に指導されるものであることに留意しなければならない。ただし、養護・訓練については、個々の幼児の実態に応じて、他の各領域に示す内容との緊密な関連を図りながら、養護・訓練の内容に重点を置いた指導を行うことについて配慮する必要がある。なお、特に必要な場合には、各領域に示すねらいの趣旨に基づいて適切な具体的な内容を工夫しそれを加えても差し支えないが、その場合にはそれが幼稚部における教育の基本を逸脱しないよう慎重に配慮する必要がある。
ねらい、内容及び留意事項については、幼稚園教育要領第2章に示すものに準ずるものとするが、それらの取扱いに当たっては、幼児の心身の障害の状態等に十分配慮するものとする。
養護・訓練
この領域は、幼児の心身の障害の状態を改善し、又は克服するために必要な態度や習慣などを育て、心身の調和的発達の基盤を培う観点から示したものである。
1 ねらい
(2) 身近な人や物とかかわりをもち、意欲的に行動しようとする。
(3) 感覚やその補助的手段を活用して、環境を認知しようとする。
(4) 喜んで体を動かすとともに、日常生活の基本動作を身に付けようとする。
(5) 言葉に対して興味や関心をもち、互いの意思を伝え合おうとする。
(2) 喜んで身の回りを清潔にしたり、環境の変化に応じて衣服を調節したりする。
(3) 疾病や損傷の状態を知り、気を付けて行動する。
(4) 身近な人たちに関心をもち、親しむ。
(5) 身近な人や物などとかかわりをもち、安定した情緒の下で行動する。
(6) 視覚、聴覚、触感などを活用して周囲の状況を知る。
(7) 感覚の補助具などを喜んで活用する。
(8) 位置、方向、形などを手がかりとして、環境の状態を知り働きかける。
(9) 姿勢と運動・動作の基礎を身に付けるために必要な活動を進んで行う。
(10) 補助用具などを用いて姿勢を保持したり、運動したりする。
(11) 日常生活の基本動作を喜んで行う。
(12) 体を移動する力を身に付け、生活空間を広げる。
(13) 手や指の使い方を知り、喜んで活用する。
(14) 表情や身振りなどの様々な方法を用いて意欲的に意思を伝え合う。
(15) 言葉を獲得し、これを用いて意思を伝え合う。
(16) 事物・事象と対応付けられた言葉を増やし、これを活用する。
(1) 個々の幼児の心身の障害の状態、発達や経験の程度等に応じて、必要とするねらい及び内容を選定し、それらを相互に関連付けるなどして、具体的なねらい及び内容を設定し、自然な形で活動が展開できるようにすること。
(2) 幼児が興味をもって主体的に取り組み、成就感を味わうことができるような具体的な内容を取り上げること。
(3) 個々の幼児の発達の進んでいる側面を更に促進きせることによって、遅れている側面を補うことができるような具体的な内容も取り上げること。