農 業 科 編
(試 案)
昭和27年(1952)改訂版
文 部 省
ま え が き
この学習指導要領は,昭和24年2月に発行された「学習指導要領高等学校農業編」の改訂版である。昭和24年に発行されたものは,同年4月から実施された,高等学校の改正教育課程に基く,農業教育の改善に備えたものであって,その発表を急いだ結果,要点を掲げたにすぎなかった。この指導要領は前のものの実施結果を勘案して再検討を加えるとともに,それにもれていた部分を補うものであって,根本的なねらいは踏襲しながらも,その改善発展を図ったのである。
この学習指導要領は,高等学校における農業教育の基準的なものを盛った部分と,例示的なものを盛った部分との二つの編から成っている。
そうして第1編では,第1章に高等学校における農業教育の目標および農業科の概観とその運営を掲げ,第2章には,農業科の各科目について,その性格・目標,具体的な目標,教育内容および,土地の必要に応じた教育課程編成への適用を掲げた。第3章には,このような科目とその教育内容を取捨選択して,土地の事情に適した課程を設定し,その学習指導計画を立てる手順を示した。
第2編では,第1章に,農業に関する課程編成の例として,総合農業を課程必修としてひとりの教師が担当する場合の農業課程と,4人の教師が課程必修を分担して協力し合い,第1学年から林業を専門に指導する場合の林業課程の例とを掲げた。第2章には,前記の農業課程における3ヵ年間の単元構成と,そのうち第1学年の単元の展開とを掲げた。しかし,これらの例は,実在する学校について調査した結果作成されたものではないし,また,学習指導要領の性質上,さまざまな仕事や問題を含んだ例をあげなくてはならない事情もあるので,各学校では,これを参考にし,しかもこれにとらわれることなく,適切な内容を適切にとり上げて,いっそうすぐれた学習指導計画を立案されることを望んでやまない。
農業教育は今なお過渡期であって,今後の研究に待たなければならない点も少なくないので,この案を実施した結果に基く,教育実際家の率直な批判と有益な忠告を期待するものである。
高等学校学習指導要領
農 業 科 編
(試 案)
目 次
ま え が き
第1章 農業に関する課程編成の例