第1 目 標
広い視野に立って、我が国の国土と歴史に対する理解を深め、公民としての基礎的教養を培い、国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。
第2 各分野の目標及び内容
〔地理的分野〕
1 目 標
(2) 日本や世界の各地域における人々の生活には地方的特殊性と一般的共通性のあることに気付かせ、それらを成り立たせている地理的諸条件について考えさせるとともに、人々の生活の地域的特色を理解するための基礎を培う。
(3) 日本や世界には大小様々な地域的なまとまりがあり、それらの地域は相互に関係し合っていることを理解させるとともに、国際社会における日本の立場や役割を考えさせる。
(4) 自然及び社会的条件と人々の生活の関係は人間の活動によって絶えず変化し、それに伴って地域も変容していることに気付かせ、環境や資源と人々の生活とのかかわりについて考えさせる。
(5) 地域調査など具体的な活動を通して地理的事象に対する関心を高め、様々な資料を適切に選択、活用して地理的事象を多面的に考察し公正に判断する能力と態度を育てる。
世界を構成する国々や人々の生活を大観させる学習を通して、世界は様々な地域から成り立っていることを理解させる。
地球儀や世界地図などを活用し、世界の国々の名称と位置、形状、面積などの学習を通して、世界が様々な国々から構成されていることを理解させる。
(イ) 人々の生活と環境
世界の諸地域における人々の生活とその変化の様子を自然及び社会的条件と関連付けて大観させ、世界の人々の生活や環境の多様性に着目させる。
世界の諸地域の中から幾つかの地域や国を取り上げ、それぞれの地域や国の人々の生活の特色が的確に把握できる地理的事象を中心にしてそれぞれの地域や国の特色を理解させ、世界が様々な地域や国から成り立っていることに着目させる。
世界的な視野から我が国の国土の成り立ちや自然、人々の生活の特色を理解させる。
生活舞台としての地球及びその自然の様子を大観させ、世界の中における我が国の国土の位置、領域の特色と変化及び自然の特色を理解させる。
(イ) 日本の人々の生活
現代の日本の人々の生活の様式や行動などに関する地域的特色を、世界の人々の生活と比較しながら理解させる。
身近な地域における諸事象を取り上げ、観察や調査などの活動を通して地理的な見方や考え方の基礎を身に付けさせるとともに、生徒が生活している土地に対する理解と関心を深めさせる。その際、縮尺の大きな地図や統計その他の資料に親しませ、それらの活用の仕方について考えさせる。
ウ 日本の諸地域
日本の諸地域における人々の生活及び地域の特色と動向を、以下の項目を基にして世界や日本の他地域との比較や関連において理解させる。
地域の自然的条件と人々の生活を関連付けて取り上げ、その地域的特色を理解させるとともに、自然と人々の生活の関係が人間の活動によって変化していることに着目させる。
(イ) 産業と地域
主な資源の分布と開発状況や主な産業などを、地域の形成と関連付けて取り上げ、地域の産業を成り立たせている地理的諸条件やそれらが地域において果たしている役割を理解させ、資源の開発や産業の動向が地域の人々の生活と深くかかわっていることに着目させる。
(ウ) 居住と生活
人口の分布や動態、村落・都市の立地や機能、地域の文化や伝統などに関する事象を取り上げ、地域の人々の生活の特色を理解させるとともに、都市化や国際化の進展が人々の生活に及ぼす影響に着目させる。
(エ) 地域の結び付きと変化
物資や人口の移動現象などを取り上げ、地域は広く日本や世界の他地域と結び付きながら成り立ち、日本や世界の一部としての役割を果たしていることを理解させるとともに、各地域の特色は他地域とのかかわりにおいて変化していることに着目させる.
日本や世界の諸地域の学習成果を生かして広い視野から日本と世界との結び付きを見直し、現代世界を構成する一つの地域としての日本の特色や役割などについて考えさせる。
交通、貿易、情報や文化の交流、人々の移動、海外援助など日本と世界の結び付きに関する事項のうち幾つかを日本全体及び世界の諸地域の地域的特色と関連付けて取り上げ、国際社会の中で果たしている日本の役割や国際協力の重要性などについて考えさせる。
イ 日本と国際社会
世界各国のうちから日本と結び付きのある国を幾つかその地域的特色と関連付けて取り上げ、それらの国と日本との相互依存関係や競合関係などに着目させ、世界における日本の地域的特色や役割などについて考えさせる。
(2) 内容の取扱いについては、次の事項に配慮するものとする。
イ 事例として取り上げる地域又は国については、各項目間の調整を図り、一部の地域に偏ることのないようにすること。
ウ 内容の(1)及び(2)のアについては、生徒の発達段階を考慮し、教材の精選に留意して、抽象的で高度な内容に深入りしないようにすること。また、内容の(2)のイ、ウ及び(3)については、生徒の発達段階を考慮し、日本や世界の様々な地域の相互関係や動向にも触れながら多面的に扱うようにすること。
イ アの(イ)については、簡単な分布図の作成や読み取りなどを通して世界を大観させることができるよう工夫するとともに、各地域を、それぞれの地域固有のものとしてとらえさせるようにし、自然の影響だけで説明することのないよう留意すること。
ウ 内容のイについては、世界の州や大陸を幾つかに区分して設定したまとまりのある地域又は国のうちから三つ程度を選んで取り上げること。この場合、取り上げる地域や国については、それらの地域や国を学習することによって現代の世界を構成する諸地域や諸国の特色が明確になり、かつ、我が国の国土の認識を深める上で効果的であるという観点から選ぶこと。
ウ イについては、指導の観点や学校所在地の事情によって学習の効果を高めることができる場合には、内容の(2)のウの中の学校所在地を含む地域の学習と結び付けて扱ってもよいこと。また、歴史的分野の指導との関連を考慮するとともに、地域の文化や民俗などに関する事象も積極的に取り上げて、自然や産業にかかわる事象だけで地域の特色をとらえさせることのないようにすること。
エ ウの(ア)〜(エ)に示した項目については、学習する地域によって各項目に軽重をつけて扱うよう努めるとともに、各項目の趣旨に留意して、主な地理的事象を選んで取り上げ、複雑な指導内容には深入りしないこと。なお、「地域の特色」については、等質地域と機能地域の両面から考察させるよう配慮すること。
オ ウにおける日本の地域区分については、指導の観点、学校所在地の事情などを考慮して適切に決めること。なお、内容のウで示した項目を基に類似した地域ごとにまとめて指導内容を構成して扱うこともできるものとするが、その際には、各項目について具体例としての地域を適切に選んで取り上げ、それらの地域の特色を多面的に考察させるように工夫するなど地誌的な取扱いに十分留意すること。
イ アについては、網羅的な学習にならないよう二つ程度の事項を選んで取り上げるとともに、生徒の生活と関連付けて扱うなど抽象的な学習にならないよう工夫すること。
ウ イについては、内容のアの学習を踏まえて、二つ程度の国を選んで取り上げ、国家間の相互関係を多面的に指導するよう工夫すること。
イ アの(イ)については、内容の(1)の学習成果を生かすとともに、海外生活や海外旅行の体験者などに協力を得るなどして、効果的な学習ができるよう工夫すること。
1 目 標
(2) 歴史における各時代の特色と移り変わりを、身近な地域の歴史や地理的条件にも関心をもたせながら理解させるとともに、各時代が今日の社会生活に及ぼしている影響を考えさせる。
(3) 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を、その時代や地域との関連において理解させ、尊重する態度を育てる。
(4) 歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ、我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに、他民族の文化、生活などに関心をもたせ、国際協調の精神を養う。
(5) 具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味や関心を高め、様々な資料を活用して歴史的事象を多角的に考察し公正に判断する能力と態度を育てる。
人類が、それぞれの地域の自然環境に対応しながら特色ある文明を築き上げていったこと、また、日本列島に住む人々の生活が狩猟・採集から農耕へと発展していったことを理解させる。
人類が出現し、世界の古代文明が成立したことを扱い、特に、生活技術の発達、文字の使用などに着目させる。
イ 日本人の生活の始まり
縄文(じょうもん)文化と弥生(やよい)文化を扱い、当時の人々の生活の有様に着目させる。
国の統一が進み、大陸の文物・制度を積極的に取り入れて古代国家が形成されたことを、当時の東アジアの動きと関連させながら理解させるとともに、仏教文化が栄えたことや当時の文化に見られる国際的な要素に着目させる。また、奈良(なら)・平安の都を中心とした貴族の政治人々の生活、武士の起こりを理解させるとともに、文化が次第に国風化したことに着目させる。
古墳文化と大和朝廷による国の統一を扱い、国家の形成過程を理解させるとともに、当時の人々の信仰、中国や朝鮮の情勢、大陸から移住してきた人々が日本の社会の発展に果たした役割に着目させる。
イ 律令国家と遣唐使
聖徳(しょうとく)太子の政治、大化の改新、律令(りつりょう)の制定を扱い、律令国家が形成されていった様子を理解させる。また、奈良の都や人々の生活の様子、この時代の文化の特色を理解させるとともに、遣唐使の果たした役割に着目させる。
ウ 貴族の政治と文化の国風化
平安京への遷都、摂関政治、武士の起こりを扱い、貴族の政治の特色や武士の勢力の台頭を理解させるとともに、文化が国風化したことに着目させる。
鎌倉(かまくら)幕府によって武家政治が始まり、武士の支配が次第に全国に及んで武家社会が発展していった大きな流れをアジアの動きと関連させながら理解させる。また、武士や庶民の生活が向上し、武家文化の形成と庶民文化の芽生えがあったことを理解させる。
源平の戦い、鎌倉幕府の成立と推移を扱い、武家の政治及びこの時代の文化の特色を理解させるとともに、武士の生活や宋(そう)との文化の交流に着目させる。また、蒙古の襲来とそれが後の幕府政治に及ぼした影響及び鎌倉幕府の滅亡について理解させる。
イ 室町幕府の政治と外交
建武の新政、室町幕府の成立、日明(にちみん)貿易、戦国大名を扱い、室町幕府の政治と外交、応仁(おうにん)の乱の後の社会的な変動を理解させる。
ウ 都市・農村の生活と文化
室町時代の生活と文化を扱い、農業の発達と新しい都市の形成、畿内(きない)を中心にした都市や農付における自治的な組織の成立、庶民文化の芽生えとこの時代の文化の特色を理解させる。
ヨーロッパ人が来航した背景及びヨーロッパ文化の伝来とその影響について理解させる。また、織田(おだ)・豊臣(とよとみ)による国内の統一とその当時の対外関係のあらましを理解させるとともに、時代的風潮を反映した文化が創出されたことに着目させる。
ルネサンスと宗教改革、ヨーロッパ世界とイスラム世界との接触及び新航路の開拓などヨーロッパ人の来航とその背景を扱い、ヨーロッパ文化の伝来とそれが我が国の社会に及ぼした影響について理解させる。
イ 織田・豊臣の政治と桃山文化
織田・豊臣による統一事業及び海外との関係のあらましを扱い、政治や社会の大きな変化を理解させるとともに、この時代の文化に対する海外からの影響や武将、豪商などの生活文化に着目させる。
江戸幕府の成立と統治のための諸政策、鎖国政策の役割、その後の政治のあらましを通じて、幕藩体制の特色を理解させる。また、この時代に各地域で特色ある産業が発達したこと、経済の発展に伴い町人の勢力が増大し、町人文化が都市を中心に形成されたことを理解させる。
江戸幕府の成立、大名の統制、鎖国政策、身分制度の確立及び農村の様子を扱い、次第に幕藩体制が確立していったことを理解させる。また、オランダ、清(しん)との交易に触れながら、鎖国政策の影響に着目させる。
イ 産業の発達と町人文化
新田開発や農業技術の発達などによる農業生産の増大、諸産業及び交通の発達を扱い、この時代に各地域で特色ある産業が発達したことを理解させる。また、幕府の学問奨励、町人の台頭などとの関連で、町人文化が形成されたことを理解させる。
ウ 幕府政治の移り変わり
享保の改革、田沼政治及び寛政の改革を扱い、幕府政治の移り変わりを理解させるとともに、商業の発達、百姓一揆(いっき)などの社会の変動に着目させる。
欧米諸国の近代社会への発展と海外への進出を背景に、19世紀前半から開国、幕府の滅亡までの我が国の動きを理解させる。また、国内において新しい学問・思想や近代社会への動きが芽生えたことを理解させる。
ヨーロッパにおける市民革命、産業革命、近代科学と文化の発達などを扱い、ヨーロッパの近代社会の成立と海外への進出のあらましを理解させる。
イ 新しい学問・思想と地方の生活文化
学問・思想の発達とこの時代の文化を扱い、蘭学(らんがく)と国学を中心とする学問・思想の新しい動きと教育・文化の広がりや地方の生活文化について理解させる。
ウ 幕府政治の行き詰まりと開国
天保(てんぽう)の改革、欧米諸国の接近とそれへの対応、開国と幕府の滅亡を扱い、幕府政治の行き詰まりから滅亡に至るあらましを理解させる。
明治維新とそれ以後の近代日本の発展の過程を、新政府により実施された諸政策、立憲体制の成立及びアジアにおける国際関係などを通して理解させる。また、近代産業の発展とそれに伴い都市・農村の生活が変化したこと、学問や教育・文化の進歩が著しかったことを理解させる。
明治政府の成立と廃藩置県、身分制度の廃止、学制の頒布、徴兵令の発布、地租改正、領土の画定などの諸政策を扱い、近代国家の基礎が整えられていったことを理解させる。また、欧米文化の導入と富国強兵・殖産興業政策を扱い、欧米風の生活様式の広がりや近代産業の育成に着目させる。
イ 憲法の制定と議会政治の始まり
自由民権運動の広がりを背景に、大日本帝国憲法の制定、議会政治開始の経緯のあらましを扱い、憲法制定及び議会政治の開始の歴史的意義を理解させる。
ウ 日清(にっしん)・日露戦争とアジアの情勢
当時の国際環境を背景に、日清・日清戦争及び条約改正を扱い、我が国の国際的地位の向上及び大陸との関係のあらましを理解させるとともに、欧米諸国との対等の外交関係を樹立するために国民的関心が払われたことに着目させる。
エ 近代産業の発展と社会や生活の変化
我が国の産業革命の進行を扱い、近代産業が発展し資本主義経済の基礎が固まっていったことを理解させるとともに、社会問題が起こったこと、都市や農山漁村の生活に大きな変化が生じてきたことに着目させる。
オ 近代文化の形成
学問・教育・科学技術・芸術などの発展を扱い、伝統的な文化の上に欧米文化を消化して我が国の近代文化が形成されたことを理解させる。
第一次世界大戦から第二次世界大戦までの国際情勢のあらましを背景に、その間の国内の政治・経済・文化及び国民生活の移り変わりを理解させる。その際、世界の国々の間の緊密な関係や対立及び二つの大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させる。
第一次世界大戦とその背景にある国際関係、日本の参戦、ロシア革命、戦後の国際協調の動きを扱い、第一次世界大戦前後の国際間係の推移のあらましを理解させるとともに、民族運動の高まり、国際平和への努力に着目させる。
イ 大正デモクラシーと文化の大衆化
政党政治の発達、民主主義の思想の普及、文化の進展を扱い、国民の政治的自覚の高まり、社会運動の展開、都市を中心とする文化の大衆化を理解させる。
ウ 第二次世界大戦と日本
昭和初期から第二次世界大戦の終結までの世界の動きと我が国の政治・外交の動き、中国などアジア諸国との関係を扱い、経済の混乱と社会問題の発生や軍部の台頭から戦争に至る経過を理解させるとともに、戦時下の国民の生活に着目させる。
第二次世界大戦後の世界の動きのあらまし及びそれと関連をもちながら進められた我が国の民主化と再建の過程や国際社会への参加について理解させる。また、経済や科学技術の急速な発展とそれに伴う国民の生活の変化に着目させるとともに、現代の世界の状況とその中での我が国の役割について考えさせる。
イ 国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物に対する生徒の興味や関心を育てる指導に努めるとともに、それぞれの人物が果たした役割や生き方などについて時代的背景と関連付けて考察させるようにすること。その際、身近な地域の歴史上の人物を取り上げることにも留意すること。
ウ 日本人の生活や生活に根ざした文化については、各時代の政治や社会の動き及び各地域の地理的条件、身近な地域の歴史とも関連付けて指導するとともに、民俗学などの成果の活用や博物館、郷土資料館などの文化財の見学・調査を通して、生活文化の展開を具体的に学ぶことができるようにすること。
(3) 内容の(3)については、武家政治の展開や土地制度の変化などに関する細かい史実には深入りせず、武士による支配の拡大や生活、文化の特色のあらましを理解させるよう留意する。
(4) 内容の(4)のアについては、ヨーロッパ世界とイスラム世界とのかかわり及びヨーロッパ人が来航した背景を中心に理解させるよう留意する。
(5) 内容の(5)については、幕府の政治組織や政策、町人文化などを通じて、幕藩体制と文化の特色のあらましを理解させるよう留意する。
(6) 内容の(6)については、次のとおり取り扱うものとする。
イ 開国から幕府の滅亡に至る経過については、国際情勢や国内の新しい動きと関連させ、大きな流れをつかませるよう留意すること。
(8) 内容の(8)については、世界の動きと我が国との関連を重点的にとらえさせるとともに、国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに着目させるよう留意する。
(9) 内容の(9)については、第二次世界大戦後の世界の歴史の大きな流れと我が国が再出発して今日に至った経過について大観させるよう留意する。
1 目 標
(2) 民主政治の意義、国民の生活の向上と経済活動とのかかわり及び現代の社会生活における個人の役割などについての理解を深めるとともに、社会の諸問題に着目させ、自ら考えようとする態度を育てる。
(3) 各国が相互に主権を尊重し、各国民が協力し合うことによって、世界の平和を維持し人類の福祉に貢献できることを認識させ、国際協調の精神を養うとともに、自国を愛し、その平和と繁栄を図り文化を高めることが大切であることを自覚させる。
(4) 社会的事象を確実な資料に基づいて様々な角度から考察し、事実を正確にとらえ、公正に判断する能力と態度を育てる。
家族、地域社会などの機能を扱い、人間は本来社会的存在であることに気付かせ、社会生活における個人の役割とその在り方について考えさせる。また、現在の家族制度の基本的な考え方が個人の尊厳と両性の本質的な平等に基づいていることの意味を理解させ、家族の望ましい人間関係について考えさせる。
イ 現代の文化と生活
国や地方による文化と生活の速いに着目させ、現代の社会生活における文化の働きを理解させるとともに、我が国の文化の伝統に対する関心を深め、文化の継承と創造の意義に気付かせる。
ウ 情報と社会
情報の増大及びその働きが社会生活を変化させていることを理解させ、情報と人間とのかかわりについて考えさせる。
身近な消費生活を中心に経済活動の意義とあらましを理解させる。その際、価格の働きや物価の動き、貯蓄、保険、租税などを取り上げるとともに、現代の生産の仕組みと関連させて社会における企業の役割について理解させる。また、社会生活における職業の意義と役割を考えさせるとともに、勤労の権利と義務、労働組合の意義及び労働基準法の精神について理解させる。
イ 国民生活と福祉
国民生活の向上や福祉の増大を図るためには、雇用と労働条件の改善、消費者の保護、社会保障の充実、社会資本の整備、公害の防止など環境の保全、資源やエネルギーの有効な開発・利用などが必要であることを理解させる。その際、個人や企業などの社会的責任について考えさせる。また、これらに関し国や地方公共団体が果たしている役割を取り上げ、財政収支が国民生活にとって重要な意味をもっていることを理解させるとともに、租税の意義と役割及び国民の納税の義務についての理解を深める。
ウ 経済生活と国際協力
貿易などを通して経済生活が国際的なかかわりの中で営まれていることについて考えさせるとともに、貿易の意義と役割を理解させる。また、国際的な協力が我が国及び世界の経済の発展にとって大切であることを理解させるとともに、世界には資本主義経済のほかに社会主義経済を建前とする諸国があることについても理解させる。
人間の尊重についての考え方を、基本的人権を中心に深めさせるとともに、日本国憲法が基本的人権の尊重、国民主権及び平和主義を基本的原則としていることについての理解を深め、日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について理解させる。また、社会生活における取決めの重要性や法の意義に着目させ、民主的な社会生活を営むためには、法に基づく政治が確立されなければならないこと及び法を守ることが大切であることを理解させ、我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われている
イ 民主政治と政治参加
地方自治の基本的な考え方について理解させ、地域社会における住民の権利や義務と関連させて、地方自治の発展に寄与しようとする住民としての自治意識の基礎を育てる。また、我が国が国会を中心とする民主政治の仕組みをとっていることを理解させ、議会制民主主義の意義について考えさせるとともに、多数決の原理とその運用の在り方について理解を深める。さらに、国民の権利・義務を保障し、社会の秩序を維持するため、法に基づく公正な裁判の保障があることを理解させるとともに、民主政治を推進するためには、公正な世論の形成と国民の政治参加が大切であることに気付かせる。その際、選挙の意義とあらまし及び政党の役割について理解させる。
ウ 国際社会と平和
国家の主権、領土(領海、領空を含む。)及び国際連合などの国際組織や国際交流について理解させるとともに、国家間の相互の主権尊重と協力、各国民の相互理解と協力が平和の維持と人類の福祉の増進にとって大切であることを認識させ、国際社会における我が国の役割について考えさせる。また、日本国憲法の平和主義について理解を採め、我が国の安全と防衛の問題について考えさせるとともに、核兵器の脅成に着目させ、戦争を防止し、世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てる。
イ 生徒が内容の基本的な意味を理解できるように配慮して、専門用語を乱用したり細かな事柄や程度の高い事項の学習に深入りしたりすることを避け、身近で具体的な事柄を通して、政治や経済などについての見方や考え方の基礎が養えるようにすること。
イ イについては、抽象的な理論の学習に陥ることなく、生徒が興味や関心をもって学習できるよう工夫するとともに、それぞれの国や地方の文化について互いに理解し尊重し合うことが大切であることに気付かせること。
ウ ウについては、マス・メディアなどの発達や働きを取り上げ、情報の重要性及びその適切な活用についても考えさせるよう留意すること。
イ イについては、我が国における高齢化や都市化、産業構造の変化などの社会の変化と関連させて指導するよう留意すること。「消費者の保護」については、現代社会における取引の多様化や契約の重要性を取り上げ、消費者として主体的に判断し行動することが大切であることを考えさせるよう留意すること。
ウ ウについては、身近で具体的な事例を取り上げて理解させるよう工夫すること。その際、貿易や通貨の交換が日常生活に及ぼす影響などを通して、経済の国際化の進展に関心をもたせるよう留意すること。
イ イについては、指導内容の構成や取扱いを十分に工夫し、筋道立った総合的な理解をさせるよう留意すること。
ウ ウについては、「国家間の相互の主権尊重と協力」との関連で、国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ、それらを尊重する態度を育てるよう配慮すること。
(2) 各分野の履修については、第1学年から地理的分野と歴史的分野を並行して学習させ、その基礎の上に公民的分野を学習させることを原則とするが、学校の実態に即して適切な指導計画を作成することができること。各分野の授業時数については、3学年を見通した全体的な指導計画に基づき、社会科の授業時数に対する割合が、それぞれ地理的分野11分の4、歴史的分野11分の4、公民的分野11分の3となるように配当すること。
(3) 第3学年において下限の時数を超えて授業時数を定める場合には、第2の内容について補充や深化を既るため、学校や生徒の実態に応じ、適切な指導を行うようにすること。
(4) 生徒の主体的な学習を促し、社会的事象に対する関心を−層高めるため、各分野において、第2の内容の程度や範囲に十分配慮しつつ事項を構成するなどの工夫をして、適切な課題を設けて行う学習の充実を図るようにすること。
3 第3学年における選択教科としての「社会」においては、生徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できるよう、第2の内容について、分野間にわたる学習、自由研究的な学習、見学・調査、作業的な学習などの学習活動を学校において適切に工夫して取り扱うものとする。