第2節 教育課程の編成

第1款 一般方針

1 各学校においては、法令及びこの章以下に示すところに従い、生徒の人間として調和のとれた育成を目指し、その心身の障害の状態、発達段階及び特性等、地域や学校の実態並びに学科の特色を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする。学校の教育活動を進めるに当たっては、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の指導を徹底し、個性を生かす教育の充実に努めなければならない。

2 学校における道徳教育は、生徒が自己探求と自己実現に努め国家・社会の一員としての自覚に基づき行為しうる発達段階にあることを考慮し人間としての在り方生き方に関する教育を学校の教育活動全体を通じて行うことにより、その充実を図るものとし、盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校においては、各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)、特別活動及び養護・訓練において、また、精神薄弱者を教育する養護学校においては、道徳の時間はもとより、各教科、特別活動及び養護・訓練において、それぞれの特質に応じて適切な指導を行わなければならない。道徳教育の目標は、教育基本法及び学校数育法に定められた教育の根本精神に基づき、人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献できる主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うこととする。道徳教育を進めるに当たっては、特に、道徳的実践力を高めるとともに、自律の精神や社会連帯の精神及び義務を果たし責任を重んずる態度や人権を尊重し差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が適切に行われるよう配慮しなければならない。

3 学校における体育に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に、体力の向上及び健康の保持増進に関する指導については、「体育」及び「保健」(精神薄弱者を教育する養護学校においては「保健体育」)の時間はもとより、特別活動、養護・訓練などにおいても十分行うよう努めることとし、それらの指導を通して、日常生活における適切な体育的活動の実践が促されるとともに、生涯を通じて健康で安全な生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない。

4 学校における養護・訓練に関する指導は、心身の障害に基づく種々の困難を克服させ、社会によりよく適応していく資質を養うため、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に、養護・訓練の時間における指導は、各教科・科目及び特別活動(精神薄弱者を教育する養護学校においては各教科、道徳及び特別活動)と密接な関連を保ち、個々の生徒の心身の障害の状態や発達段階に即して行うよう配慮しなければならない。

5 学校においては、生徒の心身の障害の状態、地域や学校の実態等に応じて、勤労や奉仕にかかわる体験的な学習の指導を適切に行うようにし、働くことや創造することの喜びを体得させ、望ましい勤労観、職業観の育成や奉仕の精神の涵(かん)養に資するものとする。

第2款 盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校における各教科・科目等の履修等

第1 各教科・科目の標準単位数等

1 学校においては、次の表に示す標準単位数に基づき、教育課程の編成に必要な各教科・科目の単位数を適切に定めるものとする。ただし、生徒の実態等を考慮し、特に必要がある場合には、標準単位数の標準の限度を超えて単位数を増加して配当することができる。単位については、1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算するものとする(以下この款の第1において同じ。)。
 
教科 科目 標準単位数
国語 国語Ⅰ

国語Ⅱ

国語表現

現代文

現代語

古典Ⅰ

古典Ⅱ

古典購読

地理歴史 世界史A

世界史B

日本史A

日本史B

地理A

地理B

公民 現代社会

倫理

政治・経済

数学 数学Ⅰ

数学Ⅱ

数学Ⅲ

数学A

数学B

数学C

理科 総合理科

物理ⅠA

物理ⅠB

物理Ⅱ

化学ⅠA

化学ⅠB

化学Ⅱ

生物ⅠA

生物ⅠB

生物Ⅱ

地学ⅠA

地学ⅠB

地学Ⅱ

保健体育 体育

保健

7〜9

芸術 音楽Ⅰ

音楽Ⅱ

音楽Ⅲ

美術Ⅰ

美術Ⅱ

美術Ⅲ

工芸Ⅰ

工芸Ⅱ

工芸Ⅲ

書道Ⅰ

書道Ⅱ

書道Ⅲ

外国語 英語Ⅰ

英語Ⅱ

オーラル・コミュニケーションA

オーラル・コミュニケーションB

オーラル・コミュニケーションC

リーデイング

ライテイング

家庭 家庭一般

生活技術

生活一般

 

  1. においては、次の表に掲げる各教科・科目について、設置者の定める標準単位数に基づき、教育課程の編成に必要な各教科・科目の単位数を適切に定めるものとする。
  教科 科目
盲学校 家庭 家庭情報処理、課題研究、被服、食物、保育、家庭経営、住居、家庭看護・福祉、消費経済、被服製作、被服材料、被服管理、服飾デザイン、手芸、調理、栄養、食品、食品衛生、公衆衛生、保育原理・技術、小児保健、児童心理、児童福祉
音楽 音楽理論、音楽史、演奏法、ソルフェージュ、声楽、楽器、作曲
調律 調律理論、楽器構造、調律実習、整調実習、楽器修理、課題研究
保健理療 保健理療概論、衛生・公衆衛生、解剖・生理、病理、臨床医学、リハビリテーション医学、東洋医学一般、保健理療理論、保健理療臨床論、保健理療基礎学習、保健理療臨床学習、保健理療情報処理、課題研究
聾(ろう)学校 家庭 家庭情報処理、課題研究、被服、食物、保育、家庭経営、住居、家庭看護・福祉、消費経済、被服製作、被服材料、被服管理、服飾デザイン、手芸、調理、栄養、食品、食品衛生、公衆衛生、保育原理・技術、小児保健、児童心理、児童福祉
農業 農業基礎、農業情報処理、総合実習、課題研究、作物、栽培環境、農業経営、野菜、果樹、草花、畜産、飼料、農業機械、養蚕、育林、林業土木、林業経営、林産加工、測量、農業土木設計、農業土木施工、農業水利、農地開発、食品製造、食品化学、応用微生物、食品製造機器、生物工学基礎、造園計画、造園緑化材料、造園施工・管理、農業経済、農業会計、食品流通、食品加工、生活園芸
工業 工業基礎、実習、製図、工業数理、情報技術基礎、課題研究、機械工作、機械設計、原動機、計測・制御、電子機械、電子機械応用、自動車工学、自動車整備、造船工学、電気基礎、電気機器、電力技術、電子技術、電力応用、電子回路、電子計測制御、通信技術、電子情報技術、プログラミング技術、ハードウエア技術、ソフトウエア技術、コンピュータ応用、工業計測技術、建築構造、建築施工、建築構造設計、建築計画、空気調和設備、衛生・防災設備、設備施工、測量、土木施工、土木設計、水理、土質力学、土木計画、地質力学、工業化学、化学工業、化学工学、化学システム技術、化学工業安全、環境工学、環境保全、材料製造技術、工業材料、材料加工、セラミック化学、セラミック材料、セラミック技術、セラミック工業、繊維製品、繊維技術、染色デザイン、染色技術、インテリア計画、インテリア装備、インテリアエレメント生産、木材工芸、デザイン史、デザイン技術、デザイン材料、電子基礎、工業管理技術、工業英語、材料技術基礎
商業 流通経済、簿記、情報処理、計算事務、総合実践、課題研究、商品、マーケティング、商業デザイン、商業経済、経営、商業法規、英語実務、国際経済、工業簿記、会計、税務会計、文書処理、プログラミング、情報管理、経営情報
印刷 印刷概論、写真製版、印刷機械・材料、図案・製図、写真化学・光学、文書処理・管理、印刷情報技術基礎、画像技術、印刷総合実習、課題研究
理容・美容 衛生法規、生理解剖、消毒法、伝染病、公衆衛生、皮膚科学、理美容物理・化学、理美容社会、理容理論・実習、美容理論・実習、理美容情報処理、課題研究
クリーニング クリーニング法規、公衆衛生、クリーニング理論、繊維、クリーニング機器・装置、クリーニング実習、課題研究
美術 美術概論、美術史、素描、構成、絵画、版画、彫刻、ビジュアルデザイン、クラフトデザイン、図法・製図、映像、コンピュータ造形、環境造形
肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校 家庭 家庭情報処理、課題研究、被服、食物、保育、家庭経営、住居、家庭看護・福祉、消費経済、被服製作、手芸、調理、栄養、食品
農業 農業基礎、農業情報処理、総合実習、課題研究、作物、野菜、果樹、草花、食品加工、生活園芸
工業 工業基礎、実習、製図、工業数理、情報技術基礎、課題研究、機械工作、電気基礎、プログラミング技術、ハードウエア技術、材料加工、セラミック化学、セラミック材料、セラミック技術、セラミック工業、木材工芸、デザイン技術
商業 流通経済、簿記、情報処理、計算事務、総合実践、課題研究、商品、商業デザイン、商業経済、経営、商業法規、工業簿記、会計、文書処理、プログラミング

 

 3 学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、必要がある場合には、上記1及び2の表に掲げる教科について・これらに属する科目以外の科目以外「その他の科目」という。)を設けることができる。この場合において、その科目の名称、目標、内容、単位数等については、その科目の属する教科の目標に基づ機き、設置者の定めるところによるものとする。

 4 学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特に必要がある場合には、例えば、情報、職業、技術などに関する、上記1及び2の表に掲げる教科以外の教科(以下「その他特に必要な教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において、その他特に必要な教科及び当該教科に関する科目の名称、目標、内容、単位数等については、設置者の定めるところによるものとする。ただし、設置者は、その他特に必要な教科を設けるに当たっては、高等部における教育の目標及びその水準の維持等に十分配慮しなければならない。

第2 各教科・科目の履修

第3 各教科・科目、特別活動及び養護・訓練の授業時数等
第3款 精神薄弱者を教育する養護学校における各教科等の履修等

第1 各教科等の履修

第2 授業時数等
第4款 教育課程編成に当たって配慮すべさ事項

1 生徒の心身の障客の状態及び特性、進路等に応じて適切な教育を行うため、多様な各教科・科目(精神薄弱者を教育する養護学校においては、各教科。以下この款において同じ。)を設け生徒が自由に選択履修することのできるょぅ配慮するものとする。また、教育課程の類型を設け、そのいずれかの類型を選択して履修させることも差し支えないが、この場合、その類型において履修させることになっている各教科・科目以外の各教科・科目を履修させたり、生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目をも設けたりするものとする。

2 盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校の普通科においては、地域や学校の実態、生徒の特性、進路等を考慮し、必要に応じて、適切な職業に関する各教科・科目の履修の機会の確保について配慮するものとする。

3 盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校の職業教育を主とする学科においては、次の事項に配慮するものとする。

4 精神薄弱者を教育する養護学校の職業教育を主とする学科においては、職業に関する各教科について、実験・実習に配当する授業時数を十分確保するようにするものとする。なお、職業教育を主とする学科のうち標準的なものは別表に掲げるとおりであるが、設置者においては、必要がある場合には、地域や学校の実態等に応じて、例えば、商業科、水産科などの学科を設置することができる。

第5款 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項

1 学校においては、各教科・科目、特別活動及び養護・訓練(精神薄弱者を教育する養護学校においては各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練)について相互の関連を図り、発展的、系統的な指導を行うため、学校の創意工夫を生かし、全体として調和のとれた具体的な指導計画を作成するものとする。

2 学校においては、第2章以下に示していない事項を加えて指導することも差し支えないが、その場合には、第2章以下に示す教科、科目、特別活動及び養護・訓練(精神薄弱者を教育する養護学校においては各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練)の目標や内容の趣旨を逸脱したり、生徒の負担過重になったりすることのないようにするものとする。

3 第2章に示す各教科・科目(精神薄弱者を教育する養護学校においては各教科。以下この款において同じ。)の内容に掲げる事項の順序は、特に示す場合を除き、指導の順序を示すものではないので、各事項のまとめ方、順序及び重点の置き方に適切な工夫を加えて、効果的な指導ができるようにするものとする。この場合、盲学校、聾(ろう)学及び肢体不自由者叉は病弱者を教育する養護学校においては、あらかじめ計画して、各教科・科目の内容を学期の区分に応じて1単位ごとに分割して指導することもできる。

4 学校においては、特に必要がある場合には、第2章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で、その科目(精神薄弱者を教育する養護学校においては教科)の内容に関する事項について、基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。

5 第2章に示す職業に関する各教科・科目については、次の事項に配慮するものとする。

6 地域や学校の実態等に応じ、地域社会との連携を探めるとともに、学校相互の連携や交流を図ることにも努めること。特に、生徒の経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てるため、学校の教育活動全体を通じて、高等学校の生徒及び地域社会の人々と活動を共にする機会を積極的に設けるようにするものとする。

7 以上のほか、次の事項について配慮するものとする。

第6款 単位の修得及び卒業の認定

第1 盲学校、聾(ろう)学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校

第2 精神薄弱者を教育する養護学校

 学校においては、卒業までに履修させる各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練のそれぞれの授業時数を定めるものとする。校長は、各教科、道徳、特別活動及げ養護・訓練を履修した者で、その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて、高等部の全課程の修了を認定するものとする。

第7款 重複障害者等に関する特例

1 当該学校に就学することとなった心身の障害以外に他の心身の障害を併せ有する生徒(以下「重複障害者」という。)については、次に示すところによることができる。

2 心身の障害の状態により学習が困難な生徒について特に必要がある場合には、各教科・科目の目標及び内容の一部を欠き、又は各教科・科目の目標及び内容の−部を当該各教科・科目に相当する中学部の各教科の目標及び内容に関する事項の一部によって替えることができる。

3 肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校において、療養中の生徒について各教科・科目の一部を通信により教育を行う場合の1単位当たりの添削指導及び面接指導の回数等については、生徒の実態に応じて適切に定めるものとする。

第8款 専 攻 科

1 盲学校又は聾(ろう)学校の専攻科における学科のうち標準的なもの並びにそれらに係る教科及び科目は、次の表に掲げるとおりであるが、学校においては、必要がある場合には同表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目を設けることができる。この場合において、その科目の名称、目標、内容、単位数等については、その科目の属する教科の目標に基づき、設置者の定めるところによるものとする。
 
  盲学校 聾(ろう)学校
学科 保健理療科 理療科 理学療法科 歯科技工科
教科 保健理療 理療 理学療法 歯科技工
科目 保健理療概論、衛生・公衆衛生、解剖・生理、病理、臨床医学、リハビリテーション医学、東洋医学一般、保健理療理論、保健理療臨床論、保健理療基礎実習、保健理療臨床実習、保健理療情報処理、課題研究 理療概論、衛生学、公衆衛生学、解剖学、生理学、病理学概論、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学、東洋医学概論、経絡経穴概論、理療理論、理療臨床論、理療基礎学習、理療臨床実習、理療情報処理、課題研究 解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション概論、リハビリテーション医学、一般臨床医学、内科学、整形外科学、神経内科学、精神医学、小児科学、人間発達学、理学療法概論、臨床運動学、理学療法評価法、運動療法、物理療法、日常生活活動、 生活環境論、義肢装具学、理学療法技術論、臨床実習、理学療法情報処理、課題研究 歯科技工関係法親、歯科技工概論、歯牙解剖、有床義歯技工学、歯冠修復技工学、矯正技工学、小児歯科技工学、歯科鋳造学、歯科理工学、歯科技工実習、歯科技工情報処理、課題研究

 

2 設置者においては、上記1の表に掲げる学科並びにそれに係る教科及び科目のほか、必要がある場合には、その他の学科並びにそれに係る教科及び科目を設けることができるものとする。この場合、その学科の名称並びに教科及び科目の名称、目標、内容等については、設置者の定めるところによるものとする。

3 盲学校及び聾(ろう)学校の専攻科における各教科・科目の単位数又は授業時数については、設置者の定めるところによるものとする。

4 盲学校及び聾(ろう学校の専攻科における教育課程の編成については、上記1から3までに定めるところによるはか、設置者が適切に定めるものとする。